JP2003072302A - 車両用軽合金ホイールおよびその鋳造用金型 - Google Patents

車両用軽合金ホイールおよびその鋳造用金型

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所定の手段を用いて従来にない形状を成形
し、シャープ感を出したホイールを安価に提供するとと
もに所定部分での強度の向上を計る。 【解決手段】 ハブ部及びデザイン部を含むディスク部
とリム部を有する車両用軽合金ホイールであって、前記
リム部とディスク部との交差部のDAS値より前記ハブ
部に設けられたボルト穴近傍のDAS値の方が小さいこ
とを特徴とする車両用軽合金ホイール。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用軽合金ホイ
ールに関して特に安全性および意匠性の高いものに関す
る。また、その車両用軽合金ホイールを製造するための
鋳造用金型、特に低圧鋳造用の金型に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】車両用ホイールの1つである自動車のロ
ードホイールには種々の材質、構造のものがあるが、自
動車の軽量化及び外観や意匠性の向上を目的として、鉄
製からアルミニウム合金、マグネシウム合金やチタン合
金などの軽合金製への変換が進んでおり、とくにアルミ
ニウム合金製のアルミホイールを装着する比率が増大し
ている。
【0003】図4に示すように一般に軽合金製ホイール
30は、ボルトとナットにより車軸に取付けられる厚肉
のハブ部31と厚肉部と薄肉部が混在するデザイン部3
2からなるディスク部と、タイヤが取着される薄肉のリ
ム部33から構成されている。また、リム部33はフロ
ントフランジ部、リアフランジ部、リム部とディスク部
が交差する交差部、リム中央部からなる。デザイン部3
2にはスポーク部と意匠穴が設けられている。ハブ部3
1にはボルトで車体と固着するためのボルト穴34が設
けられている。
【0004】ホイールは車両の外観性を左右するもので
あり、種々多様の形状で生産されている。大別してスポ
ークタイプ、ディッシュタイプ、フィンタイプ、メッシ
ュタイプ等のタイプがある。また、ボルト穴の周囲に形
成される凹形状のボルト穴用凹部の周囲も前記のタイプ
や仕様によってさらに様々な形態をもつ。
【0005】このボルト穴用凹部の底に形成されるボル
ト穴の部分は車体とボルト締めにより固定され、駆動力
をタイヤに伝えるために負荷がかかる。しかしながら軽
合金ホイールに要望される軽量化から厚肉・強化するこ
とは難しい。また、鋳造法案的にこのハブ部近傍は最終
凝固部となることが多く、冷却速度が遅いために強度の
向上が難しいという問題があり、まだ検討の余地を残し
ていた。また、ボルト穴用凹部を成形する金型は凸形状
となり、溶湯による離型材の損耗が激しい。特にハブ部
キャビティから溶湯が注湯される鋳造法案のものでは顕
著である。そのために始終金型の手直しが必要であり、
生産性の悪化に繋がっていた。さらにはボルト穴用凹部
のテーパ部傾きが小さいものをつくろうとしても金型と
の離型がうまく行かず、カジリ等の傷が残りやすかっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】よって本発明の目的は
従来にない高強度、安全性及び高意匠の抜け勾配の形状
を成形し、シャープ感を出したホイールを安価に提供す
ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の車両用軽合金ホ
イールは、上記の問題に伴い検討した結果、従来に無い
冷却構造を設けたことで解決に至った。つまり本発明
は、ハブ部及びデザイン部を含むディスク部とリム部を
有する車両用軽合金ホイールであって、前記リム部とデ
ィスク部との交差部のDAS値より前記ハブ部に設けら
れたボルト穴近傍のDAS値の方が小さいことを特徴と
する。また、ハブ部及びデザイン部を含むディスク部と
リム部を有する車両用軽合金ホイールであって、前記ハ
ブ部に設けられたボルト穴近傍の少なくとも一部のDA
S値が30μm未満であることを特徴とする。
