JP2003044564A - 構造物の資産管理方法、資産管理システムおよび資産評価活用ファイル - Google Patents

構造物の資産管理方法、資産管理システムおよび資産評価活用ファイル

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JP2003044564A
JP2003044564A JP2001227131A JP2001227131A JP2003044564A JP 2003044564 A JP2003044564 A JP 2003044564A JP 2001227131 A JP2001227131 A JP 2001227131A JP 2001227131 A JP2001227131 A JP 2001227131A JP 2003044564 A JP2003044564 A JP 2003044564A
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Makoto Abe
允 阿部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 橋梁1その他の構造物の維持管理ないし
資産管理を合理的に行い、維持管理の財源の確保、資金
調達コストの低減が可能で、予防保全などの効果による
経済効果を先取り可能な構造物の資産管理方法、資産管
理システムおよび資産評価活用ファイルを提供するこ
と。 【解決手段】 橋梁1その他の構造物をその利用による
所定の資産価値を生み出す資産としてとらえ、これを運
用して維持管理のための資金を調達することに着目し、
構造物1に関するデータなどを構造物データベース4に
保存する調査分析工程と、対策工法およびその施工のタ
イミングなど構造物1に対する投資の最適化を行う意思
決定工程と、構造物1の資産としての価値を評価活用す
る資産の評価活用工程と、を有し、構造物1および上記
各工程におけるリスク管理を行って、構造物1の資産と
しての価値を管理することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は構造物の資産管理方
法、資産管理システムおよび資産評価活用ファイルにか
かるもので、とくに橋梁、トンネル、斜面などの土構
造、その他の土木構造物などの構造物の資産管理方法、
資産管理システムおよび資産評価活用ファイルに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】橋梁その他の構造物の維持管理の現状を
述べると、老朽構造物の増大はもとより、その維持管理
のための経済的、技術的および人的な負担が増加する傾
向にある。しかしながら、従来からの維持管理システム
は、構造物について何か損傷、故障あるいは問題があっ
たときに初めて対処する、いわゆる「後追い的なメンテ
ナンス」を行っているのが実状であり、構造物の荒廃が
急激に進行しており、その寿命の短命化が危惧されると
ともに、このまま放置すればその維持管理のための負担
増は、現状の数倍をこえるものと推測される。
【0003】橋梁その他の構造物はその多くが公共性が
高いものであるため、国あるいは自治体が主導権をもっ
て建設および維持管理を行う場合が多いが、構造物の利
用度を考慮したその資産としての評価が行われていない
ために、体系的な維持管理の手法が開発されていないと
いう問題がある。
【0004】とくに、構造物について予防保全の重要性
および必要性は確認されていながら、この予防保全を的
確に行うための維持管理方法ないし維持管理システムが
開発されていないために、費用対効果の程度ないし割合
を明確化することが困難で、予防保全による経済効果を
どのように算定し、かつ確保するかのシステムが確立さ
れていないのが現状である。さらには、維持管理に膨大
な費用がかかる橋梁その他の構造物についてこれを、費
用ばかりかかる負の資産と見る考え方が大勢を占め、こ
うした構造物から利益を生み出そうとする、いわゆるイ
ンフラストラクチャーとしての公共構造物をストック
(ハード的な財産そのもの)ないしアセット(収入を上
げることができる価値を有する資産)として維持管理す
る発想がなかった。すなわち、橋梁その他の構造物の建
設には多額の税金を投入しながら、構造物の資産として
の側面に着目した資産管理方法ないしは資産管理システ
ムがなく、投入する経費も必要に応じたもので、資産価
値を高めるための経費はほとんど評価されないため、維
持管理について合理的かつ有効な投資を行うことが事実
上困難であるという問題がある。
【0005】とくに、構造物を物理的な物体としてその
建設および維持管理を行うという従来の考え方(図1に
もとづき後述)には、構造物にもとづく、ないしはこれ
を活用したサービス提供という思想がないために、その
維持管理の合理化には限界があるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
諸問題にかんがみなされたもので、橋梁その他の構造物
の維持管理ないし資産管理を合理的に行うことを可能と
する構造物の資産管理方法、資産管理システムおよび資
産評価活用ファイルを提供することを課題とする。
【0007】また本発明は、構造物の維持管理の適正化
およびその財源の確保を可能とする構造物の資産管理方
法、資産管理システムおよび資産評価活用ファイルを提
供することを課題とする。
【0008】また本発明は、構造物の維持管理のための
資金調達コストを低減可能な構造物の資産管理方法、資
産管理システムおよび資産評価活用ファイルを提供する
ことを課題とする。
【0009】また本発明は、構造物の維持管理の最適化
および低コスト化が可能な構造物の資産管理方法、資産
管理システムおよび資産評価活用ファイルを提供するこ
とを課題とする。
【0010】また本発明は、構造物を資産としてとら
え、その資産を活用可能な構造物の資産管理方法、資産
管理システムおよび資産評価活用ファイルを提供するこ
とを課題とする。
【0011】また本発明は、構造物をベースとしたサー
ビスの向上を図ることができる構造物の資産管理方法、
資産管理システムおよび資産評価活用ファイルを提供す
ることを課題とする。
【0012】また本発明は、構造物の利用規制およびそ
の監視の強化を図ることができる構造物の資産管理方
法、資産管理システムおよび資産評価活用ファイルを提
供することを課題とする。
【0013】また本発明は、構造物の維持管理のために
その資産価値を考慮し、予防保全などの効果による経済
効果を先取り可能な構造物の資産管理方法、資産管理シ
ステムおよび資産評価活用ファイルを提供することを課
題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、橋梁
その他の構造物を単なる物理的な構造物や単なる財産と
して扱うのではなく、その利用による所定の資産価値を
生み出す資産としてとらえて、これを運用することによ
りその維持管理のための資金を調達することを可能とす
ること、構造物の資産価値を再評価してその資産価値を
算定するとともに、その余寿命および耐久性などに関す
るリスク評価を行うことにより、構造物の資産としての
価値を管理することに着目したもので、第一の発明は、
建設された構造物の維持管理を行うための構造物の資産
管理方法であって、上記構造物について調査分析を行っ
て、少なくとも該構造物の現状および将来に関するデー
タとその維持管理のための対策工法とを構造物データベ
ースに保存する調査分析工程と、この構造物データベー
スの各種データにもとづき、上記対策工法およびその施
工のタイミングなどの意思決定を行って、上記構造物に
対する投資の最適化を行う意思決定工程と、上記構造物
の資産としての価値を評価活用してその資産運用のため
の資産管理を行う資産の評価活用工程と、を有するとと
もに、上記構造物に対するリスク管理、ならびにこれら
の調査分析工程、意思決定工程および資産の評価活用工
