JP2003055243A - 天然抗酸化剤及び抗酸化剤 - Google Patents

天然抗酸化剤及び抗酸化剤

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JP2003055243A
JP2003055243A JP2001237304A JP2001237304A JP2003055243A JP 2003055243 A JP2003055243 A JP 2003055243A JP 2001237304 A JP2001237304 A JP 2001237304A JP 2001237304 A JP2001237304 A JP 2001237304A JP 2003055243 A JP2003055243 A JP 2003055243A
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juice
natural
antioxidants
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Shinichi Tashiro
眞一 田代
Etsuko Osakabe
恵都子 刑部
Yasuhiro Sugita
康宏 杉田
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SUO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生体内において強力な抗酸化性を発揮して、し
かも、食品、化学品、化粧品及び医薬品等の酸化防止に
も有効な天然抗酸化剤を提供する。 【解決手段】天然抗酸化剤は、沙棘果汁の液相若しくは
液相及び固相に含有される多種成分を含んで、それによ
って、生体のみならず、食品、化学品、化粧品及び医薬
等の酸化防止が可能にされている。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明が属する技術分野】本発明は、生体内において強
力な抗酸化性を発揮して、しかも、食品、化学品、化粧
品及び医薬品等の酸化を防止する天然抗酸化剤に関す
る。別の本発明は、抗酸化性の範囲及び機能が向上して
いる抗酸化剤に関する。
【従来の技術】従来の天然抗酸化剤(天然物起源の抗酸
化剤)は、天然物(多くは、植物)の抽出物若しくはそ
の抽出物から単離の化合物で、化合物としては、例え
ば、トコフェノ−ル、フェノ−ルカルボン酸、フェノ−
ルカルボン酸エステル、フラボノイド、ジテルペン、ビ
フェニル、ジンゲロン、ショウガオ−ル、バニイルアミ
ド、リグナン、サポニン、アルカロイド、テルペノイ
ド、ビタミン、色素及びメラノイジン等がある。和漢薬
も、その多くが、それらの化合物を含むことによって抗
酸化性を有している。柿の葉、桑の実・葉、褐藻、ギシ
ギシ草及び紅木紫檀等の抽出物も、食品及び化粧品等の
酸化防止に用いる天然抗酸化剤として提案されている
(特開2000−204370、特開平09−1048
64、特開平08−143466、特開平08−003
551、特開平07−247479、特開平07−22
8868、特開平06−108050等を参照)。な
お、「抗酸化剤」は、酸化防止剤と同義語であって(J
IS工業用語辞典(第2版)、(財)日本規格協会発
行、1987年、P454、二木鋭雄、島崎弘幸、美濃
真編「抗酸化物質−フリ−ラジカルと生体防御−」、
(株)学会出版センタ−発行、1996年、P117を
参照)、食品、飲料及びゴム等の化学製品の酸化の抑制
・防止に有用なものとして定義されている。抗酸化剤の
定義には、自動酸化されやすい物質に対し酸素の作用を
抑制又は防止する性質をもつ物質(「JIS工業用語辞
典」(第2版)、(財)日本規格協会発行、1987
年)、空気中の酸素によって酸化されることによる劣化
を防ぐのに添加される薬品(「広川薬科学大事典」、
(株)広川書店発行、平成年を参照)、脂質の酸化防止
を目的として使用される抗酸化性物質(二木鋭雄、島崎
弘幸、美濃 真編「抗酸化物質−フリ−ラジカルと生体
防御−」、(株)学会出版センタ−発行、1996年を
参照)等がある。天然抗酸化剤の抗酸化性は、食品での
抗酸化では、ラジカル捕捉、ヒドロペルオキシド分解、
金属キレ−トによる封鎖等の機能によると考えられてい
て、特に、ラジカル捕捉機能が重要視されている。天然
抗酸化剤のラジカル捕捉機能は、食品脂質の自動酸化連
鎖反応では、パ−ルオキシラジカルからヒドロパ−オキ
シドの生成に際して脂質分子の水素引き抜きによること
なく天然抗酸化剤の水素供給により行う機構、天然抗酸
化剤の電子供与による電荷移動複合体を形成させる機
構、及び天然抗酸化剤の二重結合への脂質ラジカルの付
加による安定化を行う機構等であるとされている。天然
抗酸化剤のラジカル捕捉性能の評価は、リノ−ル酸若し
くはそのエステルを酸化反応させて過酸化物価(PO
V:meq/kg)の経時的増加をロダン鉄法(チオシ
アネ−ト法)により測定して天然抗酸化剤とα−トコフ
エノ−ルとBHT(butyl hydoxytole
ne)等を添加した場合の効果の比較によって行われて
いる(特開平08−143466、特開平08−143
466、特開平06−220450、特開平08−14
3466を参照)。一方、生体に内在する抗酸化物質
(例えば、抗酸化酵素、タンパク質、抗酸化ビタミン
等)と生体内に摂取・投与される天然抗酸化剤との相互
作用は、多くの点で未知であって、天然抗酸化剤を摂取
後の生体の生理効果及び安全性等も予測困難であるのが
実情である。
【発明が解決しようとする課題】従来の天然抗酸化剤及
び和漢薬が有する抗酸化性については、基本的な点につ
いて下記(1)〜(4)等の問題点が存在する。 (1)従来の天然抗酸化剤によるラジカル捕捉性能の評
価は、前述したように、生体での酸化的反応システムと
は比較にならない程度の簡単な酸化反応(リノ−ル酸エ
ステルの酸化反応等)により評価されている。そのため
に、生体での酸化的反応(例えば、タンパク質、糖質、
