JP2003071297A - 金属酸化物触媒の活性予測方法 - Google Patents
金属酸化物触媒の活性予測方法Info
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Abstract
な触媒性能を短期間に、かつ正確に予測する方法を提供
すること。 【解決手段】 金属酸化物触媒における触媒表面の活性
点の構造を単純化したクラスタモデルを構築する工程
と、構築されたクラスタモデルについて、量子化学計算
手法により触媒表面における物性値を推算する工程と、
を含むことを特徴とする、金属酸化物触媒の活性予測方
法。
Description
って金属酸化物触媒の酸化触媒性能を予測し、評価する
方法に関する。
活性触媒種の探索はもっぱら実験に頼っており、大量の
触媒サンプルを調製して膨大な回数の実験を繰り返すこ
とによってスクリーニングを行っていた。しかし、この
ようなスクリーニング方法では、実験を繰り返し行うこ
とにより、設備、時間、人件費等の投資が大きくなる傾
向があった。また、わずかな実験条件の差やミスによっ
て結果が大きく変わることがあり、その触媒が有してい
る触媒性能を正しく評価できない場合が多かった。さら
に、実験に際して取り扱う化学物質の種類によっては、
その毒性による健康への影響や爆発などの事故が伴うこ
とがあった。このように、新しい触媒の開発には、多大
な労力と費用に加え、長い期間が必要であるにもかかわ
らず、正確な触媒性能を評価できない場合があった。
料の構造や物性などを予測、解析する方法が研究されて
いる。例えば、触媒活性に関するものではないが、分子
性結晶において、結晶の局所的な性質を失わない程度に
その結晶構造の一部を取りだし、構造がエネルギー的に
最も安定となるように最適化することによって結晶の高
次の超分極率を非経験的に解析する方法(特開平5−1
73198号公報)、固体表面の吸着種の構造等の解析
において、吸着種の最近接表面原子と隣接するすべての
固体原子からなるクラスタを固体表面モデルとし、その
クラスタの局在軌道のうち吸着種の最近接表面原子に局
在する軌道のみを電子相関計算に用いて固体表面の吸着
種の解析を行う方法(特開平6−295294号公
報)、未知物質の結晶構造を仮定し、その結晶構造から
有限個の単位格子からなる系を取りだして各構成元素の
電荷状態を仮定した後、主たるスペクトルを生成する構
成元素からなるクラスターモデルを選択して他の構成元
素を点電荷で置き換え、系の電子状態を分子軌道法によ
って計算する方法(特開8−62162号公報)、化合
物の構造欠陥部分を電荷に置き換えて配置した仮定電荷
と他の構成原子の電荷とにより形成される静電場を取り
入れた分子軌道法を用いて電子状態を計算する構造欠陥
を有した化合物の電子状態を予測する方法(特開平8−
44701号公報)などが提案されている。
ても、計算化学手法は有効であると考えられる。そし
て、理想的には、実際の触媒反応を模擬して、触媒固体
表面における目的物質の分解反応のダイナミクスをシミ
ュレートし、触媒成分を変えてそれぞれの触媒活性を比
較、評価できることが望ましい。しかしながら、化学反
応の動的なシミュレーションや、多数の原子から構成さ
れる巨大な触媒固体表面モデルの計算には、莫大な計算
資源を必要とするため、現状ではハード、ソフトの制約
から触媒反応の経時的なシミュレーションを行い、その
性能を予測することは非常に困難である。
化学手法によって、触媒の設計等において必要な触媒性
能を短期間に、かつ正確に予測する方法を提供すること
にある。
め、請求項1に記載の金属酸化物触媒の活性予測方法の
発明は、金属酸化物触媒における触媒表面の活性点の構
造を単純化したクラスタモデルを構築する工程と、構築
されたクラスタモデルについて、量子化学計算手法によ
り触媒表面における物性値を推算する工程と、を含むこ
とを特徴とする。
造を単純化したクラスタモデルについて物性値を推算す
ることにより、現実の触媒における性能を高精度に予測