程におけるリスク管理を行って、上記構造物の資産とし
ての価値を管理することを特徴とする構造物の資産管理
方法である。
【0015】上記構造物について算定した上記資産価値
にもとづき、上記維持管理のための財源を確保すること
ができる。
【0016】上記構造物について算定した上記資産価値
にもとづき、証券化を行って資産運用することができ
る。
【0017】第二の発明は、建設された構造物の維持管
理を行うための構造物の資産管理システムであって、上
記構造物について調査分析を行って、少なくとも該構造
物の現状および将来に関するデータとその維持管理のた
めの対策工法とを構造物データベースに供給するための
データを準備する調査分析ファイルと、この構造物デー
タベースの各種データにもとづき、上記対策工法および
その施工のタイミングなどの意思決定を行って、上記構
造物に対する投資の最適化のためのデータを保存する意
思決定ファイルと、上記構造物の資産としての価値を評
価活用してその資産運用のための資産管理データを保存
する資産評価活用ファイルと、上記構造物に対するリス
ク管理、ならびにこれらの調査分析ファイル、意思決定
ファイルおよび資産評価活用ファイルにおける各種デー
タについてリスク管理を行うためのデータを保存するリ
スク管理ファイルと、を有して、上記構造物の資産とし
ての価値を管理することを特徴とする構造物の資産管理
システムである。
【0018】上記調査分析ファイルは、上記構造物の損
傷度を評価したデータを保存する損傷度評価ファイル
と、上記構造物の劣化を予測したデータを保存する劣化
予測ファイルと、上記構造物が保有する性能を評価した
データを保存する保有性能評価ファイルと、上記構造物
の災害時における被害額を想定した被害額想定ファイル
と、の少なくともいずれかひとつを有することができ
る。
【0019】上記意思決定ファイルは、上記構造物を維
持管理するための対策工法のデータを保存した対策工法
ファイルと、上記構造物を維持管理するための経費を最
小化するためのデータを保存する経費最小化ファイル
と、上記構造物を維持管理するための上記対策工法の施
工タイミングについてのデータを保存する対策タイミン
グファイルと、上記構造物に対して行う予防保全の有効
性について評価したデータを保存する予防保全有効性フ
ァイルと、の少なくともいずれかひとつを有することが
できる。
【0020】上記資産評価活用ファイルは、上記構造物
を資産として証券化し有効に活用するためのデータを保
存する証券化ファイルと、上記構造物に関するリスクの
分散および軽減を行うためのデータを保存したリスク分
散軽減ファイルと、上記構造物の災害時の被害に対応し
て資金を投資するためのデータを保存する防災投資ファ
イルと、の少なくともいずれかひとつを有することがで
きる。
【0021】上記リスク管理ファイルは、上記構造物デ
ータベースにおける上記構造物の少なくとも余寿命およ
び劣化予測のデータと、上記調査分析ファイルにおける
災害時の被害あるいは災害対策費に関するデータと、上
記意思決定ファイルにおける予防保全の有効性に関する
データと、上記資産評価活用ファイルにおける上記構造
物に関するリスクの分散および軽減を行うためのデー
タ、あるいは上記構造物の災害時の被害に対応して資金
を投資するためのデータと、の少なくともいずれかひと
つを有することができる。
【0022】第三の発明は、建設された構造物の維持管
理を行うための構造物の資産管理システムであって、上
記構造物に関する上記維持管理の効率化および寿命の延
命化を図ることにより、各年における当該維持管理のた
めの予算の平準化を実現し、上記構造物についての当該
維持管理のためのキャッシュフローを生み出すことを可
能としたことを特徴とする構造物の資産管理システムで
ある。
【0023】第四の発明は、建設された構造物の維持管
理を行うための構造物の資産管理システムであって、上
記構造物における現状、診断、対策工法などのデータを
保存しかつ更新可能とした電子カルテと、上記構造物の
現状をモニタリングするためのモニタリングシステム
と、上記構造物の上記維持管理に関与するそれぞれの維
持管理主体の間に構築したネットワークシステムと、を
設けることにより、当該維持管理を効率化するととも
に、上記構造物の定量的診断を行う診断システムと、少
なくとも上記構造物の現状および将来に関するデータと
その維持管理のための対策工法とを保存した構造物デー
タベースと、を設けて、上記構造物に関する日常的な維
持管理を充実することにより、当該構造物の延命化を図
り、各年における当該維持管理のための予算の平準化を
実現し、上記構造物についての当該維持管理のためのキ
ャッシュフローを生み出すことを可能としたことを特徴
とする構造物の資産管理システムである。
【0024】上記維持管理主体は、上記構造物を資産と
して提供する構造物管理者と、この構造物管理者と維持
管理契約を締結して、該構造物管理者から管理料を徴収
する維持管理事業者と、この維持管理事業者が、上記構
造物について実際の維持管理業務を発注する維持管理企
業と、上記構造物管理者から上記資産の信託を受けると
ともに、この維持管理事業者に事業化資金を提供する維
持管理受託者と、の少なくともいずれか二者であること
ができる。
【0025】上記構造物の余寿命および耐久性、あるい
は劣化予測などに関するリスク評価を行うことができ
る。
【0026】上記構造物の上記維持管理に関する人材を
育成するとともに、その技量の認定を行って、人材の供
給および共有を可能とすることができる。
【0027】上記構造物の上記維持管理のために調達す
る資金に対する返済資金の財源として、上記キャッシュ
フローを用いることができる。
【0028】第五の発明は、建設された構造物の維持管
理を行うための構造物の資産管理システムであって、上
記構造物を資産として提供する構造物管理者と、この構
造物管理者と維持管理契約を締結して、該構造物管理者
から管理料を徴収する維持管理事業者と、この維持管理
事業者が、上記構造物について実際の維持管理業務を発
注する維持管理企業と、上記構造物管理者から上記資産
の信託を受けるとともに、この維持管理事業者に事業化
資金を提供する維持管理受託者と、を上記構造物の維持
管理主体として位置させ、上記維持管理受託者は、上記
構造物を資産として証券化することを含む各種の資金調
達手段により、当該構造物の当該維持管理のための資金
を上記事業化資金として調達するとともに、上記維持管
理事業者は、上記構造物に関する上記維持管理の効率化
および寿命の延命化を図ることにより、各年における当
該維持管理のための予算の平準化を実現し、上記構造物
についての当該維持管理のためのキャッシュフローを生
み出し、上記維持管理受託者への返済金の調達を可能と
したことを特徴とする構造物の資産管理システムであ
る。
【0029】第六の発明は、建設された構造物の維持管
理を行うための構造物の資産管理システムであって、上
記構造物を資産として提供する構造物管理者と維持管理
契約を締結して、上記構造物について実際の維持管理業
務を維持管理企業に発注する維持管理事業者が該構造物
管理者から徴収する管理料と、上記構造物管理者から上
記資産の信託を受けた維持管理受託者がこの維持管理事
業者に提供する事業化資金と、上記維持管理事業者が上
記構造物に関する上記維持管理の効率化および寿命の延
命化を図ることにより、各年における当該維持管理のた
めの予算の平準化を実現し、上記構造物についての当該
維持管理のために生み出したキャッシュフローと、を上
記構造物の上記維持管理の財源として確保可能とし、上
記維持管理受託者は、上記構造物を資産として証券化す
ることを含む各種の資金調達手段により、当該構造物の
当該維持管理のための資金を上記事業化資金として調達
することを特徴とする構造物の資産管理システムであ
る。
【0030】上記構造物管理者の管理者端末と、上記維
持管理事業者の事業者端末と、上記維持管理企業の管理
