JP2003069357A - 弾性表面波素子の製造方法および弾性表面波素子 - Google Patents

弾性表面波素子の製造方法および弾性表面波素子

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JP2003069357A
JP2003069357A JP2001257603A JP2001257603A JP2003069357A JP 2003069357 A JP2003069357 A JP 2003069357A JP 2001257603 A JP2001257603 A JP 2001257603A JP 2001257603 A JP2001257603 A JP 2001257603A JP 2003069357 A JP2003069357 A JP 2003069357A
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acoustic wave
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surface acoustic
etching
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JP2001257603A
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Osamu Nakagawara
修 中川原
Masahiko Saeki
昌彦 佐伯
Kazuhiro Inoue
和裕 井上
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電基板上に、耐ストレスマイグレーション
性に優れた電極が形成され、それによって、耐電力性に
優れた弾性表面波素子を提供する。 【解決手段】 圧電基板2を構成する圧電性材料の特定
の結晶面を選択的にエッチングするように、結晶面によ
ってエッチング速度が異なるエッチング方法を用いて、
圧電基板2をエッチング処理し、その表面のZ面テラス
を露出させた後、電極3を形成するため、TiまたはC
rを主成分とする下地電極層5を形成し、その上にAl
を主成分とするAl電極層4を形成する。Al電極層4
は、エピタキシャル成長した配向膜であって、双晶構造
を有する多結晶膜となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、弾性表面波共振
子または弾性表面波フィルタのような弾性表面波素子の
製造方法およびこの製造方法によって得られた弾性表面
波素子に関するもので、特に、弾性表面波素子の耐電力
性を向上させるため、耐ストレスマイグレーション性が
高められた電極の形成を可能にする弾性表面波素子の製
造方法およびこの製造方法によって得られた弾性表面波
素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】弾性表面波素子は、周知のように、機械
的振動エネルギーが固体表面付近にのみ集中して伝搬す
る弾性表面波を利用した電子部品であり、一般に、圧電
性を有する圧電基板と、この圧電基板上に形成された、
信号を印加するためのインタディジタル電極および/ま
たはグレーティング電極のような電極とをもって構成さ
れる。
【0003】このような弾性表面波素子において、電極
材料としては、電気抵抗率が低く、比重の小さいAlを
主成分とするもの、すなわち、Al単独またはAl系合
金を用いるのが一般的である。
【0004】しかしながら、Alは耐ストレスマイグレ
ーション性が悪く、大きな電力を投入すると、電極にヒ
ロックやボイドが発生し、やがては、電極が短絡または
断線して、弾性表面波素子が破壊に至ることがある。
【0005】上述した問題の解決を図るため、電極の成
膜法として、イオンビームスパッタを用い、結晶配向性
を向上させることによって、耐電力性を向上させる方法
が、特開平7−162255号公報において提案されて
いる(第1の従来技術)。
【0006】また、Alをエピタキシャル成長させるこ
とによって、結晶方位を一定方向に配向させ、それによ
って、耐電力性を向上させる方法が、特開平3−485
11号公報において提案されている(第2の従来技
術)。
【0007】他方、結晶粒が小さいほど、電極の耐電力
性が優れていることが、特開平6−6173号公報に記