脂質、酵素、DNA及びその他が活性酸素及びフリ−ラ
ジカルから攻撃を受ける反応)に対する天然抗酸化剤の
効果の評価は、生体の特性に応じた評価方法が必要とな
るが、それについては、何らの開示及び提案も行われて
いない。 (2)従来の和漢薬における抗酸化の研究は、個々の化
合物(例えば、フラボノイド、ビタミン、色素等)の基
本骨格及び置換基の構造と抗酸化との関係の追求を主体
とする傾向があった。 (3)従来提案の天然抗酸化剤は、殆どの場合に、天然
物(多くは、植物)からの抽出物(すなわち、抽出溶媒
に溶解する化合物)であって、しかも、食品等において
生ずる空気中の酸素による酸化を防止することを目的と
するものであった。 (4)従来にあっては、生体内の複雑な酸化機構に対す
る天然物の作用を臨床的に追跡した事例が実質的に存在
せず、生体内での抗酸化システムにおける天然物の挙動
が未知であった。そこで、生体内の複雑な抗酸化システ
ムに与える天然物の働きが、本発明者により臨床実験主
体に詳細に検討されて、天然物のうちの沙棘(特に沙棘
果実)の成分(特に、多種成分の集団)が生体内の抗酸
化システムに有効な働きをすると新たな事実が見いださ
れて本発明が創案された。第一の本発明は、生体内のラ
ジカルの消去・抗酸化を可能にする天然抗酸化剤を提供
すること、を目的とする。第一の本発明は、生体に摂取
・投与が可能に調製可能である天然抗酸化剤を提供する
こと、をも目的とする。第一の本発明は、生体に摂取可
能な物(例えば、食品、健康食品、医薬部外品等)を通
じて容易に摂取可能になる天然抗酸化剤を提供するこ
と、をも目的とする。第一の本発明は、ラジカル消去活
性の調整及び保持が可能となる天然抗酸化剤を提供する
こと、をも目的とする。第二の本発明は、第一の本発明
の天然抗酸化剤を含むことによって向上した抗酸化機能
を有するに至っている抗酸化剤を提供すること、を目的
とする。
【課題を解決するための手段】第一の本発明(請求項1
に記載の本発明)による天然抗酸化剤は、沙棘果汁の液
相若しくは液相及び固相に含有される多種成分を含み、
生体内の抗酸化にも用いられること、を特徴とする。第
二の本発明(請求項2に記載の本発明)による抗酸化剤
は、沙棘果汁の液相若しくは液相及び固相に含有される
多種成分を含み、生体内の抗酸化にも用いられる天然抗
酸化剤と、他の天然抗酸化剤若しくは合成抗酸化剤と混
在されてなること、を特徴とする。
【発明の具体的説明】第一の本発明の天然抗酸化剤は、
前述の発明の構成からなるもので、本発明における臨床
実験では、沙棘果実の多種成分が、生体において酸素フ
リ−ラジカルの捕捉性・抗酸化性を有することが見いだ
されている。第二の本発明は、第一の本発明による天然
抗酸化剤を含むことによって天然及び合成の抗酸化剤に
新たな抗酸化機構を付加したものである。本発明を以下
に具体的に説明する。 〔第一の本発明の概要〕:第一の本発明の天然抗酸化剤
は、沙棘果汁の液相若しくは液相及び固相に含有される
多種成分(多種化合物)を含むものであって、沙棘果実
に含有される多種化合物の集団(以下において、多成分
系ということがある)を用いて生体内の抗酸化及びそれ
以外の抗酸化(例えば、食品の抗酸化等)に用いられ
る。沙棘果汁の多成分系は、抗酸化に有効な種類が多く
含まれている場合には、沙棘果汁の全ての成分が含まれ
ている必要がなく、生体内の抗酸化に有効な量で多種類
の成分が含まれていればよい。なお、本発明にあって
は、従来の天然抗酸化剤と区別するために、「生体内の
抗酸化にも用いられる」ことを発明の構成要件としてい
る。沙棘果汁は、沙棘果実由来の油脂成分が沙棘果実由
来の水分に懸濁した懸濁液若しくはそれに近いもので、
pHが1.6〜6.0、一般的には、pHが3.0〜
4.0の強酸性を有して、沙棘果実の成育地域及び熟成
度によってその酸性が変化する。そして、沙棘果実の多
種化合物(例えば、100種以上で、場合によっては2
00種に近い化合物)の多くは、油脂成分と水分に溶解
・分散した状態で存在する。沙棘果汁は、固形分の含有
が一般的ではあるが、果実搾汁の条件によっては、固形
分が無含有若しくはそれに近いものも存在する。本発明
にあっては、いずれの沙棘果汁を天然抗酸化剤として用
いてもよい。固形分含有の沙棘果汁は、例えば、1〜2
9重量%(搾汁の重量基準)の固形分を含量して、固形
分に含有される多成分系も本発明の対象とすることが可
能となる。なお、沙棘(サジ−若しくはサ−ジと称され
る)は、欧州及びアジア(主として、中国大陸)に分布
するグミ科の植物であって、民間薬の原料になり得るこ
とは公知である。ただし、沙棘の生化学的及び化学的な
性質については、未知の領域が多く、沙棘の多成分系が
生体に摂取された場合の効果は未知であって、その一部
が本発明において見いだされている。沙棘果汁の多成分
系としては、例えば、タンパク質、多糖類、四糖類、三
糖類、ブドウ糖、ソルビト−ル、果糖、ビタミンA、B
1 、B2 、B6 、B9 、C、E、K、P等の各種ビタミ
ン類、リン脂質、飽和脂肪族モノカルボン酸、飽和脂肪
族ジカルボン酸及び不飽和脂肪族カルボン酸、8種類の
人体必須アミノ酸、ホスフアチジン化合物、フエノ−ル
化合物、フラボン(例えば、12種類のフラボン)、フ
ラボノ−ル(例えば、6種類若しくはそれ以上)、カロ
テン、シトステロ−ル、クマリン、テルペン化合物、環
状アルコ−ル、カロチノイド、リコペン、キサンチン、
カロチン、クリプトコサンキン、イソクリプトコサンキ
ン、キサンチン、ステロイド、ステロ−ル、カロチン、
リン脂質、コリン、グリシン、イノシト−ル、コリン、
ペタイン、カテキン及び各種の無機微量元素等が挙げら
れる。本発明の天然抗酸化剤は、例えば、沙棘果実を搾
って得られる果汁原液である沙棘果汁及びその濃縮液は
もとより、沙棘果汁の希釈液・ろ液・ろ液の濃縮液・ろ
液の希釈液(以下において、沙棘果汁からろ液の希釈液
までを総称して沙棘果汁諸液ということがある)であっ
ても、沙棘果汁の多成分系を抗酸化に有効な量で含有す
