JP2003060209A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

半導体装置およびその製造方法

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JP2003060209A
JP2003060209A JP2001240530A JP2001240530A JP2003060209A JP 2003060209 A JP2003060209 A JP 2003060209A JP 2001240530 A JP2001240530 A JP 2001240530A JP 2001240530 A JP2001240530 A JP 2001240530A JP 2003060209 A JP2003060209 A JP 2003060209A
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semiconductor device
gas
concentration
manufacturing
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JP2001240530A
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Tetsuya Yamauchi
哲也 山内
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 精度良く低濃度の不純物を添加する。 【解決手段】 ガラス基板1上にa‐Si膜3を不純物
(ボロン)を添加しながら成膜し、ニッケル5を添加して
加熱処理およびレーザ光6の照射によって結晶性シリコ
ン膜7を得る。その場合に、水素で100ppmに希釈し
たジボランガスを、a‐Si膜3の成膜を開始してから
15秒間だけ供給する。こうすることによって、濃度が
安定している100ppmという比較的高い濃度に希釈し
たジボランガスを供給しても、a‐Si膜3中における
上記ボロンの平均濃度を約1E12atoms/cm2程度の低
濃度に精度良く設定できる。こうして、上記ボロン濃度
を1E11atoms/cm2〜1E13atoms/cm2に設定するこ
とによって、TFTの閾値電圧を数ボルト程度の範囲で
精度良く制御できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体装置およ
びその製造方法に関し、更に詳しく言えば、アモルファ
スシリコン膜を結晶化した結晶性シリコン膜を活性領域
とする半導体装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アモルファスシリコン膜を結晶化して成
る結晶性シリコン膜を活性領域として使用する半導体装
置として、例えば、ポリシリコンTFT(薄膜トランジ
スタ)がある。このポリシリコンTFTは、以下のよう
な製造工程に従って形成される。すなわち、先ず、ガラ
ス基板上に、プラズマCVD(化学気相成長法)によって
ベースコート膜を成膜し、引き続いて真性のアモルファ
スシリコン膜を成膜する。次に、このアモルファスシリ
コン膜に対して、強光を照射してそのエネルギーによっ
て結晶化を行ったり、熱エネルギーを加えることによっ
て結晶化を行う。
【0003】次に、不要な部分の多結晶シリコン膜を除
去して素子間分離を行って、TFTの活性領域となる島
状の結晶性シリコン膜を形成する。次に、上記島状結晶
性シリコン膜を覆うように、ゲート絶縁膜としての酸化
シリコン膜をプラズマCVD法によって形成する。尚、
上記アモルファスシリコン膜の結晶化から上記ゲート絶
縁膜の形成までの工程中において、TFTの閾値を制御
するために、上記アモルファスシリコン膜を結晶化して
成る結晶性シリコンに、不純物を添加(チャネルドープ)
するためにイオンドーピングを行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のポリシリコンTFTの製造方法には、以下のような
問題がある。すなわち、上述したように、上記アモルフ
ァスシリコン膜の結晶化から上記ゲート絶縁膜の形成ま
での工程中においてチャネルドープを行うのであるが、
その場合にはイオンドーピング装置が必要である。とこ
ろが、イオンドーピング装置は、高価で装置の大きさも
大きく重量も重いため、チャネルドープをイオンドーピ
ング装置を使用しない他の方法で行うことができれば、
チャネルドープ用のイオンドーピング装置を削減できる
という大きなメリットがある。
【0005】イオンドーピング装置を使用するチャネル
ドープの代替手段としては、上記アモルファスシリコン
をプラズマCVD法によって成膜する際に、ジボラン等
の不純物ガスを添加して、アモルファスシリコン中に不
純物(ボロン)を埋め込んでしまう方法がある。
【0006】しかしながら、その場合には、埋め込む不
純物量が微量であるために、次のような問題がある。 (1) ジボランは低濃度に希釈すると安定性がなくな
り、常に安定した不純物の添加が困難である。 (2) 成膜室内等にジボランが吸着したり脱離したりす
ることによって、常に安定した不純物の添加が困難であ
る。
【0007】そこで、この発明の目的は、精度良く低濃
度の不純物を添加することが可能な半導体の製造方法、
および、この製造方法によって作成された半導体装置を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1の発明は、基板上に形成された不純物を含む活
性層を有する半導体装置において、上記不純物の濃度
は、上記活性層における上記基板側の方が上記基板側と
は反対側よりも高くなっていることを特徴としている。
【0009】上記構成によれば、活性層には不純物が含
まれると共に、上記不純物の濃度は上記活性層における
上記基板側の方が高くなっている。このことは、上記活
性層となる薄膜が成膜される際に、成膜開始から成膜終
了よりも前までの間だけ不純物ガスが添加されたことの
証である。すなわち、上記不純物がイオンドーピング法
によって添加されたのであれば、上記不純物の濃度は上
記活性層における上記基板側とは反対側(つまり表面側)
の方が高くなるからである。
【0010】上述のように、上記活性層となる薄膜の成
膜時において、成膜開始から成膜終了よりも前までの間
