JP2003057475A - 光導波路基板の製造方法および光導波路基板 - Google Patents

光導波路基板の製造方法および光導波路基板

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JP2003057475A
JP2003057475A JP2001240758A JP2001240758A JP2003057475A JP 2003057475 A JP2003057475 A JP 2003057475A JP 2001240758 A JP2001240758 A JP 2001240758A JP 2001240758 A JP2001240758 A JP 2001240758A JP 2003057475 A JP2003057475 A JP 2003057475A
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aluminum
oxide film
film
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JP2001240758A
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Shinji Makikawa
新二 牧川
Hiroshi Aoi
浩 青井
Masaaki Shirota
政明 城田
Takayuki Yoshimoto
隆行 吉本
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱酸化法で下部クラッド膜となる熱酸化膜を
高品質かつ迅速に作製できる石英系光導波路基板の製造
方法および光導波路基板を提供する。 【解決手段】 少なくともシリコン基板を熱酸化して下
側クラッド膜となる熱酸化膜を基板表面に形成する工程
を有する光導波路基板の製造方法において、前記熱酸化
膜の形成は、アルミニウムを含有する熱酸化膜を形成す
る光導波路基板の製造方法。およびシリコン基板と、該
基板上に形成された下側クラッド膜となる熱酸化膜から
成る光導波路基板であって、前記熱酸化膜が、シリコン
基板を熱酸化させて形成したアルミニウムを含有する熱
酸化膜から成る光導波路基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信用の光導波
路デバイス用基板を製造するときに、熱酸化法で、下部
クラッド膜を高品質かつ迅速に作製できる石英系光導波
路基板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高速度、高密度の光通信デバイスにおい
ては、より低価格で高信頼性の光部品が求められてい
る。特に最近は、その光部品として基板上に形成された
光導波路型のデバイスが多く用いられ、中でもファイバ
との接続に容易な石英系光導波路が注目されている。
【0003】従来の光導波路デバイスの一例として、方
向性結合器を説明する。これは図2(a)(b)に示す
ように、基板2上に形成された下側クラッド膜3と上側
クラッド膜6との間に、それぞれ光導波路を形成する2
つ以上のコア部5が数μmの間隔で近接して埋設されて
いる。
【0004】このような光導波路を製造する方法として
は、四塩化硅素を火炎の中で加水分解して反応させてガ
ラス膜を堆積する方法(以下FHD法という)や同じく
四塩化硅素をプラズマ内やオゾンを含む雰囲気で反応さ
せてガラス膜を堆積する方法(以下CVD法という)な
どがある。
【0005】以下、光導波路を製造する手順を示す。F
HD法では、下側クラッド膜3(図2(b))を形成す
るのに四塩化硅素の他に三塩化リン、三塩化ボロンなど
を出発原料にして、基板2上に多孔質の堆積膜を形成
し、この堆積した膜を1000℃以上に加熱保持する高
温処理を施して透明ガラス化する。
【0006】CVD法では、下側クラッド膜3を形成す
るのにテトラエトキシシランなどの有機硅素化合物、も
しくは四塩化硅素などを出発原料にして、同様に図2
(b)に示すシリコン基板2上に透明な堆積膜を形成
し、さらにこの堆積した膜を800℃以上に加熱保持し
て膜に含まれる炭素化合物、水酸基などを乖離させて純
度の高いガラス膜を作製する。
【0007】コア膜は、下側クラッド膜3よりも屈折率
を高くできる添加物、例えばGe,Tiを含む化合物を