るすることができる。沙棘果汁の希釈液は、生体のラジ
カル消去効率との関係から希釈倍率を決めることが可能
であって(図1を参照)、希釈に用いる液は、多成分系
の抗酸化性を損なわない限りにおいては、任意の液体
(例えば、水、果汁、牛乳及び牛乳飲料等の飲料)が使
用される。本発明の天然抗酸化剤は、沙棘果汁諸液の凍
結乾燥物若しくは凍結乾燥後の還元液(すなわち、凍結
乾燥前状態に戻された液)からなる場合であっても、本
発明の効果の享受が可能である(後記実験例1、3、4
を参照)。凍結乾燥及び還元の条件及び方法は任意であ
る。なお、沙棘果実そのもの若しくは沙棘果実の乾燥物
であっても、沙棘果汁由来の多成分系が含まれていると
ころから、それらをも使用に適する形態(例えば、粉末
等)にされて本発明の天然抗酸化剤にすることが可能で
ある。ただし、本発明の効果を最大に享受するのは、天
然抗酸化剤が沙棘果汁諸液からなる場合である。なお、
本発明の天然抗酸化剤は、液体状しくは固体状であるの
が代表的ではあるが、半固体状、ゾル状、ゲル状若しく
は泡状等であってもよく、固体状である場合等では、用
途に適する形態(例えば、経口摂取に便宜な粉末状)に
するのが便宜である。本発明の天然抗酸化剤は、生体に
対しては、投与・経口摂取及び食物・飲料等を介する経
口摂取等によって供給される。天然抗酸化剤を加える食
料・飲料等は、沙棘果汁の多成分系の性質に変化を庄じ
させない限り、その種類及び形態等は任意であって、例
えば、穀物加工品、乳製品、調味料、畜肉類、魚介類、
油脂類及び菓子類等がある。なお、それらは形態におい
て任意である。飲料としては、例えば、茶飲料、果汁飲
料、果肉飲料、清涼飲料、乳酸飲料、乳清飲料、炭酸飲
料、薬味酒及び蒸留酒及び果実酒等が挙げられる。本発
明の天然抗酸化剤の生体への供給量は、生体の抗酸化に
有効な量であって、例えば、実験例4の結果と図1を参
照して供給量を決めることも可能である。また、本発明
の天然抗酸化剤は、生体の抗酸化及び食品等の抗酸化に
使用すること、及び食品等の抗酸化のみに使用すること
も可能である。本発明の天然抗酸化剤は、沙棘果汁の多
成分系が有する活性酸素のフリ−ラジカル消去機能及び
抗酸化機能を害さない限りにおいて、他の添加物の添加
が許容される。 〔第二の本発明の概要〕:第二の本発明は、沙棘果汁の
多成分系と他の天然及び合成の抗酸化剤とから新たな抗
酸化剤であって、沙棘果汁の多成分系由来の生体内の酸
素フリ−ラジカル捕捉・抗酸化の機能を備えるものにさ
れている。別の天然抗酸化剤は、例えば、ビタミンC、
ビタミンE、β−カロチン、リグナン、サポニン、アル
カロイド、テルペイノド、タンニン、ポリフェノ−ル
類、フラボノイド、フェノ−ルカルボン酸類、テルペン
類、ジンゲロン、ショウガオ−ル、バニイルアミド、リ
グナン、サポニン、アルカロイド及び天然物の各種抗酸
化性の抽出物等を含むものであってもよい。合成抗酸化
剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸カルシウ
ム二ナトリゥム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウ
ム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、クエ
ン酸イソプロピル、ジブチルヒドロキシトルエン(BH
T)、ジブチルヒドロキシアニソ−ル(BHA)、ノル
ジヒドログアヤレチック酸及び没食子酸プロピル等が挙
げられる。沙棘果汁の多成分系と合成抗酸化剤とからな
る抗酸化剤は、合成抗酸化剤の含有量を低下させて、し
かも、沙棘果汁の多成分系由来の強力な抗酸化機能が付
加される。なお、本発明においては、本発明と合目的で
あって、本発明の効果を特に害さない限りにおいては、
本発明の改変あるいは部分的な変更及び付加は任意であ
って、いずれも本発明の範囲である。次に、本発明の実
験例を説明するが、実験例は例示であって本発明を拘束
するものではない。
【実験例】〈実験例1〉実験用の沙棘果汁の調製 沙棘果汁は、動物実験用とヒト実験用の2種類を実験に
使用された。動物実験用の沙棘果汁は、沙棘果実の搾汁
(懸濁液)を凍結乾燥した粉末状物を実験動物の投与に
際してよく磨砕して元の濃度(状態)に還元した懸濁液
にし、さらに、懸濁液をポリトロンホモゲナイザ−によ
り冷却下で1分間処理して胃ゾンデに詰まらないように
した懸濁液を実験に供した。ヒト実験用の沙棘果汁は、
沙棘果実の搾汁の凍結乾燥から元の濃度に還元した懸濁
液をそのまま実験に供した。 〈実験例2〉ラジカル消去活性の測定法 実験例3及び4の実験では、0.02ミリリットルの検
体を0.98ミリリットルのジフェニルビクリルヒドラ
ジル(DDPH)−メタノ−ル溶液に加えて30秒間混
和後に、1分毎の512nmでの吸収の変化を測定して
ラジカル消去活性を求めた。DDPHは、分子内にラジ
カルを有する化合物で、ラジカル消去に伴って515n
mの吸収が変化することから、簡便に検体のラジカル消
去活性を追うことが可能であって、しかも、複雑な組成
を有する生体試料についても測定可能であるところか
ら、生体内での抗酸化物質の働きを簡便に知ることがで
きるので、本発明の実験例で採用した。 〈実験例3〉ラジカル消去活性の動物実験 6週齢のウィスタ−系マウスを雄性ラット(三協ラボサ
−ビス(株)より購入)の10匹を一週間予備飼育後に
実験に供した。10匹のラットは、5匹ずつの2群に分
け、沙棘投与群と対象群とした。沙棘投与群のラットに
は、一夜絶食の後で胃ゾンデにて動物実験用の沙棘果汁
を経口投与した。投与量は、体重50kgの人間がコッ
プ1杯量(200ミリリットル)の服用量(すなわち、
4ミリリットル/体重kgの服用量)になるようにラッ
トの体重に換算して決められてた。沙棘投与群のラット
の平均投与量は、1.1ミリリットルであった。対象群
のラットには、同様に胃ゾンデにて同量の水を投与し
た。沙棘投与群のラットは、沙棘果汁の経口投与後、3
0分毎に4時間まで、エ−テル麻酔下に眼球横より0.