【0008】本発明の車両用ホイールに見られる特徴と
してハブ部の冷却速度を従来よりも速めることが可能で
ある。その結果、ボルト穴近傍、さらにはハブ部でのD
AS値が従来よりもはるかに小さく強度向上も果たせる
ものである。また、センターゲート近傍の冷却を行うこ
とで製造上不具合が劇的に改善され、複雑形状であるハ
ブ部での金型と鋳造ホイールとのカジリがなくなる。こ
れにより離型時のホイール表面の傷がなくなり、不良の
発生が少なくなる。さらにはこのボルト穴用凹部を形成
する凸形状の金型部分での溶湯による溶損がなくなり、
生産効率が向上する。本発明においてボルト穴近傍のD
AS値は図3に示す斜線部の部分で測定した。図中、3
4はボルト穴でありボルト穴用凹部37から入れられた
ボルトがボルト接触部39で接触して車体とホイールと
が固定される。38は所定寸法に加工されたハブ穴であ
り、36はスポーク部の端部である。湯口は通常、図中
でハブ穴38の下部に備えられた状態で鋳造される。
【0009】溶湯の鋳造性の観点から本技術の利点を記
載する。ハブ部のボルト穴近傍はボルトによりかしめら
れるため強度を必要とする部分である。ハブ部のみから
溶湯を注湯する法案(センターゲート法案)ではボルト
穴近傍が湯口に近いため溶湯の冷却速度は遅くなり強度
が他の部分に比べて落ちやすい。ディスク部一面の強度
を向上させるにはハブ部近傍、特にボルト穴付近での冷
却が特に重要である。
【0010】センターゲート法案においてはこの部分を
冷却するとハブ部での溶湯が先に凝固してリム部での押
し湯効果が不足しやすいため、他の部分の金型冷却を適
宜設定することが重要である。また、リム部を形成する
キャビティ部分に溶湯の堰を設けて注湯するサイドゲー
ト法案で行なうことも可能である。また、ハブ部とリム
部を形成するキャビティ部分各々に溶湯の堰を設けて注
湯するマルチゲート法案のアルミホイールの一体鋳造で
行えばハブ部近傍での冷却を行なっても他の部分の冷却
機構と組合せて押湯効果を効かせた指向性凝固をする設
定がしやすく好ましい。スポーク部のひけ巣防止のため
の押し湯効果はリム部側の堰(サイドゲート)からの圧
力である程度まかなえるため、ボルト穴となる部分に冷
却機構を設けても鋳造不良を起こすことなく鋳造サイク
ルの短縮とハブ部での強度向上がバランス良く行える。
特にボルト穴近傍はボルトが締め付けられ、車体に固定
される部分であり強度が必要である。冷却速度が速いた
めボルト穴周囲の強度を向上させるため薄肉軽量化して
も問題がない。本発明の冷却条件ではディスク部への溶
湯押湯効果時間が比較的短くなるため、リム部の体積が
比較して大きいものに適用しやすい。具体的には製造に
適するホイールの形状はリム部とディスク部の重量比率
で表せばリム部:ディスク部=6:4かリム部がそれ以
上の比率を占めるものである。
【0011】本発明においては交差部のDAS値とボル
ト穴近傍のDAS値との関係を規定しているがその技術
的理由を述べる。前記2つのDAS値の比較はリム側と
ディスク中心部の湯口からの押し湯効果についてどちら
を最終的に残すべきかを検討したものである。例えば細
いスポーク部をもつ車両用ホイールをマルチゲート法案
で一体鋳造するには早めにディスク中心部からの押し湯
効果を終了させ、残った未凝固の部分をリム部からの押
し湯効果でもって指向性凝固させることがホイールの鋳
造上好ましいということを知見した。これにより複雑形
状で意匠性を主に司るディスク部の冷却を速め、気泡混
入等の鋳造性を良好にできる。結果蒸着メッキ等の被覆
処理を行なっても外観性に問題なく処理可能である。よ
ってサイドゲートが設けられるリム部よりもハブ部を重
点的に冷却することが好ましい。実施例においてはボル
ト穴の中でもスポーク部に近い図3に示す測定部(スポ
ークにハブ部側から押し湯効果を与える部分)のDAS
値と交差部(スポークにリム部側から押湯効果を与える
部分)でのDAS値で比較している。これはセンターゲ
ート法案でもリム部周囲に押湯手段を設けることで達成
でき、またサイドゲートでもハブ部近傍に押湯手段を設
けることで達成できる。
【0012】本発明に好適な車両用軽合金ホイールの鋳
造用金型として、ディスク部を形成する金型キャビティ
