JP2003071884A - 表面にシボを有するfrp成形品とその製造方法 - Google Patents

表面にシボを有するfrp成形品とその製造方法

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JP2003071884A JP2001266893A JP2001266893A JP2003071884A JP 2003071884 A JP2003071884 A JP 2003071884A JP 2001266893 A JP2001266893 A JP 2001266893A JP 2001266893 A JP2001266893 A JP 2001266893A JP 2003071884 A JP2003071884 A JP 2003071884A
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fiber
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frp
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Kazuki Nagayama
和樹 長山
Shinya Isoi
伸也 礒井
Hideaki Tanisugi
英昭 谷杉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長繊維により補強された熱可塑性樹脂を用いて
も、成形品の表面をサンディングしたり、塗装したりせ
ずとも良好な成形品外観を得ることが可能なシボ性状を
有するシボが形成された熱可塑性FRP成形品およびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】熱可塑性樹脂と補強繊維より形成される成
形品において、表面にシボが形成されており、かつ成形
品中の補強繊維の平均繊維長が0.1mm〜7mmであ
ることを特徴とするFRP成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シボが形成された
熱可塑性FRP成形品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂からなる射出成形品は、例え
ば、機能部品、機構部品などの構造部品や、事務機器、
電子端末機器、携帯電話などのハウジングに広く用いら
れている。特に、炭素繊維で補強された樹脂からなる射
出成形品は、優れた機械的特性と高い電磁波シールド性
を有するため、コンピュータの端末機器、携帯電話など
のハウジングに広く用いられている。
【0003】熱可塑FRP成形品の多くは、射出成形法
により製造されている。射出成形法を用いて所望の熱可
塑性樹脂からなる射出成形品を製造する場合、その樹脂
の金型内のフローや、そのフローパターン(ゲートレイ
アウト)により、一般にフローマークやジェッティン
グ、ウエルドラインがその成形品表面に発生する。該F
RP成形品を外観部品に適用する場合、先のフローマー
クやジェッティング、ウエルドラインが問題となり、成
形品表面に塗装などを施して該表面欠陥を隠蔽すること
が必要になったり、また成形品表面にシボを形成し前述
の外観不良を隠蔽することを実施していた。
【0004】しかしながら、長繊維で補強された成形品
を射出成形する場合、特に、パーソナルコンピュータの
端末機器の筐体のような形状が複雑でサイズの大きい成
形品を射出成形する場合、用いられる熱可塑性樹脂と補
強繊維との混合物からなる溶融樹脂の流動性はあまり良
くない。そのため、溶融樹脂を射出するための多数のゲ
ートを使用する多点ゲート成形が用いられる。そのた
め、前述の外観不良などが顕著に発生し、製品性能には
優れるが、その外観不良を隠蔽するために塗装やサンデ
ィングなど多大な工数を投入し、また環境負荷の大きな
製品を製作することとなっていた。また、一般の汎用樹
脂やエンプラに適用していたシボを形成する手法に関し
ては、ほとんど知見がなくまた検討には膨大な工数や費
用が必要となるため、現在まで全く検討されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、成形品中の
平均繊維長(重量平均)が0.1mm以上の繊維である
長繊維により補強された熱可塑性樹脂を用いても、成形
品の表面をサンディングしたり、塗装したりせずとも良
好な成形品外観を得ることが可能なシボ性状を有するシ
ボが形成された熱可塑性FRP成形品およびその製造方
法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め本発明は以下の構成を採用する。すなわち、 (1)熱可塑性樹脂と補強繊維より形成される成形品に
おいて、表面にシボが形成されており、かつ成形品中の
補強繊維の平均繊維長が0.1mm〜7mmであること
を特徴とするFRP成形品。
【0007】(2)前記成形品の表面に形成されるシボ
が、JIS B 0601で定義される十点平均粗さで
5〜100μmであることを特徴とする前記(1)に記
載のFRP成形品。
【0008】(3)前記成形品の表面に形成されるシボ
が、JIS Z 8741で定義される鏡面光沢度(6
0°)で0.1〜20.0であることを特徴とする前記
(1)または(2)に記載のFRP成形品。
【0009】(4)前記補強繊維が炭素繊維であること