硅素化合物と一緒に入れることで、上記FHD法、もし
くはCVD法、または電子線などを用いた真空蒸着法で
作製することができる。しかる後、光を伝搬する部分で
あるコア部5以外の不要なコア膜を反応性イオンエッチ
ング法により除去し、続いて上側クラッド膜6をFHD
堆積法もしくはCVD堆積法によりコア部5を覆うよう
に堆積して、上側クラッド膜を高温処理することによ
り、図2に示すような方向性結合器が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】FHD堆積法、CVD
堆積法いずれも基板上に新たに石英膜を堆積する方法で
あるので、基板が石英膜よりも熱膨張率が大きいシリコ
ン基板を用いた場合には、高温処理を行うことによっ
て、石英膜が付いた基板が大きく反ってしまう。その大
きさは、例えば直径4インチ、厚み1mmのシリコン基
板の上に石英膜20μmを堆積し、1200℃の熱処理
を行うと、約200μmの反りが生じてしまう。
【0009】この反りを抑制する為に、シリコン基板を
熱酸化することによってシリコン基板に石英膜を形成す
る方法がある。この方法は、シリコンそのものが酸化さ
れて石英膜となるため、添加物などが入った膜ではなく
純石英膜である。またシリコン基板の上に回路を形成す
る表側の表面と同時にその裏面にも酸化膜が形成される
ので、熱酸化工程中に基板が反ることは無い。
【0010】この反りの面からは熱酸化によって得られ
た石英膜を下側クラッド膜3として使用することは有効
である。しかし、この下側クラッド膜を熱酸化法により
形成するために、通常の光導波路の下側クラッド膜厚で
ある5−30μmの石英膜を形成するには、1100℃以上で5
000-180000minもの長時間、水蒸気雰囲気に曝す必要が
あり、非常に時間を要するという欠点を持つ。
【0011】また、この熱酸化膜は、他のガラス堆積膜
に比べてガラスの密度が大きく、密度に依存する屈折率
では、直接気相合成法(堆積法)で得られるガラス膜の
屈折率が、プリズムカップリング法で測定した場合、1.
4578であるのに対して、熱酸化法で得られたガラス膜の
屈折率は、1.4580-1.4590と大きくなる。またこの屈折
率は酸化する温度によって大きくなるので、酸化温度が
高い程、形成されるガラス密度が大きくなり、流動性が
少ない硬いガラスが形成されることになる。
【0012】従って、この熱酸化によって得られたガラ
ス膜を上記下側クラッド膜3として使用し、コア部5、
上側クラッド膜6を他の堆積法で作製したガラス膜を使
用して、それらの膜を熱処理した場合は、従来のガラス
堆積膜とは異なり、熱酸化法の下側クラッド膜の流動性
が乏しいために、下側クラッド膜3と、コア部5もしく
は上側クラッド膜6との界面で、ガラス同士がなじまず
に、界面で数μmのクラックがコア部もしくは、上側ク
ラッド膜に入ってしまう。
【0013】本発明は、かかる問題点を解決するために
為されたものであり、光通信用の光導波路を製造すると
きに、熱酸化法で下部クラッド膜となる熱酸化膜を高品
質かつ迅速に作製できる石英系光導波路基板の製造方法
および光導波路基板を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに為された本発明は、少なくともシリコン基板を熱酸
化して下側クラッド膜となる熱酸化膜を基板表面に形成
する工程を有する光導波路基板の製造方法において、前
記熱酸化膜の形成は、アルミニウムを含有する熱酸化膜
を形成することを特徴とする光導波路基板の製造方法で
ある(請求項1)。
【0015】このようにアルミニウムを含有する熱酸化
膜を下側クラッド膜として形成するようにすれば、従来
の熱酸化法の欠点である数百時間を要するプロセスを短
縮することができる。また、形成される下側クラッド膜
の流動性を向上させることができるため、従来の熱酸化
法のようにその後の光導波路の形成においてクラックが
入ることを防ぐことができる。
【0016】この場合、前記アルミニウムを含有する熱
酸化膜の形成は、酸化アルミニウムをシリコン基板に近
接して配置し、シリコン基板を熱酸化することにより行
なうことが好ましい(請求項2)。
【0017】このように、酸化アルミニウムをシリコン
基板に近接して配置し、前記酸化アルミニウムおよびシ
リコン基板を同時に熱酸化することによりアルミニウム
を含有する酸化膜を形成するようにすれば、熱酸化速度
