JP2003063160A - グラビア印刷版、グラビア印刷版製版方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】グラビア印刷機で使用する印刷版において、高
解像度が必要な絵柄と、低解像度だが印刷濃度を重視す
る絵柄の両方について、高い品質の印刷を可能にする。 【解決手段】印刷版上に形成する絵柄に要求される品質
に応じて、絵柄毎に高スクリーン線数を使用するか、低
スクリーン線数を使用するか選択して、高解像度が必要
な絵柄と、低解像度だが印刷濃度を重視する絵柄の両方
について、高い品質の印刷を可能にする印刷版および印
刷版の製版方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、グラビア印刷に用
いる印刷版および印刷版の製版方法に関し、特に印刷版
製版に用いるスクリーン線数に関する。

【０００２】

【従来の技術】グラビア印刷の版方式は凹版であり、グ
ラビア印刷版に絵柄を形成する方法としては、機械彫刻
により凹部（セル）を形成する彫刻方式と、腐食により
セルを形成する腐食方式などが一般的である。

【０００３】図４は、従来の彫刻方式のグラビア印刷版
製版装置６である。回転するシリンダーの表面に、単一
の彫刻ヘッド６１に取り付けられた彫刻針を接触させる
ことで、絵柄のセルを形成する。従来のグラビア印刷版
製版装置６は、彫刻ヘッド６１の周波数を一定にして、
シリンダーの回転数および幅方向（軸方向）への彫刻ヘ
ッド６１の移動速度を変化させることで、彫刻するスク
リーン線数（単位長さ当たりのセルの配列個数）を決定
している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の彫刻方式におい
て作成されたグラビア印刷版は、彫刻ヘッド６１が一定
の周波数で動作するため、図１（ａ）に示すように、印
刷版全体が、単一の線数を用いて形成されている。

【０００５】このため、彫刻するスクリーン線数を高く
設定した場合、文字や細線、ハイライト部、写真画像な
どの高い解像度を必要する絵柄は、繊細に再現される。
しかしながら、単位面積当たりに彫刻されるセルの容積
が小さくなって印刷濃度が低くなるため、ベタ部のボリ
ューム感が出なくなるという問題が生じる。また、高ス
クリーン線数で彫刻を行う場合は、多くのセルを彫刻す
るために、シリンダーの回転速度を遅くする必要があ
り、印刷版の製版に掛かる時間が増大するという問題も
ある。

【０００６】逆に、ベタ部の印刷濃度を重視して、スク
リーン線数を低く押さえた場合、ベタ部のボリューム感
は表現できるが、高解像度が必要な絵柄において、セル
の間隔が広がりすぎて目立つようになり、同時に、解像
力が低いために中間調からハイライト部にかけての繊細
な絵柄再現が不可能となってしまう。

【０００７】本発明は、前述の問題点に鑑みてなされた
もので、文字や細線、ハイライト部や写真画像などの高
い解像度を必要とする絵柄と、低解像度だが、ボリュー
ム感が必要なベタ部の印刷品質を両立させるグラビア印
刷版およびグラビア印刷版の製版方法を提供することを
目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、本発明の第１の態様は、グラビア印刷機で使用す
る印刷版において、印刷版面に形成するセルが、個々の
絵柄の品質に応じて、絵柄毎に異なるスクリーン線数を
用いて形成されるようにしたものである。

【０００９】本発明の第２の態様は、グラビア印刷版の
製版方法において、製版オペレータが絵柄毎の要求品質
に応じて絵柄毎にスクリーン線数を指定する段階と、前
記絵柄毎のスクリーン線数の指定に従い製版データをス
クリーン線数毎に分版する段階と、前記製版データに基
づいて絵柄毎に異なるスクリーン線数を用いて印刷版を
に絵柄を形成する段階とを設けたものである。

【００１０】本発明の第３の態様は、上述の第２の態様
に係るグラビア印刷版製版方法において、前記絵柄毎に
スクリーン線数を指定する段階が、印刷版面に形成する
絵柄の品質に応じて、絵柄毎に、解像度もしくは印刷濃
度のどちらを重視するかを選択できるようにしたもので
ある。

【００１１】本発明の第４の態様は、グラビア印刷にお
ける印刷版の製版を行う装置において、異なるスクリー
ン線数の絵柄を形成する二つの絵柄形成手段を設けたも
のである。