を特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のF
RP成形品。
【0010】(5)(a)マトリックス樹脂を熱可塑性
樹脂とし、該マトリックス樹脂中に平均繊維長が0.1
mm〜7mmである補強繊維を混入させて樹脂ペレット
を形成し、該樹脂ペレットを射出成形機の樹脂溶融シリ
ンダー内で220〜350℃に加熱し溶融し、前記繊維
が分散して混在する樹脂溶融物を準備する第1工程と、
(b)該第1工程にて得られた前記樹脂溶融物を、表面
温度が30〜140℃に保たれた表面にシボを形成する
成形品を成形する金型のキャビティー内へ注入し、溶融
物を前記金型内で固化せしめた後、前記金型を開放し、
成形された成形品を取り出してなる第2工程とからなる
FRP成形品の製造方法。
【0011】(6)前記表面にシボを形成する成形品を
成形する金型の表面温度が50〜140℃に保たれてい
ることを特徴とする前記(5)に記載のFRP成形品の
製造方法。
【0012】(7)前記第2工程において、1回の射出
成形に必要な樹脂量(体積)の20〜100%を1秒以
内にキャビティー内に注入することを特徴とする前記
(5)または(6)に記載のFRP成形品の製造方法。
【0013】すなわち、本発明においては、熱可塑性樹
脂と補強繊維より形成される成形品において、該補強繊
維が外観不良の原因となる長繊維であっても、その成形
品(金型)表面にシボを形成することにより、外観不良
を隠蔽することを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】まず、図面の簡単な説明を以下に
行う。
【0015】図1は、射出成形機の一例を示す模式図で
ある。符号1は射出成形機にセットされた金型であり、
符号2は樹脂溶融シリンダーである。
【0016】図2は、金型の一例を示す模式図である。
符号3は、溶融した樹脂を注入し、シボが形成された成
形品を得るキャビティーであり、符号4は、前記キャビ
ティーに溶融した樹脂を注入するための樹脂流路である
スプルランナーである。
【0017】図3は、前記キャビティー3の拡大図であ
る。符号5は金型表面に形成されたシボであり、符号6
が成形品表面側、符号7が成形品裏面側である。
【0018】図4は、前記金型により成形されたシボが
形成された成形品の一例を示す断面図である。
【0019】図5は、ホットランナー射出成形装置の一
例を示す模式図である。符号8は、前記ホットランナー
射出成形装置内に組み込まれたホットランナースプルで
あり、符号9はマニホールドである。Lは前記ホットラ
ンナースプル8の長さである。
【0020】図6は、前記ホットランナー射出成形装置
により成形された成形品のゲート部の模式図である。符
号10は、成形品表面に認められる前記ホットランナー
スプル8のブッシュマークであり、符号11は、ホット
ランナースプル内に配されたバルブピン跡(ゲート跡)
である。
【0021】図7は前記図6のブッシュマーク10付近
の断面図である。Hはバルブピン跡11により形成され
たピン跡深さであり、Wはバルブピン跡11により形成
されたピン直径である。
【0022】次に、本発明を構成する各要素の説明を行
う。本発明のFRP成形品を形成する繊維補強熱可塑性
樹脂は、(a)繊維補強材と(b)熱可塑性樹脂から構
成される。 (a)ここでいうところの繊維補強材は、射出成形にて
得られた成形品中に含まれる補強繊維の平均繊維長が
0.1mm以上である補強繊維である。 本発明のFR
P成形品における平均繊維長は、重量平均繊維長であ
り、その測定法は、次の通りである。 (i)成形品から、縦10mm×横10mm(厚みは任
意)の大きさの測定片を切り出す。 (ii)測定片を溶剤に24時間浸漬し、樹脂成分を溶解
する。溶剤は、成形品のベース樹脂を溶解せしめ得るも
のを適宜選択する。例えば、樹脂が、ナイロン系の場合
は、ギ酸を選択することができる。樹脂が、ポリカーボ
ネートの場合は、ジクロロメタンまたはオルトクロロフ
ェノールを選択することが出来る。測定片の樹脂部分を
溶解したあとには、強化繊維を含む無機物が残存する。 (iii)強化繊維を顕微鏡にて10〜100倍の倍率で
観察し、視野内の強化繊維の中で任意の400本につい
て繊維長を測定する。 (iv)個々の繊維の繊維長をLiとし、次式に基づき、
重量平均繊維長Lwを求める。
【0023】式: Lw=(ΣLi2 )/(ΣLi) 成形品中の平均繊維長が、0.1mm未満の場合、成形
品の機械的特性(例えば、曲げ弾性率、引張強度)が低
下する。高剛性が要求される成形品の場合、平均繊維長
が長い方が有利である。この場合の平均繊維長は、0.
2mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であ
ることがより好ましい。
【0024】一方、成形品中の平均繊維長が、7mmを
越える場合、大きな繊維補強効果は期待できるものの、
成形品中の繊維分散に偏りが存在することが懸念され
る。繊維分散の偏りは、成形品の外観のムラ、機械特性
のばらつきをもたらし、安定生産、安定収率を得ること
を難しくする。
【0025】したがって、以上のことから、適切な成形
品中の平均繊維長は、安定生産、安定収率を保持する観
点から、0.1mm〜7mmが好ましく、高剛性、耐衝
撃特性を保持する観点から、0.2mm〜7mmがより
好ましく、0.3mm〜7mmがさらに好ましい。
【0026】ここで、補強繊維としては、ガラス繊維、
炭素繊維、アラミド繊維などを例示できる。これら例示