だけ不純物ガスを添加することによって、濃度が安定し
ている比較的高い濃度の不純物ガスを添加して、上記活
性層中における不純物の平均濃度を約1E12atoms/cm
2程度の低濃度に精度良く設定することが可能になるの
である。
【0011】また、1実施例では、上記第1の発明の半
導体装置において、上記活性層に含まれる不純物の平均
濃度は1E11atoms/cm2以上且つ1E13atoms/cm2
下である。
【0012】この実施例によれば、例えば、上記活性層
を結晶性シリコン膜とし、上記不純物をボロンとする
と、上記結晶性シリコン膜中のボロン濃度が、1E11
atoms/cm2以上且つ1E13atoms/cm2以下である。した
がって、上記結晶性シリコン膜をTFTのチャネル領域
として用いれば、上記TFTの閾値電圧のシフト量を数
ボルト程度の範囲で制御することができるのである。
【0013】また、第2の発明は、上記第1の発明の半
導体装置の製造方法であって、上記活性層となる薄膜を
成膜する際に,材料ガスに上記不純物のガスを添加し、
上記薄膜の成膜が終了する前に上記不純物ガスの添加を
停止することを特徴としている。
【0014】上記構成によれば、濃度が安定している比
較的高い濃度の不純物ガスが添加されても、上記活性層
中における不純物の平均濃度が約1E12atoms/cm2
度の低濃度に精度良く設定される。したがって、イオン
ドーピング装置を用いることなく、精度良く低濃度の不
純物が添加された活性層を有する半導体装置が容易に且
つ安価に得られるのである。
【0015】また、1実施例では、上記第2の発明の半
導体装置の製造方法において、上記不純物ガス添加の停
止時点は、上記薄膜の成膜が終了する時点よりも、少な
くともガス供給経路中におけるガス停止バルブからガス
のミキシングボックスまでの上記不純物ガスが排気され
る時間だけ前である。
【0016】この実施例によれば、上記活性層となる薄
膜の成膜が終了した際に、ガス供給経路中におけるガス
停止バルブより下流に上記不純物が残ることが防止され
る。したがって、上記薄膜が繰り返し成膜されても安定
した不純物量が得られるのである。
【0017】また、1実施例では、上記第2の発明の半
導体装置の製造方法において、上記不純物はホウ素であ
り、上記不純物ガスはジボラン,三フッ化ホウ素,三塩化
ホウ素および三臭化ホウ素のうちの少なくとも1つを含
んでいる。
【0018】この実施例によれば、上記不純物としての
ボロンを1E11atoms/cm2〜1E13atoms/cm2程度の
低濃度で含んだ活性層を有する半導体装置が形成され
る。
【0019】また、1実施例では、上記第2の発明の半
導体装置の製造方法において、上記不純物ガスはジボラ
ンである。
【0020】この実施例によれば、ジボランは、その構
成元素がボロンと希釈ガスとして用いられている水素の
みである。したがって、上記三フッ化ホウ素,三塩化ホ
ウ素および三臭化ホウ素を用いる場合のように、上記活
性層となる薄膜中やプロセスチャンバ内にフッ素や塩素
や臭素等の元素が取り込まれない。
【0021】また、1実施例では、上記第2の発明の半
導体装置の製造方法において、上記不純物ガスを希釈す
る希釈ガスは、水素あるいはシランである。
【0022】この実施例によれば、上記不純物ガスの希
釈ガスは水素あるいはシランであるので、上記活性層に
は、上記不純物の他に水素あるいはシリコンのみが含ま
れることなる。
【0023】また、1実施例では、上記第2の発明の半
導体装置の製造方法において、上記希釈ガスは水素であ
る。
【0024】この実施例によれば、上記不純物ガスを水
素で希釈することによって、上記シラン等の他の希釈ガ
スで希釈した場合よりも安定したガス濃度が得られる。
引いては、精度良く不純物濃度が得られる。
【0025】また、1実施例では、上記第2の発明の半
導体装置の製造方法において、上記不純物ガスの濃度は
10ppm以上である。
【0026】この実施例によれば、上記不純物ガスの濃
度は10ppm以上であるため、精度良く濃度の管理を行
うことが可能になる。
【0027】また、1実施例では、上記第2の発明の半
導体装置の製造方法において、上記不純物ガスの濃度は
100ppm以上である。
【0028】この実施例によれば、上記不純物ガスの濃
度は100ppm以上であるため、低濃度での濃度の安定
性が悪いジボランの場合でも、比較的安定した濃度が得
られる。
【0029】また、1実施例では、上記第2の発明の半
導体装置の製造方法において、上記活性層となる薄膜の
成膜が完了した後に、成膜室に水素ガスのみを供給して
水素プラズマを生成することによって、上記成膜室内に
残留している不純物を除去するようにしている。
【0030】この実施例によれば、成膜室内に残留して
いる不純物が除去されるので、繰り返して上記活性層と
なる薄膜を成膜する場合でも更に安定した不純物の添加
が行われる。したがって、精度の良い半導体装置を繰り
返して形成することが可能になる。
【0031】また、1実施例では、上記第2の発明の半
導体装置の製造方法において、上記活性層となる薄膜は
上記不純物を含むアモルファスシリコン膜であり、上記
不純物を含むアモルファスシリコン膜に対して加熱処理
あるいは強光の照射処理の少なくとも一方を行うことに
よって、上記アモルファスシリコンを結晶化すると共
に、得られた上記活性層としての結晶性シリコン膜にお
ける上記基板側とは反対側にまで上記不純物を拡散させ
る。
【0032】この実施例によれば、上記活性層となるア
モルファスシリコン膜の成膜時に、成膜開始から成膜終
了よりも前まで不純物ガスを添加することによって、ア
モルファスシリコン膜の基板側に添加された不純物が、
加熱処理あるいは強光の照射処理の少なくとも一方によ
って、上記基板側とは反対側にまで拡散される。こうし
て、低く且つ略均一な不純物濃度のアモルファスシリコ
ン膜が得られる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形
態により詳細に説明する。 <第1実施の形態>図1は、本実施の形態の半導体装置
としてのN型TFTをガラス基板上に作製する場合の各
工程における断面を示す図である。本実施の形態におけ
るN型TFTは、アクティブマトリクス型液晶表示装置
におけるドライバ回路や画素部分は勿論、薄膜集積回路
を構成する素子としても利用可能である。尚、本実施の
