JP2003075214A - フルイディック素子の製造方法、フルイディック素子、フルイディック型流量計、並びに複合型流量計 - Google Patents
フルイディック素子の製造方法、フルイディック素子、フルイディック型流量計、並びに複合型流量計Info
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Abstract
最適な形状とすることにより、小流量域におけるフルイ
ディック振動を安定させ、フルイディック振動出力によ
る流量測定領域を小流量域側に広げること。 【解決手段】 ノズ3ルおよびノズル3の断面積より広
い流路拡大部4を接続してなる流路5と、ノズル3の出
口に対向する位置で流路拡大部4に配置された誘振子7
と、誘振子7の下流側となる位置で流路拡大部4に配置
されたエンドブロック8と、を有するフルイディック素
子1を製造するフルイディック素子の製造方法におい
て、流路拡大部4から流体排出口につながる側壁と底面
とが交わる部分を、一定の曲率以下の曲面または一定の
傾斜以下となるように均一に成形する。
Description
プロパンガス(LPG)、エアコン、エンジンなどの各
種ガスの流量センサーやそれらの流量制御装置などに利
用され、流体の流量変化に対応するフルイディック振動
を検出するフルイディック素子の製造方法、フルイディ
ック素子、フルイディック型流量計、並びに複合型流量
計に関する。
ス(LPG)などの流量を測定する流量計としてフルイ
ディック流量計が様々な形態で提案されている。このよ
うな、フルイディック流量計に用いられるフルイディッ
ク流体素子(以下、フルイディック素子という)が、た
とえば特開平8−210886号公報に開示されてい
る。この従来におけるフルイディック素子の構成を図5
に示す。
0は、流体入口101、ノズル102、流路拡大部10
3、流体排出口104を順次接続して形成される流路
と、流路拡大部103に配設されてノズル102の出口
に対向する誘振子105と、その下流側に配置されたエ
ンドブロック106とを有する。
いたフルイディック型流量計では、ノズル102から下
流側に向かって噴出する流体が誘振子105の外側に沿
って交互に振り分けられる。この動作を図5を参照して
説明する。ノズル102から噴出する流体の大部分は流
路拡大部103から流体排出出口104に向けて流れる
が、一部はエンドブロック106にぶつかり流路拡大部
103の下側の側壁に沿って帰還流体となり、新たにノ
ズル102から噴出する流体の噴流の直角方向からぶつ
かる。
り、新たにノズル102から噴出する流体の噴流は今度
は誘振子105の上側に流れ、一部はエンドブロック1
06にぶつかり流路拡大部103の上側の側壁に沿って
帰還流体となり、新たにノズル102から噴出する流体
の噴流に直角方向からぶつかる。この帰還流体のエネル
ギーにより、新たにノズル102から噴出する流体の噴
流は今度は誘振子105の下側に流れる。ノズル102
から噴出する噴流の流れの振り分けはこのようにして繰
り返される。
流体に生じた振動(交番圧力波)の周波数を圧力センサ
により検出し、その検出した出力を電気信号に変換する
ことにより、流体の流量を測定しようとするものであ
る。フルイディック型流量計では、流体が一定幅のノズ
ル102から誘振子105に向けて噴出する場合、周囲
の流体の流速より速い高速の流れ「噴流」と、その流れ
の中に置かれている誘振子105の下流側にみられる
「後流」との関係が重要となる。すなわち、2次元の場
で考えると誘振子105の形状がフルイディック振動特
性に極めて重要な役割りを果たしている。
流」が半無限の空間に噴出した場合は「噴流」の方向は
安定するが、流路拡大部103の空間には制限があり、
中央には誘振子105が配置されているので、噴流はノ
ズル103から噴出するときの初速の方向を維持するこ
とができなくなる。このため、2次元の噴流は不安定に
なり、この不安定性によりフルイディック振動が始まる
きっかけが生じると考えられる。一方、流れの中に配置
した誘振子105の下流側には非対称配列の渦(カルマ
ン渦列:流れに直角に置かれた柱状物体(誘振子10
5)の後方には2列の渦が形成される)が生成され、こ
の渦列は蛇行する流れとなる。したがって、「後流」は
振動流となり安定し得なくなると考えられる。このよう
に「噴流」も「後流」も誘振子105の形状や流路拡大
路103の壁面によって影響を受けて不安定になる。