した補強繊維を単体で使用してもよいし、一定の比率で
複合して使用してもよい。
【0027】成形品の曲げ特性、強度の観点から、強化
繊維単体の引張弾性率は、10,000〜50,000
kgf/mm2 が好ましく、20,000〜30,00
0kgf/mm2 がより好ましい。同様に、強化繊維単
体の引張強さは、200〜600kgf/mm2 が好ま
しく、300〜550kgf/mm2 がより好ましい。
なお、ここでいうところの強化繊維の物性は、JIS
R 7601にて測定されるものである。
【0028】成形品中には、強化繊維が、成形性、特性
発現率などの点より、5〜40重量%含有されているこ
とが好ましく、より好ましくは、10〜30重量%であ
る。
【0029】電磁波シールド性を満足させるためには、
成形品の体積抵抗率を低減することが重要でかつ最も効
果が大きい。そのためには、成形品の体積抵抗率が、
0.0001〜0.01Ω・mであることが好ましい。
【0030】ここでいうところの体積抵抗率の測定方法
は次の通りである。まず、成形品から、長さL、幅b、
厚みhの短冊状の試験片を切り出す。この試験片の長手
方向両端を銅製の端子に接合して抵抗値Rを測定する。
これらデータより、体積抵抗率は、b×h×R/Lで表
される。
【0031】成形品の熱伝導率や線膨張率など機械特性
の向上ならびに成形品の体積抵抗率を低減させるために
は、強化繊維として、炭素繊維を用いるのが好ましい。
【0032】炭素繊維の密度は、1.65〜2.00で
あることが好ましく、1.70〜1.90であることが
より好ましい。炭素繊維の単糸径は、5〜9μmである
ことが好ましく、6〜8μmであることがより好まし
い。 (b)熱可塑性樹脂としては、射出成形可能なものであ
れば特に制限はない。ポリアミド樹脂、あるいは、ポリ
カーボネート樹脂が、好ましく用いられる。
【0033】ポリアミド樹脂とは、分子中に酸アミド結
合(−CONH−)を有するものである。具体的には、
ε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ω−エナ
ントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウ
ンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α
−ピレリドンなどから得られる重合体または共重合体、
ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウン
デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタ
キシリレンジアミンなどのジアミンとテレフタル酸、イ
ソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン
酸とを重縮合して得られる重合体または共重合体、もし
くは、これらのブレンド物などがある。
【0034】成形品の機械的特性、成形品の表面特性か
ら、6−ナイロン、66−ナイロンが好ましく用いら
れ、6−ナイロンが特に好ましく用いられる。
【0035】上記のポリアミド樹脂には、他の樹脂を混
合することもできる。混合する樹脂としては、ポリプロ
ピレン、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリ
カーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、液晶ポリエステルなどがある。
【0036】ポリアミドと反応性を有するエステルなど
を持つポリマーを混合する場合は、必要に応じて反応を
抑制するために、ポリアミド末端を酸無水物などで予め
反応させて、末端封鎖を行うこともできる。
【0037】ポリアミド樹脂は、靭性が大きく、機械的
強度に優れている。
【0038】ポリカーボネート樹脂とは、一般に次の式
で示される炭酸とグリコール、または、2価フェノール
のポリエステルである。
【0039】式: −(−O−R−O−CO−)n−
(R:2価の脂肪族または芳香族基) Rは、次の式で示される構造を有するジフェニルアルカ
ンであると、融点が高く、耐熱性、耐光性、炭酸性など
の優れており、好ましい。
【0040】式: −Ar−CR'R”−Ar− (Ar:ベ
ンゼン環、R’、R”:H、CH3、C2 5 ) 特に次の式で示される2,2−ビス(4−オキシフェニ
ル)プロパンからなるポリ炭酸エステルが好ましい。
【0041】式: −(−O−Ar−CMe2 −Ar−O−C
O−)n− (Me:メチル基) これらの水素原子などが、ハロゲンや炭化水素基等で置
換されていても良い。
【0042】ポリカーボネート樹脂としては、それのみ
でも良いし、適当なアロイでも良い。
【0043】ポリカーボネート/ABS(アクリロニト
リル・ブタジエン・スチレン)(混合重量比は、20/
80−80/20が好ましく、より好ましくは、40/
60−60/40である)やポリカーボネート/ASA
(アクリロニトリル・スチレン・アクリルゴム)(混合
重量比は、20/80−80/20が好ましく、より好
ましくは、40/60−60/40である)。その他樹
脂とのアロイや混合物等も好ましく用いられる。
【0044】ポリカーボネート樹脂は、収縮性が低く、
低反り性に優れている。
【0045】ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂以