することが可能になる。しかも、クラスタモデルは単純
化されたものを用いるので、量子化学計算に必要な計算
量をあまり大きくする必要がなく、計算資源を有効に活
用できる。
測方法の発明は、請求項1において、さらに、2種以上
の金属酸化物触媒について推算された物性値を相対比較
する工程を含むことを特徴とする。この特徴によれば、
2種以上の金属酸化物触媒について推算された物性値を
相対比較することによって、複数の触媒活性物質(例え
ば、金属種)の序列化を図ることができ、触媒設計にお
ける最適な金属種の選択が容易に行える。
測方法の発明は、請求項1または2において、クラスタ
モデルが1個の金属原子と、該金属原子と結合する水酸
基と、からなる金属水酸化物クラスタモデルであること
を特徴とする。
モデルとして、1個の金属原子と、該金属原子と結合す
る水酸基とからなる金属水酸化物クラスタモデルを採用
することによって、複雑で不明確な部分の多い現実の触
媒挙動を考慮せずに、予測対象となる金属種自体が持つ
酸化触媒活性そのものを予測することができる。
測方法の発明は、請求項1または2において、金属酸化
物触媒が複合金属酸化物触媒であり、クラスタモデル
が、異なる2個の金属原子と、該2個の金属原子間にお
いて両方の金属原子と結合している1または複数の酸素
原子と、該金属原子と結合する水酸基と、からなる金属
水酸化物クラスタモデルであることを特徴とする。
モデルとして、異なる2個の金属原子、両方の金属原子
に結合している1または複数の酸素原子および水酸基か
らなる金属水酸化物クラスタモデルを採用することによ
って、複雑で不明確な部分の多い現実の触媒挙動を考慮
せずに、予測対象となる複合金属酸化物触媒における金
属種の酸化触媒活性や、金属種の組み合わせの良否など
を予測することができる。
測方法の発明は、請求項3または4において、金属水酸
化物クラスタモデルが、金属原子の最高価数に基づき構
築されたものであることを特徴とする。この特徴によれ
ば、金属水酸化物クラスタモデルを、金属原子の最高価
数に基づき構築することで、その金属種の酸化能を最大
限に引き出した状態で量子化学計算を行うため、触媒活
性を予測する上での指標性は高いものとなる。
測方法の発明は、請求項3または4において、金属水酸
化物クラスタモデルが、金属原子が触媒中で取り得る最
高価数に基づき構築されたものであることを特徴とす
る。この特徴によれば、その金属種が現実の触媒中で取
りうる最高価数に基づきクラスタモデルを構築すること
によって、より実際の触媒の状態に近い推算値を得るこ
とが可能になる。ここで、ある金属種が現実の触媒中で
取りうる最高価数は、金属原子が固有に持つ最高価数と
一致する場合もあるが、金属種の種類をはじめ、触媒の
使用条件、担体の種類などによって変化するものであ
り、経験的に知ることができるものである。
測方法の発明は、請求項1から6のいずれか1項におい
て、量子化学計算手法による触媒表面における物性値の
推算を、クラスタモデルがエネルギー的に最も安定とな
るように構造安定化して行うことを特徴とする。この特
徴によれば、仮想分子であるクラスタモデルがエネルギ
ー的に最も安定な条件で物性値の推算を行うことによ
り、極めて複雑で解明されていない点も多い現実の触媒
結晶中での構造に近づける努力をするよりも、計算速度
を大幅に速めることができるので有利となる。なお、ク
ラスタモデル分子の初期構造が安定化された構造と一致
する場合には、実質的に構造安定化が必要でない場合も
ある。
測方法は、金属酸化物触媒における触媒表面の活性点の
構造を単純化したクラスタモデルを構築する工程と、構
築されたクラスタモデルについて、量子化学計算手法に
より触媒表面における物性値を推算する工程と、を含む
ものである。
触媒としては、特に制限はないが、例えば、チタン(T
i)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン
(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル
(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(M
o)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル
(Ta)などの第4、第5および第6周期の遷移金属種
を含む金属酸化物や、これらの2種以上を含む複合金属
酸化物を挙げることができる。
スタモデルとしては、1個または2個の金属原子によっ
て構成されるクラスタモデルであり、例えば、式(I)で
示されるような1個の金属原子と、その金属原子と結合
する水酸基と、からなる金属水酸化物クラスタモデル
や、式(II)、式(III)で示されるような、異なる2個の
金属原子と、該2個の金属原子間において両方の金属原
子と結合している1または複数の酸素原子と、該金属原
子と結合する水酸基と、からなる複合金属水酸化物クラ
スタモデルを挙げることができる。なお、式(II)、式
(III)の例に限らず、金属原子間に介在する酸素原子
は、3個以上存在してもよい。
n1からn5はそれぞれ金属原子と結合する水酸基の数
を示す)
においても金属原子と酸素原子とが周期的に繰り返して
配列した結晶構造をとるが、ここでは結晶構造の一部を
金属原子を中心にして切り出し、単一成分系金属酸化物
の場合には式(I)に示すように、金属原子と、金属原子
に配位した酸素原子と、結晶場からの影響を第一次近似
的に置き換えた水素原子とからなるクラスタモデル(金
属水酸化物クラスタモデル)を仮定する。また、複合金
属酸化物の場合には、式(II)、式(III)に示すように異
なる2種の金属原子と、それらの金属原子に配位した酸
素原子(この酸素原子のうちの1つ以上は2個の金属原
子の間に位置し、2個の金属原子間の結合に寄与する)
と、結晶場からの影響を第一次近似的に置き換えた水素
原子とからなるクラスタモデルを仮定する。このよう
に、最小単位の単純なクラスタモデルを仮定することに
よって、量子化学計算の負担を大幅に軽減して迅速な活
性予測を行うことが可能になる。複合金属酸化物におい
ては、式(II)、式(III)のようなクラスタモデルによ
って、例えば活性金属種と担体とのクラスタモデル、活
性金属種と助触媒金属種とのクラスタモデル等を構築す
ることが可能になる。
立体構造(初期構造)は、この段階では任意の構造を選
定し得る。図1に、Ti、V、Cr、FeおよびCoに
ついての金属水酸化物クラスタモデルの初期構造の例を
示す。同図中、(a)はTiO2触媒表面のクラスタモ
デルとしてのTi(OH)4を示すものであり、同様
に、(b)はV2O5触媒表面のクラスタモデルとして
のV(OH)5、(c)はCr2O3触媒表面のクラス
タモデルとしてのCr(OH)6、(d)はFe 2O3
触媒表面のクラスタモデルとしてのFe(OH)3、
(e)はCo3O4触媒表面のモデル分子としてのCo
(OH)4を示すものである。
的に中性なものとすることが必要である。また、クラス
タモデルの構築に際しては、金属原子の最高価数に基づ
きクラスタモデルを構築する方法、あるいは金属原子が
触媒中で取り得る最高価数に基づきクラスタモデルを構
築する方法、のいずれを採用してもよい。
ルを構築する場合には、クラスタモデル中の金属原子と
結合する水酸基の数が多くなるため、その分一つ一つの
水酸基と金属との結合は弱くなる。つまり、この方法で
は、その金属種の反応性(酸化能)を最大限に引き出す
ようにモデリングすることになるので、触媒活性を予測
する上での指標性は高いものとなり、触媒活性が高いも
のを見落とす可能性は少なくなる。一方、現実の触媒中
では、金属原子は必ずしもその金属種の最高価数を取り
得るわけではなく、また逆に、分子状態の金属酸化物よ
りも高い価数をとることもあるため、その金属種が現実
の触媒中で取りうる最高価数に基づきクラスタモデルを
構築することによって、より実際の状態に近い推算値を
得ることができる。いずれの方法でクラスタモデルを構
築するかは、目的に応じて選択すればよい。ある金属種
