JP2003046168A - ガスレーザ装置およびガスレーザ用制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】パルス発振や高速な出力変化に合わせ、整合条
件を高速に切り替え、常に最適な整合条件で電力注入を
行う高効率のガスレーザ装置およびガスレーザ用制御装
置を提供する。 【解決手段】高周波放電により励起されるガスレーザ発
振器の放電部７の電極３、４と高周波電源１の間に整合
回路２を設けたガスレーザ装置であって、整合回路２に
可変容量を断続するスイッチ２５を設け、複数の整合条
件の切り替えを可能とする。ガスレーザ用制御装置は、
高周波電源の出力を可変にするとともに、各出力それぞ
れに最適な整合条件を得るようにスイッチ２を切り替え
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、レーザガスを高周
波放電励起するガスレーザ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の技術は、特開昭５４−１０３６９
２号、特開昭６３−１９２２８５号、特開平６−９００
４８号などに示されているが、整合回路に関する記述は
極めて少ない。

【０００３】図４は、特開昭５４−１０３６９２号に示
された従来の交流放電励起ウェーブガイドガスレーザの
断面図であり、交流電圧電源５１、結合回路５２）、細
長い導電性電極５３、５４、導電性電極５３、５４を間
にして相対向して設けられた細長い誘電体メンバ５５、
ブロック５６から構成され、結合回路５２は、第１の可
変容量５２１とインダクタ５２２と第２の可変容量５２
３から構成されている。

【０００４】細長い導電性電極５３、５４と、対向して
設けられた細長い誘電体メンバ５５によって囲まれた空
間５７には、レーザガスが充填されている。

【０００５】交流電圧電源５１が両電極５３、５４間に
接続され、所定のレーザ転移のエネルギーレベルの転換
に十分なレーザガス中の放電を生じさせる適当な動作電
圧を供給する。両電極５３、５４間に交流励起電圧を与
えるのに使用され得る特別の結合回路５２の一例は、電
源５１に並列に接続された第１の可変容量５２１と、電
源５１の一方の端子と電極５３との間に接続されたイン
ダクタ５２２と、電源５１の他方の端子と電極５３との
間に接続された第２の可変容量５２３とを具備し、電源
５１の他方の端子は他方の電極５４にも電気的に接続さ
れている。この結合回路５２は放電部すなわち放電チャ
ンバを規定する構造（即ち電極５３、５４、誘電体メン
バ５５、並びにブロック５６）のリアクタンスによるイ
ンピーダンスを消去するインピーダンス整合回路として
の機能を果たす。結合回路５２を用いた場合、放電が生
じた時電源５１に現れる入力インピーダンスは約５０オ
ームの抵抗性インピーダンスとなる。

【０００６】空間５７で交流放電励起されたレーザガス
は、紙面に垂直な方向に組まれた共振器（図示せず）で
レーザ発振しレーザ光を出射する。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】このガスレーザ装置に
おいては、高周波電力を電極５３、５４間に印加しレー
ザガスを放電励起してレーザ光出力を得る。

【０００８】このため、効率的な電力注入を行うために
は、電力整合回路（結合回路５２）を用いて高周波発生
器（交流電圧電源５１）と、放電インピーダンスを概略
一致させることが必要となる。

【０００９】レーザガスの放電を行う場合、高周波電力
の注入量により、負荷インピーダンスが変化し、又、パ
ルス発振の場合、放電開始直前は負荷インピーダンスが
無限大に近く、放電が開始した直後に負荷インピーダン
スが数オームまで急激に低下する。従って、効率的な電
力注入を行うためには、電力の注入量、放電開始直前、
放電継続時の状況によって、別々な最適整合条件が必要
となる。

【００１０】従来のガスレーザ装置で用いられているほ
とんどの電力整合回路は、１つの固定された整合条件に
より電力注入を行っており、非効率な整合条件が存在す
る。

【００１１】又、他の方式として、反射電力を検出し、
反射電力が常に最小となるよう整合回路の可変容量を機
械的な手段を用いて変化させる方法をとっている。しか
し、可変容量の変化速度の高速化が困難であるため、一
定出力やゆるやかな変化の連続発振には有効であるが、
パルス発振や高速な出力変化には追従できない。

