JP2003062704A - 制振工具 - Google Patents

制振工具

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JP2003062704A
JP2003062704A JP2001256836A JP2001256836A JP2003062704A JP 2003062704 A JP2003062704 A JP 2003062704A JP 2001256836 A JP2001256836 A JP 2001256836A JP 2001256836 A JP2001256836 A JP 2001256836A JP 2003062704 A JP2003062704 A JP 2003062704A
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vibration damping
vibration
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Hideshi Takahashi
秀史 高橋
Yoichi Ishikawa
陽一 石川
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23BTURNING; BORING
    • B23B2205/00Fixation of cutting inserts in holders
    • B23B2205/02Fixation using an elastically deformable clamping member
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23BTURNING; BORING
    • B23B2250/00Compensating adverse effects during turning, boring or drilling
    • B23B2250/16Damping of vibrations

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  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 工具本体の剛性を確保しつつ、びびり振動を
効果的に抑制する。 【解決手段】 切刃をなすスローアウェイチップ2と、
略長方形平板形状をなしその長手方向及び厚み方向に略
平行な面の長手方向の端部にスローアウェイチップ2が
装着される工具本体3とを設ける。工具本体3を、一般
的な切削工具の工具本体と同様にして鋼等の剛性の高い
材質によって構成する。工具本体3に、スローアウェイ
チップ2の下方に位置して、長手方向及び幅方向に略平
行な面S3に開口する装着穴4を設け、この装着穴4内
に、工具本体3に生じた振動エネルギーを吸収する制振
材5を装着する。制振材5を、その軸線に沿って穴Bが
形成された構成とする。制振材5として、例えばヤング
率が30GPaから180GPaの範囲内にあり、かつ
振動減衰性能が対数減衰率で0.1から0.7の範囲内
にある制振材を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切削加工中に発生
する振動が抑制される制振工具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、切削工具では、切削工具を保持す
る刃物台からの突き出し長さを大きくとったり、負荷の
大きい切削条件下で被削材の切削を行うと、切削抵抗に
起因するびびり振動が切削工具に発生し、得られる加工
品の寸法精度が低下する。一方で、切削条件を負荷の小
さい切削条件にしてびびり振動の発生を回避した場合に
は加工能率が低下してしまうので、びびり振動が抑制さ
れる切削工具が求められている。びびり振動が抑制され
る切削工具としては、実開昭61−205704号公報
に示されるクランプバイトのように、切刃をなすスロー
アウェイチップを保持する工具本体においてスローアウ
ェイチップを受けるチップ座近傍の部分以外の部分に非
鉄系金属の防振材からなる振動吸収部を設けたものがあ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、制振材の剛性
は、工具本体に一般的に使用されている鋼の剛性の半分
以下であり、また制振材は、それ自体が歪む(弾性変形
する)ことで振動エネルギーを吸収して減衰効果を発揮
するものである。このため、工具本体において制振材の
使用量が多くなると、工具本体の剛性が低下してたわみ
が生じやすくなり、刃先位置が適正位置から変位するこ
ととなって切削加工によって得られる加工品の寸法精度
が低下してしまう。特に、工具本体において刃物台によ
る支点の近傍には切削抵抗を受けた際に生じる曲げ応力
が集中するので、制振部材の近傍を刃物台によって支持
すると工具本体のたわみ量の増加が顕著となる。そし
て、工具本体において制振材よりも先端側を刃物台によ
って支持しても、制振材によるびびり振動の抑制効果を
得ることはできないので、従来の制振工具では、刃物台
からの突き出し長さの調整範囲も狭かった。また、制振
材は表面硬度が低いため、工具本体の表面に露出される
制振材の面積が多くなると、切削加工時に発生した切り
屑と接触することによる損傷や摩耗が生じやすくなって
しまう。加えて、制振材料は一般的に高価であるため、
使用量が多いと切削工具の製造コストが高くなってしま
う。
【0004】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、工具本体の剛性を確保しつつ、びびり振動が効果的
に抑制される制振工具を提供することを目的としてい
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明にかかる制振工具においては、工具本体に、
少なくとも一側面に開口する装着穴が設けられてこの装