企業端末と、のいずれかをネットワークシステムにより
結んで、上記構造物に関する情報の共有化を図ることが
できる。
【0031】第七の発明は、建設された構造物の資産管
理を行うための構造物の資産評価活用ファイルであっ
て、上記構造物の資産としての価値を評価活用してその
資産運用のための資産管理データを保存するとともに、
上記構造物の資産としての価値を管理可能とすることを
特徴とする構造物の資産評価活用ファイルである。
【0032】当該資産評価活用ファイルは、上記構造物
を資産として証券化し有効に活用するためのデータを保
存する証券化ファイルと、上記構造物に関するリスクの
分散および軽減を行うためのデータを保存したリスク分
散軽減ファイルと、上記構造物の災害時の被害に対応し
て資金を投資するためのデータを保存する防災投資ファ
イルと、の少なくともいずれかひとつを有することがで
きる。
【0033】上記構造物は、これを橋梁とすることがで
きる。
【0034】本発明による構造物の資産管理方法、資産
管理システムおよび資産評価活用ファイルにおいては、
橋梁その他の構造物を単なる物理的な構造物として扱う
のではなく、その利用による所定の資産価値を生み出す
資産としてとらえて、これを運用することにより資金を
調達することを可能とするようにしたので、構造物を資
産としての活用の道を開き、その利用はもとより、その
維持管理のための経済的、人的および技術的負担を単な
る税金その他の補助金というものに限らず、広く負担を
分担して、合理的かつ有用な維持管理を実現することが
できる。
【0035】とくに第一の発明によれば、構造物につい
て調査分析を行う調査分析工程と、構造物に対する投資
の最適化を行う意思決定工程と、構造物の資産としての
価値を評価活用する資産の評価活用工程と、を設けると
ともに、各種のリスク管理を行って、構造物の資産とし
ての価値を管理するようにしたので、構造物の現状およ
び将来的な劣化予測にもとづき、合理的な維持管理を実
現して、その経費の軽減および残存資産の向上すなわち
構造物の延命化を図るとともに、資金調達コストを低減
して、構造物の維持管理を効率的なものとすることがで
きる。
【0036】とくに第二の発明によれば、構造物につい
て調査分析を行った調査分析ファイルと、構造物に対す
る投資の最適化のためのデータを保存する意思決定ファ
イルと、構造物の資産としての価値を評価活用する資産
管理データを保存する資産評価活用ファイルと、各種デ
ータについてリスク管理を行うためのデータを保存する
リスク管理ファイルと、を設け、構造物の資産としての
価値を管理するようにしたので、第一の発明と同様に、
構造物の現状および将来的な劣化予測にもとづき、合理
的な維持管理を実現して、その経費の軽減および残存資
産の向上すなわち構造物の延命化を図るとともに、資金
調達コストを低減して、構造物の維持管理を効率的なも
のとすることができる。
【0037】とくに第三の発明によれば、維持管理の効
率化および寿命の延命化を図ることにより、各年におけ
る維持管理のための予算の平準化を実現し、キャッシュ
フローを生み出すことを可能としたので、構造物の維持
管理にキャッシュフローすなわち流用可能な利潤を生み
出すことができ、従来、負の資産としてしかとらえられ
ていない橋梁その他の構造物の資産を活用する道を開
き、資産の証券化その他の運用を可能とすることができ
る。
【0038】とくに第四の発明によれば、それぞれの構
造物についての電子カルテと、構造物の現状をモニタリ
ングするためのモニタリングシステムと、それぞれの維
持管理主体の間に構築したネットワークシステムと、を
設けることにより、維持管理を効率化するとともに、構
造物の定量的診断を行う診断システムと、構造物に関す
るデータを保存した構造物データベースと、を設けて、
構造物に関する日常的な維持管理を充実することによ
り、構造物の延命化を図り、各年における維持管理のた
めの予算の平準化を実現し、構造物についての維持管理
のためのキャッシュフローを生み出すことを可能とした
ので、第三の発明と同様に、構造物の維持管理にキャッ
シュフローすなわち流用可能な利潤を生み出すことがで
き、資産の証券化その他の運用を可能とすることができ
る。
【0039】とくに第五の発明によれば、構造物の維持
管理主体として、構造物管理者と、維持管理事業者と、
維持管理企業と、維持管理受託者と、を位置させ、維持
管理受託者が、構造物を資産として証券化することを含
む各種の資金調達手段により事業化資金を調達するとと
もに、維持管理事業者は、構造物に関する維持管理の効
率化および寿命の延命化を図ることにより各年における
維持管理のための予算の平準化を実現してキャッシュフ
ローを生み出し、維持管理受託者への返済金の調達を可
能としたので、維持管理の事業自体を維持管理主体の間
で分担して合理的に遂行することができるとともに、構
造物の維持管理のための資金を広く一般から低コストで
調達することができ、かつその返済も実現可能となる。
【0040】とくに第六の発明によれば、維持管理事業
者が構造物管理者から徴収する管理料と、維持管理受託
者が維持管理事業者に提供する事業化資金と、維持管理
事業者が生み出したキャッシュフローと、を構造物の維
持管理の財源として確保可能とし、維持管理受託者は、
構造物を資産として証券化することを含む各種の資金調
達手段により、構造物の維持管理のための資金を事業化
資金として調達するようにしたので、構造物の維持管理
のための資金を広く一般から低コストで調達することが
でき、かつその返済も実現可能となる。
【0041】とくに第七の発明によれば、構造物の資産
としての価値を評価活用してその資産運用のための資産
管理データを保存しているので、構造物の資産としての
価値を管理可能とすることができる。たとえば、証券化
ファイル、リスク分散軽減ファイルあるいは防災投資フ
ァイルなどを準備することにより、構造物を正の利潤を
生み出す資産としてとらえて、それぞれのデータを一般
に公開し、資産を運用することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】つぎに本発明の第1の実施の形態
による構造物の資産管理方法、資産管理システムおよび
資産評価活用ファイルを図1ないし図5にもとづき説明
する。図1は、橋梁1その他の構造物の資産管理方法な
いし資産管理システムに関して、従来、および現在、さ
らに本発明による考え方の相違を順次概略的に示した説
明図である。従来は、橋梁1についてその損傷度および
健全度を確認し(ステップS1)、このデータにもとづ
き維持管理の必要性を評価する(ステップS2)。たと
えば、補修、修繕、補強あるいは架替えなどの必要性を
判断する。この必要性の評価に応じて、すなわち橋梁1
の損傷度に応じて財政面からの予算化を行い(ステップ
S3)、実際の作業に取りかかる。
【0043】しかしながら、このような後追い的な維持
管理は、橋梁1に実際に損傷が生じてからの作業であっ
たり、あるいはその健全度が低下してからの処置である
ために、維持管理のための財政に過剰な負担を強いるこ
とになるとともに、橋梁1その他の構造物の老朽化や短
命化を招きやすく、橋梁1についてその維持管理に手間
や費用ばかりかかる、いわば負の資産としての認識およ
び処理しか行うことができないという問題がある。
【0044】そこで現在は、ステップS4に示すよう
に、LCCA(Life Cycle Cost An
alisis、ライフサイクルコスト評価)を行って、
橋梁1についての便益費用を算出し、ついで維持管理の
ための予算の最適化および合理化を行い(ステップS
5)、橋梁1についての維持管理のための財政の削減を
図ろうとしている(ステップS6)。
【0045】しかしながら、このような合理化のための
努力も、上述した従来のような橋梁1を負の資産とし
て、いわば物理的な構造物としてのハード的な側面しか
着目していないために、維持管理の合理化ないし財政の
