JP2003062459A - 水素貯蔵用炭素繊維およびその製造方法 - Google Patents

水素貯蔵用炭素繊維およびその製造方法

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JP2003062459A
JP2003062459A JP2001256148A JP2001256148A JP2003062459A JP 2003062459 A JP2003062459 A JP 2003062459A JP 2001256148 A JP2001256148 A JP 2001256148A JP 2001256148 A JP2001256148 A JP 2001256148A JP 2003062459 A JP2003062459 A JP 2003062459A
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carbon
fiber
hydrogen storage
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carbon fiber
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JP2001256148A
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Hisazumi Oshima
大島  久純
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Denso Corp
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  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水素貯蔵用炭素繊維において繊維軸方向への
熱伝導率を向上させる。 【解決手段】 層面が繊維軸11に対してある角度を持
って配向する多数のグラファイト層10を積層してなる
水素貯蔵用炭素繊維において、該炭素繊維は中空状であ
り、その内壁には、少なくとも一部がグラファイト化さ
れた炭素皮膜12が、各々のグラファイト層10をつな
ぐように連続して形成されている。炭素皮膜12におい
て繊維軸11の方向へ沿ったグラファイト面が形成され
ることにより、繊維軸方向の熱伝導率が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素貯蔵用炭素繊
維およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、Chambersら(The J
ournal of Physical Chemis
try B,102[22](1998)p.4253
−4256)や、Dillonら(NATURE,38
(1997)p.377−379)が、ナノ構造を持
つ炭素繊維が水素を高密度に吸蔵するという発表を行っ
て以来、その炭素繊維の製法に関して数多くの特許が公
開されている。例えば、特開2001−146408号
公報や特開2001146643号公報等があげられ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの炭素繊維への
水素の吸脱着には熱が伴うが、従来型の炭素繊維、特
に、CHambersらが報告したグラファイトナノフ
ァイバと呼ばれる、繊維軸に対してある角度を持ってグ
ラファイト層の層面(グラファイト面)が配向している
炭素繊維は、繊維軸方向の熱伝導率が低い。
【0004】つまり、従来の水素貯蔵用の炭素繊維構造
(例えば、上記の特開2001−146408号公報の
図1〜図4参照)では、グラファイト層は繊維軸方向に
沿って積層されているが、この従来構造では、繊維軸方
向に垂直方向は熱伝導率が高いが、繊維軸方向は非常に
熱伝導率が低い構造となっていた。これは、グラファイ
トの性質上、グラファイト面と平行方向の熱伝導率は、
その垂直方向の熱伝導率に比べて約100倍高いことに
よる。
【0005】また、グラファイト面が繊維軸に平行な構
造の炭素繊維(例えば、上記の特開2001−1464
08号公報の図5参照)も知られているが、このような
ものは、グラファイト層間の隙間が繊維表面に露出して
いる割合が小さい。そのため、当該隙間に水素ガスを取
り込むようにした水素貯蔵用炭素繊維としては、好まし
くない。
【0006】したがって、水素貯蔵用炭素繊維として
は、上述したように、層面が繊維軸に対してある角度
(0°より大きく90°以下)を持って配向する多数の
グラファイト層を積層してなる炭素繊維を用いることと
なり、このような炭素繊維においては、上記繊維軸方向
