JP2003077671A - 有機発光素子 - Google Patents

有機発光素子

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JP2003077671A
JP2003077671A JP2001265872A JP2001265872A JP2003077671A JP 2003077671 A JP2003077671 A JP 2003077671A JP 2001265872 A JP2001265872 A JP 2001265872A JP 2001265872 A JP2001265872 A JP 2001265872A JP 2003077671 A JP2003077671 A JP 2003077671A
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JP2001265872A
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Koichi Suzuki
幸一 鈴木
Akihiro Senoo
章弘 妹尾
Sven Andriessen
スベン アンドリーセン
Kazunori Ueno
和則 上野
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 極めて高効率で高輝度、高寿命の光出力を有
する有機発光素子を提供する。 【解決手段】 陽極及び陰極からなる一対の電極と、該
一対の電極間に挟持された一または複数の有機化合物を
含む層を少なくとも有する有機発光素子において、前記
有機化合物を含む層の少なくとも一層が下記一般式
[I]で示される化合物の少なくとも一種を含有するこ
とを特徴とする有機発光素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機発光素子に関
し、詳しくは有機化合物を含む薄膜に電界を印加するこ
とにより光を放出する素子に関する。
【0002】
【従来の技術】有機発光素子は、陽極と陰極間に蛍光性
有機化合物を含む薄膜を挟持させて、各電極から電子お
よびホール(正孔)を注入することにより、蛍光性化合
物の励起子を生成させ、この励起子が基底状態にもどる
際に放射される光を利用する素子である。
【0003】1987年コダック社の研究(Appl.
Phys.Lett.51,913(1987))で
は、陽極にITO、陰極にマグネシウム銀の合金をそれ
ぞれ用い、電子輸送材料および発光材料としてアルミニ
ウムキノリノール錯体を用い、ホール輸送材料にトリフ
ェニルアミン誘導体を用いた機能分離型2層構成の素子
で、10V程度の印加電圧において1000cd/m2
程度の発光が報告されている。関連の特許としては,米
国特許4,539,507号,米国特許4,720,4
32号,米国特許4,885,211号等が挙げられ
る。
【0004】また、蛍光性有機化合物の種類を変えるこ
とにより、紫外から赤外までの発光が可能であり、最近
では様々な化合物の研究が活発に行われている。例え
ば、米国特許5,151,629号,米国特許5,40
9,783号,米国特許5,382,477号,特開平
2−247278号公報,特開平3−255190号公
報,特開平5−202356号公報,特開平9−202
878号公報,特開平9−227576号公報等に記載
されている。
【0005】さらに、上記のような低分子材料を用いた
有機発光素子の他にも、共役系高分子を用いた有機発光
素子が、ケンブリッジ大学のグループ(Nature,
347,539(1990))により報告されている。
この報告ではポリフェニレンビニレン(PPV)を塗工
系で成膜することにより、単層で発光を確認している。
共役系高分子を用いた有機発光素子の関連特許として
は、米国特許5,247,190号、米国特許5,51
4,878号、米国特許5,672,678号、特開平
4−145192号公報、特開平5−247460号公
報等が挙げられる。
【0006】このように有機発光素子における最近の進
歩は著しく、その特徴は低印加電圧で高輝度、発光波長
の多様性、高速応答性、薄型、軽量の発光デバイス化が
可能であることから、広汎な用途への可能性を示唆して
いる。
【0007】しかしながら、現状では更なる高輝度の光
出力あるいは高変換効率が必要である。また、長時間の
使用による経時変化や酸素を含む雰囲気気体や湿気など
による劣化等の耐久性の面で未だ多くの問題がある。さ
らにはフルカラーディスプレイ等への応用を考えた場
合、色純度の良い青、緑、赤の発光が必要となるが、こ
の問題に関してもまだ十分に解決されておらず、特に赤
色発光が充分ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術の問題点を解決するためになされたものであ
り、極めて高効率で高輝度、高寿命の光出力を有する有
機発光素子を提供することを目的とする。
【0009】また、発光波長に多様性があり、種々の発
光色相を呈するが、特に、燈色、赤色などの発光色相を
呈するとともに、極めて耐久性のある有機発光素子を提
供することを目的とする。
【0010】さらには、製造が容易でかつ比較的安価に
作成可能な有機発光素子を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の有機発光
素子は、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の
