JP2003048866A - カルボン酸エステルの精製方法 - Google Patents

カルボン酸エステルの精製方法

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JP2003048866A
JP2003048866A JP2002085300A JP2002085300A JP2003048866A JP 2003048866 A JP2003048866 A JP 2003048866A JP 2002085300 A JP2002085300 A JP 2002085300A JP 2002085300 A JP2002085300 A JP 2002085300A JP 2003048866 A JP2003048866 A JP 2003048866A
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acid ester
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catalyst
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Masanori Tokuda
正徳 徳田
Koichi Yoshida
康一 吉田
Junichi Doi
純一 土居
Motomu Okita
求 大北
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機チタン族化合物触媒を用いた反応、例え
ばカルボン酸エステルとアルコール類とのエステル交換
反応およびカルボン酸とアルコール類との直接エステル
化反応等で得られたカルボン酸エステルから、有機チタ
ン族化合物触媒およびこの触媒に由来する有機チタン族
化合物を経済的かつ工業的に容易に除去するカルボン酸
エステルの精製方法を提供する。 【解決手段】 有機チタン族化合物触媒を用いた反応で
得られたカルボン酸エステルと固体吸着剤を接触させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカルボン酸エステル
の精製方法に関し、より詳しくは有機チタン族化合物触
媒を用いた反応で得られたカルボン酸エステルの精製方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】カルボン酸エステルとアルコール類との
エステル交換反応およびカルボン酸とアルコール類との
直接エステル化反応に用いられる触媒としては、有機チ
タン族化合物やスズ系触媒等の金属触媒、p−トルエン
スルホン酸や硫酸、強酸性イオン交換樹脂等の酸触媒あ
るいは固体塩基や強塩基性イオン交換樹脂等の塩基触媒
が知られている。
【0003】これらの中で、チタンアルコキサイドに代
表される有機チタン族化合物は、反応活性や選択性が極
めて高く、エステル交換反応または直接エステル化反応
の触媒として広く用いられている。例えば、特開平1−
258642号公報には触媒としてチタンアルコキサイ
ドを用い、重合防止剤として立体障害フェノールを用い
る方法が開示されている。また、特開平4−66555
号公報には原料アルコールと同一のアルコキサイドを有
するチタンアルコキサイドを触媒として用いる方法が開
示されている。さらに、特開平11−222462号公
報には、メチル(メタ)アクリレートと特定の炭素数の
アルコールとを反応させて(メタ)アクリル酸エステル
を製造する際に、触媒としてテトラメチルチタネートを
用い、かつ重合防止剤として特定の化学式を有するN−
オキシル化合物を用いる(メタ)アクリル酸エステルの
製法が開示されている。
【0004】しかしながら、有機チタン族化合物触媒
は、一般に触媒自身が反応液に溶解するので、反応生成
物から触媒を分離するための操作が必要である。
【0005】触媒の分離操作としては蒸留による分離が
一般的であるが、この方法では製品(目的物)の損失が
避けられず、またエネルギーや時間、装置等にかかるコ
ストは甚大である。さらに目的物が不飽和カルボン酸エ
ステルの場合、蒸留操作中に重合する恐れがある。
【0006】蒸留以外の分離方法としては、特開昭50
−145449号公報に、エステル可塑剤の特性改善方
法として、特定の炭素原子数を有するアルコールと、芳
香族の酸または特定の炭素原子数を有する脂肪酸とを触
媒の存在下に反応させて得られたエステルを、水の存在
下、活性白土と、酸化マグネシウムおよび/または酸化
カルシウムに接触させるエステル可塑剤の製法が開示さ
れている。この方法によれば、可塑剤としての特性を低
下させる原因となっている未反応の酸、モノエステル、
触媒、副反応物などの不純物を除去し、その特性を改善
させる旨が、同公報に開示されている。同公報には、そ
