JP2003073925A - Dna脂質複合体ファイバーおよびその製造方法 - Google Patents
Dna脂質複合体ファイバーおよびその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】機能性光ファイバーとしての色素をDNA二重
らせんの特定部位に結合した繊維とその製造法を提供す
る。 【解決手段】DNAとカチオン性界面活性剤脂質とのD
NA−脂質複合体の有機溶剤溶液を紡糸ドープとした湿
式又は乾式紡糸後熱延伸によってDNA二重ラセン構造
をそのまま残した高配向で透明のDNA−脂質複合体繊
維が得られる。有機色素の導入時期は色素の種類や用途
によって変えることができ、複合体繊維製造の前・後、
即ち紡糸の前にDNAに結合させておくか又は繊維化後
に繊維を色素水溶液などに浸漬することによって行われ
る。通常、DNA−脂質複合体の有機溶剤溶液に色素溶
液を加える方法により行われる。有機色素が導入された
DNA−脂質複合体コア繊維に低屈折率クラッド材料を
被覆した光ファイバーは、ファイバー光増幅器やファイ
バー光スイッチなどのファイバー長の短い光学素子用途
に応用できる。
らせんの特定部位に結合した繊維とその製造法を提供す
る。 【解決手段】DNAとカチオン性界面活性剤脂質とのD
NA−脂質複合体の有機溶剤溶液を紡糸ドープとした湿
式又は乾式紡糸後熱延伸によってDNA二重ラセン構造
をそのまま残した高配向で透明のDNA−脂質複合体繊
維が得られる。有機色素の導入時期は色素の種類や用途
によって変えることができ、複合体繊維製造の前・後、
即ち紡糸の前にDNAに結合させておくか又は繊維化後
に繊維を色素水溶液などに浸漬することによって行われ
る。通常、DNA−脂質複合体の有機溶剤溶液に色素溶
液を加える方法により行われる。有機色素が導入された
DNA−脂質複合体コア繊維に低屈折率クラッド材料を
被覆した光ファイバーは、ファイバー光増幅器やファイ
バー光スイッチなどのファイバー長の短い光学素子用途
に応用できる。
Description
[発明の属する技術分野]この考案は鮭白子やホタテ貝
生殖腺など海洋性生物由来のDNAの二重ラセン構造を
有する繊維やこれにクラッド材料を被覆して得られる繊
維とその製造方法に関する。海洋性生物由来のDNAは
DNAのナトリウム塩として得られ、水溶性でその粘度
は著しく高く、DNA−Na水溶液からの紡糸は困難で
ある。DNA−Na水溶液とカチオン性脂質又はその溶
液を反応させて得られる水不溶・有機溶剤可溶性DNA
脂質複合体に非線形光学材料材料などの色素をインター
カレートした光フィルムが特許出願(特開平11−11
9270)されている。ファイバー型光デバイス素子の
方が、フィルム型光デバイス素子よりも製造し易く、他
のファイバー型光デバイスと接続するのも容易なためフ
ァイバー化のメリットは大きい。本発明の目的の一つ
は、DNA二重ラセン構造を保持したDNA脂質複合体
繊維とその製造法に関する。DNA繊維には光学用途の
他に、DNAの健康イメージを利用した健康グッズやD
NA二重ラセンの芳香族系有害物質除去作用の応用製品
などに潜在用途が考えられる。本発明の主目的は、機能
性光ファイバー材料としての色素を導入したDNA脂質
複合体繊維とその製造法を提供することにある。 [従来の技術]これまでにDNAの連続繊維の製造方法
は報告されていない。DNA−Na水溶液は1〜5%の
濃度でも高粘度ゲル状となり、DNA−Na水溶液から
連続紡糸することは容易ではない。DNA−Na水溶液
をエタノール中に注ぎDNA−Naを析出させると、綿
状のDNA−Naを単離することが出来るが白色不透明
であり、品質の一定した繊維や透明な繊維を連続して繊
維化することは困難である。コラーゲン溶液をDNA水
溶液中に吐出して、DNAクラッド/コラーゲンコアの
複合繊維が試作されている(西,機能材料,1996,
19(6),5)が、DNA単独紡糸の報告は見当たら
ない。本発明者の一人である緒方らが出願した特許(特
開平11−119270;「有機非線形光学材料及びそ
の製造方法」)は光フィルムを目指したもので光ファイ
バーには触れていない。ファイバー型光デバイス素子の
方が、フィルム型光デバイス素子よりも製造し易く、他
のファイバー型光デバイスと接続するのも容易である。
本発明のDNA光ファイバーは、PMMA系光ファイバ
ーなどプラスチック光ファイバーの主用途である光伝送
を目指すものではなく、光増幅や光スイッチ機能などに
期待した光機能性ファイバーとして用いられる。従来、
こうした目的のためには透明性高分子材料に有機光機能
性色素を分散ないしは、側鎖又は主鎖に結合したタイプ
のものが試作されている。分散タイプでは色素が凝集し
やすいため、著しく低濃度色素分散タイプのファイバー
が開発されてきた。(例えば、応用物理,第64巻,8
99−903(1995)、電子情報通信学会論文誌,
C−1,Vol.J78−C−1,No.6,pp.2
82−288(1995)、Journal of N
onlinear Optical Physics
and Materials,Vol.5,73−88
(1996)、回路実装学会誌,11巻,36−40
(1996)) [発明が解決しようとする課題]本発明の目的の一つ