電極間に挟持された一または複数の有機化合物を含む層
を少なくとも有する有機発光素子において、前記有機化
合物を含む層の少なくとも一層が下記一般式[I]で示
される化合物の少なくとも一種を含有することを特徴と
する。
【0012】
【化9】
【0013】(式中、R1、R2、R3およびR4は、水素
原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル
基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無
置換の複素環基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ
基、置換あるいは無置換のアミノ基または下記一般式
[II]の構造式からなる基を表わし、R1、R2、R3
およびR4の少なくとも1つは、一般式[II]の構造
式からなる基を表わす。
【0014】R1、R2、R3およびR4は、同じであって
も異なっていてもよい。
【0015】Mは、リチウム、ナトリウムまたはカリウ
ム原子を表わす。)
【0016】
【化10】
【0017】(式中、R5、R6、およびR7は、水素原
子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、
置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換
の複素環基、シアノ基またはニトロ基を表わし、R5
6、およびR7は、同じであっても異なっていてもよ
い。
【0018】X1、X2、X3、Y1、Y2およびY3は、窒
素原子あるいはC−R8を表わし、X1、X2、X3
1、Y2およびY3は、同じであっても異なっていても
よい。
【0019】Z1、Z2およびZ3は、−O−、−S−、
−NR9−、−Si(R10)R11−、−C(R12)R13
−、−CH=CH−あるいは−CH=N−を表わし、Z
1、Z2およびZ3は、同じであっても異なっていてもよ
い。
【0020】R8、R9、R12およびR13は、水素原子、
アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換
あるいは無置換のアリール基または置換あるいは無置換
の複素環基を表わす。R12およびR13は、同じであって
も異なっていてもよい。
【0021】R10およびR11は、アルキル基、置換ある
いは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリ
ール基または置換あるいは無置換の複素環基を表わし、
10およびR11は同じであっても異なっていてもよい。
【0022】lは0または1、mは0または1〜20の
整数、nは0または1〜20の整数、m+nは1〜20
の整数、好ましくは2〜8の整数を表わす。)また、本
発明の他の有機発光素子は、陽極及び陰極からなる一対
の電極と、該一対の電極間に挟持された一または複数の
有機化合物を含む層を少なくとも有する有機発光素子に
おいて、前記有機化合物を含む層の少なくとも一層が下
記一般式[III]で示される化合物の少なくとも一種
を含有することを特徴とし、R 14、R15、R16およびR
17の少なくとも1つが、前記一般式[II]の構造式か
らなる基であることが、ガラス転移点が高くなり有機発
光素子としての安定性が向上する、また発光波長が長波
長化するなどの点で好ましい。
【0023】
【化11】
【0024】(式中、R14、R15、R16およびR17は、
水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキ
ル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは
無置換の複素環基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ
基、置換あるいは無置換のアミノ基または前記一般式
[II]の構造式からなる基を表わす。
【0025】R14、R15、R16およびR17は、同じであ
っても異なっていてもよい。
【0026】Mは、リチウム、ナトリウムまたはカリウ
ム原子を表わす。)また、本発明の他の有機発光素子
は、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極
間に挟持された一または複数の有機化合物を含む層を少
なくとも有する有機発光素子において、前記有機化合物
を含む層の少なくとも一層が下記一般式[IV]で示さ
れる化合物の少なくとも一種を含有することを特徴と
し、R18、R19、R20およびR21の少なくとも1つが、
前記一般式[II]の構造式からなる基であることが、
ガラス転移点が高くなり有機発光素子としての安定性が
向上する、また発光波長が長波長化するなどの点で好ま
しい。
【0027】
【化12】
【0028】(式中、R18、R19、R20およびR21は、
水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキ
ル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは
無置換の複素環基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ
基、置換あるいは無置換のアミノ基または前記一般式
[II]の構造式からなる基を表わす。
【0029】R18、R19、R20およびR21は、同じであ
っても異なっていてもよい。
