JP2003079185A - 永久磁石形同期電動機制御装置 - Google Patents

永久磁石形同期電動機制御装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オシロスコープなどの特別な測定器を用いる
ことなく、永久磁石形同期電動機(モータ)のロータ磁
極位置と、エンコーダの原点位置との角度差(オフセッ
ト)が零となるような調整を可能とする。 【解決手段】 演算器14からの磁極位置検出値θと電
圧センサ17により検出したモータ相電圧vuから、モ
ータ巻線と磁極位置が一致する点とエンコーダ出力信号
との差分をオフセット量として調節演算するオフセット
調節器19を設け、これをオフライン(チューニング)
モードで運転して上記オフセット値を求め、以後はこの
オフセット値を考慮してモータの出力電圧,周波数およ
び位相の制御を可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、出力電圧の大き
さ、周波数および位相を制御可能なインバータ等の電力
変換器を用いて永久磁石形同期電動機のトルク制御,速
度制御を行なう永久磁石形同期電動機制御装置に関す
る。 【0002】 【従来の技術】図3に、この種の永久磁石形同期電動機
制御装置の従来例を示す。同図において、交流電源8か
ら供給される交流電力は、例えばPWM(パルス幅変
調)制御されるインバータ9により所定の電圧,周波数
の交流電力に変換され、永久磁石形同期電動機(SM)
11を所望のトルクで運転する。12は電動機11によ
って駆動される負荷であり、13は電動機11の回転速
度および回転子の磁極位置を検出するパルスエンコーダ
で、90度位相差を持ったA相,B相のインクリメンタ
ル信号と、アブソリュート信号を出力する。 【0003】上記同期電動機11の制御装置において、
速度設定器1は電動機11の速度設定ωr♯を速度指令
演算回路2に送るので、速度指令演算回路2では予め設
定された加速度に従い変化して、最終的には入力された
速度設定値ωr♯に一致するような速度指令値ωr*を
生成し出力する。速度調節器3には、この速度指令値ω
r*と速度検出演算器15により演算された速度検出値
ωrとの偏差が入力されており、調節動作によって上記
偏差を零にするようなq軸電流指令iq*を出力する。
ここで、永久磁石同期電動機11の回転子永久磁石によ
る磁束軸と平行な軸をd軸、磁束軸に直交する軸をq軸
と言う。 【0004】位置検出演算器14では、パルスエンコー
ダ13からの出力信号に基づき、例えば電動機11のU
相巻線と磁極位置とのなす角度θを演算する。座標変換
器7は、電流センサ10によって検出した電動機11の
一次電流iu,iwを前記角度θに基づき次式の
(1),(2)式の如き関係をもって座標変換すること
により、電動機11の一次電流をq軸電流検出値iqお
よびd軸電流検出値idに分解する。なお、(1),
(2)式のivはiu+iv+iw=0なる関係から求
められる。 id=cosθ×iu+cos(θ−120°)×iv +cos(θ+120°)×iw …(1) iq=sinθ×iu+sin(θ−120°)×iv +sin(θ+120°)×iw …(2) 【0005】q軸電流調節器4には、q軸電流指令値i
q*とq軸電流検出値iqとの偏差が入力され、この偏
差を零にするようなq軸電圧指令値vq*を生成して出
力する。同様に、d軸電流調節器5には、d軸電流指令
値id*とq軸電流検出値idとの偏差が入力され、こ
の偏差を零にするようなd軸電圧指令値vd*を生成し
て出力する。なお、図3では電動機11のトルク発生に
寄与しないd軸電流(無効電流)は零として設定されて
いる。 【0006】座標変換器6は、q軸電圧指令値vq*,
d軸電圧指令値vd*および上記角度θに基づき、下記
(3)〜(5)式により座標変換を行ない、3相電圧指
令値vu*,vv*,vw*を生成する。 vu*=cosθ×vd*+sinθ×vq* …(3) vv*=cos(θ−120°)×vd* +sin(θ−120°)×vq* …(4) vw*=cos(θ+120°)×vd* +sin(θ+120°)×vq* …(5) これらの3相電圧指令値vu*,vv*,vw*はイン
バータ9に与えられ、交流電源8から入力される交流電
力が所定の電圧,周波数および位相を有する交流電力に
変換され、電動機11に供給されることになる。 【0007】次に、エンコーダ13による磁極位置検出
