JP2003077445A - 鉛蓄電池 - Google Patents
鉛蓄電池Info
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Abstract
パレータの電気抵抗の増大と電解液の成層化を抑制する
ことによって電気的特性に優れた鉛蓄電池を提供するも
のである。 【解決手段】 ガラス繊維より成るガラスマットをセパ
レータとして備える鉛蓄電池に於いて、少なくとも正極
板と前記ガラスマットの間に、気泡透過阻止機能を有す
る多孔性シートを配置したことを特徴とする鉛蓄電池で
あって、前記多孔性シートは、最大孔径が30μm以
下、厚さが0.1〜0.7mmの多孔性シートとする。
Description
の鉛蓄電池(ここでいう液式鉛蓄電池とは流動性のある
フリーの電解液を備えた電池を指す)であって、セパレ
ータの構成部品としてガラス繊維から成るガラスマット
を用いた鉛蓄電池に関するものである。
ガラスマットを必須とし負極側にショート防止機能を有
する微多孔性シートを配置し、正極板にガラスマットを
当接配置するのが一般的である。
加えるのに適した物性を備えているので、充放電を繰り
返した時の性能低下を抑制するのに顕著な効果を示す。
また、耐酸性、耐酸化性に優れているので、正極に直接
当接させても劣化する虞がない。
内では、電解液の対流が阻害されないため、電解液の成
層化が起きる虞が小さい利点を有している。
な活物質粒子が侵入するのを阻止することができない。
ガラスマット内に侵入した活物質が集積すると、正極と
負極が活物質粒子で繋がって、内部短絡を起こす虞があ
る。従って、活物質粒子が、セパレータ層を貫通するの
を阻止するために、通常ガラスマットと負極板の間に活
物質粒子の侵入を阻止する微多孔シートを配置する。
持性に優れたものとして、特開昭48−42327号公
報、特開昭60−35455号公報、特開昭59−10
5263号公報および特開昭61−138455号公報
には、合成繊維にシリカ等の無機微細粉末を混ぜた混合
体を抄紙したものをセパレータに適用することが提案さ
れている。
は、中央にシリカを担持したガラス繊維もしくは合成繊
維をからなる含液材を、その両側に極板とのコンタクト
を良くするための柔軟なシリカを担持しない含液材の3
層からなるセパレータを適用したリテーナ式鉛蓄電池が
提案されている。
は、極板の表面にシリカ粉体を担持したガラス繊維から
なる分割電解液保持体を食い込ませて、極板とリテーナ
の間に隙間が生じるのを避けることが提案されている。
そして、このことによって電解液の成層化を防止すると
している。
ポリエチレン等の耐酸化性に優れた合成樹脂製の多孔性
薄膜を併用し、この薄膜を正極側に配置するセパレータ
構成も提案されている。ここでいう多孔性薄膜とは、厚
さが100μm未満、最大孔径数μm、平均孔径約1μ
mのポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂製微多
孔性薄膜である。
に、正極板および負極板にガラスマットを直接極板に当
接させると、電池の動作中に正極板および負極板で発生
する酸素や水素などのガスが微細な気泡となってガラス
マットに移行する。液量制限式の電池と異なり液式電池
の場合、電解液である希硫酸をたっぷり保持したガラス
マット内では、ガラス繊維に妨げられるため微細な気泡
であっても動きが遅い。従ってガラスマット内に移行し
た微細な気泡が集まって、次第に大きな気泡となってガ
ラスマット内に蓄積する。
いだし、セパレータの電気抵抗を増大させる他、ガラス
マット内の電解液の対流を阻害する。このため、電池の
上部と下部とで電解液の濃淡の差、いわゆる電解液の成
層化現象が生じ、それに伴って負極活物質がサルフェー
ションを起こし不活性化する。このため電池の動作の経
過と共に電池性能が低下する欠点があった。
充填物の混合物の抄紙体や合成樹脂製の微多孔性の薄膜
を適用したものも、気泡透過を阻止する機能やセパレー
タの中に気泡が蓄積するのを阻止する機能が不十分であ
り、充放電の経過に伴うインピーダンスの増大や電解液
の成層化現象を十分に阻止することができなかった。
成のセパレータを備えた鉛蓄電池の欠点に鑑み成された
ものである。本発明は、セパレータの改良によって、充