【００１２】本発明の第５の態様は、上述の第４の態様
に係るグラビア印刷版製版装置において、前記二つの絵
柄形成手段が並行して動作するように構成したものであ
る。

【００１３】本発明の第６の態様は、上述の第４または
第５の態様に係るグラビア印刷版製版装置において、前
記二つの絵柄形成手段が、絵柄毎に異なるスクリーン線
数で分版された製版データに基づいて絵柄の形成を行う
ようにしたものである。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する実施形態
に基づいて説明する。図１は、本発明によるグラビア印
刷版のセルパターンの説明図である。図１（ａ）は、上
述したように、従来のグラビア印刷版における固定のス
クリーン線数の場合の模式である。スクリーン線数は、
例えば、１５０線／インチ、１７０線／インチのように
版面全体で固定されている。

【００１５】したがって、版面２上に形成されるセル１
は、ベタ部などの低解像度、ハイライト部、文字部、写
真画像部などの高解像度のいずれの部分においても、同
一の線数、同一のピッチで配列されている。

【００１６】これに対して、本発明によるグラビア印刷
版においては、線数は可変であり、図１（ｂ）に示すよ
うに、ベタ部は従来と同じであるが、高解像度が必要な
ハイライト部、文字部、写真画像部などは、同じ印刷版
においても、ベタ部とは異なる線数、例えば、２００線
／インチ、３００線／インチで形成されている。

【００１７】印刷版に形成すべき絵柄の一例を、図２に
示す。絵柄３は、高解像度が必要な文字部３１と写真画
像部３２、低解像度だが印刷濃度が必要なベタ部３３か
ら構成されている。

【００１８】製版オペレータは、絵柄３をスキャニング
して網点化した製版データ４を作成する際に、絵柄３を
ディスプレイの上に表示して、絵柄毎に所望の線数を入
力する。図２の例においては、文字部３１と写真画像部
３２については高スクリーン線数を、ベタ部３３につい
ては低スクリーン線数を指定する。この際の指定方法と
しては、線数を直接指定する方法だけではなく、「解像
度重視」で高スクリーン線数を、「印刷濃度重視」で低
スクリーン線数を、それぞれ選択する方法も可能であ
る。

【００１９】製版オペレータの指定に従い、例えば、高
スクリーン線数で絵柄を形成する高スクリーン線数分版
データ４１、低スクリーン線数で絵柄を形成する低スク
リーン線数分版データ４２のように分版した製版データ
４が作成される。実際には、高スクリーン線数用分版デ
ータ４１と低スクリーン線数用分版データ４２は、別々
の二つのファイルとして作成される。製版データ４は、
文字部３１、写真画像部３２、ベタ部３３などの、絵柄
毎にスクリーン線数を変え、分版することも可能であ
る。

【００２０】次に、本発明によるグラビア印刷版の絵柄
を形成するグラビア印刷版製版装置５の構成を、彫刻方
式を例に、図３に示す。グラビア印刷版製版装置５は、
絵柄形成手段として２つの彫刻ヘッド５１と５２を有
し、彫刻針の振動周波数、シリンダーの軸方向の移動速
度を、各々の彫刻ヘッド毎に設定することができる。

【００２１】例えば、彫刻ヘッド５１は、繊細さと滑ら
かな階調表現を行うための高スクリーン線数を彫刻でき
るように、高周波数に設定する。高スクリーン線数を彫
刻するため、彫刻すべきセルの数が増えるので、軸方向
の移動速度を遅く設定する。更に、製版データ４の分版
方法に合わせて「ハイライト部用」、「文字用」、「画
像用」などのように、対象となる絵柄毎に周波数と軸方
向の移動速度を設定することも可能であるが、スクリー
ン線数の指定が多くても、人間の目には区別がつかない
場合もあるため、絵柄に要求される品質の程度に合わせ
て、スクリーン線数の種類を決定する。

【００２２】彫刻ヘッド５１を高周波数に設定した場
合、もう一方の彫刻ヘッド５２は、ベタ部の印刷濃度を
確保してボリューム感を出せるように、周波数は低く、
軸方向の移動速度は速く、設定する。低周波数に設定す
る場合においても、印刷版の網点面積を閾値として、複
数の線数を設定することも可能である。

【００２３】グラビア印刷版製版装置５は、製版データ
４を読み込み、高スクリーン線数分版データ４１の絵柄
は、彫刻ヘッド５１を用いて形成し、低スクリーン線数
分版データ４２の絵柄は、彫刻ヘッド５２で形成する。