2ミリリットルずつ採血し、10分間放置後の血清20
μlを用いて実験例2の測定法によりラジカル消去活性
を測定した。表1は、その測定結果を表示したもので、
投与後30分と3時間の時点で血清のラジカル消去活性
が認められている。対象群のラットの血清には、変化が
認められなかった。表1に示す結果からは、沙棘果汁の
飲用によって強い抗ラジカル活性を生体内に反映し得る
こと、すなわち、沙棘果汁が、生体に有効な抗ラジカル
活性型の天然抗酸化剤になり得ることを示している。
【表1】 〈実験例4〉ヒトを対象とするラジカル消去活性実験 本実験例の実験の趣旨及び沙棘に関する情報を伝えて承
諾を得た被験者3名に対して、12時間の絶食後に実験
例1のヒト実験用の沙棘果汁の200ミリリットルを経
口投与した。投与後に、30分、1、2、3、4、6、
8時間経過の時点で、被験者の肘静脈から1ミリリット
ルずつ採血した。採取した血清は、20分放置後にその
20μlを用いて実験例2の測定法によりラジカル消去
活性を測定した。表2は、その測定結果を表示したもの
で、投与後30分、1時間、2時間、6時間及び8時間
を経過した時点で、個人差があつたものの、血清のラジ
カル消去活性が認められた。表2に示す結果からは、沙
棘果汁が、飲用によって強い抗ラジカル活性を生体内に
反映することを示している。
【表2】 〈実験例5〉沙棘果汁の濃度変化と抗酸化活性との関係
に関する実験 実験例1のヒト実験用の沙棘果汁を精製水により希釈し
たものをDDPHに加えて、512nmでの吸収の変化
を測定してラジカル消去活性を求める実験を行った。実
験例1のヒト実験用の沙棘果汁(果汁原液)では92.
4%、3倍希釈液では86.3%、10倍希釈液でも4
2.8%の強いラジカル消去活性が認めれた。図1は、
沙棘果汁希釈液の希釈倍率とラジカル消去活性(%)と
の関係を片対数(横軸が対数)の線図に表示したもので
ある。図1の結果からは、希釈倍率が大きくなって、沙
棘果汁の多成分系の量が大きくなってもラジカル消去活
性の残存が認められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラジカル消去活性と沙棘果汁の希釈倍率との関
係を示す線図である。
【発明の効果】第一の本発明の天然抗酸化剤によれば、
下記(a)〜(i)に代表される種々の効果が得られ
る。 (a)生体内の活性酸素のフリ−ラジカルを強力に消去
して抗酸化機能を増大させることができる。 (b)少量であっても生体内の抗酸化機能に増大させる
ことができる。 (c)沙棘果汁の還元液等の使用が可能であるのでラジ
カル消去活性の調整及び保持が容易である。 (d)体力的弱者(例えば、乳幼児、老人、病弱者)等
に対しても用いることができる。 (e)空気中の酸素による食品・飲料等の酸化防止のた
めに使用することが可能である。 (f)食品・飲料等に加えて、生体内の抗酸化機能及び
食品・飲料等の抗酸化機能とを増大させることができ
る。 (g)経口摂取によって生体への供給を容易に行うこと
ができる。 (h)沙棘果汁の濃度・量の調節等によって抗酸化機能
の調整が容易である。 (i)生体及び食品・飲料等の両方に対して負(マイナ
ス)の要因が全く存在しない。 第二の本発明の抗酸化剤によれば、下記(イ)〜(ハ)
に代表される種々の効果が得られる。 (イ)沙棘果汁の多成分系が有する抗酸化機能と他の抗
酸化剤の抗酸化機能とを備える抗酸化剤にされる。 (ロ)沙棘果汁の多成分系と別の天然抗酸化剤とからな
る抗酸化剤にされている場合には、生体に対して有効性
の高い抗酸化機構を与えることができる。 (ハ)沙棘果汁の多成分系と合成抗酸化剤とからなる抗
酸化剤にされている場合には、合成抗酸化剤の含有量を
低下させて、しかも、沙棘果汁の多成分系由来の強力な
抗酸化機能が付加される。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年9月10日(2001.9.1
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 天然抗酸化剤及び抗酸化剤
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、生体内において強
力な抗酸化性を発揮して、しかも、食品、化学品、化粧
品及び医薬品等の酸化を防止する天然抗酸化剤に関す
る。別の本発明は、抗酸化性の範囲及び機能が向上して
いる抗酸化剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の天然抗酸化剤(天然物起源の抗酸
化剤)は、天然物(多くは、植物)の抽出物若しくはそ
の抽出物から単離の化合物で、化合物としては、例え
ば、トコフェノ−ル、フェノ−ルカルボン酸、フェノ−
ルカルボン酸エステル、フラボノイド、ジテルペン、ビ
フェニル、ジンゲロン、ショウガオ−ル、バニイルアミ
ド、リグナン、サポニン、アルカロイド、テルペノイ
ド、ビタミン、色素及びメラノイジン等がある。和漢薬
も、その多くが、それらの化合物を含むことによって抗
酸化性を有している。
【0003】柿の葉、桑の実・葉、褐藻、ギシギシ草及
び紅木紫檀等の抽出物も、食品及び化粧品等の酸化防止