への低熱伝導という問題が生じる。
【0007】そして、水素貯蔵用炭素繊維においては、
容器に繊維を充填する等の状態で用いられるが、このと
き、一本の繊維と一本の繊維との接触はほとんどが点接
触であるため、繊維軸方向への熱伝導により熱交換効率
が支配される。すなわち、繊維軸方向への熱伝導率が低
いということは、水素貯蔵用炭素繊維として熱交換効率
が悪く、水素ガスの吸脱着性能に悪影響を与えることに
なる。
【0008】そこで、本発明は上記問題に鑑み、水素貯
蔵用炭素繊維において、繊維軸方向への熱伝導率を向上
させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、層面が繊維軸(11)
に対してある角度を持って配向する多数のグラファイト
層(10)を積層してなる水素貯蔵用の炭素繊維におい
て、炭素繊維は中空状であり、その内壁または外壁に
は、少なくとも一部がグラファイト化された炭素皮膜
(12)が、各々のグラファイト層をつなぐように連続
して形成されていることを特徴とする。
【0010】それによれば、中空状の炭素繊維は、リン
グ状のグラファイト層が繊維軸方向に沿って積層された
ものであって、その内壁または外壁には、炭素皮膜のグ
ラファイト面が各グラファイト層の間をつなぐように繊
維軸に沿って延びた形となる。そのため、繊維軸に垂直
方向の熱伝導率は、従来構造と同等であり、一方、繊維
軸方向の熱伝導率は、炭素皮膜のグラファイト面によっ
て高いものにすることができる。
【0011】また、中空状の炭素繊維の内壁および外壁
のどちらか一方に炭素皮膜が形成されているが、炭素皮
膜の形成されていない方の壁面には、グラファイト層間
の隙間が露出しているため、この隙間に水素ガスを取り
込むようにすることができる。よって、本発明によれ
ば、水素貯蔵用炭素繊維において、繊維軸方向への熱伝
導率を向上させることができる。
【0012】また、請求項2に記載の発明では、水素貯
蔵用の炭素繊維を製造する方法において、有機化合物を
用いて、層面が繊維軸(11)に対してある角度を持っ
て配向する多数のグラファイト層(10)を積層してな
る繊維体を合成する工程と、有機化合物を用いて、繊維
体の露出面の所定領域に少なくとも一部がグラファイト
化された炭素皮膜(12)を形成する工程とを備えるこ
とを特徴とする。
【0013】本発明によれば、請求項1に記載の水素貯
蔵用炭素繊維を適切に製造できる水素貯蔵用炭素繊維の
製造方法が提供される。
【0014】また、請求項3に記載の発明では、水素貯
蔵用の炭素繊維を製造する方法において、有機化合物を
用いて、層面が繊維軸(11)に対してある角度を持っ
て配向する多数のグラファイト層(10)を積層してな
る中空状の繊維体を合成する工程と、有機化合物を用い
て繊維体の内壁および外壁に、少なくとも一部がグラフ
ァイト化された炭素皮膜(12)を形成する工程と、繊
維体に形成された炭素皮膜のうち不要な部位の炭素皮膜
を除去する工程とを備えることを特徴とする。
【0015】本発明によれば、請求項1に記載の水素貯
蔵用炭素繊維を適切に製造できる水素貯蔵用炭素繊維の
製造方法が提供される。
【0016】ここで、前記不要な部位の炭素皮膜を除去
する工程では、請求項4に記載の発明のように、酸化ガ
スを用いた気相酸化若しくは酸化性液体を用いた液相酸
化を行うことにより、不要な炭素皮膜を除去することが
できる。
【0017】このとき、酸化ガスを用いる場合には、請
求項5に記載の発明のように、酸化ガスとして、二酸化
炭素、水蒸気、酸素およびこれらのガスに不活性ガスを
加えたもののうちから選択されたものを用いることがで
きる。
【0018】さらに、請求項6に記載の発明のように、
不要な部位の炭素皮膜を除去する工程の後に、不活性ガ
ス中若しくは真空中で、熱処理を行うことが好ましい。
それによれば、不要な炭素皮膜を酸化して除去した後に
おいて、酸化時の吸着ガスの脱気や繊維体や炭素皮膜の
グラファイト化度の向上が図れる。
【0019】また、請求項7に記載の発明では、水素貯
蔵用の炭素繊維を製造する方法において、有機化合物を
用いて、層面が繊維軸(11)に対して90°未満の角
度にてある角度を持って配向する多数のグラファイト層
(10)を積層してなるとともに中空部を持たない繊維
体(20)を合成する工程と、有機化合物を用いて繊維
体の外壁に、少なくとも一部がグラファイト化された炭
素皮膜(12)を形成する工程と、繊維体の内部を酸化
して除去することにより繊維体を中空状とする工程とを
備えることを特徴とする。
【0020】本発明によっても、請求項1に記載の水素
貯蔵用炭素繊維を適切に製造できる水素貯蔵用炭素繊維
の製造方法が提供される。ここで、請求項8または請求
項9に記載の発明のように、繊維体(20)の内部を酸