が現実の触媒中で取っている価数は、例えばX線光電子
分光法(XPS)などの手法によって知ることができ
る。
化学計算手法により触媒表面における物性値を推算す
る。物性値の推算に当っては、まずクラスタモデルがエ
ネルギー的に最も安定となるように構造安定化を行う。
構造安定化によって、物性値の推算を行うクラスタモデ
ルと現実の触媒結晶中の配位状態や対称性とは必ずしも
一致しないものとなる場合があるが、このように構造安
定化を行うのは、現実の触媒における結晶構造が極めて
複雑で、解明されていない不明な点が多いため、現実の
触媒中での分子状態に近づける努力をするよりも、あく
まで仮想分子であるクラスタモデルがエネルギー的に最
も安定となるような条件で物性値の推算を行う方が計算
上有利と考えられるためである。
関数法または分子軌道法などにより行うことができる。
量子化学計算によって推算する物性値としては、クラス
タモデルの金属原子と酸素原子の結合の強さの指標とな
るようなもの、例えば、金属原子と酸素原子との間の結
合エネルギーや、結合距離、振動数などが好ましい。こ
れは、金属酸化物触媒における触媒反応が、主に触媒中
の金属原子と酸素原子との結合の切断による酸化還元反
応、例えば、活性形態である金属酸化物の酸素が反応に
より奪われる反応が重要な素過程の一つと考えられるた
めである。従って、クラスタモデルの金属原子と酸素原
子との結合エネルギーは、予測対象となる触媒(金属
種)の活性を示す推算物性値としては妥当なものであ
る。
は、市販のソフトウエア[例えば、密度汎関数プログラ
ム「DMol3」(MSI社製)、「ADF」(アムス
テルダム自由大学製)、分子軌道法プログラム「Gaussi
an」(ガウシアン社製)等]を用いることによって実施
できる。
対象となる金属種の触媒性能を予測評価することが可能
である。クラスタモデルが二種の金属原子を含む複合金
属酸化物である場合には、二つの金属種についてそれぞ
れ推算値が求められることになるので、クラスタモデル
が活性金属種−担体金属種のモデルの場合には、活性種
の推算値を元に触媒活性を予測評価することができる。
クラスタモデルが活性金属種−助触媒モデルである場合
も、同様に活性種側の推算値を元に触媒活性を予測評価
できる。いずれの金属種が活性金属種であり、担体もし
くは助触媒であるかが予期できない場合には、二つの金
属種の推算値を比較して、より活性が高いと推察される
方を活性種とすればよい。
いて得られた推算物性値を相対比較する工程を含めるこ
とが好ましい。これは、クラスタモデルがあくまで仮想
分子であることから、量子化学計算により得られた推算
物性値を触媒活性の絶対的な指標として利用するより
も、むしろ同様の条件で複数の触媒(金属種)の物性値
を推算して相対的な比較を行うことによって、ある触媒
の触媒活性や傾向を他の触媒との比較の中で評価するこ
との方が意味が大きいからである。
測方法の一実施形態をアルゴリズムとして示すフローチ
ャートである。ここでは相対比較を行うため、まず、比
較したい触媒(すなわち、金属種または2種類の金属種
の組み合わせ)を選定する(S101)。次に、金属種の価
数を選定する(S102)。金属種の価数は、各金属種の最
高価数としても、あるいは触媒中で取り得る最高価数と
してもよい。
モデルの初期構造を構築する(S104)。なお、2種類の金
属種を含む複合金属酸化物(二成分系)については、異
なる金属種間の酸素原子の配位状態を選定した後(S10
3)、金属水酸化物クラスタモデルの初期構造を構築する
(S104)。金属種間の酸素原子の配位状態は、金属原子間
の酸素原子が一つの場合、二つあるいはそれ以上の場合
などを想定できるが、金属原子間に二以上の酸素原子を
含む構造を選択するほうが、クラスタモデル分子全体の
構造の自由度が制約されるため、後に行う構造安定化計
算において有利となる。
選定する(S105)。物性値を選定したら、密度汎関数法
または分子軌道法からいずれかの計算方法を選定し(S1
06)、選定した計算方法により、構造安定化計算を行っ
