JP2003048094A - レーザ加工装置およびレーザ加工方法 - Google Patents

レーザ加工装置およびレーザ加工方法

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JP2003048094A
JP2003048094A JP2001236026A JP2001236026A JP2003048094A JP 2003048094 A JP2003048094 A JP 2003048094A JP 2001236026 A JP2001236026 A JP 2001236026A JP 2001236026 A JP2001236026 A JP 2001236026A JP 2003048094 A JP2003048094 A JP 2003048094A
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pulse laser
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density distribution
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Teruhiko Tomohiro
輝彦 友広
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビアホールの内面のテーパを少なくするとと
もに、加工部周辺の熱影響の少ないレーザ加工装置およ
びレーザ加工方法を提供すること。 【解決手段】 パルスレーザを発生するレーザ発振器1
と、パルスレーザを被加工面上で走査するための光学系
2と、パルスレーザのエネルギー密度分布を可変するプ
ロファイル可変手段14とを有し、パルスレーザのエネ
ルギー密度分布をセミフラット分布15に可変すること
によって、ビアホール径全体に渡って同時に加工が始ま
ることを避け、蒸発した高温ガスが被加工物に沿って流
れないように制御して、テーパが少なく、かつ、熱影響
も少ないビアホール加工を実現することで解決できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザ加工装置およ
びレーザ加工方法に関し、特にプリント配線基板のブラ
インドビアホール加工を行なう手段に特徴がある。
【0002】
【従来の技術】プリント配線基板の表面に印刷形成され
た導電層と裏面に形成された導電層とを接続する、或い
は、複数のプリント配線基板を重ね合わせた多層プリン
ト配線基板の各層に形成された導電層間を電気的に接続
するため、各基板には、ビアホールと呼ばれる穴が形成
される。以前は、ビアホールの穴開けには、ドリル等が
用いられていたが、穴径が微小になるにつれて、精度や
速度などの点から、近年ではレーザ光を用いて行われる
ようになってきている。
【0003】図7に従来技術におけるレーザ加工装置の
一例を示す。
【0004】同図におけるレーザ加工装置は、レーザ発
振器1と、パルスレーザを被加工面上で走査するための
光学系2と、被加工物3を固定する真空チャックプレー
ト4と、真空チャックプレート4を2軸方向に移動可能
に保持するX−Yテーブル5と、パルスレーザの光路上
に配置され、パルスレーザのビーム径を制限するマスク
6を有している。7は制御部であり、パルスレーザの発
振や光学系2の調整、X−Yテーブル5の制御などを行
なう。
【0005】図8に示すように、レーザ発振器1で発生
されたパルスレーザは、通常、ガウス分布8のエネルギ
ー密度分布を持っており、光路の途中に設けられたマス
ク6によって、ビーム径が制限されている。マスク6
は、パルスレーザを阻止する銅あるいはステンレス製の
板に、パルスレーザを通過させるための穴を形成したも
のであり、穴の径は、通常、被加工物に形成するビアホ
ールの径の10倍程度にしてある。例えば、径30μm
のビアホールを形成する場合は、マスク径300μmで
ある。レーザ発振器1としては、例えば、YAGレーザ
が用いられる。YAGレーザの発振波長は、約1μmな
ので、樹脂の加工用には、その第3高調波(波長355
nm,351nm)が利用されることが多い。
【0006】以下、図8を参照しながら、従来技術にお
けるブラインドビアホール加工方法を詳述する。