を大幅に向上させることができる。また、シリコン基板
と接触させずにアルミニウムを気相反応によりシリコン
基板表面に付着させ、これを熱拡散により内部に浸透さ
せるため、シリコン基板表裏に関係なく、アルミニウム
がシリコン表面から拡散し、シリコン基板に特に成膜な
どの前処理も必要無く、簡単にシリコン基板上にアルミ
ニウムを含有させた酸化膜を形成できる。さらに、基板
の表裏における熱酸化膜の厚みの違いによって基板の反
りが生じることもない。
【0018】この場合、前記酸化アルミニウムが基板状
であり、該酸化アルミニウム基板をシリコン基板に10
mm以下の間隔で対向配置させて熱酸化を行ない、前記
アルミニウムを含有する熱酸化膜を形成することが好ま
しい(請求項3)。
【0019】このように酸化アルミニウムが基板状であ
れば、シリコン基板全面に均一にアルミニウムを拡散さ
せることが容易である。また、シリコン基板に10mm
以下の間隔で対向配置させて熱酸化を行なえば、揮発し
たアルミニウムがシリコン基板上に届くまでに希薄とな
ることがなく、充分な濃度のアルミニウムをシリコン基
板上に付着させることができる。
【0020】この場合、前記酸化アルミニウムはアルカ
リ金属を含有するものを用いることが好ましい(請求項
4)。酸化アルミニウムに微量のナトリウム、カリウム
などのアルカリ金属を含有するものを用いることによ
り、酸化アルミニウムからのアルミニウムの揮発が促進
され、さらに高濃度にアルミニウムを酸化膜中に含有さ
せることができるからである。
【0021】この場合、前記アルミニウムを含有する熱
酸化膜のアルミニウム濃度を100ppm以上とするこ
とが好ましい(請求項5)。このようにアルミニウムを
含有する酸化膜のアルミニウム濃度を100ppm以上
とすれば、十分に酸化速度を向上させることができる。
【0022】また、前記熱酸化時の温度を1100〜1
300℃とすることが好ましい(請求項6)。このよう
に下側クラッド膜に使用する熱酸化膜の熱酸化時の温度
は、通常のコア、上側クラッド膜のガラス透明化温度、
もしくはそれらのアニール温度よりも高い温度の110
0℃以上とするのが良い。但し酸化温度があまり高い
と、シリコン基板にスリップなどの欠陥が入り易くなる
ため、1300℃以下とするのが好ましい。
【0023】そして、本発明の製造方法により光導波路
基板を製造し、前記アルミニウムを含有する熱酸化膜上
にコア部および上側クラッド膜を形成すれば、光導波路
を製造することができる(請求項7)。本発明の製造方
法により製造された光導波路基板は、下側クラッド膜と
する酸化膜が十分な流動性を有するため、その上にコア
部や上側クラッド膜を形成した場合にクラックが入るこ
とを防止することができる。また、本発明の光導波路基
板は従来法より短時間で製造することができるため、こ
れを用いて光導波路を製造すれば、より短時間で低コス
トの光導波路を製造することができる。
【0024】また本発明は、シリコン基板と、該基板上
に形成された下側クラッド膜となる熱酸化膜から成る光
導波路基板であって、前記熱酸化膜が、シリコン基板を
熱酸化させて形成したアルミニウムを含有する熱酸化膜
から成ることを特徴とする光導波路基板である(請求項
8)。
【0025】このようなシリコン基板を熱酸化させて形
成したアルミニウムを含有する熱酸化膜から成る下側ク
ラッド膜を有する光導波路基板は、短時間で製造できる
ため安価である。また熱酸化膜は流動性に富むため熱酸
化膜上にコア部や上側クラッド膜を形成してもクラック
等が入りにくく、光導波路基板として最適なものとな
る。
【0026】この場合、前記アルミニウムを含有する熱
酸化膜のアルミニウム濃度が100ppm以上であるこ
とが好ましい(請求項9)。このように熱酸化膜のアル
ミニウム濃度が100ppm以上であれば、十分な流動
性を有するし、酸化膜形成を短時間で行なえるため、低
コストの光導波路基板となる。
【0027】この場合、前記アルミニウムを含有する熱
酸化膜の厚さが5μm以上であることが好ましい(請求
項10)。これは、下側クラッド膜として通常は5μm
から30μmの厚みがあれば良いからである。そのた
め、下側クラッド膜を形成するアルミニウムを含有する
酸化膜の厚みは5μm以上とすることが好ましく、通常
は5−20μmの厚みが望ましい。
【0028】そして本発明では、上記本発明の光導波路