健全化にも限界があるという問題がある。
【0046】そこで、本発明は、ステップS7に示すよ
うに、建設された橋梁1その他の構造物について、その
建設当初から、あるいは橋梁1によってはその建設後維
持管理をはじめる時点から、いわゆる金融工学の手法を
用いて、その資産を再評価し、その資産価値ないしスト
ック価値を評価して資産価値を算定するとともに、その
余寿命および耐久性などに関するリスク評価を行う。
【0047】ついで、ステップS8に示すように、アセ
ットマネージメント(資産管理)を行い、すなわち構造
物が有する、利潤を生み出す資産としての価値を管理し
て、橋梁1についての資産をたとえば証券化し、その維
持管理としては、ハードとしての構造物を物理的に維持
保管するのみならず、この橋梁1を用いたサービス業と
しての性能ないし特性を発揮せしめる。
【0048】かくして、ステップS9に示すように、橋
梁1の資産を活用し、その維持管理のための財政的、技
術的および人的な負担および便益の調整を図るととも
に、PFI(Private Finance Ini
tiative)と呼ばれる「民間資金や経営手法を活
用した社会資本の整備ないしその整備事業」を可能とし
て、負担の分担を実現する。
【0049】図2は、本発明の第1の実施の形態による
構造物の資産管理方法、資産管理システム2および資産
評価活用ファイルをさらに具体的に説明するための説明
図であって、資産管理方法は、橋梁1その他の構造物の
建設(ステップS10)から、調査分析工程(ステップ
S11)と、意志決定工程(ステップS12)と、資産
としての評価活用工程(ステップS13)と、これらの
工程すべてに関連するリスク管理工程(ステップS1
4)と、を有する。
【0050】橋梁1その他の構造物の建設(ステップS
10)の計画、設計および施工にあたっては、橋梁1と
しての要求性能を明確にして、性能照査設計を行うとと
もに、施工計画および工事記録のデータを保存し、電子
カルテ3および構造物データベース4に必要なデータを
保存する。電子カルテ3は、橋梁1のそれぞれについて
準備してあるもので、それぞれの橋梁1における現状、
診断、対策工法さらには将来における劣化予測などを保
存し、かつ随時あるいは一定周期で更新可能とするとと
もに、各種のファイルをシステムとして保存する構造物
データベース4の一部を構成する。なお電子カルテ3
は、橋梁1に関する現状すなわち診断結果、および適用
した対策工法などのデータを保存するとともに、構造物
における現状を診断する診断システム、目視検査を効率
よく適確に行う目視支援システムを持つこともできる。
構造物データベース4は、インターネットその他の通信
手段5を介して、それぞれの維持管理主体すなわち、構
造物管理者G、維持管理企業E、構造物専門家P、PF
I事業者F(維持管理事業者)など、ないしそれぞれの
端末(管理者端末6、管理企業端末7、専門家端末8、
事業者端末9)とネットワークシステム10を組み、双
方向にデータ通信可能としてあって、情報の共有化すな
わちデータの共有および授受を可能としてある。
【0051】「構造物管理者G」とは、橋梁1その他の
構造物を保有している国、県および市町村などの公共団
体、あるいは私鉄その他任意の民間企業であって、構造
物の維持管理に責任を有する者をいう。「維持管理企業
E」とは、こうした構造物管理者Gの管理責任のもとに
ある構造物の維持管理のために検査作業ないし診断作業
や監視作業(モニタリング)、構造物の補修、補強や構
造物の製作、工事を含むその施工作業を直接実行する工
事会社あるいは団体はもとより、その施工のための機械
あるいは機材や資材のメーカーあるいは提供者、施工シ
ステムの提供者、施工のためのソフトウェアの提供ある
いは開発を行うソフトハウス、工法の提供者、施工資材
の提供者、その他必要な技術を提供することができる任
意の会社ないし団体や個人をいう。とくに橋梁1などが
建設されている地元の維持管理企業Eは、日常的な維持
管理作業の主体(維持管理主体)となる重要な位置にあ
る。「構造物専門家P」とは、橋梁1その他の構造物に
関して各種の専門知識および経験を有するもので、構造
物管理者Gおよび維持管理企業Eに対して必要なコンサ
ルティングないしアドバイスやサポートを行うことがで
きるものである。「PFI事業者F」とは、構造物管理
者Gから依頼を受けることになる維持管理企業E、構造
物専門家P、ならびに維持管理企業Eおよび構造物専門
家Pその他がPFI(民間資金や経営手法を活用した社
会資本の整備ないしその整備事業)の事業に参画するプ
ロジェクト企業があるが、それぞれの構造物およびこれ
を取り巻く状況に応じて任意の形態を採用可能である。
【0052】調査分析工程(ステップS11)は、橋梁
1の現状について調査分析を行って、少なくとも橋梁1
の現状および将来に関するデータとその維持管理のため
の対策工法とを構造物データベース4に供給するための
データを調査分析ファイル11として保存する。調査分
析には、初期性能ないし保有性能の把握(健全度の把
握)、劣化予測(損傷度の把握)、および被害予測など
がある。初期性能ないし保有性能の把握は、橋梁1につ
いてその保有性能(安全性、耐久性)の診断、弱点の抽
出、異状の検出、損傷および変状の点検などによりこれ
を行う。劣化予測は、損傷度の把握にもとづき、発生し
た損傷の判定、劣化の発生およびその時期の予測、損傷
原因の究明、性能の変化の把握、必要な対策案の想定、
被害リストの推定などを行う。被害予測は、損傷度の評
価、劣化予測および保有性能の把握にもとづき、災害時
の被害を予測するもので、その程度および対策費につい
ても予測する。このようなデータを集積するとともに、
各種の分析および評価を行って、把握した初期性能、損
傷度、劣化予測その他にもとづき、それぞれの橋梁1に
ついて電子カルテ3を作成し、構造物データベース4と
して保存するとともに、随時あるいは定期的にデータ更
新を行う。
【0053】意志決定工程(ステップS12)は、構造
物データベース4の各種データにもとづき、対策工法お
よびその施工のタイミングなどの意思決定を行って、橋
梁1に対する投資の最適化を行い、この最適化のための
データを意思決定ファイル12として保存する。すなわ
ち、対策工法の選定、対策の経費の最小化、対策のタイ
ミング、および予防保全の有効性を把握するとともに、
それぞれの項目に関しどのようにするかについて意志決
定を行う。
【0054】資産としての評価活用工程(ステップS1
3)は、上述のような調査分析工程および意思決定工程
において把握あるいは評価した橋梁1についての各種デ
ータにもとづき、橋梁1の資産としての価値を評価活用
してその資産運用のための資産管理を行い、この資産管
理データを資産評価活用ファイル13として保存する。
すなわち、資産の有効活用たとえば証券化、財政負担そ
の他のリスクの分散および軽減、ならびに防災投資など
を行う。
【0055】リスク管理工程(ステップS14)は、構
造物データベース4、調査分析工程(ステップS1
1)、意志決定工程(ステップS12)、および資産と
しての評価活用工程(ステップS13)すべてに関連し
てリスク管理ないしリスク評価を行うもので、各種デー
タについてリスク管理を行うためのデータをリスク管理
ファイル14として保存する。すなわち、橋梁1につい
ての予防保全およびこの予防保全を含む維持管理のため
の資金の調達運用に際しては、リスク判断ないしその管
理が必要である。
【0056】本発明においては、図2の下部ブロックに
示すように、上述の各工程を有する資産管理システム2
により、橋梁1の維持管理のための財源の確保および資
金調達コストの低減、橋梁1の資産としての活用、橋梁
1をハードとしてのみ捉えるのではなく、そのソフト的
側面に着目してサービスの向上を図り、維持管理の最適
化、低コスト化を実現し、さらに橋梁1の利用規制およ
び監視の強化を図ることができるようにして、よりよい
維持管理を実現可能とする。
