JP2003055800A - 電解銅めっき方法 - Google Patents

電解銅めっき方法

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JP2003055800A JP2002057457A JP2002057457A JP2003055800A JP 2003055800 A JP2003055800 A JP 2003055800A JP 2002057457 A JP2002057457 A JP 2002057457A JP 2002057457 A JP2002057457 A JP 2002057457A JP 2003055800 A JP2003055800 A JP 2003055800A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解銅めっき方法を提供する。 【解決手段】 基体を電解銅めっき処理し、該電解銅め
っき処理に供された電解銅めっき液を、不溶性陽極を用
いて空電解処理する電解銅めっき方法。前記方法によ
り、析出銅のめっき外観、析出銅被膜の緻密さ、および
ビアのフィリング性が良好になるように、電解銅めっき
液を維持し、回復させることが可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解銅めっき方法
に関し、特に、めっき外観の悪化を生じさせず、フィル
ドビアの形成に適した電解銅めっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピュータをはじめ
とする電子機器の高性能化、小型化に対応するため、プ
リント配線板の高密度化、薄型化が強く求められてい
る。そのような要求に答える手法の一つとして、一層ご
とにパターンを形成し、逐次積層を行なうビルドアップ
工法を用いて製造される多層プリント配線板(ビルドア
ッププリント配線板)が使用されるようになっている。
このようなビルドアッププリント配線板においては、近
年、プリント配線板の有効面積を増加させることがで
き、従来法によるMVH内壁面のみのめっきと比べて、
より直径の小さいMVHであっても充分な電気的接続が
得られ、プリント配線板の小型化、高密度化に有効であ
る、ビアフィリング(Via−filling)と呼ば
れる、MVH全体を導電体で充填し、ビルドアッププリ
ント配線板の隣接する層間の電気的接続を行なう方法が
開発されている。
【0003】ビアフィリング方法としては、導電性ペー
ストを印刷法によりMVHに充填する方法、MVHの底
面の導体層のみを活性化して、無電解銅めっきを選択的
に積み上げる方法、および電解銅めっきによる方法等が
発表されている。しかし、導電性ペーストは銅と有機物
の混合体であるため金属銅と比較して導電率が低く、小
径のMVHでは充分な電気的接続が困難となり、プリン
ト配線板の小型化、高密度化に対して有効な方法とは言
えない。また、印刷法による充填は、粘性のあるペース
トを、直径が小さく貫通していない穴に充填することが
必要となるが、ペーストの粘性のために、空間を残さず
完全に充填するのは困難である。また、無電解銅めっき
を用いる方法は、MVH充填物が導電性の高い金属銅析
出物である点で導電性ペースト法より優れているが、め
っき皮膜の析出速度が遅く生産性に問題がある。一般的
な高速型無電解銅めっき浴を用いた場合、めっき皮膜の
析出速度は3μm/hr程度がであるが、これを用いて
直径100μm、深さ100μmの典型的なBVHの内
部を銅めっきで充填する場合、30時間以上を要するこ
ととなり非常に生産性が悪い。
【0004】これに対して、電解銅めっきはめっき皮膜
の析出速度が10〜50μm/hrと速いため、無電解
銅めっきに対し大幅な時間短縮が可能となるので、MV
Hへの電解銅めっきの応用が期待されていた。しかし、
MVH内面の全てに銅を析出させる場合、空隙を残すこ
となくMVH内部を銅で充填するためには、MVH内の
底面付近での析出速度が開口部での析出速度より速くな
ることが必要である。底面付近の析出速度が開口部の析
出速度と同じか、もしくは遅い場合には、MVHが充填
されないか、またはMVH内部の銅めっき充填が完了す
る以前に開口部がふさがって、内部に空隙を残すことに
なり、いずれの場合であっても、実用に耐えないものと
なる。よって、MVHの充填を達成するためには、金属
を適切に析出させることができるように、めっき条件を
厳密に管理する必要が生ずる。
【0005】通常、プリント配線板の製造には、光沢剤
をはじめとする、硫黄原子を含む特定の化合物を含む電
解銅めっき浴が用いられ、電解条件としては含リン銅陽
極のような可溶性陽極を用いた直流電解が一般的であ
る。しかし、可溶性陽極でめっき処理した場合には、電
解中および電解停止中に電解銅めっき浴が不安定化し、
その後に電解銅めっき液を使用した場合に、電解銅めっ
き層の形成において粒塊を生じさせてめっき外観を悪化
させたり、ビアのフィリング性を不安定にする等の問題
が生じていた。ビアのフィリング性を向上させる方法の
1つとして、硫黄原子を含む特定の化合物を含むめっき
液、およびPPR(pulse periodic r
everse)電流を用いて電解銅めっきする方法が、
特開2000−68651号に開示されている。しか
し、特開2000−68651号に開示されている発明
は、PPR電流を使用することにより、硫黄原子を含む
特定の化合物の基体への吸着および脱離を制御するもの
であり、上記可溶性陽極の使用による問題を解決するも
のではない。また、ビアのフィリング性を向上させる他
の方法として、不溶性陽極を使用して電解銅めっきを行
う方法がある。しかし、この方法では、使用される陽極
の全てが不溶性陽極であり、不溶性陽極は高価なのでシ
ステム全体としてコスト高になるという問題がある。ま
た、不溶性陽極を使用する場合には、めっき浴の運転に
伴って消費される銅を、塩基性炭酸銅や酸化銅といった
銅塩として補給する必要がある。この場合、補給される
銅塩に含まれる塩素、鉄、ニッケルなどの不純物がめっ
き浴に混入されるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑みてなされたものであって、電解銅めっき液、
特に、硫黄原子を含む特定の化合物を含む電解銅めっき
液を用いて基体を電解銅めっき処理し、該処理に供され
た電解銅めっき液を不溶性陽極を用いて空電解処理する
ことにより、該電解銅めっき液で引き続き電解銅めっき
処理を行う場合に、析出する電解銅が、粒塊となること
なく、緻密な析出被膜を形成し、良好なめっき外観を有
し、ビアのフィリング性が良好となる、電解銅めっき方
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、基体を電解銅
めっき処理し、該電解銅めっき処理に供された電解銅め
っき液を、不溶性陽極を用いて空電解処理する電解銅め
っき方法に関する。また、本発明は、電解銅めっき液を
貯留し、可溶性陽極を備えた、または可溶性陽極と不溶
性陽極を備えた電解銅めっき槽において、該可溶性陽極
を用いて基体を電解銅めっき処理し、該処理後に不溶性
陽極を用いて、前記電解銅めっき処理後の電解銅めっき
液を空電解処理する電解銅めっき方法に関する。さら
に、本発明は、可溶性陽極を備えた本槽、不溶性陽極を
備えた空電解槽、および該本槽と該空電解槽との間を前
記電解銅めっき液が循環可能となるように接続する循環
配管、を有する複槽型電解銅めっき装置において、該本
槽および該空電解槽に電解銅めっき液を貯留し、該循環
配管を介して、該電解銅めっき槽と空電解槽との間で前
記電解銅めっき液を循環させつつ、該電解銅めっき槽に
おいて、該可溶性陽極を用いて基体を電解銅めっき処理
するのと同時に、または該処理後に、該空電解槽におい
て該不溶性陽極を用いて空電解処理を行う電解銅めっき