着穴内に工具本体に生じた振動エネルギーを吸収する制
振材が装着されており、制振材は、穴が設けられた構成
とされていることを特徴としている。
【0006】このように構成される制振工具において
は、工具本体の装着穴内に制振材が装着されており、切
削加工時に制振工具に振動エネルギーが発生すると制振
材に歪みが発生することとなり、制振材による振動エネ
ルギーの吸収が行われて切刃のびびり振動が抑制され
る。装着穴内に装着される制振材は、振動エネルギーを
受けることで、装着穴に対向する面の近傍で特に大きな
歪みが生じることとなる。本発明にかかる制振工具で
は、制振材は穴が設けられた構成とされているので、制
振材には、装着穴に対向する面の近傍に加えて、穴の内
面近傍にも大きな歪みが生じることとなる。このよう
に、制振材の変形量が同じであっても、穴が設けられて
いない場合に比べて制振材において大きな歪みの生じる
領域が増加するために制振材に振動エネルギーの吸収を
十分に行わせることができ、同一量の制振材を用いて従
来よりも高い減衰効果を得ることができる。ここで、制
振材には、例えば丸穴、楕円穴、三角形以上の多角形穴
やその他の任意の形状の穴を形成することができ、その
設置位置及び設置数は任意とすることができる。また、
工具本体に形成される装着穴を、例えば丸穴、楕円穴、
三角形以上の多角形穴やその他の任意の形状として、装
着穴内に装着される制振材の形状を、円形、楕円形、三
角形以上の多角形やその他の任意の形状とすることがで
きる。なお、工具本体において、制振材は、工具本体の
剛性を著しく低下させない位置であれば任意の位置に配
置することができ、また制振材を複数箇所に設けてもよ
い。
【0007】また、本発明にかかる制振工具において
は、工具本体に、少なくとも一側面に開口する装着穴が
設けられてこの装着穴内に工具本体に生じた振動エネル
ギーを吸収する制振材が装着されており、制振材は、装
着穴の内面に対向する面に凹部が設けられていることを
特徴としている。このように構成される制振工具におい
ては、切削加工時に制振工具に振動エネルギーが発生す
ると制振材に歪みが発生し、特に装着穴の内面に対向す
る面の近傍で大きな歪みが発生することとなり、制振材
による振動エネルギーの吸収が行われて切刃のびびり振
動が抑制される。本発明にかかる制振工具では、制振材
は装着穴の内面に対向する面に凹部が設けられた構成と
されており、凹部が設けられていない場合に比べて制振
材において装着穴に対向する面の表面積が増えることと
なり、制振材において大きな歪みが生じる領域が増加す
る。このように、制振材の変形量が同じであっても、凹
部が設けられていない場合に比べて制振材において大き
な歪みの生じる領域が増加するために制振材に振動エネ
ルギーの吸収を十分に行わせることができ、同一量の制
振材を用いて従来よりも高い減衰効果を得ることができ
る。ここで、制振材に設けられる凹部の形状は任意であ
って、例えば制振材に形成した任意形状の溝によって構
成してもよい。また、凹部の設置位置及び設置数は任意
とすることができる。また、工具本体に形成される装着
穴を、例えば丸穴、楕円穴、三角形以上の多角形穴やそ
の他の任意の形状として、装着穴内に装着される制振材
の形状を、略円形、略楕円形、略三角形以上の多角形や
その他の任意の形状とすることができる。なお、工具本
体において、制振材は、工具本体の剛性を著しく低下さ
せない位置であれば任意の位置に配置することができ、
また制振材を複数箇所に設けてもよい。
【0008】また、制振材は、前記穴と前記凹部の両方
を備えていてもよい。この場合には、制振材において穴
の内面近傍には振動エネルギーを受けた際に大きな歪み
が生じる領域が得られ、さらに装着穴の内面に対向する
面の近傍では振動エネルギーを受けた際に大きな歪みが
生じる領域が増加するので、制振材の変形量が同じであ
っても、同一量の制振材を用いてより高い減衰効果を得
ることができる。
【0009】また、制振材は、装着穴の軸線に直交する
断面積が、装着穴の開口面積の30%から95%の範囲
内とされていてもよい。制振材において装着穴の軸線に
直交する断面積が30%よりも小さいと、制振材の体積
が少なくなり、振動減衰性能が低下してしまう。また、
この断面積が95%を越えると、制振材において穴また
は凹部を形成することによって得られる大きな歪みの生
じる領域が小さくなるので、振動減衰性能が低下してし
まう。これにより、装着穴の軸線に直交する制振材の断
面積は、装着穴の開口面積の30%から95%の範囲内
とすることが望ましい。
【0010】また、本発明にかかる制振工具において
は、工具本体には、制振工具の勝手方向を向く側面側か
ら他方の側面側に向かうにつれて工具先端側に向けて傾
斜して前記装着穴が設けられていてもよい。この場合に
は、装着穴に設けられる制振材は切削抵抗の主分力、背
分力及び送り分力のそれぞれに対して交差する向きに設
けられるので、制振材には切削抵抗の主分力と背分力と
送り分力との合成力が圧縮力として作用することとな
り、制振材によって主分力、背分力、送り分力のそれぞ
れを由来とする振動エネルギーを効果的に吸収させるこ
とができる。
【0011】また、本発明にかかる制振工具において
は、制振材として、ヤング率が30GPaから180G
Paの範囲内にあり、かつ振動減衰性能が対数減衰率で
0.1から0.7の範囲内にある制振材が用いられても
よい。制振材のヤング率が30GPaよりも小さい場合
には、制振材の剛性が低すぎて工具本体の構造部材とし
ては機能しないので、工具本体の剛性が低下してしま
う。制振材のヤング率が180GPaよりも大きい場合
には、剛性は高いものの、歪みが生じにくくなるために
振動減衰性能が低くなってしまう。これにより、制振材
のヤング率は30GPaから180GPaの範囲内にあ
ることが望ましい。そして、制振材の振動減衰性能は、
対数減衰率で0.1よりも低い場合には、振動減衰性能
が低すぎて工具本体のびびり振動を十分抑えることがで
きなくなる。また、制振材において、振動減衰性能が対