方法について説明する。図4はアブソリュート信号の一
例を示し、6極モータの磁石位置を3ビットのアブソリ
ュート信号で検出する例である。区間taが機械角1周
期分(モータ1回転分)で、区間tbが電気角1周期分
である。極対数は3となるので、機械角1周期に対し電
気角は3周期となる。 【0008】図5に図3で用いられる位置検出演算器の
具体例を示す。電源投入時にはf0,f1,f2信号で
決まる初期位置に、カウンタ144の出力はプリセット
される。テーブル141はf0,f1,f2信号の状態
にあわせ、初期位置を出力する。f0,f1,f2信号
の状態と初期位置との関係は図4に示すように、電気角
を6等分した位置で表わすことができる。例えば、f0
=1,f1=0,f2=1の状態であれば0度から60
度の範囲内にあることになるので、初期位置はその中間
の30度にプリセットされる。A,B相の信号を4逓倍
処理,回転方向判別した結果はカウンタ144に入力さ
れ、回転方向に合わせてアップ,ダウンカウント処理を
行なう。また、f0信号と回転方向信号とをXORする
(排他的論理和をとる)ことで、図4の0度の位置にお
けるf0信号のエッジを検出し、このエッジ信号により
カウンタ144を零クリアする。 【0009】図3の設定器16には、U相巻線と磁極位
置とが一致した点の図4の0度の位置における、実際の
磁極位置とエンコーダ13による検出値との差分がオフ
セット量として設定される。このような補正処理を行な
うことにより、エンコーダ取り付け位置を考慮した形
で、電動機11のU相巻線と磁極位置とのなす角度θを
求めることが可能となる。 【0010】次に、オフセット量の調整方法について説
明する。先の(3)式におけるvd*,vq*は次の
(6),(7)式で表わすことができる。 vd*=R1×id*−ω×L×iq* …(6) vq*=R1×iq*+ω×L×id+ωΦ …(7) ここで、id*=0として制御している。また、モータ
を無負荷運転した場合には、iq*=0となり、上記
(6),(7)および(3)式は、次式のようになる。 【0011】 vd*=0 …(6)’ vq*=ωΦ …(7)’ vu*=sinθ×vq*=sinθ×ωΦ …(3)’ そこで、これらの関係式を利用してモータを無負荷運転
し、電圧センサ17で検出したvuと、演算器14を介
して得たθをアナログ信号で出力し、vuとθの関係を
オシロスコープ等の測定器で観測し、設定器16にセッ
トするオフセット量を手動調節する。オフセット調節を
行なった後のvuとθの関係を、図6に示す。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような方法では、下記のような問題がある。 1)オフセット量が真値に対し±90度以上ずれている
と、指令トルクと逆極性のトルクをモータが発生し、速
度制御ができなくなる。 2)オシロスコープ等の測定器を必要とする。 したがって、この発明の課題は、特別な測定器等を必要
とすることなく、オフセット量の調節を可能とすること
にある。 【0013】 【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るため、請求項1の発明では、永久磁石形同期電動機に
取り付けられたこエンコーダの出力信号から、電動機の
所定相巻線と磁極位置とのなす角度を位置検出演算器に
より求め、この検出した角度と電動機電流検出値とから
電動機電流を磁束軸成分とこれに直交する直交軸成分と
に分けて、電動機の出力電圧の大きさ,周波数および位
相の制御を行なう永久磁石形同期電動機制御装置におい
て、前記位置検出演算器による磁極位置検出値と電動機
電圧検出センサにより検出した電動機の所定相巻線電圧
とから、電動機巻線と磁極位置が一致する点とエンコー
ダ出力信号との差分をオフセット量として調節演算する
オフセット調節器を設け、永久磁石形同期電動機制御装
置をオフライン状態にして電動機を運転して求めた前記
オフセット量を、以後のオンライン運転時に用いて電動
機を制御することを特徴とする。 【0014】 【発明の実施の形態】図1はこの発明の第1の実施の形
態を示す構成図、図2は図1のチューニング動作を説明
するフローチャートである。図1に示すように、構成的
には図3に示す従来例に対しオフセット調節器19を設
けた点が特徴である。このオフセット調節器19には電
圧センサ17からのU相巻線電圧検出値vuと、位置検
出演算器14からの出力であるU相巻線と磁極位置とが