は、小流量域での直線性が悪いが大流量の測定に適して
いるので、たとえば都市ガスの流量を測定するガスメー
タなどでは、小流量域の測定に適したフローセンサなど
の熱式流量検出センサとフルイディック型流量計とを合
わせもつ複合型流量計が用いられている。
低振動流量(フルイディック振動の開始流量)が低く、
流量範囲には広いダイナミックレンジが要求されてい
る。フルイディック型流量計の流体振動開始量を0流量
から使うことができれば、熱式流量センサを用いること
なくフルイディック型流量計のみによる流量計が実現す
る。仮に流体振動開始量を0流量から使うことができな
くても、フルイディック型流量計の安定した流体振動開
始の流量を少しでも低くすることができれば、熱式流量
検出センサへの要求仕様を緩めることができる。
えばフルスケール4000L(リットル)/H(時間)
で、200L/H〜数1000L/Hの範囲をフルイデ
ィック型流量計で受け持ち、0〜200L/Hの範囲を
熱式流量検出センサで受け持っている。このため、熱式
流量検出センサの流量受持ち範囲が2桁もあることから
小流量域の測定精度が得られにくいという欠点がある。
これにより、熱式流量検出センサの性能に厳しい仕様が
要求され、流量計として使用する場合には複雑な信号処
理や流量補正演算処理が必要である。
量振動開始量を100L/H以下(80〜90L/H)
にすることができるだけでも、信号処理のしやすさ、信
頼性、製造コストの面での改善に与える影響は大きい。
このようなことから、フルイディック型流量計で振動を
検出し始めたときの流量(最低振動検出流量)、流量−
振動数特性に関して様々な実験的な検討が行われてい
る。
示される従来のフルイディック型流量計にあっては、流
路拡大部から流体排出口に沿う壁の部分を適正な精度に
していないため、流路拡大部から流体排出口へ向かう流
体の流れが左右均等にならず、小流量域におけるフルイ
ディック振動が安定しないという問題点があった。
結果、「流路拡大部から流体排出口に沿う壁」が重要な
制御因子であることが検証された。具体的に説明する
と、最低振動検出流量を低下させるためにはノズルの出
口とノズルに対向する誘振子との距離は流路拡大部の深
さ方向にわたって一定であることが望ましい。実験室レ
ベルでの部品はアルミニウムブロックを切削加工で製作
されてコーナ部分は直角に加工されているため、流路拡
大部から流体排出口へ向かう流体の流れの乱れが生じに
くい結果が得られた。
は流路拡大部の壁がフルイディック素子の床面(底面)
に対して直立しているため、成形時の温度分布の差に起
因する熱応力のかかり方に差が生じ、流路拡大部に対し
て壁が傾いたり、壁面と床面の根元部分にバリが存在す
る場合には、バリが存在する部分とそうでない部分とで
は流れの状態が乱れてしまうことにより、流量計として
の性能が著しく低下することが実験により検証された。
素子を金型成形により製作する場合には壁が傾いたりし
ないように、かつバリが発生しないようにするために誘
振子の根元部に曲面を形成する必要がある。しかし、こ
の曲面の半径が大きくなるにしたがい、誘振子の傾きは
抑制されるが壁の根元部に対する噴流の剥離位置の変動
が大きくなる。この結果、流路拡大部から流体排出口へ
向かう流体の流れが左右均等にならないために、小流量
域での直線性が低下することがわかった。
って、流路拡大部から流体排出口に沿う壁の部分を最適
な形状とすることにより、小流量域におけるフルイディ
ック振動を安定させ、フルイディック振動出力による流
量測定領域を小流量域側に広げることを目的とする。
めに、請求項1にかかるフルイディック素子の製造方法
にあっては、ノズルおよび前記ノズルの断面積より広い
流路拡大部を接続してなる流路と、前記ノズルの出口に
対向する位置で前記流路拡大部に配置された誘振子と、
前記誘振子の下流側となる位置で前記流路拡大部に配置
されたエンドブロックと、を有するフルイディック素子
を製造するフルイディック素子の製造方法において、前
記流路拡大部から流体排出口につながる側壁と底面とが
交わる部分を、一定の曲率以下の曲面または一定の傾斜
以下となるように均一に成形するものである。
出口に向かう側壁の根元部分を滑らかにする方法とし
て、その根元部が一定の半径以下の曲面または一定の傾
斜以下となるような公差を満足するようにフルイディッ
ク素子を成形することにより、流体の排出が円滑になり
流路拡大部で流体のよどむ現象が発生しないフルイディ