は、DNA二重ラセン構造を保持した繊維の製造法に関
する。また、本発明の主目的は、機能性光ファイバー材
料としての色素をDNA二重ラセンの特定部位に結合し
た繊維とその製造法を提供することにある。光ファイバ
ー応用製品へ適用しようとするとDNA二重ラセン構造
や色素がこれの特定部位に保持されていることが特色と
なる。DNA繊維自身の透明性(低光損失性)や機械的
強度、品質の安定性、なども不可欠である。DNAの特
異な構造に基因する色素の結合形態については良く知ら
れている。色素によってはDNA二重ラセンの塩基対間
にインターカレートしたり、DNA二重ラセンの副溝に
結合する。(例えば、M.Takagi et a
l.,trends in analytical c
hemistry,vol.10,226−228(1
991)、J.R.Lakowicz,”Princi
ples of Fluorescene Spect
rometry−Second Edition”,K
luwer Academic/Plenum Pub
lishers,pp.76−78(1999))色素
のDNA二重ラセンの結合性を活かせば、色素の高濃度
化が可能であり、DNA二重ラセンのキラリテイーを利
用すればキラルの位置に結合した色素の光機能性が発揮
されるものと期待される。色素がDNAの特定位置に固
定され色素凝集が防げるため色素濃度をあげることが可
能であり、色素の特異な結合形態、例えばDNA二重ラ
センの塩基対層間にインターカレートした色素は繊維軸
に垂直に固定されるので、ランダムに分散又は結合した
色素に比べ効率の良い高性能光デバイスを製造すること
が可能である。 [課題を解決するための手段]DNA脂質複合体の有機
溶剤溶液の粘度はDNA−Na水溶液に比較して著しく
低く、高い濃度の紡糸用ドープを作製できる。例えば、
電気泳動法で10kbpに分子量中心を有する高分子量
のDNAとセチルトリメチルアンモニウムクロリド(C
TAC)との複合体(略号:DNA−CTA)はエタノ
ールに20重量%も溶け、0.5mmφの紡糸ノズルか
ら容易に押出せる程度の粘度であった。原料のDNA−
Na水溶液の粘度が著しく高いのと比較して、意外な事
実である。DNA−脂質複合体の拡がり(形態)が溶剤
によって著しく異なることは1本の複合体の観察によっ
て明らかにされているが、DNA−脂質複合体のバルク
溶液のこうした低粘度は予想の付かないものである。例
えば、上記のDNA−CTAの20重量%エタノール溶
液を紡糸ドープとして、水を凝固浴として湿式紡糸出来
る事を見出した。この未延伸糸を50℃前後で延伸する
ことによりDNA二重ラセンが高度に配向し透明で機械
的性質の優れたDNA繊維が得られた。エチジウムブロ
マイドやローダミン6Gなどの色素を紡糸ドープに混ぜ
DNAに結合させてから湿式紡糸することにより色素ド
ープDNA−脂質複合体繊維が得られた。又、DNA繊
維を色素水溶液に浸すことによっても色素ドープDNA
−脂質複合体繊維が得られた。得られたDNA脂質複合
体繊維や色素ドープしたDNA脂質複合体繊維の外側に
低屈折率のメタクリレート系の光硬化型クラッド材料を
被覆してDNA光ファイバーが得られた。海洋性生物か
ら生産される高分子量DNAは二重ラセン構造含有率が
高いものが得られるが、二重ラセンの塩基対層間に有機
色素をインターカレートして使用する光ファイバー用途
では、二重ラセン構造含有率のなるべく高いものを使う
のが好ましい。λ−DNAを2本鎖DNAの標準品とし
た蛍光色素PicoGreen蛍光強度法による二重ラ
セン構造含有率が60%以上、好ましくは70%以上の
DNAを使用することが好ましい。分子量が低い場合
は、有機溶剤濃厚溶液には納豆の糸引きのような曳糸性
は観測されるが、繊維強度が低すぎて安定して巻き取れ
なかった。電気泳動法で測定し中心分子量が500bp
の高分子量DNAでは安定した紡糸が可能であった。高
分子量ほど得られた繊維の機械的強度は向上する傾向が
あり、平均重合度が数十kbp程度までの高分子量DN
Aが用いられる。分子量が高いと紡糸ドープの粘度が高
くなって低濃度化する必要がある。また、著しく高い分
子量のDNAを海洋性生物から精製して取り出すこと
は、DNA収率や精製工程の操作性が低くなる。こうし
た理由からは平均分子量が約1〜10kbp程度のDN
Aが好適に用いられる。精製DNA中の不純物としては
蛋白質がある。蛋白質があると紡糸ドープが濁り、光フ
ァイバーの光伝送損失を増加させる。蛋白質含量1%以
下のDNA大量生産技術は確立されているが、光ファイ
バー用途の場合は、できるだけ蛋白質含量の低いDNA
を使用するのが好ましい。本発明で使用できる脂質は炭
素数12以上のパラフィンのついた界面活性剤から選択
できる。これらはDNA−脂質光フィルムの特許発明者
の論文(例えば、K.Tanaka,and Y.Ok
ahata,Journal of the Amer
ican Society,Vol.118,No.4
4,10679−10683(1996),L.Wan
g,J.Yoshida,andN.Ogata,Ch
em.Mater.,Vol.13,1273−128
1(2001))にあげられた水不溶性のフィルムを与
