JP2003049664A - エンジンの運転制御装置 - Google Patents

エンジンの運転制御装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジンの制御部材の操作により気化器の残
留燃料の消費を可能にし,その際,残留燃料の消費速度
を調節し得るようにする。 【解決手段】 エンジンスイッチ17と,燃料タンク5
及び気化器8間の燃料コック6とに,第1・第2制御位
置A,Bを有する共通の制御部材9を連動連結して,制
御部材9が第1・第2制御位置A,Bに操作されるのに
応じて,エンジンスイッチ17が点火可能・不能位置
F,Gに,燃料コック6が開・閉位置D,Eにそれぞれ
作動されるようにした,エンジンの運転制御装置におい
て,制御部材9に,エンジンスイッチ17を点火可能位
置Fに留めながら燃料コック6を閉位置Eに作動する第
3制御位置Cを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,例えばエンジンを
長期間,休止させておく場合に,気化器の残留燃料を消
費させて,残留燃料の劣化によるエンジンの再始動性の
低下を防ぐようにした,エンジンの運転制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来,気化器の残留燃料を随時消費させ
得るようにしたものとして,例えば特開昭63−208
633号公報に開示されるように,一本の操作レバーに
スロットル操作部材と燃料コックの開閉操作部材とを連
結した,操作レバーの回動経路の一端にスロットル全開
位置を,他端にスロットル全閉位置を設定すると共に,
該回動経路の中間部の二箇所にアイドリング位置を設定
し,スロットル全開側のアイドリング位置からスロット
ル全開位置に操作レバーが操作される間では燃料コック
を開き,スロットル全閉側のアイドリング位置からスロ
ットル全閉位置に操作レバーが操作される間では燃料コ
ックを閉じるようにし,気化器の残留燃料を随時消費さ
せる場合には,操作レバーをスロットル全閉側のアイド
リング位置からスロットル全閉位置に操作した状態,即
ち燃料コックを閉じた状態でエンジンを運転するように
したものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来装置
では,一本の操作レバーにスロットル操作部材と燃料コ
ックの開閉操作部材とが連動しているため,燃料コック
を閉じた状態でエンジンを運転して気化器の残留燃料を
消費させる場合に,任意にスロットル開度を制御して,
残留燃料の消費速度を調整することができない,という
欠点がある。
【0004】そこで,本発明は,スロットル操作系は用
いずに,気化器の残留燃料の消費を可能にして,残留燃
料の消費速度を調整し得るようにした,エンジンの運転
制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に,本発明は,エンジンの点火装置の作動を可能・不能
にする点火可能・不能位置を有するエンジンスイッチ
と,燃料タンク及び気化器間の燃料通路を導通・遮断す
る開・閉位置を有する燃料コックとに,第1・第2制御
位置を有する共通の制御部材を連動連結して,制御部材
が第1・第2制御位置に操作されるのに応じて,エンジ
ンスイッチが点火可能・不能位置に,燃料コックが開・
閉位置にそれぞれ作動されるようにした,エンジンの運
転制御装置において,制御部材に,エンジンスイッチを
点火可能位置に留めながら燃料コックを閉位置に作動す
る第3制御位置を設けたことを第1の特徴とする。
【0006】この第1の特徴によれば,気化器の残留燃
料を消費させる必要があるときは,制御部材を第3制御
位置に回動することにより,燃料コックを遮断状態にし
ながら,エンジンの点火装置を作動可能の状態にするこ
とができ,したがってこの状態でエンジンを始動すれ
ば,エンジンの運転により気化器の残留燃料を消費し尽
くすことができる。しかもこの場合,制御部材の操作は
気化器のスロットルバルブの開度制御とは無関係である
から,スロットルバルブの開度制御を単独で行うことに
より,気化器の残留燃料の消費速度を調節することがで
きる。
【0007】また本発明は,第1の特徴によれば,第1
及び第2制御位置間を結ぶ制御部材の操作経路の中間部
に第3制御位置を設定したことを第2の特徴とする。
【0008】この第2の特徴によれば,制御部材を第1
制御位置にセットして通常の運転を行った後,制御部材
を第3制御位置に回動することにより,エンジンを一度
も停止させることなく,気化器の残留燃料を消費させる
ことができ,したがってその残留燃料の消費のためにエ