ク素子の製造方法が実現する。
子の製造方法にあっては、前記ノズルから噴出して前記
流路拡大部を流れる流体の流れの層方向と平行な底面内
における前記流路拡大部から前記流体排出口につながる
側壁の根元部の全域を、一定の曲率以下の曲面または一
定の傾斜以下となるように均一に成形するものである。
路拡大部を流れる流体の流れの層方向と平行な底面内に
おける流路拡大部から流体排出口につながる側壁の根元
部の全域を、一定の曲率以下の曲面または一定の傾斜以
下となるように均一に成形することにより、2次元の場
においても噴流の左右振り分け方向が安定する。
子の製造方法にあっては、前記流路拡大部の深さをh、
前記流路拡大部から前記流体排出口につながる側壁と底
面とが交わる部分を曲率Rまたは傾斜Cとした場合、R
/h=0.12以下またはC/h=0.12以下とする
ものである。
h、流路拡大部から流体排出口につながる側壁と底面と
が交わる部分を曲率Rまたは傾斜Cとした場合、R/h
=0.12以下またはC/h=0.12以下となるよう
な寸法公差を満足するようにフルイディック素子を成形
することにより、ノズルから流体が噴出するときに流路
拡大部から流体排出口に向かう側壁の根元部分における
流体の剥離位置の変動が一定の範囲以下に抑制される。
子の製造方法にあっては、前記流路拡大部の深さをh、
前記流路拡大部から前記流体排出口につながる側壁と底
面とが交わる部分を曲率Rまたは傾斜Cとした場合、R
/h=0.04以下またはC/h=0.04以下とする
ものである。
h、流路拡大部から流体排出口につながる側壁と底面と
が交わる部分を曲率Rまたは傾斜Cとした場合、R/h
=0.04以下またはC/h=0.04以下となるよう
な寸法公差を満足するようにフルイディック素子を成形
することにより、ノズルから流体が噴出するときに流路
拡大部から流体排出口に向かう側壁根元部分における流
体の剥離位置の変動が上記請求項3に対してより一定の
範囲以下に抑制される。
子の製造方法にあっては、前記フルイディック素子を所
定のプラスチック材料を用いて成形するものである。
料を用いてフルイディック素子を成形することにより、
噴流の方向を安定させることができるフルイディック素
子を低コストでかつ生産効率よく得ることが可能にな
る。
子にあっては、請求項1〜5のいずれか一つに記載のフ
ルイディック素子の製造方法によって製造されるもので
ある。
か一つに記載のフルイディック素子の製造方法によって
フルイディック素子を製造することにより、流路拡大部
から流体排出口へ向かう壁の根元部が一定の形状に滑ら
かに形成されるので、流路拡大部で流体の淀みがなくな
り、ノズルから噴出する噴流の振り分けが安定する。
流量計にあっては、請求項6に記載のフルイディック素
子と、前記フルイディック素子により発生される交番圧
力波に応じた信号を出力する圧力センサと、を備えたも
のである。
イディック素子と、フルイディック素子により発生され
る交番圧力波に応じた信号を出力する圧力センサと、を
備えたフルイディック型流量計とすることにより、ノズ
ルから噴出された流体が誘振子によって振り分けられた
ときに流路拡大部から流体排出口へ向かう壁の根元部で
の流体の剥離位置の変動がなくなり、ノズルから噴出さ
れた流体が流路拡大部で淀むことがなくなる。
っては、前記請求項7に記載のフルイディック型流量計
と、小流量域の流体の流量を検出する小流量域検出素子
と、を備えたものである。
イディック型流量計と、小流量域の流体の流量を検出す
る小流量域検出素子と、を備えた複合型流量計とするこ
とにより、ノズルから噴出された流体が誘振子によって
振り分けられたときに流路拡大部から流体排出口へ向か
う壁の根元部での流体の剥離位置の変動がなくなり、ノ
ズルから噴出された流体が流路拡大部で淀むことがなく
なる。
っては、前記小流量域検出素子は、熱式流量センサが用
いられ、前記フルイディック型流量計の前記ノズルの入
口側に配置されるものである。
て熱式流量センサを用い、かつ当該センサがフルイディ
ック型流量計のノズルの入口側に配置されることによ
り、請求項8と同様の作用に加え、その流路が簡略され
た構成となると共に、小流量域での測定感度が向上す
る。
ック素子の製造方法、フルイディック素子、フルイディ
ック型流量計、並びに複合型流量計の好適な実施の形態
について添付図面を参照し、詳細に説明する。なお、本
発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