化して除去する工程では、酸化ガスを用いた気相酸化若
しくは酸化性液体を用いた液相酸化を行うことにより、
繊維体の内部を酸化して除去することができる。
【0021】また、請求項10に記載の発明のように、
繊維体(20)の内部を酸化して除去する工程の後に、
不活性ガス中若しくは真空中で、熱処理を行うようにす
れば、上記請求項6の発明と同様、酸化時の吸着ガスの
脱気や繊維体や炭素皮膜のグラファイト化度の向上が図
れ、好ましい。
【0022】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一
例である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示す実施形態
について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る水
素貯蔵用炭素繊維の繊維軸11に沿った模式的断面構造
を示す図である。図1において、多数のリング状のグラ
ファイト層10が繊維軸11に沿って積層されており、
グラファイト層10は、層面(グラファイト面)が繊維
軸11に対してある角度を持って配向している。
【0024】図1において、(a)は、グラファイト面
と繊維軸11とのなす角度が90°である場合、(b)
は、グラファイト面と繊維軸11とのなす角度が0°よ
り大きく90°未満の鋭角である場合を示している。
【0025】そして、図1に示す炭素繊維は中空形状で
あり、その内壁(中空部の内壁)には、部分的若しくは
全体が完全にグラファイト化された炭素皮膜12が、各
々のグラファイト層10をつなぐように連続して形成さ
れている。すなわち、炭素皮膜12は、炭素繊維の中空
部において繊維軸11の方向へ延びる略円筒形状をなし
ている。
【0026】この本実施形態の中空状の炭素繊維におい
ては、内壁ではグラファイト層10間の隙間が炭素皮膜
12にて被覆されているが、炭素皮膜12の形成されて
いない外壁では、グラファイト層10間の隙間13が露
出しているため、この外壁側の隙間13から水素ガスを
取り込んだり放出したりすることができる。
【0027】また、炭素繊維の内壁では、炭素皮膜12
のグラファイト面が各グラファイト層10の間をつなぐ
ように繊維軸11に沿って延びている。そのため、本実
施形態によれば、上記したグラファイトの性質上、繊維
軸11に垂直方向の熱伝導率は、従来構造と同等レベル
を確保でき、繊維軸方向の熱伝導率は、炭素皮膜12の
グラファイト面によって高いものにできる。
【0028】このように、本実施形態によれば、水素貯
蔵用として適切な構成を備えつつ、繊維軸方向への熱伝
導率を向上させた水素貯蔵用炭素繊維を提供することが
できる。
【0029】この水素貯蔵用炭素繊維は、有機化合物
(エチレン等)を用いて、層面が繊維軸11に対してあ
る角度を持って配向する多数のグラファイト層10を積
層してなる繊維体(図1において炭素皮膜12の無いも
の)を合成する工程(繊維体合成工程)と、その後、有
機化合物(エチレン等)を用いて、該繊維体の露出面の
所定領域に少なくとも一部がグラファイト化された炭素
皮膜12を形成する工程(炭素皮膜形成工程)とを行う
ことにより製造することができる。
【0030】繊維体合成工程は、一般的な水素貯蔵用炭
素繊維の製造方法である基板法や流動法により行うこと
ができる。基板法は、基板に金属微粒子(触媒、例えば
Fe、Ni、Cuおよびこれらの合金等)を担持し、そ
こで有機化合物を熱分解させ基板に繊維を成長させる方
法である。また、流動法は、有機遷移金属化合物と有機
化合物とを気相で反応させ浮遊状態で繊維を得る方法で
ある。
【0031】炭素皮膜形成工程では、繊維体を形成した
後、繊維体の合成温度(例えば600℃)よりも高い温
度(例えば650℃)にて有機化合物を熱分解する等に
より、繊維体の所定領域に少なくとも一部がグラファイ
ト化された炭素皮膜12を形成することができる。
【0032】ここで、上記製造方法は、繊維体合成工程
において、中空状の繊維体を形成する場合(中空繊維体
合成)、中空でない中実状の繊維体を形成する場合(中
実繊維体合成)とで、以下に示すような2つの方法に別
れる。
【0033】なお、中空繊維体と中実繊維体との作り分
けや、グラファイト面と繊維軸11とのなす角度を制御
することは、上記した特開2001−146408号公
報等にも記載されているように、上記基板法や流動法に
おいて製造条件(触媒や合成温度等)を調整することで
実行することができる。
【0034】まず、中空繊維体合成の場合の製造方法に
ついて述べる。この場合、繊維体合成工程では、有機化
合物を用いて、層面が繊維軸11に対してある角度を持
って配向する多数のグラファイト層10が積層されてな
る中空状の繊維体を合成する。