に用いる天然抗酸化剤として提案されている(特開20
00−204370、特開平09−104864、特開
平08−143466、特開平08−003551、特
開平07−247479、特開平07−228868、
特開平06−108050等を参照)。なお、「抗酸化
剤」は、酸化防止剤と同義語であって(JIS工業用語
辞典(第2版)、(財)日本規格協会発行、1987
年、P454、二木鋭雄、島崎弘幸、美濃 真編「抗酸
化物質−フリ−ラジカルと生体防御−」、(株)学会出
版センタ−発行、1996年、P117を参照)、食
品、飲料及びゴム等の化学製品の酸化の抑制・防止に有
用なものとして定義されている。
【0004】抗酸化剤の定義には、自動酸化されやすい
物質に対し酸素の作用を抑制又は防止する性質をもつ物
質(「JIS工業用語辞典」(第2版)、(財)日本規
格協会発行、1987年)、空気中の酸素によって酸化
されることによる劣化を防ぐのに添加される薬品(「広
川薬科学大事典」、(株)広川書店発行、平成年を参
照)、脂質の酸化防止を目的として使用される抗酸化性
物質(二木鋭雄、島崎弘幸、美濃 真編「抗酸化物質−
フリ−ラジカルと生体防御−」、(株)学会出版センタ
−発行、1996年を参照)等がある。天然抗酸化剤の
抗酸化性は、食品での抗酸化では、ラジカル捕捉、ヒド
ロペルオキシド分解、金属キレ−トによる封鎖等の機能
によると考えられていて、特に、ラジカル捕捉機能が重
要視されている。
【0005】天然抗酸化剤のラジカル捕捉機能は、食品
脂質の自動酸化連鎖反応では、パ−ルオキシラジカルか
らヒドロパ−オキシドの生成に際して脂質分子の水素引
き抜きによることなく天然抗酸化剤の水素供給により行
う機構、天然抗酸化剤の電子供与による電荷移動複合体
を形成させる機構、及び天然抗酸化剤の二重結合への脂
質ラジカルの付加による安定化を行う機構等であるとさ
れている。
【0006】天然抗酸化剤のラジカル捕捉性能の評価
は、リノ−ル酸若しくはそのエステルを酸化反応させて
過酸化物価(POV:meq/kg)の経時的増加をロ
ダン鉄法(チオシアネ−ト法)により測定して天然抗酸
化剤とα−トコフエノ−ルとBHT(butyl hy
doxytolene)等を添加した場合の効果の比較
によって行われている(特開平08−143466、特
開平08−143466、特開平06−220450、
特開平08−143466を参照)。
【0007】一方、生体に内在する抗酸化物質(例え
ば、抗酸化酵素、タンパク質、抗酸化ビタミン等)と生
体内に摂取・投与される天然抗酸化剤との相互作用は、
多くの点で未知であって、天然抗酸化剤を摂取後の生体
の生理効果及び安全性等も予測困難であるのが実情であ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の天然抗酸化剤及
び和漢薬が有する抗酸化性については、基本的な点につ
いて下記(1)〜(4)等の問題点が存在する。 (1)従来の天然抗酸化剤によるラジカル捕捉性能の評
価は、前述したように、生体での酸化的反応システムと
は比較にならない程度の簡単な酸化反応(リノ−ル酸エ
ステルの酸化反応等)により評価されている。そのため
に、生体での酸化的反応(例えば、タンパク質、糖質、
脂質、酵素、DNA及びその他が活性酸素及びフリ−ラ
ジカルから攻撃を受ける反応)に対する天然抗酸化剤の
効果の評価は、生体の特性に応じた評価方法が必要とな
るが、それについては、何らの開示及び提案も行われて
いない。 (2)従来の和漢薬における抗酸化の研究は、個々の化
合物(例えば、フラボノイド、ビタミン、色素等)の基
本骨格及び置換基の構造と抗酸化との関係の追求を主体
とする傾向があった。 (3)従来提案の天然抗酸化剤は、殆どの場合に、天然
物(多くは、植物)からの抽出物(すなわち、抽出溶媒
に溶解する化合物)であって、しかも、食品等において
生ずる空気中の酸素による酸化を防止することを目的と
するものであった。 (4)従来にあっては、生体内の複雑な酸化機構に対す
る天然物の作用を臨床的に追跡した事例が実質的に存在
せず、生体内での抗酸化システムにおける天然物の挙動
が未知であった。
【0009】そこで、生体内の複雑な抗酸化システムに
与える天然物の働きが、本発明者により臨床実験主体に
詳細に検討されて、天然物のうちの沙棘(特に沙棘果
実)の成分(特に、多種成分の集団)が生体内の抗酸化
システムに有効な働きをすると新たな事実が見いだされ
て本発明が創案された。
【0010】第一の本発明は、生体内のラジカルの消去
・抗酸化を可能にする天然抗酸化剤を提供すること、を
目的とする。第一の本発明は、生体に摂取・投与が可能
に調製可能である天然抗酸化剤を提供すること、をも目
的とする。第一の本発明は、生体に摂取可能な物(例え
ば、食品、健康食品、医薬部外品等)を通じて容易に摂
取可能になる天然抗酸化剤を提供すること、をも目的と
する。第一の本発明は、ラジカル消去活性の調整及び保
持が可能となる天然抗酸化剤を提供すること、をも目的
とする。
【0011】第二の本発明は、第一の本発明の天然抗酸
化剤を含むことによって向上した抗酸化機能を有するに
至っている抗酸化剤を提供すること、を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】第一の本発明(請求項1