数減衰率で0.7よりも大きいものは、金属系の制振材
に比べて剛性の低いゴムや樹脂等の制振材に限られてお
り、振動減衰性能は高いものの、剛性が低すぎて工具本
体の構造部材としては機能しないので、工具本体の剛性
が低下してしまう。これにより、制振材の振動減衰性能
は、対数減衰率で0.1から0.7の範囲内にあること
が望ましい。このような条件を満たす制振材としては、
例えば鋳鉄やMn−Cu系制振合金等の金属系の制振材
がある。
【0012】
【発明の実施の形態】〔第一の実施の形態〕以下、本発
明の第一の実施の形態にかかる制振工具について、図1
を用いて説明する。図1は、本実施形態にかかる制振工
具の形状を示す側面図であって、(a)は全体図、
(b)は(a)の拡大図、図2は本実施形態にかかる制
振工具に用いられる制振材の、振動エネルギーを受けた
状態を示す図である。
【0013】本実施の形態では、本発明を突き切りバイ
トに適用した例について説明する。本実施形態にかかる
制振工具1は、切刃をなすスローアウェイチップ2と、
略長方形平板形状をなしその長手方向及び厚み方向に略
平行な面の長手方向の端部にスローアウェイチップ2が
装着される工具本体3とを有している。この制振工具1
は、工具本体3において長手方向及び厚み方向に略平行
な面のうち切削に使用するスローアウェイチップ2が装
着される面を上面とし、他方を下面として、切削に使用
するスローアウェイチップ2が設けられる端部を先端と
して被削材の切削に使用されるものである。ここで、工
具本体3は、一般的な切削工具の工具本体と同様にして
鋼等の剛性の高い材質によって構成されている。
【0014】本実施の形態では、工具本体3は、前記長
手方向及び厚み方向に略平行な面S1、S2の長手方向
の各一端部が切り欠かれてチップ取付座3aが形成され
ていて、長手方向の両端にそれぞれスローアウェイチッ
プ2が装着可能とされている。チップ取付座3aは、長
手方向反対側で180度異なる向きに形成されていて、
工具本体3は長手方向及び幅方向の中央に対して回転対
称に形成されている。
【0015】工具本体3には、スローアウェイチップ2
の下方に位置して、長手方向及び幅方向に略平行な面S
3、S4(図1では面S3のみ図示)のうち少なくとも
一方に開口する装着穴4が設けられており、この装着穴
4内には、工具本体3に生じた振動エネルギーを吸収す
る制振材5が装着されている。ここで、制振材5を装着
することによる工具本体3の剛性の低下(切削抵抗を受
けた際のたわみ量の増加)は、10%以下であることが
望ましい。本実施の形態では、以下の構成により、工具
本体3の剛性の低下量は約9%としている。
【0016】工具本体3において、装着穴4は、工具本
体3の先端との間の距離Lがスローアウェイチップ2の
切刃の刃先高さA以下となる位置に設けられている。こ
の位置は、工具本体3において、切刃が受けた切削抵抗
を曲げモーメントとしてよりも圧縮力としてより強く受
ける位置である。ここで、図1では、参考のために、工
具本体3においてLが最大値LMとなる位置(LM=A)
を二点鎖線で示している。この装着穴4は、工具本体3
の厚み方向に貫通する貫通孔としてもよく、また前記面
S3、S4のうちの一方にのみ開口する止まり穴として
もよく、その形状は、装着する制振材5の外形状に準じ
て、例えば丸穴、楕円穴、三角形以上の多角形穴やその
他の任意の形状とすることができる。また、装着穴4の
最大外径D1は、刃先高さAの30%から70%の範囲
内とされている。本実施の形態では、装着穴4は工具本
体3の厚み方向に貫通する丸穴としている。さらに、工
具本体3において、工具本体3の底面と装着穴4の内面
との間に位置する部分の肉厚d1、及びスローアウェイ
チップ2の刃先を受ける端部(本実施形態では先端部)
と装着穴4の内面との間に位置する部分の肉厚d2(本
実施の形態ではd2=L)は、1mmと刃先高さAの5
%とのうち大きい方以上に確保されている。
【0017】上記の装着穴4内に装着される制振材5
は、工具本体3の装着穴4に対して、焼きばめや冷やし
ばめ、ろう付け等によって密着状態にして取り付けられ
るものであって、その外形状は例えば円形状、楕円形
状、三角形以上の多角形状やその他の任意の形状とする
ことができる。本実施の形態では、制振材5の外形状を
円形状に形成している。なお、工具本体3において、制
振材5は、工具本体3の剛性を著しく低下させない位置
であれば任意の位置に配置することができ、また制振材
5を複数箇所に設けてもよい。
【0018】そして、制振材5は、その軸線に略平行な
穴Bが形成された構成とされている。本実施の形態で
は、穴Bとして、制振材5と略同軸の丸穴の貫通孔を一
つ設けている(穴Bは複数設けてもよく、また制振材5
に対して偏心させて設けてもよい。また、制振材5は、
装着穴4の軸線に直交する断面積が、装着穴4の開口面
積の30%から95%の範囲内とされている。なお、制
振材5の断面積を装着穴4の開口面積の30%近傍とし
た場合には、制振材5は略パイプ形状をなすこととな
る。本実施の形態では、装着穴4の外径(本実施形態で
は最大外径D1)、すなわち制振材5の直径は10mm
とされており、穴Bの直径は3mmとされている。これ
により、装着穴4の開口面積に対する制振材5の断面積
の比は、0.91(約90%)とされている。ここで、
制振材5に形成される穴Bは、制振材5の軸線方向の一
端面のみに開口する止まり穴でもよく、例えば丸穴、楕
円穴、三角形以上の多角形穴やその他の任意の形状とす
ることができ、その設置位置及び設置数は任意とするこ
とができる。
【0019】制振材5は、例えばヤング率が30GPa
から180GPaの範囲内、望ましくは50GPa以上
であり、かつ振動減衰性能が対数減衰率で0.1から
0.7の範囲内にある制振材が用いられる。ここで、制
振材5の対数減衰率の測定方法は、短冊状の試験片(幅
12mm、長さ70mm、厚さ0.5〜1.0mm)を
用意し、この試験片を片持ち梁法を用いて、最大歪み振
り幅が2×10-4mmとなるようにして測定を行う。こ
のような条件を満たす制振材としては、例えば鋳鉄やM
