JP3781271B2 - 車両用軽合金製ホイール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低圧鋳造、グラビティ鋳造の金型を用いた車両用軽合金製ホイールに関し、特にデザイン部の形状がホイール装着面から観察した際に非常にシャープな印象をあたえる意匠性の高いものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用ホイールの1つである自動車のロードホイールには種々の材質、構造のものがあるが、自動車の軽量化及び外観や意匠性の向上を目的として、鉄製からアルミニウム合金、マグネシウム合金やチタン合金などの軽合金製への変換が進んでおり、とくにアルミニウム合金製のアルミホイールを装着する比率が増大している。
【0003】
図10に示すように一般に軽合金製ホイール30は、ボルトとナットにより車軸に取付けられる厚肉のハブ部31と厚肉部と薄肉部が混在するデザイン部32からなるディスク部と、タイヤが取着される薄肉のリム部33から構成されている。また、リム部33はフロントフランジ部、リアフランジ部、リム部とディスク部が交差するクロス部、リム中央部からなる。デザイン部32はスポーク部34と意匠穴35が設けられている。ハブ部にはボルトで車体と固着するためのボルト穴凹部36が設けられている。
【0004】
ホイールは車両の外観性を左右するものであり、種々多様の形状で生産されている。大別してスポークタイプ、ディッシュタイプ、フィンタイプ、メッシュタイプとこの4つのタイプがある。スポークタイプとはハブ部から3〜10本のスポークが延在してリム部と結合し、スポークを主体としてデザインされたものである。ディッシュタイプとはスポークタイプよりもハブ部がかなり広い範囲で緩やかな面が形成され、リム部とは短めのスポークで連結されているデザイン部中心が略円盤形状のものである。また、フィンタイプはスポークタイプに属するがスポーク数が比較的多くかつ細い点が特徴である。また、メッシュタイプもスポーク数が多くかつ細く伸びているが、スポークがハブ部とリム部の間で網目のようにメッシュ状となるものである。各仕様によってさらに様々な形態をもつ。
【0005】
また、上記4つのタイプのうちメッシュタイプ、スポークタイプ、およびフィンタイプでは、厚肉のハブ部からリム部まで橋絡するように設けられたスポーク部の形状は多様である。そのなかでも車両自体のスピード感、機動力等に対する印象を挙げるために、シャープな外観性を出すということが検討されている。シャープな外観性の表現法も多様であるが、1つの手法としてデザイン部でのスポーク部の幅を狭くすることでシャープ感を出すことが可能である。しかしながら、強度的に十分であってもスポーク部の幅を狭くすることは従来、量産では難しく、図10で示すように車両用軽合金ホイールのスポーク部のテーパ部傾きは6〜8°である。鍛造や削り出し等の製造方法ではコスト高になってしまうため、問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
金型鋳造を用いた車両用軽合金ホイールにおいて全体的にシャープ感を出すための手段として、デザイン部に設けられるスポーク部のテーパ部の形状を所定の形状とすることが挙げられる。つまり車両用軽合金ホイールの金型鋳造ではデザイン部は、ホイールのデザイン面の表面側と裏面側から金型が契合し、その契合面間に形成されたキャビティに溶湯が注入され凝固して形成される。このデザイン部を金型キャビティから離間するためにスポーク部のテーパ部傾きをある程度大きくする必要がある。しかしながらこのテーパ部傾きによりスポークは幅広となり、シャープな印象を十分に出すことが困難であった。よって本発明の目的は所定の手段を用いて従来にない形状を成形し、シャープ感を出したホイールを安価に提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両用軽合金ホイールは、ハブ部及びデザイン部を含むディスク部とリム部を有する低圧鋳造法により製造した車両用軽合金ホイールであって、前記車両用軽合金ホイールは低圧鋳造の型開きの際、ガイドポストを介して可動プラテンに連結される上板を 3 ヶ所以上で同期に押し上げする平行制御駆動装置を用いて製造したものであり、前記ディスク部は金型鋳造により成形されたカジリの無いスポーク部をデザイン部に備え、かつ前記スポーク部のテーパ部傾きは少なくとも一部が5.0°未満であることを特徴とする。