える脂質の中から選ばれる。脂質の種類によってDNA
−脂質複合体の溶解度が異なるので、例えばエタノール
可溶性のDNA−脂質複合体を選択する場合は、最もポ
ピュラーな界面活性剤の一つであるセチルトリメチルア
ンモニウムクロリド(CTAC)が好適に用いられる。
含水エタノール、例えば95%のエタノールは99.5
%エタノールより高粘度の紡糸ドープを与えるので、紡
糸粘度を下げたい場合は水含量の低いエタノールが用い
られる。混合溶剤が好適に用いられる場合がある。エタ
ノールに不溶の複合体、例えばDNAとジオクタデシル
ジメチルアンモニウムブロミドとの複合体はクロロフォ
ルムとエタノールの混合液、例えば4/1重量比の混合
液に溶解し、乾式紡糸により複合体繊維を製造すること
ができる。未延伸糸は40℃から120℃、好ましくは
50〜100℃の間で湿度を調節して行われる。色素を
インターカレートしたDNA−脂質複合体フィルムの光
増幅作用の検証実験は本発明者らの論文(Y.Kawa
be,L.Wang,T.Koyama,S.Hori
nouchi,N.Ogata,Proceeding
s ofSPIE Vol.4106,369−375
(2000)で明らかにされている。DNA二重ラセン
のキラリテイーを利用すればキラルの位置に結合した色
素の光機能性が発揮されるものと期待される。キラル色
素やキラルの位置にある色素の光スイッチ材料など光素
子への応用についても本発明者の論文(例えば、H.A
shitaka et al.,Nomlinear
Optics,Vol.4,281−297(199
3),Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.3
4,3522−3526(1995),Nonline
ar Optics,Vol.14,81−89(19
95))や特許(例えば、芦高ら、特開平4−1318
33,5−27282,5−249515,特願平5−
33277,5−33278,5−258668,5−
258669,5−258670)であきらかにされて
いる。クラッド材料については、DNA−CTA錯体の
屈折率(633nm、プリズムカップリング法)は比較
的高く約1.51前後であるので、これより屈折率の低
い透明材料、例えばアクリル樹脂などのプラスチックや
エポキシ樹脂など熱硬化性樹脂から自由に選択できる。
これらは光導波路用紫外線硬化樹脂として市販されてい
るものを好適に使用できる。例えば、UV硬化エポキシ
樹脂ではnD値が1.44〜1.72の材料が高精度に
制御して得られる。速乾性接着剤や光硬化性のメタアク
リレート系材料やエポキシ系材料をコートした後、光照
射によりラジカル又はイオン重合してクラッドを形成す
ることができる。また、クラッドの外装被覆材を付ける
ことによって、DNA脂質ファイバー素子の信頼性を高
めることができる。ファイバー素子の入出力部分に外界
と遮断できる部材を設置するなどもファイバー素子の性
能や信頼性を高めるために適宜実施される。 [発明の実施の形態]実施例を下に示すが、本発明がこ
れに限定されるものでないことは言うまでもない。実施
例1は湿式紡糸の例を、実施例2には乾式紡糸の例を示
した。比較例ではDNA−脂質複合体の溶融紡糸は不可
能であることを示す。 (実施例1)鮭白子由来のデオキシリボ核酸のナトリウ
ム塩20g(電気泳動法で測定した中心分子量約10k
b.p.約660万、ローリンフォーリン法で測定した
蛋白質含量1%以下の高純度品、PicoGreen蛍
光強度法による二重ラセン構造含有率75%)の0.5
重量%水溶液に、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム
クロリド20gの10重量%水溶液を攪拌しながら加
え、析出した複合体懸濁液をそのまま一夜放置した。ろ
過により単離したDNA−脂質複合体析出物を、500
mLの水に加えて攪拌下に水洗後ろ過する操作を2度繰
り返した後に、50℃の真空乾燥機で一夜真空乾燥し
た。得られたDNA−脂質複合体20gに99.5%エ
タノール80gを入れ、マグネチックスターラーで二昼
夜ゆっくり攪拌した。これを窒素圧式の0.4mmφの
ノズルを付けた簡易紡糸機に入れ、ノズル出口を塞いで
加圧放圧を3度繰り返す脱気操作の後一夜放置した。ノ
ズル出口に70cmの水凝固浴槽を置き、ノズルと水面
の間隔を2cmにして、加圧し紡糸ドープを水に吐出凝
固し、水凝固浴中の繊維長が65cmで水膨潤繊維にし
た後にローラーで連続的に巻き取った。ロッドに巻き取
られた繊維はそのまま乾燥延伸に備えて、水中で放置し
た。(紡糸・乾燥・延伸を同時に連続して行うのが効率
的と考えられるが、実験室的な都合により、別々に行っ
た。)水中に保存した繊維ロッドを25℃の空気中で別
のロッドに延伸が起きない程度の微小荷重下に巻き戻す
ことによって風乾して平均径120μmの未延伸糸を得
た。未延伸糸ロッドと延伸糸ロッド間に設置した30c
mの中空管中50℃で1.75倍に連続延伸することに
よって延伸糸を得た。未延伸糸の平均の引張り強度、弾
性率、伸びはそれぞれ18MPa、94Mpa,14%
であった。又、延伸糸を3時間真空乾燥した後の平均の
引張り強度、弾性率、伸びはそれぞれ22MPa、32