n−Cu系制振合金等がある。本実施の形態では、制振
材5として、Mn−Cu系制振合金を用いている。
【0020】Mn−Cu系制振合金の組成は、Mnを主
成分とし、10atm%〜30atm%のCuと3at
m%〜10atm%のNi、0.1atm%〜5atm
%のFe及び不可避不純物からなるものである。また、
そのヤング率は30GPaから70GPa、振動減衰性
能は、製造工程中の熱処理条件等によって左右されるも
のであるが、対数減衰率で0.2から0.72とされて
いる。本実施の形態で用いているMn−Cu系制振合金
は、対数減衰率が0.4から0.5、ヤング率は50G
Paから60GPaのものを用いている。ここで、鋳鉄
のヤング率は180GPa、振動減衰性能は対数減衰率
で約0.1である。
【0021】このように構成される制振工具1は、工具
本体3において長手方向及び厚み方向に略平行な面S
1、S2のうち、切削に使用するスローアウェイチップ
2が装着されるチップ取付座3aが設けられる側の面を
上面とし、他方を下面として、切削に使用するスローア
ウェイチップ2が設けられる端部を先端として他端側を
刃物台ARによって保持されることで被削材の切削に用
いられる。ここで、制振工具1は、工具本体3において
刃物台ARによって支持される位置を変えることで、刃
物台ARからの突き出し長さを調整することができるよ
うになっている。
【0022】この制振工具1によって被削材を切削する
と、工具本体3自体は剛性の高い材質によって構成され
るので、切削抵抗が加わっても工具本体3自体のたわみ
は少なく、切削加工によって得られる加工品の寸法精度
は維持される。そして、被削材の切削時には、切刃をな
すスローアウェイチップ2の直下には切削抵抗が主に圧
縮力として作用することとなる。ここで、図1におい
て、制振工具1が切削抵抗を受けた際に最大の応力が発
生する最大主応力面Fを二点鎖線で示す。装着穴4は、
この最大主応力面Fに少なくとも一部がかかるように形
成して、装着穴4内に装着される制振材5がより大きい
応力を受けてより大きな歪みを生じるようにすることが
望ましい。そして、このように圧縮力によって制振材5
が弾性変形させられることで、制振材5によって振動エ
ネルギーの吸収が行われて減衰効果が得られるので、工
具本体3に発生するびびり振動を減衰させることができ
る。
【0023】制振材5は、振動エネルギーを受けること
で、装着穴4に対向する面の近傍で特に大きな歪みが生
じることとなる。そして、制振材5は穴Bが設けられた
構成とされているので、制振材5には、装着穴4に対向
する面の近傍に加えて、穴Bの内面近傍にも大きな歪み
が生じることとなる。ここで、制振材5において、振動
エネルギーを受けた際に大きな歪みが生じる領域を、図
2に斜線で示す。このように、制振材5の変形量が同じ
であっても、穴Bが設けられていない場合に比べて制振
材5において大きな歪みの生じる領域が増加するため、
振動エネルギーの吸収を十分に行うことができ、同一量
の制振材5を用いて従来よりも高い減衰効果を得ること
ができる。ここで、制振材5において装着穴4の軸線に
直交する断面積が30%よりも小さいと、制振材5の体
積が少なくなり、振動減衰性能が低下してしまう。ま
た、この断面積が95%を越えると、制振材5において
穴Bを形成することによって得られる大きな歪みの生じ
る領域が小さくなるので、振動減衰性能が低下してしま
う。これにより、装着穴4の軸線に直交する制振材5の
断面積は、装着穴4の開口面積の30%から95%の範
囲内とすることが望ましい。
【0024】また、工具本体3において、工具本体3の
底面と装着穴4の内面との間に位置する部分、及びスロ
ーアウェイチップ2の刃先を受ける端部と装着穴4の内
面との間に位置する部分は、装着穴4内に装着された制
振材5が圧縮力を受けて歪められた際に、その応力によ
って装着穴4の外方に向けて押圧されるものであり、本
実施の形態ではこの部分の肉厚を確保して強度を持たせ
ているので、制振材5から受ける応力を逃がさずに受け
止めて、制振材5を十分に圧縮して振動減衰性能を向上
させることができる。
【0025】また、本実施の形態では、工具本体3にお
いて制振材5をスローアウェイチップ2の下方にのみ設
けているので、従来の制振工具よりも刃物台ARによる
支持位置を先端側に移動させて刃物台ARからの突き出
し量を従来の制振工具よりも小さくしても、制振材5に
よる振動減衰性能を損なわずに済む。
【0026】ここで、装着穴4の最大外径D1が刃先高
さAの30%よりも小さいと、装着穴4内に装着される
制振材5の量が少なくなって振動エネルギーを吸収、減
衰させる能力が不十分となる。また装着穴4の最大外径
D1が刃先高さAの70%よりも大きいと、工具本体3
において剛性の低い制振材5が占める割合が多くなるの
で、工具本体3の剛性が低下してしまう。このため、装
着穴4の最大外径D1、すなわち制振材5の最大外径
は、例えば刃先高さAの30%から70%の範囲内とさ
れる。
【0027】ここで、制振材のヤング率が30GPaよ
りも小さい場合には、制振材の剛性が低すぎて工具本体
の構造部材としては機能しないので、工具本体の剛性が
低下してしまう。制振材のヤング率が180GPaより
も大きい場合には、剛性は高いものの、歪みが生じにく
くなるために振動減衰性能が低くなってしまう。これに
より、制振材のヤング率は30GPaから180GPa
の範囲内にあることが望ましい。そして、制振材の振動
減衰性能は、対数減衰率で0.1よりも低い場合には、
振動減衰性能が低すぎて工具本体のびびり振動を十分抑
えることができなくなる。また、制振材において、振動
減衰性能が対数減衰率で0.7よりも大きいものは、ゴ
ムや樹脂等、金属系の制振材に比べて剛性の低いものに
限られており、振動減衰性能は高いものの、剛性が低す
ぎて工具本体の構造部材としては機能しないので、工具
本体の剛性が低下してしまう。これにより、制振材の振
動減衰性能は、対数減衰率で0.1から0.7の範囲内
にあることが望ましい。