から流体排出口に沿う壁」が重要な制御因子であること
が本発明者による様々な検討の結果、検証されたことは
先に述べた通りである。すなわち、最低振動検出流量を
低下させるためにはノズルの出口とノズルに対向する誘
振子との距離は流路拡大部の深さ方向にわたって一定で
あることが望ましい。以下、流路拡大部から流体排出口
へ向かう流体の流れの乱れが生じにくい結果が得られる
成形加工によるフルイディック素子の製造方法などの具
体例について説明する。
イディック素子の構成を示す説明図である。このフルイ
ディック素子1は、矢印で示す流体の流れ方向が進むに
したがって流路断面積が絞られた流路絞り部2と、流路
絞り部2の出口部分に設けられたノズル3と、このノズ
ル3の断面積より広い流路拡大部4と、を順次接続して
構成される流路5と、ノズル3の出口6に対向する位置
で流路拡大部4に配置された誘振子7と、この誘振子7
の下流側となる位置で流路拡大部4に配置されたエンド
ブロック8と、を有している。そして、このフルイディ
ック素子1は、ノズル3の中心を通る中心線NYを間に
対称の形状をもつプラスチック材料により一体成形され
る。
4の下流側の端部とは開放されている。また、流路絞り
部2の両側の壁面には複数の溝9が形成されている。こ
のように構成されたフルイディック素子1は図2に示す
ような複合型流量計に組み込まれる。
た複合型流量計の概略構成を示す説明図である。図1の
ように構成されたフルイディック素子1は、図2に示す
ように、流量計本体10に組み込まれ、この流量計本体
10の上面を別部材である蓋(図示せず)により上面の
開口部を覆うことにより閉塞される。また、この蓋の上
面には圧力センサ(図示せず)が取りつけられている。
この圧力センサは、ノズル3の出口6側の両側に配置さ
れ、蓋に形成された孔11を介してフルイディック素子
1の交番圧力波を検出し、その検出した圧力に応じた電
気信号を出力する。
溝9には、整流網12と整流格子13とが組み込まれて
いる。流量計本体10には、流体流入口14と、流体流
出口15と、流体流入口14から流体流出口15に向け
て流体としてのガスを流す流路16が形成され、この流
路16の中央部にフルイディック素子1が配置されてい
る。また、フルイデイック素子1の流路絞り部2の上流
側は流体流入口14に、流路拡大部4の出口側は流体流
出口15に接続されている。
なる流路16には、地震などの異常な振動を受けたとき
に駆動部17により流路16を遮断する遮断弁18が組
み込まれている。
の入口側に小流量検出素子としての感熱式流量検出セン
サ(以下、フローセンサという)19を配置すること
で、複合型流量計が構成される。フローセンサ19は、
ガスの流量に応じた電気信号を出力するので、その出力
を元にガスの流量が測定される。
ィック素子1および流量計の動作について説明する。流
体流入口14から流入したガスがノズル3から下流側に
向かって噴出すると、ガスは誘振子7の外側に沿って交
互に振り分けられる。図2において、ガスが誘振子7の
上側を流れる状態から説明すると、ノズル3から噴出す
るガスの大部分は流路拡大部4から流体流出口15に向
かって流れるが、その一部はエンドブロック8にぶつか
り流路拡大部4の上側の側壁に沿って帰還流体となり、
新たにノズル3から噴出するガスの噴流に略直角方向か
らぶつかる。
ノズル3から噴出するガスの噴流は今度は誘振子7の下
側を流れ、その一部はエンドブロック8にぶつかり流路
拡大部4の下側の側壁に沿って帰還流体となり、新たに
ノズル3から噴出するガスの噴流に略直角方向からぶつ
かる。この帰還流体のエネルギーにより、新たにノズル
3から噴出するガスの噴流は今度は誘振子7の上側に流
れる。
噴流の流れの振り分けは、上記流体が流路拡大部4の側
壁に沿う性質による効果(コアンダ効果)によって繰り
返される。このようにして生じる流体振動(交番圧力
波)を圧力センサにより検出し、その出力の周期を電気
信号に変換して認識することにより,ガスの流量の測定
が行なわれる。
べたようにプラスチック成形により形成される。このプ
ラスチック成形の材料としては、ABS(Alkyl
Benzene Sulfonate)樹脂、PBT
(Poly ButyreneTerephthala
te)樹脂、PC(Polycabonate)樹脂、
POM(Polyacetal resin)樹脂、B
MC(Bulk Molding Compound)