た後(S107)、物性値計算を行う(S108)。
択を行い、計算する場合には、S105に戻る。他の系の計
算をしない場合には、推算された物性値の相対比較を行
い(S109)、触媒活性を予測する(S110)。
ウエアにより実施することも可能である。以下にプログ
ラムの例を示す。 <プログラム>金属酸化物触媒の活性を予測するため
に、(1)予測対象となる触媒(一種または二種の金属
種の組み合わせ)を入力する手段と、(2)予め金属種
の価数データを記憶しておく価数データ記憶手段と、
(3)異なる二種の金属原子間における酸素原子の配位
データを記憶しておく配位データ記憶手段と、(4)入
力された予測対象金属種について、金属種の価数を価数
データ記憶手段から選定するとともに、二種の金属種の
組み合わせの場合には配位データ記憶手段から酸素原子
の配位状態を選定してクラスタモデルを構築する手段
と、(5)予め金属原子と酸素原子との結合角度、配位
状態、対称性等の構造データを記憶しておく構造データ
記憶手段と、(6)前記構築されたクラスタモデルにつ
いて、構造データ記憶手段の構造データを利用し、量子
化学計算手法により構造安定化計算を行う手段と、
(7)構造安定化されたクラスタモデルについて、量子
化学計算手法により触媒表面における物性値を推算する
手段、としてコンピュータを機能させるための金属酸化
物の触媒活性予測プログラム。
(8)異なる複数の金属種について得られた推算値を比
較して触媒性能を相対評価する手段、を加えたものとす
ることもできる。
物触媒の活性を予測するためにコンピュータを機能させ
るためのものであり、キーボードなどの入力装置と、量
子化学計算を行う中央演算装置(CPU)、各種データ
を記憶する記憶装置、選択肢や結果を表示する表示装
置、推算結果等を記録する記録装置などからなるコンピ
ュータ等のハードウエア上で実行されるものである。
原子から構成される巨大な触媒固体表面を模擬すること
は、計算資源を時間的に有効利用する意味で最良の選択
ではない。つまり、触媒固体表面のモデリングを正確に
行い、電子状態の精密な計算に長時間を費やすよりも、
むしろ触媒表面の特徴を有する小規模なモデル分子(金
属酸化物の場合、中心金属種と酸素原子の組み合わせ)
を用いて計算を行い、いろいろな中心金属種を有する金
属酸化物の多様な固体表面状態を模擬することのほう
が、活性点改良型触媒の開発等の目的に適しており、は
るかに有益であると考えられる。以上のような観点か
ら、本発明では金属酸化物触媒において最小単位とも言
える金属水酸化物クラスタモデルを選定することによっ
て計算量を大きくすることなく触媒性能の予測を実現し
た。
明するが、本発明はこれにより何ら制約されるものでは
ない。 実施例1 1.触媒活性の測定:市販の試薬(金属酸化物触媒)に
ついて、ダイオキシン類の代替指標物質として知られる
オルトクロロフェノール(o−CP)の分解性能を測定
した。測定方法の詳細は以下のとおりである。 (1)装置;質量分析器付きパルス反応式試験装置を使
用した。 指標物質:クロロフェノール (2)試料(市販試薬);TiO2、V2O5、Cr2
O3、Fe2O3、Co 3O4 (3)条件 試料量 0.6g(希釈石英 1g) 反応管 内径約10mm(石英製) 試料形状 粉末 反応温度 300℃ キャリアガス 純エアー 70SCCM 指標物質 o−クロロフェノール 9μl 前処理 整粒(遊星ボールミルにて250rpm/30分粉砕) 酸化・乾燥(試験直前に純エアー流通雰囲気中/400℃/60分)
層にパルス状に注入し、通過後のガスをオンライン採取
し、四重極質量分析器(ULVAC社製)にてo−CP
を分析、定量した。また試料充填層を通さずにその下流
にて同量のo−CPを注入し、これを質量分析すること
により、o−CP減少率と、そこから一次反応を仮定し
て反応速度定数を算出した。さらに、充填した試薬金属
酸化物の比表面積をN 2−BET吸着法により計測して
おき、これらの値を比表面積で規格化した。
薬に含まれる金属種(Ti、V、Cr、Fe、Co)に