方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の一態様は、基体を電解銅
めっき処理し、該電解銅めっき処理に供された電解銅め
っき液を、不溶性陽極を用いて空電解処理する電解銅め
っき方法である。本発明の方法においては、まず、基体
が電解銅めっき処理される。「電解銅めっき処理」と
は、電解銅めっきされるべき基体が、電解銅めっき浴中
の陰極に存在した状態で電解処理され、該基体上に電解
銅を析出させる処理をいう。本発明においては、任意の
公知の電解銅めっき処理方法が適用可能であり、特に限
定されるものではない。電解銅めっき処理に使用される
陽極は、不溶性陽極であっても良いし、可溶性陽極であ
っても良い。一般に、可溶性陽極を用いて基体を電解銅
めっき処理する場合には、後述するような理由で、めっ
き浴が不安定になる場合が多い。本発明の電解銅めっき
方法においては、めっき浴を空電解することにより該め
っき浴を安定に維持できるという効果を奏するところ、
電解銅めっき処理に可溶性陽極が使用される場合に本発
明の効果がより発揮されることとなる。よって、本発明
においては、基体を、可溶性陽極を用いて電解銅めっき
処理されるのが好ましい。
【0009】本発明の方法においては、電解銅めっき処
理に供された電解銅めっき液は、不溶性陽極を用いて空
電解処理される。ここで、「電解銅めっき処理に供され
た電解銅めっき液」とあるのは、空電解処理される電解
銅めっき液が、既に電解銅めっき処理に使用されたもの
であればよいことを意味するものであり、電解銅めっき
処理が完全に終了した後のめっき液であるか、電解銅め
っき処理が途中の段階であるめっき液であるかは問わな
い。好ましくは、「電解銅めっき処理に供された電解銅
めっき液」とは、空電解処理される電解銅めっき液が、
既に、可溶性陽極を用いた電解銅めっき処理に使用され
たものをいう。本発明において「空電解処理」とは、電
解銅めっき浴中の陰極に基体が存在しない状態で、陰極
と陽極を用いてめっき浴を電解処理することをいう。
【0010】本発明の他の態様として、電解銅めっき液
を貯留し、可溶性陽極を備えた電解銅めっき槽におい
て、該可溶性陽極を用いて基体を電解銅めっき処理し、
該処理後に、可溶性陽極を不溶性陽極に交換し、該不溶
性陽極を用いて、前記電解銅めっき処理後の電解銅めっ
き液を空電解処理する電解銅めっき方法がある。この態
様においては、可溶性陽極を備えた電解銅めっき槽が使
用される。かかる電解銅めっき槽としては、可溶性陽極
を備え、電解銅めっき液を貯留可能であれば任意の態様
が可能であり、本発明の効果を奏する限りは、その大き
さ、形状等は特に限定されるものではない。この態様に
おいては、電解めっき処理後に、可溶性陽極が不溶性陽
極に交換される。ここでの交換とは、不溶性陽極が空電
解の陽極として機能するように設定されることを意味
し、可溶性陽極は空電解の陽極として機能しないのであ
れば、電解銅めっき液中に存在したままでも良いし、電
解銅めっき液から取り出されても良い。
【0011】本発明の他の態様として、電解銅めっき液
を貯留し、可溶性陽極および不溶性陽極を備えた電解銅
めっき槽において、該可溶性陽極を用いて基体を電解銅
めっき処理し、該処理後の電解銅めっき液を、該不溶性
陽極を用いて空電解処理する電解銅めっき方法がある。
この態様においては、可溶性陽極と不溶性陽極を備えた
電解銅めっき槽が使用される。かかる電解銅めっき槽と
しては、可溶性陽極および不溶性陽極を備え、電解銅め
っき液を貯留可能であれば任意の態様が可能であり、本
発明の効果を奏する限りは、その大きさ、形状等は特に
限定されるものではない。この態様においては、可溶性
陽極と不溶性陽極を備えているので、電解銅めっき処理
とから電解処理の切り替えが、陽極への通電の切り替え
だけで可能となるという利点を有している。
【0012】本発明の他の態様として、可溶性陽極を備
えた本槽、不溶性陽極を備えた空電解槽、および該本槽
と該空電解槽との間を前記電解銅めっき液が循環可能と
なるように接続する循環配管、を有する複槽型電解銅め
っき装置において、該本槽および該空電解槽に電解銅め
っき液を貯留し、該循環配管を介して、該本槽と空電解
槽との間で前記電解銅めっき液を循環させつつ、該本槽
において、該可溶性陽極を用いて、基体を電解銅めっき
処理し、該空電解槽において、該不溶性陽極を用いて空
電解処理を行う電解銅めっき方法がある。この態様は、
複槽型電解銅めっき装置を使用するという点に特徴を有
している。該複槽型電解銅めっき装置は、可溶性陽極を
備えた本槽と、不溶性陽極を備えた空電解槽と、該本槽
と該空電解槽との間を前記電解銅めっき液が循環可能と
なるように接続する循環配管とから構成されている。本
槽および空電解槽は、それぞれ、電解銅めっき液を貯留
し、電解銅めっき処理および空電解処理を行えるのであ
れば、任意の形状、大きさが可能であり、特に限定され
るものではない。また、循環配管は本槽と空電解槽の間
で電解銅めっき液を循環できるものであれば、任意の態
様が可能であり、例えば、該配管にポンプが介装され液
を移送するような態様が可能である。本槽と空電解槽は
循環配管で連結されているが、電気的には完全に、もし
くは実質的に絶縁されている。よって、本槽と空電解槽
はそれぞれ、電解銅めっき処理および空電解処理を行う
ために、陰極が設けられることとなる。また、本発明の
複槽型電解銅めっき装置においては、本槽と空電解槽は
それぞれ少なくとも1つ必要であるが、1以上であって
も良く、槽の数は特に限定されるものではない。
【0013】この態様においては、電解銅めっき液が本
槽と空電解槽の間を循環されているので、電解銅めっき
処理と空電解処理が同時に行われることとなる。ここで
の同時とは一時的に同時に行われていれば足りる。例え
ば、空電解処理は、電解銅めっき処理が継続されている
間じゅう、継続して行われていても良いし、電解銅めっ
き処理が継続されている間、空電解処理を必要に応じて
間欠的に行うような態様であっても良い。また、循環配
管を流れる電解銅めっき液の流量は一定であっても良い
し、適宜変化するものであっても良く、間欠的に流れる
ような態様も可能である。
【0014】本発明の他の態様として、可溶性陽極を備
えた本槽、不溶性陽極を備えた空電解槽、および該本槽
と該空電解槽との間を前記電解銅めっき液が循環可能と
なるように接続する循環配管、を有する複槽型電解銅め
っき装置において、該本槽に前記電解銅めっき液を貯留
し、該本槽において、該可溶性陽極を用いて、基体を電
解銅めっき処理した後に、該処理後の電解銅めっき液を
該循環配管を介して該空電解槽に移送し、該空電解槽に
おいて、該処理後の電解銅めっき液を該不溶性陽極を用
いて空電解処理し、該空電解処理後の電解銅めっき液を
該循環配管を介して該本槽に返送する電解銅めっき方法
がある。この態様においては、上述のような複槽型電解
銅めっき装置が使用されるが、本槽において電解銅めっ
き処理を行った後に空電解処理を行うという点で上記態
様と異なっている。この態様においては、本槽と空電解
槽の間を循環させつつ空電解処理を行うものであっても
良いし、本槽から空電解槽に一定量の電解銅めっき液を
移送した後に液の移送を停止し、空電解槽で空電解処理
を行った後の電解銅めっき液をバッチ式に本槽に返送す
るような態様であっても良い。操作の容易さから、循環
させつつ空電解処理するのが好ましい。
【0015】本発明で使用される電解銅めっき液は、銅
を電解めっきできるものであれば任意の浴液が使用可能
であり、例えば、硫酸銅めっき液、シアン化銅めっき
液、ピロリン酸銅めっき液などが挙げられるがこれらに
限定されるものではない。好ましくは、電解銅めっき液
は硫酸銅めっき液である。以下、電解銅めっき液とし
て、硫酸銅めっき液を代表例として挙げて説明する。な
お、他のめっき液の組成、成分等は、本明細書における
硫酸銅めっき液に関する以下の記載および公知文献等か