0Mpa,9%であった。又、偏光顕微鏡を用いて繊維
の配向性を確認した。546nmの波長で測定した未延
伸糸の複屈折は9.3×10−4で、延伸糸の複屈折は
8.3×10−3であった。延伸乾燥糸を2cmにカッ
トし、これに硬化後のnD値が1.49であるUV硬化
エポキシ樹脂(NTTアドバンステクノロジー株式会社
製)をコーテイングした後に、すばやく290〜450
nmのUVスポットファイバー光源装置(住田光学製)
により光硬化して、光ファイバーを作製した。クラッド
を付ける前の延伸糸をローダミン6Gの低濃度水溶液中
に一夜浸積後に50℃真空乾燥してローダミン6Gをイ
ンターカレートしたDNA−脂質複合体繊維を得た。3
cmに短くカットされた繊維端面から強い蛍光が観測さ
れた。塩基対当たり10分の1のローダミン6GをDN
A脂質複合体のエタノール溶液に攪拌下に加え、これに
水を加えて析出後真空乾燥したローダミン6G結合DN
A−脂質複合体を用いた他は、上記と同様に湿式紡糸後
延伸してローダミン6G結合DNA−脂質複合体繊維を
得た。見かけ上、色素の存在は繊維の色を変えただけ
で、紡糸延伸工程には何ら影響が見られなかった。カッ
トされた繊維端面から強い蛍光色が観察された。ローダ
ミン6Gのかわりにローダミン6Gと等モルのエチジウ
ムブロミドを結合後、紡糸延伸したが、この場合も紡糸
延伸工程には何ら影響が見られなかった。又、エチジウ
ムブロミド水溶液に上記のクラッドを付ける前のDNA
−脂質複合体繊維を入れると繊維が急速に着色し、水溶
液は無色透明となった。発癌性物質でもあるエチジウム
ブロマイドがDNA脂質複合体繊維によって効率的に除
去されたことを示す。 (実施例2)実施例1で用いたDNA−Na水溶液とジ
ドデシルジメチルアンモニウムブロミドを攪拌下に一夜
反応させ、DNA脂質複合体を得た。このDNA脂質複
合体をクロロフォルム/エタノール(3/1 by w
t)混合溶液に溶解し、ガス圧式簡易紡糸器に入れてド
ラフト中の風の中に約30℃で押出し乾式紡糸を行いD
NA脂質複合体繊維を得た。実施例1で用いた500b
pのDNAを用いたDNAとセチルトリメチルアンモニ
ウムクロリドから得られたDNA−脂質複合体にこれと
等重量の2−メトキシエタノールを加えクロロフォルム
で溶解してからクロロフォルムを留去させた。この複合
体と2−メトキシエタノール混合物を自作したガラスキ
ャピラリーに詰め、85℃に昇温後、キャピラリー先端
をカットして上部から窒素加圧により押し出して、先端
から30cm下の巻取りロッドに50μm径の繊維を巻
き取った後、真空乾燥してDNA脂質複合体繊維を得
た。 (比較例)溶融紡糸法はDNA−脂質複合体の紡糸には
適用できないことを示す。試験管底部をキャピラリー形
状にガラス細工した後キャピラリー部分を融封したもの
に実施例1で使用したDNA−脂質複合体0.5gを詰
め、上部に配管して窒素置換しながら140℃の油浴中
で加熱し、窒素配管の横からスパチュラで混ぜながら曳
糸性をチェックした。わずかに糸曳きの徴候が認められ
たが、紡糸に使えるものとは程遠いものであった。試験
管上部に窒素配管をつないだゴム栓をして油浴中から出
しキャピラリー先端をカットして加圧してみたが、繊維
は得られなかった。DNA脂質錯体から少量の水の発生
が認められ、次第に着色しついには褐色から黒く変色
し、糸曳き現象も全く見られなくなった。DNAの分子
量を下げ、500bpのDNA脂質複合体についても同
様の操作を試みたが、着色現象が激しく実用的な溶融紡
糸性は認められなかった。
生殖腺など海洋性生物由来のDNAの二重ラセン構造を
有する繊維やこれにクラッド材料を被覆して得られる繊
維とその製造方法に関する。海洋性生物由来のDNAは
DNAのナトリウム塩として得られ、水溶性でその粘度
は著しく高く、DNA−Na水溶液からの紡糸は困難で
ある。DNA−Na水溶液とカチオン性脂質又はその溶
液を反応させて得られる水不溶・有機溶剤可溶性DNA
脂質複合体に非線形光学材料材料などの色素をインター
カレートした光フィルムが特許出願(特開平11−11
9270)されている。ファイバー型光デバイス素子の
方が、フィルム型光デバイス素子よりも製造し易く、他
のファイバー型光デバイスと接続するのも容易なためフ
ァイバー化のメリットは大きい。本発明の目的の一つ
は、DNA二重ラセン構造を保持したDNA脂質複合体
繊維とその製造法に関する。DNA繊維には光学用途の
他に、DNAの健康イメージを利用した健康グッズやD
NA二重ラセンの芳香族系有害物質除去作用の応用製品
などに潜在用途が考えられる。本発明の主目的は、機能
性光ファイバー材料としての色素を導入したDNA脂質
複合体繊維とその製造法を提供することにある。 [従来の技術]これまでにDNAの連続繊維の製造方法
は報告されていない。DNA−Na水溶液は1〜5%の
濃度でも高粘度ゲル状となり、DNA−Na水溶液から
連続紡糸することは容易ではない。DNA−Na水溶液
をエタノール中に注ぎDNA−Naを析出させると、綿
状のDNA−Naを単離することが出来るが白色不透明
であり、品質の一定した繊維や透明な繊維を連続して繊
維化することは困難である。コラーゲン溶液をDNA水
溶液中に吐出して、DNAクラッド/コラーゲンコアの