また、スポーク部はスポーク部の輪郭の30%以上、さらには50%以上の部分でテーパ部傾きが5.0°未満になるよう形成することが可能である。特に適合するスポーク部の形状にはメッシュ形状、スポーク形状、フィン形状が主に挙げられる。さらには、前記スポーク部の5.0°未満となる部分のスポーク部最小幅が5mm以下、厚さが20mm以上である、外観上非常に細い、シャープといった印象を与えるホイールとすることが可能であるし、スポーク部裏面の鋳抜き部でのテーパ部傾きも5.0°未満となるようにして成形可能である。また、テーパ部傾きは4.5°、さらには4.0°以下とすることも可能である。なお、ここで言うカジリとは、型とキャビティ内の軽合金製ホイールとの表面同士が擦れてできた傷を指す。
【0008】
また、ハブ部及びデザイン部を含むディスク部とリム部を有する車両用軽合金製ホイールであって、前記ハブ部に設けられたボルト穴凹部のテーパ部傾きが5°以下であることを特徴とする車両用軽合金ホイールを製造することが可能である。これにより従来は表現し難かったボルト穴凹部の精密度さ、高級感等をさらに強調することができる。
【0009】
本発明は、ハブ部及びデザイン部を含むディスク部とリム部を有する車両用軽合金製ホイールのうち、ディスク部のみを金型で鋳造し、他リム部には別の製法で製造したものと接着させた2ピースホイールまたは3ピースホイールだけでなく、金型内に溶湯を充満させ難い1ピースホイールとして金型鋳造された車両用軽合金製ホイールとすることもできる。
【0010】
本発明においてスポーク部とはハブ部とリム部との間を橋絡する連結部であり、ディスク面同士の間を指す。また、スポーク部のテーパ部傾きとは、図4〜6に示すようにスポーク部の断面で見た場合、スポーク部の側面でホイールの回転軸方向に対して角度θで傾いている部分を指す。例えば図4に示すようにスポーク部34の垂直断面形状が意匠面側41が平坦でありテーパ部傾きが意匠面裏側まで一定である場合、当然テーパ部傾きの角度θはホイールの軸方向(A)とスポーク側面のテーパ部40とのなす角度である。また、図5に示すようにスポーク部の断面形状が意匠面側が凸形状でありテーパ部傾きが意匠面裏側まで一定である場合もホイールの軸方向とテーパ部とのなす角度である。さらに、図6に示すようにスポーク部の断面形状は、デザイン面正面から連続してテーパ部まで曲がっており、テーパ部が場所により異なる曲率をもつ場合、ホイールの軸方向となす角度が最も小さくなる部分での角度である。また、図4〜6はスポーク部のテーパ部はデザイン面表側から型締めされる型により形成されるものであるが、逆に裏側からあてがわれる型により成形されるものでもよく、その場合はスポーク部はデザイン面側が幅広で奥にいくに従い狭まる逆のテーパ部傾きとなる。また、スポーク部の輪郭の〜%以上の部分でテーパ部傾きが5.0°未満になるとは、デザイン面から見たスポーク部の輪郭の長さに対して、5°以下のテーパ部傾きが存在する部分の長さの割合を示すものである。例えば図1においてはデザイン面にY字型のスポークが複数設けられているが、Y字の枝分かれしている部分内側は5°以上のテーパ部傾きで、残りのY字の外側のみが5°未満のテーパ部傾きで形成されているとする。Y字の枝分かれしている部分内側の長さの輪郭の総和が144mmであり、残りのY字の外側が240mmであれば、240/(240+144)=0.625となり、62.5%が5°未満のテーパ部傾きを有する部分である。
【0011】
本発明においてスポーク部裏面の鋳抜き部とは、図7に記載したように、スポーク部の意匠面の裏側に形成した凹部44である。また、そのテーパ部傾きとは形成された凹部44の面のうち、ホイールの軸方向となす角度が最も小さくなる部分での角度である。また、その際に鋳抜き部44の底からデザイン面までの厚さ(以後、天井肉厚とする)T2は4mm以下とすることが可能である。