【0028】このように構成される制振工具1によれ
ば、工具本体3に形成される装着穴4内に装着される制
振材5によって切削加工時に発生する振動エネルギーが
吸収される。そして、さらにこの制振材5には穴Bが形
成されていて、穴Bの内面近傍にも、振動エネルギーを
受けた際に大きな歪みの発生する領域が得られるので、
同一量の制振材を用いて従来よりも高い減衰効果を得る
ことができ、工具本体3に生じるびびり振動をさらに抑
制して、加工能率を低下させずに加工品の寸法精度をさ
らに向上させることができる。また、このように制振材
5の振動減衰性能を高めることができるので、従来と同
程度の振動減衰性能を確保しつつ高価な制振材5の使用
量を抑えることができ、制振工具1の大部分を例えば安
価な鋼等によって構成して、比較的安価に制振工具1を
提供することができる。さらに、振動減衰性能を確保し
つつ、制振工具1における剛性の低い制振材5の占める
割合を下げることができるので、例えば一般的な切削工
具の工具本体と同様にして鋼等の剛性の高い材質によっ
て構成することで工具本体3の剛性を確保することがで
きる。また、制振材5が装着穴4内に装着されていて外
部に露出される面積が小さいので、切削加工時に発生し
た切り屑と接触することによる制振材5の損傷や摩耗が
生じにくくなり、工具寿命を延ばすことができる。そし
て、制振材5として剛性の高い金属系のものを用いてい
るので、制振材5に損傷や摩耗が生じにくく、さらに制
振材5自体が構造部材として機能するので工具本体3の
剛性を確保することができる。
【0029】〔第二の実施の形態〕以下、本発明の第二
の実施の形態にかかる制振工具について、図3及び図4
を用いて説明する。ここで、図3は、本実施形態にかか
る制振工具の形状を示す側面図、図4は本実施形態にか
かる制振工具に用いられる制振材の、振動エネルギーを
受けた状態を示す図である。ここで、本実施の形態にお
いて、第一の実施の形態と同一または同様の部分につい
ては同一の符号を用いて示す。本実施の形態にかかる切
削工具6は、第一の実施の形態に示した切削工具1にお
いて、制振材5の代わりに、制振材5と同一の材質で形
状の異なる制振材7を装着穴4内に装着したものであ
る。制振材7は、装着穴4の内面に対向する面に凹部E
が設けられたものである。この制振材7は、第一の実施
の形態で示す制振材5と同様に、工具本体3の装着穴4
に対して、焼きばめや冷やしばめ、ろう付け等によって
密着状態にして取り付けられるものであって、その外形
状は例えば略円形状、略楕円形状、三角形以上の略多角
形状やその他の任意の形状とすることができる。なお、
工具本体3における制振材7の設置位置は、第一の実施
の形態と同じとすることが望ましいが、制振材7は、工
具本体3の剛性を著しく低下させない位置であれば任意
の位置に配置することができ、また制振材7を複数箇所
に設けてもよい。
【0030】本実施の形態では、工具本体3の装着穴4
は第一の実施の形態と同様に丸穴とし、制振材7を、外
形状が略円形状をなしその外周面にはその軸線に略平行
な複数の溝(凹部E)が形成された構成としている。こ
れに限らず、凹部Eは他の任意の形状とすることができ
る。また、制振材7は、装着穴4の軸線に直交する断面
積が、装着穴4の開口面積の30%から95%の範囲内
とされている。本実施の形態では、装着穴4の外径D
1、すなわち制振材7の直径は10mmとされており、
凹部Eとして、幅W=1.95mm、外周面から溝の底
面までの深さH=1mmとされる制振材7の軸方向に沿
った溝を、制振材7の周方向に間隔を開けて8条形成し
ている。これにより、装着穴4の開口面積に対する制振
材7の断面積の比は、0.82とされている。ここで、
制振材7に形成される凹部Eの形状は、制振材7の軸線
方向の全範囲または軸線方向の一部にわたって設けられ
た溝や、他の任意の形状とすることができ、その設置位
置及び設置数は任意とすることができる。
【0031】このように構成される制振工具6は、第一
の実施の形態に示す制振工具1と同様にして被削材の切
削に用いられる。この制振工具6によって被削材を切削
すると、装着穴4内に装着される制振材7が応力を受け
て歪みを生じることとなり、制振材7によって振動エネ
ルギーの吸収が行われて減衰効果が得られる。
【0032】制振材7は、振動エネルギーを受けること
で、装着穴4に対向する面の近傍で特に大きな歪みが生
じることとなる。制振材7は装着穴4の内面に対向する
面に凹部Eが設けられた構成とされていて、装着穴4に
対向する面の表面積が増えているので、振動エネルギー
を受けた際に大きな歪みが生じる領域が増加する。ここ
で、制振材7において、振動エネルギーを受けた際に大
きな歪みが生じる領域を、図4に斜線で示す。このよう
に、制振材7の変形量が同じであっても、凹部Eが設け
られていない場合に比べて制振材7において大きな歪み
の生じる領域が増加するために振動エネルギーの吸収を
十分に行うことができ、同一量の制振材7を用いて従来
よりも高い減衰効果を得ることができる。
【0033】このように構成される制振工具6によれ
ば、制振材7において振動エネルギーを受けた際に大き
な歪みの発生する領域が増加するため、同一量の制振材
を用いて従来よりも高い減衰効果を得ることができ、工
具本体3に生じるびびり振動をさらに抑制して、加工能
率を低下させずに加工品の寸法精度をさらに向上させる
ことができる。また、このように制振材7の振動減衰性
能を高めることができるので、従来と同程度の振動減衰
性能を確保しつつ高価な制振材7の使用量を抑えること
ができ、制振工具6の大部分を例えば安価な鋼等によっ
て構成して、比較的安価に制振工具6を提供することが
できる。さらに、振動減衰性能を確保しつつ、制振工具
における剛性の低い制振材7の占める割合を下げること
ができるので、例えば一般的な切削工具の工具本体と同
様にして鋼等の剛性の高い材質によって構成することで
工具本体3の剛性を確保することができる。
【0034】〔第三の実施の形態〕以下、本発明の第三
の実施の形態にかかる制振工具について、図5及び図6