形態においては、基板上に数十万から数百万のN型TF
Tを特に均一に作製する必要がある液晶表示装置用アク
ティブマトリクス基板上に形成される画素用TFTを例
に上げて説明する。図1は1個のTFTの断面図であ
り、図1(a)〜図1(e)の順で製造工程が進行する。
【0034】先ず、図1(a)に示すように、ガラス基板
(コーニング社コード1737)1上に、プラズマCVD
法によって、基板温度430℃で、ベースコート膜(B
C膜)としての酸化シリコン膜2を厚さ100nm〜40
0nmで成膜する。引き続いて、不純物(ボロン)を添加し
ながらアモルファスシリコン膜(a‐Si膜)3を厚さ2
5nm〜80nmで成膜する。
【0035】具体的な成膜条件は、基板温度を330℃
とし、シランガスを250sccm、水素ガスを800scc
m、水素で100ppmに希釈したジボランガスを200sc
cm供給し、成膜室内の圧力を1.3Torrとする。そし
て、RF(高周波)電力150Wを供給することによって
プラズマを生成して成膜を開始する。
【0036】成膜を開始してから15秒後に水素で希釈
したジボランの供給を停止し、同時に水素ガスの流量を
1000sccmに変更する。その後35秒間成膜を続けて
成膜処理を完了する。この35秒間に、図2に示すCV
D装置のガス供給経路の概略図において、水素で希釈し
たジボランの供給を制御するバルブ26からガスのミキ
シングボックス25までの配管27の中のジボランが排
気される。尚、28はCVD装置であり、29はマスフ
ローコントローラである。
【0037】この成膜によって、上記a‐Si膜3の下
層に、比較的ボロン濃度の高い部分4ができ、その場合
におけるa‐Si膜3中に添加されるボロンの平均濃度
は約1E12atoms/cm2であった。この値は、シリコン
ウェハにシリコン酸化膜を形成後、上記条件でa‐Si
膜を成膜し、さらにシリコン酸化膜を成膜したサンプル
をSIMS(二次イオン質量分析法)で測定した値であ
る。
【0038】上記ボロンの平均濃度を1E11atoms/cm
2〜1E13atoms/cm2にすることによって上記TFTの
閾値電圧のシフト量を数ボルト程度の範囲で制御するこ
とができ、この濃度の添加量で抵抗値が低下することは
ないのである。尚、上記不純物材料ガスとしては、上記
ジボラン以外に、三フッ化ホウ素,三塩化ホウ素および
三臭化ホウ素等を用いることができる。その中で、ジボ
ランは、その構成元素がボロンと希釈ガスとして用いら
れている水素のみであり、膜中やプロセスチャンバ内に
フッ素や塩素や臭素等の元素を取り込まないという利点
がある。ところが、上記ジボランは「ppm」レベルの低濃
度では濃度の安定性が低いことが知られており、精度よ
く濃度の管理を行う為には10ppm以上が必要である。
しかしながら、本実施の形態においては、成膜中に一貫
して不純物材料ガスを流し続ける分けではないので、膜
中に微量の不純物を取り込む場合であっても、比較的濃
度の安定した100ppm程度の濃度を用いることができ
るのである。また、上記希釈ガスとしては、水素の他に
シランやアルゴンを用いることもできる。しかしなが
ら、中でも水素で希釈したジボランのガス濃度の安定性
は、他のガスで希釈した場合よりもよい。
【0039】成膜完了後、上記CVD装置28の成膜室
から基板を取り出して次の基板を入れる前に、上記成膜
室に水素ガス1000sccmを供給して成膜室内の圧力を
1.3Torrとする。そして、RF電力1000W〜30
00Wを供給することによって水素プラズマを生成し
て、上記成膜室内のクリーニングを行う。こうして、ク
リーニングを行うことによって、上記成膜室内に残留し
たボロンを殆ど除去することができるのである。これ
は、成膜室壁に設置した汚染モニタリング用のシリコン
ウェハのSIMS測定結果から、ボロンの検出量が検出
限界以下であることから確認できている。成膜完了後の
基板は、0.5%のフッ酸で30秒間処理して表面の自
然酸化膜を除去し、さらにa‐Si膜3の表面濡れ性向
上のためにオゾン水で処理する。
【0040】次に、図1(a)に示すように、上記a‐Si
膜3にニッケル5を、スピンコート法によって、表面濃
度1×1012atoms/cm2〜1×1014atoms/cm2で添加す
る。そして、不活性雰囲気下において、5℃/min〜40
℃/minの昇温速度で300℃〜550℃まで昇温する。
続いて、40℃/min以上の昇温速度で550℃〜730
℃まで昇温して加熱処理を行なう。ここでは、昇温速度
10℃/minで400℃まで昇温し、続いて昇温速度10
0℃/minで570℃まで昇温して570℃で2時間加熱
した後、さらに室温まで約30minかけて降温した。こ
の加熱処理によって、a‐Si膜3は結晶化されて多結
晶シリコン膜(p‐Si膜)になると同時にシリコン膜中
に不純物(ボロン)が拡散される。
【0041】引き続いて、図1(b)に示すように、上記
p‐Si膜にレーザ光6を照射することによって、p‐
Si膜の結晶性を助長して結晶性シリコン膜7を得る。
この場合におけるレーザ光6としては、XeClエキシマ
レーザ(波長308nm,パルス幅40nm)を用いた。その
場合におけるレーザ光6の照射条件は、照射時の基板温
度が200℃〜450℃、エネルギー密度が250mJ/
cm2〜450mJ/cm2である。ビームサイズはガラス基板
1上において150mm×1mmの長尺形状になるように成
型されており、長尺方向に対して垂直方向に0.05mm
のステップ幅で順次走査を行う。すなわち、上記p‐S
i膜の任意の一点において、計20回の照射が行われる
ことになる。
【0042】次に、不要な部分の上記結晶性シリコン膜
7を除去して素子間分離を行い、図1(c)に示すよう
に、TFTの活性領域(後にチャネル領域18,ソース/
ドレイン領域16,17)となる島状の結晶性シリコン膜
8を形成する。そして、島状結晶性シリコン膜8を覆っ
て、ゲート絶縁膜9としての酸化シリコン膜を、厚さ3
0nm〜150nmでプラズマCVD法によって形成する。
さらに、ゲート絶縁膜9上に、スパッタリング法によっ
て、厚さ50nm〜200nmの窒化タンタル膜を成膜し、
連続して厚さ300nm〜500nmのタングステン膜を成
膜する。そして、窒化タンタル膜とタングステン膜との
積層膜をパターニングしてゲート電極10を形成する。
【0043】引き続いて、イオンドーピング法によっ