放電サイクル等、電池作動の経過に伴うセパレータの電
気抵抗の増大と電解液の成層化および電解液の成層化発
生に伴う負極活物質のサルフェーションを抑制すること
によって電気的特性に優れた鉛蓄電池を提供するもので
ある。
は、セパレータとして活物質粒子の貫通を阻止する層と
ガラスマットを備え、前記ガラスマットと正極板および
負極板の間に、電解液である希硫酸中に浸漬した時に気
泡が透過するのを阻止する多孔性シート(以下単に多孔
性シートと記述する)を配置したものである。該多孔性
シートが、前記活物質粒子によるセパレータ貫通阻止機
能を持つ層を兼ねることもできる。
な気泡の侵入を阻止する機能を有するものである。該機
能は、孔径が小さく、一定以上の厚さを有し、かつ構成
材料の親和性が極めて高く、電解液を強固に保持する機
能を持たせることによって達成することができる。
形態を説明する。図1は、本発明に係る鉛蓄電池用のセ
パレータ1の一構成例を示す断面図である。セパレータ
3は、ガラスマット4を中に、その両側に気泡透過阻止
機能をもつ多孔性シート5および6を配置している。
特に限定されるものではないが、一例を示せば、太さ約
19μmのガラス繊維の抄紙体で、厚さ0.3〜1.5
mm、目付け量が50〜130g/m2のガラスマットで
ある。
の材質は、親水性、化学的安定性に優れたシートでなけ
ればならない。ここでいう化学的安定性とは、鉛蓄電池
に組み込まれた条件下で求められる要件で、具体的には
希硫酸中で正極板や負極板に当接させても安定であるこ
とが必要で、そのための耐酸性、耐酸化性、耐還元性が
求められる。
なくとも一方のシートは、活物質粒子がセパレータ内を
移行して活物質粒子によるセパレータの貫通発生を阻止
する機能を有する。該多孔性シートが気泡透過阻止機能
を併せもったものであることが望ましい。
えるべき物性は、孔径の大きさ、特に最大孔径の大きさ
が小さいこと、シートの厚さが小さすぎないこと、およ
び電解液に対する濡れ性が良いことである。最大孔径が
小さいことは、活物質粒子の移行阻止機能にも関係す
る。
は、特に限定されるものではない。但し前記のような化
学的および孔径、厚さ等の寸法上の要求を満たし、且つ
安価な材料としては、親水性の無機化合物粉末(以下無
機充填剤と記述する)と合成繊維の混合物からなる抄紙
体が好適である。
充填物の混合体の抄紙体には、前記公知例同様の材料構
成からなるものが適用できる。具体例を挙げると、合成
繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポ
リオレフィンやポリエステル樹脂繊維等が適用できる。
また、無機充填剤として、シリカやアルミナ等の粒子が
適用できる。
充填物の混合体の抄紙体は、最大孔径30μm以下、厚
さ0.1〜0.7mmの多孔性シートである。最大孔径
が大きくなると気泡の透過阻止機能が劣り、極板で発生
した気泡がガラスマットに到達する虞が生じるので好ま
しくない。また、多孔性シートの厚さが小さくても気泡
の透過を阻止する機能が低い。ガラスマットへの気泡の
侵入を防止するためには、厚さが0.1mm以上である
ことが好ましい。
特に限定されるものではないが、両者共に小さくなるに
従いインピーダンスが増大し、電池の高率放電特性は低
下する。従って、平均孔径は1〜数μm、多孔度は45
〜80%であることが好ましい。
極板間の距離が大きくなって、電池のインピーダンスが
増大する。また、セパレータ層の厚さが大きくなる分極
板の厚さを小さくしなければならないため、活物質の充
填量が低下し、その分電池の容量が小さくなる不利が生
じる。多孔性シートの厚さは大きくても0.7mm以下
であることが好ましい。
カが挙げられる。シリカは、ゲル式鉛電池において希硫
酸の保持材料として用いられるものである。シリカには
種々の形態があるが、保液性の高いものが好ましい。ま
た、微細な孔径の孔を形成するために粒径の小さいもの
が好ましい。
藻土、ホワイトカーボンが挙げらることができる。前記
珪藻土は、多孔性であり電解液の保持性に優れる。ただ
し、粒度が10〜50μmと粗く、粒子と粒子の間に大
きな隙間が生じる。このため、珪藻土のみでは活物質粒
子の貫通阻止機能、気泡透過阻止機能が不十分である。
〜0.1μmと極めて細かい。前記珪藻土にホワイトカ
ーボンを混ぜることによって、前記珪藻土粒子間の隙間