を用いて説明する。ここで、図5は、本実施形態にかか
る制振工具の形状を示す側面図、図6は本実施形態にか
かる制振工具に用いられる制振材の、振動エネルギーを
受けた状態を示す図である。ここで、本実施の形態にお
いて、第一の実施の形態と同一または同様の部分につい
ては同一の符号を用いて示す。
【0035】本実施の形態にかかる制振工具8は、第一
の実施の形態に示した切削工具1において、制振材5の
代わりに、制振材5と同一の材質で形状の異なる制振材
9を装着穴4内に装着したものである。制振材9は、制
振材5において、装着穴4の内面に対向する面に凹部E
が設けられたものである。この制振材9は、第一の実施
の形態で示す制振材5と同様に、工具本体3の装着穴4
に対して、焼きばめや冷やしばめ、ろう付け等によって
密着状態にして取り付けられるものであって、その外形
状は例えば略円形状、略楕円形状、三角形以上の略多角
形状やその他の任意の形状とすることができる。なお、
工具本体3における制振材9の設置位置は、第一の実施
の形態と同じとすることが望ましいが、制振材9は、工
具本体3の剛性を著しく低下させない位置であれば任意
の位置に配置することができ、また制振材9を複数箇所
に設けてもよい。
【0036】このように構成される制振工具8によれ
ば、制振材9において穴Bの内面近傍には振動エネルギ
ーを受けた際に大きな歪みが生じる領域が得られ、さら
に装着穴4の内面に対向する面の近傍では凹部Eが形成
されることで表面積が増加し振動エネルギーを受けた際
に大きな歪みが生じる領域が増加するので、同一量の制
振材を用いて、第一、第二の実施の形態よりもさらに高
い減衰効果を得ることができる。
【0037】ここで、上記第一、第三の実施の形態で
は、制振材を、丸穴の貫通孔である穴Bが一つ形成され
た例を示したが、これに限られることなく、例えば図7
から図12に示すように、制振材は他の形状の穴が形成
された構成としてもよい。ここで、図7から図12で
は、穴のみが形成された制振材の例を示しているが、穴
とともに凹部Eが形成された構成としてもよい。
【0038】図7に示す制振材5Aは、楕円形状の穴B
1が形成された構成としている。この制振材5は、穴B
1の長軸を工具本体3の長手方向に略平行となる向きに
して工具本体3に装着される。この場合には、切削抵抗
が圧縮力として制振材5Aに加わった際に、穴B1にお
いて曲率の高い箇所の近傍部分、すなわち穴B1の長軸
側の端部の近傍が圧縮されてこの部分により大きい歪み
が生じることとなり、単なる丸穴が形成された制振材5
よりも制振材の歪み量を大きくして、振動減衰性能をさ
らに高めることができる。なお、制振材5Aを穴B1の
長軸が工具本体3の高さ方向に略平行となるようにして
装着することもできるが、この場合には圧縮力が加わる
ことで制振材5Aが穴B1の短軸方向に拡張する向きに
変形することとなるために制振材5Aが圧縮される量が
少なく、あまり制振材5Aの歪み量を大きくすることが
できない。
【0039】また、図8に示す制振材5Bは、三角形以
上の多角形状の穴B2が形成された構成としている。こ
の場合には、制振材5Bに切削抵抗が圧縮力として加わ
ると、制振材5Bにおいて穴B2の角部近傍部分により
大きい歪みが生じることとなり、やはり単なる丸穴が形
成された制振材5よりも制振材の歪み量を大きくして、
振動減衰性能をさらに向上させることができる。そし
て、穴B2の角の数を多くすることで、大きい歪みが生
じる部分を増加させることができ、より振動減衰性能を
向上させることができる。
【0040】また、図9に示す制振材5Cは、内面が曲
線状の凹凸を連ねた波形状をなす穴B3が形成された構
成としている。この場合には、制振材5Cにおいて穴B
3の内面の面積が増加して大きい歪みが生じる領域が増
加する。そして、制振材5Cに切削抵抗が圧縮力として
加わると、制振材5Cにおいて穴B3の凹凸を構成する
曲線部分近傍がより大きく歪むこととなり、単なる丸穴
が形成された制振材5よりも制振材の歪み量を大きくし
て、振動減衰性能をさらに高めることができる。そし
て、穴B3の凹凸の数をさらに多くすることで、大きい
歪みが生じる部分を増加させることができ、より振動減
衰性能を向上させることができる。
【0041】また、図10に示す制振材5Dは、一部に
くびれが設けられた略ひょうたん形状の穴B4が形成さ
れた構成としている。この場合には、図9に示す場合と
同様に制振材5において穴B4の内面の面積が増加して
大きい歪みが生じる領域が増加する。そして、制振材5
Dに切削抵抗が圧縮力として加わると、制振材5Dにお
いて穴B4のくびれ部分近傍にせん断変形が生じて大き
な歪みが生じるので、やはり単なる丸穴が形成された制
振材5よりも振動減衰性能を向上させることができる。
【0042】また、図11に示す制振材5Eは、スリッ
ト状の穴B5が形成された構成としている。この場合に
は、制振材5Eに切削抵抗が圧縮力として加わると、穴
B5の近傍で制振材5Eにすべり変形が生じて大きな歪
みが生じるので、やはり単なる丸穴が形成された制振材
5よりも振動減衰性能を向上させることができる。
【0043】また、図12に示す制振材5Fは、丸穴が
複数形成された構成としている。図12では、制振材5
Fを、穴B6、B7、B8、B9の計四つの穴が形成さ
れた構成としている。この場合には、制振材5Fに切削
抵抗が圧縮力として加わると、各穴の内面近傍でそれぞ
れ大きな歪みが生じることとなり、これによって工具本
体3に生じた振動が減衰される。ここで、制振材5Fに
おいて、各穴の配置及び形状は任意とすることができる
が、装着穴4の軸線に直交する制振材5Fの断面積を装
着穴4の開口面積の30%から95%の範囲内として制
振材5Fの振動減衰性能を確保するために、各穴の開口
面積の総和は、装着穴4の開口面積の5%から70%の
範囲内とすることが望ましい。
【0044】また、上記各実施の形態では、工具本体に
は、スローアウェイチップの下部にのみ装着穴を形成し
てこの装着穴に制振材を装着した例を示したが、これに