て、上記ゲート電極10をマスクとして低濃度の不純物
(リン)11を注入する。このドーピングは、ドーピング
ガスとしてホスフィン(PH3)を用い、加速電圧を60k
V〜90kVとし、ドーズ量を3×1013cm-2〜3×1
14cm-2として行う。更に、図1(d)に示すように、ゲ
ート電極10よりも左右夫々が幅1μm分だけ広いパタ
ーンのフォトレジスト12を介して、高濃度の不純物
(リン)13を注入する。このドーピングは、ドーピング
ガスとしてホスフィン(PH3)を用い、加速電圧を60k
V〜90kVとし、ドーズ量を1×1015cm-2〜1×1
16cm-2として行う。このドーピング工程によって、低
濃度の不純物11が注入されて後にTFTのLDD(Li
ghtly DopedDrain)領域となる領域14,15と、低濃度
不純物11と高濃度の不純物13とが注入されたソース
/ドレイン領域16,17と、ゲート電極10でマスクさ
れて不純物が注入されていないチャネル領域18が形成
される。
【0044】その後、450℃〜600℃の加熱処理に
よって、イオン注入された不純物の活性化と、不純物導
入によって劣化した結晶性の改善とが行なわれる。本実
施の形態においては、550℃で4時間の加熱処理を行
なった。その際に、リンはニッケルを引き寄せる効果が
あるため、この加熱処理によってリンが注入されていな
いチャネル領域18中のニッケルが拡散されて、リンが
高濃度で注入されているソース/ドレイン領域16,17
に集められる。ニッケル、特にニッケルシリサイドがチ
ャネル領域18に存在するとリーク源となるため、TF
Tのオフ電流の上昇を招いてしまう。ところが、この加
熱処理によって、チャネル領域18からニッケルが拡散
してソース/ドレイン領域16,17に移動するため、チ
ャネル領域18にからニッケルをゲッタリングすること
ができるのである。ここで、N型不純物(リン)が存在す
るソース/ドレイン領域16,17のシート抵抗は、20
0Ω/cm2〜800Ω/cm2であった。
【0045】続いて、厚さ800nm程度の酸化シリコン
膜または窒化シリコン膜をプラズマCVD法で成膜し、
層間絶縁膜19を形成する。そして、層間絶縁膜19に
コンタクトホールを形成し、例えばチタン/アルミニウ
ム/チタンの三層膜等の金属材料によってTFTのソー
ス電極配線20及びドレイン電極配線21を形成する。
最後に、窒素雰囲気下において、400℃で60分のア
ニールを行う。本実施の形態におけるTFTは画素電極
をスイッチングする素子であるので、ドレイン電極配線
21にはITO(錫添加酸化インジウム)等の透明電極で
なる画素電極22が設けられる。さらに、こうして作成
されたNチャネル型TFT23を保護するために、N型
TFT23上に窒化シリコン膜等から成る保護膜(図示
せず)を必要に応じて形成しても差し支えない。
【0046】このように、本実施の形態においては、ガ
ラス基板1上にa‐Si膜3を成膜し、ニッケル5を添
加して不活性雰囲気下で加熱処理してp‐Si膜化し、
さらにレーザ光6を照射して結晶性シリコン膜7を得る
に際して、a‐Si膜3を不純物(ボロン)を添加しなが
ら成膜するようにしている。その場合に、水素で100
ppmに希釈したジボランガスを、a‐Si膜3の成膜を開
始してから15秒間だけ供給するようにしている。こう
することによって、濃度が安定している100ppmとい
う比較的高い濃度に希釈したジボランガスを供給して
も、a‐Si膜3中におけるボロンの平均濃度を約1E
12atoms/cm2程度の低濃度に精度良く設定することが
できるのである。
【0047】尚、この約1E12atoms/cm2のボロン濃
度は、TFTの閾値電圧のシフト量を数ボルト程度の範
囲で制御することができる濃度範囲1E11atoms/cm2
〜1E13atoms/cm2に入っており、液晶表示装置用ア
クティブマトリクス基板上に形成される画素用TFTと
して十分な特性を有するTFT23を得ることができる
のである。
【0048】また、本実施の形態においては、上記希釈
したジボランガスの供給を停止するタイミングを、a‐
Si膜3の成膜が完了する時点よりも、図2に示すCV
D装置のガス供給経路において、バルブ26からガスの
ミキシングボックス25までの配管27の中に残ったジ
ボランが完全にCVD装置28へ排気される時間よりも
以前の時点に設定している。したがって、a‐Si膜3
の成膜後において、配管27の中に不純物(ボロン)が残
ることを防止でき、a‐Si膜3の成膜を繰り返し行っ
ても安定した不純物量を得ることができる。
【0049】さらに、上記a‐Si膜3の成膜時に添加
する不純物ガスをジボランとし、このジボランの希釈ガ
スを水素としたので、a‐Si膜3中にボロンと水素以
外の不純物が入らないようにできる。
【0050】さらに、上記a‐Si膜3の成膜完了後
に、CVD装置28の成膜室に水素ガスのみを供給して
水素プラズマを生成することによって、上記成膜室内に
残留しているボロンの除去を行うので、繰り返してa‐
Si膜3を成膜する場合でも更に安定した不純物(ボロ
ン)の添加が可能になる。したがって、精度の良いTF
Tを繰り返して形成することができる。
【0051】さらに、上述のようにして成膜されたボロ
ンが添加されたa‐Si膜3に対して、加熱処理及びレ
ーザ光6の照射を行って結晶化するので、主にa‐Si
膜3の下層4に添加されたボロンがa‐Si膜3の上層
部にまで拡散される。こうして、低く且つ略均一なボロ
ン濃度のa‐Si膜3を得ることができるのである。
【0052】<第2実施の形態>本実施の形態は、アク
ティブマトリクス型液晶表示装置の周辺回路や一般の薄
膜集積回路を構成するN型TFTとP型TFTとで相補
的に構成されたCMOS(相補型金属酸化膜半導体)TF
Tをガラス基板上に作成する場合について説明する。
【0053】図3は、本実施の形態の半導体装置として
のCMOSTFTにおける平面図である。また、図4お
よび図5は、上記CMOSTFTをガラス基板上に作製
する場合の各工程における断面を示す図であり、図3に
おけるA‐A'矢視断面図に相当するものである。ここ
で、図4(a)〜図5(f)の順で製造工程が進行する。
【0054】先ず、図4(a)に示すように、ガラス基板
(コーニング社コード1737)31上に、プラズマCV
D法によって、基板温度430℃で、BC膜としての酸