【００２４】グラビア印刷版を、高周波数に設定した彫
刻ヘッド５１と、低周波数に設定した彫刻ヘッド５２の
２つの絵柄形成手段を用いて、並行して絵柄の形成を行
うことにより、従来方式の単一ヘッドで絵柄全面を彫刻
した場合と同一時間以内で、同一印刷版上に、高スクリ
ーン線数および低スクリーン線数のセルを混在させたグ
ラビア印刷版を作成することができる。

【００２５】このとき、シリンダーの円周方向に、高ス
クリーン線数または低スクリーン線数の絵柄いずれか一
方しか存在しない場合は、該当する彫刻ヘッドは、飛ば
し彫刻を行うことが可能になるため、絵柄によって効果
の度合いは異なるが、単一ヘッドで彫刻する場合より、
早く絵柄を形成することも可能である。

【００２６】本発明に関する実施の例を説明したが、本
発明は同一のグラビア印刷版上に、複数のスクリーン線
数を混在させることにより、絵柄によって解像度を優先
するか、印刷濃度を優先するかを選択できることに特徴
があり、混在させるスクリーン線数の数や絵柄形成の方
法などによって、限定されるものではない。したがっ
て、本発明は、彫刻方式に限らず、レーザ製版方式な
ど、他のグラビア印刷版製版方式にも適用できるもので
ある。

【００２７】

【発明の効果】以上のとおり、本発明に係るグラビア印
刷版、グラビア印刷版製版方法および装置によれば、グ
ラビア印刷版上の各絵柄について、解像度、あるいは、
印刷濃度のどちらを重視するかを選択することが可能に
なり、要求品質に応じた印刷物を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明によるグラビア印刷版のセルパターン
の説明図である。

【図２】 本発明においてグラビア印刷版上に形成する
絵柄の一例である。

【図３】 本発明によるグラビア印刷版製版装置の動作
説明図である。

【図４】 従来のグラビア印刷版製版装置の動作説明図
である。

【符号の説明】

１ セル ２ 版面 ３ 絵柄 ３１ 文字部 ３２ 写真画像部 ３３ ベタ部 ４ 製版データ ４１ 高スクリーン線数分版データ ４２ 低スクリーン線数分版データ ５、６ グラビア印刷版製版装置 ５１、５２、６１ 彫刻ヘッド

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 2H084 AA03 AA05 AE05 CC03 2H114 AA03 BA01 BA10 DA04 EA01 EA05 GA01 GA31

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】グラビア印刷機で使用する印刷版であっ
   て、印刷版面に形成するセルが、個々の絵柄の品質に応
   じて、絵柄毎に異なるスクリーン線数を用いて形成され
   ていること、を特徴とするグラビア印刷版。
2. 【請求項２】グラビア印刷における印刷版の製版方法で
   あって、製版オペレータが絵柄毎の要求品質に応じて、
   絵柄毎にスクリーン線数を指定する段階と、前記絵柄毎
   のスクリーン線数の指定に従い、製版データをスクリー
   ン線数毎に分版する段階と、前記製版データに基づい
   て、絵柄毎に異なるスクリーン線数を用いて印刷版に絵
   柄を形成する段階と、を有することを特徴とするグラビ
   ア印刷版製版方法。
3. 【請求項３】請求項２記載のグラビア印刷版製版方法で
   あって、前記絵柄毎にスクリーン線数を指定する段階に
   おいて、印刷版面に形成する絵柄の品質に応じて、絵柄
   毎に、解像度もしくは印刷濃度のどちらを重視するかを
   選択できるようにしたこと、を特徴とするグラビア印刷
   版製版方法。
4. 【請求項４】グラビア印刷における印刷版の製版を行う
   装置であって、異なるスクリーン線数の絵柄を形成する
   二つの絵柄形成手段、を備えることを特徴とするグラビ
   ア印刷版製版装置。
5. 【請求項５】請求項４記載のグラビア印刷版製版装置で
   あって、前記二つの絵柄形成手段が、並行して動作する
   ように構成したこと、を特徴とするグラビア印刷版製版
   装置。
6. 【請求項６】請求項４または５記載のグラビア印刷版製
   版装置であって、前記二つの絵柄形成手段が、絵柄毎に
   異なるスクリーン線数で分版された製版データに基づい
   て絵柄の形成を行う、ことを特徴としたグラビア印刷版
   製版装置。