【0057】上記各工程について図3ないし図5にもと
づき、さらに説明する。図3は、調査分析工程(ステッ
プS11)の具体的なブロック説明図であって、図中左
方の各ブロックによる調査およびデータにもとづき、図
中右方の各ブロックによる評価および分析を行って、橋
梁1の損傷度の評価、劣化の予測、保有性能の評価(健
全度の把握)および被害額の想定などを行う。
【0058】図中左方の各ブロックを参照すると、目視
検査支援システム15および健全度診断システム16
(橋梁診断システム)(診断システム)などにより実橋
の点検および調査の結果をデータ化して電子カルテ3お
よび構造物データベース4に保存する。また、構造物専
門家Pによるスクリーニング、電子カルテ3が示す処方
(対処工法)、モニタリングシステム17によるデー
タ、および構造物データベース4に対して行うデータマ
イニング処理などからのデータを得る。
【0059】さらに、図中右方の各ブロックを参照する
と、まず橋梁1の耐荷力や重大損傷の評価を行ってその
安全性を評価する。経費の時系列負担も考慮して耐久性
を診断する。保守の困難さおよび自発的経費の可能性な
どを含むメンテナンス性の評価を行う。被害リスクの推
定を行う。さらに、構造物管理者Gなどユーザーに発生
するコストを算出する。
【0060】こうした調査、評価および分析にもとづ
き、橋梁1についての損傷度を評価し、損傷度評価ファ
イル18にそのデータを保存する。劣化予測を行い、劣
化予測ファイル19にそのデータを保存する。保有性能
(健全度)の評価を行い、保有性能評価ファイル20に
そのデータを保存する。橋梁1の災害時における災害対
策費あるいは被害額の想定を行い、被害額想定ファイル
21にそのデータを保存する。
【0061】図4は、意志決定工程(ステップS12)
の具体的なブロック説明図であって、図3の調査分析の
結果、調査分析ファイル11に保存したデータにもとづ
く図中左方の各ブロックを参照すると、変状発生時期お
よび数量の予測を含む劣化予測、耐荷力その他の定量的
健全度診断およびその原因究明、事故時および災害時の
被害予測などを基礎として、さらに、図中右方の各ブロ
ックに記載した、ライフサイクルコストの分析を行うL
CCAシステム22(Life CycleCost
Analisis、ライフサイクルコスト評価システ
ム)、費用便益の評価システム23、予防保全マップ2
4および対策マニュアル25などを用いて、橋梁1の投
資の最適化を行う。
【0062】LCCAシステム22は、橋梁1の寿命な
いし耐用年数にわたって、どの程度の費用が必要かを分
析したデータを保存してあり、橋梁1の寿命を延命化す
るための費用についてのデータを利用することができ
る。
【0063】費用便益の評価システム23は、橋梁1を
有用な資産として活用した際の、その便益性を把握する
ことができるデータを保存してあり、橋梁1の資産価値
を把握するために必要なものである。
【0064】予防保全マップ24は、橋梁1その他の構
造物など、時間の経過とともに劣化する可能性がある予
防必要対象物について、その予防保全のための各種デー
タを単なる数字ではなく、縦軸および横軸に、変状パタ
ーン(劣化の状態)および劣化レベル(あるいは維持管
理レベル)として順番に(段階的に)表し、それぞれの
劣化レベルあるいは変状パターンに対応させてそれぞれ
の予防保全対策をその間に配置すること、あるいは時間
軸に対して、劣化レベルおよび予防保全対策を順に表す
ことにより、予防保全の全体像をいわば平面的ないし立
体的にマップ(予防保全マップ)として可視化すること
に着目したもので、たとえば本出願人による特願200
1−136173による予防保全マップを採用すること
ができる。
【0065】対策マニュアル25は、橋梁1の各種の診
断結果に対応して、現場の検査員あるいは補修員が典型
的に施工することができる各種の対策をマニュアル化し
てあるものである。
【0066】上述の劣化予測、健全度の診断や被害予
測、さらにLCCAシステム22、費用便益の評価シス
テム23、予防保全マップ24および対策マニュアル2
5などを用いて、橋梁1に対する投資の最適化を行う。
具体的には、橋梁1を維持管理するための対策工法のデ
ータを対策工法ファイル26に保存する。経費の予測を
行い、予測データをもとにトータルコストおよび年価の
最小化など経費の最小化を行い、経費最小化ファイル2
7にそのデータを保存する。どの時点で維持管理を行う
か、投資を行うかなどのタイミングについてのデータを
対策タイミングファイル28に保存する。さらに、予防
保全の有効性について評価し、予防保全有効性ファイル
29にそのデータを保存する。
【0067】図5は、資産としての評価活用工程(ステ
ップS13)の具体的なブロック説明図であって、図中
左方の各ブロックによる劣化予測および健全度、要求機
能および性能、需要予測、リスク分析解析(不確実性下
での便益、災害のリスク)、ならびに債務保証形態分析
などにもとづき、図中右方の各ブロックによる資産効率
の評価、ストックの残存価値、リスクの評価、および資
金調達管理などを行って、資産管理を行う。
【0068】具体的には、資産の有効活用を行うために
橋梁1の資産について証券化を行い、証券化ファイル3
0にそのデータを保存する。リスクの分散および軽減を
行い、リスク分散軽減ファイル31にそのデータを保存
する。橋梁1の災害時の被害に対応して資金を投資する
ための防災投資を行い、防災投資ファイル32にそのデ
ータを保存する。
【0069】リスク管理工程(ステップS14)は、図
2に示すように、以上のような各ステップのすべてに関
連するものであるが、リスク全体を統合的に把握して担
当する実質的責任者としてリスク責任者をおくことが望
ましい。このリスク管理工程におけるリスク管理ファイ
ル14は、構造物データベース4における橋梁1の少な
くとも余寿命や耐久性および劣化予測などについてリス
ク評価したデータと、調査分析ファイル11における災
害時の被害あるいは災害対策費に関するデータと、意思
決定ファイル12における予防保全の有効性に関するデ
ータと、資産評価活用ファイル13における橋梁1に関
するリスクの分散および軽減を行うためのデータ、ある
いは橋梁1の災害時の被害に対応して資金を投資するた
めのデータと、の少なくともいずれかひとつを有してい
る。
【0070】図6は、上述のような資産管理システム2
による手法を適用した場合に、橋梁1についてその延命
化および効率化を達成することを示した概略ブロック図
であって、図6右下のブロックにおける資産管理システ
ム2およびそれにかかわる電子カルテ3、健全度診断シ
ステム16、ネットワークシステム10、対策マニュア
ル25およびモニタリングシステム17などにより、橋
梁1の延命化および効率化を図ることができる。すなわ
ち、橋梁1の延命化は、定量的診断および戦略的な構造
物データベース4を基礎とした、橋梁1に関する実態の
把握および情報の共有、日常における維持管理の充実、
ならびにリニューアルを含む延命化対策によりこれを達
成可能である。また、維持管理の効率化は、それぞれの
橋梁についての電子カルテ3、定常的な監視を可能とす
るモニタリングシステム17、および橋梁1の建設場所
である地元の企業(維持管理企業E)を取り込んだネッ
トワークシステム10による身近な対応によりこれを達
成可能である。さらに、橋梁1の延命化および効率化の
ためには、上述の処理に加えて、橋梁1の維持管理のた
めの人材の育成および技量認定、さらにこうして育成し
た人材の安定供給および共有が重要である。
【0071】具体的には、LCCAシステム22および
費用便益の評価システム23から、橋梁1について50
年の延命化を可能として、残存資産すなわち含みの活用
を行い、とくに構造物管理者Gにおける財政的な負担の
限度内での予算の平準化を可能とする(後述の図7を参
照)。
【0072】年ごとの維持管理費用を算出する年価法に
より、維持管理のための年間の負担を小さくするととも