外の熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹
脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(P
BT)等のポリエステル系樹脂などがあげられる。
【0046】これら熱可塑性樹脂は、単独でも、混合物
でも、共重合体であっても良い。混合物の場合には、相
溶化剤を併用しても良い。
【0047】難燃剤として、臭素系難燃剤、シリコン系
難燃剤、赤燐などを加えても良い。リン酸エステルやカ
ーボンブラックを配合しても良い。
【0048】複数の種類の樹脂の混合物からなる熱可塑
性樹脂を用いる場合には、ポリアミド樹脂あるいはポリ
カーボネート樹脂を主成分とすることが好ましく、その
含有量は、60重量%以上であることが好ましい。
【0049】混合物中に、0.1〜10重量%の難燃
剤、または、0.1〜30重量%のカーボンブラックな
どを混入しても良い。
【0050】成形品の用途に応じて、染料、顔料、成形
性改良剤、発泡剤などを配合することができる。
【0051】本発明のFRP成形品の製造において、フ
ィラーを用いることができる。フィラーとしては、ワラ
ステナイト、セピオライト、チタン酸カリウム、ゾノト
ライト、ホスフェートファイバー、ドーソナイト、石膏
繊維、硫化モリブデン(MOS)、ホウ酸アルミ、針状
炭カル、テトラポット型酸化亜鉛、炭化珪素、窒化珪
素、気相成長炭素繊維、水酸化マグネシウム、水酸化ア
ルミニウム、塩基性硫酸マグネシウムなどの単体、もし
くは、これらの組み合わせでも良い。
【0052】ワラステナイト、セピオライト、チタン酸
カリウム、ゾノトライト、ホスフェートファイバー、ド
ーソナイト、石膏繊維、MOS、ホウ酸アルミ、針状炭
酸カルシウム、テトラポット型酸化亜鉛、炭化珪素、窒
化珪素、気相成長炭素繊維、水酸化マグネシウム、水酸
化アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウムの表面に炭素
被覆またはシランカップリング処理などを施したものを
単体、もしくは、これらの組み合わせとして使用しても
良い。
【0053】成形品の成形性、外観の点から、ワラステ
ナイト、セピオライト、チタン酸カリウムが好ましく、
成形品の低反り性、剛性、強度向上の観点等の各特性の
発現性の面から、チタン酸カリウム(K2 O・nT
2 )(n=1,2,4,6,8、n=8が特に好まし
い)がより好ましい。
【0054】前記チタン酸カリウム以外にも、針状フィ
ラーとして、チタン元素の各態様のものを用いることが
できる。金属状態のチタンでも良いが、他の元素と化合
したチタン化合物であることが好ましい。チタン化合物
としては、チタンの酸化物またはその関連化合物が好ま
しい。特に限定されるものではないが、NaTi6
13 、Rb2 Ti6 13が挙げられる。
【0055】酸化チタンは、球状あるいは塊状のものが
着色料として一般に使用されている。本発明では、酸化
チタンの低反り効果を利用し、成形品の低反り化を達成
する。
【0056】成形品中に含まれるフィラーの形状として
は、針状であっても塊状であってもフレーク状であって
も良い。針状が好ましく、その繊維長が、1〜500μ
mのものが好ましい。繊維長が、5〜100μmのもの
がより好ましく、10〜20μmのものがさらに好まし
い。成形品中に含まれる針状フィラーは、樹脂に予めコ
ンパウンドされていても良いし、フレーク状のままペレ
ットにブレンドされても良い。
【0057】成形品中に含まれるフィラーの含有量は、
0〜40重量%であることが好ましい。針状フィラーの
場合には、成形性などに及ぼす影響を考慮すると、その
含有量は、1〜25重量%が好ましく、5〜20重量%
がより好ましい。
【0058】針状フィラーのアスペクト比(繊維長/繊
維径)は、3〜500であることが好ましく、5〜40
0であることがより好ましい。10〜200であること
が更に好ましい。
【0059】針状フィラーは、各種の表面処理が行われ
ていても良い。例えば、化学的蒸着法(CVD)によ
り、炭素や酸化スズで被覆されたものが用いられる。導
電性を付与するためには、CVDやメッキ法により、
銀、ニッケル、銅などの各種金属が被覆されたものが用
いられる。
【0060】ポリアミド樹脂との接着性を改善するため
に、シランカップリング剤などによる表面処理が行われ
たものが用いられる。表面被覆とカップリング剤処理と
が併用されても良い。
【0061】これら種々の特徴を有する材料は、本発明
のFRP成形品の特性やそれを製造する工程の特性を考
慮し、適宜、用いられる。
【0062】成形された材料をそのまま成形品として使
用しても良いし、1度成形された材料を細かく粉砕して
(リグラインドして)、再度成形して、使用に供する成
形品としても良い。この粉砕材料(リグラインド材料)
は、幾回再利用したものでも良い。一度も粉砕していな
い材料(バージン材)に対して、前記粉砕材をある一定
量混入して使用しても良い。
【0063】この場合、バージン材に対して混入する粉
砕材料の混合比率は、成形品の機械特性を極端に低下さ
せない観点から、0〜50重量%が好ましく、特に耐衝
撃特性を極端に低下させない観点から、0〜40重量%
が好ましく、難燃特性を保持するために、0〜25重量
%が好ましい。
【0064】従来、多面体箱形形状を有する成形品で開
口部を有する場合、ポリアミド樹脂やポリカーボネート
樹脂などに代表されるエンジニアリングプラスチックな