【００１２】本発明は、パルス発振や高速な出力変化に
合わせ、整合条件を高速に切り替え、常に最適な整合条
件で電力注入を行う高効率のガスレーザ装置およびガス
レーザ用制御装置を提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】請求項１記載のガスレー
ザ装置は、高周波放電により励起されるガスレーザ発振
器の放電部と高周波電源の間に整合回路を設けたガスレ
ーザ装置であって、整合回路に容量素子、誘導素子、ま
たは容量素子と誘導素子の組み合わせ回路を断続するス
イッチを設け、複数の整合条件の切り替えを可能とした
ものである。

【００１４】請求項１記載のガスレーザ装置によれば、
スイッチにより複数の整合条件の切り替えることによ
り、高速な負荷インピーダンスの変動に対し、最適な整
合条件を維持することができ、反射損失の低減が実現で
きる。

【００１５】請求項２記載のガスレーザ用制御装置は、
請求項１記載のガスレーザ装置を制御するガスレーザ用
制御装置であって、高周波電源の出力を可変にするとと
もに、各出力それぞれに最適な整合条件を得るようにス
イッチを切り替えることを特徴とするものである。

【００１６】請求項２記載のガスレーザ用制御装置によ
れば、高速な出力変化による負荷インピーダンスの変化
に対して、最適な整合条件を維持することができ、高効
率な可変出力が得られる。

【００１７】請求項３記載のガスレーザ用制御装置は、
請求項１記載のガスレーザ装置を制御するパルス用レー
ザのガスレーザ用制御装置であって、放電開始直前と放
電継続時でそれぞれに最適な整合条件を得るようにスイ
ッチを切り替えることを特徴とするものである。

【００１８】請求項３記載のガスレーザ用制御装置によ
れば、放電開始時の急激な負荷インピーダンス変化に対
して最適な整合条件を維持することができ、高効率なパ
ルス出力が得られる。

【００１９】

【発明の実施の形態】（実施の形態１）図１は、本発明
の第１の実施の形態におけるガスレーザ装置の概略断面
図および回路図を示し、図１において、１は高周波電
源、２は整合器、３、４は電極、５は電極３、４を間に
して相対向して設けられた細長い誘電体メンバ、６はブ
ロック、７は放電用隙間であり、上記の放電部は従来例
と同構成である。整合器２において、２１は高周波電源
１に並列に接続された第１の可変容量、２２は電源１の
一方の端子と電極３との間に接続されたインダクタン
ス、２３は電源１の他方の端子と電極３との間に接続さ
れた第２の可変容量である。２４は第３の可変容量、２
５は第３の可変容量２４を開閉するスイッチであり、こ
れらが直列に接続されて高周波電源１に並列に接続され
ている。８は高周波電源１とスイッチ２５を制御する制
御装置であり、スイッチ２５は整合器２の整合条件を高
速に切り替える作用を行う。

【００２０】図１において、放電用隙間７にはヘリウ
ム、窒素、二酸化炭素の混合ガスが封入され、高周波電
源１より電力が入力され放電励起を行う。高周波電源１
の特性インピーダンス（５０オーム）と放電部の放電負
荷インピーダンス（約５オーム）のインピーダンス整合
のために、高周波電源１と電極３、４との間に整合器２
が設けられている。整合器２は可変容量２１、２３、２
４とインダクタンス２２および可変容量２４を開閉する
スイッチ２５で構成されており、スイッチ２５を開閉す
ることにより、２つの負荷インピーダンス、例えば高周
波電力の注入量に応じた２つの負荷インピーダンスや、
放電開始直前と放電継続時の２つの負荷インピーダンス
など、に対して高周波電源１より見たインピーダンスを
約５０オーヒムにすることができる。

【００２１】電極３、４の間で放電励起されたレーザガ
スは、紙面に垂直な方向に設置された共振器（図示せ
ず）でレーザ発振し、レーザ光が取り出される。

【００２２】従来の整合器では、可変容量２４およびス
イッチ２５がなく、調整時に可変容量２１、２２を最も
良い条件にして固定し、一つの整合条件にて使用してい
たが、本発明では、可変容量２４およびスイッチ２５を
追加し、複数の整合条件を得ることができる。

【００２３】（実施の形態２）図２は、本発明の第２の
実施の形態におけるガスレーザ装置および制御装置を示
し、図１と比較して制御装置８１の構成が異なる。９１
は出力外部指令である。制御装置８１において、８１
２、８１３は外部指令９１に応じた出力設定値、８１１
は外部指令値９１により出力設定値８１２、８１３およ
びスイッチ２５を制御する制御回路、８１４は出力設定
値８１２、８１３の切り替え手段である。制御装置８１
は出力設定値切り替え手段８１４とスイッチ２５を同期
して動作させることにより、出力設定を高速に変化させ
ても最適な整合条件を維持する作用を行う。

