JP2003056351A - 筒内噴射式火花点火内燃機関 - Google Patents

筒内噴射式火花点火内燃機関

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JP2003056351A
JP2003056351A JP2001241366A JP2001241366A JP2003056351A JP 2003056351 A JP2003056351 A JP 2003056351A JP 2001241366 A JP2001241366 A JP 2001241366A JP 2001241366 A JP2001241366 A JP 2001241366A JP 2003056351 A JP2003056351 A JP 2003056351A
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cavity
fuel injection
piston
fuel
injected
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JP2001241366A
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Kazuhisa Mogi
和久 茂木
Hiroshi Miyagawa
浩 宮川
Masao Kinoshita
雅夫 木下
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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    • F02B23/08Other engines characterised by special shape or construction of combustion chambers to improve operation with positive ignition
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    • F02B75/12Other methods of operation
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  • Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成層燃焼運転域を高回転高負荷側へ拡大する
ことができ、また、均質燃焼に際しての吸気行程燃料噴
射において高回転高負荷時であってもシリンダボアへ燃
料を付着させることなく良好な均質燃焼を実現する。 【解決手段】 ピストンが中間点より上死点側に位置す
る時には常に、燃料噴射弁6から噴射された略扇形状噴
霧10はキャビティ8内に衝突させられ、ピストンが中
間点より下死点側に位置する時には常に、燃料噴射弁か
ら噴射された略扇形状噴霧はシリンダボアへ衝突せずに
キャビティ外のピストンの頂面に向けられ、成層燃焼に
際して燃料噴射弁は圧縮行程においてピストンが中間点
と上死点との間に位置する時に燃料噴射を実施し、均質
燃焼に際して燃料噴射弁は吸気行程においてピストンが
中間点の直前に位置する時から燃料噴射を開始し、点火
プラグはキャビティ内を臨んで配置されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、筒内噴射式火花点
火内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】気筒内へ直接的に燃料を噴射することに
より、点火時点において点火プラグ近傍だけに着火性の
良好な混合気(以下、可燃混合気)を形成し、気筒内全
体としては希薄な混合気の燃焼を可能にする成層燃焼が
公知である。成層燃焼を実施する際に、燃料噴射弁は、
通常、圧縮行程後半に燃料を噴射する。こうして噴射さ
れた燃料は、ピストン頂面に形成された凹状のキャビテ
ィ内へ進入し、キャビティ形状によって点火プラグ方向
へ偏向され、点火プラグ近傍に可燃混合気を形成するこ
とが意図されている。
【0003】特開平9−158736号公報に開示され
ている筒内噴射式火花点火内燃機関では、点火プラグは
気筒上部略中心に配置され、燃料噴射弁は、噴射燃料が
気筒内の高温高圧の吸気と十分に接触して気化し易くな
るように、燃料を厚さの薄い略扇形状に噴射するもので
あり、気筒上部周囲に配置されている。キャビティは、
ピストン頂面略中央部から燃料噴射弁側のピストン頂面
周囲部へ延在しており、底壁と、点火プラグ側側壁と、
燃料噴射弁側側壁とを有している。斜め上方からキャビ
ティ内に噴射された燃料は、キャビティの底壁に衝突し
た後に、底壁に沿って点火プラグ側側壁方向に進行し、
その後、点火プラグ側側壁によって点火プラグ方向に偏
向されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような筒内噴射式
火花点火内燃機関において、噴射燃料がキャビティの底
壁へ衝突すれば、点火プラグ近傍に比較的良好に可燃混
合気を形成することができる。しかしながら、気筒上部
周囲に配置された燃料噴射弁の噴射方向は、斜め下向き
の一方向に固定されているために、このような燃料噴射
を可能とするピストン位置範囲は、圧縮行程末期の比較
的狭い位置範囲に限定され、燃料噴射時間が制限されて