載されている(第3の従来技術)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1お
よび第3の従来技術では、高周波、大電力用途に向けら
れるとき、耐電力性が不十分であるという問題がある。
【0009】また、第2の従来技術は、実質的に水晶基
板に対してのみ適用可能であり、そのため、広帯域が要
求されるフィルタ等の用途に向けられる、LiNbO3
またはLiTaO3 基板上では、結晶性の良好なエピタ
キシャル膜を得ることが困難であるという問題がある。
【0010】このような状況の下、LiNbO3 または
LiTaO3 基板上で、Alをエピタキシャル成長させ
ることによって、結晶方位を一定方向に配向させ、それ
によって、耐電力性を向上させる方法の実現が望まれ
る。
【0011】また、Alのエピタキシャル成長は、圧電
基板のカット角に依存することがわかった。たとえば、
36°Y−XLiTaO3 基板など、低カット角基板で
は、Alのエピタキシャル成長が困難であるということ
がわかった。
【0012】そのため、圧電基板のカット角に関わら
ず、確実に、Alのエピタキシャル成長を可能にする方
法の実現が望まれる。
【0013】そこで、この発明の目的は、上述したよう
な要望を満たし得る、弾性表面波素子の製造方法および
この製造方法によって得られた弾性表面波素子を提供し
ようとすることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明は、次のような
知見を得たことにより、これをなすに至ったものであ
る。
【0015】すなわち、Alを主成分とする電極を、A
lの3つの結晶軸が一定方向に揃った3軸配向膜とする
ことにより、耐ストレスマイグレーション性が向上する
ことが知られている。しかし、電気機械結合係数が大き
く、フィルタ等において広く用いられているLiNbO
3 基板またはLiTaO3 基板上においては、従来、上
述のような結晶性が良好な3軸配向膜を形成することが
できなかった。
【0016】そこで、たとえばLiNbO3 基板を酸性
溶液で前処理した後、LiNbO3基板上に、下地電極
層としてTi膜を薄く形成し、その上にAlを蒸着すれ
ば、LiNbO3 基板上にエピタキシャル成長したAl
膜を形成することができた。このAl膜の結晶性は極め
て良好であり、Alの(111)軸が64°Y−Xカッ
トのLiNbO3 基板のZ軸方向に概ね一致する、特殊
な配向を示した。
【0017】そして、このエピタキシャル成長したAl
配向膜の結晶構造を詳細に検討した結果、双晶構造を持
つことがわかった。双晶構造は、結晶軸の方向が一様で
ないことから機械的強度が高いという特徴と、高配向性
であることから粒界拡散が起こりにくいという特徴とを
併せ持っている。したがって、このようなAl配向膜を
もって電極を形成した弾性表面波素子は、その耐電力性
を著しく向上させ得ることがわかった。
【0018】以上のような知見の下、前述した技術的課
題を解決するため、この発明に係る弾性表面波素子の製
造方法は、少なくとも一方主面が圧電性材料をもって構
成された圧電基板を用意する工程と、圧電性材料の表面
の特定の結晶面を選択的にエッチングするように、結晶
面によってエッチング速度が異なるエッチング方法を用
いて、圧電基板の圧電性材料をもって構成された少なく
とも一方主面をエッチング処理する工程と、圧電基板の
エッチング処理された主面上に、Alを主成分とするA
l電極層を含む電極を形成する工程とを備えることを特
徴としている。
【0019】この発明において、圧電基板は、好ましく
は、LiNbO3 またはLiTaO 3 の単結晶からな
る。
【0020】また、前述したエッチング方法として、ウ
エットエッチングが用いられる場合、エッチャントとし
て、好ましくは、リン酸、ピロリン酸、安息香酸、オク
タン酸、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、緩衝フッ酸(BH
F)および硫酸水素カリウムから選ばれた少なくとも1
種が用いられる。なお、ウエットエッチングに代えて、
ドライプロセスを用いたエッチングを行なってもよい。
【0021】また、上記電極を形成する工程において、
Al電極層と圧電基板との間に、Al電極層の結晶性を
向上させるための下地電極層を形成するようにすること
が好ましい。
