JP2003071948A - タイヤ成形装置における部材圧着装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】未加硫タイヤに対してタイヤ周方向に不必要な
変形を与えず、均一な部材の圧着を行うことが出来るタ
イヤ成形装置における部材圧着装置を提供する。 【解決手段】部材圧着装置は、成形工程中の未加硫タイ
ヤＷの外径を覆うように形成された環状のクランプ本体
１と、このクランプ本体１の内側に設けられたクランプ
部材２に取付けられた膨張・収縮可能な環状のゴム状弾
性袋体３とで構成されている。クランプ本体１に設けら
れたクランプ部材２は、タイヤ径方向（図２においてＰ
ーＰ）に対して直交する向きに配設され、このクランプ
部材２の内側に前記ゴム状弾性袋体３が気密的に装着さ
れている。このゴム状弾性袋体３は、クランプ部材２へ
の装着部３ａからタイヤ踏面部４のキャップトレッド等
の成形部材５との非接触部位Ｘまでは剛性を高く形成
し、その他の成形部材５との接触部位Ｙは剛性を低くな
るように構成してある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、タイヤ成形装置
における部材圧着装置に係わり、更に詳しくはタイヤ構
成材料の第１成形部材と第２成形部材とを圧着させる
際、未加硫タイヤに対してタイヤ周方向に不必要な変形
を与えず、均一な部材の圧着を行うことが出来るタイヤ
成形装置における部材圧着装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ラジアルタイヤの成形工程では、第１段
成形工程で貼付けられた第１成形部材（例えば、サイド
トレッド）と、第２段成形工程で貼付けらる第２成形部
材（例えば、キャップドトレッド）とを圧着させる工程
がある。

【０００３】従来、このような圧着工程では、第１成形
部材と第２成形部材とのセンター部分だけを部分接触さ
せた疑似接合体を回転させ、第１成形部材と第２成形部
材との接合部分を回転自在な圧着円板（トレッドステッ
チャーと呼称されている）を圧着（またはしごきなが
ら）させて外力によって完全圧着状態に形成していた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】然しながら、このよう
な従来の圧着方法では、タイヤラジアル方向に配設され
たゴム被覆コード（カーカスと呼称されている）を回転
時の剪断力により回転方向に変形させたり、未加硫タイ
ヤ自体を捩じる等の問題が発生し、製品性能に影響を与
えていた。

【０００５】一方、従来技術として、ブラダーと呼称さ
れるゴム状弾性袋体を使用して圧着させる方法が提案さ
れている。

【０００６】この発明の目的は、未加硫タイヤに対して
タイヤ周方向に不必要な変形を与えず、均一な部材の圧
着を行うことが出来タイヤ成形装置における部材圧着装
置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明は上記目的を達
成するため、クランプ部材を、タイヤ径方向に対して直
交する向きに配設し、前記ゴム状弾性袋体は、クランプ
部材への装着部から成形部材との非接触部位までは剛性
を高く形成し、その他の成形部材との接触部位は剛性を
低くなるように構成したことを要旨とするものである。

【０００８】前記ゴム状弾性袋体の非接触部位は、変形
を拘束するための補強部材を埋設し、ゴム状弾性袋体の
接触部位は、ゴム状弾性材料単体または変形可能な補強
部材を埋設して構成するものである。

【０００９】このように、クランプ部材を、タイヤ径方
向に対して直交する向きに配設し、前記ゴム状弾性袋体
は、クランプ部材への装着部から成形部材との非接触部
位までは剛性を高く形成し、その他の成形部材との接触
部位は剛性を低くなるように構成したことにより、未加
硫タイヤに対してタイヤ周方向に不必要な変形を与え
ず、均一な部材の圧着を行うことが出来、部材の温度に
係わらず同一変形状態を得ることが可能である。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づき、この発
明の実施形態を説明する。

【００１１】図１は、この発明を実施した左右分割型の
部材圧着装置の一部切欠した斜視図、図２はこの発明の
部材圧着装置を説明するための概略構成図を示し、前記
部材圧着装置は、成形工程中の未加硫タイヤＷの外径を
覆うように形成された環状のクランプ本体１と、このク
ランプ本体１の内側に設けられたクランプ部材２に取付
けられた膨張・収縮可能な環状のゴム状弾性袋体３（主
としてゴム材料で構成される）とで構成されている。

【００１２】前記クランプ本体１に設けられたクランプ
部材２は、タイヤ径方向（図２においてＰーＰ）に対し
て直交する向きに配設され、このクランプ部材２の内側
に前記ゴム状弾性袋体３が気密的に装着されている。