に記載の本発明)による天然抗酸化剤は、沙棘果汁の液
相若しくは液相及び固相に含有される多種成分を含み、
生体内の抗酸化にも用いられること、を特徴とする。
【0013】第二の本発明(請求項2に記載の本発明)
による抗酸化剤は、沙棘果汁の液相若しくは液相及び固
相に含有される多種成分を含み、生体内の抗酸化にも用
いられる天然抗酸化剤と、他の天然抗酸化剤若しくは合
成抗酸化剤と混在されてなること、を特徴とする。
【0014】
【発明の具体的説明】第一の本発明の天然抗酸化剤は、
前述の発明の構成からなるもので、本発明における臨床
実験では、沙棘果実の多種成分が、生体において酸素フ
リ−ラジカルの捕捉性・抗酸化性を有することが見いだ
されている。第二の本発明は、第一の本発明による天然
抗酸化剤を含むことによって天然及び合成の抗酸化剤に
新たな抗酸化機構を付加したものである。本発明を以下
に具体的に説明する。
【0015】〔第一の本発明の概要〕:第一の本発明の
天然抗酸化剤は、沙棘果汁の液相若しくは液相及び固相
に含有される多種成分(多種化合物)を含むものであっ
て、沙棘果実に含有される多種化合物の集団(以下にお
いて、多成分系ということがある)を用いて生体内の抗
酸化及びそれ以外の抗酸化(例えば、食品の抗酸化等)
に用いられる。沙棘果汁の多成分系は、抗酸化に有効な
種類が多く含まれている場合には、沙棘果汁の全ての成
分が含まれている必要がなく、生体内の抗酸化に有効な
量で多種類の成分が含まれていればよい。なお、本発明
にあっては、従来の天然抗酸化剤と区別するために、
「生体内の抗酸化にも用いられる」ことを発明の構成要
件としている。
【0016】沙棘果汁は、沙棘果実由来の油脂成分が沙
棘果実由来の水分に懸濁した懸濁液若しくはそれに近い
もので、pHが1.6〜6.0、一般的には、pHが
3.0〜4.0の強酸性を有して、沙棘果実の成育地域
及び熟成度によってその酸性が変化する。そして、沙棘
果実の多種化合物(例えば、100種以上で、場合によ
っては200種に近い化合物)の多くは、油脂成分と水
分に溶解・分散した状態で存在する。
【0017】沙棘果汁は、固形分の含有が一般的ではあ
るが、果実搾汁の条件によっては、固形分が無含有若し
くはそれに近いものも存在する。本発明にあっては、い
ずれの沙棘果汁を天然抗酸化剤として用いてもよい。固
形分含有の沙棘果汁は、例えば、1〜29重量%(搾汁
の重量基準)の固形分を含量して、固形分に含有される
多成分系も本発明の対象とすることが可能となる。
【0018】なお、沙棘(サジ−若しくはサ−ジと称さ
れる)は、欧州及びアジア(主として、中国大陸)に分
布するグミ科の植物であって、民間薬の原料になり得る
ことは公知である。ただし、沙棘の生化学的及び化学的
な性質については、未知の領域が多く、沙棘の多成分系
が生体に摂取された場合の効果は未知であって、その一
部が本発明において見いだされている。
【0019】沙棘果汁の多成分系としては、例えば、タ
ンパク質、多糖類、四糖類、三糖類、ブドウ糖、ソルビ
ト−ル、果糖、ビタミンA、B1 、B2 、B6 、B9
C、E、K、P等の各種ビタミン類、リン脂質、飽和脂
肪族モノカルボン酸、飽和脂肪族ジカルボン酸及び不飽
和脂肪族カルボン酸、8種類の人体必須アミノ酸、ホス
フアチジン化合物、フエノ−ル化合物、フラボン(例え
ば、12種類のフラボン)、フラボノ−ル(例えば、6
種類若しくはそれ以上)、カロテン、シトステロ−ル、
クマリン、テルペン化合物、環状アルコ−ル、カロチノ
イド、リコペン、キサンチン、カロチン、クリプトコサ
ンキン、イソクリプトコサンキン、キサンチン、ステロ
イド、ステロ−ル、カロチン、リン脂質、コリン、グリ
シン、イノシト−ル、コリン、ペタイン、カテキン及び
各種の無機微量元素等が挙げられる。
【0020】本発明の天然抗酸化剤は、例えば、沙棘果
実を搾って得られる果汁原液である沙棘果汁及びその濃
縮液はもとより、沙棘果汁の希釈液・ろ液・ろ液の濃縮
液・ろ液の希釈液(以下において、沙棘果汁からろ液の
希釈液までを総称して沙棘果汁諸液ということがある)
であっても、沙棘果汁の多成分系を抗酸化に有効な量で
含有するすることができる。沙棘果汁の希釈液は、生体
のラジカル消去効率との関係から希釈倍率を決めること
が可能であって(図1を参照)、希釈に用いる液は、多
成分系の抗酸化性を損なわない限りにおいては、任意の
液体(例えば、水、果汁、牛乳及び牛乳飲料等の飲料)
が使用される。
【0021】本発明の天然抗酸化剤は、沙棘果汁諸液の
凍結乾燥物若しくは凍結乾燥後の還元液(すなわち、凍
結乾燥前状態に戻された液)からなる場合であっても、
本発明の効果の享受が可能である(後記実験例1、3、
4を参照)。凍結乾燥及び還元の条件及び方法は任意で
ある。なお、沙棘果実そのもの若しくは沙棘果実の乾燥
物であっても、沙棘果汁由来の多成分系が含まれている
ところから、それらをも使用に適する形態(例えば、粉
末等)にされて本発明の天然抗酸化剤にすることが可能
である。ただし、本発明の効果を最大に享受するのは、
天然抗酸化剤が沙棘果汁諸液からなる場合である。
【0022】なお、本発明の天然抗酸化剤は、液体状し