に、橋梁1に関するサービス業としてキャッシュフロー
すなわち流用可能な利潤を生み出すことが可能となり、
橋梁1にかかわる税負担の軽減を実現する。ただし、維
持管理費としての当初の負担は従来の手法よりは大きく
なる(後述の図7を参照)。
【0073】図7は、経年に対する維持管理費の関係を
示すグラフであって、点線は、とくに図1にもとづいて
概説した従来の維持管理方法による費用の曲線を示し、
実線は、本発明による資産管理システム2ないし資産管
理方法による費用の曲線を示している。図示のように、
従来の場合は、経年にともなって費用が急激に増大し、
構造物管理者Gの財政負担の限度額をこえてしまうとい
う問題がある。一方本発明においては、負担の限度内に
維持管理費を押さえ、かつ、費用便益のバランス線以下
にこれを押さえるとともに、費用の平準化も達成可能
で、資産収益効率を向上させることができる。したがっ
て、費用便益のバランス線と負担の限度との間の差額を
キャッシュフロー(利潤)として生み出すことが可能と
なり、資産管理システム2の実益を先取り分として享受
可能である。ただし、維持管理開始から所定年間にわた
っては、現在(従来)の費用負担をこえる費用が発生す
るが、この費用により橋梁1の耐久性の増加すなわち、
延命化を図って、長くその資産として活用をすることが
できる。
【0074】図8は、こうした資産管理システム2を活
用して前記PFI(民間資金や経営手法を活用した社会
資本の整備ないしその整備事業)の一例(資産管理シス
テム40)を実現した概略ブロック図であって、橋梁1
の維持管理主体としては、橋梁1を資産として提供する
構造物管理者Gと、この構造物管理者Gと維持管理契約
を締結して、構造物管理者Gから管理料を徴収するPF
I事業者F(維持管理事業者)と、維持管理事業者Fが
橋梁1について実際の維持管理業務を発注する維持管理
企業E(維持管理受注業者)と、構造物管理者Gから資
産の信託を受けるとともに、維持管理事業者Fに事業化
資金を提供する維持管理受託者(アレンジャーあるいは
信託銀行T)と、を位置させてある。維持管理受託者
(信託銀行T)は、橋梁1を資産として証券化すること
を含む各種の資金調達手段により、その維持管理のため
の資金を事業化資金として調達する。維持管理事業者F
は、橋梁1に関する維持管理の効率化および寿命の延命
化を図ることにより、各年における維持管理のための予
算の平準化を実現し、構造物についての維持管理のため
のキャッシュフローを生み出し、維持管理受託者Tへの
返済金の調達を可能とする。
【0075】すなわち、図示のように、既述の資産管理
システム2(図2、図6)によりキャッシュフローを確
保し、こうして生み出した資金をPFI事業者F(維持
管理事業者)が事業化資金の供給元(信託銀行その他、
後述)への返済資金の財源として用いることができる。
具体的には、資産管理システム2およびそのための劣化
予測による診断、電子カルテ3による情報の供給化、予
防保全マップ24、性能や資産の評価などを含む性能診
断、リスク管理、インターネットその他の通信手段5な
どを用いたネットワークシステム10などを活用し、劣
化を防止することにより橋梁1の資産としての残存価値
を高めて延命化を図り、管理を効率化し、さらには人材
および技術の共有化により固定費を軽減することができ
る。かくして、予防保全における経費の軽減、残存資産
の向上および含みの活用を実現し、運用可能かつ実際的
な形としてキャッシュフローを確保することができる。
【0076】一方、自治体その他の構造物管理者Gは、
オリジネーターとしてその資産(橋梁1)を提供する。
すなわち構造物管理者Gは、信託者として、その受託者
であるアレンジャーあるいは信託銀行Tに資産あるいは
資産管理の信託を行う。信託銀行Tは、自己資金、構造
物管理者GあるいはPFI事業者Fなどからの負担金、
証券化による投資、およびローンなどからの資金を調達
して事業化資金を確保し、その利益配分を配当あるいは
金利の形で提供する。さらに信託銀行Tは、調達した資
金を事業化資金としてPFI事業者Fに貸し付ける。ま
た構造物管理者Gは、PFI事業者Fとの間で管理契約
を締結するとともにその契約にもとづく管理料をPFI
事業者Fに支払う。
【0077】したがって、PFI事業者Fが、維持管理
受注業者(維持管理企業E)に業務の発注を行って、維
持管理受注業者が実際の日常の維持管理作業を実行する
ことになるが、PFI事業者Fとしては、構造物管理者
Gからの管理料および信託銀行Tからの事業家資金をも
とに事業を運営し、資産管理システム2によりキャッシ
ュフローすなわち儲けを生み出して、これを信託銀行T
への返済金に当てることになる。なお、地震その他のあ
る限度をこえた大災害時におけるリスクは、橋梁1が公
共的なものであるほど、PFI事業者Fなどの一事業体
にその負担を負わせることはできず、このリスクは、自
治体あるいは国が負担することとして、リスクの分散な
いし軽減を図るものとする。
【0078】こうした資産管理システム40において、
橋梁1を所有しているとともにその管理の責任を負って
いる構造物管理者Gとしては、資産管理システム2およ
び維持管理企業Eなどの専門家の活用によるリスクの回
避が可能であるとともに、低コストでの資金調達により
財政負担を軽減し、資産価値および総資産利益率を向上
させ、財政負担から民間資金へといった資金調達方法を
多様化することができる、などのメリットがある。
【0079】図9は、図8と同様に既述の資産管理シス
テム2を活用して、証券化などによる事業財源の確保お
よび事業化の流れおよび資金の流れという観点からみた
一例(資産管理システム50)の概略ブロック図であっ
て、橋梁1の維持管理の財源としては、維持管理事業者
(PFI事業者F)が構造物管理者Gから徴収する管理
料と、構造物管理者Gから資産の信託を受けた維持管理
受託者(信託銀行Tなど)が維持管理事業者Fに提供す
る事業化資金と、維持管理事業者Fが維持管理の効率化
および寿命の延命化を図ることにより、各年における維
持管理のための予算の平準化を実現し維持管理のために
生み出したキャッシュフローと、を確保可能としてい
る。
【0080】図8に示したと同様に、構造物管理者G
は、その橋梁1を資産として信託銀行Tあるいは特別目
的会社に信託する。PFI事業者Fは、信託銀行Tから
の予防保全資金を含む事業化資金をもとに橋梁1の維持
管理業務を遂行する。PFI事業者Fの返済資金は、事
業収益の確保により行われる。すなわち、この事業収益
は、資産管理システム2などによる資産価値の維持向上
にもとづいて生み出されたキャッシュフローから得られ
るものである。
【0081】なお図8に示したと同様に、地震その他の
大規模災害については、橋梁1の公共性にかんがみ、そ
のリスクまでPFI事業者Fに負わせることはできない
ので、このリスクについては構造物管理者Gがこれを保
有することになる。
【0082】PFI事業者Fは、事業参加者すなわち、
いわゆるゼネコン、コンサルタント、メーカーなどの維
持管理企業Eに維持管理の実際の作業の発注を行う。
【0083】資金調達は、たとえば三種類の手法があ
る。まず、自己資金や負担金などの形で信託銀行Tなど
に出資が行われる。上記事業参加者(維持管理企業E)
は、この負担金の形で事業リスクの保有を行う。また出
資者は、出資に応じた利益分配を受ける。証券化という
手法では、投資家が投資し、その投資リスクを保有す
る。また維持管理企業Eは、橋梁1について維持管理の
実際の仕事の受注確保によりそのリスクを緩和すること
ができる。また投資家は、投資に応じた配当および発注
を受ける。銀行その他からのローンという手法では、融
資に応じた金利および元本を受ける。
【0084】さらに橋梁1の地域の住民および利用者
は、維持管理の合理化による恩恵を税負担の軽減という
形で受けることになる。
【0085】こうした資産管理システム50において、