【0012】
本発明においてスポーク部の5.0°未満である部分の最小幅Wとは、スポーク部の垂直断面における幅の内、最も小さい部分である。スポーク部は一律に同じ太さでハブ部からリム部まで成形されておらず、場所により異なる。また、形状も複雑である為、テーパ部傾きが5.0°未満である部分と5.0°以上である部分とが混在する。当然ながらスポーク部の断面積が小さいと溶湯の湯流れ性が悪くなる為鋳造欠陥がおきやすい。テーパ部傾きが5.0°未満でスポーク部の幅が5mm以下であるとリム部だけに湯口を設けたサイドゲート法や、ディスク部だけに湯口を設けたセンターゲート法では前記部分で溶湯の流れが抑制される為、成形状態の悪化や鋳造サイクルが遅くなるなどの方案的な問題が発生する。リム部とディスク部とに複数湯口を設けることでテーパ部傾きが小さく、かつ幅が狭いスポーク部を成形することができる。
【0013】
図4〜5にしめすように鋳抜き部のないスポーク部であれば、テーパ部傾きが5°以下でもスポーク部の最小幅Wは4.0mm以下、厚さT1を25mm以上とすることが可能である。また、スポーク部裏面に鋳抜き部の有るものでもスポーク部の最小幅は4.5mm以下、厚さT1を30以上とすることが可能であり、天井肉圧は5mm以下とすることが可能である。また、テーパ部傾きは4.0°以下、さらには3.5°以下とすることも可能である。
【0014】
また、本発明はアルミニウム合金製ホイールに限らずマグネシウム合金製ホイールなどにも適用可能である。
【0015】
本発明を実施するために湯口だけでなく金型から凝固したホイールを取り出す際に、厳密な金型の駆動制御が必要である。ディスク部を形成する下型または上型を型開けする際、可動プラテンを3ヶ所以上で同期に押し上げする平行制御駆動装置を用いて動かすことが好ましい。上型プラテンに同期ピストンを設け、上板を押し上げ、最下端の位置にある上板を20〜30mm程度の高さまで平行に移動させればよい。もしくは下型プラテンに3ヶ所以上の同期の油圧シリンダを設けて、直接可動プラテンを押し上げても良い。2ヶ所以下であると可動プラテンが傾きやすく、テーパ部傾きの小さい製品は作り難い。
【0016】
従来のホイール鋳造機においては単に1本の油圧シリンダで可動プラテンを引き上げ、単純に型開きを行っていた。しかしホイールの鋳造においては下型プラテンの近傍に保持炉を備える構造であり、そのような構成においては下型プラテンが熱膨張しやすい。上型プラテンと下型プラテンの熱膨張による寸法差が異なる為、ガイドの内径とガイドポストの外径とは0.3〜0.5mm程の隙間を取る必要がある。しかしこの隙間により可動プラテンは絶えずどこか一方で傾きながら上昇するという現象を起こす。スポーク部やハブ部の凹部等に6.0〜8.0°のテーパ部傾きが設けているものであれば上記可動プラテンの傾きは問題にならない許容範囲であり、成形品の形状を損なうことなく製品を離型することができたが、テーパ部傾きが5°未満の製品ではこの傾きが起こるとスポーク部やハブ部の凹部でカジリが発生しやすい。下型からの離型時、製品は400〜450℃有り、強度が低い。特にデザイン面が複雑な形状をしている場合、下型に取られやすくまた引き抜き方向に対して強度が弱く、垂直にスムーズに上昇させないとデザイン部のカジリを起す。よって離型時の上型が備えられた可動プラテンの詳細な配慮は非常に重要な技術である。上型が下型に対して平行上昇しなければいけない距離は、型締め位置から最大で5〜20mm程度である。それより上昇してしまえば多少可動プラテンが傾いてもデザイン面と下型がぶつかることは無い。この程度まで厳密な制御によって可動プラテンを持ち上げるためには上型または上型と固着している可動プラテンでの3箇所以上を同時に同じ移動量で押し上げる平行移動制御をさせる必要がある。4本同期の垂直シリンダ方式が特に有効である。シリンダの駆動は電流制御バルブやサーボバルブを用いれば良い。
【0017】