基板のアルミニウムを含有する熱酸化膜上に光を伝搬す
るコア部と該コア部を埋め込む上側クラッド膜が形成さ
れていることを特徴とする光導波路が提供される(請求
項11)。本発明の光導波路基板は、短時間で製造で
き、熱酸化膜上にコア部や上側クラッド膜を形成しても
反りが生じないとともにクラック等が入りにくいため、
この光導波路基板を用いて製造された光導波路は安価
で、高品質なものとなる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、詳細に説明するが本発明はこれに限定されるもので
はない。本発明者らは前記目的を解決するために、熱酸
化法の欠点である数百時間を要するプロセスを短縮し、
かつ熱酸化膜の流動性を少しでも上げる方法として、熱
酸化膜にアルミニウムを含有させることを発想した。す
なわち、たとえばシリコン基板表面に水酸化アルミニウ
ムを付着させると、シリコン基板表面にアルミニウムと
シリコンによる低融点(約700℃)のシリサイド層が
形成される。このシリサイド層の形成されたシリコン基
板を1100℃以上の高温酸化性雰囲気で酸化すると、シリ
サイド層の酸化速度が通常のシリコン基板よりも10%以
上速い為に、5μm以上の酸化膜を形成するのに5000-18
000min要していたのが、10%以上の時間短縮が可能とな
る。
【0030】なおアルミニウムの拡散速度は、アルミニ
ウムとシリコンとが低融点のシリサイド層を形成するた
め、リンおよびホウ素よりも1桁速く、短時間でシリコ
ン基板中に拡散させることができる。またアルミニウム
は、シリコン基板が酸化されて生成される石英膜に数%
程度ならば失透せずに溶解できる。
【0031】アルミニウムを酸化膜に含有させる方法と
しては、シリコンインゴットを作製する時に原料にアル
ミニウムを添加することで基板に含有させることも可能
である。しかし、そのときのアルミニウムの含有量は、
約1018個/cmまでしか入らず、この基板を熱酸
化させても大きく酸化速度を上げることはできなかっ
た。そのため本発明者は、さらにアルミニウムを高濃度
に含有させる方法を検討した。
【0032】その結果、本発明者らは、酸化するシリコ
ン基板に95%以上の純度を有する酸化アルミニウム基
板を近接して配置し(例えば、2mm引き離して平行に対
向させて設置し)、それら両方の基板を高温酸化炉によ
り、酸化性雰囲気で熱酸化させることで、よりアルミニ
ウムを高濃度に含有させることができ、熱酸化速度が大
幅に速くなることを見出した。
【0033】すなわち、酸化アルミニウムは、高温では
微量では有るが、水蒸気中にて表面が反応し、水酸化ア
ルミニウムとして表面から揮発される。その揮発した水
酸化アルミニウムが、シリコン基板表面に付着し、シリ
コン表面から基板内部に拡散する。なおアルミニウム基
板に微量のナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属を
含むと、さらにそのアルミニウムの揮発は促進され、ア
ルミニウムをより高濃度に酸化膜中に含有させることが
できる。
【0034】この方法では、シリコン基板に酸化アルミ
ニウムを近接させるが、接触させずにアルミニウムを付
着、拡散するため、数%までしかシリコン基板にアルミ
ニウムを含有させることはできないが、シリコン基板に
特に成膜などの前処理も必要無く、酸化アルミニウム基
板とともに酸化するだけで容易にシリコン基板にアルミ
ニウムを含有させることができる。また、この方法によ
るアルミニウムの揮発、付着は気相反応であり、シリコ
ン基板表裏に関係なくアルミニウムがシリコン基板の表
面に付着して、その後基板中に拡散する為、基板の表裏
における熱酸化膜の厚みの違い等によって基板に反りが
生じるようなこともない。
【0035】なお下側クラッド膜に使用する熱酸化膜
は、通常のコア、上側クラッド膜のガラス透明化温度、
もしくはそれらのアニ−ル温度よりも高い温度の1100℃
以上とするのが良い。但し酸化温度があまり高いと、シ
リコン基板にスリップなどの欠陥が入りやすくなるた
め、1300℃以下が望ましい。また下側クラッド膜として
通常は5μmから30μmの厚みがあれば良いので、第一
クラッド膜としての熱酸化膜は5−20μmの厚みが望
ましい。
【0036】以下、具体的に本発明の光導波路基板を製