のようなエステル合成のために用いられる触媒としてテ
トラアルキルチタネートなどのチタン化合物が挙げられ
ている。また、同公報には、得られたエステルに、活性
白土と、MgOおよび/またはCaOと、水とを同時に
加えるか、あるいはまず活性白土を先に添加してから、
MgOおよび/またはCaOと水とを加えたのちこれら
をろ別する方法が開示されている。存在させる水の量
は、エステルに対し0.1〜1重量%が適当であること
も、開示されている。
【0007】特開平10−36319号公報は、アルコ
ールと酸とを反応させて得られたエステルを、分子中に
固体酸と固体塩基とを含む化合物と接触させるエステル
の製法を開示する。同公報には、エステルの製造におい
ては、最終製品のエステルに金属イオンが少ないこと、
無色であること、酸価が低いことなどが要求されるこ
と、および、このため、アルコールと酸とを酸性触媒や
金属化合物触媒の存在下で反応させて得られたエステル
を吸着剤で処理して、製造原料中の不純物、反応時や精
製時の副生物または触媒残留物など、種々の不純物を除
去することが行われていること、および、上記吸着剤と
しては、活性炭、活性白土などが提案されていること、
が開示されている。また、同公報には特公昭59−38
254号(特開昭50−145449号に対応)公報な
どの活性白土を使用する提案の場合は、物理吸着と静電
気吸着が主体であるため、活性白土とエステル中に残存
する金属イオンとの間でカチオン交換が起こってプロト
ンが放出され、結果としてエステルの酸価が上昇し安定
性が低下する、という問題があったことが、開示されて
いる。
【0008】さらに、特開平8−259498号公報に
は、カルボン酸とアルコール類との直接エステル化反応
で使用したチタン族金属のカルボン酸塩を、キレート剤
を用いて水溶化させた後に抽出する方法が開示されてい
る。
【0009】しかし、これらの方法においては、反応終
了後中和水洗等の理由により水を添加する必要があるた
め、目的のカルボン酸エステルがカルボン酸とアルコー
ルに加水分解する恐れがある。その上、多大な廃水を発
生し、環境に対する負荷が大きいという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従
来の問題点に鑑みてなされたものであり、有機チタン族
化合物触媒を用いた反応、例えばカルボン酸エステルと
アルコール類とのエステル交換反応およびカルボン酸と
アルコール類との直接エステル化反応等で得られたカル
ボン酸エステルから、有機チタン族化合物触媒およびこ
の触媒に由来する有機チタン族化合物を経済的かつ工業
的に容易に除去するカルボン酸エステルの精製方法を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機チタン族
化合物触媒を用いた反応で得られたカルボン酸エステル
と固体吸着剤を接触させるカルボン酸エステルの精製方
法である。固体吸着剤としては、モンモリロナイト系鉱
物、活性炭、シリカゲルおよび強酸性イオン交換樹脂か
ら選ばれる少なくとも一種の固体吸着剤が好ましい。固
体吸着剤中の水分濃度は0.1重量%以上であることが
好ましい。
【0012】本発明は、反応で得られるカルボン酸エス
テルが(メタ)アクリル酸エステルの場合に好適であ
る。
【0013】また、有機チタン族化合物がMR
(MはTi、ZrまたはHf、R、R
、Rはハロゲン、OH、OR、OCOR、NHC
OR、またはRとRは一緒になって=Oでもよい。
Rは水素原子または炭素数1〜18のアルキル基、アル
ケニル基またはアリール基であり、アルキル基は直鎖状
でも分岐状でもよく、ハロゲン、シアノ基、アルキルア
ミノ基で置換されていても良い。アリール基は水素原子
がアルキル基で置換されたものでもよい。)の場合に好
適である。
【0014】本発明は、チタン族金属のアルコキサイド
触媒を用いたカルボン酸エステルとアルコール類とのエ
ステル交換反応で得られたカルボン酸エステルの精製に
特に適している。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明において、精製対象である
カルボン酸エステルは、例えば、原料のカルボン酸エス
テルとアルコール類とのエステル交換反応、カルボン酸
とアルコール類との直接エステル化反応等で得られたも
のである。原料のカルボン酸エステルは、脂肪族または
芳香族カルボン酸エステルであり、例えば、アクリル酸
エステル、メタクリル酸エステル、酢酸エステル、プロ
ピオン酸エステル、酪酸エステル、イソ酪酸エステル、
安息香酸エステル等が挙げられる。中でも、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチ
ル等の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく用いられ
る。(ここで「(メタ)アクリル」とは、常用されるよ
うに「アクリル」および/または「メタクリル」を意味
する。)また、原料のカルボン酸は、脂肪族または芳香
族カルボン酸であり、例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、安息香酸等
が挙げられる。
【0016】原料のカルボン酸エステルまたはカルボン
酸と反応させるアルコール類としては、例えば、アルカ
ノール類、アルコキシアルカノール類、アルケノキシア
ルカノール類、アルケノール類、フェノール類、フェノ
キシアルカノール類、シクロアルカノール類、アルキル
シクロアルカノール類、シクロアルキルアルカノール
類、フェニルアルカノール類、アルキルフェニルアルカ
ノール類、ハロアルカノール類、シアノアルカノール
類、アミノアルカノール類等が挙げられる。中でも、ア
ルカノール類、アルケノール類、アミノアルケノール類
がより好ましく、アルカノール類が特に好ましい。
【0017】アルコール類の炭素数は3〜20が好まし
く、このようなアルコールとしては、具体的には、n−
プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イ
ソブタノール、ターシャリーブタノール、n−ペンタノ
ール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オク
タノール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコー
ル、トリデシルアルコール、ステアリルアルコール、ト
リデカノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルア
ミノエタノール、シクロヘキサノール、3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサノール、4−ターシャリーブチル
シクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコー
ル、1−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチ
ルアルコール、フェノキシエタノール、メトキシエタノ
ール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール、アリ
ルアルコール、メタリルアルコール等が挙げられる。
【0018】エステル交換反応または直接エステル化反
応において、カルボン酸エステルまたはカルボン酸とア
ルコール類との仕込み比率は特に限定されないが、目的
とするカルボン酸エステルの生産性の観点からアルコー
ル類1モルに対して、好ましくは、カルボン酸エステル
またはカルボン酸0.1〜10.0モル、より好ましく
は0.3〜4.0モルである。
【0019】なお、本発明でいう有機チタン族化合物と
は、元素の周期律表第IV族元素(Ti,Zr,Hf)
を含む化合物のことである。エステル交換反応または直
接エステル化反応に用いる有機チタン族化合物触媒とし
ては、例えばMR(MはTi、Zrまた
はHf、R、R、R、Rはハロゲン、OH、O
R、OCOR、NHCOR、またはRとRは一緒に
なって=Oでもよい。Rは水素原子または炭素数1〜1
8のアルキル基、アルケニル基またはアリール基であ
り、アルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、ハロゲ
ン、シアノ基、アルキルアミノ基で置換されていてもよ
い。アリール基は水素原子がアルキル基で置換されたも
のでもよい。)が挙げられ、具体的には、テトラメトキ
シチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポ
キシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンなどのテトラ
ブトキシチタン、テトラ(2−エチルヘキシルオキシ)
チタン、テトラステアリルオキシチタン、ジ−i−プロ
ポキシビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−
ブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、トリ
n−ブトキシチタンステアレート、イソプロポキシチタ
ントリステアレート、テトラメトキシジルコニウム、テ
トラエトキシジルコニウム、テトラ−i−プロポキシジ
ルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウムなどの
テトラブトキシジルコニウム、テトラ(2−エチルヘキ