また、鋳造上型は一般的に200KN型締め力で下型を押している。油圧で10MPa程度である為、この10MPaを0.01秒未満の速さで実質0MPaにまで落とすと鋳造機にかかる応力による変形も1度に開放され、油圧回路中にサージ圧が発生し、これにより鋳造機全体が振動し、可動プラテンが下型に対して平行に移動しなかったり、下型に対して上型が横方向に移動し、下型とデザイン面のカジリを起こしやすくする。実際のバルブが全開になるまでの時間は0.02秒ほどであるが、型締め力が0MPaになるのはその半分ほどの時間である。よって型締め力を0.05秒以上、さらに好ましくは0.10秒以上の長い時間をかけて型締め力を抜くことで急激な油の減圧による鋳造機の衝撃を和らげ、結果カジリの無いデザイン面を成形可能である。
【0018】
また、型締めの際には不要な振動・応力を与えないように型締め力を上げていくことが好ましい。急激に型締めを行うと鋳造記全体に振動が発生してしまう。可動プラテンや下型の重量を総和すると3〜4トン近くなり、上型プラテンや下型プラテンに、垂直方向に1mmほどの応力歪を発生させる。また、型締めの際、平行方向にも影響を与える為、テーパ部傾きの少ないアルミホイールを製造するには所定の速度で型締めを行うことが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図面により説明する。図2は本願発明の車両用軽合金製ホイールの鋳造を行う1例で、アルミニウム合金製のホイールを通常の低圧鋳造で行う場合の設備の概略を示す図である。密閉容器1内に保持炉2があり、密閉容器1の上に下型プラテン3が取り付けられ、密閉容器1を密閉している。下型プラテン3には中央部にアルミニウム合金の溶湯5を金型に補給するストーク4bが取り付けてあり、ストーク4bの下端は保持炉2中の溶湯5に浸漬されている。ストーク4bの上端は、下型プラテン3および金型の下型8に嵌入された湯口ブッシュ6を介し金型の湯口部7に連なっている。ストーク4bを介して注湯される溶湯は下型8に流れ込み、ホイールのハブ部を形成するキャビティに注湯される。
【0020】
金型の下型8は下型プラテン3に取り付けられている。下型8は固定型で、ホイールではデザイン部を形成する面である。本実施例においては最小のテーパ部傾きを3.5°とし、スポーク部の断面形状を図6に鋳抜き部を設けたものとした。また、厚さT1は30mm、最小幅wを40mm、天井肉圧を10mmとした。両横は横可動型10で、ホイールのリム部の外周面を形成する。金型の上型12は、可動プラテン14に取り付けられている。上型12は所謂可動型で、ホイールを車に取り付けるデザイン部裏面及びリム部の内周面を形成する。可動プラテン14はガイドポスト15に固着されており、ガイドポスト15は上型プラテン13に備えられたガイド16に沿って上下に動くことが可能である。また、前記ガイドポスト15は上端を上板17に固定され、上型プラテンに備えられた油圧シリンダ21がこの上板を動かし、それに追従して可動プラテン14および上型12が上下して動く。図2中、上板17が最下端まで来た位置を破線で示す。この最下端の位置は上型12が横型10および下型8と型締めされた際の位置である。
【0021】
鋳造作業は、以下の手順による。下型8、上型12、横型10の金型を閉じた後、空気や不活性ガス等の0.02〜0.05MPaの加圧気体を加圧気体送入管18より密閉容器内1に送り込む。送り込まれた加圧気体により、保持炉2内で約700℃に保持されたアルミの溶湯5がストーク4bを介して押し上げられ金型温度を350〜450℃に保持された金型内のキャビテイに入る。金型のキャビテイ部は保温と離型を兼ねた塗型でコーテイングが施してある。約2〜3分の後、加圧を排気し、未凝固のストーク4内の溶湯5を保持炉2に戻し、金型内の溶湯が凝固するのを待つ。金型内の溶湯の凝固が完了し、約400〜450℃の取り出し温度に達したところで金型を開き、上型に鋳造製品(ホイール)がついた状態のまま上型を上昇させる。ある程度上昇した時点で上型プラテンに固着した押し出しピンによりホイールを上型から離し脱着アーム11を用いてホイールを取り出す。このサイクルを繰り返し、製品を鋳造していく。
【0022】
(参考例1)