化シリコン膜32を厚さ100nm〜400nmで成膜す
る。引き続いて、不純物(ボロン)を添加しながらa‐S
i膜33を厚さ25nm〜80nmで成膜する。
【0055】具体的な成膜条件は、基板温度を330℃
とし、シランガスを250sccm、水素ガスを800scc
m、水素で100ppmに希釈したジボランガスを200sc
cm供給し、成膜室内の圧力を1.3Torrとする。そし
て、RF電力150Wを供給することによってプラズマ
を生成して成膜を開始する。
【0056】成膜を開始してから15秒後に水素で希釈
したジボランの供給を停止し、同時に水素ガスの流量を
1000sccmに変更する。その後35秒間成膜を続けて
成膜処理を完了する。この35秒間に、図2におけるバ
ルブ26からミキシングボックス25までの配管27の
中に在る水素で希釈したジボランが、CVD装置28に
排気される。
【0057】この成膜によって、上記a‐Si膜33の
下層に、比較的ボロン濃度の高い部分34ができ、その
場合におけるa‐Si膜33中に添加されるボロンの平
均濃度は約1E12atoms/cm2であった。この値は、シ
リコンウェハにシリコン酸化膜を形成後、上記条件でa
‐Si膜を成膜し、さらにシリコン酸化膜を成膜したサ
ンプルをSIMSで測定した値である。
【0058】上記ボロンの平均濃度を1E11atoms/cm
2〜1E13atoms/cm2にすることによって上記TFTの
閾値電圧のシフト量を数ボルト程度の範囲で制御するこ
とができ、この濃度の添加量で抵抗値が低下することは
ないのである。尚、上記不純物材料ガスとしては、上記
ジボラン以外に、三フッ化ホウ素,三塩化ホウ素および
三臭化ホウ素等を用いることができる。その中で、ジボ
ランは、その構成元素がボロンと希釈ガスとして用いら
れている水素のみであり、膜中やプロセスチャンバ内に
フッ素や塩素や臭素等の元素を取り込まないという利点
がある。ところが、上記ジボランは「ppm」レベルの低濃
度では濃度の安定性が低いことが知られており、精度よ
く濃度の管理を行う為には10ppm以上が必要である。
しかしながら、本実施の形態においては、成膜中に一貫
して不純物材料ガスを流し続ける分けではないので、膜
中に微量の不純物を取り込む場合であっても、比較的濃
度の安定した100ppm程度の濃度を用いることができ
るのである。また、上記希釈ガスとしては、水素の他に
シランやアルゴンを用いることもできる。しかしなが
ら、中でも水素で希釈したジボランのガス濃度の安定性
は、他のガスで希釈した場合よりもよい。
【0059】成膜完了後、上記CVD装置28の成膜室
から基板を取り出して次の基板を入れる前に、上記成膜
室に水素ガス1000sccmを供給して成膜室内の圧力を
1.3Torrとする。そして、RF電力1000W〜30
00Wを供給することによって水素プラズマを生成し
て、上記成膜室内のクリーニングを行う。こうして、ク
リーニングを行うことによって、上記成膜室内に残留し
たボロンを殆ど除去することができるのである。これ
は、成膜室壁に設置した汚染モニタリング用のシリコン
ウェハのSIMS測定結果から、ボロンの検出量が検出
限界以下であることから確認できている。成膜完了後の
基板は、0.5%のフッ酸で30秒間処理して表面の自
然酸化膜を除去し、さらにa‐Si膜33の表面濡れ性
向上のためにオゾン水で処理する。
【0060】次に、図4(a)に示すように、上記a‐Si
膜33にニッケル35を、スピンコート法によって、表
面濃度1×1012atoms/cm2〜1×1014atoms/cm2で添
加する。そして、不活性雰囲気下において、先ず、核発
生数極大点以下の昇温速度である5℃/min〜40℃/min
の昇温速度で300℃〜550℃まで昇温する。続い
て、30℃/min以上の昇温速度で550℃〜730℃ま
で昇温して加熱処理を行なう。ここでは、昇温速度10
℃/minで400℃まで昇温し、続いて昇温速度100℃
/minで570℃まで昇温した後、さらに昇温速度300
℃/minで670℃まで昇温した。そして、600℃まで
14minかけて降温し、さらに室温まで約30minかけて
降温した。この加熱処理によって、a‐Si膜33は結
晶化されてp‐Si膜になると同時に、シリコン膜中に
不純物(ボロン)が拡散される。
【0061】引き続いて、図4(b)に示すように、上記
p‐Si膜にレーザ光36を照射することによって、p
‐Si膜の結晶性を助長して結晶性シリコン膜37を得
る。この場合におけるレーザ光36としては、XeClエ
キシマレーザ(波長308nm,パルス幅40nm)を用い
た。その場合におけるレーザ光36の照射条件は、照射
時の基板温度が200℃〜450℃であり、エネルギー
密度が250mJ/cm2〜450mJ/cm2である。ビームサ
イズは上記ガラス基板31上において150mm×1mmの
長尺形状になるように成型されており、長尺方向に対し
て垂直方向に0.05mmのステップ幅で順次走査を行
う。すなわち、上記p‐Si膜の任意の一点において、
計20回の照射が行われることになる。
【0062】このレーザ光36の照射によって、シリコ
ン素膜中に残存しているアモルファス領域が優先的に溶
融し、結晶化領域の良好な結晶成分のみが反映されて膜
全体が結晶化される。上記レーザ照射は結晶改善が目的
であり、基本的な結晶性(結晶方位の面内分布)は変化し
ないようなエネルギー範囲で行われる。
【0063】次に、不要な部分の上記結晶性シリコン膜
37を除去して素子間分離を行い、図4(c)に示すよう
に、TFTの活性領域(後にチャネル領域48n,48pと
ソース/ドレイン領域46n,47n,46p,47p)となる
島状の結晶性シリコン膜38n,38pを形成する。そし
て、上記島状結晶性シリコン膜38n,38pを覆って、
ゲート絶縁膜39としての酸化シリコン膜を、厚さ30
nm〜150nmでプラズマCVD法によって形成する。
【0064】引き続いて、後にN型TFTのチャネル領
域となる領域のパターンにフォトレジスト40nを形成
し、更に後にP型TFTとなる領域のパターンにフォト
レジスト40pを形成する。そして、イオンドーピング
法によって、フォトレジスト40n,40pをマスクとし
て低濃度の不純物(リン)41を注入する。このドーピン
グは、ドーピングガスとしてホスフィン(PH3)を用
い、加速電圧を60kV〜90kVとし、ドーズ量を3×