ついて、図2のフローチャートに基づき、金属原子と酸
素原子との間の結合エネルギー(ここでは、水酸基1個
当りの結合エネルギーとして算出した)を量子化学計算
により推算し、実験的に測定した触媒活性との相関を調
べた。
i;4価、V;5価、Cr;6価、Fe;3価、Co;
4価とした(結晶表面もしくは結晶内部でとり得る、も
しくは取っていると推察される最高の価数を採用するた
め、ここでCrを6価、Coを4価とした)。従って、
金属水酸化物クラスタモデルとしては、それぞれTi
(OH)4、V(OH)5、Cr(OH)6、Fe(O
H)3、Co(OH)4を採用した。
ラム「DMol3」(MSI社製)]を用い、基底関数
は分極を考慮した2倍数値基底関数(DNP)、構造安
定化およびエネルギー計算は局所密度近似(LDA)レ
ベルで行った。
化物について、実測試験で得られた反応速度定数(比表
面積で規格化したもの)の大きさは、Cr2O3>Co
3O4>Fe2O3>V2O5>TiO2の順であっ
た。また、クラスタモデルを用いて推算した結合エネル
ギーの大きさは、Cr<Co<Fe<V<Tiとなり、
実測値で得られた反応速度定数の序列と高い相関がある
ことが示された。両者の相関は図3に示すとおりであ
る。このことより、クラスタモデルの仮想分子における
金属原子と水酸基(すなわち、金属原子と酸素原子)の
結合が弱い金属種ほど、実際の触媒でも金属原子と酸素
原子の結合が切れやすく、酸化能が高いことが予測でき
る。
応の動的なシミュレートを行うのではなく、触媒自体の
特性(理論物性値や電子状態など)を理論計算すること
によって触媒と目的物質との反応性を明らかにし、より
少ない計算資源の範囲内で最も効率的に触媒設計を行う
ことを可能にするものである。本発明方法によれば、二
成分系などの複数の金属種の組み合わせからなる複合金
属酸化物触媒の触媒活性を比較評価することも可能であ
る。
を示す図面であり、(a)はTi(OH)4、(b)は
V(OH)5、(c)はCr(OH)6、(d)はFe
(OH)3、(e)はCo(OH)4を示す。
ある。
実測値と理論計算による結合エネルギーとの相関関係を
示す図面。
Claims (7)
- 【請求項1】 金属酸化物触媒における触媒表面の活性
点の構造を単純化したクラスタモデルを構築する工程
と、 構築されたクラスタモデルについて、量子化学計算手法
により触媒表面における物性値を推算する工程と、 を含むことを特徴とする、金属酸化物触媒の活性予測方
法。 - 【請求項2】 請求項1において、さらに、2種以上の
金属酸化物触媒について推算された物性値を相対比較す
る工程を含むことを特徴とする、金属酸化物触媒の活性
予測方法。 - 【請求項3】 請求項1または2において、クラスタモ
デルが1個の金属原子と、該金属原子と結合する水酸基
と、からなる金属水酸化物クラスタモデルである、金属
酸化物触媒の活性予測方法。 - 【請求項4】 請求項1または2において、金属酸化物
触媒が複合金属酸化物触媒であり、クラスタモデルが、
異なる2個の金属原子と、該2個の金属原子間において
両方の金属原子と結合している1または複数の酸素原子
と、該金属原子と結合する水酸基と、からなる金属水酸
化物クラスタモデルである、金属酸化物触媒の活性予測
方法。 - 【請求項5】 請求項3または4において、金属水酸化
物クラスタモデルが、金属原子の最高価数に基づき構築
されたものである、金属酸化物触媒の活性予測方法。 - 【請求項6】 請求項3または4において、金属水酸化
物クラスタモデルが、金属原子が触媒中で取り得る最高
価数に基づき構築されたものである、金属酸化物触媒の
活性予測方法。 - 【請求項7】 請求項1から6のいずれか1項におい
て、量子化学計算手法による触媒表面における物性値の
推算を、クラスタモデルがエネルギー的に最も安定とな
るように構造安定化して行うことを特徴とする、金属酸
化物触媒の活性予測方法。
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