比較的少量の燃料しか噴射することができない。それに
より、燃費効率の高い成層燃焼は低負荷運転域に限定さ
れている。また、機関高回転時には、ピストン上下動の
速度が非常に速くなるために、燃料噴射可能な時間は非
常に短くなり、実質的に、成層燃焼は不可能とされてい
た。
【0005】また、一般的な筒内噴射式火花点火内燃機
関において、機関高負荷時には、高い機関出力を得やす
い均質燃焼が実施される。均質燃焼に際して、燃料は吸
気行程において噴射されることとなるが、圧縮行程末期
に比較して吸気行程初期には気筒内の温度がかなり低
く、この時にキャビティ内へ多量に燃料を噴射すると、
燃料の一部は、液状燃料としてキャビティ内に残留し、
燃焼せずに未燃燃料として排出され易い。それにより、
前述の筒内噴射式火花点火内燃機関では、均質燃焼時に
おいて吸気行程初期の後半から燃料噴射を開始して多量
の燃料がキャビティ内へ侵入しないようにすることが考
えられる。
【0006】吸気行程中期の燃料噴射は特に問題ない
が、吸気行程末期に噴射される燃料は、シリンダボアに
衝突することとなり、噴射燃料の一部がエンジンオイル
に混入するためにエンジンオイルを希釈させ、また、こ
の一部の燃料は燃焼に使用されないために燃料消費率を
悪化させる。それにより、前述の筒内噴射式火花点火内
燃機関において、良好な均質燃焼を実施するためには、
吸気行程初期の後半から吸気行程中期までしか燃料を噴
射することができない。それにより、特に機関高負荷時
の高回転側においては、吸気行程初期の後半から吸気行
程中期までの短時間で必要な多量の燃料を噴射すること
は難しく、良好な均質燃焼は実現不可能である。
【0007】従って、本発明の目的は、成層燃焼に際し
ての圧縮行程噴射においてピストン頂面のキャビティ内
へ燃料を噴射可能な時間を延長して成層燃焼運転域を高
回転高負荷側へ拡大することができ、また、均質燃焼に
際しての吸気行程燃料噴射において高回転高負荷時であ
ってもシリンダボアへ燃料を付着させることなく良好な
均質燃焼を実現することができる筒内噴射式火花点火内
燃機関を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による請求項1に
記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、比較的厚さの薄
い略扇形状噴霧として燃料を噴射する燃料噴射弁と、点
火プラグと、ピストンの頂面に形成されたキャビティと
を具備し、前記ピストンが上死点と下死点との間の中間
点より前記上死点側に位置する時には常に、前記燃料噴
射弁から噴射された全ての略扇形状噴霧は前記キャビテ
ィ内に衝突させられ、前記ピストンが前記中間点より前
記下死点側に位置する時には常に、前記燃料噴射弁から
噴射された全ての略扇形状噴霧はシリンダボアへ衝突せ
ずに前記燃料噴射弁から噴射された少なくとも一つの略
扇形状噴霧は前記キャビティ外の前記ピストンの頂面に
向けられ、成層燃焼に際して前記燃料噴射弁は圧縮行程
において前記ピストンが前記中間点と前記上死点との間
に位置する時に燃料噴射を実施し、均質燃焼に際して前
記燃料噴射弁は吸気行程において前記ピストンが前記中
間点の直前に位置する時から燃料噴射を開始するか又は
前記中間点を過ぎた時から燃料噴射を開始して噴射燃料
の一部だけを前記キャビティ内へ進入させ、前記点火プ
ラグは前記キャビティ内を臨んで配置されていることを
特徴とする。
【0009】また、本発明による請求項2に記載の筒内
噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射
式火花点火内燃機関において、前記筒内噴射式火花点火
内燃機関は二つの吸気ポートを具備し、均質燃焼に際し
て前記燃料噴射弁から吸気行程において噴射される前記
少なくとも一つの略扇形状噴霧は、前記二つの吸気ポー
トによって吸気行程中に気筒内に生成される二つのタン
ブル流の間を、扇状に展開することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】図1及び2は本発明による筒内噴
射式火花点火内燃機関の第一実施形態を示す概略縦断面
図であり、図3は図1におけるピストンの平面図であ
る。特に、図1は図3のP−P断面図であり、図2は図
3のQ−Q断面図である。これらの図において、1は吸
気ポート、2は排気ポートである。吸気ポート1は吸気
弁3を介して、排気ポート2は排気弁4を介して、それ
ぞれ気筒内へ通じている。5はピストンであり、キャビ
ティ8がピストン頂面に形成されている。6は気筒上部
中心近傍に配置された燃料噴射弁である。7は気筒上部
中心近傍に燃料噴射弁6と隣接配置された点火プラグで
ある。
【0011】燃料噴射弁6は、スリット状の噴孔を有
し、燃料を比較的厚さの薄い略扇形状噴霧10として噴
射するものである。燃料噴射弁6は、斜め下方向に略扇
形状噴霧10を噴射するようになっている。詳細には、
略扇形状噴霧10の厚さ方向中心平面がピストン中心軸
線と平行で燃料噴射弁6の噴孔を通る垂直平面Aに対し
て比較的小さな角度THで傾斜するようになっている。
キャビティ8は、ピストン頂面の中心を通り平面視にお
いて矩形の細長い溝形状であり、キャビティ8の長手方
向と略扇形状噴霧10の幅方向、すなわち、噴霧が扇状
に展開する方向とが一致している。
【0012】図1及び図2は、ピストン5が上死点と下
死点との間の中間点である時を示している。キャビティ