【0030】Mは、リチウム、ナトリウムまたはカリウ
ム原子を表わす。)また、本発明の他の有機発光素子
は、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極
間に挟持された一または複数の有機化合物を含む層を少
なくとも有する有機発光素子において、前記有機化合物
を含む層の少なくとも一層が下記一般式[V]で示され
る化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とし、
22、R23、R24およびR25の少なくとも1つが、前記
一般式[II]の構造式からなる基であることが、ガラ
ス転移点が高くなり有機発光素子としての安定性が向上
する、また発光波長が長波長化するなどの点で好まし
い。
【0031】
【化13】
【0032】(式中、R22、R23、R24およびR25は、
水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキ
ル基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは
無置換の複素環基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ
基、置換あるいは無置換のアミノ基または前記一般式
[II]の構造式からなる基を表わす。
【0033】R22、R23、R24およびR25は、同じであ
っても異なっていてもよい。
【0034】Mは、リチウム、ナトリウムまたはカリウ
ム原子を表わす。)
【0035】本発明の有機発光素子は、少なくとも電子
注入層、電子輸送層または発光層が、前記一般式
[I]、[III]、[IV]または[V]で示される
化合物を含有することが好ましい。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0037】まず、上記一般式[I]〜[V]における
置換基の具体例を以下に示す。
【0038】アルキル基としては、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル
基、ter−ブチル基、オクチル基などが挙げられる。
【0039】アラルキル基としては、ベンジル基、フェ
ネチル基などが挙げられる。
【0040】アリール基としては、フェニル基、ビフェ
ニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラリル
基、フェナントリル基、フルオレニル基などが挙げられ
る。
【0041】複素環基としては、チエニル基、ピロリル
基、イミダジル基、フリル基、ピリジル基、インドリル
基、キノリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾール
基、ベンゾチアゾール基、ベンゾジアゾール基などが挙
げられる。
【0042】アルコキシル基としては、メトキシル基、
エトキシル基、プロポキシル基、フェノキシル基などが
挙げられる。
【0043】アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジ
エチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミ
ノ基などが挙げられる。
【0044】上記置換基が有してもよい置換基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル
基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基、フ
ェニル基、ナフチル基、アントラリル基などのアリール
基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基
などの複素環基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ
基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基などのア
ミノ基が挙げられる。
【0045】また、一般式[II]で示される置換基と
しては、以下に示すようなものが挙げられる。
【0046】
【化14】
【0047】
【化15】
【0048】
【化16】
【0049】以下、一般式[I]、[III]、[I
V]または[V]で示される化合物の代表例を挙げる
が、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、表
1〜4における置換基1〜6は、以下に示す置換基であ
る。
【0050】
【化17】
【0051】
【化18】
【0052】
【表1】
【0053】
【化19】
【0054】
【表2】
【0055】
【化20】
【0056】
【表3】
【0057】
【化21】
【0058】
【表4】
【0059】次に、本発明の有機発光素子について図面
に沿って説明する。
【0060】図1は本発明の有機発光素子の一例を示す
断面図である。図1は基板1上に陽極2、発光層3及び
陰極4を順次設けた構成のものである。ここで使用する
発光素子はそれ自体でホール輸送能、エレクトロン輸送
能及び発光性の性能を単一で有している場合や、それぞ
れの特性を有する化合物を混ぜて使う場合に有用であ
る。
【0061】図2は本発明の有機発光素子における他の
例を示す断面図である。図2は基板1上に陽極2、ホー
ル輸送層5、電子輸送層6及び陰極4を順次設けた構成
のものである。この場合、発光物質はホール輸送性かあ