ンジンを再始動する必要がなく,操作が容易となる。
【0009】尚,前記燃料通路は,後述する本発明の第
1〜第3燃料管101 〜103 に対応する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施例の形態を,添付図
面に示す本発明の実施例に基づいて以下に説明する。
【0011】図1は本発明のエンジンの運転制御装置を
備えた携帯型エンジン発電機の正面図,図2は上記エン
ジンの運転制御装置の正面図(エンジンの通常運転制御
状態を示す),図3は図2の3−3線断面図,図4は同
エンジンの運転停止制御状態を示す,図2に対応した作
用説明図,図5は気化器の残留燃料消費制御状態を示
す,図2に対応した作用説明図,図6は制御部材と,エ
ンジンスイッチ,燃料コック及び気化器の燃料残量との
関係説明図である。
【0012】先ず,図1において,携帯型エンジン発電
機1は,携帯用ハンドル2aを上部に備えたケーシング
2に,エンジン3,これにより駆動される発電機4,燃
料タンク5,その他各種付属機器を収容して構成され
る。ケーシング2の正面には,エンジン3の運転を制御
するための制御部材9が付設される。
【0013】図2及び図3に示すように,ケーシング2
における燃料タンク5,燃料コック6,燃料ポンプ7及
び,エンジン3の気化器8のフロートチャンバ8aは,
第1〜第3燃料管101 〜103 を介して順次接続され
る。燃料コック6は,そのコック本体11の外周から張
り出したフランジ11aをケーシング2の内壁に突設さ
れたボス2bにビス13で固着することにより,ケーシ
ング2に支持される。燃料ポンプ7は,エンジン3の運
転時,そのクランク室に生ずる圧力脈動により駆動さ
れ,燃料コック6を通過した燃料タンク5内の燃料を気
化器8にフロートチャンバ8aに送るようになってい
る。
【0014】燃料コック6は,コック本体11の前面か
ら突出してケーシング2の前壁を貫通するコック軸12
を有しており,このコック軸12の先端に前記制御部材
9がビス14で固着される。制御部材9は,前面側にノ
ブ9a,裏面側に作動カム9bがそれぞれ形成されてお
り,その作動カム9bにより駆動されるスライダ15が
ケーシング2の前面に配設される。
【0015】このスライダ15は,作動カム9bをその
回動方向に沿って挟んで互いに対向する一対の従動アー
ム15a,15bを備え,また背面には一対の支持片1
5c,15cが突設されており,これら支持片15c,
15cは,ケーシング2の前壁に設けられて左右方向に
延びる一対のガイド孔16,16に摺動自在に係合され
る。したがって,スライダ15は,作動カム9bの往復
回動により従動アーム15a,15bが交互に押圧され
ることで,左右に往復動するようになっている。
【0016】ケーシング2の前壁には,また,スライダ
15の上記往復動によって作動されるエンジンスイッチ
17が取り付けられる。このエンジンスイッチ17は,
ケーシング2にねじ止めされるスイッチケース18と,
このスイッチケース18に固着される一対の固定接点1
9,19(図にはその一方を示す)と,これら固定接点
19,19に接離する可動接点20と,この可動接点2
0を支持してそれを作動すべくスイッチケース18に左
右方向摺動可能に嵌合される作動子21と,この作動子
21を可動接点20の固定接点19,19に対する離間
方向へ付勢する戻しばね23とを備える。作動子21
は,前記スライダ15の一端に対向して配置され,スラ
イダ15の進退によって作動される。即ち,作動子21
は,スライダ15から解放されると,可動接点20を固
定接点19,19から離間させる点火可能位置F(図2
及び図5参照)を占めて点火装置の作動を可能にし,ま
たスライダ15により押動されると,可動接点20を固
定接点19,19に接触させる点火不能位置G(図4参
照)に達してエンジン3の点火装置を作動不能にする。
【0017】制御部材9は,コック軸12の軸線周りに
所定角度の範囲で回動操作されるものであって,その回
動によって燃料コック6及びエンジンスイッチ17が同
時に作動される。
【0018】この制御部材9の回動経路22には,従来
通り,その一端と他端に,エンジン3の運転を可能にす
る第1制御位置Aと,エンジン3の運転を停止させる第
2制御位置Bとが設定される外,それら第1及び第2制
御位置A,Bの中間に第3制御位置Cが設定される。
【0019】そして,燃料コック6のコック軸12に
は,制御部材9の第1制御位置Aの対応して開位置D
(図2参照)が設定され,制御部材9の第3〜第2制御
位置A,Bの回動範囲に対応して閉位置E(図4及び図
5参照)が設定される。燃料コック6は,コック軸12