樹脂などが用いられる。この場合、成形後の寸法変化を
小さくする上で、プラスチック材料は方向によって収縮
率が異なるが、平均の収縮率が、たとえば5/1000
程度と低いABS,PBT,PCなどが好ましい。
るときは金型を用いるので、流路拡大部4から流体排出
口に向かう壁が傾いたり、壁の根元にバリが生じやす
い。このように壁が傾いたり、壁の根元にバリが存在す
ると排出される流体の流れを乱す原因となる。この傾き
やバリの発生を回避するために壁の根元部に曲面を設け
ることが行なわれるが、その曲面の半径が大きすぎる
と、流体の剥離位置の変動が大きくなるので、流路拡大
部4あるいは流路拡大部4から流体排出口で流れのよど
みができやすくなる。また、そのバリや側壁の傾きを成
形後に2次加工により一定レベルに収めることは至難で
あり、その分コストが嵩むことになる。
が一定の半径以下の曲面になるように成形型の寸法を設
定し、フルイディック素子1を成形する。なお、この場
合における一定の半径は、図3に示すように、側壁4a
で形成される流路拡大部4の深さをh、半径をRとした
とき、R/h=0.12以下の関係に設定することが望
ましく、R/h=0.04であればさらによい。
mmであるので、前者の半径Rは3mm、後者の半径R
は1mmとなる。したがって、このような金型で成形さ
れたフルイディック素子1の側壁4aの根元部は、曲率
Rのないエッジ(直角)の状態から3mm以下の半径を
もつ曲面の状態に維持される。
元部を所定値以下の曲率とすることにより、ノズル3か
らガスが噴出するときに誘振子7によって振り分けられ
た流体がエンドブロックに沿って流れ、帰還流の戻りが
安定する。
から流体排出口に向かって流れる流体の流れの層方向と
平行な底面内における側壁4aの下端部の全域が均一に
一定の半径以下の曲面となるような公差を満足するよう
にフルイディック素子1を成形することにより、成形さ
れたフルイディック素子1の流路拡大部4の側壁4aの
下端部で、その高さ方向に直立の状態が維持され、ノズ
ル3から噴出する流体の流れがよどむ現象の発生を防止
することができる。
より、2次元の場においても帰還流の戻りが安定する。
さらに、ノズル3の中心と誘振子7の中心を通る中心線
で振り分けられる流路拡大部4の側壁4aの下端部の両
側が均一に一定の半径以下の曲面となるように公差を満
足させてフルイディック素子1を成形することにより、
流路拡大部4の側壁4aは直立の状態に維持される。す
なわち、前述したようにコアンダ効果による帰還流の戻
りがきわめて均等に行なわれる。
係、すなわち上記R/hの依存性について図4に示すグ
ラフを参照し説明する。このグラフでは、流路拡大部4
の側壁4aの下端部の曲面の半径がR/h=0.04
(半径1mm)、R/h=0.12(半径3mm)、R
/h=0.16(半径5mm)に対するそれぞれの最低
振動流量について示している。このグラフに表されるよ
うに、R/h=0.12、R/h=0.04になるにし
たがって最低振動流量は小さくなっている。なお、R/
h=0.16より大きい条件については振動のばらつき
が大きいために測定不可となり、データが取得されなか
った。
動周波数のばらつきのパルス数(振動数)依存性につい
て前述のR/hをパラメータとして比較を行なった。計
量法による器差を満たすためにはパルスばらつきは1%
以下程度でなければならないことが知られており、瞬時
流量を精度よく測定できるようにするためには、10パ
ルス(振動回数10回:ちなみに1Hzの振動であれば
10秒間)時のばらつきが1%以内でなければならな
い。実験結果として、R/h=0.12はこれを満足
し、フルイディック振動が安定したが、R/h=0.1
6でばらつきのパルス数の依存性は1.5%(10パル
ス時)、R/h=0.2でばらつきのパルス数の依存性
は1.8%(10パルス時)であり、流量に対するフル
イディック振動は不安定であった。
り、200L/h〜400L/h以下の小流量域におい
て計量法で許容される器差3%の範囲に入る値である。
さらに改善するには、壁の下端部の半径Rと流路拡大部
4の深さhの比R/hをさらに小さくすればよい。
0.12に比べてばらつきの値がさらに小さくなる。こ
れはR/h=0.04のフルイディック振動周波数の流
量依存性はR/h=0.12よりも大きな傾きdF/d
Qであることを示しており、流量測定の精度がよくなる
ことを示している。
以下の曲面Rとなるような公差を満足するように成形し