8の長さ及び幅に対して略扇形状噴霧10の扇夾角を適
当に選択することにより、図1及び図2に示すようにピ
ストン5が中間点である時に、略扇形状噴霧10は、前
述の垂直平面Aに対する略扇形状噴霧の傾斜方向に偏倚
して位置するキャビティ8の一方の長手方向側壁におけ
る最上部(燃料噴射弁6側)だけに衝突するようになっ
ている。本実施形態において、キャビティ8の二つの長
手方向側壁は垂直平面Aと略平行に延在し、また、二つ
の長手方向側壁に滑らかに接続されたキャビティ8の底
壁は、ピストン中心軸線に対して略垂直に延在してい
る。このような構成によって、燃料噴射弁6から噴射さ
れる略扇形状噴霧は、ピストン5が中間点より上死点側
にある時には常に、キャビティ8の一方の長手方向側壁
に衝突するようになっている。この衝突位置は、ピスト
ン5が上死点に近くなるほど、長手方向側壁の下側(底
壁側)へ移動する。
【0013】成層燃焼に際しては、圧縮行程においてピ
ストン5が中間点より上死点側にある時に、すなわち、
圧縮行程後半に、燃料噴射弁6から必要量の燃料噴射を
実施する。こうして噴射された比較的厚さの薄い略扇形
状噴霧10は、飛行中において圧縮行程後半における気
筒内の高温高圧の吸気と良好に接触して十分に受熱する
と共に微粒化され、気化し易い状態でピストン頂面のキ
ャビティ8内へ進入する。キャビティ8内に進入した燃
料は、図2に示すように、キャビティの一方の長手方向
側壁から底壁を介して他方の長手方向側壁に沿って気筒
上部方向(シリンダヘッド方向)へ偏向される。この間
のキャビティ8からの受熱によって略扇形状噴霧は完全
に気化し、圧縮行程末期には、キャビティ8内及びキャ
ビティ8上に一塊の可燃混合気を形成する。点火プラグ
7は、キャビティ8を臨むように配置されているため
に、こうして形成された可燃混合気を良好に着火燃焼さ
せることが可能である。このようにして、成層燃焼に際
して圧縮行程後半に噴射された燃料を確実に点火プラグ
近傍の可燃混合気とすることができ、これまで圧縮行程
末期に限定されていた燃料噴射期間を延長させて比較的
多量の燃料噴射が可能となるために、燃費効率の高い成
層燃焼の運転域を低負荷域に限定することなく、高回転
高負荷側へ拡大することが可能となる。
【0014】しかしながら、多量の燃料が必要な機関高
負荷時には、圧縮行程後半だけで燃料を噴射することは
困難であり、本筒内噴射式火花点火内燃機関において、
主に吸気行程で燃料を噴射する均質燃焼が実施される。
この吸気行程噴射に際して、キャビティ8内へ多量の燃
料が噴射されると、吸気行程では圧縮行程に比較して筒
内温度及び筒内圧力が低く略扇形状噴霧の飛行中におけ
る微粒化が悪化するために、キャビティ8内での完全な
気化が難しく、点火時点においてキャビティ8内に液状
燃料が残留し易い。この液状燃料は燃焼せずに未燃燃料
として排出され、排気エミッションを悪化させる。
【0015】この問題を解決するために、本実施形態で
は、均質燃焼に際して吸気行程のピストン5が中間点の
直前にある時から燃料噴射を開始し、必要量の燃料が噴
射された時点で燃料噴射を終了するようになっている。
それにより、前述したように(図2参照)、ピストン5
が中間点となるまでに噴射された少量の燃料だけが、キ
ャビティ8の長手方向側壁に衝突する。こうして吸気行
程において多量の燃料がキャビティ8内へ噴射されない
ために、キャビティ8内に液状燃料が残留することはな
く、この少量の燃料は圧縮上死点近傍の点火までに十分
にキャビティ8内で気化可能である。
【0016】均質燃焼時において必要量の燃料は多く、
ピストン5が中間点より下死点側となっても燃料噴射は
継続する。この時には、略扇形状噴霧は、キャビティ8
の長手方向側壁に衝突せずにピストン5の頂面に衝突す
る。特に、図4に示すように、ピストン5が下死点にあ
る時にも、略扇形状噴霧10はピストン5の頂面に向け
られている。この時において、略扇形状噴霧10は幅方
向においてもシリンダボアに衝突しないように、略扇形
状噴霧の噴射方向及び扇夾角が選択されている。
【0017】それにより、ピストン5が中間点を過ぎて
から噴射された燃料は、キャビティ8内へ進入すること
はなく、また、シリンダボアに付着してエンジンオイル
に混入することもない。こうして、ピストン頂面に向け
て噴射された燃料は、点火までに十分に気化し、また、
キャビティ8内にもピストン5が中間点となるまでに噴
射された燃料が気化しているために、点火時点において
は、キャビティを含めて気筒内には均質混合気が形成さ
れ、良好な均質燃焼が可能となる。
【0018】高回転高負荷時において、均質燃焼におけ
る燃料噴射の終了時期が下死点を過ぎて圧縮行程となっ
たとしても、噴射燃料がシリンダボアに付着することは
なく、良好な均質燃焼が可能である。成層燃焼の運転域
と均質燃焼の運転域との間に弱成層燃焼の運転域を設け
ることも可能である。弱成層燃焼は、点火プラグ近傍の
可燃混合気の回りに気筒内の希薄な混合気を存在させる
燃焼方式であり、成層燃焼に比較して燃料噴射量が多い
ために機関出力を高めることができる。この弱成層燃焼
に際しては、成層燃焼と同様に圧縮行程後半で燃料を噴
射すると共に、吸気行程での燃料噴射が必要となる。こ
の吸気行程噴射は、キャビティ8内へ燃料が進入して圧
縮行程噴射の燃料と相まって点火プラグ近傍の混合気を
過剰に濃厚にしないように、ピストン5が中間点を過ぎ
てから燃料を噴射することが好ましい。
【0019】ところで、内燃機関において、吸気ポート