なす角度θと、速度検出演算器15を介して得られる速
度検出値ωrと、速度指令演算回路2の出力である速度
指令値ωr*とが入力される。 【0015】オフセット調節器19はこれらの入力のう
ち、特に検出値vuとθとの関係からオフセット値を求
める。すなわち、オフセットがない場合はvuとθとの
間には先の図6に示すような関係にあるが、オフセット
があると図6のような関係が崩れるので、例えば電圧検
出値vuの正から負の零クロス点が180度からどれだ
けずれているかを検出することで、オフセット値を求め
ることができる。また、オフセット調節器19はωrや
ωr*を利用して、チューニング速度指令値ωr#’を
求め、図2のようなチューニング動作を行なう。 【0016】図2のステップでチューニング動作を開
始すると、まずステップで、指令または設定値ωr
#’を100%速度とする。これは最大値とすることで
検出を容易にするためである。次のステップ,で逆
極性のトルクを出力したりしないような操作(粗調整)
をした後、次のステップでオフセット値を求め、以後
はωr#’を0%速度にして停止させ、チューニング動
作を終了するものである(ステップ,参照)。な
お、オフセット調節器19で求めたオフセット値は、メ
モリを含む設定器16にセットされ、以後はこれを用い
て永久磁石形同期電動機の制御がオンラインで行なわれ
ることになる。 【0017】 【発明の効果】この発明によれば、特別な測定器等を用
いることなく、永久磁石形同期電動機の磁極位置検出用
に取り付けられるエンコーダの検出オフセット量の調整
を、自動で容易に行なうことが可能となる利点が得られ
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の実施の形態を示す構成図である。 【図2】この発明の動作を説明するためのフローチャー
トである。 【図3】従来例を示す構成図である。 【図4】図3のエンコーダによる磁極位置検出方法の説
明図である。 【図5】図3における位置検出演算器の具体例を示すブ
ロック図である。 【図6】図3でオフセット調整した後の所定相電圧と角
度との関係説明図である。 【符号の説明】 1…速度設定器、2…速度指令演算回路、3…速度調節
器、4…q軸電流調節器、5…d軸電流調節器、6,7
…座標変換器、8…交流電源、9…インバータ、10…
電流センサ、11…永久磁石形同期電動機(SM)、1
2…負荷、13…エンコーダ、14…位置検出演算器、
15…速度検出演算器、16…設定器(オフセット設定
器)、17…電圧センサ、18…オシロスコープ、19
…オフセット調節器、141…テーブル、142…4逓
倍器、143…回転方向検出器、144…カウンタ、1
45…補正回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H560 BB04 BB12 DA07 DA13 DB07 DC12 DC13 EB01 EC01 GG01 JJ15 RR03 SS07 XA02 XA03 XA04 XA12 XA13 XB04 5H576 BB07 CC05 DD02 DD07 EE01 EE11 GG02 GG04 HB01 KK02 LL07 LL22 LL25 LL41 MM15

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 永久磁石形同期電動機に取り付けられた
    こエンコーダの出力信号から、電動機の所定相巻線と磁
    極位置とのなす角度を位置検出演算器により求め、この
    検出した角度と電動機電流検出値とから電動機電流を磁
    束軸成分とこれに直交する直交軸成分とに分けて、電動
    機の出力電圧の大きさ,周波数および位相の制御を行な
    う永久磁石形同期電動機制御装置において、 前記位置検出演算器による磁極位置検出値と電動機電圧
    検出センサにより検出した電動機の所定相巻線電圧とか
    ら、電動機巻線と磁極位置が一致する点とエンコーダ出
    力信号との差分をオフセット量として調節演算するオフ
    セット調節器を設け、永久磁石形同期電動機制御装置を
    オフライン状態にして電動機を運転して求めた前記オフ
    セット量を、以後のオンライン運転時に用いて電動機を
    制御することを特徴とする永久磁石形同期電動機制御装
    置。
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