複合繊維が試作されている(西,機能材料,1996,
19(6),5)が、DNA単独紡糸の報告は見当たら
ない。本発明者の一人である緒方らが出願した特許(特
開平11−119270;「有機非線形光学材料及びそ
の製造方法」)は光フィルムを目指したもので光ファイ
バーには触れていない。ファイバー型光デバイス素子の
方が、フィルム型光デバイス素子よりも製造し易く、他
のファイバー型光デバイスと接続するのも容易である。
本発明のDNA光ファイバーは、PMMA系光ファイバ
ーなどプラスチック光ファイバーの主用途である光伝送
を目指すものではなく、光増幅や光スイッチ機能などに
期待した光機能性ファイバーとして用いられる。従来、
こうした目的のためには透明性高分子材料に有機光機能
性色素を分散ないしは、側鎖又は主鎖に結合したタイプ
のものが試作されている。分散タイプでは色素が凝集し
やすいため、著しく低濃度色素分散タイプのファイバー
が開発されてきた。(例えば、応用物理,第64巻,8
99−903(1995)、電子情報通信学会論文誌,
C−1,Vol.J78−C−1,No.6,pp.2
82−288(1995)、Journal of N
onlinear Optical Physics
and Materials,Vol.5,73−88
(1996)、回路実装学会誌,11巻,36−40
(1996)) [発明が解決しようとする課題]本発明の目的の一つ
は、DNA二重ラセン構造を保持した繊維の製造法に関
する。また、本発明の主目的は、機能性光ファイバー材
料としての色素をDNA二重ラセンの特定部位に結合し
た繊維とその製造法を提供することにある。光ファイバ
ー応用製品へ適用しようとするとDNA二重ラセン構造
や色素がこれの特定部位に保持されていることが特色と
なる。DNA繊維自身の透明性(低光損失性)や機械的
強度、品質の安定性、なども不可欠である。DNAの特
異な構造に基因する色素の結合形態については良く知ら
れている。色素によってはDNA二重ラセンの塩基対間
にインターカレートしたり、DNA二重ラセンの副溝に
結合する。(例えば、M.Takagi et a
l.,trends in analytical c
hemistry,vol.10,226−228(1
991)、J.R.Lakowicz,”Princi
ples of Fluorescene Spect
rometry−Second Edition”,K
luwer Academic/Plenum Pub
lishers,pp.76−78(1999))色素
のDNA二重ラセンの結合性を活かせば、色素の高濃度
化が可能であり、DNA二重ラセンのキラリテイーを利
用すればキラルの位置に結合した色素の光機能性が発揮
されるものと期待される。色素がDNAの特定位置に固
定され色素凝集が防げるため色素濃度をあげることが可
能であり、色素の特異な結合形態、例えばDNA二重ラ
センの塩基対層間にインターカレートした色素は繊維軸
に垂直に固定されるので、ランダムに分散又は結合した
色素に比べ効率の良い高性能光デバイスを製造すること
が可能である。 [課題を解決するための手段]DNA脂質複合体の有機
溶剤溶液の粘度はDNA−Na水溶液に比較して著しく
低く、高い濃度の紡糸用ドープを作製できる。例えば、
電気泳動法で10kbpに分子量中心を有する高分子量
のDNAとセチルトリメチルアンモニウムクロリド(C
TAC)との複合体(略号:DNA−CTA)はエタノ
ールに20重量%も溶け、0.5mmφの紡糸ノズルか
ら容易に押出せる程度の粘度であった。原料のDNA−
Na水溶液の粘度が著しく高いのと比較して、意外な事
実である。DNA−脂質複合体の拡がり(形態)が溶剤
によって著しく異なることは1本の複合体の観察によっ
て明らかにされているが、DNA−脂質複合体のバルク
溶液のこうした低粘度は予想の付かないものである。例
えば、上記のDNA−CTAの20重量%エタノール溶
液を紡糸ドープとして、水を凝固浴として湿式紡糸出来
る事を見出した。この未延伸糸を50℃前後で延伸する
ことによりDNA二重ラセンが高度に配向し透明で機械
的性質の優れたDNA繊維が得られた。エチジウムブロ
マイドやローダミン6Gなどの色素を紡糸ドープに混ぜ
DNAに結合させてから湿式紡糸することにより色素ド
ープDNA−脂質複合体繊維が得られた。又、DNA繊
維を色素水溶液に浸すことによっても色素ドープDNA
−脂質複合体繊維が得られた。得られたDNA脂質複合
体繊維や色素ドープしたDNA脂質複合体繊維の外側に
低屈折率のメタクリレート系の光硬化型クラッド材料を
被覆してDNA光ファイバーが得られた。海洋性生物か
ら生産される高分子量DNAは二重ラセン構造含有率が
高いものが得られるが、二重ラセンの塩基対層間に有機
色素をインターカレートして使用する光ファイバー用途
では、二重ラセン構造含有率のなるべく高いものを使う
のが好ましい。λ−DNAを2本鎖DNAの標準品とし
た蛍光色素PicoGreen蛍光強度法による二重ラ
セン構造含有率が60%以上、好ましくは70%以上の
DNAを使用することが好ましい。分子量が低い場合
は、有機溶剤濃厚溶液には納豆の糸引きのような曳糸性
は観測されるが、繊維強度が低すぎて安定して巻き取れ