らびにこのプラスチックに強化繊維を混入したもので
は、剛性を保つ面形状がないために、反りが懸念されて
いた。
【0065】しかしながら、本発明のFRP成形品にお
いて、微細なフィラー、特に好ましくは、針状フィラー
を用いることにより、局部的な成形収縮や剛性の不均一
さを抑え、結果として、開口部を有する筐体であって
も、反りの小さい筐体を提供することができる。
【0066】次に本発明の成形品表面に施されるシボに
ついて説明する。シボとは、FRP成形品の表面に意匠
性を持たせ、高級感を付与し、さらに表面の耐摩耗性を
向上することを目的として形成された人工的な模様であ
る。
【0067】通常射出成形FRP成形品は所望の形状を
得るために製作された金型内で形成(成形)される。し
たがって、シボは金型に施し、その模様を樹脂に転写さ
せて成形品に付与している。シボには、大別して特定の
形状を付与する(例えばスウェード調など)方法と、シ
ボ深さとその表面仕上げ状態を定義する方法がある。本
発明に適用している樹脂は、汎用樹脂が使用されている
範囲の形状のシボに対して適用可能で同一の形状を得る
ことができる。シボ深さは、表面粗さ計により測定され
る十点平均粗さ(以下Rz)で、表面仕上げ状態は鏡面
光沢度(60°)(以下Gs)で定義できる。
【0068】本発明のシボが適用できるRzの範囲は、
シボ意匠性を加味すれば、5〜100μmが好ましい。
また機器下部のケーシングのように、成形品外観が厳し
くない部位に適用する場合は、10〜100μmが好ま
しく、さらに一般の外観部品に適用される場合は、ウエ
ルド隠蔽効果を向上させるために20〜100μmが好
ましく、さらに、ノートパソコン筐体など外観に厳しい
製品に適用する場合は、ウエルド隠蔽とフローマークや
ジェッティング隠蔽のために30〜100μmが好まし
い。
【0069】また、本発明のシボが適用できるGsの範
囲は、シボ意匠性を加味して0.1〜15.0が好まし
く、機器下部のケーシングのように、成形品外観が厳し
くない部位に適用する場合は、0.1〜10.0が好ま
しく、さらに一般の外観部品に適用される場合は、ウエ
ルド隠蔽効果を向上させるために0.1〜8.0が好ま
しく、さらに、ノートパソコン筐体など外観に厳しい製
品に適用する場合は、ウエルド隠蔽とフローマークやジ
ェッティング隠蔽のために0.1〜6.0が好ましい。
なお、本発明における十点平均粗さRzの測定には株式
会社小坂研究所製表面粗さ測定器「サーフコーダー S
E−2300」を用い、鏡面光沢度Gs(60°)の測
定にはスガ試験器株式会社製「HANDY GLOSS
METER NO.CG1357」を用いる。
【0070】さらにまた、本発明のシボ形状において
は、山ピッチ(谷ピッチ)によっても成形品表面のウエ
ルド隠蔽性の程度に差を生じる。山ピッチは、凹凸の平
均間隔(Sm)で、外観が厳しくない部位に適用する場
合は、50〜5000μmが好ましく、さらに一般の外
観部品に適用される場合は、ウエルド隠蔽効果を向上さ
せるために50〜3000μmが好ましく、さらに、ノ
ートパソコン筐体など外観に厳しい製品に適用する場合
は、ウエルド隠蔽とフローマークやジェッティング隠蔽
のために50〜1000μmが好ましい。ここで、前記
Rz、Gs、Smの測定方法を説明する。RzとSmは
JIS B 0601で定義される。GsはJIS Z
8741で定義される。
【0071】このようにして得られる成形品には、 成
形品の外形寸法は、縦約10〜約5,000mm、横約
10〜約5,000mm、高さ約0.2〜約1,000
mmが好適である。
【0072】成形品の外形寸法が、縦約50〜約500
mm、横約100〜約1,000mm、高さ約0.2〜
約100mmで、成形品において、高さ約1〜約100
mm、幅約0.1〜約5mm、長さ約1〜約1,000
mmのリブが、少なくとも1つ存在し、あるいは、成形
品において、高さ約1〜約100mm、外径約1〜約5
0mmのボスが、少なくとも1つ存在する樹脂射出成形
品であることが好ましい。
【0073】より好ましくは、成形品の外形寸法が、縦
約50〜約300mm(さらに好ましくは、縦約100
〜約300mm)、横約100〜約400mm、高さ約
0.2〜約50mmで、成形品において、高さ約1〜約
50mm、幅約0.1〜約5mm、長さ約1〜約400
mmのリブが、少なくとも1つ存在し、あるいは、成形
品において、高さ約1〜約50mm、外径約1〜約50
mmのボスが、少なくとも1つ存在する樹脂射出成形品
である。
【0074】薄肉で、リブ、ボスが存在し、かつ、強化
繊維の繊維長が長い成形品で、細部に強化繊維が配置さ
れ難い場合、微細なフィラー、特に好ましくは針状フィ
ラーを用いることにより、フィラーが細部の隙間を充填
し、局部的な成形収縮や剛性の不均一さを抑え、結果と
して、低反り、高い機械的特性を有する成形品を製造す
ることができる。
【0075】成形品の曲げ弾性率が、500〜4,00
0kgf/mm2 であり、体積抵抗率が、0.001〜
0.01Ω・mである成形品が好ましい。
【0076】この成形品は、強化繊維が、5〜50重量
%含有され、強化繊維の平均繊維長が、0.1mm以上
で、針状フィラーが、0.01〜30重量%含有され、
針状フィラーとして、ワラステナイト、セピオライト、
チタン酸カリウム、ゾノトライト、ホスフェートファイ
バー、ドーソナイト、石膏繊維、MOS、ホウ酸アル
ミ、針状炭カル、テトラポット型酸化亜鉛、炭化珪素、
窒化珪素、気相成長炭素繊維、水酸化マグネシウム、水