【0007】被加工物3は片面に銅箔9が貼られた絶縁
樹脂基板10である。それぞれの厚みは製品によりさま
ざまであるが、銅箔9は約10μm、絶縁樹脂基板10
は数10μmである。通常、両者は接着されており、数
μmの接着層11が存在する。また、本図には示してい
ないが、絶縁樹脂基板10の銅箔9と逆の面には、数μ
mの厚さの保護シートが接着されていることもある。
【0008】通常、数10〜数100Hzのパルスレー
ザが照射されビアホール加工を行なう。絶縁樹脂基板1
0の加工が進み、銅箔9が現れてくると、適当なところ
でレーザ照射を止めて、加工を終了する。照射を続ける
と、銅箔9自体がレーザにより損傷を受けることにな
る。したがって、加工されたビアホールの内面は、パル
スレーザのプロファイル形状に起因するテーパが残る。
【0009】この場合、YAGレーザの第3高調波以外
のレーザ、例えば、CO2ガスレーザを用いると、波長
が約10μmであり、銅箔9の表面でほとんど反射され
るので、損傷を受けないというメリットがある。したが
って、十分にパルスレーザを照射することによって、ビ
アホール内面のテーパを無くすことも可能である。しか
し、約10μmという波長は直径50μm以下の微細な
穴加工には不向きであるとか、スミアが残るなどのデメ
リットもある。
【0010】また、図9に示すように、ガウス分布8の
プロファイルに変わって、ほぼ均一なエネルギー密度分
布を持ったトップハット分布12のパルスレーザを用い
ることも行なわれている。こうすると、加工の進行がビ
アホールの断面全体に渡って均等に進むので、中央部の
加工が早く進み、銅箔9が損傷するということがなくな
る。更に、プロファイル自体がほぼ円筒状であるので、
テーパの少ないビアホール加工を行なうことができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図9に
示すように、ビアホール径全体に渡って同時に加工が始
まるので、蒸発した高温ガスが被加工物3に沿って流れ
易くなり、加工部周辺13への熱影響が大きくなるとい
う新たな問題が生じていた。前記従来の構成では、ガウ
ス分布のYAG第3高調波のパルスレーザを用いたブラ
インドビアホール加工は、ビアホール内面のテーパが残
るという問題があり、CO2ガスレーザを用いたブライ
ンドビアホール加工は、φ50μm以下の微小径の加工
が困難であるという問題があった。
【0012】また、トップハット分布のパルスレーザを
用いた場合は、加工時の高温ガスの流れが被加工物表面
を流れるために、熱影響が大きくなるという問題を生じ
ていた。
【0013】本発明は、上記従来の課題を解決するもの
で、ビアホールの内面のテーパを少なくすると共に、加
工部周辺の熱影響を少なくするレーザ加工装置およびレ
ーザ加工方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記従来の課題を解決す
るために、本発明のレーザ加工装置は、パルスレーザを
発生するレーザ発振器と、前記パルスレーザを被加工面
上で走査するための光学系と、前記パルスレーザのエネ
ルギー密度分布をガウス分布とは異なる非均一分布に変
更するプロファイル可変手段とを有する構成としてい
る。このプロファイル可変手段を用いて、パルスレーザ
のエネルギー密度分布を可変することによって、ビアホ
ール径全体に渡って同時に加工が始まることを避け、蒸
発した高温ガスが被加工物に沿って流れないように制御
して、テーパが少なく、かつ、熱影響も少ないビアホー
ル加工を実現する。
【0015】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明において
は、パルスレーザのエネルギー密度分布を変更するプロ
ファイル可変手段を有し、パルスレーザのエネルギー密
度分布を、中央部を除いて略均一なセミフラット分布と
し、中央部のエネルギー密度分布を周囲よりも高くする
ことにより、ビアホール径全体に渡って同時に加工が始
まることを避け、蒸発した高温ガスが被加工物に沿って
流れないように制御して、テーパが少なく、かつ、熱影
響も少ないビアホール加工を実現することができる。
【0016】請求項2に記載の発明においては、パルス
レーザのエネルギー密度分布を切り替えられるプロファ
イル切り替え手段を有し、パルスレーザのエネルギー密