るいは電子輸送性のいずれかあるいは両方の機能を有し
ている材料をそれぞれの層に用い、発光性の無い単なる
ホール輸送物質あるいは電子輸送物質と組み合わせて用
いる場合に有用である。また、この場合、発光層3はホ
ール輸送層5あるいは電子輸送層6のいずれかから成
る。
【0062】図3は本発明の有機発光素子における他の
例を示す断面図である。図3は基板1上に陽極2、ホー
ル輸送層5、発光層3,電子輸送層6及び陰極4を順次
設けた構成のものである。これはキャリヤ輸送と発光の
機能を分離したものであり、ホール輸送性、電子輸送
性、発光性の各特性を有した化合物と適時組み合わせて
用いられ極めて材料選択の自由度が増すとともに、発光
波長を異にする種々の化合物が使用できるため、発光色
相の多様化が可能になる。さらに、中央の発光層3に各
キャリヤあるいは励起子を有効に閉じこめて発光効率の
向上を図ることも可能になる。
【0063】図4は本発明の有機発光素子における他の
例を示す断面図である。図4は基板1上に陽極2、ホー
ル輸送層5,電子輸送層6、電子注入層7及び陰極4を
順次設けた構成のものである。これは陰極4から電子輸
送層6へ電子を効率よく注入させるために電子注入層7
を設けたもので、陰極4からの電子注入と電子輸送の機
能を分離したものである。
【0064】ただし、図1〜4はあくまでごく基本的な
素子構成であり、本発明の化合物を用いた有機発光素子
の構成はこれらに限定されるものではない。例えば、電
極と有機層界面に絶縁性層を設ける、接着層あるいは干
渉層を設ける、ホール輸送層がイオン化ポテンシャルの
異なる2層から構成されるなど多様な層構成をとること
ができる。
【0065】本発明に用いられる一般式[I]、[II
I]、[IV]または[V]で示される化合物は、従来
の化合物に比べ、電子注入性、電子輸送性、発光性およ
び耐久性の優れた化合物であり、図1〜図4のいずれの
形態をも使用することができる。
【0066】特に、本発明の一般式[I]、[II
I]、[IV]または[V]で示される化合物を用いた
有機層は、電子注入層、電子輸送層および発光層として
有用であり、また真空蒸着法や溶液塗布法などによって
形成した層は結晶化などが起こりにくく、経時安定性に
優れている。
【0067】本発明の有機発光素子においては、一般式
[I]、[III]、[IV]または[V]で示される
化合物を真空蒸着法や溶液塗布法により陽極2及び陰極
4の間に形成する。その有機層の厚みは10μmより薄
く、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.0
1〜0.5μmの厚みに薄膜化することが好ましい。
【0068】本発明においては、電子注入層、電子輸送
層および発光層の構成成分として一般式[I]、[II
I]、[IV]または[V]で示される化合物を好適に
用いるものであるが、これまで知られているホール輸送
性化合物、発光性化合物、あるいは電子輸送性化合物等
を必要に応じて一緒に使用することもできる。
【0069】以下にこれらの化合物例を挙げる。
【0070】
【化22】
【0071】
【化23】
【0072】
【化24】
【0073】
【化25】
【0074】
【化26】
【0075】
【化27】
【0076】本発明の有機発光素子において、一般式
[I]、[III]、[IV]または[V]で示される
化合物を含有する層およびその他の有機化合物を含む層
は、一般には真空蒸着法あるいは、適当な溶媒に溶解さ
せて塗布法により薄膜を形成する。特に塗布法で成膜す
る場合は、適当な結着樹脂と組み合わせて膜を形成する
こともできる。
【0077】上記結着樹脂としては広範囲な結着性樹脂
より選択でき、たとえばポリビニルカルバゾール樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレ
ート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリ
ル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、
ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が
挙げられるが、これらに限定されるものではない。ま
た、これらは単独または共重合体ポリマーとして1種ま
たは2種以上混合してもよい。
【0078】陽極材料としては仕事関数がなるべく大き
なものがよく、例えば、金、白金、ニッケル、パラジウ
ム、コバルト、セレン、バナジウム等の金属単体あるい
はこれらの合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化錫インジウム
(ITO),酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用
できる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオ
フェン、ポリフェニレンスルフィド等の導電性ポリマー
も使用できる。これらの電極物質は単独で用いてもよ
く、複数併用することもできる。
【0079】一方、陰極材料としては仕事関数の小さな
ものがよく、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシ
ウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、銀、
鉛、錫、クロム等の金属単体あるいは複数の合金として
用いることができる。酸化錫インジウム(ITO)等の