が気筒上部に接続されていると、吸気行程において、吸
気ポートから気筒内へ供給される吸気は、気筒内を縦方
向に旋回するタンブル流、すなわち、気筒内においてシ
リンダボアの排気ポート側を下降して吸気ポート側を上
昇する又は吸気ポート側を下降して排気ポート側を上昇
するタンブル流となり易い。本実施形態の筒内噴射式火
花点火内燃機関は、図3に示すように、吸気弁3及び排
気弁4をそれぞれ二つ備えた吸排気二弁式である。それ
により、吸気行程において吸気は二つの吸気ポート1か
ら気筒内へ供給され、互いに平行して気筒内を縦方向に
旋回する二つのタンブル流が生成される。
【0020】燃料噴射弁6から噴射された略扇形状噴霧
が、タンブル流の旋回方向に直交して扇状に展開する
と、略扇形状噴霧は、タンブル流によってタンブル流の
外側に飛ばされて気筒内に偏在することとなり、良好な
均質混合気を形成することが困難となる。本実施形態で
は、燃料噴射弁6は、略扇形状噴霧が二つのタンブル流
の間を扇状に展開するように、略扇形状噴霧を噴射する
ようになっている。それにより、略扇形状噴霧は二つの
タンブル流が接近して一つとなる吸気行程末期から圧縮
行程初期にかけて徐々に二つのタンブル流のそれぞれに
取り込まれるために、良好な均質混合気を形成するのに
有利となる。
【0021】以下に説明する実施形態のように、燃料噴
射弁が複数の略扇形状噴霧として燃料を噴射する場合に
は、少なくとも一つの略扇形状噴霧が二つのタンブル流
の間で展開するようにして気筒内に広く燃料を分布させ
れば、他の略扇形状噴霧の燃料が気筒内に偏在しても比
較的良好な均質混合気を形成することができる。
【0022】図5は本発明による筒内噴射式火花点火内
燃機関の第二実施形態を示す概略縦断面図であり、図6
は図5におけるピストンの平面図である。特に、図5は
図6のR−R断面図である。第一実施形態との違いにつ
いてのみ以下に説明する。本実施形態におけるキャビテ
ィ81は、ピストン頂面の中心を通り平面視において楕
円形状の細長い溝形状である。燃料噴射弁61は、斜め
下方向に二つの略扇形状噴霧10a,10bを噴射する
ようになっている。詳細には、一方の略扇形状噴霧10
aは、第一実施形態と同様に、厚さ方向中心平面がピス
トン中心軸線と平行で燃料噴射弁61の対応する噴孔を
通る垂直平面に対して比較的小さな角度で傾斜するよう
になっている。また、他方の略扇形状噴霧10bは、厚
さ方向中心平面がピストン中心軸線と平行で燃料噴射弁
61の対応する噴孔を通る垂直平面に対して比較的小さ
な角度で一方の略扇形状噴霧とは反対方向に傾斜するよ
うになっている。キャビティ81の長手方向と略扇形状
噴霧10a,10bのそれぞれの幅方向、すなわち、噴
霧が扇状に展開する方向とが一致している。
【0023】図5は、図1及び図2と同じにピストン5
1が上死点と下死点との間の中間点である時を示してい
る。キャビティ81の長さ及び幅に対して略扇形状噴霧
10a,10bの扇夾角を適当に選択することにより、
図5に示すようにピストン51が中間点である時に、一
方の略扇形状噴霧10aは、第一実施形態と同様に、対
応する垂直平面に対して略扇形状噴霧10aの傾斜方向
に偏倚して位置するキャビティ81の一方の長手方向側
壁における最上部(燃料噴射弁61側)だけに衝突する
ようになっている。また、反対方向に傾斜する他方の略
扇形状噴霧10bは、対応する垂直平面に対して略扇形
状噴霧10bの傾斜方向に偏倚して位置するキャビティ
81の他方の長手方向側壁における最上部だけに衝突す
るようになっている。本実施形態において、キャビティ
81の二つの長手方向側壁は湾曲して互いに接続され、
キャビティ81は図5に示すように全体として凹状に湾
曲している。
【0024】このような構成によって、燃料噴射弁61
から噴射される二つの略扇形状噴霧10a,10bは、
ピストン51が中間点より上死点側にある時には常に、
キャビティ81の対応する長手方向側壁に衝突するよう
になっている。この衝突位置は、ピストン51が上死点
に近くなるほど、それぞれに長手方向側壁の下側、すな
わち、キャビティ81の幅方向中心側へ移動する。
【0025】成層燃焼に際しては、圧縮行程においてピ
ストン51が中間点より上死点側にある時に、すなわ
ち、圧縮行程後半に、燃料噴射弁61から必要量の燃料
噴射を実施する。こうして噴射された比較的厚さの薄い
二つの略扇形状噴霧10a,10bは、飛行中において
圧縮行程後半における気筒内の高温高圧の吸気と良好に
接触して十分に受熱すると共に微粒化され、気化し易い
状態でピストン頂面のキャビティ81内へ進入する。キ
ャビティ81内に進入した二つの略扇形状噴霧は、図5
に示すように、キャビティ81の湾曲形状によって、そ
れぞれキャビティ81の幅方向中心側へ進行して互いに
衝突し、さらに微粒化されると共に気筒上部方向(シリ
ンダヘッド方向)へ偏向される。この間のキャビティ8
1からの受熱によって略扇形状噴霧は完全に気化し、圧
縮行程末期には、キャビティ81内及びキャビティ81
上に一塊の可燃混合気を形成する。点火プラグ71は、
キャビティ81を臨むように配置されているために、こ
うして形成された可燃混合気を良好に着火燃焼させるこ
とが可能である。
【0026】特に、本実施形態においては、キャビティ
81の平面視形状が楕円形状であるために、キャビティ
81の長手方向側壁に沿って幅方向中心へ進行する燃料
は、同時に長手方向中心へも進行する。こうしてキャビ