たときを例にとって説明してきた。ここでの半径とは、
流路拡大部4の深さをh、半径をRとしたときのR/h
比であった。この他に壁の下端部が一定以下のカット面
Cであってもよく、C/h比による公差を満足すればよ
いことも確認することができた。比較のためにR/h=
0.04(半径1mm)とC/h=0.04(カット面
1mm)に対して評価したところ壁の下端部分に曲率R
を付けた場合とカット面Cを付けた場合とで同様な効果
が得られた。なお、この実施の形態では、フルイディク
素子1のノズル3の入口側にフローセンサ19を配置し
たので、複合型流量計としての流路16の構成を簡略化
することができる。
ルイディック素子の製造方法(請求項1)によれば、流
路拡大部から流体排出口に向かう側壁の根元部分を滑ら
かにする方法として、その根元部が一定の半径以下の曲
面または一定の傾斜以下となるような公差を満足するよ
うにフルイディック素子を成形することにより、誘振子
で均等に振り分けられて後流となった流体がエンドブロ
ックに沿って流れ、帰還壁の下端部での剥離位置の変動
が少なく、安定した帰還流が得られるため、振動周波数
のばらつきのパルス数依存性が良好となり、瞬時流量測
定精度、小流量域でのフルイディック振動をも安定し、
フルイディック振動出力による流量測定領域を小流量域
側に広げることができるフルイディク素子の製造方法が
実現する。
の製造方法(請求項2)によれば、ノズルから噴出して
流路拡大部を流れる流体の流れの層方向と平行な底面内
における流路拡大部から流体排出口につながる側壁の根
元部の全域を、一定の曲率以下の曲面または一定の傾斜
以下となるように均一にフルイディック素子を成形する
ので、流体の排気が円滑に行なわれ、流路拡大部で流体
が淀むことがなくなり、2次元の場においても噴流の左
右振り分け方向を安定させることができる。
の製造方法(請求項3)によれば、流路拡大部の深さを
h、流路拡大部から流体排出口につながる側壁と底面と
が交わる部分を曲率Rまたは傾斜Cとした場合、R/h
=0.12以下またはC/h=0.12以下となるよう
な寸法公差を満足するようにフルイディック素子を成形
することにより、ノズルから流体が噴出するときに流路
拡大部から流体排出口に向かう側壁根元部分における流
体の剥離位置の変動が一定の範囲以下に抑制されるた
め、噴流の振り分けが均等になり安定する。
の製造方法(請求項4)によれば、流路拡大部の深さを
h、流路拡大部から流体排出口につながる側壁と底面と
が交わる部分を曲率Rまたは傾斜Cとした場合、R/h
=0.04以下またはC/h=0.04以下となるよう
な寸法公差を満足するようにフルイディック素子を成形
することにより、ノズルから流体が噴出するときに流路
拡大部から流体排出口に向かう側壁根元部分における流
体の剥離位置の変動が上記請求項3に対してより一定の
範囲以下に抑制されるので、さらに噴流の振り分けが均
等になり安定する。
の製造方法(請求項5)によれば、所定のプラスチック
材料を用いてフルイディック素子を成形するため、噴流
の方向を安定させることができるフルイディック素子を
低コストでかつ生産効率のよいフルイディック素子の製
造方法が実現する。
(請求項6)によれば、請求項1〜5のいずれか一つに
記載のフルイディック素子の製造方法によってフルイデ
ィック素子を製造することにより、流路拡大部から流体
排出口へ向かう壁の根元部が一定の形状に滑らかに形成
されるので、流路拡大部において流体の淀みがなくな
り、ノズルから噴出する噴流の振り分けが安定し、小流
量域での直線性が向上する。
量計(請求項7)によれば、請求項6に記載のフルイデ
ィック素子と、フルイディック素子により発生される交
番圧力波に応じた信号を出力する圧力センサと、を備え
たフルイディック型流量計とすることにより、ノズルか
ら噴出された流体が誘振子によって振り分けられたとき
に流路拡大部から流体排出口へ向かう壁の根元部での流
体の剥離位置の変動がなくなり、ノズルから噴出された
流体が流路拡大部において淀むことがなくなるため、噴
流の振り分けを安定させ得るフルイディック型流量計を
提供することができる。
項8)によれば、請求項7に記載のフルイディック型流
量計と、小流量域の流体の流量を検出する小流量域検出
素子と、を備えた複合型流量計とすることにより、ノズ
ルから噴出された流体が誘振子によって振り分けられた
ときに流路拡大部から流体排出口へ向かう壁の根元部で
の流体の剥離位置の変動がなくなり、ノズルから噴出さ