金属酸化物の利用も可能である。また、陰極は一層構成
でもよく、多層構成をとることもできる。
【0080】本発明で用いる基板としては、特に限定す
るものではないが、金属製基板、セラミックス製基板等
の不透明性基板、ガラス、石英、プラスチックシート等
の透明性基板が用いられる。また、基板にカラーフィル
ター膜、蛍光色変換フィルター膜、誘電体反射膜などを
用いて発色光をコントロールする事も可能である。
【0081】なお、作成した素子に対して、酸素や水分
等との接触を防止する目的で保護層あるいは封止層を設
けることもできる。保護層としては、ダイヤモンド薄
膜、金属酸化物、金属窒化物等の無機材料膜、フッソ樹
脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコーン樹
脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、さらには、光硬化
性樹脂等が挙げられる。また、ガラス、気体不透過性フ
ィルム、金属などをカバーし、適当な封止樹脂により素
子自体をパッケージングすることもできる。
【0082】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に
説明していくが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0083】[合成例] 例示化合物No.I−1の合成例 100ml三ツ口フラスコに、EtOH50ml,Li
BH40.1g(4.6mmol)および下記化合物
7.7g(18.4mmo1)を入れ室温で3時間撹拌
した後、析出した結晶を濾取しEtOHで数回洗浄し乾
燥し、例示化合物No.I−1を5.6g(収率72
%)得た。
【0084】
【化28】
【0085】[実施例1]図2に示す構造の素子を作成
した。
【0086】基板1としてのガラス基板上に陽極2とし
ての酸化錫インジウム(ITO)をスパッタ法にて12
0nmの膜厚で成膜したものを透明導電性支持基板とし
て用いた。これをアセトン、イソプロピルアルコール
(IPA)で順次超音波洗浄し、IPAで煮沸洗浄、乾
燥をした。さらに、UV/オゾン洗浄したものを透明導
電性支持基板として使用した。
【0087】透明導電性支持基板上に下記構造式で示さ
れる化合物を真空蒸着法により70nmの膜厚で成膜
し、ホール輸送層5を形成した。さらに例示化合物N
o.I−1で示される化合物を真空蒸着法により70n
mの膜厚で成膜し、電子輸送層6を形成した。蒸着時の
真空度は1.0×10-4pa、成膜速度は0.2〜0.
3nm/secの条件で成膜した。
【0088】
【化29】
【0089】次に、アルミニウムとリチウム(リチウム
濃度1原子%)からなる蒸着材料を用いて、上記有機層
の上に、真空蒸着法により厚さ150nmの金属層膜
(陰極4)を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10
-4Pa、成膜速度は1.0〜1.2nm/secの条件
で成膜した。
【0090】この様にして得られた素子に、ITO電極
を正極、Al−Li電極を負極にして、8Vの直流電圧
を印加すると9.0mA/cm2の電流密度で電流が素
子に流れ、670cd/m2の輝度で赤色の発光が観測
された。
【0091】さらに、窒素雰囲気下で電流密度を7.0
mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、
初期輝度550cd/m2から100時間後520cd
/m2と輝度劣化は小さかった。
【0092】[実施例2〜20、比較例1]例示化合物
No.I−1に代えて、表5に示す化合物を用いた他は
実施例1と同様に素子を作成し、同様な評価を行った。
結果を表5に示す。
【0093】尚、比較化合物No.1は、下記構造式で
示される化合物である。
【0094】
【化30】
【0095】
【表5】
【0096】[実施例21]図2に示す構造の素子を作
成した。
【0097】実施例1と同様に、透明導電性支持基板上
にホール輸送層5を形成した。
【0098】さらに例示化合物No.I−6で示される
化合物およびアルミニウムトリスキノリノール(重量比
1:20)を真空蒸着法により70nmの膜厚で成膜
し、電子輸送層6を形成した。蒸着時の真空度は1.0
×10-4Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/sec
の条件で成膜した。
【0099】次に、実施例1と同様に、陰極4を形成し
た。
【0100】この様にして得られた素子に、ITO電極
を正極、Al−Li電極を負極にして、8Vの直流電圧
を印加すると10.0mA/cm2の電流密度で電流が
素子に流れ、880cd/m2の輝度で橙色の発光が観
測された。
【0101】さらに、窒素雰囲気下で電流密度を7.0
mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したところ、
初期輝度730cd/m2から100時間後670cd
/m2と輝度劣化は小さかった。
【0102】[実施例22〜30、比較例2]例示化合
物No.I−6に代えて、表6に示す化合物を用いた他
は実施例21と同様に素子を作成し、同様な評価を行っ
た。結果を表6に示す。
【0103】
【表6】
【0104】[実施例31]図3に示す構造の素子を作
成した。
【0105】実施例1と同様に、透明導電性支持基板上
にホール輸送層5を形成した。