ティ81内に噴射された燃料はキャビティの幅方向及び
長手方向の中心へ向けて集合するために、点火プラグ7
1をキャビティ81の幅方向及び長手方向の中心近傍を
臨むように配置することにより、成層燃焼時において燃
料噴射量が少ない時にも噴射燃料を点火プラグ71近傍
に集合させて確実に可燃混合気を形成することができ
る。
【0027】本実施形態では、燃料噴射弁61が二つの
略扇形状噴霧を噴射するものであるために、第一実施形
態に比較して単位時間当たりの燃料噴射量を約二倍にす
ることができ、第一実施形態よりさらに多量の圧縮行程
燃料噴射が可能となるために、燃費効率の高い成層燃焼
の運転域をさらに高回転高負荷側へ拡大することが可能
となる。
【0028】均質燃焼に際しては、第一実施形態と同様
に、吸気行程のピストン51が中間点の直前にある時か
ら燃料噴射を開始し、必要量の燃料が噴射された時点で
燃料噴射を終了するようになっている。それにより、第
一実施形態と同様に、少量の燃料をキャビティ81内へ
進入させてキャビティ81内で気化させる。また、ピス
トン51が中間点より下死点側となって噴射される二つ
の略扇形状噴霧10a,10bは、キャビティ81の長
手方向側壁に衝突せずにピストン51の頂面に衝突す
る。特に、図7に示すように、ピストン51が下死点に
ある時にも、二つの略扇形状噴霧10a,10bはピス
トン51の頂面に向けられる。この時において、二つの
略扇形状噴霧10a,10bは幅方向においてもシリン
ダボアに衝突しないように、燃料噴射弁61の噴孔向き
及び略扇形状噴霧の夾角が選択されている。
【0029】それにより、ピストン51が中間点を過ぎ
てから噴射された燃料は、キャビティ81内へ進入する
ことはなく、また、シリンダボアに付着してエンジンオ
イルに混入することもない。こうして、ピストン頂面に
向けて噴射された燃料は、点火までに十分に気化し、ま
た、キャビティ81内にもピストン51が中間点となる
までに噴射された燃料が気化しているために、点火時点
においては、キャビティを含めて気筒内には均質混合気
が形成され、良好な均質燃焼が可能となる。本実施形態
において、燃料噴射弁61は二つの略扇形状噴霧を噴射
するものであるために、第一実施形態に比較して単位時
間当たりの燃料噴射量を約二倍にすることができ、第一
実施形態に比較して燃料噴射終了時期を早めることが可
能である。それにより、燃料噴射終了から点火までの時
間が長くなり、これは良好な均質混合気を形成するのに
有利である。また、二つの略扇形状噴霧は気筒内の別々
の方向に噴射されるために、噴射燃料を気筒内に広く分
布させることができ、これも良好な均質混合気を形成す
るのに有利である。
【0030】図8は、本実施形態におけるキャビティの
幅方向断面の変形例を示す図7と同一方向における拡大
断面図である。本変形例におけるキャビティ81’の幅
方向中心には長手方向に延在する突出部51a’が設け
られている。この突出部51aによって圧縮行程後半に
キャビティ81’内に噴射された二つの略扇形状噴霧
は、キャビティ81’の幅方向中心へ進行した時に確実
に気筒上部方向へ偏向させられる。それにより、キャビ
ティ81’内に未燃燃料として排出されるだけの液状燃
料が残留することを確実に防止することができる。ま
た、本変形例におけるキャビティ81’の長手方向側壁
の最上部は、キャビティ81’の内側に突出している。
それにより、キャビティ81’内で気化した燃料が長手
方向側壁から外側に分散し難くなり、特に成層燃焼時に
おいて燃料噴射量が少ない時にも点火プラグ近傍に燃料
を集中させて確実に可燃混合気を形成することができ
る。
【0031】図9は、第二実施形態におけるキャビティ
の平面視形状の変形例を示すピストン平面図である。本
変形例におけるキャビティ82の平面視形状は長円であ
る。また、図10は、第二実施形態におけるキャビティ
の平面視形状のもう一つの変形例を示すピストン平面図
である。本変形例におけるキャビティ83の平面視形状
は二つの長円を幅方向に接続した形状である。図11
は、図9のキャビティ82における幅方向中心の長手方
向断面を示す断面図である。キャビティ82における幅
方向中心は、ピストン中心軸線に対して垂直な直線状に
延在している。また、キャビティ82における幅方向各
部もピストン中心軸線に対して垂直な直線状に延在して
いる。
【0032】図12は、図9のキャビティ82における
幅方向断面を示す断面図である。キャビティ82におけ
る幅方向断面は、全体的に凹状に湾曲し、長手方向側壁
上部が図8に示したキャビティと同様な効果を得るため
にキャビティの内側に突出している。図13は、図9の
キャビティ82における幅方向断面の変形例を示す断面
図である。この変形例において、キャビティの幅方向断
面は、図8に示したキャビティと同様な効果を得るため
に二つの凹状に湾曲して幅方向中心を突出させている。
図14は、図9のキャビティ82における幅方向断面の
もう一つの変形例を示す断面図である。この変形例にお
いて、キャビティの幅方向断面は、幅方向中心を最も深
くする楔状であり、キャビティ内に噴射された燃料をキ
ャビティの幅方向中心へ集中させ易くしており、成層燃
焼時において燃料噴射量が少ない時において可燃混合気
の形成に有利である。図15は、図9のキャビティ82
における幅方向断面のさらにもう一つの変形例を示す断
面図である。この変形例において、キャビティの幅方向
断面は、図13の変形例と同様に、二つの凹状に湾曲し