造する態様について説明するが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。図1に本発明の光導波路基板の製造
方法で用いられる熱酸化装置の一例を示す。図1に示す
熱酸化装置10において、1000℃以上に加熱できるカン
タルヒータ管状炉13の中は、石英もしくは炭化硅素な
どからなる炉心管18が配置されている。その炉心管1
8の中に、同様に石英もしくは炭化硅素などからなるボ
ート16があり、そこに酸化アルミニウム(アルミナ)
基板およびシリコン基板15をセットする。図では、3
枚の基板をセットしているが、生産性の向上のために
は、より多くの基板を一度にセットするようにするのが
望ましい。この場合、酸化アルミニウム基板とシリコン
基板は交互にセットするようにする。
【0037】酸化アルミニウム基板およびシリコン基板
15は、例えば直径4インチのシリコン基板に、95%
以上の純度を有する直径4インチ、厚さ1mmの酸化アル
ミニウム基板を平行に2mm離して並べる。なお、離す距
離は、接触しなければ2mm以下に近付けても良い。但し
距離は10mmを越えると、揮発するアルミニウムがシ
リコン基板上に届くまでに希薄になって数ppmしか付
着せず、アルミニウムの効果が薄らいでしまうため、1
0mm以下の間隔とすることが好ましい。
【0038】また95%以上の純度を有する酸化アルミ
ニウムに含まれる不純物としては、例えばSiが数%、
Caが1%、ナトリウムなどのアルカリ金属が1%とい
うようにアルカリ金属を含有するものを用いることが好
ましい。これはアルカリ金属を含有することにより酸化
アルミニウム基板からのアルミニウムの揮発が促進され
るからである。
【0039】そして、酸化アルミニウム基板およびシリ
コン基板15の配置が完了したら、開閉弁12を開放
し、炉心管18の一端にあるガス導入管11から高純度
の水蒸気などの酸化性ガスを導入する。熱電対からなる
温度センサ14で炉心管の内温が例えば1100−1250℃に
なるようにヒータ17で加温していく。この温度に維持
しながら酸化性ガスを導入することで、シリコン基板の
表面は、水蒸気などが分解して生じた活性酸素によって
下記化学式 Si+O→SiO のように酸化されるが、このとき、酸化アルミニウム
は、高温では微量では有るが、水蒸気中にて表面が反応
し、水酸化アルミニウムとして表面から揮発される。そ
のアルミニウム基板に微量のナトリウム、カリウムなど
のアルカリ金属を含むと、さらにその揮発は促進され
る。その揮発した水酸化アルミニウムが、シリコン基板
表面に付着し、低融点のシリサイド層を形成し、シリコ
ン表面から基板内部に拡散する。なお、排気ガスは蓋1
9を介して排気管20から排出される。
【0040】上記のような酸化炉で例えば1200℃の温度
で、1800min酸化すると、約5μmの熱酸化膜を形成する
ことができる。従来の熱酸化法を用いて同じ条件で熱酸
化を行った場合は2000minを要するので、本発明の方法
を用いることにより約10%(200min)の時間短縮にな
る。また、本発明の方法で得られたアルミニウムを含有
する熱酸化膜は、従来の熱酸化法を用いて形成されたも
のに比べて流動性に富むものとなる。従って、このアル
ミニウムを含有する酸化膜の上にコア部や上側クラッド
膜を形成しても、クラックが入るようなこともない。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例を挙げて
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。 (実施例1)図1に示すような熱酸化装置を使用し、シ
リコン基板を熱酸化して下側クラッド膜となる熱酸化膜
を基板表面に形成し、光導波路基板を製造した。本実施
例1で使用したカンタルヒータ管状炉13の中は、石英
からなる炉心管18が配置されている。その炉心管の中
に、同様に石英からなるボート16があり、そこに酸化
アルミニウム基板を51枚、シリコン基板を50枚交互
に配置し、両端が酸化アルミニウムとなるようにしてセ
ットした。
【0042】使用したシリコン基板は、直径4インチの
シリコン単結晶基板であり、95%の純度を有する直径
4インチ、厚さ1mmの酸化アルミニウム基板を平行に2
mm離して並べた。この酸化アルミニウム基板に含まれる
不純物は、Siが3%、またCaが1%、ナトリウムな
どのアルカリ金属が1%であった。