なかった。電気泳動法で測定し中心分子量が500bp
の高分子量DNAでは安定した紡糸が可能であった。高
分子量ほど得られた繊維の機械的強度は向上する傾向が
あり、平均重合度が数十kbp程度までの高分子量DN
Aが用いられる。分子量が高いと紡糸ドープの粘度が高
くなって低濃度化する必要がある。また、著しく高い分
子量のDNAを海洋性生物から精製して取り出すこと
は、DNA収率や精製工程の操作性が低くなる。こうし
た理由からは平均分子量が約1〜10kbp程度のDN
Aが好適に用いられる。精製DNA中の不純物としては
蛋白質がある。蛋白質があると紡糸ドープが濁り、光フ
ァイバーの光伝送損失を増加させる。蛋白質含量1%以
下のDNA大量生産技術は確立されているが、光ファイ
バー用途の場合は、できるだけ蛋白質含量の低いDNA
を使用するのが好ましい。本発明で使用できる脂質は炭
素数12以上のパラフィンのついた界面活性剤から選択
できる。これらはDNA−脂質光フィルムの特許発明者
の論文(例えば、K.Tanaka,and Y.Ok
ahata,Journal of the Amer
ican Society,Vol.118,No.4
4,10679−10683(1996),L.Wan
g,J.Yoshida,andN.Ogata,Ch
em.Mater.,Vol.13,1273−128
1(2001))にあげられた水不溶性のフィルムを与
える脂質の中から選ばれる。脂質の種類によってDNA
−脂質複合体の溶解度が異なるので、例えばエタノール
可溶性のDNA−脂質複合体を選択する場合は、最もポ
ピュラーな界面活性剤の一つであるセチルトリメチルア
ンモニウムクロリド(CTAC)が好適に用いられる。
含水エタノール、例えば95%のエタノールは99.5
%エタノールより高粘度の紡糸ドープを与えるので、紡
糸粘度を下げたい場合は水含量の低いエタノールが用い
られる。混合溶剤が好適に用いられる場合がある。エタ
ノールに不溶の複合体、例えばDNAとジオクタデシル
ジメチルアンモニウムブロミドとの複合体はクロロフォ
ルムとエタノールの混合液、例えば4/1重量比の混合
液に溶解し、乾式紡糸により複合体繊維を製造すること
ができる。未延伸糸は40℃から120℃、好ましくは
50〜100℃の間で湿度を調節して行われる。色素を
インターカレートしたDNA−脂質複合体フィルムの光
増幅作用の検証実験は本発明者らの論文(Y.Kawa
be,L.Wang,T.Koyama,S.Hori
nouchi,N.Ogata,Proceeding
s ofSPIE Vol.4106,369−375
(2000)で明らかにされている。DNA二重ラセン
のキラリテイーを利用すればキラルの位置に結合した色
素の光機能性が発揮されるものと期待される。キラル色
素やキラルの位置にある色素の光スイッチ材料など光素
子への応用についても本発明者の論文(例えば、H.A
shitaka et al.,Nomlinear
Optics,Vol.4,281−297(199
3),Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.3
4,3522−3526(1995),Nonline
ar Optics,Vol.14,81−89(19
95))や特許(例えば、芦高ら、特開平4−1318
33,5−27282,5−249515,特願平5−
33277,5−33278,5−258668,5−
258669,5−258670)であきらかにされて
いる。クラッド材料については、DNA−CTA錯体の
屈折率(633nm、プリズムカップリング法)は比較
的高く約1.51前後であるので、これより屈折率の低
い透明材料、例えばアクリル樹脂などのプラスチックや
エポキシ樹脂など熱硬化性樹脂から自由に選択できる。
これらは光導波路用紫外線硬化樹脂として市販されてい
るものを好適に使用できる。例えば、UV硬化エポキシ
樹脂ではnD値が1.44〜1.72の材料が高精度に
制御して得られる。速乾性接着剤や光硬化性のメタアク
リレート系材料やエポキシ系材料をコートした後、光照
射によりラジカル又はイオン重合してクラッドを形成す
ることができる。また、クラッドの外装被覆材を付ける
ことによって、DNA脂質ファイバー素子の信頼性を高
めることができる。ファイバー素子の入出力部分に外界
と遮断できる部材を設置するなどもファイバー素子の性
能や信頼性を高めるために適宜実施される。 [発明の実施の形態]実施例を下に示すが、本発明がこ
れに限定されるものでないことは言うまでもない。実施
例1は湿式紡糸の例を、実施例2には乾式紡糸の例を示
した。比較例ではDNA−脂質複合体の溶融紡糸は不可
能であることを示す。 (実施例1)鮭白子由来のデオキシリボ核酸のナトリウ
ム塩20g(電気泳動法で測定した中心分子量約10k
b.p.約660万、ローリンフォーリン法で測定した
蛋白質含量1%以下の高純度品、PicoGreen蛍
光強度法による二重ラセン構造含有率75%)の0.5
重量%水溶液に、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム
クロリド20gの10重量%水溶液を攪拌しながら加
え、析出した複合体懸濁液をそのまま一夜放置した。ろ