【００１３】このゴム状弾性袋体３は、図２及び図３に
示すように、クランプ部材２への装着部３ａからタイヤ
踏面部４のキャップトレッド等の成形部材５との非接触
部位Ｘまでは剛性を高く形成し、その他の成形部材５と
の接触部位Ｙは剛性を低くなるように構成してある。

【００１４】即ち、ゴム状弾性袋体３は、クランプ部材
２への装着部３ａ、即ち、組み込み部から成形部材５と
の接触部近傍までの非接触部位Ｘは変形を拘束するため
に、例えば、繊維等の積層構造体にゴム被覆した補強部
材６を埋設し、またゴム状弾性袋体３の接触部位Ｙは、
成形部材５との接触を容易にするために、ゴム状弾性材
料単体またはラジアル方向にのみナイロン等の有機繊維
等で補強したゴム複合体から成る補強部材を埋設してあ
る。

【００１５】このように、この発明の実施形態における
部材圧着装置のゴム状弾性袋体３は、成形部材５との非
接触部位Ｘと接触部位Ｙとの剛性を変化させるように構
成することで、ゴム状弾性袋体３にクランプ部材２の圧
力流体給排通路７を介して所定圧力（例えば、50Kmp 〜
200Kmp) の圧力流体を導入して圧着を開始させると、ゴ
ム状弾性袋体３は図２に示すように、横方向への形状変
化は拘束され、圧着方向のみに変形するので、該ゴム状
弾性袋体３はタイヤ踏面部４の成形部材（キャップトレ
ッド）５の最大肉厚近傍（Ａ点）から接触を開始し、除
々に成形部材５のエッジ部５ａに向かって均一に圧着す
ることが出来るのである。

【００１６】このように、この発明の実施形態では、未
加硫タイヤＷを回転させることなく部材圧着装置のゴム
状弾性袋体３を膨張させるだけで、変形必要部全体にゴ
ム状弾性袋体３が接触可能となる上、ゴム状弾性袋体３
の非接触部位Ｘは横方向へ変形することを抑制すること
で、強い圧着力を確保でき、成形部材５の圧着部では均
一な圧着が可能となるものである。

【００１７】なお、上記の実施形態では、左右分離型の
部材圧着装置について説明したが、左右分離型の部材圧
着装置に適用することも可能である。

【００１８】

【発明の効果】この発明は、上記のようにクランプ部材
を、タイヤ径方向に対して直交する向きに配設し、前記
ゴム状弾性袋体は、クランプ部材への装着部から成形部
材との非接触部位までは剛性を高く形成し、その他の成
形部材との接触部位は剛性を低くなるように構成したの
で、以下のような優れた効果を奏するものである。(a).
未加硫タイヤに対してタイヤ周方向に不必要な変形を与
えず、均一な部材の圧着を行うことが出来る。(b).部材
の温度に係わらず、ゴム材料の特質である非圧縮性と接
触部分の面積が広いことから、同一変形状態が得られ、
圧着性能も向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明を実施した左右一体型の部材圧着装置
の一部切欠した斜視図である。

【図２】この発明の部材圧着装置を説明するための概略
構成図である。

【図３】部材圧着装置による部材圧着時の説明図であ
る。

【符号の説明】

Ｗ 未加硫タイヤ １ 環状のクランプ本体 ２ａ，２ｂ クランプ部材 ３ ゴム状弾性袋体 ４ タイヤ踏面部 ５ 成形部材（キャップトレッド） ５ａ 成形部材のエッジ部 ６ 補強材 ７ 圧力流体給排通路 ＰーＰ タイヤ径
方向 Ｘ 非接触部位 Ｙ 接触部位

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 膨張・収縮可能な環状のゴム状弾性袋体
   と、このゴム状弾性袋体を保持する環状のクランプ部材
   とで、タイヤ構成材料の第１成形部材と第２成形部材と
   を圧着させるタイヤ成形装置における部材圧着装置にお
   いて、 前記クランプ部材を、タイヤ径方向に対して直交する向
   きに配設し、前記ゴム状弾性袋体は、クランプ部材への
   装着部から成形部材との非接触部位までは剛性を高く形
   成し、その他の成形部材との接触部位は剛性を低くなる
   ように構成して成るタイヤ成形装置における部材圧着装
   置。
2. 【請求項２】 前記ゴム状弾性袋体の非接触部位は、変
   形を拘束するための補強部材を埋設し、ゴム状弾性袋体
   の接触部位は、ゴム状弾性材料単体または変形可能な補
   強部材を埋設した請求項１に記載のタイヤ成形装置にお
   ける部材圧着装置。