酸化アルミニウム、あるいは、塩基性硫酸マグネシウム
の単体、もしくは、これらの組み合わせを含有する熱可
塑性樹脂ペレットを、射出成形装置に供給して製造され
る。
【0077】この場合、針状フィラーのアスペクト比
が、3〜500であることが好ましい。
【0078】この成形品は、表面が炭素被覆され、ある
いは、表面がシランカップリング処理されても良い。
【0079】本発明における筐体とは、物を納める器、
あるいは、物品において、機能性要素を覆う外殻構造部
分、あるいは、その内部を含めた全体を指す。このよう
な物品として、例えば、パーソナルコンピュータ、卓上
計算機、制御機器、電子式測定器、通信装置、プリンタ
ーあるいはイメージスキャナー等の精密電子機器や携帯
式電子装置または携帯電話や大型のプラズマディスプレ
イパネル(PDP)シャーシがある。この筐体は、直方
体形態で好ましく用いられる。パーソナルコンピュー
タ、特にノート型パーソナルコンピュータの筐体として
好ましく用いられる。
【0080】本発明のFRP成形品からなる筐体は、そ
の外観形状が、多面体箱形であることが好ましい。多面
体としては、直方体が代表的であるが、これに限定され
ない。非直方体、例えば、辺の成す角が直角でない部分
を有していたり、台形あるいは平行四辺形の形状を有し
ていても良い。すべての面が平面である必要はなく、少
なくとも1面に、湾曲面(凹面あるいは凸面)を有して
いても良い。
【0081】筐体における開口部の形状、あるいは、開
口部の開口割合は、所望の筐体形状により種々取り得る
が、筐体内に内容物を挿入するために、多面体のうち少
なくとも一面に、開口部が形成されていることが好まし
い。典型的には、一面すべてが、実質上全面的に開口さ
れていることが好ましい。それに加えて、それよりも小
さな開口部が、他の面に、単数または複数存在していて
も良い。一面における開口は、1個の場合と複数個の場
合がある。
【0082】これまでは、一般に用いられる射出成形法
を前提として記載してきたが、強化繊維により補強され
た熱可塑性樹脂は、一般のエンプラに比べて材料単価が
高い。そのため、従来の成形方法では、廃棄するスプル
ランナー部分が多く、成形品のコストアップの要因とな
っていた。そのため、昨今では、強化繊維により補強さ
れた熱可塑性FRP成形品にホットランナーを適用する
ケースが増加している。本発明のFRP成形品に対して
も一般に市販されているホットランナー射出成形装置を
適用することは可能である。ホットランナー射出成形装
置には、内部加熱方式と外部加熱方式とがあり、補強繊
維に炭素繊維を使用する場合、成形品のそりを低減する
目的から精巧に樹脂流量調整を行う必要があるため、加
熱方法に外部加熱方式、ゲート開閉調整のためバルブゲ
ートを適用することが好ましい。
【0083】その場合、成形しようとする成形品の形
状、そのために使用される金型の大きさにより、選定さ
れる。本発明のFRP成形品の製造に当たっては、ホッ
トランナースプルの長さLは、10〜600mmである
ことが好ましく、100〜450mmであることがより
好ましい。
【0084】ホットランナースプルの長さが短すぎる
と、マニホールドとホットランナースプルの先端部との
間隔が小さくなり、ホットランナースプルの外部加熱源
の配置スペースが小さくなり、ホットランナースプルの
適切な加熱が困難となる。
【0085】ホットランナースプルの長さが長すぎる
と、ホットランナースプルのゲートの開閉を行うバルブ
ゲート制御用のゲートピンの長さが長くなり、ゲートピ
ンの移動制御が難しく、また、ゲート部の先端部におけ
るゲート孔とゲートピンとの摩擦が大きくなり、ゲート
ピンあるいはゲート孔の磨耗が生じ易くなる。
【0086】ホットランナースプルはその先端部に、ゲ
ート部を有する。ゲート部のゲート孔の孔径は、本発明
の成形品を製造するためには、0.1〜10mmである
ことが好ましく、1〜5mmであることがより好まし
い。
【0087】ゲート孔の孔径が大きすぎると、強化繊維
の樹脂中への分散が不十分となり、得られる成形品の外
観不良の原因となる。ゲートの孔径が小さすぎると、樹
脂の十分な流動性を確保出来ず、ショートショットなど
の流動不良を生じる。一方、本発明の成形品を得る場
合、成形品の大きさによるが、数個のホットランナース
プルが必要になる場合がある。例えば、事務機器、とり
わけ、A4サイズ(横310mm、縦250mm)のノ
ート型パーソナルコンピュータ用の筐体は、ホットラン
ナー射出成形装置で製造する場合、1個〜26個のゲー
トを用いることで製造可能であるが、ゲートの数を、4
個乃至17個とすることが好ましい。
【0088】ゲートの数が少なすぎると、樹脂の十分な
流動性を確保できず、ショートショットが発生し、所望
の成形品を得ることができない。ゲートの数が多すぎる
と、それだけの数のホットランナースプルを配置するこ
とが困難となる。
【0089】1つの成形品の製造に当たり、多数本のホ
ットランナースプル用いる場合、各ホットランナースプ
ルについて、それぞれのゲートの開閉を、互いに独立し
て制御可能にすることが好ましい。すなはち、これによ
り、各ゲートから金型内に流れ込む樹脂量を均一にする
ことや、各ゲートの開閉タイミングに時間差がをもうけ
ることが可能となり、強化繊維混入熱可塑性FRP成形
品特有の反りを小さくすることができる。
【0090】ゲートピンの移動制御は、流体圧により行
われるものが好ましい。具体的には、油圧、圧空、水圧