【0022】上述の下地電極層は、好ましくは、Tiお
よびCrの少なくとも一方を含む。
【0023】より特定的な好ましい実施態様において
は、圧電基板は、Y−XカットのLiNbO3 またはL
iTaO3 の単結晶からなり、前述のエッチング処理す
る工程は、圧電基板の表面のY面を選択的にエッチング
し、それによって、圧電基板の表面のZ面テラスを露出
させるように実施される。
【0024】この発明は、また、上述のような製造方法
によって得られた、圧電基板と圧電基板上に形成された
Al電極層を含む電極とを備える、弾性表面波素子にも
向けられる。
【0025】上述のAl電極層は、エピタキシャル成長
した配向膜であり、かつ双晶構造を有する多結晶膜であ
ることが好ましい。
【0026】また、この発明において、前述したよう
に、圧電基板が、Y−XカットのLiNbO3 またはL
iTaO3 の単結晶からなり、エッチング処理する工程
において、圧電基板の表面のY面を選択的にエッチング
するようにされるとき、Al電極層を構成する結晶が、
その(111)面の法線方向と圧電基板を構成する結晶
のZ軸とが概ね一致するように、一定方向に配向する結
晶方位を有している、弾性表面波素子を得ることができ
る。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の一実施形態に
よる製造方法によって得られた弾性表面波素子1の一部
を示す断面図であり、圧電基板2上に電極3が形成され
た部分を示している。
【0028】圧電基板2は、LiNbO3 単結晶のよう
な圧電性材料から構成される。また、電極3は、Alを
主成分とするAl電極層4を備え、さらに、Al電極層
4と圧電基板2との間には、Alの結晶性を向上させる
ための下地電極層5が設けられる。下地電極層5は、た
とえば、TiおよびCrの少なくとも一方を主成分とし
ている。
【0029】なお、図示しないが、電極3の表面および
側面を覆う電気絶縁性の保護膜がさらに形成されてもよ
い。
【0030】圧電基板2としては、好ましくは、64°
Y−XカットのLiNbO3 の単結晶からなる基板が用
いられる。したがって、圧電基板2の結晶のY軸方向お
よびZ軸方向は、それぞれ、図1に矢印で示した方向に
向いている。X軸方向は、紙面に垂直な方向にある。
【0031】圧電基板2上に電極3を形成するに先立っ
て、圧電基板2の特定の結晶面を選択的にエッチングす
るように、結晶面によってエッチング速度が異なるエッ
チング方法を用いて、圧電基板2の少なくとも一方主面
をエッチング処理する工程が実施される。このエッチン
グ処理の結果、研磨等によって圧電基板2の表面に生じ
た厚さ数nmの加工変質層が取り除かれるとともに、圧
電基板2の表面にエピタキシャル成長可能な結晶面が露
出するようにされる。
【0032】上述のエッチング方法として、ウエットエ
ッチングを用いたときのエッチャントとして、好ましく
は、リン酸、ピロリン酸、安息香酸、オクタン酸、塩
酸、硝酸、硫酸、フッ酸、緩衝フッ酸(BHF)および
硫酸水素カリウムから選ばれた少なくとも1種が用いら
れ、通常、エッチャントに圧電基板2を浸漬することが
行なわれる。
【0033】エッチング処理が、64°Y−Xカットの
LiNbO3 の単結晶からなる圧電基板2に適用される
場合には、圧電基板2の表面のY面が選択的にエッチン
グされる。このエッチング処理は、Z面テラスを広げる
効果があり、その結果、図2に示すように、圧電基板2
の表面には、Z面6をテラスとした非常に微小な階段状
構造が形成される。
【0034】上述したZ面6の最表面は、図3(a)に
おいて白抜きの円によって図解的に示すように、酸素原
子7が、0.297nm間隔に並んでいる状態となって
いる。
【0035】次いで、上述のように酸素原子7が配列さ
れた圧電基板2のZ面6上に、下地電極層5が成膜され
る。下地電極層5を形成するため、たとえば、最小原子
間隔が0.292nmで六方最密構造のTiを成膜する
と、図3(b)において濃度の比較的高い網かけを施し
た円によって図解的に示すように、Ti原子8の結晶の
(001)面が圧電基板2のZ面6に平行になる方向に
エピタキシャル成長する。
【0036】Ti原子8は、酸素原子7と結びつきやす
く、また、その最小原子間隔が、Alの最小原子間隔よ
りも、圧電基板2としてのLiNbO3 基板上の酸素原
子7の間隔に近いため、後述するAl電極層4を圧電基