の開位置Dで第1及び第2燃料管101 ,102 の相互
間を導通させ,閉位置Eで遮断するようになっている。
【0020】またエンジンスイッチ17の作動子21
は,制御部材9の第1〜第3制御位置A〜Cの回動範囲
に対応して点火可能位置Fを維持し,第2制御位置Bに
対応して点火不能位置Gに作動されるようになってい
る。
【0021】次に,この実施例の作用について説明す
る。
【0022】図2及び図6の(a)に示すように,制御
部材9を第1制御位置Aにセットすれば,燃料コック6
のコック軸12は開位置Dに回動されて第1及び第2燃
料管101 ,102 間を導通させ,それと同時に,作動
カム9bがスライダ15をエンジンスイッチ17の作動
子21から後退させるので,該作動子21はばね23の
付勢力により点火可能位置Fに保持され,点火装置の作
動を可能にする。したがって,エンジンを始動すれば,
燃料ポンプ7の作動により燃料タンク5の燃料が第1燃
料管101 ,燃料コック6,第2燃料管102 ,燃料ポ
ンプ7及び第3燃料管103 を順次経て気化器8のフロ
ートチャンバ8aに供給され,この気化器8の吸気道で
生成された混合気は,スロットルバルブの開度により流
量を調節されつゝエンジン3に吸入され,そして点火装
置の作動により点火される。こうしてエンジン3は運転
される。
【0023】次に図4及び図6の(b)に示すように,
制御部材9を第2制御位置Bに回動すれば,燃料コック
6のコック軸12は閉位置Eに回動されて第1及び第2
燃料管101 ,102 間を遮断すると同時に,作動カム
9bがスライダ15をエンジンスイッチ17の作動子2
1側に前進させて,該作動子21をばね23の付勢力に
抗して点火不能位置Gに押動するので,点火装置が不作
動状態となる。したがって,エンジンの運転を即座に停
止させることができる。
【0024】以上は,従来普通のエンジン3の運転制御
態様であるが,エンジン3を長期間休止して置く場合に
は,図5及び図6の(c)に示すように,制御部材9を
第1及び第2制御位置A,Bの中間の第3制御位置Cに
回動する。こうすると,燃料コック6のコック軸12は
閉位置Eに回動されて第1及び第2燃料管101 ,10
2 間を遮断する。一方,作動カム9bはスライダ15を
エンジンスイッチ17の作動子21に対して前進させる
が,その前進量は少なく,該作動子21を押動するに至
らないため,該作動子21はばね23の付勢力により点
火可能位置Fに保持され,点火装置の作動を依然可能に
する。したがって,エンジンを始動すれば,制御部材9
を第1制御位置Aにセットした場合と同様にエンジン3
を運転することができる。但し,燃料コック6は遮断状
態になっているから,燃料ポンプ7が作動しても,気化
器8のフロートチャンバ8aへの燃料の補給は行われな
いから,該チャンバ8aの残留燃料をエンジン3の運転
により消費し尽すことができる。しかもこの場合,制御
部材9の操作は気化器8のスロットルバルブの開度制御
とは無関係であるから,スロットルバルブの開度制御を
単独で行うことにより,気化器8の残留燃料の消費速度
を調節することができる。
【0025】気化器8の残留燃料が消費されると,エン
ジン3は自然に運転を停止するものゝ,そのまゝでは点
火装置が作動可能の状態であるから,制御部材9を第2
制御位置Bにセットすることにより,エンジン3を通常
の運転停止状態する。かくして,エンジン3を長期間休
止しても,燃料を空にした気化器8では,残留燃料の劣
化という問題から解放される。
【0026】ところで,制御部材9の第3制御位置C
は,第1及び第2制御位置A,B間を結ぶ回動経路22
の中間部に設定されているから,制御部材9を第1制御
位置Aにセットして通常の運転を行った後,制御部材9
を第3制御位置Cに回動すれば,エンジン3を一度も停
止させることなく,気化器8の残留燃料を消費させるこ
とができ,したがってその残留燃料の消費のためにエン
ジン3を再始動する必要がなく,操作が容易となる。
【0027】以上,本発明の実施例を詳述したが,本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。例えば,燃料タンク5から気化器8
への燃料供給に重力を利用するようにして,燃料ポンプ
7を廃止することもできる。
【0028】
【発明の効果】以上のように本発明の第1の特徴によれ
ば,エンジンの点火装置の作動を可能・不能にする点火
可能・不能位置を有するエンジンスイッチと,燃料タン
ク及び気化器間の燃料通路を導通・遮断する開・閉位置
を有する燃料コックとに,第1・第2制御位置を有する
共通の制御部材を連動連結して,制御部材が第1・第2