【0043】次に開閉弁12を開放し、炉心管18の一
端にあるガス導入管11から酸化性ガスとして高純度の
水蒸気を導入した。熱電対からなる温度センサ14で炉
心管の内温が1200℃になるようにヒータ17で加温し
た。この温度に維持しながら酸化性ガスを導入すること
により、シリコン基板上に熱酸化膜を形成した。
【0044】上記酸化炉で1200℃の温度で、1800min酸
化すると、約5μmの膜が得られた。また、得られた光
導波路基板の熱酸化膜の屈折率は、1.4585と特に問題は
なかった。なお、この酸化膜に含有されたアルミニウム
は、ICP法で化学分析した結果、200ppmであった。ま
た、得られた基板には特に反りは生じていなかった。
【0045】さらに、同じ方法で光導波路基板を製造
し、合計100枚の光導波路基板を製造した。これらの
光導波路基板のアルミニウムを含有する熱酸化膜上に、
コア膜として、組成がSiO−P−B
GeOの石英ガラスをFHD法で約7μmの石英系多
孔質ガラス膜を堆積した後、1150℃で透明ガラス化
した。続いて反応性イオンエッチング法により不要なコ
ア膜を除去して2本のコア部を形成した。その後、FH
D法によりコア部を埋め込むように上側クラッド膜とし
て組成がSiO−P−Bの石英系多孔質
ガラス膜を20μm堆積し、1050℃で透明ガラス化
して100個の光導波路を作製した。
【0046】製造された光導波路は全てコア部や上側ク
ラッド膜との界面にクラックは生じていなかった。これ
は、アルミニウムを含有する熱酸化膜が流動性に富むガ
ラスであるために、コア膜や上側クラッド膜との界面で
ガラスがなじみやすかったためと考えられる。
【0047】(比較例1)実施例1と同じ熱酸化装置を
使用し、シリコン基板を熱酸化して下側クラッド膜とな
る熱酸化膜を基板表面に形成し、光導波路基板を製造し
た。本比較例1では、ボート16にシリコン基板のみを
セットした。シリコン基板は、実施例1で使用したもの
と同じ直径4インチのシリコン単結晶基板を使用した。
【0048】次に炉心管の一端18から酸化性ガスとし
て高純度の水蒸気を導入した。熱電対からなる温度セン
サ14で炉心管の内温が1200℃になるようにヒータ17
で加温した。この温度に維持しながら酸化性ガスを導入
することにより、シリコン基板上に熱酸化膜を形成し
た。
【0049】上記酸化炉で1200℃の温度で2000min酸化
すると、約5μmの膜が得られた。この比較例1では実
施例1の酸化時間に比べると、同条件で同じ膜厚の酸化
膜を形成するのに長時間を費やした。
【0050】こうして光導波路基板を100枚製造し
た。これらの光導波路基板を用いて実施例1と同様に光
導波路を100個作製した。製造された100個の光導
波路の内の10個にはコア部や上側クラッド膜との界面
にクラックが生じていた。これは、熱酸化膜が流動性に
乏しい硬いガラスであるために、コア膜や上側クラッド
膜との界面でガラスがなじみにくかったためと考えられ
る。
【0051】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明
の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同
一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いか
なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
下側クラッド膜となる熱酸化膜を形成するにあたってア
ルミニウムを含有する熱酸化膜を形成することにより、
熱酸化時間を大幅に短縮することができる。また、形成
される熱酸化膜は流動性に富むガラスであるため、その
上にコア部や上側クラッド膜を形成した場合にクラック
が生じることなく光導波路を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光導波路基板の製造方法で用いられる熱酸化装
置の一例を示す説明図である。
【図2】方向性結合器の1例を示す概念図である。 (a)方向性結合器の平面図、(b)(a)のA−A線
断面図
【符号の説明】
1…方向性結合器、 2…シリコン基板、 3…下側ク
ラッド膜、5…コア部、 6…上側クラッド膜、10…
熱酸化装置、 11…ガス導入管、 12…開閉弁、
13…管状炉、14…温度センサ、 15…基板、 1