板2上に直接成膜するよりも、良好な結晶性を得ること
ができる。
【0037】次いで、下地電極層5上にAl電極層4が
形成される。より詳細には、最小原子間隔が0.286
nmで面心立方構造のAlを、Ti原子8が配列された
下地電極層5上に成膜すると、図3(b)において濃度
の比較的低い網かけを施した円によって図解的に示すよ
うに、Al原子9の結晶の(111)面がTiの(00
1)面に平行になるようにエピタキシャル成長する。こ
のようにして得られたAl電極層4は優れた耐マイグレ
ーション性を示す。
【0038】さらに、図3(b)に示すように、Al原
子9の入り方によって、圧電基板2のZ軸方向に延びる
軸を回転軸として、互いに180°回転させたような2
種の結晶方位を持った結晶構造を有するAl電極層4が
成膜される。このような結晶構造は、一般に双晶と呼ば
れる。上述の2種の結晶方位は、それぞれ、1/2の確
率で現れ、得られたAl電極層4は、太い破線10で示
すような位置に結晶粒界すなわち双晶面を有する多結晶
となる。
【0039】なお、図3(b)では、図示を簡単化する
ため、Ti原子8を1原子層分だけ図示したが、実際に
は、数ないし数100の原子層が形成される。
【0040】図3(b)において、Al結晶の(20
0)、(020)および(002)方向が矢印で示され
ている。なお、実際には、これらの軸は、図3(c)の
紙面上にはなく、約35°紙面より手前側に向いてい
る。
【0041】このようにして、図1に示すように、64
°Y−XカットのLiNbO3 基板からなる圧電基板2
上に、そのZ面6に平行に(111)面が成長した、双
晶構造を有するAl電極層4を得ることができる。
【0042】一般に、Al電極層における結晶粒界の存
在は、弾性表面波素子の耐電力性を劣化させると言われ
ている。これは、ストレスマイグレーションによって、
結晶粒界を通じて、Alが自己拡散し、ヒロックやボイ
ドと呼ばれる欠陥が成長するからである。しかしなが
ら、この実施形態に従って得られた多結晶のAl電極層
4にあっては、結晶粒界は1原子間隔以下であり、この
結晶粒界を通じての自己拡散は実質的に起こらない。
【0043】一方、金属の機械的強度については、単結
晶よりは多結晶の方が高い。これは、金属の塑性変形メ
カニズムによる。すなわち、塑性変形は、外力(弾性表
面波素子の分野にあっては、圧電効果による振動)等に
よる結晶のすべり変形を生じさせるが、単結晶では、最
も活動しやすいすべり系の活動だけで引き起こされるの
に対し、多結晶では、複数のすべり系の活動が要求され
ることに起因する(参考文献:丸善「金属便覧」改訂5
版・第337〜343頁)。このようなことから、塑性
変形の起きにくさは、ストレスマイグレーションによる
電極破壊の起きにくさにもつながり、粒径の小さい電極
構造が高い耐電力性をもたらす。
【0044】これらのことから、Al電極層4を、双晶
構造を持つ配向膜とすることによって、結晶粒界を通じ
ての電極構成原子の自己拡散によるヒロックやボイドの
成長を防ぐ効果と、塑性変形のしにくさに起因する高耐
電力性とを併せ持つ、非常に耐電力性に優れたものとす
ることができる。
【0045】また、上述した実施形態では、圧電基板2
として、64°Y−XカットのLiNbO3 基板を用い
たが、この発明は、圧電性を有するあらゆる基板に対し
ても、あるいは、非圧電性基板上に圧電性薄膜を形成し
た基板に対しても有効である。もちろん、この発明は、
64°Y−XカットのLiTaO3 基板や低カット角の
LiNbO3 基板またはLiTaO3 基板に対しても有
効である。
【0046】また、Al電極層4の材料としてAlを用
いたが、耐電力性向上に効果がある添加物、たとえば、
Cu、Mg、Ni、Mo等をAlに微量添加した合金を
用いてもよい。
【0047】また、下地電極層5の材料として、Tiを
用いたが、Tiを主成分とする合金を用いても、さらに
は、Alの結晶性向上に効果がある他の金属、たとえ
ば、CrまたはCrを主成分とする合金を用いてもよ
い。
【0048】なお、LiNbO3 またはLiTaO3
どからなる圧電基板の酸処理については、たとえば、Ka
kio et al. "Japan Journal of Applied Physics," Vo
l.36,pp.3064-3067 (1997)に掲載されているように、L
iNbO3 またはLiTaO 3 のLi原子をHで置換す