ら当業者が容易に決定できる範囲のものである。
【0016】好ましくは、本発明で使用される電解銅め
っき液は、−X−S−Y−構造を有する化合物を含む。
好ましくは、前記化合物の構造中のXおよびYはそれぞ
れ独立して、水素原子、炭素原子、窒素原子、硫黄原子
および酸素原子からなる群から選択される原子であり、
本明細書においては、便宜上、上記化合物を硫黄含有化
合物と呼ぶ。より好ましくは、XおよびYはそれぞれ独
立して、水素原子、炭素原子、窒素原子および硫黄原子
からなる群から選択される原子であり、さらにより好ま
しくは、XおよびYはそれぞれ独立して、水素原子、炭
素原子および硫黄原子からなる群から選択される原子で
あり、XおよびYは炭素原子の場合のみ同一となりう
る。なお、上述の式 −X−S−Y− においては、S
は原子価2であることを示すが、XおよびY原子まで原
子価2であることを意味するのではなく、XおよびY原
子はその原子価に応じて任意の他の原子と結合し得るこ
とを表したものである。例えば、Xが水素の場合にはH
−S−Y−なる構造を有することになる。
【0017】より好ましくは、硫黄含有化合物は、さら
に、分子内にスルホン酸基またはスルホン酸のアルカリ
金属塩である基を有する化合物である。スルホン酸基ま
たはそのアルカリ金属塩は該分子内に1以上存在するこ
とができる。さらにより好ましくは、硫黄含有化合物と
しては、分子内に−S−CHO−R−SOM 構造
を有する化合物、または分子内に、−S−R−SO
構造を有する化合物(式中、Mは水素又はアルカリ金
属原子、Rは炭素原子3〜8個を含むアルキル基であ
る)が挙げられる。さらにより好ましくは、硫黄含有化
合物としては、以下(1)〜(8)の構造を有する化合
物が挙げられる。 (1) M−SO−(CH−S−(CH
−SO−M; (2) M−SO−(CH−O−CH−S−
CH−O−(CH −SO−M; (3) M−SO−(CH−S−S−(C
−SO−M; (4) M−SO−(CH−O−CH−S−
S−CH−O−(CH −SO−M; (5) M−SO−(CH−S−C(=S)−
S−(CH−SO −M; (6) M−SO−(CH−O−CH−S−
C(=S)−S−CH−O−(CH−SO
M; 上記、式(1)〜(6)においては、式中、a,b=3
〜8の整数であり;Mは水素又はアルカリ金属元素であ
る。 (7)X−S−(CH−SO−M;および (8)X−S−CH−O−(CH−SO−M 上記、式(7)および(8)においては、式中、a=3
〜8の整数であり;Mは水素又はアルカリ金属元素であ
り;Xは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリ
ール基、1〜6個の窒素原子と1〜20個の炭素原子と
複数の水素原子とにより構成される鎖状または環状アミ
ン化合物、または1〜2個の硫黄原子と1〜6個の窒素
原子と1〜20個の炭素原子と複数の水素原子とにより
構成される複素環化合物のいずれかである。
【0018】硫黄含有化合物は一般に光沢剤として使用
されるが、他の目的のために使用される場合も本発明の
範囲に包含される。硫黄含有化合物が使用される場合に
は、1種類のみを使用しても2種類以上を混合して使用
してもよい。
【0019】硫黄含有化合物が光沢剤である場合には、
光沢剤は、例えば、0.1〜100mg/L、好ましく
は0.5〜10mg/Lの範囲で使用することができ
る。めっき液中の濃度が0.1mg/L以下の場合に
は、銅めっき皮膜の成長を助ける効果が得られない。ま
た、100mg/Lを越える場合であっても、それに見
合う効果の向上はほとんど得られないので、経済的観点
から好ましくない。硫黄含有化合物を光沢剤以外の目的
で使用する場合に、その使用量の好適な範囲は当業者が
適宜決定することのできる事項である。
【0020】本発明者らは、上記硫黄含有化合物−X−
S−Y−の単結合が切断されて生じた分解物である−X
−S、または−Y−S化合物の増加が電解銅めっき
におけるビアの充填能およびめっき外観の悪化を招くこ
とを見出した。ここで、上記硫黄含有化合物において
は、XおよびYは交換可能であり、例えば、上記光沢剤
(1)M−SO−(CH−S−(CH
SO−Mの場合には、前記分解物として、M−SO
−(CH−S、またはS−(CH −S
−Mが生じるものと考えられるが、このいずれを−
X−Sまたは−Y−Sとしても良い。よって、本明
細書においては、便宜上、硫黄含有化合物の分解物を
「−X−S」と表す。また、電解銅めっき液中に含ま
れる−X−S化合物は、硫黄含有化合物−X−S−Y
−のX−SまたはS−Yの単結合が切断されただけで、
分子中の他の部分は分解されていない構造の化合物であ
っても良いし、該分解物が「X−S」構造を保持しつ
つ、Xに結合する部分がさらに分解された化合物であっ
ても良く、これらの化合物の複数種類の混合物であって
も良い。
【0021】硫黄含有化合物の分解物である「−X−S
」構造を有する化合物の濃度は、任意の公知の方法に
より測定可能であり、例えば、高速液体クロマトグラフ
ィー等のような方法が挙げられるがこれらに限定される
ものではない。高速液体クロマトグラフィーが使用され
る場合には、めっき液を直接に、高速液体クロマトグラ
フィーにかけても良いし、測定を妨げる夾雑物が存在す
る場合には、あらかじめ夾雑物を除去するなどの処理を
行った後に、該処理を行っても良い。−X−S化合物
が単一種類の場合には、該単一の化合物の濃度が「−X
−S 」構造を有する化合物の濃度に該当し、−X−S
化合物が複数種類の混合物のである場合には、各化合
物の濃度の合計が「−X−S」構造を有する化合物の
濃度に該当する。また、電解銅めっき液中では、「−X
−S」化合物は、通常、金属イオン、ヒドロニウムイ
オンなどの陽イオンと対になって存在する。よって、本
発明においては、「−X−S」化合物の作用メカニズ
ムを考えるような特定の場合を除き、「−X−S」化
合物には「−X−S−H」構造の化合物も含まれる。本
発明においては、かかる「−X−S」化合物の濃度を
モニターすることにより、該濃度に応じて空電解処理の
電解量を調節したり、複槽型電解銅めっき装置において
は、さらに、電解銅めっき液の循環量を調節したりする
ことが可能となる。
【0022】理論に拘束されるのは望まないが、電解銅
めっき液中で「−X−S」構造を有する化合物が生じ
る主たるメカニズムとしては、例えば、含リン銅のよう
な可溶性陽極を使用すると、電解停止期間中に可溶性陽
極と上記硫黄含有化合物が反応し、硫黄含有化合物のS
−XまたはS−Yの単結合が切断されて「−X−S
構造を有する化合物が生じることが考えられる。また、
電解銅めっき処理中では、陰極において、上記硫黄含有
化合物が電子を受け取り、S−XまたはS−Yの単結合
が切断されて「−X−S」構造を有する化合物が生じ
ることが考えられる。また、陽極においては、可溶性陽
極から、CuがCu2+となるときに放出される電子を
受け取り、上記硫黄含有化合物が「−X−S」構造と
なることが考えられる。
【0023】また、理論に拘束されるのは望まないが、
「−X−S」構造を有する化合物が電解銅めっきにお
いて悪影響を与える作用メカニズムとしては、該化合物
が金属イオン、例えばCu、Cu2+とイオン結合
し、この結合物が存在することにより、析出した金属が
粒塊を形成して、密着性、耐熱性等に劣る金属層を形成
し、また、光沢不良など、めっき外観の悪化を生じさせ
ることとなるものと考えられる。また、フィルドビアの
形成においても、前記分解物と金属イオンの結合物は、
ビアの底部付近の金属析出速度を、ビア開口部での金属
の析出速度と同程度またはそれ以下にすることにより、
ビアのフィリングを不十分にし、または、ビアの形状等
によっては、空隙を残したままビアを充填するという問
題を生じさせるものと考えられる。
【0024】本発明の電解銅めっき方法は、上述のよう
な、粒塊の形成、めっき外観の悪化およびビアのフィリ