の中央にセンターゲートを備え、リム部を形成する金型
キャビティにサイドゲートを備え、前記リム部での金型
冷却の強さより前記ハブ部での金型冷却の強さの方が大
きくすることが可能な金型冷却構造を具備することが好
ましい。金型冷却の強さは鋳造品の鋳出し後に下型と横
型の金型表面温度をサーモグラフィ等で測定すれば判別
可能である。
【0013】DAS値はアルミ鋳物材において強度をし
めすものであり小さい程高強度となる。本発明のように
スポーク部のDAS値を小さくできたのは、ハブ部及び
デザイン部を含むディスク部とリム部を有する車両用軽
合金ホイール用の鋳造用金型であって、前記ハブ部のボ
ルト穴形成用凸部の中に冷却手段を設けたことを特徴と
する鋳造用金型を用いることで達成された。さらにこの
冷却手段は前記ボルト穴形成用凸部の凸方向に向かって
空洞となる冷却部が形成され、かつ前記冷却部の凸部近
傍側にミストを吹き付けるための噴出口を備えさせた冷
却管を冷却部内に備えた構造が好適である。また別の構
造として、前記ボルト穴形成用凸部の凸方向に向かって
内装された外筒と内筒からなる2重管構造を備えた構造
が好適である。詳細は実施例にて述べる。
【0014】ボルト穴凹部を形成するための金型では図
1、2中のボルト穴形成用凸部81となるが、この部分
はセンターゲート法案などで溶湯が最初にキャビティ内
に入る位置に近く、高熱になる。また、略円筒状のリム
部と異なりボルト穴などを有する比較的複雑形状であ
る。鋳込まれる溶湯からみれば垂直方向の壁状であり、
この壁面で金型の溶損、溶湯の焼き付き等が発生しやす
い。よってボルト穴近傍を強く冷却するようにボルト穴
用凹部に沿って冷却管を設けるような構造の金型を用い
ることが非常に好ましい。また、離型性も向上し、テー
パ部傾きが5.0°以下、さらには3.0°以下のボル
ト穴用凹部を形成可能である。
【0015】テーパ部傾きの小さなボルト穴形状とする
ためには金型から凝固したホイールを取り出す際に、厳
密な金型の駆動制御が必要である。ディスク部を形成す
る下型または上型を型開けする際、可動プラテンを3ヶ
所以上で同期に押し上げする平行制御駆動装置を用いて
動かすことが好ましい。上型プラテンに同期ピストンを
設け、上板を押し上げ、最下端の位置にある上板を20
〜30mm程度の高さまで平行に移動させればよい。も
しくは下型プラテンに3ヶ所以上の同期の油圧シリンダ
を設けて、直接可動プラテンを押し上げても良い。2ヶ
所以下であると可動プラテンが傾きやすく、テーパ部傾
きの小さい製品は作り難い。
【0016】従来のホイール鋳造機においては単に1本
の油圧シリンダーで可動プラテンを引き上げ、単純に型
開きを行っていた。しかしホイールの鋳造においては下
型プラテンの近傍に保持炉を備える構造であり、そのよ
うな構成においては下型プラテンが熱膨張しやすい。上
型プラテンと下型プラテンの熱膨張による寸法差が異な
る為、ガイドの内径とガイドポストの外径とは0.3〜
0.5mm程の隙間を取る必要がある。しかしこの隙間
により可動プラテンは絶えずどこか一方で傾きながら上
昇するという現象を起こす。スポーク部やハブ部の凹部
等に6.0〜8.0°のテーパ部傾きが設けているもの
であれば上記可動プラテンの傾きは問題にならない許容
範囲であり、成形品の形状を損なうことなく製品を離型
することができたが、テーパ部傾きが5°以下の製品で
はこの傾きが起こるとスポーク部やハブ部の凹部でカジ
リが発生しやすい。下型からの離型時、製品は400〜
450℃有り、強度が低い。特にデザイン面が複雑な形
状をしている場合、下型に取られやすくまた引き抜き方
向に対して強度が弱く、垂直にスムーズに上昇させない
とデザイン部のカジリを起す。よって離型時の上型が備
えられた可動プラテンの詳細な配慮は非常に重要な技術
である。上型が下型に対して平行上昇しなければいけな
い距離は、型締め位置から最大で5〜20mm程度であ
る。それより上昇してしまえば多少可動プラテンが傾い
てもデザイン面と下型がぶつかることは無い。この程度
まで厳密な制御によって可動プラテンを持ち上げるため
には上型または上型と固着している可動プラテンでの3
箇所以上を同時に同じ移動量で押し上げる平行移動制御