度分布を、略均一な分布と中央部に集中させた分布とに
切り替え、まず、中央に集中させたエネルギー密度分布
のパルスレーザを用いて被加工面に凹部を形成したの
ち、略均一なエネルギー密度分布のパルスレーザを用い
ることによって、ビアホール径全体に渡って同時に加工
が始まることを避け、蒸発した高温ガスが被加工物に沿
って流れないように制御して、テーパが少なく、かつ熱
影響も少ないビアホール加工を実現することができる。
【0017】請求項3に記載の発明においては、所望の
加工穴径よりも小径、かつ、中央に集中させたエネルギ
ー密度分布のパルスレーザを用いて被加工面に凹部を形
成したのち、前記所望の加工穴径とほぼ等しい径の略均
一なエネルギー密度分布のパルスレーザを用いることに
よって、ビアホール径全体に渡って同時に加工が始まる
ことを避けるとともに、ビアホール中央部に形成された
凹部の蒸発ガスは加工面に垂直に噴き出すような流れを
作るので、全体の蒸発ガスも被加工物に沿って流れにく
くなり、テーパが少なく、かつ、熱影響も少ないビアホ
ール加工を実現することができる。
【0018】(第1の実施形態)図1に本実施形態にお
けるレーザ加工装置の構成を示す。
【0019】同図のレーザ加工装置は、パルスレーザを
発生するレーザ発振器1と、パルスレーザを被加工面上
で走査するための光学系2と、被加工物(絶縁樹脂基板
と銅箔部を含むプリント配線基板)3を固定する真空チ
ャックプレート4と、真空チャックプレート4を2軸方
向に移動可能に保持するX−Yテーブル5と、パルスレ
ーザの光路上に配置され、パルスレーザのビーム径を制
限するマスク6と、パルスレーザのエネルギー密度分布
を可変するプロファイル可変手段14とを有している。
【0020】プロファイル可変手段14は、被加工物3
に照射するパルスレーザのエネルギー密度分布を可変す
るもので、複数のレンズを組み合わせた光学的な手段が
良く用いられる。通常、レーザ発振器1から照射された
レーザ光のエネルギー密度分布はガウス分布8であるこ
とが多い。その分布形状を、このプロファイル可変手段
14で変更する。変更後のエネルギー密度分布は、図2
に示すように、中央部を除く部分はトップハット分布1
2に近いほぼ均一なセミフラット分布15であり、中央
部のみ、周囲よりもエネルギー密度が高くなっている分
布形状である。
【0021】図2を参照しながら、このセミフラット分
布15によるビアホール加工の進行の様子を説明する。
【0022】まず、パルスレーザを照射開始すると、エ
ネルギー密度分布の高い中央部のビームが当たっている
被加工物3の中央部の温度上昇が、周辺部よりも早くな
る。パルスレーザの照射を続けると、被加工物3の温度
は急激に高くなり、まず、表面中央部が融点に達し、溶
融状態となる。さらに、パルスレーザの照射を続ける
と、表面中央部が沸点に達し、蒸発が始まる。溶融樹脂
の蒸発により、瞬時に体積が膨張するので、四方八方に
高温ガスが広がろうとする。それと同時に、蒸発した樹
脂部分は吹き飛んで、被加工物3の表面中央部に凹部1
6が形成される(図2(a))。
【0023】更に、パルスレーザの照射を続けると、表
面中央部の蒸発が進み、凹部16が徐々に深くなってい
く。図2(b)に示したこの状態では、樹脂の加熱によ
る蒸発は、主として凹部16の底部で生じており、蒸発
による吹き飛びは凹部の壁面に沿って起きる。このた
め、高温ガスの流れは、被加工物3の表面に沿うより
も、垂直方向に噴き出す流れが主流となる。
【0024】この状態からさらにパルスレーザの照射を
続けると、図2(c)に示すように、レーザビームの中
央部以外のところでも、被加工物3の温度が沸点に達
し、蒸発が起き始める。ここでも被加工物3の中央部で
は、凹部16の底部で激しい蒸発が生じており、垂直方
向へ噴き出すガスの流れが生じているので、その周囲で
生じる蒸発による流れも、中央部の主流に引きずられる
形で垂直方向への流れが強くなる。したがって、被加工
物3の表面に沿った流れは少なくなり、高温の蒸発ガス
による表面の熱影響は少なくなる。
【0025】パルスレーザの照射を続けると、ビアホー
ルの径全体が深く掘れていくので、噴出する蒸発ガスは
ビアホールの壁面に沿ってほぼ垂直に噴き出す。当然、
加工が進むと、中央部分のレーザが早く銅箔9に到達す
る。しかしながら、銅の熱伝導率は樹脂よりも数段高