ング性の悪化を防止し、悪化したものを回復させるとい
う効果を有している。また、粒塊の形成を防止すること
により、緻密な析出被膜が得られる。理論に拘束される
のは望まないが、本発明においては、電解銅めっき処理
に供された電解銅めっき液を不溶性陽極で空電解処理す
ることにより、電解銅めっき処理によって電解銅めっき
液中に生じた「−X−S」構造を有する化合物が、該
不溶性陽極付近に引き寄せられ、不溶性陽極付近で生じ
た酸素によって「−X−S」構造を採り得ない化合物
にまで分解されるか、または、該「−X−S」構造を
有する化合物が酸化されて、「−X’−S−S−Y’
−」〔式中X’およびY’はそれぞれ独立して、炭素原
子、窒素原子、硫黄原子および酸素原子からなる群から
選択される原子である〕構造に転化されることにより、
「−X−S」構造を有する化合物が低減するものと考
えられる。このため、本発明においては、電解銅めっき
処理に供された電解銅めっき液を、不溶性陽極を使用し
て空電解処理することにより、硫黄含有化合物のS−X
またはS−Y結合が切断されて生じる分解物を実質的に
存在させないか、または一定範囲の濃度に維持し、浴液
を所望の電解銅めっき処理に適した状態に維持すること
が可能になっているものと考えられる。但し、本発明の
効果は上記メカニズムに起因するものに限定されるもの
ではなく、上記以外の機序、もしくは機序が不明であっ
ても、本願発明の構成を有し、効果を奏する限りは、そ
れは本願発明の範囲内のものである。よって、例えば、
電解銅めっき液が上記硫黄含有化合物−X−S−Y−を
含まない場合であって、本発明の効果を奏するような場
合も、本発明の範囲内に包含される。
【0025】本発明の電解銅めっき方法においては、−
X−S構造を有する化合物の濃度は、めっき外観の光
沢性を艶消しにしないという観点からは、2.0μmo
l/L以下に維持されることが好ましく、めっき外観を
光沢性のあるものにするという観点からは、1.0μm
ol/L以下に維持されることが好ましく、より好まし
くは0.5μmol/L以下である。また、ビアのフィ
リング性を良好にするという観点からは、−X−S
造を有する化合物の濃度を0.15μmol/L以下に
維持することが好ましく、より好ましくは、0.1μm
ol/L以下である。
【0026】本発明において使用される不溶性陽極とし
ては、電解銅めっき液中で金属を溶出しない材質のもの
であれば任意の材質から成る陽極を使用することができ
る。例えば、酸化イリジウム、白金張りチタン、白金、
グラファイト、フェライト、二酸化鉛および白金族元素
酸化物をコーティングしたチタン、ステンレススチー
ル、鉛合金等の材質の陽極が挙げられるがこれらに限定
されるものではない。好ましくは、不溶性陽極は酸化イ
リジウム、白金張りチタン、二酸化鉛被覆チタン、鉛合
金、フェライトおよびステンレススチールである。ま
た、本発明における可溶性陽極としては、含リン銅、無
酸素銅などが挙げられるがこれらに限定されるものでは
ない。
【0027】電解銅めっき槽、並びに、複槽型電解銅め
っき装置の本槽および空電解槽には、本発明の目的に反
しない限りは、任意の数の可溶性陽極および/または不
溶性陽極を設置することが可能であり、特に限定される
ものではない。複槽型電解銅めっき装置が使用される場
合には、可溶性陽極と不溶性陽極の陽極表面積の比率
は、一般的には、可溶性陽極:不溶性陽極=1:0.0
1〜1:100であり、1:0.02〜1:20が好ま
しい。より好ましくは、1:0.02〜1:1であり、
さらにより好ましくは、1:0.02〜1:0.1であ
り、最も好ましくは、1:0.02〜1:0.05であ
る。1槽型の電解銅めっき装置が使用される場合には、
一般的には、可溶性陽極:不溶性陽極=1:0.01〜
1:100であり、1:0.02〜1:20が好まし
い。より好ましくは、1:0.02〜1:1であり、さ
らにより好ましくは、1:0.02〜1:0.1であ
り、最も好ましくは、1:0.02〜1:0.05であ
る。このように、本発明の電解銅めっき方法において
は、高価な不溶性陽極の使用面積を抑えつつ、ビアのフ
ィリング性の向上、めっき外観の向上、粒塊形成の防
止、緻密な析出被膜の形成といった、不溶性陽極の使用
による効果を得ることができる点で有利である。本発明
の電解銅めっき方法においては、空電解処理の際に陰極
が電解隔膜またはセラミック隔膜などの隔膜で覆われる
ことが好ましい。これにより、空電解処理の際に陰極上
への銅の析出を抑制できるので、空電解時の銅の消費を
抑制することが可能となる。これらの隔膜としては、陰
極上への銅の析出を抑制できるものであれば、任意の隔
膜が適用できる。
【0028】本発明の電解銅めっき方法の電解銅めっき
処理および空電解処理においては、直流電流、PPR電
流、または交流併用電流が任意に使用可能である。電解
銅めっき処理と空電解処理は、使用される電流の種類が
同じであっても異なっていても良い。また、陽極電流密
度は同じであっても異なっていても良い。適用される陽
極電流密度は電解銅めっき槽の種類に応じて適宜設定さ
れることとなるが、直流電流の場合には、通常、0.1
〜10A/dm、好ましくは1〜3A/dmであ
る。0.1A/dm未満の場合には陽極面積が大きす
ぎて経済的ではなく、また、10A/dmより大きい
場合には陽極からの電解中の酸素発生により、電解銅め
っき液中の成分の酸化分解量が増加するので好ましくな
い。
【0029】本発明における「PPR電流」とは、正電
解(めっきを析出させる電解)と、逆電解を短い周期で
繰り返すように、電流の方向がパルス波形で周期的に変
わる電流をいう。電流の周期は任意に設定できるが、正
電解時間が逆電解時間より長いことが好ましい。例え
ば、正電解時間は1〜50msec、好ましくは、10
〜20msecであり、逆電解時間は0.2〜5mse
c、好ましくは、0.5〜1msecである。正電解時
間が1msecより短い場合は、正常な銅めっきの析出
が開始する前に電解を中止することになるので好ましく
ない。一方、正電解時間が50msecより長い場合
は、ブラインドビアホール閉塞端面付近での銅めっき皮
膜の析出速度を、開口端部での析出速度より速くするこ
とが出来なくなる。また、逆電解時間が0.2msec
より短い場合は、ブラインドビアホール閉塞端面付近で
の銅めっき皮膜の析出速度を、開口端部での析出速度よ
り速くすることが出来なくなる。また、逆電解時間が5
msecより長い場合は、一度析出した銅めっき皮膜を
溶解させてしまうため、銅めっきによるブラインドビア
ホールの充填に要する時間が長くなり効果的でない。さ
らに、上記PPR電流の場合には、正電解と逆電解との
間に、電流が流れない休止時間があっても良い。
【0030】PPR電流が使用される場合の正電解電流
密度は、通常、0.1〜20A/dmであり、好まし
くは、0.5〜5A/dmである。また、逆電解電流
密度は、通常、0.1〜200A/dmであり、好ま
しくは、1〜25A/dmである。電解時の電流密度
比率は、正電解1に対して、通常、逆電解1〜10であ
り、好ましくは、2〜5である。電解時の電流密度比率
が、正電解1に対して、逆電解が1より小さい値の場合
には、ブラインドビアホールの開口端部付近に吸着した
硫黄含有化合物を充分に離脱させることが出来なくなる
ため、ブラインドビアホール閉塞端面付近での銅めっき
皮膜の析出速度を、開口端部での析出速度より速くする
ことが困難になる。一方、電解時の電流密度比率が、正
電解1に対して、逆電解が10越える値の場合には、一
度析出した銅めっき皮膜を溶解させてしまうため、銅め
っきによるブラインドビアホールの充填に要する時間が
長くなり過ぎる傾向がある。
【0031】本発明における「交流併用電流」とは、上
記PPR電流における逆電解に相当する部分が交流であ
る、直流と交流を併用した電流である。交流は、上記P
PR電流における逆電解の時間に、一般に、1〜100