図8に0.10秒より長時間かけて下降油圧圧力を10MPaから0MPaにまで落とし、上型を下型に対して上昇させたときの下降油圧にかかる圧力変動と可動プラテンの変位を示す。実際には0.20秒で油圧圧力を0MPaまで落とした。図中点線で示す右上がりの線が可動プラテンの型締め位置からの変位を示す。また、可動プラテンの変位の測定位置は可動プラテンの各々4隅(1780×1020mm)で測定した。まず、図2に示す鋳造機の可動プラテンの4隅に反射式レーザを取り付け、型締め位置から上昇80mmまで0.05mmの精度で4ヶ所同時に連続データを測定し、上昇時の下型に対する平行度を求めた。平行度測定と同時に上型の型締め、離型時の油圧圧力の変化を測定するため最大20MPaの圧力センサーを上型シリンダ接続口に取り付け、油圧圧力を連続測定した。
【0023】
図8に示すように油圧は0.20秒を通して徐々に下がり鋳造機に振動を与えることはなかった。さらに可動プラテンは終始ほとんど傾かずに上型プラテンに対して平行度を保ったまま上昇していくことを確認した。またスポーク部のテーパ部傾きの50%以上の部分で5°以下の車両用軽合金ホイールを20ヶ製造し、デザイン面でのカジリ、変形があるか観察を行った。意匠面のカジリの発生は確認されず、良好な形状を有するホイールが得られた。
【0024】
(参考例2)
図3に示す鋳造機を用い、その他は実施例1と同様にして車両用ホイールの製造を行った。実施例1と異なり、ストーク4a、4cは複数設けるとともに溶湯は下型8を通って横型10に流れ込み、ホイールのリム部を成形するキャビティに注湯される。また、前記ストーク4a、4cから注湯される溶湯5はリムの周方向に流れやすいように、キャビティのホイール軸に向かう方向から若干角度をつけて溶湯の流れを抑制している。車両用軽合金ホイールを20ヶ製造し、デザイン面でのカジリ、変形があるか観察を行ったが、意匠面のカジリの発生は確認されず、良好な形状を有するホイールが得られた。
【0025】
(参考例3)
ストークを計3本用いて鋳造を行った。内1本は実施例1と同様にホイールのハブ部を形成するキャビティに注湯されるようにした。また、残り2本は実施例2のように横型10に流れ込み、ホイールのリム部を成形するキャビティに注湯されるように構成した。また下型の形状を換え、テーパ部傾きが3.5°とし、スポーク部の断面形状を図4に示すものとした。また、厚さT1は30mm、最小幅Wを4.0mmとし、スポーク部のテーパ部傾きの50%以上の部分でテーパ部傾き3.5°とした。その他は実施例1と同様の鋳造条件で車両用ホイールを20ヶ製造した。ホイールの意匠図面を図1に示す。この形状での意匠面のカジリの発生は確認されず、良好な形状を有するホイールが得られた。
【0026】
(参考例4)
実施例3と同様にストークを計3本用いて鋳造を行った。また下型および上型の形状を換え、スポーク部の断面形状を図7に示すものとした。意匠面側のテーパ部傾きを3.5°とし、スポーク部裏面の鋳抜き部でのテーパ部傾きを5°とした。また、厚さT1は30mm、天井肉厚は5mm、最小幅Wを4.5mmとし、スポーク部のテーパ部傾きの50%以上の部分でテーパ部傾き3.5°とした。その他は実施例1と同様の鋳造条件で車両用ホイールを20ヶ製造した。この形状での意匠面のカジリの発生は確認されず、良好な形状を有するホイールが得られた。
【0027】
(比較例1)
比較として図9に0.01秒の速さで下降油圧圧力を10MPaから0MPaにまで落とし、上型を下型に対して上昇させたときの下降油圧にかかる圧力変動と可動プラテンの変位を示す。他鋳造条件、測定方法は実施例1と同じである。
【0028】
図9に示すように油圧は急激に下がり、その後激しい変動を5回ほど繰り返した。変動が納まったのは油圧を下げ始めた瞬間から約0.1秒後である。この激しい変動を起因として可動プラテンが傾き、下型に対して傾いたまま上昇していくことを確認した。可動プラテンの各4隅の最大の変位は3〜5mmほど上昇した位置であり、最大1.5mmほどの変位差が確認された。実施例1と同形状の車両用軽合金ホイールを20ヶ製造し、デザイン面でのカジリがあるか観察を行った。その結果程度の差はあるが、すべてのホイールにおいてカジリの発生が確認され、外観性が悪化していた。