限られることなく、例えば図13に示すように、さらに
他の部分にも第二の装着穴4aを形成して、この第二の
装着穴4aに第二の制振材5aを装着するようにしても
よい。ここで、図13では、第一の実施の形態において
第二の装着穴4a及び第二の制振材5aを設けた例を示
すが、第二、第三の実施の形態についても同様に第二の
装着穴4aと第二の制振材5aを設けてもよい。また、
第二の制振材5aは、穴Bと凹部Eのいずれか一方もし
くは両方を有する構成としてもよく、また穴Bと凹部E
のどちらも有していない構成としてもよい。この場合に
は、第二の装着穴4aに装着した第二の制振材5aによ
ってもびびり振動の減衰が行われるので、特に制振工具
1を刃物台からの突き出し長さを大きくした状態で切削
に使用した場合に効果的にびびり振動を減衰させること
ができる。また、装着穴及び制振材は、工具本体3の強
度が著しく低下しない範囲内であれば、さらに多く設け
てもよい。
【0045】ここで、上記第一、第二、第三の実施の形
態では、工具本体3を略長方形平板形状としたが、図1
4に示すように、工具本体3は、底面の先端側で角部が
面取りされた形状としてもよい。ここで、図14では、
一例として、第一の実施の形態において工具本体3の形
状を変更した例を示している。
【0046】また、上記第一、第二、第三の実施の形態
では、工具本体3を一枚の板状部材によって構成した例
を示したが、これに限られることなく、図15に示す制
振工具31のように、工具本体を複数の部材によって構
成してもよい(図15(a)は平面図、(b)は側面図
である)。ここで、図15に示す制振工具31では、一
例として、第一の実施の形態に示す制振材5を用いた例
を示している。図15に示す制振工具31では、工具本
体は、略棒状をなす第一の工具本体33と、上面にチッ
プ取付座34aが形成され先端を第一の工具本体33の
先端から突出させた状態でボルト止め等によって第一の
工具本体33に装着される板状の第二の工具本体34
と、第一の工具本体33にボルト止め等によって装着さ
れて第二の工具本体34のチップ取付座34a上に載置
されるスローアウェイチップ32を第二の工具本体34
に押し付けて固定するクランプ部材35とが設けられた
ものである。この場合には、工具本体の底面とは、スロ
ーアウェイチップ32が装着される第二の工具本体34
の底面S5を指し、スローアウェイチップ32の刃先高
さAとは、第二の工具本体34の底面S5を基準とした
ものである。
【0047】また、上記第一、第二、第三の実施の形態
では、本発明を突き切りバイトに適用した例について説
明したが、これに限られることなく、例えば図16に示
すように、他の切削工具に適用してもよい。ここで、図
16は本発明にかかる制振工具の他の形状の例を示す図
であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。図
16に示す制振工具41は、略角棒状をなす工具本体4
3の先端上面に、先端面S6及び一方の側面S7に開口
する切り欠きが形成されてチップ取付座43aとされ、
このチップ取付座43aに、先端面S6側及び一側面S
7側に切刃を突出させてスローアウェイチップ42を装
着して切刃に勝手をもたせたものである。ここで、図1
6では制振工具41は右勝手としているが、これに限ら
ず左勝手としてもよい。
【0048】工具本体43には、スローアウェイチップ
42の下方に位置して、勝手方向を向く側面S7から対
向する他方の側面S8側に向かうにつれて先端面S6側
に向けて傾斜させて装着穴44が形成されており、この
装着穴44内には、工具本体43に生じた振動エネルギ
ーを吸収する制振材が装着穴44の全長にわたって装着
されている。図16に示す例では、制振材として第一の
実施の形態で示した制振材5を採用しているが、これは
一例であって、ここで用いる制振材は、第二、第三の実
施の形態で示した制振材7、9のどちらかを採用しても
よい。工具本体43において、装着穴44は、工具本体
43の先端との間の距離Lがスローアウェイチップ42
の切刃の刃先高さA以下となる位置に設けられている。
この位置は、工具本体43において、切刃が受けた切削
抵抗を曲げモーメントとしてよりも圧縮力としてより強
く受ける位置であり、これによって工具本体43のたわ
み量をより抑えつつ制振材5に歪みを生じやすくして振
動エネルギーの吸収を行うことができるようになってい
る。ここで、図16では、参考のために、工具本体43
においてLが最大値LMとなる位置(LM=A)を二点鎖
線で示している。
【0049】この装着穴44は、工具本体43の厚み方
向に貫通する貫通孔としてもよく、一側面S7にのみ開
口する止まり穴としてもよく、その形状は、制振材5の
外形状に準じて、例えば丸穴、楕円穴、三角形以上の多
角形穴やその他の任意の形状とすることができる。ま
た、装着穴44の最大外径D1は、刃先高さAの30%
から70%の範囲内とされていて、制振材5の使用量を
十分に確保して振動吸収性能を確保するとともに、工具
本体43の強度を確保している。本実施の形態では、装
着穴44は丸穴であって、工具本体43の先端面S6近
傍まで達する止まり穴である(装着穴44を、先端面S
6または他方の側面に開口させてもよい)。さらに、工
具本体43において、工具本体43の底面と装着穴44
の内面との間に位置する部分の肉厚d3、及びスローア
ウェイチップ42の刃先を受ける端部(本実施形態では
先端部)と装着穴44の内面との間に位置する部分の肉
厚d4は、1mmと刃先高さAの5%とのうち大きい方
以上に確保されていてその強度を確保している。本実施
の形態では、スローアウェイチップ42の刃先を受ける
端部とは、工具本体43の先端部において勝手方向のコ
ーナー部Cを指している。このように、工具本体43に
おいて、工具本体43の底面と装着穴44の内面との間
に位置する部分、及びスローアウェイチップ42の刃先
を受ける端部と装着穴44の内面との間に位置する部分
に強度を持たせることで、制振材5から受ける応力を逃
がさずに受け止めて、制振材5を十分に圧縮して振動減