1013cm-2〜3×1014cm-2として行う。
【0065】次に、フォトレジスト40n,40pを除去
した後、図4(d)に示すように、島状の結晶性シリコン
膜38n,38pの位置におけるゲート絶縁膜39上に、
スパッタリング法によって、厚さ50nm〜200nmの窒
化タンタル膜を成膜し、連続して厚さ300nm〜500
nmのタングステン膜を成膜する。そして、窒化タンタル
膜とタングステン膜との積層膜を、フォトレジスト40
nよりも左右夫々幅1μm分だけ広いパターンにパターニ
ングしてゲート電極42n,42pを形成する。
【0066】引き続いて、上記イオンドーピング法によ
って、ゲート電極42n,42pをマスクとして高濃度の
不純物(リン)43を注入する。このドーピングは、ドー
ピングガスとしてホスフィン(PH3)を用い、加速電圧
を60kV〜90kVとし、ドーズ量を1×1015cm-2
1×1016cm-2として行う。このドーピング工程によっ
て、低濃度の不純物41が注入されて後にN型TFTの
LDD領域となる領域44,45と、低濃度不純物41
および高濃度の不純物43が注入されたソース/ドレイ
ン領域46n,47nと、フォトレジスト40nとゲート電
極42nとでマスクされて不純物が注入されていないチ
ャネル領域48nが形成される。尚、後にN型TFTの
LDD領域となる領域44,45は、ゲート電極42nと
オーバーラップして位置している。したがって、N型T
FTはGOLDD(Gate OverappedLightly Doped Drai
n)構造となる。また、フォトレジスト40pとゲート電
極42pとでマスクされて不純物が注入されていない領
域48pは、P型TFTのチャネル領域となる。
【0067】次に、図5(e)に示すように、上記N型T
FTの領域のパターンにフォトレジスト49を形成す
る。そして、イオンドーピング法によって、フォトレジ
スト49とゲート電極42pとをマスクとして、不純物
(ボロン)50を結晶性シリコン膜38pの領域46pと領
域47pとに注入する。このドーピングは、ドーピング
ガスとしてジボラン(B26)を用い、加速電圧を60k
V〜90kVとし、ドーズ量を3×1015cm-2〜2×1
16cm-2として行う。このドーピング工程で、領域46
pと領域47pとにはリン43とボロン50とが注入され
ているが、ボロン50の注入量の方が多いため領域46
pと領域47pとはP型TFTのソース/ドレイン領域と
なる。尚、P型TFTのチャネル領域48pには、ゲー
ト電極42pでマスクされてボロン50は注入されな
い。
【0068】その後、450℃〜600℃の加熱処理に
よって、イオン注入された不純物の活性化と、不純物導
入によって劣化した結晶性の改善とが行なわれる。本実
施の形態においては、600℃で4時間の加熱処理を行
なった。その際に、リンはニッケルを引き寄せる効果が
あるため、この加熱処理によってリンが注入されていな
いチャネル領域48n,48p中のニッケルが拡散され
て、リンが高濃度で注入されているソース/ドレイン領
域46n,47n,46p,47pに集められる。ニッケル、
特にニッケルシリサイドがチャネル領域48n,48pに
存在するとリーク源となるため、TFTのオフ電流の上
昇を招いてしまう。ところが、この加熱処理によって、
チャネル領域48n,48pからニッケルが拡散してソー
ス/ドレイン領域46n,47n,46p,47pに移動するた
め、チャネル領域48n,48pにからニッケルをゲッタ
リングすることができる。こうして、TFTのオフ電流
の上昇を抑えることができるのである。ここで、N型T
FTのソース/ドレイン領域46n,47nのシート抵抗
は、200Ω/cm2〜800Ω/cm2であった。また、P型
TFTのソース/ドレイン領域46p,47pのシート抵抗
は、600Ω/cm2〜1500Ω/cm2であった。
【0069】続いて、厚さ600nm程度の酸化シリコン
膜または窒化シリコン膜をプラズマCVD法で成膜し、
層間絶縁膜51を形成する。そして、層間絶縁膜51に
コンタクトホールを形成し、例えばチタン/アルミニウ
ム/チタンの三層膜等の金属材料によってN型TFTお
よびP型TFTの電極配線52,53,54を形成する。
最後に、1気圧の窒素雰囲気下において、400℃で6
0分のアニールを行う。こうして、図3および図5(f)
に示すようなNチャネル型TFT55とPチャネル型T
FT56とが完成する。さらに、こうして作成されたN
型TFT55とP型TFT56とを保護するために、N
型TFT55とP型TFT56との上に窒化シリコン膜
等から成る保護膜(図示せず)を必要に応じて形成しても
差し支えない。
【0070】このように、本実施の形態においては、上
記第1実施の形態の場合と同様に、ガラス基板31上に
a‐Si膜33を成膜し、ニッケル35を添加して加熱
処理及びレーザ光36の照射によって結晶化して結晶性
シリコン膜37を得るに際して、a‐Si膜33を不純
物(ボロン)を添加しながら成膜するようにしている。そ
して、その場合に、水素で100ppmに希釈したジボラ
ンガスを、a‐Si膜33の成膜を開始してから15秒
間だけ供給するようにしている。したがって、濃度が安
定している100ppmという比較的高い濃度に希釈した
ジボランガスを供給しても、a‐Si膜33中における
ボロンの平均濃度を約1E12atoms/cm2程度の低濃度
に精度良く設定することができるのである。
【0071】さらに、上述のようにして成膜されたボロ
ンが添加されたa‐Si膜33に対して、加熱処理及び
レーザ光36の照射を行って結晶化するので、主にa‐
Si膜33の下層34に添加されたボロンがa‐Si膜3
3の上層部にまで拡散される。こうして、低く且つ略均
一なボロン濃度のa‐Si膜33を得ることができるの
である。
【0072】すなわち、本実施の形態によれば、CMO
STFTを構成するN型TFT55とP型TFT56と
のボロンの平均濃度を、1E11atoms/cm2〜1E13a
toms/cm2に設定することができる。したがって、閾値電
圧のシフト量を数ボルト程度の範囲で制御することがで
きるのであるのである。
【0073】さて、上記各実施の形態において形成され
た半導体装置としては、活性層を構成する結晶性シリコ
ン膜が不純物を含み、且つ上記活性層内において上記不
純物の濃度が基板側の方が上記基板側とは反対側よりも
高くなっていることが特徴である。このような状態は、