【0035】次に、炭素被膜形成工程では、中空状の繊
維体であるため、繊維体の内壁および外壁に、少なくと
も一部がグラファイト化された炭素皮膜12が形成され
る。そのため、次に、繊維体に形成された炭素皮膜12
のうち不要な部位(図1に示すものでは、炭素繊維の外
壁に相当)の炭素皮膜12を除去する工程(不要炭素皮
膜除去工程)を行う。
【0036】この不要炭素皮膜除去工程では、酸化ガス
(酸化剤)を用いた気相酸化若しくは酸化性液体を用い
た液相酸化を行うことにより、不要な炭素皮膜12を除
去することができる。このとき、酸化ガスとしては、二
酸化炭素、水蒸気、酸素およびこれらのガスに不活性ガ
スを加えたもののうちから選択されたもの等を用いるこ
とができ、酸化性液体としては、過酸化水素水、硝酸等
を用いることができる。
【0037】こうして、中空繊維体合成の場合の製造方
法を実行することにより、上記図1に示す水素貯蔵用炭
素繊維を製造することができる。
【0038】次に、もうひとつの中実繊維体合成の場合
の製造方法について、図2を参照して述べる。中実繊維
体合成の場合の製造方法では、上記図1に示す水素貯蔵
用炭素繊維ではなく、最終的に図2(c)に示す断面構
造を有する水素貯蔵用炭素繊維が製造される。
【0039】この場合、図2(a)に示す繊維体合成工
程では、有機化合物を用いて、層面が繊維軸11に対し
て90°未満の角度にてある角度を持って配向する多数
のグラファイト層10を積層してなるとともに中空部を
持たない中実状の繊維体20を合成する(図2(a)参
照)。なお、この中実状の繊維体20は、ヘリングボー
ン(herring−bone)型と呼ばれる。
【0040】次に、図2(b)に示す炭素被膜形成工程
では、有機化合物を用いて繊維体20の外壁に、少なく
とも一部がグラファイト化された炭素皮膜12を形成す
る。次に、図2(c)に示す工程(繊維体中空部形成工
程)では、繊維体20の内部を酸化して除去することに
より繊維体20を中空状とする。
【0041】この繊維体中空部形成工程では、上記不要
炭素皮膜形成工程と同様、酸化ガス(酸化剤)を用いた
気相酸化若しくは酸化性液体を用いた液相酸化を行うこ
とにより、繊維体20の内部を酸化して除去することが
できる。
【0042】ここで、図2(b)に示す繊維体20にお
いて、グラファイト層10の屈曲部10aや外壁側の端
部10bは、グラファイトの結晶性がくずれて比較的酸
化されやすい部分である。外壁側の端部10bは炭素皮
膜12で保護されているため、繊維体中空部形成工程で
は、繊維体20の中心部である屈曲部10aが酸化さ
れ、図2(c)に示すように中空部ができあがる。
【0043】こうして、中実繊維体合成の場合の製造方
法を実行することにより、図2(c)に示す水素貯蔵用
炭素繊維を製造することができる。この図2(c)に示
す水素貯蔵用炭素繊維では、中空状の炭素繊維の外壁に
筒状の炭素皮膜12が形成されており、繊維軸11方向
の熱伝導率を向上できるとともに、内壁側に露出したグ
ラファイト層10間の隙間13から水素の吸蔵、脱離を
行うことができる。
【0044】さらに、上記中空繊維体および中実繊維体
の両方の場合の製造方法において、不要炭素皮膜除去工
程の後、あるいは繊維体中空部形成工程の後に、不活性
ガス(アルゴンガス等)中若しくは真空中で、熱処理
(例えば1500℃)を行うことが好ましい。それによ
れば、酸化時の吸着ガスの脱気や繊維体や炭素皮膜のグ
ラファイト化度の向上が図れる。
【0045】次に、本実施形態について、限定するもの
ではないが、以下の各具体例を参照してより具体的に説
明する。なお、各繊維体や製造途中のもの、更にはでき
あがった水素貯蔵用炭素繊維の構造は、電子顕微鏡等に
より観察して確認した。
【0046】[具体例1]本例は、中空繊維体合成の場
合であって基板法を用いたものである。金属微粒子(金
属触媒)としてFe、Ni、Cuの合金を担持した基板
を合成炉内へ配置し、有機化合物としてエチレンを用
い、600℃で合成を行い、中空状の繊維体を合成した
(繊維体合成工程)。
【0047】繊維体を合成した後、有機化合物として同
じくエチレンを用い、温度を650℃へ上昇させること
で、触媒上での炭素析出反応よりも合成された繊維体表
面での炭素析出を起きやすくし、中空状繊維体の内壁お
よび外壁へ炭素皮膜12を形成した(炭素皮膜形成工
程)。
【0048】次に、炭素皮膜12が形成された繊維体
を、酸化ガスとして二酸化炭素を用いた酸化雰囲気中で
処理温度500℃にて酸化する。このとき、中空状の繊
維体の構造上、内壁の炭素皮膜12は十分な二酸化炭素
が供給されないため、ほとんど酸化されず、主として外
壁の炭素皮膜が酸化されて除去された(不要炭素皮膜除
去工程)。
【0049】最後に、前述の処理により付着している一