をさせる必要がある。4本同期の垂直シリンダー方式が
特に有効である。シリンダーの駆動は電流制御バルブや
サーボバルブを用いれば良い。
【0017】また、鋳造上型は一般的に200kN型締
め力で下型を押している。油圧で10MPa程度である
為、この10MPaを0.01秒未満の速さで実質0M
Paにまで落とすと鋳造機にかかる応力による変形も1
度に開放され、油圧回路中にサージ圧が発生しこれによ
り、鋳造機全体が振動し、可動プラテンが下型に対して
平行に移動しなかったり、下型に対して上型が横方向に
移動し、下型とデザイン面のカジリを起こしやすくす
る。実際のバルブが全開になるまでの時間は0.02秒
ほどであるが、型締め力が0MPaになるのはその半分
ほどの時間である。よって型締め力を0.05秒以上、
さらに好ましくは0.10秒以上の長い時間をかけて型
締め力を抜くことで急激な油の減圧による鋳造機の衝撃
を和らげ、結果カジリの無いデザイン面を成形可能であ
る。
【0018】また、型締めの際には不要な振動・応力を
与えないように型締め力を上げていくことが好ましい。
急激に型締めを行うと鋳造記全体に振動が発生してしま
う。可動プラテンや下型の重量を総和すると3〜4トン
近くなり、上型プラテンや下型プラテンに、垂直方向に
1mmほどの応力歪を発生させる。また、型締めの際、
平行方向にも影響を与える為、テーパ部傾きの少ないア
ルミホイールを製造するには所定の速度で型締めを行う
ことが好ましい。
【0019】リム部でのサイドゲートを用いて鋳造する
場合、湯口位置は少なくともデザイン部表面よりも上に
あることが好ましく、さらにはデザイン部裏面よりも高
いことが好ましい。このようにすればデザイン面でのセ
ンターゲートとサイドゲートとから注湯された溶湯の湯
境面の発生を低減できる。さらにはサイドゲートを高く
設けることでセンターゲート近傍を早めに凝固してもリ
ム部に残る溶湯の重量による押し湯効果で不良の発生を
低減できる。
【0020】
【発明の実施の形態】(実施例1)以下、本発明の詳細
を図面により説明する。図7は本願発明の車両用軽合金
製ホイールの鋳造を行う1例で、アルミニウム合金製の
ホイールを低圧鋳造で行う場合の設備の概略を示す図で
ある。密閉容器1内に保持炉2があり、密閉容器1の上
に下型プラテン3が取り付けられ、密閉容器1を密閉し
ている。下型プラテン3には中央部にアルミニウム合金
の溶湯5を金型に補給するストーク4が取り付けてあ
り、各ストークの下端は保持炉2中の溶湯5に浸漬され
ている。ストークの上端は、下型プラテン3および金型
の下型8に嵌入された湯口ブッシュ6を介し金型の湯口
部7に連なっている。ストーク4を介して注湯される溶
湯は下型8に流れ込み、ホイールのハブ部を形成するキ
ャビティに注湯される。
【0021】金型の下型8は下型プラテン3に取り付け
られている。下型8は固定型で、ホイールではデザイン
部を形成する面である。本実施例においては最小のテー
パ部傾きを3.5°とし、スポーク部の最小断面積を1
00〜250mmをとした。また、軸方向の厚さは2
5mm以上、最小幅を4.0〜10.0mmとし、スポ
ーク部のテーパ部傾きの50%以上の部分でテーパ部傾
き3.5°とした。両横は横可動型10で、ホイールの
リム部の外周面を形成する。金型の上型12は、可動プ
ラテン14に取り付けられている。上型12は所謂可動
型で、ホイールを車に取り付けるデザイン部裏面及びリ
ム部の内周面を形成する。可動プラテン14はガイドポ
スト15に固着されており、ガイドポスト15は上型プ
ラテン13に備えられたガイド16に沿って上下に動く
ことが可能である。また、前記ガイドポスト15は上端
を上板17に固定され、上型プラテンに備えられた油圧
シリンダー21がこの上板を動かし、それに追従して可
動プラテン14および上型12が上下して動く。図7
中、上板17が最下端まで来た位置を破線で示す。この
最下端の位置は上型12が横型10および下型8と型締
めされた際の位置である。
【0022】下型8の詳細な形態を図2に示す。図2に
示すように下型8には冷却用の水冷機構50、51を内
部に配置している。水冷機構51は主にハブ部近傍を冷
却するようにホイールのディスク面に形成されるボルト