上記各実施の形態によって、不純物ガスが、上記活性層
となる薄膜の成膜開始から成膜終了よりも前まで添加さ
れた結果として得られるのである。
【0074】以上、この発明を上記第1,第2実施の形
態を例に説明したが、この発明は上述の各実施の形態に
限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づ
く各種の変形が可能である。例えば、上記第1実施の形
態においては、この発明をN型TFT23の形成に適用
しているが、P型TFTにも適用することは可能であ
る。
【0075】
【発明の効果】以上より明らかなように、第1の発明の
半導体装置は、基板上に形成された不純物を含む活性層
における上記不純物の濃度は、上記活性層における上記
基板側の方が上記基板側とは反対側よりも高くなってい
るので、上記活性層への不純物の添加は、イオンドーピ
ング法に因らずに、上記活性層となる薄膜の成膜時に、
成膜開始から成膜終了よりも前まで不純物ガスを添加す
ることによって行われている。
【0076】したがって、上記活性層の不純物濃度は、
濃度が安定している比較的高い濃度の不純物ガスが添加
されることによって、約1E12atoms/cm2程度の低濃
度に精度良く設定されている。すなわち、本半導体装置
は、イオンドーピング装置を用いることなく安定して且
つ安価に作成することができる。
【0077】また、1実施例の半導体装置は、上記活性
層に含まれる不純物の平均濃度を1E11atoms/cm2
上且つ1E13atoms/cm2以下にしたので、上記活性層
を結晶性シリコン膜とし、上記不純物をボロンとし、上
記結晶性シリコン膜をTFTのチャネル領域として用い
れば、上記TFTの閾値電圧のシフト量を数ボルト程度
の範囲で制御することができる。
【0078】また、第2の発明の半導体装置の製造方法
は、活性層となる薄膜を成膜する際に、材料ガスに不純
物ガスを添加し、上記薄膜の成膜が終了する前に上記不
純物ガスの添加を停止するので、濃度が安定している比
較的高い濃度の不純物ガスを添加しても、上記活性層中
における不純物の平均濃度を約1E12atoms/cm2程度
の低濃度に精度良く設定できる。したがって、イオンド
ーピング装置を用いることなく、精度良く低濃度の不純
物が添加された活性層を有する半導体装置を容易に且つ
安価に形成できる。
【0079】また、1実施例の半導体装置の製造方法
は、不純物ガス添加の停止時点を、上記薄膜の成膜が終
了する時点よりも、少なくともガス供給経路中における
ガス停止バルブからガスのミキシングボックスまでの上
記不純物ガスが排気される時間だけ前にしたので、上記
薄膜の成膜が終了した際に、上記ガス供給経路中におけ
るガス停止バルブより下流に上記不純物が残ることを防
止できる。
【0080】したがって、上記薄膜を繰り返し成膜して
も安定した不純物量を得ることができる。また、in‐si
tu(インサイチュウ)で膜厚をモニタリングしながら成膜
を行って成膜時間を調整する場合においても、不純物を
定量的に添加することができる。
【0081】また、1実施例の半導体装置の製造方法
は、上記不純物をホウ素とし、上記不純物ガスをジボラ
ン,三フッ化ホウ素,三塩化ホウ素および三臭化ホウ素の
うちの少なくとも1つを含むようにしたので、上記活性
層に、不純物としてのボロンを1E11atoms/cm2〜1
E13atoms/cm2程度の低濃度で精度良く且つ容易に添
加することができる。
【0082】また、1実施例の半導体装置の製造方法
は、上記不純物ガスをジボランとしたので、上記活性層
となる薄膜中やプロセスチャンバ内にボロンと水素以外
の不純物が入らないようにできる。したがって、三フッ
化ホウ素,三塩化ホウ素および三臭化ホウ素を用いる場
合のように、フッ素や塩素や臭素等の元素が入ることは
ない。
【0083】また、1実施例の半導体装置の製造方法
は、上記不純物ガスの希釈ガスを水素あるいはシランと
したので、上記活性層には、上記不純物の他に水素ある
いはシリコンのみが含まれる。
【0084】また、1実施例の半導体装置の製造方法
は、上記希釈ガスを水素としたので、上記シラン等の他
の希釈ガスで希釈した場合よりも低濃度でも安定したガ
ス濃度を得ることができる。したがって、精度良く低濃
度の不純物濃度を得ることができる。
【0085】また、1実施例の半導体装置の製造方法
は、上記不純物ガス濃度を10ppm以上としたので、精
度良く濃度の管理を行うことができる。
【0086】また、1実施例の半導体装置の製造方法
は、上記不純物ガス濃度を100ppm以上としたので、
低濃度における濃度の安定性が悪いジボランの場合で
も、比較的安定した濃度を得ることができる。したがっ
て、上記不純物ガスの安定した供給が可能となる。
【0087】また、1実施例の半導体装置の製造方法
は、上記活性層となる薄膜の成膜が完了した後に、成膜
室に水素ガスのみを供給して水素プラズマを生成するこ
とによって、上記成膜室内に残留している不純物を除去
するので、繰り返して上記薄膜を成膜する場合でもさら
に安定した不純物の添加を行うことができる。したがっ
て、精度の良い半導体装置を繰り返して形成することが
できる。
【0088】また、1実施例の半導体装置の製造方法
は、上記活性層となる薄膜を上記不純物を含むアモルフ
ァスシリコン膜とし、上記不純物を含むアモルファスシ
リコン膜に対して加熱処理あるいは強光の照射処理の少
なくとも一方を行うことによって、上記アモルファスシ
リコンの結晶化と上記不純物の拡散とを行うので、上記
アモルファスシリコン膜の成膜時に基板側に添加された
不純物を上記基板側とは反対側にまで拡散することがで
きる。したがって、低く且つ略均一な不純物濃度のアモ
ルファスシリコン膜を容易に得ることができるのであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の半導体装置としてのN型TFTの
各製造工程における断面図である。
【図2】 CVD装置におけるガス供給経路の概略図で
ある。
【図3】 この発明の半導体装置としてのCMOSTF
Tにおける平面図である。
【図4】 図3に示すCMOSTFTの各製造工程にお
ける断面図である。
【図5】 図4に続くの各製造工程における断面図であ
る。
【符号の説明】