サイクル、好ましくは、50〜60サイクルとなるよう
に設定される。交流併用電流における他の条件は、上記
PPRにおけるものと同じである。
【0032】本発明に使用される電解銅めっき液の基本
組成としては、公知の、通常の電解銅めっきに使用され
るものであれば特に制限なく使用することができ、本発
明の目的が達成される限りにおいては、適宜、基本組成
の組成物の変更、濃度の変更、添加剤の添加等をするこ
とが可能である。例えば、硫酸銅めっきの場合には、硫
酸銅めっき液は、硫酸、硫酸銅、水溶性塩素化合物を基
本組成として含む水性溶液であり、該めっき液の基本組
成は、公知の硫酸銅めっきに用いられているものであれ
ば特に制限なく使用することができる。
【0033】硫酸銅めっき液中の硫酸濃度は、通常、3
0〜400g/Lであり、好ましくは170〜210g
/Lである。例えば、硫酸濃度が30g/L未満の場合
には、めっき浴の導電性が低下するため、めっき浴に通
電することが困難になる。また、400g/Lを越える
場合には、めっき浴中の硫酸銅の溶解を妨げることとな
り、硫酸銅の沈澱を招くこととなる。硫酸銅めっき液中
の硫酸銅濃度は、通常、20〜250g/Lであり、好
ましくは60〜180g/Lである。例えば、硫酸銅濃
度が20g/L未満となる場合には、被めっき物である
基体への銅イオンの供給が不充分となり、正常なめっき
皮膜を析出させることが不可能になる。また、硫酸銅を
250g/Lを越えて溶解させることは困難である。
【0034】硫酸銅めっき液中に含まれる水溶性塩素化
合物としては、公知の硫酸銅めっきに用いられているも
のであれば特に制限なく使用することが出来る。該水溶
性塩素化合物としては、例えば、塩酸、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、塩化アンモニウム等を挙げることが
出来るが、これらに限定されるものではない。水溶性塩
素化合物は1種類のみを使用しても良いし、2種類以上
を混合して使用してもよい。本発明で使用される硫酸銅
めっき液に含まれる、該水溶性塩素化合物の濃度は、塩
素イオン濃度として、通常は10〜200mg/Lであ
り、好ましくは30〜80mg/Lである。例えば、塩
素イオン濃度が10mg/L未満となる場合には、光沢
剤、界面活性剤等が正常に作用しにくくなる。また、2
00mg/Lを越える場合には、陽極からの塩素ガスの
発生が多くなるため好ましくない。
【0035】本発明で使用される電解銅めっき液には、
任意に、界面活性剤が含まれることができる。界面活性
剤としては、通常、電解銅めっき溶液の添加剤として使
用される、公知の任意の界面活性剤を使用することがで
きる。好ましくは、界面活性剤としては、以下(9)〜
(13)の構造を有する化合物が挙げられるが、これら
に限定されるものではない。 (9) HO−(CH−CH−O)−H(式中、
a=5〜500の整数である); (10)HO−(CH−CH(CH)−O)−H
(式中、a=5〜200の整数である); (11)HO−(CH−CH−O)−(CH
CH(CH)−O)−(CH−CH−O)
H(式中、aおよびcは整数であって、a+c=5〜2
50の整数であり,b=1〜100の整数である); (12)−(NHCHCH)n− (式中、n=
5〜500である。);および
【0036】(13)
【化1】 (式中、a,b,cは5〜200の整数である)
【0037】本発明で使用される界面活性剤は、1種類
のみを使用しても2種類以上を混合して使用してもよ
い。本発明で使用される界面活性剤は、例えば0.05
〜10g/L、好ましくは0.1〜5g/Lの範囲で使
用することができる。めっき液中の濃度が0.05g/
L以下の場合には、湿潤効果が不充分となるために、め
っき皮膜に多数のピンホールを生じ、正常なめっき皮膜
を析出させることが困難になる。10g/Lを越えて
も、それに見合う効果の向上はほとんど得られないの
で、経済的観点から好ましくない。
【0038】本発明の方法で電解銅めっき処理される基
体は、本発明の方法の条件に耐え得るものであって、め
っきにより金属層が形成されるものであれば、任意の材
質および形状の基体を使用することができる。材質とし
ては、樹脂、セラミック、金属等が挙げられるがこれら
に限定されるものではない。例えば、樹脂から成る基体
としては、プリント配線板が挙げられ、セラミックから
成る基体としては、半導体用ウエハーが挙げられるがこ
れらに限定されるものではない。金属としては、例え
ば、シリコン等が挙げられるがこれらに限定されるもの
ではない。金属からなる基体としては、シリコンウエハ
ーが挙げられるがこれらに限定されるものではない。本
発明の方法は、特に、ビアホールを充填するのに優れる
ことから、本発明に供される基体としては、スルーホー
ル、ビアホール等を有する基体が好ましく、より好まし
くは、スルーホールおよび/またはビアホールを有する
プリント配線板またはウエハーである。
【0039】基体に使用される樹脂としては、例えば、
高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐低密度
ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量
ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹
脂、ポリブタジエン、ボリブテン樹脂、ポリブチレン樹
脂、ポリスチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩
化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニ
リデン−塩化ビニル共重合体樹脂、塩素化ポリエチレ
ン、塩素化ポリプロピレン、テトラフルオロエチレンな
どのハロゲン含有樹脂;AS樹脂;ABS樹脂;MBS
樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ポリアクリル酸メチ
ルなどのポリアクリル酸エステル樹脂;ポリメタアクリ
ル酸メチルなどのポリメタアクリル酸エステル樹脂;メ
タアクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂;無水マレ
イン酸−スチレン共重合体樹脂;ポリ酢酸ビニル樹脂;
プロピオン酸セルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等の
セルロース樹脂;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ナイ
ロンなどのポリアミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ポ
リアリレート樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリエー
テルエーテルケトン樹脂;ポリエチレンオキサイド樹
脂;PET樹脂などの各種ポリエステル樹脂;ポリカー
ボネート樹脂;ポリサルホン樹脂;ポリビニルエーテル
樹脂;ポリビニルブチラール樹脂;ポリフェニレンオキ
サイドなどのポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニ
レンサルファイド樹脂;ポリブチレンテレフタレート樹
脂;ポリメチルペンテン樹脂;ポリアセタール樹脂;塩
ビ−酢ビコポリマー;エチレン−酢ビコポリマー;エチ
レン−塩ビコポリマー;等およびこれらのコポリマーな
らびにブレンドのような熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂;
キシレン樹脂;グアナミン樹脂;ジアリルフタレート樹
脂;ビニルエステル樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリ
エステル樹脂;フラン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリウレ
タン樹脂;マレイン酸樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;
等の熱硬化性樹脂、並びにこれらの混合物が挙げられる
が、これらに限定されない。好ましい樹脂としては、エ
ポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビニル樹脂、フェノール
樹脂、ナイロン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポ
リプロピレン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂が挙げら
れ、より好ましくは、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、
ポリフェニレンエーテル樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹
脂であり、さらにより好ましくは、エポキシ樹脂、およ
びポリイミド樹脂である。また、樹脂基体は、単独の樹
脂からなるものであってもよく、また複数の樹脂からな
るものでもよい。また、他の基体上に樹脂が塗布、また
は積層されたような複合物であっても良い。また、本発
明で使用可能な樹脂基体は、樹脂成型物に限定されず、
樹脂間にガラス繊維強化材等の補強材を介在させた複合
物であってもよく、或いはセラミックス、ガラス、シリ
コン等の金属等の各種の素材からなる基材に樹脂による
皮膜を形成したものであってもよい。
【0040】基体材料として使用可能なセラミックとし
ては、アルミナ(Al)ステアタイト(MgO・
SiO)、フォルステライト(2MgO・Si
)、ムライト(3Al・2SiO)、マグ
ネシア(MgO)、スピネル(MgO・Al)、
ベリリア(BeO)をはじめとする酸化物系セラミック
スや、窒化アルミニウム、炭化ケイ素などの非酸化物系
セラミックス、さらにはガラスセラミックスをはじめと
する低温焼成セラミックスなどが挙げられるがこれらに
限定されるものではない。
【0041】本発明の方法で処理される基体は、電解銅
めっきに先立って被めっき部分が導電化処理されること
となる。例えば、本発明の方法で電解銅めっき液を用い
て、MVHを電解銅めっきにより金属銅で充填する場合
には、まず、MVHの内面が導電化されることとなる。
この導電化処理は、公知の、任意の導電化方法を用いて
行われることができ、導電化方法としては、例えば、無
電解銅めっき、ダイレクトプレーティング方法、導電性
微粒子吸着処理、気相めっき法等の各種の方法が挙げら
れるがこれらに限定されるものではない。
【0042】本発明の方法で行われる電解銅めっき処理
では、めっき温度(液温)はめっき浴の種類に応じて適
宜設定されることとなるが、通常、10〜40℃であ
り、好ましくは20〜30℃である。めっき温度が10
℃より低い場合には、めっき液の導電性が低下するた
め、電解時の電流密度を高くすることが出来ず、めっき
皮膜の成長速度が遅くなり、生産性が低下する。また、
めっき温度が40℃より高い場合には、光沢剤が分解す
る恐れがあり好ましくない。
【0043】本発明の方法で行われる電解銅めっき処理
では、撹拌を行なうことは差し支えなく、被めっき物表
面への銅イオンおよび添加剤の供給を均一化するために
撹拌を行なうことが好ましい。攪拌方法としては、エア
ー攪拌や噴流が使用できる。めっき液中の溶存酸素を増
加させるという観点から、空気による撹拌が好ましい。
また、噴流で撹拌を行う場合にも、空気による撹拌を併
用しても良い。更に、あけ替え濾過、循環濾過を行なう
こともでき、特に濾過器でめっき液を循環濾過すること
が好ましく、これによりめっき液の温度を均一化し、且
つめっき液中のゴミ、沈澱物等を除去することができ
る。本発明の方法で行われる電解銅めっき処理で基体を
めっきすることにより、基体上に銅層を有する複合材料
が得られる。本発明の電解銅めっき方法で電解銅めっき
を行うと、その後に、該電解銅めっき液を用いて電解銅
めっき処理を行う場合に、得られる複合材料の銅層は粒
塊を生じておらず、ビアを充填する場合には、空隙のな
いビアの充填が達成されることとなる。また、本発明の
方法は垂直型、水平型のいずれのめっき設備にも適用可
能である。以下、実施例によって本発明を詳述するが、
該実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0044】
【実施例】実施例1(単槽、直流電流を使用した場合の
空電解処理) 蒸留水に以下の薬物を溶解し、電解銅めっき液を作成し
た:硫酸銅・5水和物200g/L、硫酸 100g/
L、塩素 50mg/L、ビス(3−スルホプロピル)
ジスルフィドジソーダ(SPS) 1.5mg/L、陽
イオン界面活性剤 1500mg/L、ノニオン系界面
活性剤 375mg/L、3−メルカプト−1−プロパ
ンスルホン酸ナトリウム塩(MPS、東京化成社製)
1000μg/L(5.6μmol/L)。MPSは、
電解銅めっき処理によるSPSの分解物と考えられるも
のであり、MPSの添加は、電解銅めっき液を擬似的に
劣化された状態にするものである。ハーリングセルに前
記電解銅めっき液1.5Lを入れ、可溶性陽極または不
溶性陽極を用いて、該電解銅めっき液の空電解処理を行
った。空電解処理の条件は、めっき浴温度23℃、電流
密度2A/dm(2A)、陽極面積1.33dm
Lであった。可溶性陽極の場合には、含リン銅陽極を用
い、60分間空電解処理を行った。不溶性陽極の場合に
は、Pt/Tiメッシュを用い、5〜20分間空電解処
理を行った。また、対照群として、空電解処理を行わな
いものも用意した。
【0045】空電解処理後、該処理後の電解銅めっき液
を用いて、堆積物厚さが25μmとなるように基体を電
解銅めっき処理した。基体としては、ビア直径120μ
m/深さ50μmのマイクロビアホールを有する評価基
板が使用され、陽極としては含リン銅可溶性陽極が使用
された。電解銅めっき処理条件は、ハーリングセルを用
い、電解銅めっき浴量1.5L、めっき浴温度23℃、
電流密度2A/dm(2A)、陽極面積1.33dm
/Lであった。
【0046】電解銅めっき処理後、評価基板のビアのフ
ィリング性を評価した。図1に、空電解処理後の電解銅
めっき液を用いた、電解銅めっき処理後のビアの断面の
模式図を示す。この結果、空電解処理を行わなかった場
合(空電解0分)には、ビアの充填が不十分であった。
また、可溶性陽極により60分間空電解処理を行った場
合には、析出した銅被膜は若干、厚みを増していたが、
ビアの充填は不十分であった。不溶性陽極により空電解
処理を行った場合には、空電解処理5分間ではビア充填
の改善は認められなかったが、10分間では、銅被膜が
若干厚みを増し、15および20分間ではビアが完全に
充填された。このことから、不溶性陽極を用いた空電解
処理が、低下したビアのフィリング性を回復させること
が明らかとなった。
【0047】実施例2(単槽、PPR電流を使用した場
合の空電解処理) PPR電流条件下における、MPSがビアのフィリング
性に及ぼす影響 蒸留水に以下の薬物を溶解し、電解銅めっき液を作成し
た:硫酸銅・5水和物130g/L、硫酸 190g/
L、塩素 60mg/L、SPS 4mg/L、ノニオ
ン系界面活性剤 500mg/L。該電解銅めっき液
に、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウ
ム塩(MPS、東京化成社製)を10〜1000μg/
L(0.056〜5.6μmol/L)となるように添
加した。また、対照群として、MPSを添加しないもの
も用意した。ハーリングセルに前記電解銅めっき液1.