穴用凹部となるボルト穴形成用凸部81に端部を向けて
配置されている。ボルト穴形成用凸部81のテーパ部傾
きは3.0〜5.0°である。冷却水をボルト穴形成用
凸部81に向かって水冷機構50の外管50aに内管5
0b内を介して流しこむ。冷却部は二重管構造であり、
内管中の水の流れ方向と外管50aと内管50bの間の
水の流れは逆方向になるように構成されている。ボルト
穴形成用凸部81の先端に内管から到達した冷却水は外
管50bの中を流れて戻る構成になっている。冷却部に
は2本の冷却管50cが設けられ、冷却水が所定の鋳造
タイミングで内部を通るよう制御されている。また、デ
ィスク部(特にスポーク部)を冷却するための冷却機構
51は下型のスポーク部金型82近傍にホイール軸を中
心として略円形状となるように下型下部に溝51aが形
成され、その溝51aを密封部材51bにより密封し、
冷却水通路としている。この冷却水通路に冷却管51c
から水を流してスポーク部金型82近傍を冷却する。ボ
ルト穴形成用凸部81のテーパ部傾きが3〜5°の場
合、ボルト穴形成用凸部での金型表面温度が450°以
上であると塗型がはがれ金型と溶湯が反応して焼き付き
をおこすので最高温度がその温度以下になるよう冷却条
件を定めている。
【0023】鋳造作業は、以下の手順による。下型8、
上型12、横型10の金型を閉じた後、空気や不活性ガ
ス等の0.02〜0.05MPaの加圧気体を加圧気体
送入管18より密閉容器内1に送り込む。送り込まれた
加圧気体により、保持炉2内で約700℃に保持された
アルミの溶湯5がストーク4bを介して押し上げられ金
型温度を350〜450℃に保持された金型内のキャビ
テイに入る。金型のキャビテイ部は保温と離型を兼ねた
塗型でコーテイングが施してある。約2〜3分の後、加
圧を排気し、未凝固のストーク4内の溶湯5を保持炉2
に戻し、金型内の溶湯が凝固するのを待つ。金型内の溶
湯の凝固が完了し、約400〜450℃の取り出し温度
に達したところで金型を開き、上型に鋳造製品(ホイー
ル)がついた状態のまま上型を上昇させる。ある程度上
昇した時点で上型プラテンに固着した押し出しピンによ
りホイールを上型から離し脱着アーム11を用いてホイ
ールを取り出す。このサイクルを繰り返し、製品を鋳造
していく。
【0024】0.20秒かけて下降油圧圧力を10MP
aから0MPaにまで落とし、上型を下型に対して上昇
させた。油圧は0.20秒を通して徐々に下がり鋳造機
に大きな振動を与えることはなかった。さらに可動プラ
テンは終始ほとんど傾かずに上型プラテンに対して平行
度を保ったまま上昇していくことを確認した。またスポ
ーク部のテーパ部傾きの50%以上の部分で5°以下の
車両用軽合金ホイールを20ヶ製造し、デザイン面での
カジリ、変形があるか観察を行った。意匠面のカジリの
発生は確認されず、良好な形状を有するホイールが得ら
れた。また表1に図4で示す〜の部分を測定したD
ASの値を記す。また、ボルト穴近傍の組織観察写真を
図5に示す。ボルト穴近傍のDAS値が非常に小さく、
交差部よりも小さい値であることを確認した。また、表
中のDASの値はサイドゲート位置断面での測定である
が、その90°側でのDAS値も同様の傾向が見られ
た。また、サイドゲート法、マルチゲート法で行っても
同様の効果が得られた。
【0025】
【表1】
【0026】(比較例1)図2に記載の水冷機構51の
みに冷却水を流し、水冷機構50には冷却水を流さず鋳
造を行った。鋳造を200〜300サイクルほど行うと
図2のボルト穴形成用凸部81の周囲に溶湯の焼き付き
が発生し、製品の不良成形となった。又、金型のメンテ
ナンスに時間を費やさなければ成らなかった。DAS値
の測定値を表1に併記する。特にボルト穴近傍でのDA
S値が本発明のものとは異り大きい。組織観察写真を図
6に示す。
【0027】(実施例2)また、別の下型の詳細な形態
を図1に示す。図1と図2で同一の構造のものは同一符
号で示す。図1に示すように下型8には冷却用の水冷機
構52、51を内部に配置している。水冷機構52は主
にハブ部近傍を冷却するようにホイールのディスク面に
形成されるボルト穴用凹部となるボルト穴形成用凸部8