酸化炭素や二酸化炭素などの吸着ガスを除去したり、グ
ラファイト化度を高めるために、繊維体を不活性ガスと
してのアルゴン中で熱処理した(熱処理工程)。処理温
度は1500℃、処理時間は1時間とした。
【0050】このようにして製造された本例の水素貯蔵
用炭素繊維は、炭素皮膜12の無い従来のものに比べ
て、約3倍、熱伝導率が向上した。
【0051】[具体例2]本例では、繊維体形成工程ま
では上記具体例1と同様に行い、中空状の繊維体を形成
した。
【0052】その後、炭素皮膜形成工程の前に、一度合
成炉から繊維体を取り出し、ボールミルにより繊維体を
粉砕して、長さ(繊維軸方向の長さ)を短くした。粉砕
条件は400rpm、20分とした。このように粉砕す
ることで、繊維体を短くし、繊維体の中空部へ炭素皮膜
となる原料(有機化合物)が入りやくすることができ
る。
【0053】粉砕された繊維体を用いて、上記具体例1
と同様に、炭素皮膜形成工程、不要炭素皮膜除去工程、
熱処理工程を順次行った。このようにして製造された本
例の水素貯蔵用炭素繊維は、炭素皮膜12の無い従来の
ものに比べて、約2倍、熱伝導率が向上した。
【0054】[具体例3]本例は、中実繊維体合成の場
合であって基板法を用いたものである。金属微粒子(金
属触媒)としてFe、Niを担持した基板を合成炉内へ
配置し、有機化合物としてエチレンを用い、600℃で
合成を行い、中空部のないヘリングボーン型の中実状の
繊維体を合成した(繊維体合成工程)。
【0055】次に、合成炉の温度を650℃に上昇さ
せ、この中実状の繊維体の表面に炭素皮膜を形成した
(炭素皮膜形成工程)。続いて、一度合成炉から繊維体
を取り出し、ボールミルにより繊維体を粉砕して短くし
た。粉砕条件は400rpm、60分とした。
【0056】次に、繊維体中空部形成工程では、短くさ
れた繊維体を、酸化ガスとして二酸化炭素を用いた酸化
雰囲気中で処理温度500℃にて酸化する。このとき、
上記図2にて述べたようにヘリングボーン型の中実状の
繊維体の構造上、繊維体の内部が酸化されて除去され繊
維体は中空状となった。
【0057】ここにおいて、繊維体の外壁の炭素皮膜も
一部酸化されたが、実質的に、上記図2(c)に示す様
な構造が得られた。その後、上記具体例1、2と同様
に、熱処理工程を行った。このようにして製造された本
例の水素貯蔵用炭素繊維は、炭素皮膜12の無い従来の
ものに比べて、約2倍、熱伝導率が向上した。
【0058】以上、主として基板法を用いた例を説明し
てきたが、流動法を用いる場合は、次の図3に示す様な
製造方法を採用することができる。上述したように、流
動法では、有機遷移金属化合物と有機化合物とを気相で
反応させ浮遊状態で繊維を得るが、基板法のように合成
温度を時間的に変化させることができない。
【0059】そこで、図3に示すように、温度領域の異
なる電気炉30、31を用いる。上流側電気炉30を例
えば600℃とし、下流側電気炉31を例えば650℃
とする。それにより、上流側にて繊維体の合成を行い、
流れてきた繊維体は下流側にてその表面に炭素皮膜が形
成される。
【0060】炭素皮膜が形成された繊維体は、例えば、
上記具体例に記載したように、ボールミルで粉砕した
り、酸化処理を行うことにより、従来に比べて熱伝導率
を向上させた水素貯蔵用炭素繊維を製造することができ
る。
【0061】なお、上記実施形態において、水素貯蔵量
を増大させるための触媒を炭素繊維に添加する加工を行
っても良い。例えば、上記特開2001−146408
号公報に記載の各種触媒を添加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る水素貯蔵用炭素繊維の
模式的断面図である。
【図2】上記実施形態における中実繊維体合成の場合の
製造方法を示す工程図である。
【図3】上記実施形態における流動法を用いた水素貯蔵
用炭素繊維の製造方法を示す説明図である。
【符号の説明】
10…グラファイト層、11…繊維軸、12…炭素皮
膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C01B 3/00 C01B 3/00 B Fターム(参考) 4G040 AA42 4G046 CA02 CB01 CC02 CC06 CC08 4G066 AA04B AA09D AA14D AA43D AC13A BA16 BA38 CA38 FA09 FA18 4L037 AT02 CS04 FA05 PA06 PA11 PA26 UA04 UA06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 層面が繊維軸(11)に対してある角度
    を持って配向する多数のグラファイト層(10)を積層