るプロトン交換法が知られている。プロトン交換法にお
いても、リン酸や安息香酸など、この発明に係るエッチ
ング処理において用いられる酸性溶液と同等のものが用
いられるが、プロトン交換は、圧電基板表面に高屈折率
層を形成し、バルク波の放射を抑制する目的で行なわれ
るものである。上記文献では、バルク波抑制の効果によ
って、弾性表面波フィルタの挿入損失を低減できること
が報告されている。
【0049】これに対して、この発明に係るエッチング
処理の目的は、リン酸などの溶液処理によって、エピタ
キシャル成長の「鍵」となる基板表面のZ面テラスを露
出させて、エピタキシャル成長を実現し、優れた耐電力
性を得る点にある。したがって、この発明に係るエッチ
ング処理は、プロトン交換とは、同様の溶液を用いるも
のの、期待する効果が全く異なっており、本質的に異な
っていると言える。
【0050】
【実験例】この発明の実施例に係る弾性表面波フィルタ
を作製するため、まず、64°Y−XカットのLiNb
3 圧電性基板を、リン酸溶液に浸漬し、基板表面に存
在する厚さ数nmの加工変質層を取り除くとともに、基
板表面のY面を選択的にエッチングする前処理を行なっ
た。
【0051】次に、電子ビーム蒸着法により、Tiから
なる下地電極層を、基板温度50℃において、5nmの
厚さとなるように形成し、続いて、AlからなるAl電
極層を、200nmの厚さとなるように形成した。この
ようにして、Al電極層を、その結晶の(111)面が
圧電基板におけるLiNbO3 のZ軸に垂直となるよう
に、エピタキシャル成長させることができた。
【0052】次いで、上述の下地電極層およびAl電極
層からなる電極をフォトリソグラフィ技術およびドライ
エッチング技術を用いて、インタディジタル形状に加工
し、実施例に係る弾性表面波フィルタを得た。
【0053】上述の実施例による電極に備えるAl電極
層のXRD極点図が図4に示されている。図4にある6
箇所の点は、Alの(002)面からの反射信号の検出
を示している。信号の検出点が6回対称を示すことか
ら、Alの結晶が、Alの(111)軸を中心に180
°回転したような2種の結晶方位をもつ双晶構造である
ことがわかる。
【0054】比較例として、リン酸による処理を行なわ
ず、TiおよびAlの成膜を、基板温度200℃におい
て行なったところ、エピタキシャル膜は得られず、Al
の(111)面が基板に垂直に成長する1軸配向膜とな
った。この比較例のXRD極点図を図5に示す。
【0055】耐電力性の比較を行なったところ、実施例
に係る弾性表面波フィルタは、比較例に係る弾性表面波
フィルタと比較すると、一定電力を加えたときの故障発
生に至る時間が1000倍以上と長くなった。
【0056】
【発明の効果】以上のように、この発明に係る弾性表面
波素子の製造方法によれば、少なくとも一方主面が圧電
性材料をもって構成された圧電基板を用意し、圧電性材
料の特定の結晶面を選択的にエッチングするように、結
晶面によってエッチング速度が異なるエッチング方法を
用いて、圧電基板の圧電性材料をもって構成された少な
くとも一方主面をエッチング処理した後で、圧電基板の
エッチング処理された主面上に、Alを主成分とするA
l電極層を含む電極を形成するようにしているので、圧
電基板上に形成される電極に備えるAl電極層を、エピ
タキシャル成長した配向膜であって、双晶構造を有する
多結晶膜とすることができる。
【0057】したがって、電極のストレスマイグレーシ
ョンによるヒロックやボイドの発生が抑えられ、弾性表
面波素子の耐電力性を飛躍的に改善することができる。
【0058】Al電極層と圧電基板との間に、たとえば
TiおよびCrの少なくとも一方を主成分とする下地電
極層が設けられていると、Al電極層におけるAlの結
晶性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による製造方法によって
得られた弾性表面波素子1の一部を示す断面図である。
【図2】図1に示した圧電基板2の表面を図解的に示す
断面図であり、エッチング処理した後に露出されるZ面
6を示している。
【図3】図2に示したZ面6の平面図であり、(a)
は、その上に配列される酸素原子7を図解的に示し、
(b)は、さらにその上に配列されるTi原子8および
さらにその上に配列されるAl原子9を図解的に示して
いる。
【図4】この発明の特定の実施例に係るAl電極層のX