く、かつ、融点や沸点も樹脂より大幅に高いので、中央
部だけがダメージを受ける前にビアホール径全体の樹脂
の加工が進み、ブラインドビアホール加工が終了する。
【0026】以上のように、パルスレーザのエネルギー
密度分布を中央部で強く、かつ、周辺部でほぼ均一なセ
ミフラット分布にすることによって、ビアホールの中央
部から加工を開始させる。そのため、被加工物の中央部
分に垂直な蒸発ガスの噴き出し流れが形成されてから、
周囲の加工を始めることになるので、周辺部の蒸発ガス
は、中央部の蒸発ガスに引きずられる。したがって、高
温の蒸発ガスが被加工物の表面に沿って流れることが少
なくなり、その部分への熱影響が減るという効果が得ら
れる。
【0027】(第2の実施形態)図3に本実施形態にお
けるレーザ加工装置の構成を示す。
【0028】同図のレーザ加工装置は、パルスレーザを
発生するレーザ発振器1と、パルスレーザを被加工面上
で走査するための光学系2と、被加工物(絶縁樹脂基板
と銅箔部を含むプリント配線基板)3を固定する真空チ
ャックプレート4と、真空チャックプレート4を2軸方
向に移動可能に保持するX−Yテーブル5と、パルスレ
ーザの光路上に配置され、パルスレーザのビーム径を制
限するマスク6と、パルスレーザのエネルギー密度分布
を切り替えるプロファイル切り替え手段17とを有して
いる。
【0029】プロファイル切り替え手段17は、被加工
物3に照射するパルスレーザのエネルギー密度分布を可
変するものである。通常、レーザ発振器1から照射され
たレーザ光のエネルギー密度分布はガウス分布7である
ことが多い。その分布形状を、このプロファイル切り替
え手段17で少なくとも2種類に変更することができ
る。その2種類の変更後のエネルギー密度分布は、図4
に示すように、ビアホール径の中央部のみにエネルギー
を集中した集中分布18(図4(a))とビアホールの
径全体に渡ってほぼ均一なトップハット分布12(図4
(b))である。この2種類のパルスレーザを用いて、
図5に示すような手順により加工を行なう。
【0030】図4及び図5を参照しながら、この加工手
順によるビアホール加工の進行の様子を説明する。
【0031】まず、集中分布18のパルスレーザを照射
する。エネルギー密度分布が中央部に集中しているの
で、被加工物3の中央部が急激に温度上昇する。まず、
被加工物3の表面中央部が融点に達し、溶融状態とな
る。さらに、パルスレーザの照射を続けると、表面中央
部が沸点に達し、蒸発が始まる。蒸発ガスは四方八方に
広がる。それと同時に、蒸発した樹脂部分は吹き飛ん
で、被加工物3の表面中央部に凹部16が形成される。
【0032】パルスレーザの照射を続けると、表面中央
部の蒸発が進み、凹部16が徐々に深くなっていく。図
4(a)に示したこの状態では、樹脂の加熱による蒸発
は、凹部16の底部で生じており、蒸発による吹き飛び
は凹部の壁面に沿って起きる。このため、高温ガスの流
れは、被加工物3の表面に沿うよりも、垂直方向に噴き
出す流れが主流となる。
【0033】ここで、エネルギー密度分布をトップハッ
ト分布12に変更する。トップハット分布12のパルス
レーザを照射した場合、ビアホールの径全体に渡って均
一な加熱がさせるので、中央に形成された凹部だけでな
く、周辺部でも被加工物3の温度が沸点に達し、蒸発が
生じる。しかし、もともと集中的に加熱され、加工が進
んでいる中央の凹部15の底部では、周囲よりも激しい
蒸発が生じ、垂直方向へ噴き出すガスの流れが生じるの
で、その周囲で生じる蒸発による流れも、中央部の主流
に引きずられる形で垂直方向への流れが強くなる(図4
(b))。したがって、被加工物3の表面に沿った流れ
は少なくなり、高温の蒸発ガスによる表面の熱影響は少
なくなる。
【0034】ここで、エネルギー密度分布の変更に時間
がかかり、被加工物3の温度が室温まで低下した場合を
考えてみる。この場合、トップハット分布のパルスレー
ザによる加熱はビアホールの径全体に渡って均等に生
じ、溶融、蒸発という現象もほぼ同時に起きると考えら
れる。そのとき、被加工物3の中央表面には、すでに凹
部16が形成されているので、そこで生じた蒸発ガスは
凹部16の壁面に沿って垂直方向に噴き出すことにな
る。そのため、その周囲で生じる蒸発による流れも、中
央部の流れに引きずられる形で垂直方向への流れが強く
なる。したがって、被加工物3の表面に沿った流れは少