    してなる水素貯蔵用の炭素繊維において、 前記炭素繊維は中空状であり、その内壁または外壁に
    は、少なくとも一部がグラファイト化された炭素皮膜
    (12)が、各々の前記グラファイト層をつなぐように
    連続して形成されていることを特徴とする水素貯蔵用炭
    素繊維。
  2. 【請求項2】 水素貯蔵用の炭素繊維を製造する方法に
    おいて、 有機化合物を用いて、層面が繊維軸(11)に対してあ
    る角度を持って配向する多数のグラファイト層(10)
    を積層してなる繊維体を合成する工程と、 有機化合物を用いて、前記繊維体の露出面の所定領域に
    少なくとも一部がグラファイト化された炭素皮膜(1
    2)を形成する工程と、を備えることを特徴とする水素
    貯蔵用炭素繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 水素貯蔵用の炭素繊維を製造する方法に
    おいて、 有機化合物を用いて、層面が繊維軸(11)に対してあ
    る角度を持って配向する多数のグラファイト層(10)
    を積層してなる中空状の繊維体を合成する工程と、 有機化合物を用いて、前記繊維体の内壁および外壁に、
    少なくとも一部がグラファイト化された炭素皮膜(1
    2)を形成する工程と、 前記繊維体に形成された前記炭素皮膜のうち不要な部位
    の炭素皮膜を除去する工程とを備えることを特徴とする
    水素貯蔵用炭素繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記不要な部位の炭素皮膜を除去する工
    程では、酸化ガスを用いた気相酸化若しくは酸化性液体
    を用いた液相酸化を行うことを特徴とする請求項3に記
    載の水素貯蔵用炭素繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記酸化ガスは、二酸化炭素、水蒸気、
    酸素およびこれらのガスに不活性ガスを加えたもののう
    ちから選択されたものであることを特徴とする請求項4
    に記載の水素貯蔵用炭素繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記不要な部位の炭素皮膜を除去する工
    程の後に、不活性ガス中若しくは真空中で、熱処理を行
    うことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1つに
    記載の水素貯蔵用炭素繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】 水素貯蔵用の炭素繊維を製造する方法に
    おいて、 有機化合物を用いて、層面が繊維軸(11)に対して9
    0°未満の角度にてある角度を持って配向する多数のグ
    ラファイト層(10)を積層してなるとともに中空部を
    持たない繊維体(20)を合成する工程と、 有機化合物を用いて、前記繊維体の外壁に、少なくとも
    一部がグラファイト化された炭素皮膜(12)を形成す
    る工程と、 前記繊維体の内部を酸化して除去することにより前記繊
    維体を中空状とする工程とを備えることを特徴とする水
    素貯蔵用炭素繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記繊維体(20)の内部を酸化して除
    去する工程では、酸化ガスを用いた気相酸化若しくは酸
    化性液体を用いた液相酸化を行うことを特徴とする請求
    項7に記載の水素貯蔵用炭素繊維の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記酸化ガスは、二酸化炭素、水蒸気、
    酸素およびこれらのガスに不活性ガスを加えたもののう
    ちから選択されたものであることを特徴とする請求項8
    に記載の水素貯蔵用炭素繊維の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記繊維体(20)の内部を酸化して
    除去する工程の後に、不活性ガス中若しくは真空中で、
    熱処理を行うことを特徴とする請求項7ないし9のいず
    れか1つに記載の水素貯蔵用炭素繊維の製造方法。
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JP2016130212A (ja) * 2010-02-19 2016-07-21 株式会社インキュベーション・アライアンス 薄片状黒鉛結晶集合物

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