RD極点図である。
【図5】比較例に係るAl電極層のXRD極点図であ
る。
【符号の説明】
1 弾性表面波素子 2 圧電基板 3 電極 4 Al電極層 5 下地電極層 6 圧電基板のZ面 8 Ti原子 9 Al原子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H03H 9/145 H01L 41/08 C 9/25 41/18 101A (72)発明者 井上 和裕 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 Fターム(参考) 5F043 AA37 BB25 GG10 5J097 AA26 GG03 GG04 HA02 HA03 KK09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方主面が圧電性材料をもっ
    て構成された圧電基板を用意する工程と、 前記圧電性材料の表面の特定の結晶面を選択的にエッチ
    ングするように、結晶面によってエッチング速度が異な
    るエッチング方法を用いて、前記圧電基板の前記圧電性
    材料をもって構成された少なくとも一方主面をエッチン
    グ処理する工程と、 前記圧電基板のエッチング処理された主面上に、Alを
    主成分とするAl電極層を含む電極を形成する工程とを
    備える、弾性表面波素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記圧電基板は、LiNbO3 またはL
    iTaO3 の単結晶からなる、請求項1に記載の弾性表
    面波素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記エッチング方法として、ウエットエ
    ッチングが用いられ、前記ウエットエッチングでのエッ
    チャントとして、リン酸、ピロリン酸、安息香酸、オク
    タン酸、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、緩衝フッ酸(BH
    F)および硫酸水素カリウムから選ばれた少なくとも1
    種が用いられる、請求項1または2に記載の弾性表面波
    素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記電極を形成する工程は、前記Al電
    極層と前記圧電基板との間に、前記Al電極層の結晶性
    を向上させるための下地電極層を形成する工程を含む、
    請求項1ないし3のいずれかに記載の弾性表面波素子の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記下地電極層は、TiおよびCrの少
    なくとも一方を含む、請求項4に記載の弾性表面波素子
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記圧電基板は、Y−XカットのLiN
    bO3 またはLiTaO3 の単結晶からなり、前記エッ
    チング処理する工程は、前記圧電基板の表面のY面を選
    択的にエッチングし、それによって、前記圧電基板の表
    面のZ面テラスを露出させる工程を含む、請求項2ない
    し5のいずれかに記載の弾性表面波素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の製
    造方法によって得られた、前記圧電基板と前記圧電基板
    上に形成された前記Al電極層を含む前記電極とを備え
    る、弾性表面波素子。
  8. 【請求項8】 前記Al電極層は、エピタキシャル成長
    した配向膜であり、かつ双晶構造を有する多結晶膜であ
    る、請求項7に記載の弾性表面波素子。
  9. 【請求項9】 請求項6に記載の製造方法によって得ら
    れた、前記圧電基板と前記圧電基板上に形成された前記
    Al電極層を含む前記電極とを備える、弾性表面波素子
    であって、 前記Al電極層を構成する結晶が、その(111)面の
    法線方向と前記圧電基板を構成する結晶のZ軸とが概ね
    一致するように、一定方向に配向する結晶方位を有して
    いる、弾性表面波素子。
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