【0106】次に、アルミニウムトリスキノリノールを
真空蒸着法により30nmの膜厚で成膜し、発光層3を
形成した。さらに例示化合物No.IV−3で示される
化合物を真空蒸着法により50nmの膜厚で成膜し、電
子輸送層6を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10
-4Pa、成膜速度は0.2〜0.3nm/secの条件
で成膜した。
【0107】次に、実施例1と同様に、陰極4を形成し
た。
【0108】この様にして得られた素子に、ITO電極
を正極、Al−Li電極を負極にして、10Vの直流電
圧を印加すると11.5mA/cm2の電流密度で電流
が素子に流れ、1180cd/m2の輝度で黄色の発光
が観測された。
【0109】さらに、窒素雰囲気下で電流密度を10.
0mA/cm2に保ち100時間電圧を印加したとこ
ろ、初期輝度1050cd/m2から100時間後96
0cd/m2と輝度劣化は小さかった。
【0110】[実施例32〜40、比較例3]例示化合
物No.IV−3に代えて、表7に示す化合物を用いた
他は実施例31と同様に素子を作成し、同様な評価を行
った。結果を表7に示す。
【0111】
【表7】
【0112】
【発明の効果】本発明の一般式[I]、[III]、
[IV]または[V]で示される化合物を用いた有機発光
素子は、低い印加電圧で高輝度な発光が得られ、耐久性
にも優れている。
【0113】特に、本発明の一般式[I]、[II
I]、[IV]または[V]で示される化合物を用いた有
機層は、電子輸送層や発光層として優れている。
【0114】さらに、素子の作成も真空蒸着あるいはキ
ャスティング法等を用いて作成可能であり、比較的安価
で大面積の素子を容易に作成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における有機発光素子の一例を示す断面
図である。
【図2】本発明における有機発光素子の他の例を示す断
面図である。
【図3】本発明における有機発光素子の他の例を示す断
面図である。
【図4】本発明における有機発光素子の他の例を示す断
面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 陽極 3 発光層 4 陰極 5 ホール輸送層 6 電子輸送層 7 電子注入層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アンドリーセン スベン 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 上野 和則 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB02 AB04 AB11 AB18 CA01 CB01 DA01 DB03 EB00 4J032 BA04 BA14 BB04 BB05 BD01 BD02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極及び陰極からなる一対の電極と、該
    一対の電極間に挟持された一または複数の有機化合物を
    含む層を少なくとも有する有機発光素子において、前記
    有機化合物を含む層の少なくとも一層が下記一般式
    [I]で示される化合物の少なくとも一種を含有するこ
    とを特徴とする有機発光素子。 【化1】 (式中、R1、R2、R3およびR4は、水素原子、アルキ
    ル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるい
    は無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環
    基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換あるい
    は無置換のアミノ基または下記一般式[II]の構造式
    からなる基を表わし、R1、R2、R3およびR4の少なく
    とも1つは、一般式[II]の構造式からなる基を表わ
    す。R1、R2、R3およびR4は、同じであっても異なっ
    ていてもよい。Mは、リチウム、ナトリウムまたはカリ
    ウム原子を表わす。) 【化2】 (式中、R5、R6、およびR7は、水素原子、アルキル
    基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは
    無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、
    シアノ基またはニトロ基を表わし、R5、R6、およびR
    7は、同じであっても異なっていてもよい。X1、X2
    3、Y1、Y2およびY3は、窒素原子あるいはC−R8
    を表わし、X1、X2、X3、Y1、Y2およびY3は、同じ
    であっても異なっていてもよい。Z1、Z2およびZ
    3は、−O−、−S−、−NR9−、−Si(R10)R11
    −、−C(R12)R13−、−CH=CH−あるいは−C
    H=N−を表わし、Z1、Z2およびZ3は、同じであっ
    ても異なっていてもよい。R8、R9、R12およびR
    13は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のア
    ラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置