6…ボート、 17…ヒータ、18…炉心管、 19…
蓋、 20…排気管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 城田 政明 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 (72)発明者 吉本 隆行 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社精密機能材料研究所内 Fターム(参考) 2H047 KA04 PA01 PA12 QA01 QA02 TA41

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともシリコン基板を熱酸化して下
    側クラッド膜となる熱酸化膜を基板表面に形成する工程
    を有する光導波路基板の製造方法において、前記熱酸化
    膜の形成は、アルミニウムを含有する熱酸化膜を形成す
    ることを特徴とする光導波路基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光導波路基板の製造方
    法であって、前記アルミニウムを含有する熱酸化膜の形
    成は、酸化アルミニウムをシリコン基板に近接して配置
    し、シリコン基板を熱酸化することにより行なうことを
    特徴とする光導波路基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の光導波路基板の製造方
    法であって、前記酸化アルミニウムが基板状であり、該
    酸化アルミニウム基板をシリコン基板に10mm以下の
    間隔で対向配置させて熱酸化を行ない、前記アルミニウ
    ムを含有する熱酸化膜を形成することを特徴とする光導
    波路基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2または請求項3に記載の光導波
    路基板の製造方法であって、前記酸化アルミニウムはア
    ルカリ金属を含有するものを用いることを特徴とする光
    導波路基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれか1項
    に記載の光導波路基板の製造方法であって、前記アルミ
    ニウムを含有する熱酸化膜のアルミニウム濃度を100
    ppm以上とすることを特徴とする光導波路基板の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
    に記載の光導波路基板の製造方法であって、前記熱酸化
    時の温度を1100〜1300℃とすることを特徴とす
    る光導波路基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれか1項
    に記載の製造方法により光導波路基板を製造し、前記ア
    ルミニウムを含有する熱酸化膜上にコア部および上側ク
    ラッド膜を形成して光導波路を製造することを特徴とす
    る光導波路の製造方法。
  8. 【請求項8】 シリコン基板と、該基板上に形成された
    下側クラッド膜となる熱酸化膜から成る光導波路基板で
    あって、前記熱酸化膜が、シリコン基板を熱酸化させて
    形成したアルミニウムを含有する熱酸化膜から成ること
    を特徴とする光導波路基板。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の光導波路基板であっ
    て、前記アルミニウムを含有する熱酸化膜のアルミニウ
    ム濃度が100ppm以上であることを特徴とする光導
    波路基板。
  10. 【請求項10】 請求項8または請求項9に記載の光導
    波路基板であって、前記アルミニウムを含有する熱酸化
    膜の厚さが5μm以上であることを特徴とする光導波路
    基板。
  11. 【請求項11】 請求項8ないし請求項10のいずれか
    1項に記載の光導波路基板のアルミニウムを含有する熱
    酸化膜上に光を伝搬するコア部と該コア部を埋め込む上
    側クラッド膜が形成されていることを特徴とする光導波
    路。
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