【００２４】図２において、整合器２の可変容量２１、
２３は出力設定８１２に最適な整合条件となるようあら
かじめ調整しておき、可変容量２４はスイッチ２５を閉
じたとき出力設定８１３に最適となるよう調整してお
く。制御装置８１は外部指令９１により出力設定８１
２、８１３を切り替えると同時にスイッチ２５を動作さ
せ、どちらの出力設定でも最適な整合条件を得ることが
できる。

【００２５】（実施の形態３）図３は、本発明の第３の
実施の形態におけるガスレーザ装置およびガスレーザ用
制御装置を示し、図１と比較して制御装置８２が異な
る。９２はパルス信号発生部、８２１は放電開始前より
放電開始までの時間を設定するタイマである。制御装置
８２は、パルス信号発生部９２よりパルス発振のため高
周波電源１に入力するパルス信号を受けて、タイマ８２
１にて、放電開始前より放電開始までの時間の信号を作
りだし、スイッチ２５を動作させることにより、放電開
始時の急激な負荷インピーダンス変化に対して、最適な
整合条件を維持するという作用を行う。

【００２６】図３において、整合器２の可変容量２１、
２３は放電継続時に最適な整合条件となるようあらかじ
め調整しておき、可変容量２４はスイッチ２５を閉じた
とき放電開始前の状態に最適となるよう調整しておく。
また、タイマ８２１は、高周波電力注入後放電開始まで
の時間をあらかじめ設定しておく。制御装置８２は、タ
イマ８２１によりパルス信号が高周波電源１に入って放
電開始するまでの間スイッチ２５を閉じ、放電開始前後
での最適な整合条件を得ることができる。

【００２７】なお、この発明において、各実施の形態で
は容量素子をスイッチで開閉したが、整合回路の容量素
子、誘導素子、または容量素子と誘導素子の組み合わせ
回路の少なくともいずれかをスイッチにより切り替える
ことができ、各素子または回路は複数でもよい。

【００２８】

【発明の効果】請求項１記載のガスレーザ装置によれ
ば、スイッチにより複数の整合条件の切り替えることに
より、高速な負荷インピーダンスの変動に対し、最適な
整合条件を維持することができ、反射損失の低減が実現
できる。

【００２９】請求項２記載のガスレーザ用制御装置によ
れば、高速な出力変化による負荷インピーダンスの変化
に対して、最適な整合条件を維持することができ、高効
率な可変出力が得られる。

【００３０】請求項３記載のガスレーザ用制御装置によ
れば、放電開始時の急激な負荷インピーダンス変化に対
して最適な整合条件を維持することができ、高効率なパ
ルス出力が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明における第１の実施の形態のガスレーザ
装置の構成図である。

【図２】第２の実施の形態のガスレーザ装置の構成図で
ある。

【図３】第３の実施の形態のガスレーザ装置の構成図で
ある。

【図４】従来のガスレーザ装置の構成図である。

【符号の説明】

１ 高周波電源 ２ 整合器 ３、４ 電極 ５ 誘電体メンバ ６ ブロック ７ 放電用隙間 ８ 制御装置 ２１、２３、２４ 可変容量 ２２ インダクタンス ２５ スイッチ ８１ 制御装置 ８２ 制御装置

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高周波放電により励起されるガスレーザ
   発振器の放電部と高周波電源の間に整合回路を設けたガ
   スレーザ装置であって、 前記整合回路に容量素子、誘導素子、または容量素子と
   誘導素子の組み合わせ回路を断続するスイッチを設け、
   複数の整合条件の切り替えを可能としたガスレーザ装
   置。
2. 【請求項２】 請求項１記載のガスレーザ装置を制御す
   るガスレーザ用制御装置であって、高周波電源の出力を
   可変にするとともに、各出力それぞれに最適な整合条件
   を得るようにスイッチを切り替えることを特徴とするガ
   スレーザ用制御装置。
3. 【請求項３】 請求項１記載のガスレーザ装置を制御す
   るパルス用レーザのガスレーザ用制御装置であって、放
   電開始直前と放電継続時でそれぞれに最適な整合条件を
   得るようにスイッチを切り替えることを特徴とするガス
   レーザ用制御装置。