    換あるいは無置換の複素環基を表わす。R12およびR13
    は、同じであっても異なっていてもよい。R10およびR
    11は、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル
    基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるい
    は無置換の複素環基を表わし、R10およびR11は同じで
    あっても異なっていてもよい。lは0または1、mは0
    または1〜20の整数、nは0または1〜20の整数、
    m+nは1〜20の整数を表わす。)
  2. 【請求項2】 陽極及び陰極からなる一対の電極と、該
    一対の電極間に挟持された一または複数の有機化合物を
    含む層を少なくとも有する有機発光素子において、前記
    有機化合物を含む層の少なくとも一層が下記一般式[I
    II]で示される化合物の少なくとも一種を含有するこ
    とを特徴とする有機発光素子。 【化3】 (式中、R14、R15、R16およびR17は、水素原子、ア
    ルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あ
    るいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素
    環基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換ある
    いは無置換のアミノ基または下記一般式[II]の構造
    式からなる基を表わす。R14、R15、R16およびR
    17は、同じであっても異なっていてもよい。Mは、リチ
    ウム、ナトリウムまたはカリウム原子を表わす。) 【化4】 (式中、R5、R6、およびR7は、水素原子、アルキル
    基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは
    無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、
    シアノ基またはニトロ基を表わし、R5、R6、およびR
    7は、同じであっても異なっていてもよい。X1、X2
    3、Y1、Y2およびY3は、窒素原子あるいはC−R8
    を表わし、X1、X2、X3、Y1、Y2およびY3は、同じ
    であっても異なっていてもよい。Z1、Z2およびZ
    3は、−O−、−S−、−NR9−、−Si(R10)R11
    −、−C(R12)R13−、−CH=CH−あるいは−C
    H=N−を表わし、Z1、Z2およびZ3は、同じであっ
    ても異なっていてもよい。R8、R9、R12およびR
    13は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のア
    ラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置
    換あるいは無置換の複素環基を表わす。R12およびR13
    は、同じであっても異なっていてもよい。R10およびR
    11は、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル
    基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるい
    は無置換の複素環基を表わし、R10およびR11は同じで
    あっても異なっていてもよい。lは0または1、mは0
    または1〜20の整数、nは0または1〜20の整数、
    m+nは1〜20の整数を表わす。)
  3. 【請求項3】 R14、R15、R16およびR17の少なくと
    も1つが、前記一般式[II]の構造式からなる基であ
    ることを特徴とする請求項2に記載の有機発光素子。
  4. 【請求項4】 陽極及び陰極からなる一対の電極と、該
    一対の電極間に挟持された一または複数の有機化合物を
    含む層を少なくとも有する有機発光素子において、前記
    有機化合物を含む層の少なくとも一層が下記一般式[I
    V]で示される化合物の少なくとも一種を含有すること
    を特徴とする有機発光素子。 【化5】 (式中、R18、R19、R20およびR21は、水素原子、ア
    ルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あ
    るいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素
    環基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換ある
    いは無置換のアミノ基または下記一般式[II]の構造
    式からなる基を表わす。R18、R19、R20およびR
    21は、同じであっても異なっていてもよい。Mは、リチ
    ウム、ナトリウムまたはカリウム原子を表わす。) 【化6】 (式中、R5、R6、およびR7は、水素原子、アルキル
    基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは
    無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、
    シアノ基またはニトロ基を表わし、R5、R6、およびR