をホワイトカーボン粒子によって埋める。珪藻土の比率
を高めると液保持性が向上するが、最大孔径が大きくな
る傾向がある。逆にホワイトカーボンの比率を高めると
シートが緻密になるが液保持性が低下する。本発明に適
用する多孔性シートの場合、珪藻土とホワイトカーボン
の比率は、重量比率で2:8〜8:2が適当である。
イズのものを混合することによって、本発明に好適なシ
ートを得ることができる。
漬したときにも寸法変化のないものが望まれる。何故な
らシートが膨潤したり収縮すると孔径や多孔度が変化す
るので好ましくない。多孔性シートの寸法安定性は、適
用する繊維の寸法安定性によって左右される。ポリエチ
レンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維は電
解液に対して非膨潤性であり、化学的安定性でも優れて
いるので好適である。使用する繊維の太さはとくに限定
されるものではないが、出来上がった抄紙体の強度が高
く、可撓性にも優れるところから、繊維の太さは約10
μmが適当である。
ような合成繊維と前記親水性粒子を混ぜ、抄紙すること
によってシート化する。このようにして微細な孔径を有
する多孔性シートとするとともに電解液との親和性に優
れたシートとする。また、該多孔性シートが前記活物質
の貫通を阻止する層を兼ねることもできる。
率は重量比率で40〜70%が好ましい。該比率が小さ
くなるに従い、シートの親水性、液保持性が低下し40
%を下回ると親水性、液保持性が極端に劣るので好まし
くない。また、前記比率が大きくなるとシートの機械的
強度、可撓性が低下する。70%を超えると機械的強度
が極端に劣るので好ましくない。
トをガラスマットと正極板および負極板の間に配置した
セパレータ構成を有する鉛蓄電池である。以下一実施例
に基づいて本発明の詳細な説明をする。
タの構成を示す断面図である。正極板1と負極板2をセ
パレータを介して積層する。該セパレータは、中央にガ
ラスマット3、ガラスマット3と正極板1の間に多孔性
シート4、ガラスマット3と負極板2の間に多孔性シー
ト5を配置している。
ス繊維から成り、厚さ1.0mm、目付量90g/m2
のガラスマットである。
トは、太さ10μmのポリエチレン繊維40%と平均粒
径20μm珪藻土および平均粒径0.1μmのホワイト
カーボンの混合物からなる無機充填物を60%混合して
抄紙した多孔性シートである。珪藻土とホワイトカーボ
ンの混合比率は5:5とした。該多孔性シートの厚さは
0.22mm、多孔度は69%である。
び負極板を積層し正極板4枚、負極板5枚から成る単セ
ル用極板群を構成した。次いで該極板群を適用したセル
を6セルシリーズに接続した12V、50Ahのモノブ
ロック型鉛蓄電池を10個作製した。
温、電流12.5A、終止電圧11.5Vで放電し、次
いで電流5Aで放電電気量に対して115%の充電を実
施した。該放電・充電を1サイクルとし、放電充電サイ
クルを繰り返し実施した。
のセパレータの構成を示す断面図である。実施例と同一
のガラスマットの片側に実施例と同一の多孔性シートを
配置した2層構成のセパレータを適用した。前記セパレ
ータのガラスマット4が正極板に、多孔性シート6が負
極板に当接するように配置し、該セパレータを介して正
極板、負極板を積層し、セパレータ構成以外は実施例と
同一の構成の鉛蓄電池を10個作製し、全数前記実施例
電池と同一の条件で充放電サイクル試験に供した。
のセパレータの構成を示す断面図である。比較例1にお
いて、正極板とガラスマットの間に、厚さ30μm、多
孔度50%、平均孔径1.5μmでスルフォン化処理に
より親水化をほどこした多孔性ポリプロピレンフィルム
7を配置して、セパレータを3層構成とした。それ以外
は比較例1と同一の条件で電池を10個作製し、全数前
記実施例電池と同一の条件で充放電サイクル試験に供し
た。
量の推移を図3に示す。図3には、実施例、比較例1お
よび比較例2の、各々10個の電池特性の平均値を記載
した。尚、各々10個の電池間の、特性の差は極く小さ
いものであった。図3に示した如く、本発明に係る実施
例電池は、サイクルを経過しても容量低下が小さく、優
れた特性を示している。
の電池共にサイクルの経過に伴う放電容量の低下が大き
い。実施例電池の場合、サイクルが経過してもインピー