5Lを入れ、基体の電解銅めっき処理を行った。基体と
しては、ビア直径155μm/深さ55μmのマイクロ
ビアホールを有する評価基板が使用され、陽極としては
含リン銅可溶性陽極が使用された。電解銅めっき処理条
件は、ハーリングセルを用い、電解銅めっき浴量1.5
L、めっき浴温度20℃、電流密度2A/dm、F/
R電流密度比1/1、F/R時間比10/0.5mse
c、めっき時間60分であった。
【0048】電解銅めっき処理後、評価基板のビアのフ
ィリング性を評価した。図2に、各種MPS濃度の電解
銅めっき液を用いた、電解銅めっき処理後のビアの断面
の模式図を示す。この結果、MPSを含まない(0μg
/L)場合には、完全にビアが充填された。MPSを1
0μg/L〜1000μg/Lの濃度で含む場合には、
濃度の増加に従って、ビアのフィリング性が低下した。
また、電解銅めっき処理後の銅被膜のめっき外観を目視
で測定した結果、MPS濃度が100μg/Lまではめ
っき外観は光沢であったが、500μg/L、および1
000μg/Lでは半光沢となった。なお、500μg
/Lよりも1000μg/Lの方が、光沢の程度はより
低減されていた。
【0049】空電解処理 1000μg/LのMPSを含む上記電解銅めっき液を
用い、上記条件で電解銅めっき処理を行う前に、不溶性
陽極または可溶性陽極を用いて、該MPSを含む電解銅
めっき液について空電解処理を行った。可溶性陽極とし
ては含リン銅陽極を使用し、不溶性陽極としてはPt/
Tiメッシュを使用した。空電解処理の条件は、使用さ
れる電極の種類、電解量が異なる以外は、上記電解銅め
っき処理と同じ条件で行われた。また、対照群として、
MPSを含まない建浴直後の電解銅めっき液で電解銅め
っき処理を行ったものと、空電解処理を行わずに100
0μg/LのMPSを含む上記電解銅めっき液で電解銅
めっき処理を行ったものを評価した。なお、電解銅めっ
き処理は全て可溶性陽極で行われた。
【0050】電解銅めっき処理後、評価基板のビアのフ
ィリング性およびめっき外観を評価した。図3に、各条
件における、電解銅めっき処理後のビアの断面の模式図
を示す。この結果、MPSを含まない、建浴直後の電解
銅めっき液を使用した場合(No.1)には、空電解処
理を行わなくてもビアが充填され、めっき外観は光沢で
あった。MPSを1000μg/L含む電解銅めっき液
で、空電解処理を行わない場合(No.2)には、ビア
の充填が不完全であり、めっき外観は半光沢であった。
MPSを1000μg/L含む電解銅めっき液で、可溶
性陽極を用いて、空電解処理を行った場合には、電解量
が1.33Ahr/Lの場合(No.3)にはビアの充
填が不完全であり、めっき外観は半光沢であったが、電
解量が2.7Ahr/Lの場合(No.4)には、ビア
が充填され、めっき外観は光沢であった。また、MPS
を1000μg/L含む電解銅めっき液で、不溶性陽極
を用いて、空電解処理を行った場合(No.5)には、
電解量が0.22Ahr/Lで、ビアが充填され、めっ
き外観は光沢であった。以上のことから、電解銅めっき
処理の前に、フィリング性およびめっき外観が低下した
電解銅めっき液を空電解処理することにより、該空電解
処理に使用される陽極が可溶性陽極か不溶性陽極である
かに拘わらず、ビアのフィリング性およびめっき外観が
回復されることが明らかとなった。かかるビアのフィリ
ング性およびめっき外観の回復に必要とされる、空電解
処理における電解量は、可溶性陽極では2.7Ahr/
Lであり、不溶性陽極では0.22Ahr/Lであっ
た。このことから、ビアのフィリング性およびめっき外
観の低下を回復させるためには、不溶性陽極による空電
解処理は、可溶性陽極によるものよりも、著しく有効で
あることが明らかとなった。
【0051】実施例3(複槽型電解銅めっき装置の使
用) 本実施例に使用された電解銅めっき液は、蒸留水に以下
の薬物を溶解して作成された:硫酸銅・5水和物 20
0g/L、硫酸 100g/L、塩素 50mg/L、
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドジソーダ(S
PS) 1.5mg/L、陽イオン界面活性剤 150
0mg/L、ノニオン系界面活性剤 375mg/L。
また、実施例3においては、電流としては直流電流が使
用された。まず、1つの本槽と1つの空電解槽とからな
る複槽型電解銅めっき装置を使用して電解銅めっき液の
劣化処理が行われた。該劣化処理は、複槽型電解銅めっ
き装置において、電解銅めっき液を本槽と空電解槽との
間で循環させつつ、本槽においては電解銅めっき処理
を、空電解槽においては空電解処理を行うという、通常
の複槽型電解銅めっき装置の運転が行われることにより
なされた。本槽の浴容量は4L、空電解槽の浴容量は
0.5Lで、合計4.5Lの電解銅めっき液が使用され
た。本槽と空電解槽の間での電解銅めっき液の循環速度
は、0.7〜0.9L/分であった。各槽においては空
気撹拌が行われた。電解銅めっき処理は、陽極として含
リン銅陽極を用い、めっき浴温度23℃、電流密度2A
/dm(6A)、陽極面積1.33dm/Lで行っ
た。空電解処理は、陽極としてIrOを用い、めっき
浴温度23℃、電流密度2A/dm(0.3A)、陽
極面積0.07dm/Lで行った。電解銅めっき処理
における電解量が0、30、50または100Ahr/
Lとなる時点で、電解銅めっき処理および空電解処理を
停止した。なお、対照群として、該劣化処理において、
空電解槽で空電解処理を行わなかったものを用意した。
【0052】上記劣化処理における電解銅めっき液の劣
化の程度を調べるために、上記劣化処理後の電解銅めっ
き液を用いて、新たな評価基板を用いて電解銅めっき処
理を行った。評価基板は、実施例1で用いたものと同じ
であった。空電解槽で空電解処理を行わないことを除い
て、上記劣化処理条件と同じ条件で、電解量は50Ah
r/Lで電解銅めっき処理を行った。電解銅めっき処理
終了後に、評価基板のビアのフィリング性およびめっき
外観を評価した。
【0053】図4に、めっき後のビアの断面の模式図を
示す。劣化処理において、電解量が50Ahr/L以上
になると、空電解処理を併用しなかった場合には、ビア
のフィリング性の低下が認められた。一方、劣化処理に
おいて、電解銅めっき処理と共に空電解処理を併用した
場合には、電解量に拘わらず、フィリング性の低下は認
められなかった。このことから、複槽型電解銅めっき装
置において、電解銅めっき処理と同時に空電解処理を行
うことにより、電解銅めっき液の劣化を防止できること
が明らかとなった。
【0054】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明は、電解
銅めっき液を不溶性陽極を用いて空電解処理することに
より、ビアのフィリング性、析出する銅被膜の緻密さ、
およびめっき外観が悪化した電解銅めっき液のこれらの
性質を維持、回復させることが可能となる。また、本発
明は、電解銅めっき液が硫黄含有化合物を含む場合に、
不溶性陽極を用いて空電解処理することにより、前記硫
黄含有化合物の分解物である「−X−S」構造を有す
る化合物の濃度を低減させ、ビアのフィリング性、銅被
膜の緻密さ、およびめっき外観を維持、回復させること
が可能となる。また、本発明は、複槽型電解銅めっき装
置を用いて電解銅めっき処理と同時に空電解処理を行う
ことにより、電解銅めっき浴の回復のために、別途処理
を行う必要がなく、時間および手間がかからないという
点で有利である。また、本発明の電解銅めっき方法で
は、電解銅めっき処理に可溶性陽極が使用できるので、
電解銅めっき処理自体に不溶性陽極を使用する場合と比
べて、不溶性陽極の使用面積を低減できる。これによ
り、高価な不溶性陽極の使用量を低減でき、システム全
体としてコストを低減できることとなる。また、電解銅
めっき処理に可溶性陽極を使用できるので、銅塩の補給
量を低減でき、これに伴う、銅塩に含まれる不純物の混
入を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、直流電流での空電解処理による、ビ
アのフィリング性の回復を示す、電解銅めっき処理後の
ビアの断面の模式図である。
【図2】 図2は、PPR電流での、MPSによるビア
のフィリング性の低下を示す、電解銅めっき処理後のビ
アの断面の模式図である。
【図3】 図3は、PPR電流での空電解処理による、
ビアのフィリング性の回復を示す、電解銅めっき処理後
のビアの断面の模式図である。
【図4】 図4は、複槽型電解銅めっき装置を用いた場
合の、空電解処理による、ビアのフィリング性の維持を