1内に凸方向に延出した空洞部52aが配置されてい
る。前記空洞部52aの奥にまで冷却管52bを挿入
し、外部冷却管52cからミストを供給し、空洞部内を
冷却した。排出されたミストは凸部近傍を冷却した後、
冷却管52bと空洞部52aの間を介して戻り、連通部
83から下型外へ排出される。
【0028】
【発明の効果】以上に記述の如く、本発明によれば、下
形のボルト穴形成用凹部に最適な冷却構造を内装したこ
とで、従来よりもはるかに強度がよく、安全性の高いホ
イールを提供できた。また、離型性が良くなったことで
溶湯をハブ部から注湯する法案においてもテーパ部傾き
の少ないボルト穴用凹部を形成することが可能である。
また、本発明の金型を用いることでホイール離型時のカ
ジリが発生しなくなり、作業効率の向上を計ることがで
きた。
【図面の簡単な説明】
【図1】下型の冷却機構を示す断面図である。
【図2】別の下型の冷却機構を示す断面図である。
【図3】ボルト穴周辺の要部断面図である。
【図4】ホイールの断面形状を示す図である。
【図5】本発明のボルト穴近傍の金属組織写真である。
【図6】従来のセンターゲート法案でのボルト穴近傍の
金属組織写真である。
【図7】本発明に用いた鋳造機の1例である。
【符号の説明】
1:密閉容器、2:保持炉、3:下型プラテン、4:ス
トーク、5:溶湯、6:湯口ブッシュ、7:湯口部、
8:下型、9:ガイドピン、10:横型、11:脱着ア
ーム、12:上型、13:上型プラテン、14:可動プ
ラテン、15:ガイドポスト、16:ガイド、17:上
板、18:加圧気体挿入管、20:4本同期ピストン、
21:油圧シリンダ、30:アルミホイール、31:ハ
ブ部、32:デザイン部、33:リム部、34:スポー
ク部、35:意匠穴、36:ボルト穴用凹部、37:ボ
ルト穴、38:ハブ穴、39ボルト接触部、40:テー
パ部傾き、41:意匠面側、42:天井肉厚、43:鋳
抜き部抜け勾配、44:鋳抜き部、50,51:冷却機
構、81:ボルト穴形成用凸部、82スポーク部金型

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハブ部及びデザイン部を含むディスク部
    とリム部を有する車両用軽合金ホイールであって、前記
    リム部とディスク部との交差部のDAS値より前記ハブ
    部に設けられたボルト穴近傍のDAS値の方が小さいこ
    とを特徴とする車両用軽合金ホイール。
  2. 【請求項2】 ハブ部及びデザイン部を含むディスク部
    とリム部を有する車両用軽合金ホイールであって、前記
    ハブ部に設けられたボルト穴近傍のDAS値が30μm
    未満であることを特徴とする車両用軽合金ホイール。
  3. 【請求項3】 前記車両用軽合金ホイールは鋳造の際に
    少なくともハブ部の金型キャビティから溶湯を注湯する
    鋳造方法により製造された請求項1または2に記載の車
    両用軽合金ホイール。
  4. 【請求項4】 前記ハブ部のボルト穴の周囲にはボルト
    穴用凹部が設けられ、前記ボルト穴用凹部のテーパ部傾
    きが5.0°以下である請求項1〜3のいずれかに記載
    の車両用軽合金ホイール。
  5. 【請求項5】 ハブ部及びデザイン部を含むディスク部
    とリム部を有する車両用軽合金ホイールの鋳造用金型で
    あって、前記ハブ部のボルト穴形成用凸部内に冷却手段
    を設けたことを特徴とする車両用軽合金ホイールの鋳造
    用金型。
  6. 【請求項6】 前記冷却手段は前記ボルト穴形成用凸部
    の凸方向に向かって空洞部となる冷却部が形成され、か
    つ前記冷却部の凸部近傍側にミストを吹き付けるための
    噴出口を備えさせた冷却管を冷却部内に備えたものであ
    る請求項5に記載の車両用軽合金ホイールの鋳造用金
    型。
  7. 【請求項7】 前記冷却手段は前記ボルト穴形成用凸部
    の凸方向に向かって内装された外筒と内筒からなる2重
    管構造を備えたものである請求項5に記載の車両用軽合
    金ホイールの鋳造用金型。
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