過により単離したDNA−脂質複合体析出物を、500
mLの水に加えて攪拌下に水洗後ろ過する操作を2度繰
り返した後に、50℃の真空乾燥機で一夜真空乾燥し
た。得られたDNA−脂質複合体20gに99.5%エ
タノール80gを入れ、マグネチックスターラーで二昼
夜ゆっくり攪拌した。これを窒素圧式の0.4mmφの
ノズルを付けた簡易紡糸機に入れ、ノズル出口を塞いで
加圧放圧を3度繰り返す脱気操作の後一夜放置した。ノ
ズル出口に70cmの水凝固浴槽を置き、ノズルと水面
の間隔を2cmにして、加圧し紡糸ドープを水に吐出凝
固し、水凝固浴中の繊維長が65cmで水膨潤繊維にし
た後にローラーで連続的に巻き取った。ロッドに巻き取
られた繊維はそのまま乾燥延伸に備えて、水中で放置し
た。(紡糸・乾燥・延伸を同時に連続して行うのが効率
的と考えられるが、実験室的な都合により、別々に行っ
た。)水中に保存した繊維ロッドを25℃の空気中で別
のロッドに延伸が起きない程度の微小荷重下に巻き戻す
ことによって風乾して平均径120μmの未延伸糸を得
た。未延伸糸ロッドと延伸糸ロッド間に設置した30c
mの中空管中50℃で1.75倍に連続延伸することに
よって延伸糸を得た。未延伸糸の平均の引張り強度、弾
性率、伸びはそれぞれ18MPa、94Mpa,14%
であった。又、延伸糸を3時間真空乾燥した後の平均の
引張り強度、弾性率、伸びはそれぞれ22MPa、32
0Mpa,9%であった。又、偏光顕微鏡を用いて繊維
の配向性を確認した。546nmの波長で測定した未延
伸糸の複屈折は9.3×10−4で、延伸糸の複屈折は
8.3×10−3であった。延伸乾燥糸を2cmにカッ
トし、これに硬化後のnD値が1.49であるUV硬化
エポキシ樹脂(NTTアドバンステクノロジー株式会社
製)をコーテイングした後に、すばやく290〜450
nmのUVスポットファイバー光源装置(住田光学製)
により光硬化して、光ファイバーを作製した。クラッド
を付ける前の延伸糸をローダミン6Gの低濃度水溶液中
に一夜浸積後に50℃真空乾燥してローダミン6Gをイ
ンターカレートしたDNA−脂質複合体繊維を得た。3
cmに短くカットされた繊維端面から強い蛍光が観測さ
れた。塩基対当たり10分の1のローダミン6GをDN
A脂質複合体のエタノール溶液に攪拌下に加え、これに
水を加えて析出後真空乾燥したローダミン6G結合DN
A−脂質複合体を用いた他は、上記と同様に湿式紡糸後
延伸してローダミン6G結合DNA−脂質複合体繊維を
得た。見かけ上、色素の存在は繊維の色を変えただけ
で、紡糸延伸工程には何ら影響が見られなかった。カッ
トされた繊維端面から強い蛍光色が観察された。ローダ
ミン6Gのかわりにローダミン6Gと等モルのエチジウ
ムブロミドを結合後、紡糸延伸したが、この場合も紡糸
延伸工程には何ら影響が見られなかった。又、エチジウ
ムブロミド水溶液に上記のクラッドを付ける前のDNA
−脂質複合体繊維を入れると繊維が急速に着色し、水溶
液は無色透明となった。発癌性物質でもあるエチジウム
ブロマイドがDNA脂質複合体繊維によって効率的に除
去されたことを示す。 (実施例2)実施例1で用いたDNA−Na水溶液とジ
ドデシルジメチルアンモニウムブロミドを攪拌下に一夜
反応させ、DNA脂質複合体を得た。このDNA脂質複
合体をクロロフォルム/エタノール(3/1 by w
t)混合溶液に溶解し、ガス圧式簡易紡糸器に入れてド
ラフト中の風の中に約30℃で押出し乾式紡糸を行いD
NA脂質複合体繊維を得た。実施例1で用いた500b
pのDNAを用いたDNAとセチルトリメチルアンモニ
ウムクロリドから得られたDNA−脂質複合体にこれと
等重量の2−メトキシエタノールを加えクロロフォルム
で溶解してからクロロフォルムを留去させた。この複合
体と2−メトキシエタノール混合物を自作したガラスキ
ャピラリーに詰め、85℃に昇温後、キャピラリー先端
をカットして上部から窒素加圧により押し出して、先端
から30cm下の巻取りロッドに50μm径の繊維を巻
き取った後、真空乾燥してDNA脂質複合体繊維を得
た。 (比較例)溶融紡糸法はDNA−脂質複合体の紡糸には
適用できないことを示す。試験管底部をキャピラリー形
状にガラス細工した後キャピラリー部分を融封したもの
に実施例1で使用したDNA−脂質複合体0.5gを詰
め、上部に配管して窒素置換しながら140℃の油浴中
で加熱し、窒素配管の横からスパチュラで混ぜながら曳
糸性をチェックした。わずかに糸曳きの徴候が認められ
たが、紡糸に使えるものとは程遠いものであった。試験
管上部に窒素配管をつないだゴム栓をして油浴中から出
しキャピラリー先端をカットして加圧してみたが、繊維
は得られなかった。DNA脂質錯体から少量の水の発生
が認められ、次第に着色しついには褐色から黒く変色
し、糸曳き現象も全く見られなくなった。DNAの分子
量を下げ、500bpのDNA脂質複合体についても同
様の操作を試みたが、着色現象が激しく実用的な溶融紡
糸性は認められなかった。
【0006】[発明の効果]DNA脂質複合体の有機溶
剤溶液から湿式紡糸、又は乾式紡糸・延伸することによ
りDNA二重ラセン構造を保持した高配向繊維が容易に
得られた。有機色素をDNA二重ラセンの特定部位に結
合したDNA脂質複合体の有機溶液を紡糸ドープとして