シルオキシ)ジルコニウム、テトラステアリルオキシジ
ルコニウム、テトラメトキシハフニウム、テトラエトキ
シハフニウム、テトラ−i−プロポキシハフニウム、テ
トラ−n−ブトキシハフニウムなどのテトラブトキシハ
フニウム、テトラ(2−エチルヘキシルオキシ)ハフニ
ウム、テトラステアリルオキシハフニウム等が挙げられ
る。
【0020】有機チタン族化合物触媒の使用量は、原料
のアルコール類1モルに対して、好ましくは0.000
01〜0.1モルであり、より好ましくは0.0001
〜0.05モル、更により好ましくは0.0003〜
0.03モルである。
【0021】エステル交換反応または直接エステル化反
応以降の有機チタン族化合物触媒は、一部または全部が
元の触媒とは別の有機チタン族化合物に変化していると
推定している。具体的にどのように変化するかは明らか
でないが、例えばMRの場合、R、R
、R、Rの一部または全部が原料のアルコール、
または水酸基やエステル基に置換した有機チタン族化合
物が含まれていると推定している。このように触媒が変
化した有機チタン族化合物を、本明細書では「触媒に由
来する有機チタン族化合物」と呼ぶ。
【0022】カルボン酸エステルとアルコール類とのエ
ステル交換反応、カルボン酸とアルコール類との直接エ
ステル化反応は常法に従って実施すればよく、反応条件
は特に限定されない。すなわち、反応圧力は、減圧、常
圧、加圧のいずれでもよく、反応温度も適宜設定するこ
とができる。ただし、不飽和カルボン酸エステルを製造
する場合は、重合防止の観点から反応温度を150℃以
下にすることが好ましい。
【0023】エステル交換反応または直接エステル化反
応では反応の進行に伴ってアルコールまたは水が副生す
るが、このような副生物はカルボン酸エステルまたは適
当な溶媒との共沸混合物として反応系外に取り出すこと
ができる。反応の終了は、例えば、この共沸混合物が留
出しなくなることや、反応系内の一方の原料が完全に消
費されること等によって知ることができる。
【0024】原料カルボン酸エステルまたはカルボン酸
として不飽和カルボン酸エステルまたは不飽和カルボン
酸を用いる場合、反応時には重合防止剤を適宜用いるこ
とができる。重合防止剤としては、例えば、ハイドロキ
ノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチア
ジンおよび2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−
N−オキシル(TEMPO)化合物等が挙げられる。重
合防止剤は単独で用いても2種類以上を併用してもよ
い。重合防止剤を併用することによって、重合防止効果
に相乗効果が見られることもある。重合防止剤の使用量
は、(メタ)アクリル酸エステルの重量に対して0.0
1〜5000ppmである場合が多い。
【0025】本発明で用いる固体吸着剤は有機チタン族
化合物触媒およびその触媒に由来する有機チタン族化合
物に対する吸着能を有するものであれば特に限定されな
いが、中でも、モンモリロナイト系鉱物、活性炭、シリ
カゲルおよび強酸性イオン交換樹脂などの酸性イオン交
換樹脂から選ばれる少なくとも一種の固体吸着剤が好ま
しい。
【0026】これらの固体吸着剤は一般に水分を吸湿す
る能力を有しているが、この吸湿能力が有機チタン族化
合物およびその触媒に由来する有機チタン族化合物の除
去に深く関係しており、固体吸着剤中の水分濃度は0.
1重量%以上であることが好ましく、特に2重量%以上
が好ましい。一般に固体吸着剤中の水分濃度が高くなる
ほど有機チタン族化合物の除去能力も高くなる傾向にあ
る。
【0027】さらに、モンモリロナイト系鉱物とはケイ
素、アルミニウム等を化学成分とする層構造を持つ粘土
鉱物であり、例えば活性白土および酸性白土として一般
に市販されているものが使用できる。また、活性炭、シ
リカゲルおよび強酸性イオン交換樹脂も、一般に市販品
されているものが使用できる。
【0028】これら固体吸着剤の使用量は特に限定され
ないが、触媒1質量部に対して、通常1〜200質量
部、好ましくは10〜100質量部である。固体吸着剤
の使用量は、多いほど有機チタン族化合物およびその触
媒に由来する有機チタン族化合物が十分除去でき、少な
いほど目的物の損失が少なくなる。
【0029】反応で得られたカルボン酸エステルと固体
吸着剤を接触させる方法には各種の固液接触手段を用い
ることができる。このような接触手段としては、例え
ば、流動式、回分式、固定床式等が挙げられる。接触時
間は特に限定されないが、回分式の場合、好ましくは1
〜120分である。接触時間は、このような範囲では、
短いほど副反応による不純物の発生が低減でき、長いほ
ど有機チタン族化合物が十分除去できる。また接触温度