て幅方向中心を突出させている。
【0033】図16は、本発明による筒内噴射式火花点
火内燃機関の第三実施形態を示すピストンの平面図であ
り、図17は図16のピストンのS−S断面図である。
本実施形態において、ピストン54の頂面に形成された
キャビティ84の平面視形状は、四隅が円弧で面取りさ
れた略正方形である。気筒上部略中心に配置された燃料
噴射弁62は、互いに接触しない比較的厚さの薄い四つ
の略扇形状噴霧10c,10d,10e,10fとして
燃料を噴射する。噴射された略扇形状噴霧10c,10
d,10e,10fは、これまでの実施形態と同様に、
それぞれの厚さ方向中心平面がピストン中心軸線と平行
で燃料噴射弁62の対応する噴孔を通る垂直平面に対し
て比較的小さな角度で傾斜するようになっている。
【0034】第一及び第二実施形態と同様に、ピストン
54が上死点と下死点との間の中間点である時には、各
略扇形状噴霧10c,10d,10e,10fは、略正
方形形状のキャビティ84における対応する側壁の最上
部(燃料噴射弁62側)だけに衝突し、ピストン54が
中間点より上死点側にある時には常に、キャビティ84
における対応する側壁に衝突するようになっている。
【0035】成層燃焼に際しては、圧縮行程においてピ
ストン54が中間点より上死点側にある時に、すなわ
ち、圧縮行程後半に、燃料噴射弁62から必要量の燃料
噴射を実施する。こうして噴射された比較的厚さの薄い
略扇形状噴霧10c,10d,10e,10fは、飛行
中において圧縮行程後半における気筒内の高温高圧の吸
気と良好に接触して十分に受熱すると共に微粒化され、
気化し易い状態でピストン頂面のキャビティ84内へ進
入する。図17に示すように、キャビティ84の対向す
る二つの側壁の間は凹状の湾曲形状であり、四つの側壁
それぞれに衝突する燃料は全てキャビティ84の中心方
向へ進行して互いに衝突し、気筒上部方向(シリンダヘ
ッド方向)へ偏向される。この間のキャビティ84から
の受熱によって略扇形状噴霧は完全に気化し、圧縮行程
末期には、キャビティ84内及びキャビティ84上に一
塊の可燃混合気を形成する。点火プラグ72は、キャビ
ティ84を臨むように配置されているために、こうして
形成された可燃混合気を良好に着火燃焼させることが可
能である。このようにして、成層燃焼に際して圧縮行程
後半に噴射された燃料を確実に点火プラグ近傍の可燃混
合気とすることができる。
【0036】本実施形態では、燃料噴射弁62が四つの
略扇形状噴霧を噴射するものであるために、第二実施形
態に比較して単位時間当たりの燃料噴射量を約二倍にす
ることができ、第二実施形態よりさらに多量の圧縮行程
燃料噴射が可能となるために、燃費効率の高い成層燃焼
の運転域をさらに高回転高負荷側へ拡大することが可能
となる。
【0037】均質燃焼に際しては、第一及び第二実施形
態と同様に、吸気行程のピストン54が中間点の直前に
ある時から燃料噴射を開始し、必要量の燃料が噴射され
た時点で燃料噴射を終了するようになっている。それに
より、第一及び第二実施形態と同様に、少量の燃料をキ
ャビティ84内で気化させる。また、ピストン54が中
間点より下死点側となって噴射される四つの略扇形状噴
霧10c,10d,10e,10fは、キャビティ84
の側壁に衝突せずにピストン54の頂面に衝突する。特
に、ピストン54が下死点にある時にも、四つの略扇形
状噴霧10c,10d,10e,10fはピストン54
の頂面に向かう。この時において、四つの略扇形状噴霧
10c,10d,10e,10fは幅方向においてもシ
リンダボアに衝突しないように、燃料噴射弁62の噴孔
向き及び略扇形状噴霧の夾角が選択されている。
【0038】それにより、ピストン54が中間点にある
時から後に噴射された燃料は、キャビティ84内へ進入
することはなく、また、シリンダボアに付着してエンジ
ンオイルに混入することもない。こうして、ピストン頂
面に向けて噴射された燃料は、点火までに十分に気化
し、また、キャビティ84内にもピストン54が中間点
となるまでに噴射された燃料が気化しているために、点
火時点においては、キャビティを含めて気筒内には均質
混合気が形成され、良好な均質燃焼が可能となる。本実
施形態において、燃料噴射弁62は四つの略扇形状噴霧
を噴射するものであるために、第二実施形態に比較して
単位時間当たりの燃料噴射量を約二倍にすることがで
き、第二実施形態に比較して燃料噴射終了時期を早める
ことが可能である。それにより、燃料噴射終了から点火
までの時間が長くなり、これは良好な均質混合気を形成
するのに有利である。また、四つの略扇形状噴霧は気筒
内の別々の方向に噴射されるために、噴射燃料を気筒内
に広く分布させることができ、これも良好な均質混合気
を形成するのに有利である。
【0039】また、本実施形態におけるピストン54の
頂面は、図17に示すように、周囲部から中央部へ向け
て斜め下方向に傾斜している。それにより、均質燃焼時
に斜め下向きにピストン頂面に向けて噴射された略扇形
状噴霧は、ピストン頂面に対して略垂直に衝突する。そ
れにより、ピストン頂面への衝突後において、四つの略
扇形状噴霧は、それぞれにピストン頂面の中央部と周囲
部とへ向けて分散するために、噴射燃料を気筒内にさら
に広く分散させることができ、良好な均質混合気の形成
に非常に有利となる。
【0040】図18は本発明による筒内噴射式火花点火
内燃機関の第四実施形態を示す概略縦断面図である。第
二実施形態との違いについてのみ以下に説明する。本実