ダンスの増大が、極く小さいのに対して、比較例の電池
の場合、インピーダンスの増大が観測された。該インピ
ーダンスの増大が、比較例電池における容量低下の原因
の一つと考えられる。
較例電池をおのおの5個解体し、セパレータの状態およ
び極板群の上部と下部の電解液を採取し比重を調べた。
また、目視によって極板の劣化状態の調査を行った。そ
の結果を表1に示す。
立直後と比較してセパレータの状態に大きな変化が認め
られなかったのに対して、比較例電池ではガラスマット
に気泡が集積しているのが観測された。
よび下部から採取した電解液の比重に差が認められなか
ったのに対して、比較例電池の場合、何れも上部の電解
液の比重が下部の電解液の比重に比べて小さいことが観
測された。このことは、比較例電池の場合、電解液の成
層化が生じていることを示唆している。該電解液の成層
化は気泡の集積によって、ガラスマット内の電解液の対
流もしくは移動が阻害されるために生じたものと考えら
れる。
電池の場合には負極板の活物質にサルフェーションが認
められなかったのに対して、比較例電池の場合には、負
極板の下部において活物質のサルフェーションに起因す
る変色および硬化が認められた。
よって生成するPbSO4が充電しても元のPbに戻ら
ない。これが、サルフェーションと称する現象である
が、比較例電池の場合、表1の結果に示した如く、電解
液の成層化によって、極板の下部に接する電解液の硫酸
濃度が高くなっている。このために、負極板の下部にお
いてサルフェーションが起きたものと考えられる。放電
充電サイクルを繰り返すと、サルフェーションが進行
し、そのために容量が低下する。
マット内の気泡の集積によるインピーダンスの増大と電
解液の成層化に起因する負極活物質のサルフェーション
の発生による活物質利用率の低下が、放電容量の低下に
繋がったものと考えられる。本発明に係る実施例の電池
では、インピーダンスの増大、電解液の成層化および前
記サルフェーションの発生が何れも認められず、優れた
サイクル性能を有している。
としてガラスマットを備えた鉛蓄電池において、ガラス
マット内への気泡の蓄積を防止することができ、作動の
経過に伴う内部インピーダンスの増大と電解液の成層化
およびそれに起因するサルフェーションによる特性劣化
が生じる虞の少ない鉛蓄電池を提供することができる。
本発明の請求項2によれば、請求項1の効果をより確か
にするとともに、活物質のセパレータ貫通による内部短
絡の発生を同時に防ぐことができる。本発明の請求項3
および4によれば、安価な材料構成のセパレータによっ
て、請求項1および請求項2の効果を達成することがで
きる。
示す断面図である。
示す断面図である。
の充放電サイクル性能を示すグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 ガラス繊維より成るガラスマットをセパ
レータとして備える鉛蓄電池に於いて、正負極両極板と
前記ガラスマットの間に、気泡透過阻止機能を有する多
孔性シートを配置したことを特徴とする鉛蓄電池。 - 【請求項2】 前記多孔性シートは、最大孔径が30μ
m以下、厚さが0.1〜0.7mmであることを特徴と
する請求項1記載の鉛蓄電池。 - 【請求項3】 前記多孔性シートは、電解液に対して非
膨潤性の合成樹脂繊維と耐酸性、親水性無機化合物粒子
との混合物の抄紙体であって、多孔性シートに占める前
記親水性無機化合物粒子の重量比率が40〜70%であ
ることを特徴とする請求項2記載の鉛蓄電池用。 - 【請求項4】 前記合成樹脂繊維がポリオレフィン樹脂
繊維であり、親水性無機化合物粒子が、珪藻土とホワイ
トカーボンの混合物であることを特徴とする請求項3記
載の鉛蓄電池用セパレータ。
Priority Applications (1)
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JP2001263465A JP2003077445A (ja) | 2001-08-31 | 2001-08-31 | 鉛蓄電池 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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