は特に限定されないが、好ましくは0〜200℃、より
好ましくは40〜120℃である。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例を挙げて
説明する。メタクリル酸メチルはMMAと略記する。チ
タン族金属の含有量はICP発光法にて測定した。な
お、本明細書で用いる転化率の定義は以下の通りであ
る。 転化率(%)=(反応した原料アルコールのモル数/供
給した原料アルコールのモル数)×100
【0031】[実施例1]20段オルダーショウ蒸留塔
を備えた還流装置を用い、2L容の側管付き四つ口フラ
スコに、MMA902g(9モル)、n−ブチルアルコ
ール389g(5.2モル)、テトラ−n−ブトキシチ
タン0.89gおよび0.05gの4−アセトアミノ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシ
ルをフラスコ内に仕込み、空気気流下に攪拌して2.5
時間エステル交換反応を行った。反応液をガスクロマト
グラフィーによって分析したところ、転化率は99.9
%であった。この間、反応で副生したメタノールはMM
Aとの共沸で系外に除去した。このとき反応液の温度は
104℃から130℃まで上昇した。
【0032】次に、この反応液に活性白土(日本活性白
土社製SA1、水分濃度10重量%)22g(触媒1質
量部に対して25質量部)を仕込み、50℃にて60分
間攪拌処理した。処理液をメンブレンフィルター(孔径
0.5μm)にてろ過後、減圧下で未反応のMMAおよ
びn−ブタノールを留去して、精製n−ブチルメタクリ
レート722g(収率96.8%)を得た。精製n−ブ
チルメタクリレートに含まれるチタンは定量限界(30
ppb)以下であった。なお、エステル交換反応終了か
ら精製n−ブチルメタクリレートを得るまでに4時間を
要した。
【0033】[比較例1]実施例1において、活性白土
による接触処理以降を蒸留による精製処理に変更した以
外は同様にして精製n−ブチルメタクリレートを得た。
蒸留による精製処理では、減圧下で未反応のMMAおよ
びブタノールを留去したのち、13.3kPaの圧力
下、120℃で蒸留した。
【0034】このようにして精製n−ブチルメタクリレ
ート672g(収率90.1%)を得た。精製n−ブチ
ルメタクリレートに含まれる金属チタンは定量限界(3
0ppb)以下であったが、n−ブチルメタクリレート
の収率が低く、エステル交換反応終了から精製n−ブチ
ルメタクリレートを得るまでに6時間を要した。
【0035】[実施例2〜9]実施例1において、表1
に記載したデータ以外の反応条件および触媒の処理操作
は実施例1と同様に行った。エステル交換反応終了から
各種精製カルボン酸エステルを得るまでに要した時間は
いずれの実施例も4時間であり、得られた各種精製カル
ボン酸エステルに含まれる金属チタン族は定量限界(3
0ppb)以下であった。
【0036】
【表1】
【0037】[実施例10]20段オルダーショウ蒸留
塔を備えた還流装置を用い、2L容の側管付き四つ口フ
ラスコに、MMA750.9g(7.5モル)、ステア
リルアルコール676.3g(2.5モル)、テトラメ
トキシチタン1.23gおよび0.04gの4−アセト
アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N
−オキシルをフラスコ内に仕込み、空気気流下に攪拌し
て4時間エステル交換反応を行った。反応液をガスクロ
マトグラフィーによって分析したところ、転化率は10
0%であった。この間、反応で副生したメタノールはM
MAとの共沸で系外に除去した。このとき反応液の温度
は110℃から121℃まで上昇した。
【0038】次に、この反応液に活性白土(日本活性白
土社製SA1、水分濃度2重量%)39g(触媒1質量
部に対して32質量部)を仕込み、50℃にて60分間
攪拌処理した。処理液をメンブレンフィルター(孔径
0.5μm)にてろ過後、減圧下で未反応のMMAを留
去して、精製ステアリルメタクリレート827.5g
(収率97.8%)を得た。精製ステアリルメタクリレ
ートに含まれるチタンは定量限界(30ppb)以下で
あった。なお、エステル交換反応終了から精製ステアリ
ルメタクリレートを得るまでに4時間を要した。
【0039】[実施例11]固体吸着剤として活性白土
(日本活性白土社製SA1、水分濃度10重量%)1
9.5g(触媒1質量部に対して16質量部)を用いた
以外は実施例10と同様にして精製ステアリルメタクリ
レート830.1g(収率98.1%)を得た。精製ス
テアリルメタクリレートに含まれる金属チタンは定量限
界(30ppb)以下であった。
【0040】[実施例12]固体吸着剤として活性白土
(日本活性白土社製SA1、水分濃度30重量%)6.