施形態におけるキャビティ85は、平面視において矩形
形状の第一実施形態と同様なものである。このキャビテ
ィ85に対して、燃料噴射弁63は、比較的厚さの薄い
三つの略扇形状噴霧10g,10h,10iとして燃料
を噴射する。三つの略扇形状噴霧10g,10h,10
iの幅方向、すなわち、扇形状の展開方向は互いに略平
行である。二つの略扇形状噴霧10g,10hは、第二
実施形態と同様に、図18において一点鎖線で示すピス
トン55の中間点から上死点側では常に、キャビティ8
5内へ進入するが、中間点から下死点側では常にピスト
ン頂面へ向けられる。また、これら二つの略扇形状噴霧
10g,10hは、第二実施形態と同様に、図18にお
いて実線で示すピストン55の下死点においても、シリ
ンダボアに接触することはない。また、残り一つの略扇
形状噴霧10iは、厚さ方向中心平面をピストン中心軸
線と略平行として噴射されるために、ピストン55の位
置に係わらずに常にキャビティ85内へ進入し、特に、
キャビティ85の幅方向中心部へ衝突する。キャビティ
85の長手方向と略扇形状噴霧10g,10h,10i
のそれぞれの幅方向、すなわち、噴霧が扇状に展開する
方向とが一致している。
【0041】成層燃焼に際しては、圧縮行程においてピ
ストン55が中間点より上死点側にある時に、すなわ
ち、圧縮行程後半に、燃料噴射弁63から必要量の燃料
噴射を実施する。こうして噴射された比較的厚さの薄い
三つの略扇形状噴霧10g,10h,10iは、飛行中
において圧縮行程後半における気筒内の高温高圧の吸気
と良好に接触して十分に受熱すると共に微粒化され、気
化し易い状態でピストン頂面のキャビティ85内へ進入
する。キャビティ85内に進入した二つの略扇形状噴霧
10g,10hは、それぞれにキャビティ85の対応す
る長手方向側壁から底壁の幅方向中心近傍に進行する。
また、残り一つの略扇形状噴霧10iは底壁の幅方向中
心近傍に衝突して二つの長手方向側壁へ向けて分流す
る。こうして、二つの略扇形状噴霧10g,10hは、
分流した略扇形状噴霧10iのそれぞれとキャビティ8
5の底壁上で衝突して気筒上部方向(シリンダヘッド方
向)へ偏向される。この間のキャビティ85からの受熱
によって略扇形状噴霧はそれぞれに完全に気化し、圧縮
行程末期には、キャビティ85内及びキャビティ85上
に一塊の可燃混合気を形成する。点火プラグは、キャビ
ティ85を臨むように配置されているために、こうして
形成された可燃混合気を良好に着火燃焼させることが可
能である。
【0042】本実施形態では、燃料噴射弁63が三つの
略扇形状噴霧を噴射するものであるために、第二実施形
態よりさらに多量の圧縮行程燃料噴射が可能となり、燃
費効率の高い成層燃焼の運転域をさらに高回転高負荷側
へ拡大することが可能となる。
【0043】均質燃焼に際して本実施形態は、他の実施
形態と異なり、吸気行程のピストン55が中間点を過ぎ
た直後から燃料噴射を開始し、必要量の燃料が噴射され
た時点で燃料噴射を終了するようになっている。それに
より、一つの略扇形状噴霧10iはキャビティ85内に
進入してキャビティ85内で気化し、一方、二つの略扇
形状噴霧10g,10hは、シリンダボアに接触するこ
となく常にピストン55の頂面に向けられる。こうし
て、ピストン頂面に向けて噴射された二つの略扇形状噴
霧10g,10hは点火までに十分に気化し、また、キ
ャビティ85内にも一つの略扇形状噴霧10iの燃料が
気化しているために、点火時点においては、キャビティ
を含めて気筒内には均質混合気が形成され、良好な均質
燃焼が可能となる。本実施形態において、燃料噴射弁6
3は三つの略扇形状噴霧を噴射するものであるために、
第二実施形態に比較して燃料噴射終了時期を早めること
が可能である。それにより、燃料噴射終了から点火まで
の時間が長くなり、これは良好な均質混合気を形成する
のに有利である。また、二つの略扇形状噴霧10g,1
0hは気筒内の別々の方向に噴射されるために、噴射燃
料を気筒内に広く分布させることができ、これも良好な
均質混合気を形成するのに有利である。
【0044】前述した全ての実施形態において、説明に
使用したピストンの中間点は、上死点と下死点との間の
厳密な中間点でなくても良く、圧縮行程のピストンスト
ロークの約半分が成層燃焼のための燃料噴射期間として
使用可能であれば良い。
【0045】
【発明の効果】このように、本発明による筒内噴射式火
花点火内燃機関は、比較的厚さの薄い略扇形状噴霧とし
て燃料を噴射する燃料噴射弁と、点火プラグと、ピスト
ンの頂面に形成されたキャビティとを具備し、ピストン
が上死点と下死点との間の中間点より上死点側に位置す
る時には常に燃料噴射弁から噴射された全ての略扇形状
噴霧はキャビティ内に衝突させられ、ピストンが中間点
より下死点側に位置する時には常に、燃料噴射弁から噴
射された全ての略扇形状噴霧はシリンダボアへ衝突せず
に燃料噴射弁から噴射された少なくとも一つの略扇形状
噴霧はキャビティ外のピストンの頂面に向けられ、成層
燃焼に際して燃料噴射弁は圧縮行程においてピストンが
中間点と上死点との間に位置する時に燃料噴射を実施
し、均質燃焼に際して燃料噴射弁は吸気行程においてピ
ストンが中間点の直前に位置する時から又は中間点を過
ぎた時から燃料噴射を開始して噴射燃料の一部だけをキ
ャビティ内へ進入させ、点火プラグはキャビティ内を臨
んで配置されている。
【0046】それにより、成層燃焼に際して、ピストン