示す、電解銅めっき処理後のビアの断面の模式図であ
る。
【符号の説明】
1:金属層 2:樹脂基体 3:析出した銅被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 17/10 101 C25D 17/10 101A H05K 3/18 H05K 3/18 G N (72)発明者 林 慎二朗 埼玉県さいたま市吉野町2丁目269番地4 日本リーロナール株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K023 AA01 AA04 AA19 BA06 BA11 BA12 CB07 CB11 DA06 DA07 EA01 4K024 AA09 AB01 BA01 BA12 BB11 BB12 CA01 CA02 CA04 CA06 CA08 GA02 5E343 BB24 CC78 DD43 DD46 DD48 FF17 FF18 GG06 GG11

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体を電解銅めっき処理し、該電解銅め
    っき処理に供された電解銅めっき液を、不溶性陽極を用
    いて空電解処理する電解銅めっき方法。
  2. 【請求項2】 電解銅めっき液を貯留し、可溶性陽極を
    備えた電解銅めっき槽において、該可溶性陽極を用いて
    基体を電解銅めっき処理し、 該処理後に、可溶性陽極を不溶性陽極に交換し、該不溶
    性陽極を用いて、前記電解銅めっき処理後の電解銅めっ
    き液を空電解処理する電解銅めっき方法。
  3. 【請求項3】 電解銅めっき液を貯留し、可溶性陽極お
    よび不溶性陽極を備えた電解銅めっき槽において、該可
    溶性陽極を用いて基体を電解銅めっき処理し、 該処理後の電解銅めっき液を、該不溶性陽極を用いて空
    電解処理する電解銅めっき方法。
  4. 【請求項4】 可溶性陽極を備えた本槽、不溶性陽極を
    備えた空電解槽、および該本槽と該空電解槽との間を前
    記電解銅めっき液が循環可能となるように接続する循環
    配管、を有する複槽型電解銅めっき装置において、 該本槽および該空電解槽に電解銅めっき液を貯留し、該
    循環配管を介して、該本槽と空電解槽との間で前記電解
    銅めっき液を循環させつつ、 該本槽において、該可溶性陽極を用いて、基体を電解銅
    めっき処理し、 該空電解槽において、該不溶性陽極を用いて空電解処理
    を行う電解銅めっき方法。
  5. 【請求項5】 可溶性陽極を備えた本槽、不溶性陽極を
    備えた空電解槽、および該本槽と該空電解槽との間を前
    記電解銅めっき液が循環可能となるように接続する循環
    配管、を有する複槽型電解銅めっき装置において、 該本槽に前記電解銅めっき液を貯留し、 該本槽において、該可溶性陽極を用いて、基体を電解銅
    めっき処理した後に、 該処理後の電解銅めっき液を該循環配管を介して該空電
    解槽に移送し、 該空電解槽において、該処理後の電解銅めっき液を該不
    溶性陽極を用いて空電解処理し、 該空電解処理後の電解銅めっき液を該循環配管を介して
    該本槽に返送する電解銅めっき方法。
  6. 【請求項6】 電解銅めっき液が−X−S−Y−構造
    (式中、XおよびYはそれぞれ独立して、水素原子、炭
    素原子、硫黄原子および窒素原子からなる群から選択さ
    れる原子であり、XおよびYは炭素原子の場合のみ同一
    となりうる。)を有する化合物を含む、請求項1〜5の
    いずれか1項記載の電解銅めっき方法。
  7. 【請求項7】 −X−S−Y−構造(式中、XおよびY
    はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子、硫黄原子お
    よび窒素原子からなる群から選択される原子であり、X
    およびYは炭素原子の場合のみ同一となりうる。)を有
    する化合物が (1) M−SO−(CH−S−(CH
    −SO−M; (2) M−SO−(CH−O−CH−S−
    CH−O−(CH −SO−M; (3) M−SO−(CH−S−S−(C
    −SO−M; (4) M−SO−(CH−O−CH−S−
    S−CH−O−(CH −SO−M; (5) M−SO−(CH−S−C(=S)−
    S−(CH−SO −M; (6) M−SO−(CH−O−CH−S−
    C(=S)−S−CH−O−(CH−SO
    M; (式(1)〜(6)中、a,b=3〜8の整数であり;
    Mは水素又はアルカリ金属元素である) (7)A−S−(CH−SO−M;および (8)A−S−CH−O−(CH−SO−M (式(7)および(8)中、a=3〜8の整数であり;
    Mは水素又はアルカリ金属元素であり;Aは水素原子、
    炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、1〜6個の
    窒素原子と1〜20個の炭素原子と複数の水素原子とに
    より構成される鎖状または環状アミン化合物、または1
    〜2個の硫黄原子と1〜6個の窒素原子と1〜20個の
    炭素原子と複数の水素原子とにより構成される複素環化
    合物のいずれかである)からなる群から選択される化合
    物である請求項6記載の電解銅めっき方法。
  8. 【請求項8】 −X−S−Y−構造を有する化合物が電
    解銅めっき液中に0.1〜100mg/Lの量で存在す
    る請求項6または7記載の電解銅めっき方法。
  9. 【請求項9】 電解銅めっき液中において、−X−S
    構造を有する化合物のが1.0μmol/L以下の濃度
    で存在する請求項6〜8のいずれか1項記載の電解銅め
    っき方法。
  10. 【請求項10】 可溶性陽極と不溶性陽極の陽極表面積
    の比率が、可溶性陽極:不溶性陽極=1:100〜10
    0:1である請求項4〜9のいずれか1項記載の電解銅
    めっき方法。
  11. 【請求項11】 不溶性陽極が酸化イリジウム、白金張
    りチタン、二酸化鉛被覆チタン、鉛合金、フェライトお
    よびステンレススチールからなる群から選択される請求
    項1〜10の何れか1項記載の電解銅めっき方法。
  12. 【請求項12】 空電解処理の際に陰極が電解隔膜また
    はセラミックス隔膜で覆われる請求項1〜11のいずれ
    か1項記載の電解銅めっき方法。
  13. 【請求項13】 基体がプリント配線板またはウエハー
    である請求項1〜12のいずれか1項記載の電解銅めっ
    き方法。
  14. 【請求項14】 基体がスルーホールまたはビアホール
    を有するものである請求項1〜13のいずれか1項記載
    の電解銅めっき方法。
  15. 【請求項15】 電解銅めっき処理が直流電流、PPR
    電流または交流併用電流を使用して行われる請求項1〜
    14のいずれか1項記載の電解銅めっき方法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15の何れか1項に記載の
    電解銅めっき方法によって得られる複合材料。
  17. 【請求項17】 可溶性陽極および不溶性陽極を備えた
    電解銅めっき槽。
  18. 【請求項18】 可溶性陽極を備えた本槽、不溶性陽極
    を備えた空電解槽、および該本槽と該空電解槽との間を
    前記電解銅めっき液が循環可能となるように接続する循
    環配管、を有する複槽型電解銅めっき装置。
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JP2003041400A (ja) * 2001-08-01 2003-02-13 Toppan Printing Co Ltd プリント配線基板の製造装置および製造方法
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JP2012219372A (ja) * 2011-04-14 2012-11-12 Sumitomo Electric Ind Ltd アルミニウム多孔体の製造方法
CN113825861A (zh) * 2019-05-17 2021-12-21 株式会社荏原制作所 镀覆方法、镀覆用的不溶性阳极和镀覆装置

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