橋梁1を含む道路などは、その公共性から、これを停止
あるいは廃止することが事実上不可能であり、継続的か
つ長期的な契約が可能である。したがって、長期にわた
る維持管理の契約により延命化および効率化の実を上げ
ることができるとともに、契約更新時に橋梁1のそのと
きの現状に応じた契約内容に変更することも可能であっ
て、事業として十分採算がとれる実施が可能である。
【0086】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、橋梁その
他の構造物を一定の財政的資源を有する資産としてとら
えるとともに、証券化などによりその資産を有効に活用
してその維持管理のための資金を先取りして事前に調達
可能とし、構造物の維持管理を合理的に実行可能とし
て、その維持管理のための人的、技術的および経済的負
担を各分野で分担可能とするとともにその実を上げ、構
造物の延命化および有効活用に寄与することができる。
さらに、従来はできなかった予防保全の資金を生み出す
とともに、予防保全による便益を受ける将来の人々から
その資金を徴収することにより、財政の負担を大幅に軽
減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】橋梁1その他の構造物の資産管理方法ないし資
産管理システムに関して、従来、および現在、さらに本
発明による考え方の相違を順次概略的に示した説明図で
ある。
【図2】本発明の第1の実施の形態による構造物の資産
管理方法、資産管理システム2および資産評価活用ファ
イル13を説明するための説明図である。
【図3】同、調査分析工程(ステップS11)の具体的
なブロック説明図である。
【図4】同、意志決定工程(ステップS12)の具体的
なブロック説明図である。
【図5】同、資産としての評価活用工程(ステップS1
3)の具体的なブロック説明図である。
【図6】同、資産管理システム2による手法を適用した
場合に、橋梁1についてその延命化および効率化を達成
することを示した概略ブロック図である。
【図7】同、経年に対する維持管理費の関係を示すグラ
フである。
【図8】資産管理システム2を活用してPFI(民間資
金や経営手法を活用した社会資本の整備ないしその整備
事業)の一例(資産管理システム40)を実現した概略
ブロック図である。
【図9】資産管理システム2を活用して、証券化などに
よる事業財源の確保および事業化の流れおよび資金の流
れという観点からみた一例(資産管理システム50)の
概略ブロック図である。
【符号の説明】
1 橋梁(構造物) 2 資産管理システム(第1の実施の形態、図2) 3 電子カルテ 4 構造物データベース 5 インターネットその他の通信手段 6 管理者端末 7 管理企業端末 8 専門家端末 9 事業者端末 10 ネットワークシステム 11 調査分析ファイル(図2、図3) 12 意思決定ファイル(図2、図4) 13 資産評価活用ファイル(実施の形態、図2、図
5) 14 リスク管理ファイル(図2) 15 目視検査支援システム(図3) 16 健全度診断システム(図3) 17 モニタリングシステム(図3) 18 損傷度評価ファイル(図3) 19 劣化予測ファイル(図3) 20 保有性能評価ファイル(図3) 21 被害額想定ファイル(図3) 22 LCCAシステム(Life Cycle Co
st Analisis、ライフサイクルコスト評価シ
ステム)(図4) 23 費用便益の評価システム(図4) 24 予防保全マップ(図4) 25 対策マニュアル(図4) 26 対策工法ファイル(図4) 27 経費最小化ファイル(図4) 28 対策タイミングファイル(図4) 29 予防保全有効性ファイル(図4) 30 証券化ファイル(図5) 31 リスク分散軽減ファイル(図5) 32 防災投資ファイル(図5) 40 資産管理システム(第2の実施の形態、図8) 50 資産管理システム(第3の実施の形態、図9) G 構造物管理者(ユーザー、オリジネーター) E 維持管理企業(各種施工会社、地元企業、維持管理
受注業者) P 構造物専門家 F PFI事業者(維持管理事業者) T 信託銀行(維持管理受託者)

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建設された構造物の維持管理を行うた
    めの構造物の資産管理方法であって、 前記構造物について調査分析を行って、少なくとも該構
    造物の現状および将来に関するデータとその維持管理の
    ための対策工法とを構造物データベースに保存する調査
    分析工程と、 この構造物データベースの各種データにもとづき、前記
    対策工法およびその施工のタイミングなどの意思決定を
    行って、前記構造物に対する投資の最適化を行う意思決
    定工程と、 前記構造物の資産としての価値を評価活用してその資産
    運用のための資産管理を行う資産の評価活用工程と、 を有するとともに、 前記構造物に対するリスク管理、ならびにこれらの調査
    分析工程、意思決定工程および資産の評価活用工程にお
    けるリスク管理を行って、前記構造物の資産としての価
    値を管理することを特徴とする構造物の資産管理方法。
  2. 【請求項2】 前記構造物について算定した前記資産
    価値にもとづき、前記維持管理のための財源を確保する
    ことを特徴とする請求項1記載の構造物の資産管理方
    法。
  3. 【請求項3】 前記構造物について算定した前記資産
    価値にもとづき、証券化を行って資産運用することを特
    徴とする請求項1記載の構造物の資産管理方法。
  4. 【請求項4】 建設された構造物の維持管理を行うた
    めの構造物の資産管理システムであって、 前記構造物について調査分析を行って、少なくとも該構
    造物の現状および将来に関するデータとその維持管理の
    ための対策工法とを構造物データベースに供給するため
    のデータを準備する調査分析ファイルと、 この構造物データベースの各種データにもとづき、前記
    対策工法およびその施工のタイミングなどの意思決定を
    行って、前記構造物に対する投資の最適化のためのデー
    タを保存する意思決定ファイルと、 前記構造物の資産としての価値を評価活用してその資産
    運用のための資産管理データを保存する資産評価活用フ
    ァイルと、 前記構造物に対するリスク管理、ならびにこれらの調査
    分析ファイル、意思決定ファイルおよび資産評価活用フ
    ァイルにおける各種データについてリスク管理を行うた
    めのデータを保存するリスク管理ファイルと、 を有して、 前記構造物の資産としての価値を管理することを特徴と
    する構造物の資産管理システム。
  5. 【請求項5】 前記調査分析ファイルは、 前記構造物の損傷度を評価したデータを保存する損傷度
    評価ファイルと、 前記構造物の劣化を予測したデータを保存する劣化予測
    ファイルと、 前記構造物が保有する性能を評価したデータを保存する
    保有性能評価ファイルと、 前記構造物の災害時における被害額を想定した被害額想
    定ファイルと、の少なくともいずれかひとつを有するこ
    とを特徴とする請求項4記載の構造物の資産管理システ
    ム。
  6. 【請求項6】 前記意思決定ファイルは、 前記構造物を維持管理するための対策工法のデータを保
    存した対策工法ファイルと、 前記構造物を維持管理するための経費を最小化するため
    のデータを保存する経費最小化ファイルと、 前記構造物を維持管理するための前記対策工法の施工タ
    イミングについてのデータを保存する対策タイミングフ
    ァイルと、 前記構造物に対して行う予防保全の有効性について評価
    したデータを保存する予防保全有効性ファイルと、の少
    なくともいずれかひとつを有することを特徴とする請求
    項4記載の構造物の資産管理システム。