なくなり、高温の蒸発ガスによる表面の熱影響は少なく
なる。
【0035】このあと、パルスレーザの照射を続ける
と、ビアホールの径全体が深く掘れていくので、噴出す
る蒸発ガスはビアホールの壁面に沿ってほぼ垂直に噴き
出す。エネルギー密度分布はトップハット分布であるか
ら、ビアホールの径全体の加工がほぼ均等に進み、ブラ
インドビアホール加工が終了する。
【0036】以上のように、パルスレーザのエネルギー
密度分布を2種類に変更し、まず、中央に集中した分布
で、ビアホールの中央部から加工を開始させ、凹部を形
成して、その後、トップハット分布のレーザを用いて加
工する。これにより、被加工物の中央部分に垂直な蒸発
ガスの噴き出し流れを形成し、周辺部の蒸発ガスを中央
部の蒸発ガスで誘引する効果を起こすことができる。し
たがって、高温の蒸発ガスが被加工物の表面に沿って流
れることが少なくなり、その部分への熱影響が減るとい
う効果が得られる。
【0037】(第3の実施形態)図6に本実施形態にお
けるレーザ加工方法を実現する加工装置の構成を示す。
【0038】同図のレーザ加工装置は、パルスレーザを
発生する2台のレーザ発振器1と、2つのパルスレーザ
を同時に、或いは、片方ずつ被加工面上で走査するため
の光学系2と、被加工物(絶縁樹脂基板と銅箔部を含む
プリント配線基板)3を固定する真空チャックプレート
4と、真空チャックプレート4を2軸方向に移動可能に
保持するX−Yテーブル5と、パルスレーザの光路上に
配置され、パルスレーザのビーム径を制限する2種類の
マスク18及び19と、パルスレーザのエネルギー密度
分布を変更する2種類のプロファイル変更手段20及び
21とを有している。
【0039】以下、図4及び図5を参照しながら、本実
施形態におけるレーザ加工装置の具体的な動作仕様を第
2の実施形態と関連付けながら詳述する。
【0040】プロファイル変更手段20及び21、被加
工物3に照射するパルスレーザのエネルギー密度分布を
可変するものである。通常、レーザ発振器1から照射さ
れたレーザ光のエネルギー密度分布はガウス分布7であ
る。その分布形状を、このプロファイル変更手段20及
び21によって2種類に変更することができる。その2
種類の変更後のエネルギー密度分布のひとつは、図4に
示すように、所望の加工穴径よりも小径、かつ、中央に
集中させた集中分布18(図4(a))であり、もうひ
とつは所望の加工穴径とほぼ等しい径の略均一なトップ
ハット分布12(図4(b))である。この2種類のパ
ルスレーザを用いて、第2の実施形態と同様の手順によ
り加工を行なう。つまり、第2の実施形態との相違点
は、2種類のエネルギー密度分布を持ったパルスレーザ
を、1つのレーザ発振器とプロファイル切り替え手段で
実現するか、2つのレーザ発振器と2つのプロファイル
変更手段で実現しているかというところである。
【0041】第2の実施形態と同様に、本実施形態にお
いても、2つのレーザ発振器を用いて、それぞれ異なる
エネルギー密度分布を持ったパルスレーザを作り、ま
ず、中央に集中した分布で、ビアホールの中央部から加
工を開始させ、凹部を形成して、その後、トップハット
分布のレーザを用いて加工することにより、被加工物の
中央部分に垂直な蒸発ガスの噴き出し流れを形成し、周
辺部の蒸発ガスを中央部の蒸発ガスで誘引する効果を起
こすことができる。したがって、高温の蒸発ガスが被加
工物の表面に沿って流れることが少なくなり、その部分
への熱影響が減るという効果が得られる。
【0042】なお、本実施形態では、2つのレーザ発振
器と2つのプロファイル変更手段を用いた構成を示した
が、同様の加工方法は1つのレーザ発振器でパルスレー
ザのエネルギー密度分布を切り替えることでも実現でき
ることは第2の実施形態で示した通りである。
【0043】また、複数のエネルギー密度分布を組み合
わせて加工を行なうために、複数のエネルギー密度分布
を作り出し、切り替える構成は上記のもの以外にも考え
られるが、本実施形態に示した組合せで加工することに
より、同様の作用、効果が得られることは明らかであ
る。
【0044】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、中央部
のエネルギー密度分布を強く、かつ、周辺部でほぼ均一
にしたパルスレーザを用いることによって、高温の蒸発