衰性能を向上させることができるようになっている。
【0050】このように構成される制振工具41では、
装着穴44に設けられる制振材5は、被削材を切削する
際に生じる切削抵抗の主分力、背分力及び送り分力のそ
れぞれに対して交差する向きに設けられるので、制振材
5には切削抵抗の主分力と背分力と送り分力との合成力
が圧縮力として作用することとなり、制振材5によって
主分力、背分力、送り分力のそれぞれを由来とする振動
エネルギーを効果的に吸収させることができる。
【0051】
【発明の効果】本発明にかかる制振工具によれば、工具
本体に形成される装着穴内に装着される制振材によって
切削加工時に発生する振動エネルギーが吸収される。さ
らにこの制振材には穴が形成されていて、振動エネルギ
ーを受けた際には穴の近傍部分にも大きな歪みが発生す
るので、大きな歪みの発生する領域が増加することとな
り、同一量の制振材を用いて従来よりも高い減衰効果を
得ることができ、工具本体に生じるびびり振動をさらに
抑制して、加工能率を低下させずに加工品の寸法精度を
さらに向上させることができる。また、このように制振
材の振動減衰性能を高めることができるので、従来と同
程度の振動減衰性能を確保しつつ高価な制振材の使用量
を抑えることができ、制振工具の大部分を例えば安価な
鋼等によって構成して、比較的安価に制振工具を提供す
ることができる。さらに、振動減衰性能を確保しつつ、
制振工具における剛性の低い制振材の占める割合を下げ
ることができるので、例えば一般的な切削工具の工具本
体と同様にして鋼等の剛性の高い材質によって構成する
ことで工具本体の剛性を確保することができる。
【0052】また、本発明にかかる制振工具によれば、
工具本体の装着穴に装着される制振材は、装着穴の内面
に対向する面に凹部が形成されて装着穴の内面に対向す
る面の表面積が増えているので、振動エネルギーを受け
た際に大きな歪みが生じる領域が増加することとなり、
同一量の制振材を用いて従来よりも高い減衰効果を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態にかかる制振工具
の形状を示す側面図であって、(a)は全体図、(b)
は(a)の拡大図である。
【図2】 第一の実施の形態にかかる制振工具に用いら
れる制振材の、振動エネルギーを受けた状態を示す図で
ある。
【図3】 本発明の第二の実施の形態にかかる制振工具
の形状を示す側面図である。
【図4】 第二の実施の形態にかかる制振工具に用いら
れる制振材の、振動エネルギーを受けた状態を示す図で
ある。
【図5】 本発明の第三の実施の形態にかかる制振工具
の形状を示す側面図である。
【図6】 第三の実施の形態にかかる制振工具に用いら
れる制振材の、振動エネルギーを受けた状態を示す図で
ある。
【図7】 本発明にかかる制振工具の他の形状の例を示
す側面図である。
【図8】 本発明にかかる制振工具の他の形状の例を示
す側面図である。
【図9】 本発明にかかる制振工具の他の形状の例を示
す側面図である。
【図10】 本発明にかかる制振工具の他の形状の例を
示す側面図である。
【図11】 本発明にかかる制振工具の他の形状の例を
示す側面図である。
【図12】 本発明にかかる制振工具の他の形状の例を
示す側面図である。
【図13】 本発明にかかる制振工具の他の形状の例を
示す側面図である。
【図14】 本発明にかかる制振工具の他の形状の例を
示す側面図である。
【図15】 本発明にかかる制振工具の他の形状の例を
示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図であ
る。
【図16】 本発明にかかる制振工具の他の形状の例を
示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図であ
る。
【符号の説明】
1、6、8、31、41 制振工具 2、32、42
スローアウェイチップ 3、43 工具本体 4、44 装着穴 4a 第二の装着穴 5、5A〜5F
制振材 5a 第二の制振材 33 第一の工具
本体 34 第二の工具本体 B、B1〜B9

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工具本体に、少なくとも一側面に開口す
    る装着穴が設けられて該装着穴内に前記工具本体に生じ
    た振動エネルギーを吸収する制振材が装着されており、 該制振材は、穴が設けられた構成とされていることを特
    徴とする制振工具。
  2. 【請求項2】 工具本体に、少なくとも一側面に開口す
    る装着穴が設けられて該装着穴内に前記工具本体に生じ
    た振動エネルギーを吸収する制振材が装着されており、 該制振材は、前記装着穴の内面に対向する面に凹部が設
    けられていることを特徴とする制振工具。
  3. 【請求項3】 前記制振材は、前記装着穴の内面に対向
    する面に凹部が設けられていることを特徴とする請求項
    1記載の制振工具。
  4. 【請求項4】 前記制振材は、前記装着穴の軸線に直交
    する断面積が、前記装着穴の開口面積の30%から95
    %の範囲内とされていることを特徴とする請求項1から
    3のいずれかに記載の制振工具。
  5. 【請求項5】 前記工具本体には、前記制振工具の勝手
    方向を向く側面側から他方の側面側に向かうにつれて工
    具先端側に向けて傾斜して前記装着穴が設けられている
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の制
    振工具。
  6. 【請求項6】 前記制振材として、ヤング率が30GP
    aから180GPaの範囲内にあり、かつ振動減衰性能
    が対数減衰率で0.1から0.7の範囲内にある制振材
    が用いられることを特徴とする請求項1から5のいずれ
    かに記載の制振工具。
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