    7は、同じであっても異なっていてもよい。X1、X2
    3、Y1、Y2およびY3は、窒素原子あるいはC−R8
    を表わし、X1、X2、X3、Y1、Y2およびY3は、同じ
    であっても異なっていてもよい。Z1、Z2およびZ
    3は、−O−、−S−、−NR9−、−Si(R10)R11
    −、−C(R12)R13−、−CH=CH−あるいは−C
    H=N−を表わし、Z1、Z2およびZ3は、同じであっ
    ても異なっていてもよい。R8、R9、R12およびR
    13は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のア
    ラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置
    換あるいは無置換の複素環基を表わす。R12およびR13
    は、同じであっても異なっていてもよい。R10およびR
    11は、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル
    基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるい
    は無置換の複素環基を表わし、R10およびR11は同じで
    あっても異なっていてもよい。lは0または1、mは0
    または1〜20の整数、nは0または1〜20の整数、
    m+nは1〜20の整数を表わす。)
  5. 【請求項5】 R18、R19、R20およびR21の少なくと
    も1つが、前記一般式[II]の構造式からなる基であ
    ることを特徴とする請求項4に記載の有機発光素子。
  6. 【請求項6】 陽極及び陰極からなる一対の電極と、該
    一対の電極間に挟持された一または複数の有機化合物を
    含む層を少なくとも有する有機発光素子において、前記
    有機化合物を含む層の少なくとも一層が下記一般式
    [V]で示される化合物の少なくとも一種を含有するこ
    とを特徴とする有機発光素子。 【化7】 (式中、R22、R23、R24およびR25は、水素原子、ア
    ルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あ
    るいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素
    環基、アルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換ある
    いは無置換のアミノ基または下記一般式[II]の構造
    式からなる基を表わす。R22、R23、R24およびR
    25は、同じであっても異なっていてもよい。Mは、リチ
    ウム、ナトリウムまたはカリウム原子を表わす。) 【化8】 (式中、R5、R6、およびR7は、水素原子、アルキル
    基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは
    無置換のアリール基、置換あるいは無置換の複素環基、
    シアノ基またはニトロ基を表わし、R5、R6、およびR
    7は、同じであっても異なっていてもよい。X1、X2
    3、Y1、Y2およびY3は、窒素原子あるいはC−R8
    を表わし、X1、X2、X3、Y1、Y2およびY3は、同じ
    であっても異なっていてもよい。Z1、Z2およびZ
    3は、−O−、−S−、−NR9−、−Si(R10)R11
    −、−C(R12)R13−、−CH=CH−あるいは−C
    H=N−を表わし、Z1、Z2およびZ3は、同じであっ
    ても異なっていてもよい。R8、R9、R12およびR
    13は、水素原子、アルキル基、置換あるいは無置換のア
    ラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置
    換あるいは無置換の複素環基を表わす。R12およびR13
    は、同じであっても異なっていてもよい。R10およびR
    11は、アルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル
    基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるい
    は無置換の複素環基を表わし、R10およびR11は同じで
    あっても異なっていてもよい。lは0または1、mは0
    または1〜20の整数、nは0または1〜20の整数、
    m+nは1〜20の整数を表わす。)
  7. 【請求項7】 R22、R23、R24およびR25の少なくと
    も1つが、前記一般式[II]の構造式からなる基であ
    ることを特徴とする請求項6に記載の有機発光素子。
  8. 【請求項8】 一般式[II]において、m+nが2〜
    8の整数であることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
    かに記載の有機発光素子。
  9. 【請求項9】 少なくとも電子注入層、電子輸送層また
    は発光層が、前記一般式[I]、[III]、[IV]
    または[V]で示される化合物を含有することを特徴と
    する請求項1〜8のいずれかに記載の有機発光素子。
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