ガスが被加工物の表面に沿って流れることを抑制できる
ので、表面への熱影響を減少させるという効果が得られ
る。
【0045】また、請求項2に記載の発明によれば、エ
ネルギー密度分布が中央で高い集中分布とほぼ均一なト
ップハット分布の2種類のパルスレーザを用いることに
よって、高温の蒸発ガスが被加工物の表面に沿って流れ
ることを抑制できるので、表面への熱影響を減少させる
という効果が得られる。
【0046】また、請求項3に記載の発明によれば、2
つのレーザ発振器を用いて、それぞれ異なるエネルギー
密度分布を持ったパルスレーザを作り、まず、中央に集
中した分布で、ビアホールの中央部から加工を開始さ
せ、凹部を形成して、その後、トップハット分布のレー
ザを用いて加工することにより、高温の蒸発ガスが被加
工物の表面に沿って流れることを抑制できるので、表面
への熱影響を減少させるという効果が得られる。
【0047】いずれの場合も、周辺部分はほぼ均一なエ
ネルギー密度分布であるので、ビアホール内面のテーパ
を少なくする効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレーザ加工装置
の概略構成図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る加工過程の説明
【図3】本発明の第2の実施形態に係るレーザ加工装置
の概略構成図
【図4】本発明の第2の実施形態に係る加工過程の説明
【図5】本発明の第2の実施形態に係る加工手順のフロ
ーチャート
【図6】本発明の第3の実施形態に係るレーザ加工方法
を実施する装置の概略構成図
【図7】従来技術のレーザ加工装置の概略構成図
【図8】従来技術の加工過程の説明図
【図9】従来技術の加工過程の説明図
【符号の説明】
1 レーザ発振器 2 光学系 14 プロファイル可変手段

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルスレーザを発生するレーザ発振器
    と、前記パルスレーザを被加工面上で走査するための光
    学系と、前記パルスレーザのエネルギー密度分布をガウ
    ス分布とは異なる非均一分布に変更するプロファイル可
    変手段とを有するレーザ加工装置であって、前記プロフ
    ァイル可変手段は、前記パルスレーザの中央部のエネル
    ギー密度分布を周囲よりも強くすると共に、中央部を除
    いた部分は略均一なセミフラット分布とすることを特徴
    とするレーザ加工装置。
  2. 【請求項2】 パルスレーザを発生するレーザ発振器
    と、前記パルスレーザを被加工面上で走査するための光
    学系と、前記パルスレーザのエネルギー密度分布を、少
    なくとも略均一な分布と中央部に集中させた分布との2
    種類に切り替えられるプロファイル切り替え手段とを有
    するレーザ加工装置であって、前記プロファイル切り替
    え手段は、前記中央に集中させたエネルギー密度分布の
    パルスレーザを用いて被加工面に凹部を形成した後、前
    記中央に集中させたエネルギー密度分布のパルスレーザ
    よりも径の大きな略均一なエネルギー密度分布のパルス
    レーザを用いて加工を行なう制御機能を有することを特
    徴とするレーザ加工装置。
  3. 【請求項3】 所望の加工穴径よりも小径、かつ、中央
    に集中させたエネルギー密度分布のパルスレーザを用い
    て被加工面に凹部を形成した後、前記所望とする加工穴
    径とほぼ等しい径の略均一なエネルギー密度分布のパル
    スレーザを用いてブラインドビアホール加工を行なうこ
    とを特徴とするレーザ加工方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012221914A (ja) * 2011-04-14 2012-11-12 Nissan Motor Co Ltd レーザー透過部材の切断方法及び切断装置並びに電極製造方法
JP2012221913A (ja) * 2011-04-14 2012-11-12 Nissan Motor Co Ltd 電極製造方法及びレーザーカット装置

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