【0029】
(実施例1)ディスク部を形成する下型または上型を型開けする際、上型プラテンに4本同期ピストンを上板に設け、最下端の位置にある上板を20〜30mm程度の高さまで平行を保ちながら上昇させた。また、上型と下型との間には高さ20mm、ほどのガイドピンを設け、水平方向に移動することが無いようにした。鋳造機は比較例1に記載のものと同様のものを使用した。
【0030】
比較例1と同様に0.01秒で下降油圧圧力を10MPaから0MPaにまで落とし、上型を下型に対して上昇させたときの下降油圧にかかる圧力変動と可動プラテンの変位を測定した。その結果、油圧の変動は比較例1と同様であったが、可動プラテンの変動はほぼ一定に増加傾向を示し、下型から20〜30mm程度の高さまでは4本同期ピストンの制御をもとに、平行を保ったまま可動プラテンが上昇することを確認した。
【0031】
(参考例5)ハブ部に成形されるボルト穴凹部36のテーパ部傾きを4°とし、凹部の深さを20mmとするように下型8を形成した。その他は実施例3と同様にして車両用軽合金ホイールの製造を行った。その結果ボルト穴凹部でのカジリの発生は無く、良好な鋳肌であるAC4CH製のアルミホイールが製造可能であることを確認した。
【0032】
【発明の効果】
以上に記述の如く、本発明によれば、鋳造無加工でもテーパ部傾きの小さいスポーク部を成形することが可能である。また、従来にない細い印象を与えるスポーク部を成形することも可能であるため、シャープな印象を与える車両用軽合金ホイールをスポーク部のテーパ部を加工することなく製造でき、安価に提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るホイールのディスク部正面図である。
【図2】本発明に用いた鋳造機の1例である。
【図3】本発明に用いた別の鋳造機の1例である。
【図4】テーパ部傾きの形状を示す1実施例である。
【図5】別のテーパ部傾きの形状を示す1実施例である。
【図6】別のテーパ部傾きの形状を示す1実施例である。
【図7】別のテーパ部傾きの形状を示す1実施例である。
【図8】実施例の型開けにおける油圧とプラテンの移動量の変化を示す図である。
【図9】従来の型開けにおける油圧とプラテンの移動量の変化を示す図である。
【図10】従来のホイールのディスク部正面図である。
【符号の説明】
1:密閉容器、2:保持炉、3:下型プラテン、4:ストーク、5:溶湯、6:湯口ブッシュ、7:湯口部、8:下型、9:ガイドピン、10:横型、11:脱着アーム、12:上型、13:上型プラテン、14:可動プラテン、15:ガイドポスト、16:ガイド、17:上板、18:加圧気体挿入管、20:4本同期ピストン、21:油圧シリンダ、30:アルミホイール、31:ハブ部、32:デザイン部、33:リム部、34:スポーク部、35:意匠穴、36:ボルト穴凹部、40:テーパ部傾き、41:意匠面側、42:天井肉圧、43:鋳抜き部テーパ部傾き、44:鋳抜き部
Claims (4)
- ハブ部及びデザイン部を含むディスク部とリム部を有する低圧鋳造法により製造した車両用軽合金ホイールであって、前記車両用軽合金ホイールは低圧鋳造の型開きの際、ガイドポストを介して可動プラテンに連結される上板を 3 ヶ所以上で同期に押し上げする平行制御駆動装置を用いて製造したものであり、前記ディスク部は金型鋳造により成形されたカジリの無いスポーク部をデザイン部に備え、かつ前記スポーク部のテーパ部傾きは少なくとも一部が5.0°未満であることを特徴とする車両用軽合金ホイール。
- 前記スポーク部は、スポーク部の輪郭の30%以上の部分でテーパ部傾きが5.0°未満になるよう形成されている請求項1に記載の車両用軽合金ホイール。
- 前記テーパ部傾きが5.0°未満となる部分のスポーク部最小幅が5mm以下でかつ厚さが20mm以上である請求項1または2のいずれかに記載の車両用軽合金ホイール。
- 全体が一体で金型鋳造された請求項1〜3のいずれかにに記載の車両用軽合金ホイール。
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