くは固体状であるのが代表的ではあるが、半固体状、ゾ
ル状、ゲル状若しくは泡状等であってもよく、固体状で
ある場合等では、用途に適する形態(例えば、経口摂取
に便宜な粉末状)にするのが便宜である。
【0023】本発明の天然抗酸化剤は、生体に対して
は、投与・経口摂取及び食物・飲料等を介する経口摂取
等によって供給される。天然抗酸化剤を加える食料・飲
料等は、沙棘果汁の多成分系の性質に変化を庄じさせな
い限り、その種類及び形態等は任意であって、例えば、
穀物加工品、乳製品、調味料、畜肉類、魚介類、油脂類
及び菓子類等がある。なお、それらは形態において任意
である。飲料としては、例えば、茶飲料、果汁飲料、果
肉飲料、清涼飲料、乳酸飲料、乳清飲料、炭酸飲料、薬
味酒及び蒸留酒及び果実酒等が挙げられる。
【0024】本発明の天然抗酸化剤の生体への供給量
は、生体の抗酸化に有効な量であって、例えば、実験例
4の結果と図1を参照して供給量を決めることも可能で
ある。また、本発明の天然抗酸化剤は、生体の抗酸化及
び食品等の抗酸化に使用すること、及び食品等の抗酸化
のみに使用することも可能である。
【0025】本発明の天然抗酸化剤は、沙棘果汁の多成
分系が有する活性酸素のフリ−ラジカル消去機能及び抗
酸化機能を害さない限りにおいて、他の添加物の添加が
許容される。
【0026】〔第二の本発明の概要〕:第二の本発明
は、沙棘果汁の多成分系と他の天然及び合成の抗酸化剤
とから新たな抗酸化剤であって、沙棘果汁の多成分系由
来の生体内の酸素フリ−ラジカル捕捉・抗酸化の機能を
備えるものにされている。
【0027】別の天然抗酸化剤は、例えば、ビタミン
C、ビタミンE、β−カロチン、リグナン、サポニン、
アルカロイド、テルペイノド、タンニン、ポリフェノ−
ル類、フラボノイド、フェノ−ルカルボン酸類、テルペ
ン類、ジンゲロン、ショウガオ−ル、バニイルアミド、
リグナン、サポニン、アルカロイド及び天然物の各種抗
酸化性の抽出物等を含むものであってもよい。合成抗酸
化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸カルシ
ウム二ナトリゥム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウ
ム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、クエ
ン酸イソプロピル、ジブチルヒドロキシトルエン(BH
T)、ジブチルヒドロキシアニソ−ル(BHA)、ノル
ジヒドログアヤレチック酸及び没食子酸プロピル等が挙
げられる。
【0028】沙棘果汁の多成分系と合成抗酸化剤とから
なる抗酸化剤は、合成抗酸化剤の含有量を低下させて、
しかも、沙棘果汁の多成分系由来の強力な抗酸化機能が
付加される。
【0029】なお、本発明においては、本発明と合目的
であって、本発明の効果を特に害さない限りにおいて
は、本発明の改変あるいは部分的な変更及び付加は任意
であって、いずれも本発明の範囲である。次に、本発明
の実験例を説明するが、実験例は例示であって本発明を
拘束するものではない。
【0030】
【実験例】〈実験例1〉実験用の沙棘果汁の調製 沙棘果汁は、動物実験用とヒト実験用の2種類を実験に
使用された。動物実験用の沙棘果汁は、沙棘果実の搾汁
(懸濁液)を凍結乾燥した粉末状物を実験動物の投与に
際してよく磨砕して元の濃度(状態)に還元した懸濁液
にし、さらに、懸濁液をポリトロンホモゲナイザ−によ
り冷却下で1分間処理して胃ゾンデに詰まらないように
した懸濁液を実験に供した。ヒト実験用の沙棘果汁は、
沙棘果実の搾汁の凍結乾燥から元の濃度に還元した懸濁
液をそのまま実験に供した。
【0031】〈実験例2〉ラジカル消去活性の測定法 実験例3及び4の実験では、0.02ミリリットルの検
体を0.98ミリリットルのジフェニルビクリルヒドラ
ジル(DDPH)−メタノ−ル溶液に加えて30秒間混
和後に、1分毎の512nmでの吸収の変化を測定して
ラジカル消去活性を求めた。DDPHは、分子内にラジ
カルを有する化合物で、ラジカル消去に伴って515n
mの吸収が変化することから、簡便に検体のラジカル消
去活性を追うことが可能であって、しかも、複雑な組成
を有する生体試料についても測定可能であるところか
ら、生体内での抗酸化物質の働きを簡便に知ることがで
きるので、本発明の実験例で採用した。
【0032】〈実験例3〉ラジカル消去活性の動物実験 6週齢のウィスタ−系マウスを雄性ラット(三協ラボサ
−ビス(株)より購入)の10匹を一週間予備飼育後に
実験に供した。10匹のラットは、5匹ずつの2群に分
け、沙棘投与群と対象群とした。沙棘投与群のラットに
は、一夜絶食の後で胃ゾンデにて動物実験用の沙棘果汁
を経口投与した。投与量は、体重50kgの人間がコッ
プ1杯量(200ミリリットル)の服用量(すなわち、
4ミリリットル/体重kgの服用量)になるようにラッ
トの体重に換算して決められてた。沙棘投与群のラット
の平均投与量は、1.1ミリリットルであった。対象群
のラットには、同様に胃ゾンデにて同量の水を投与し
た。沙棘投与群のラットは、沙棘果汁の経口投与後、3
0分毎に4時間まで、エ−テル麻酔下に眼球横より0.