  7. 【請求項7】 前記資産評価活用ファイルは、 前記構造物を資産として証券化し有効に活用するための
    データを保存する証券化ファイルと、 前記構造物に関するリスクの分散および軽減を行うため
    のデータを保存したリスク分散軽減ファイルと、 前記構造物の災害時の被害に対応して資金を投資するた
    めのデータを保存する防災投資ファイルと、の少なくと
    もいずれかひとつを有することを特徴とする請求項4記
    載の構造物の資産管理システム。
  8. 【請求項8】 前記リスク管理ファイルは、 前記構造物データベースにおける前記構造物の少なくと
    も余寿命および劣化予測のデータと、 前記調査分析ファイルにおける災害時の被害あるいは災
    害対策費に関するデータと、 前記意思決定ファイルにおける予防保全の有効性に関す
    るデータと、 前記資産評価活用ファイルにおける前記構造物に関する
    リスクの分散および軽減を行うためのデータ、あるいは
    前記構造物の災害時の被害に対応して資金を投資するた
    めのデータと、の少なくともいずれかひとつを有するこ
    とを特徴とする請求項4記載の構造物の資産管理システ
    ム。
  9. 【請求項9】 建設された構造物の維持管理を行うた
    めの構造物の資産管理システムであって、 前記構造物に関する前記維持管理の効率化および寿命の
    延命化を図ることにより、各年における当該維持管理の
    ための予算の平準化を実現し、 前記構造物についての当該維持管理のためのキャッシュ
    フローを生み出すことを可能としたことを特徴とする構
    造物の資産管理システム。
  10. 【請求項10】 建設された構造物の維持管理を行う
    ための構造物の資産管理システムであって、 前記構造物における現状、診断、対策工法などのデータ
    を保存しかつ更新可能とした電子カルテと、 前記構造物の現状をモニタリングするためのモニタリン
    グシステムと、 前記構造物の前記維持管理に関与するそれぞれの維持管
    理主体の間に構築したネットワークシステムと、を設け
    ることにより、当該維持管理を効率化するとともに、 前記構造物の定量的診断を行う診断システムと、 少なくとも前記構造物の現状および将来に関するデータ
    とその維持管理のための対策工法とを保存した構造物デ
    ータベースと、を設けて、前記構造物に関する日常的な
    維持管理を充実することにより、当該構造物の延命化を
    図り、 各年における当該維持管理のための予算の平準化を実現
    し、前記構造物についての当該維持管理のためのキャッ
    シュフローを生み出すことを可能としたことを特徴とす
    る構造物の資産管理システム。
  11. 【請求項11】 前記維持管理主体は、 前記構造物を資産として提供する構造物管理者と、 この構造物管理者と維持管理契約を締結して、該構造物
    管理者から管理料を徴収する維持管理事業者と、 この維持管理事業者が、前記構造物について実際の維持
    管理業務を発注する維持管理企業と、 前記構造物管理者から前記資産の信託を受けるととも
    に、この維持管理事業者に事業化資金を提供する維持管
    理受託者と、の少なくともいずれか二者であることを特
    徴とする請求項10記載の構造物の資産管理システム。
  12. 【請求項12】 前記構造物の余寿命および耐久性、
    あるいは劣化予測などに関するリスク評価を行うことを
    特徴とする請求項9あるいは10記載の構造物の資産管
    理システム。
  13. 【請求項13】 前記構造物の前記維持管理に関する
    人材を育成するとともに、その技量の認定を行って、人
    材の供給および共有を可能としたことを特徴とする請求
    項9あるいは10記載の構造物の資産管理システム。
  14. 【請求項14】 前記構造物の前記維持管理のために
    調達する資金に対する返済資金の財源として、前記キャ
    ッシュフローを用いることを特徴とする請求項9あるい
    は10記載の構造物の資産管理システム。
  15. 【請求項15】 建設された構造物の維持管理を行う
    ための構造物の資産管理システムであって、 前記構造物を資産として提供する構造物管理者と、 この構造物管理者と維持管理契約を締結して、該構造物
    管理者から管理料を徴収する維持管理事業者と、 この維持管理事業者が、前記構造物について実際の維持
    管理業務を発注する維持管理企業と、 前記構造物管理者から前記資産の信託を受けるととも
    に、この維持管理事業者に事業化資金を提供する維持管
    理受託者と、 を前記構造物の維持管理主体として位置させ、 前記維持管理受託者は、前記構造物を資産として証券化
    することを含む各種の資金調達手段により、当該構造物
    の当該維持管理のための資金を前記事業化資金として調
    達するとともに、 前記維持管理事業者は、前記構造物に関する前記維持管
    理の効率化および寿命の延命化を図ることにより、各年
    における当該維持管理のための予算の平準化を実現し、
    前記構造物についての当該維持管理のためのキャッシュ
    フローを生み出し、前記維持管理受託者への返済金の調
    達を可能としたことを特徴とする構造物の資産管理シス
    テム。
  16. 【請求項16】 建設された構造物の維持管理を行う
    ための構造物の資産管理システムであって、 前記構造物を資産として提供する構造物管理者と維持管
    理契約を締結して、前記構造物について実際の維持管理
    業務を維持管理企業に発注する維持管理事業者が該構造
    物管理者から徴収する管理料と、 前記構造物管理者から前記資産の信託を受けた維持管理
    受託者がこの維持管理事業者に提供する事業化資金と、 前記維持管理事業者が前記構造物に関する前記維持管理
    の効率化および寿命の延命化を図ることにより、各年に
    おける当該維持管理のための予算の平準化を実現し、前
    記構造物についての当該維持管理のために生み出したキ
    ャッシュフローと、 を前記構造物の前記維持管理の財源として確保可能と
    し、 前記維持管理受託者は、前記構造物を資産として証券化
    することを含む各種の資金調達手段により、当該構造物
    の当該維持管理のための資金を前記事業化資金として調
    達することを特徴とする構造物の資産管理システム。
  17. 【請求項17】 前記構造物管理者の管理者端末と、
    前記維持管理事業者の事業者端末と、前記維持管理企業
    の管理企業端末と、のいずれかをネットワークシステム
    により結んで、前記構造物に関する情報の共有化を図っ
    たことを特徴とする請求項15あるいは16記載の構造
    物の資産管理システム。
  18. 【請求項18】 建設された構造物の資産管理を行う
    ための構造物の資産評価活用ファイルであって、 前記構造物の資産としての価値を評価活用してその資産
    運用のための資産管理データを保存するとともに、 前記構造物の資産としての価値を管理可能とすることを
    特徴とする構造物の資産評価活用ファイル。
  19. 【請求項19】 当該資産評価活用ファイルは、 前記構造物を資産として証券化し有効に活用するための
    データを保存する証券化ファイルと、 前記構造物に関するリスクの分散および軽減を行うため
    のデータを保存したリスク分散軽減ファイルと、 前記構造物の災害時の被害に対応して資金を投資するた
    めのデータを保存する防災投資ファイルと、の少なくと
    もいずれかひとつを有することを特徴とする請求項18
    記載の構造物の資産評価活用ファイル。
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