が中間点と上死点との間に位置する圧縮行程後半に燃料
噴射が可能となり、圧縮行程末期に燃料噴射が制限され
るもの比較して燃料を噴射可能な時間は延長され成層燃
焼運転域を高回転高負荷側へ拡大することができる。ま
た、均質燃焼に際しては、ピストンが中間点の直前に位
置する時から又は中間点を過ぎた時から燃料噴射を開始
して、少なくとも一つの略扇形状噴霧又はその他の略扇
形状噴霧によってキャビティ内へ噴射燃料の一部だけを
進入させてキャビティ内で気化させる。また、中間点を
過ぎた以降において少なくとも一つの略扇形状噴霧は、
シリンダボアに衝突することはなく気筒内で気化するた
めに、キャビティ内を含めて気筒内には均質混合気が形
成され、良好な均質燃焼が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第
一実施形態を示すピストン中間点での概略縦断面図であ
る。
【図2】第一実施形態を示す図1とは異なる方向の概略
縦断面図である。
【図3】図1及び2のピストンの平面図である。
【図4】第一実施形態を示すピストン下死点での概略縦
断面図である。
【図5】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第
二実施形態を示すピストン中間点での概略縦断面図であ
る。
【図6】図5のピストンの平面図である。
【図7】第二実施形態を示すピストン下死点での概略縦
断面図である。
【図8】第二実施形態のキャビティの変形例を示す断面
図である。
【図9】第二実施形態のキャビティの変形例を示すピス
トンの平面図である。
【図10】第二実施形態のキャビティのもう一つの変形
例を示すピストンの平面図である。
【図11】図9のキャビティの幅方向中心における長手
方向断面図である。
【図12】図9のキャビティの幅方向断面図である。
【図13】図9のキャビティの変形例を示す幅方向断面
図である。
【図14】図9のキャビティのもう一つの変形例を示す
幅方向断面図である。
【図15】図9のキャビティのさらにもう一つの変形例
を示す幅方向断面図である。
【図16】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の
第三実施形態を示すピストンの平面図である。
【図17】第三実施形態のピストンの断面図である。
【図18】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の
第四実施形態を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
5,51,52,53,54…ピストン 6,61,62,63…燃料噴射弁 7,71,72,73…点火プラグ 8,81,82,83,84,85…キャビティ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 41/04 335 F02D 41/04 335C F02F 3/26 F02F 3/26 C (72)発明者 宮川 浩 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 木下 雅夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 3G023 AA04 AA07 AB03 AC05 AD03 AD06 AG01 3G301 HA04 HA16 HA17 LB04 MA19 MA29

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比較的厚さの薄い略扇形状噴霧として燃
    料を噴射する燃料噴射弁と、点火プラグと、ピストンの
    頂面に形成されたキャビティとを具備し、前記ピストン
    が上死点と下死点との間の中間点より前記上死点側に位
    置する時には常に、前記燃料噴射弁から噴射された全て
    の略扇形状噴霧は前記キャビティ内に衝突させられ、前
    記ピストンが前記中間点より前記下死点側に位置する時
    には常に、前記燃料噴射弁から噴射された全ての略扇形
    状噴霧はシリンダボアへ衝突せずに前記燃料噴射弁から
    噴射された少なくとも一つの略扇形状噴霧は前記キャビ
    ティ外の前記ピストンの頂面に向けられ、成層燃焼に際
    して前記燃料噴射弁は圧縮行程において前記ピストンが
    前記中間点と前記上死点との間に位置する時に燃料噴射
    を実施し、均質燃焼に際して前記燃料噴射弁は吸気行程
    において前記ピストンが前記中間点の直前に位置する時
    から燃料噴射を開始するか又は前記中間点を過ぎた時か
    ら燃料噴射を開始して噴射燃料の一部だけを前記キャビ
    ティ内へ進入させ、前記点火プラグは前記キャビティ内
    を臨んで配置されていることを特徴とする筒内噴射式火
    花点火内燃機関。
  2. 【請求項2】 前記筒内噴射式火花点火内燃機関は二つ
    の吸気ポートを具備し、均質燃焼に際して前記燃料噴射
    弁から吸気行程において噴射される前記少なくとも一つ
    の略扇形状噴霧は、前記二つの吸気ポートによって吸気
    行程中に気筒内に生成される二つのタンブル流の間を、
    扇状に展開することを特徴とする請求項1に記載の筒内
    噴射式火花点火内燃機関。
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