2ミリリットルずつ採血し、10分間放置後の血清20
μlを用いて実験例2の測定法によりラジカル消去活性
を測定した。表1は、その測定結果を表示したもので、
投与後30分と3時間の時点で血清ラジカル消去活性が
認められている。対象群のラットの血清には、変化が認
められなかった。表1に示す結果からは、沙棘果汁の飲
用によって強い抗ラジカル活性を生体内に反映し得るこ
と、すなわち、沙棘果汁が、生体に有効な抗ラジカル活
性型の天然抗酸化剤になり得ることを示している。
【0033】
【表1】
【0034】〈実験例4〉ヒトを対象とするラジカル消
去活性実験 本実験例の実験の趣旨及び沙棘に関する情報を伝えて承
諾を得た被験者3名に対して、12時間の絶食後に実験
例1のヒト実験用の沙棘果汁の200ミリリットルを経
口投与した。投与後に、30分、1、2、3、4、6、
8時間経過の時点で、被験者の肘静脈から1ミリリット
ルずつ採血した。採取した血清は、20分放置後にその
20μlを用いて実験例2の測定法によりラジカル消去
活性を測定した。表2は、その測定結果を表示したもの
で、投与後30分、1時間、2時間、6時間及び8時間
を経過した時点で、個人差があつたものの、血清のラジ
カル消去活性が認められた。表2に示す結果からは、沙
棘果汁が、飲用によって強い抗ラジカル活性を生体内に
反映することを示している。
【0035】
【表2】
【0036】〈実験例5〉沙棘果汁の濃度変化と抗酸化
活性との関係に関する実験 実験例1のヒト実験用の沙棘果汁を精製水により希釈し
たものをDDPHに加えて、512nmでの吸収の変化
を測定してラジカル消去活性を求める実験を行った。実
験例1のヒト実験用の沙棘果汁(果汁原液)では92.
4%、3倍希釈液では86.3%、10倍希釈液でも4
2.8%の強いラジカル消去活性が認めれた。図1は、
沙棘果汁希釈液の希釈倍率とラジカル消去活性(%)と
の関係を片対数(横軸が対数)の線図に表示したもので
ある。図1の結果からは、希釈倍率が大きくなって、沙
棘果汁の多成分系の量が大きくなってもラジカル消去活
性の残存が認められる。
【0037】
【発明の効果】第一の本発明の天然抗酸化剤によれば、
下記(a)〜(i)に代表される種々の効果が得られ
る。 (a)生体内の活性酸素のフリ−ラジカルを強力に消去
して抗酸化機能を増大させることができる。 (b)少量であっても生体内の抗酸化機能に増大させる
ことができる。 (c)沙棘果汁の還元液等の使用が可能であるのでラジ
カル消去活性の調整及び保持が容易である。 (d)体力的弱者(例えば、乳幼児、老人、病弱者)等
に対しても用いることができる。 (e)空気中の酸素による食品・飲料等の酸化防止のた
めに使用することが可能である。 (f)食品・飲料等に加えて、生体内の抗酸化機能及び
食品・飲料等の抗酸化機能とを増大させることができ
る。 (g)経口摂取によって生体への供給を容易に行うこと
ができる。 (h)沙棘果汁の濃度・量の調節等によって抗酸化機能
の調整が容易である。 (i)生体及び食品・飲料等の両方に対して負(マイナ
ス)の要因が全く存在しない。 第二の本発明の抗酸化剤によれば、下記(イ)〜(ハ)
に代表される種々の効果が得られる。 (イ)沙棘果汁の多成分系が有する抗酸化機能と他の抗
酸化剤の抗酸化機能とを備える抗酸化剤にされる。 (ロ)沙棘果汁の多成分系と別の天然抗酸化剤とからな
る抗酸化剤にされている場合には、生体に対して有効性
の高い抗酸化機構を与えることができる。 (ハ)沙棘果汁の多成分系と合成抗酸化剤とからなる抗
酸化剤にされている場合には、合成抗酸化剤の含有量を
低下させて、しかも、沙棘果汁の多成分系由来の強力な
抗酸化機能が付加される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ラジカル消去活性と沙棘果汁の希釈倍率との関
係を示す線図である。
フロントページの続き (72)発明者 杉田 康宏 愛知県名古屋市緑区鳴海町字神ノ倉3− 234 Fターム(参考) 4C088 AB12 AC04 CA01 CA11 MA52 NA05 ZC37 ZC41 4H025 BA01 BA04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】沙棘果汁の液相若しくは液相及び固相に含
    有される多種成分を含んで生体内の抗酸化にも用いられ
    ること、を特徴とする天然抗酸化剤。
  2. 【請求項2】沙棘果汁の液相若しくは液相及び固相に含
    有される多種成分を含んで生体内の抗酸化にも用いられ
    る天然抗酸化剤と、他の天然若しくは合成の抗酸化剤と
    が含まれてなること、を特徴とする抗酸化剤。
  3. 【請求項3】沙棘果汁、沙棘果汁の濃縮液・希釈液・ろ
    液、沙棘果汁のろ液の濃縮液・希釈液、沙棘果汁・沙棘
    果汁濃縮液・沙棘果汁希釈液の凍結乾燥後の還元液、沙
    棘果汁のろ液・ろ液の濃縮液・ろ液の希釈液の凍結乾燥
    後の還元液、沙棘果汁の凍結乾燥物、沙棘果汁の濃縮液
    ・希釈液の凍結乾燥物、沙棘果汁のろ液・ろ液濃縮液・
    ろ液希釈液の凍結乾燥物、沙棘果実若しくは沙棘果実の
    乾燥物からなること、を特徴とする請求項1に記載の天
    然抗酸化剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005008539A (ja) * 2003-06-17 2005-01-13 Fancl Corp マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤

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