5g(触媒1質量部に対して5.3質量部)を用いた以
外は実施例10と同様にして精製ステアリルメタクリレ
ート838.8g(収率99.1%)を得た。精製ステ
アリルメタクリレートに含まれる金属チタンは定量限界
(30ppb)以下であった。
【0041】[実施例13]固体吸着剤として活性白土
(日本活性白土社製SA1、水分濃度2重量%)19.
5g(触媒1質量部に対して16質量部)を用いた以外
は実施例10と同様にして精製ステアリルメタクリレー
ト833.4g(収率98.5%)を得た。精製ステア
リルメタクリレートに含まれる金属チタンは7ppmで
あった。このように、固体吸着剤の水分濃度が低くなる
とチタンの除去能力が低くなった。
【0042】[実施例14]固体吸着剤としてシリカゲ
ル(和光純薬社製WakogelC−100、水分濃度
8重量%)100g(触媒1質量部に対して81質量
部)を用いた以外は実施例10と同様にして精製ステア
リルメタクリレート800.2g(収率94.5%)を
得た。精製ステアリルメタクリレートに含まれる金属チ
タンは定量限界(30ppb)以下であった。
【0043】[実施例15]固体吸着剤としてシリカゲ
ル(和光純薬社製WakogelC−100、水分濃度
3重量%)100g(触媒1質量部に対して81質量
部)を用いた以外は実施例10と同様にして精製ステア
リルメタクリレート802.3g(収率94.8%)を
得た。精製ステアリルメタクリレートに含まれる金属チ
タンは70ppbであった。このように、固体吸着剤の
水分濃度が低くなるとチタンの除去能力がやや低くなっ
た。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、有機チタン族化合物を
触媒としてカルボン酸エステルを合成する際、反応で得
られたカルボン酸エステルから、有機チタン族化合物お
よびこの触媒に由来する有機チタン族化合物を経済的か
つ工業的に容易に除去することができる。
フロントページの続き (72)発明者 大北 求 東京都港区港南一丁目6番41号 三菱レイ ヨン株式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC48 AD17 BA10 BA32 BA37 KA03 4H039 CA66 CD10 CD40

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機チタン族化合物触媒を用いた反応で
    得られたカルボン酸エステルと固体吸着剤を接触させる
    カルボン酸エステルの精製方法。
  2. 【請求項2】 固体吸着剤が、モンモリロナイト系鉱
    物、活性炭、シリカゲルおよび強酸性イオン交換樹脂か
    ら選ばれる少なくとも一種の固体吸着剤である請求項1
    記載のカルボン酸エステルの精製方法。
  3. 【請求項3】 固体吸着剤中の水分濃度が0.1重量%
    以上である請求項1または2記載のカルボン酸エステル
    の精製方法。
  4. 【請求項4】 反応で得られるカルボン酸エステルが
    (メタ)アクリル酸エステルである請求項1〜3記載の
    カルボン酸エステルの精製方法。
  5. 【請求項5】 有機チタン族化合物がMR
    (MはTi、ZrまたはHf、R、R、R、R
    はハロゲン、OH、OR、OCOR、NHCOR、ま
    たはRとRは一緒になって=Oでもよい。Rは水素
    原子または炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基
    またはアリール基であり、アルキル基は直鎖状でも分岐
    状でもよく、ハロゲン、シアノ基、アルキルアミノ基で
    置換されていてもよい。アリール基は水素原子がアルキ
    ル基で置換されたものでもよい。)である請求項1〜4
    記載のカルボン酸エステルの精製方法。
  6. 【請求項6】 チタン族金属のアルコキサイド触媒を用
    いたカルボン酸エステルとアルコール類とのエステル交
    換反応で得られたカルボン酸エステルと固体吸着剤を接
    触させる請求項1〜5記載のカルボン酸エステルの精製
    方法。
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