制御位置に操作されるのに応じて,エンジンスイッチが
点火可能・不能位置に,燃料コックが開・閉位置にそれ
ぞれ作動されるようにした,エンジンの運転制御装置に
おいて,制御部材に,エンジンスイッチを点火可能位置
に留めながら燃料コックを閉位置に作動する第3制御位
置を設けたので,気化器の残留燃料を消費させる必要が
あるときは,制御部材を第3制御位置に回動することに
より,燃料コックを遮断状態にしながら,エンジンの点
火装置を作動可能の状態にすることができ,したがって
この状態でエンジンを始動すれば,エンジンの運転によ
り気化器の残留燃料を消費し尽くすことができる。しか
もこの場合,制御部材の操作は気化器のスロットルバル
ブの開度制御とは無関係であるから,スロットルバルブ
の開度制御を単独で行うことにより,気化器の残留燃料
の消費速度を調節することができる。
【0029】また本発明の第2の特徴によれば,第1及
び第2制御位置間を結ぶ制御部材の操作経路の中間部に
第3制御位置を設定したので,制御部材を第1制御位置
にセットして通常の運転を行った後,制御部材を第3制
御位置に回動することにより,エンジンを一度も停止さ
せることなく,気化器の残留燃料を消費させることがで
き,したがってその残留燃料の消費のためにエンジンを
再始動する必要がなく,操作が容易となる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明のエンジンの運転制御装置を備えた携帯型
エンジン発電機の正面図,図2は上記エンジンの運転制
御装置の正面図(エンジンの通常運転制御状態を示
す),図3は図2の3−3線断面図,図4は同エンジン
の運転停止制御状態を示す,図2に対応した作用説明
図,図5は気化器の残留燃料消費制御状態を示す,図2
に対応した作用説明図,図6は制御部材と,エンジンス
イッチ,燃料コック及び気化器の燃料残量との関係説明
図である。
【図1】本発明のエンジンの運転制御装置を備えた携帯
型エンジン発電機の正面図。
【図2】上記エンジンの運転制御装置の正面図(エンジ
ンの通常運転制御状態を示す)。化器の拡大平面図。
【図3】図2の3−3線断面図。
【図4】同エンジンの運転停止制御状態を示す,図2に
対応した作用説明図。
【図5】気化器の残留燃料消費制御状態を示す,図2に
対応した作用説明図。
【図6】制御部材と,エンジンスイッチ,燃料コック及
び気化器の燃料残量との関係説明図。
【符号の説明】
A・・・・・制御部材の第1制御位置 B・・・・・制御部材の第2制御位置 C・・・・・制御部材の第3制御位置 D・・・・・燃料コックの開位置 E・・・・・燃料コックの閉位置 F・・・・・エンジンスイッチの点火可能位置 G・・・・・エンジンスイッチの点火不能位置 3・・・・・エンジン 6・・・・・燃料コック 8・・・・・気化器 9・・・・・制御部材 101 〜103 ・・・燃料通路(第1〜第3燃料管) 17・・・・エンジンスイッチ 22・・・・制御部材の操作経路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河内 敏文 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジン(3)の点火装置の作動を可能
    ・不能にする点火可能・不能位置(F,G)を有するエ
    ンジンスイッチ(17)と,燃料タンク及び気化器
    (8)間の燃料通路(101 〜103 )を導通・遮断す
    る開・閉位置(D,E)を有する燃料コック(6)と
    に,第1・第2制御位置(A,B)を有する共通の制御
    部材(9)を連動連結して,制御部材(9)が第1・第
    2制御位置(A,B)に操作されるのに応じて,エンジ
    ンスイッチ(17)が点火可能・不能位置(F,G)
    に,燃料コック(6)が開・閉位置(D,E)にそれぞ
    れ作動されるようにした,エンジンの運転制御装置にお
    いて,制御部材(9)に,エンジンスイッチ(17)を
    点火可能位置(F)に留めながら燃料コック(6)を閉
    位置(E)に作動する第3制御位置(C)を設けたこと
    を特徴とする,エンジンの運転制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のエンジンの運転制御装置
    において,第1及び第2制御位置(A,B)間を結ぶ制
    御部材(9)の操作経路(22)の中間部に第3制御位
    置(C)を設定したことを特徴とする,エンジンの運転
    制御装置。
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