れた流体が流路拡大部において淀むことがなくなるた
め、噴流の振り分けを安定させ得る計測流量のダイナミ
ックレンジの広いフルイディック型流量計を提供するこ
とができる。
項9)によれば、小流量域検出素子として熱式流量セン
サを用い、かつ当該センサがフルイディック型流量計の
ノズルの入口側に配置される構成としたので、請求項8
に記載したと同様の作用に加え、簡略的な流路の構成が
実現し、かつ小流量域での測定感度を向上させることが
できる。
子の構成を示す説明図である。
計の概略構成を示す説明図である。
子の流路拡大部側壁の根元部分の形状を示す説明図であ
る。
振動流量との関係)を示すグラフである。
説明図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 ノズルおよび前記ノズルの断面積より広
い流路拡大部を接続してなる流路と、前記ノズルの出口
に対向する位置で前記流路拡大部に配置された誘振子
と、前記誘振子の下流側となる位置で前記流路拡大部に
配置されたエンドブロックと、を有するフルイディック
素子を製造するフルイディック素子の製造方法におい
て、 前記流路拡大部から流体排出口につながる側壁と底面と
が交わる部分を、一定の曲率以下の曲面または一定の傾
斜以下となるように均一に成形することを特徴とするフ
ルイディック素子の製造方法。 - 【請求項2】 前記ノズルから噴出して前記流路拡大部
を流れる流体の流れの層方向と平行な底面内における前
記流路拡大部から前記流体排出口につながる側壁の根元
部の全域を、一定の曲率以下の曲面または一定の傾斜以
下となるように均一に成形することを特徴とする請求項
1に記載のフルイディック素子の製造方法。 - 【請求項3】 前記流路拡大部の深さをh、前記流路拡
大部から前記流体排出口につながる側壁と底面とが交わ
る部分を曲率Rまたは傾斜Cとした場合、R/h=0.
12以下またはC/h=0.12以下とすることを特徴
とする請求項1または2に記載のフルイディック素子の
製造方法。 - 【請求項4】 前記流路拡大部の深さをh、前記流路拡
大部から前記流体排出口につながる側壁と底面とが交わ
る部分を曲率Rまたは傾斜Cとした場合、R/h=0.
04以下またはC/h=0.04以下とすることを特徴
とする請求項1または2に記載のフルイディック素子の
製造方法。 - 【請求項5】 前記フルイディック素子を所定のプラス
チック材料を用いて成形することを特徴とする請求項1
〜4のいずれか一つに記載のフルイディック素子の製造
方法。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一つに記載のフ
ルイディック素子の製造方法によって製造されることを
特徴とするフルイディック素子。 - 【請求項7】 請求項6に記載のフルイディック素子
と、 前記フルイディック素子により発生される交番圧力波に
応じた信号を出力する圧力センサと、 を備えたことを特徴とするフルイディック型流量計。 - 【請求項8】 前記請求項7に記載のフルイディック型
流量計と、 小流量域の流体の流量を検出する小流量域検出素子と、 を備えたことを特徴とする複合型流量計。 - 【請求項9】 前記小流量域検出素子は、熱式流量セン
サが用いられ、前記フルイディック型流量計の前記ノズ
ルの入口側に配置されることを特徴とする請求項8に記
載の複合型流量計。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10760934B2 (en) | 2014-12-05 | 2020-09-01 | Natural Gas Solutions North America, Llc | Using localized flow characteristics on electronic flow meter to quantify volumetric flow |
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-
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- 2001-08-31 JP JP2001264886A patent/JP4820032B2/ja not_active Expired - Fee Related
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