湿式紡糸、又は乾式紡糸・延伸することによりDNA二
重ラセン構造の特定部位に有機色素が結合した高配向繊
維が容易に得られた。これらに定法通りクラッド材料を
被覆することにより光機能ファイバーが得られた。これ
によってフィルム形態では作製が容易でなかった光素子
が容易に得られ、他の光ファイバー素子との接合が容易
になった。
剤溶液から湿式紡糸、又は乾式紡糸・延伸することによ
りDNA二重ラセン構造を保持した高配向繊維が容易に
得られた。有機色素をDNA二重ラセンの特定部位に結
合したDNA脂質複合体の有機溶液を紡糸ドープとして
湿式紡糸、又は乾式紡糸・延伸することによりDNA二
重ラセン構造の特定部位に有機色素が結合した高配向繊
維が容易に得られた。これらに定法通りクラッド材料を
被覆することにより光機能ファイバーが得られた。これ
によってフィルム形態では作製が容易でなかった光素子
が容易に得られ、他の光ファイバー素子との接合が容易
になった。
【図 1】色素をインターカレートしたDNA光ファイ
バーの構造
バーの構造
Claims (2)
- 【請求項1】デオキシリボ核酸−脂質複合体の有機溶剤
溶液から湿式又は乾式紡糸し、延伸して得られるデオキ
シリボ核酸−脂質ファイバー - 【請求項2】デオキシリボ核酸−脂質複合体に色素がド
ープされており、外部に低屈折率材料が被覆されて光機
能ファイバーである請求項1のデオキシリボ核酸−脂質
ファイバー
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001308053A JP2003073925A (ja) | 2001-08-28 | 2001-08-28 | Dna脂質複合体ファイバーおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001308053A JP2003073925A (ja) | 2001-08-28 | 2001-08-28 | Dna脂質複合体ファイバーおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003073925A true JP2003073925A (ja) | 2003-03-12 |
Family
ID=19127414
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001308053A Pending JP2003073925A (ja) | 2001-08-28 | 2001-08-28 | Dna脂質複合体ファイバーおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003073925A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1660630A2 (en) * | 2003-07-24 | 2006-05-31 | Materials Evolution and Development Usa, Inc. | Nucleic acid biomaterials and methods of formation and use |
WO2009128597A1 (en) * | 2008-04-16 | 2009-10-22 | Iucf-Hyu(Industry-University Cooperation Foundation Hanyang University) | Process for producing dna hydrogel fiber and dna hydrogel fiber produced by using the same |
-
2001
- 2001-08-28 JP JP2001308053A patent/JP2003073925A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1660630A2 (en) * | 2003-07-24 | 2006-05-31 | Materials Evolution and Development Usa, Inc. | Nucleic acid biomaterials and methods of formation and use |
EP1660630A4 (en) * | 2003-07-24 | 2011-05-11 | Materials Evolution And Dev Usa Inc | NUCLEIC ACID BIOMATERIALS AND METHOD FOR THE PREPARATION AND USE |
WO2009128597A1 (en) * | 2008-04-16 | 2009-10-22 | Iucf-Hyu(Industry-University Cooperation Foundation Hanyang University) | Process for producing dna hydrogel fiber and dna hydrogel fiber produced by using the same |
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