1,31…ガラス基板、 2,32…酸化シリコン膜、 3,33…a‐Si膜、 4,34…ボロン濃度の高い部分、 5,35…ニッケル、 6,36…レーザ光、 7,37…結晶性シリコン膜、 8,38n,38p…島状結晶性シリコン膜、 9,39…ゲート絶縁膜、 10,42n,42p…ゲート電極、 11,41…低濃度のリン、 12,40n,40p,49…フォトレジスト、 13,43…高濃度のリン、 14,15,44,45…LDD領域、 16,17,46n,47n,46p,47p…ソース/ドレイン
領域、 18,48n,48p…チャネル領域、 19,51…層間絶縁膜、 20…ソース電極配線、 21…ドレイン電極配線、 22…画素電極、 23,55…Nチャネル型TFT、 25…ミキシングボックス、 26…バルブ、 27…配管、 28…CVD装置、 29…マスフローコントローラ、 50…ボロン、 52,53,54…電極配線、 56…Pチャネル型TFT。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H092 JA25 JA46 MA08 MA13 MA17 MA27 MA30 MA35 MA37 NA22 NA24 NA27 NA28 NA29 5F045 AA06 AA08 AB02 AB04 AB32 AB33 AC01 AC14 AC19 AD07 AE21 AF07 BB04 BB16 CA15 DA58 DA59 EB06 EB17 EE15 EE18 HA16 HA17 HA20 5F052 AA02 AA11 AA17 BB07 CA04 DA02 DB03 FA06 FA19 JA01 5F110 AA08 AA16 AA30 BB02 BB04 CC02 DD02 DD13 EE01 EE04 EE14 EE44 FF02 FF30 GG02 GG13 GG25 GG32 GG34 GG37 GG45 GG51 HJ01 HJ04 HJ12 HJ23 HL03 HL04 HL12 HM15 NN02 NN23 NN24 NN35 NN72 PP03 PP06 PP34 QQ11 QQ28

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された不純物を含む活性層
    を有する半導体装置において、 上記不純物の濃度は、上記活性層における上記基板側の
    方が上記基板側とは反対側よりも高くなっていることを
    特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の半導体装置において、 上記活性層に含まれる不純物の平均濃度は、1E11at
    oms/cm2以上且つ1E13atoms/cm2以下であることを特
    徴とする半導体装置。
  3. 【請求項3】 請求項1あるいは請求項2に記載の半導
    体装置の製造方法であって、 上記活性層となる薄膜を成膜する際に、材料ガスに不純
    物ガスを添加し、 上記薄膜の成膜が終了する前に、上記不純物ガスの添加
    を停止することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の半導体装置の製造方法
    において、 上記不純物ガス添加の停止時点は、上記薄膜の成膜が終
    了する時点よりも、少なくともガス供給経路中における
    ガス停止バルブからガスのミキシングボックスまでの上
    記不純物ガスが排気される時間だけ前であることを特徴
    とする半導体装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3あるいは請求項4に記載の半導
    体装置の製造方法において、 上記不純物はホウ素であり、上記不純物ガスはジボラ
    ン,三フッ化ホウ素,三塩化ホウ素および三臭化ホウ素の
    うちの少なくとも1つを含むことを特徴とする半導体装
    置の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の半導体装置の製造方法
    において、 上記不純物ガスはジボランであることを特徴とする半導
    体装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5あるいは請求項6に記載の半導
    体装置の製造方法において、 上記不純物ガスを希釈する希釈ガスは、水素あるいはシ
    ランであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の半導体装置の製造方法
    において、 上記希釈ガスは水素であることを特徴とする半導体装置
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項3乃至請求項8の何れか一つに記
    載の半導体装置の製造方法において、 上記不純物ガスの濃度は、10ppm以上であることを特
    徴とする半導体装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の半導体装置の製造方
    法において、 上記不純物ガスの濃度は、100ppm以上であることを
    特徴とする半導体装置の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項3乃至請求項10の何れか一つ
    に記載の半導体装置の製造方法において、 上記活性層となる薄膜の成膜が完了した後に、成膜室に
    水素ガスのみを供給して水素プラズマを生成することに
    よって、上記成膜室内に残留している不純物を除去する
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項3乃至請求項11の何れか一つ
    に記載の半導体装置の製造方法において、 上記活性層となる薄膜は、上記不純物を含むアモルファ
    スシリコン膜であり、上記不純物を含むアモルファスシ
    リコン膜に対して加熱処理あるいは強光の照射処理の少
    なくとも一方を行うことによって、上記アモルファスシ
    リコンを結晶化すると共に、得られた上記活性層として
    の結晶性シリコン膜における上記基板側とは反対側にま
    で上記不純物を拡散させることを特徴とする半導体装置
    の製造方法。
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