方式がある。この中で、油圧や圧空方式がより好まし
い。
【0091】バルブ制御方式は、その特性から、ゲート
の開閉時間、樹脂流量の微調整に優れており、射出流量
バランスを容易に制御することができる。そのため、反
りが実質的にない、外観に優れた成形品を得ることが可
能となる。
【0092】コールドランナー射出成形方法を用いて、
長繊維強化樹脂を射出成形した場合、スプルから金型の
キャビティー内に樹脂が流れ込むゲートにおいて、強化
繊維が樹脂と分離し、ゲートにおける繊維密度が高くな
る。そのため、脱型時(金型開くとき)に、成形品のゲ
ートが位置していた部分が毟れる現象が発生し易い。
【0093】この現象は、ゲート形状(とりわけゲート
孔径)に関係し、長繊維材料の場合、ゲート孔径が大き
くなるに従い、その発生頻度は多くなる。このゲート毟
れを防ぐために、ゲートを直接成形品面に配さないよう
に金型形状を設計することが行われるが、得られた成形
品は、別途、ゲートに対応した部分の加工を必要とす
る。これは、加工コストの増大をもたらしていた。
【0094】本発明の成形品の製造に当たり、バルブゲ
ート方式のホットランナーシステムを用いれば、ホット
ランナースプル内に配されたバルブピンにより確実にゲ
ートを遮断することが可能で、ゲートを直接成形品面に
配しても、ゲート毟れが生じることは実質的にない。
【0095】この場合、成形品のゲートに対応した位置
に、ピン跡が凹状に形成される。凹状のピン跡の深さ
は、0.05〜0.3mmであり、直径は、使用したゲ
ートの孔径となる。かかる技術により、本発明のFRP
成形品は、成形品中の補強繊維の平均繊維長が0.1m
m〜7mmであっても、FRP成形品の表面にシボを施
すことにより、ウエルドラインやフローマークなどの外
観不良を隠蔽し、塗装などの表面処理等なしで良好な外
観を得ることができる。
【0096】次に本発明の製造方法について以下に説明
する。
【0097】本発明に係るFRP成形品の製造方法は、
(a)マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂であり、該マト
リックス樹脂中に長繊維補強繊維が混入してなる樹脂ペ
レットを、射出成形機の樹脂溶融シリンダー内で220
〜350℃に加熱し溶融し、前記繊維が分散して混在す
る樹脂溶融物を準備する第1工程と、(b)該第1工程
にて得られた前記樹脂溶融物を、表面温度が30〜14
0℃に保たれた表面にシボを形成する成形品を成形する
金型のキャビティー内へ注入し、溶融物を前記金型内で
固化せしめた後、前記金型を開放し、成形された成形品
を取り出してなる第2工程とからなる。
【0098】第1工程に用いられる射出成形機の能力に
は、数十トン〜数千トンのものがあるが、製造する成形
品の表面積に比例して成形機の能力は、大きいものとな
る。例えば、A4サイズの表面積を有する成形品を成形
する場合、350トン以上の能力を有する射出成形機が
用いられることが好ましい。
【0099】射出成形機のシリンダー内部に設置された
ヒーターの設定加熱温度は、220〜350℃であるこ
とが好ましく、長繊維強化樹脂の混練性や、射出成形に
必要な十分な流動性を確保する観点から、この温度は、
240〜330℃であることがより好ましい。ポリアミ
ド樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂の場合、この温度
は、240〜320℃であることが好ましい。
【0100】第2工程にて設定される金型表面の温度
は、本発明のFRP成形品の表面外観に対して重要な因
子となる。シボを形成する成形品を成形する金型のキャ
ビティの表面温度は、30〜140℃であることが好ま
しい。ウエルドラインを隠蔽するためには、金型温度を
50〜140℃が好ましく、Rzが小さい場合(シボ深
さが浅い場合)やGs(グロス60°)が高い場合は、
ウエルドラインの隠蔽性をさらに向上させるために70
〜140℃が好ましい。
【0101】また、ウエルドラインの隠蔽が必要ない場
合、成形品転写ムラを低減するために、30〜90℃が
好ましく、Rzが小さい場合(シボ深さが浅い場合)や
Gs(グロス60°)が高い場合は、30〜70℃がさ
らに好ましい。
【0102】さらにまた、前記第2工程において、ウエ
ルドライン隠蔽性を向上させるために、前記表面にシボ
を形成する成形品を成形する金型のキャビティー内への
単位時間あたりの樹脂注入量を増加することも有効な手
段である。成形品の形状にもより、前記樹脂注入量は変
化するが、1回の射出成形に必要な樹脂量(体積)の2
0〜100%を1秒以内にキャビティー内に注入するこ
とが好ましい。さらに、成形品外観基準が厳しい成形品
の場合、ウエルドライン隠蔽のため、前記1回の射出成
形時にキャビティー内にに注入することが好ましい。注
入される樹脂量(体積)の40〜100%を1秒以内に
キャビティー内に注入することが好ましい。フローマー
クなどが見られる場合、50〜100%を1秒以内にキ
ャビティー内に注入することがさらに好ましい。20%
以下であると十分な流動性が確保できず、ショートショ
ットが発生したり、十分なウエルド隠蔽効果が認められ
ない。
【0103】
【実施例】以下に本発明のFRP成形品の実施例を記載
する。
【0104】(実施例1)射出成形機に日本製鋼所製J
SW350、成形品にW300×L250×H11×t
1.2mmのノートパソコンLCDカバー、成形樹脂に
東レ株式会社製長繊維炭素繊維強化ナイロン樹脂(品
名:TLP1146:樹脂 PA6、CF20wt%)
を用い、前記成形品表面に形成されるシボとして、Rz
を42μm、Gs(60°)を2.0とした。本実施例
に適用したFRP成形品は、ノートパソコンLCDパネ
ルカバー筐体を想定しており、外観基準は最も厳しい部
類となる。また、本成形品を得るための金型はコールド
ランナー成形方法の金型を適用することとした。外観判
定項目は、(a)ウエルドライン(b)フローマーク
で、判定環境は、1000ルクスの蛍光灯下で、FRP
成形品を目から50cmの距離に保持し、(a)(b)
の項目について判定する。
【0105】(実施例2)成形品表面に形成されるシボ
として、Rzを53μm、Gs(60°)を1.5と
し、その他は実施例1と同様とした。
【0106】(実施例3)成形品表面に形成されるシボ
として、Rzを81μm、Gs(60°)を0.4と
し、その他は実施例1と同様とした。
【0107】(比較例1)成形品表面に形成されるシボ
として、Rzを0.7μm、Gs(60°)を8.0と
し、その他は実施例1と同様とした。
【0108】(比較例2)成形品表面に形成されるシボ
として、Rzを2.0μm、Gs(60°)を7.6と
し、その他は実施例1と同様とした。
【0109】以上の結果をまとめたのが下記表1であ
る。
【0110】
【表1】
【0111】
【発明の効果】本発明の表面にシボを有するFRP成形
品を提供することにより、汎用のエンプラなどにくらべ
て、剛性、強度、電磁波シールド特性に優れ、かつウエ
ルドラインなどの外観不良を隠蔽することが可能とな
り、筐体部品などの複雑な形状で、外観部品として適す
る外観品位、触感をもった製品を従来の製造方法に比べ
てより安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】射出成形機の一例を示す模式図である。
【図2】金型の一例を示す模式図である。
【図3】金型表面に施されたシボ加工の一例を示す概念
図(断面図)である。
【図4】シボが形成された成形品の一例を示す断面図で
ある。
【図5】ホットランナー射出成形装置の一例を示す模式
図である。
【図6】ホットランナースプルの一例を示す模式図であ
る。
【図7】ホットランナー射出成形装置を用いて成形され
たFRP成形品のゲート部に残るピン跡(凹状跡)の一
例を示す模式図である。
【符号の説明】
1:金型 2:樹脂溶融シリンダー 3:キャビティー 4:スプルランナー 5:シボ 6:成形品表面側 7:成形品裏面側 8:ホットランナースプル 9:マニホールド L:ホットランナースプルの長さ 10:ブッシュマーク 11:バルブピン跡(ゲート跡) H:ピン跡深さ W:ピン直径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F202 AB25 AF07 AG26 AM36 AR06 AR11 AR12 AR13 AR14 CA11 CB01 CK11 CN01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂と補強繊維より形成される成
    形品において、表面にシボが形成されており、かつ成形
    品中の補強繊維の平均繊維長が0.1mm〜7mmであ
    ることを特徴とするFRP成形品。
  2. 【請求項2】前記成形品の表面に形成されるシボが、J
    IS B 0601で定義される十点平均粗さで5〜1
    00μmであることを特徴とする請求項1に記載のFR
    P成形品。
  3. 【請求項3】前記成形品の表面に形成されるシボが、J
    IS Z 8741で定義される鏡面光沢度(60°)
    で0.1〜20.0であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のFRP成形品。
  4. 【請求項4】前記補強繊維が炭素繊維であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載のFRP成形品。
  5. 【請求項5】(a)マトリックス樹脂を熱可塑性樹脂と
    し、該マトリックス樹脂中に平均繊維長が0.1mm〜
    7mmである補強繊維を混入させて樹脂ペレットを形成
    し、該樹脂ペレットを射出成形機の樹脂溶融シリンダー
    内で220〜350℃に加熱し溶融し、前記繊維が分散
    して混在する樹脂溶融物を準備する第1工程と、(b)
    該第1工程にて得られた前記樹脂溶融物を、表面温度が
    30〜140℃に保たれた表面にシボを形成する成形品
    を成形する金型のキャビティー内へ注入し、溶融物を前
    記金型内で固化せしめた後、前記金型を開放し、成形さ
    れた成形品を取り出してなる第2工程とからなるFRP
    成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】前記表面にシボを形成する成形品を成形す
    る金型の表面温度が50〜140℃に保たれていること
    を特徴とする請求項5に記載のFRP成形品の製造方
    法。
  7. 【請求項7】前記第2工程において、1回の射出成形に
    必要な樹脂量(体積)の20〜100%を1秒以内にキ
    ャビティー内に注入することを特徴とする請求項5また
    は6に記載のFRP成形品の製造方法。
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