JP2001306670A - 構造物の維持経営システム、維持経営方法、およびそのコンテンツファイル記憶装置 - Google Patents

構造物の維持経営システム、維持経営方法、およびそのコンテンツファイル記憶装置

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JP2001306670A
JP2001306670A JP2000125200A JP2000125200A JP2001306670A JP 2001306670 A JP2001306670 A JP 2001306670A JP 2000125200 A JP2000125200 A JP 2000125200A JP 2000125200 A JP2000125200 A JP 2000125200A JP 2001306670 A JP2001306670 A JP 2001306670A
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Makoto Abe
允 阿部
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B M C KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 とくに中小規模分散型の構造物につい
て、安全性を確保しつつ民間資金の導入を可能として、
税金ないし補助金のみによる構造物の管理システムを改
善し、保険システム、賃貸システムや有価証券などから
の資金調達を可能とした構造物の維持経営システム、維
持経営方法、およびそのコンテンツファイル記憶装置を
提供すること。 【解決手段】 橋梁その他の構造物の状態を定量的に診
断もしくは性能評価して維持経営のための費用を的確に
査定することに着目し、構造物の状態を継続的に記憶お
よび比較可能な構造物データファイル46を設け、構造
物専門家の支援のもとに構造物の状態を客観的に診断も
しくは性能評価して余寿命および耐力を定量的に把握し
て構造物データファイルにデータベース化し、維持経営
のための費用を適正に査定し、民間資金を導入可能とす
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は構造物の維持経営シ
ステム、維持経営方法、およびそのコンテンツファイル
記憶装置にかかるもので、とくに橋梁、トンネル、斜面
などの土構造、その他の土木構造物などの構造物の維持
経営システム、維持経営方法、およびそのコンテンツフ
ァイル記憶装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、不特定多数の人々が利用する公共
構造物である橋梁その他の構造物に対して、これら構造
物を保有している構造物管理者は、その維持管理のため
に、それぞれ専門の作業者ないし施工者を保有するか、
あるいは外部の維持管理企業に委託するか、のいずれか
の方策を採用している。「構造物管理者」とは、橋梁そ
の他の構造物を保有している国、県および市町村などの
公共団体、あるいは私鉄その他任意の民間企業であっ
て、構造物の維持管理に責任を有する者をいう。「維持
管理企業」とは、こうした構造物管理者の管理責任のも
とにある構造物の維持管理のために検査作業ないし診断
作業や監視作業(モニタリング)、構造物の補修、補強
や構造物の製作、工事を含むその施工作業を直接実行す
る工事会社あるいは団体はもとより、その施工のための
機械あるいは機材や資材のメーカーあるいは提供者、施
工システムの提供者、施工のためのソフトウェアの提供
あるいは開発を行うソフトハウス、工法の提供者、施工
資材の提供者、その他必要な技術を提供することができ
る任意の会社ないし団体や個人をいう。
【0003】しかして、それぞれの構造物管理者は、そ
の内部の施工者に指示するか、その知り得る範囲で維持
管理企業と連絡を取って維持管理を依頼しているにすぎ
ず、構造物の維持管理に関するユーザーとしての構造物
管理者は、提供者としての維持管理企業との間で、安全
の効率的確保、投資の最適性や資産としての構造物の採
算性を含めた構造物の維持管理のために必要な技術情報
が必要な方面に、必要なタイミングで提供されているか
否かの疑問ないし問題がある。
【0004】さらに、橋梁など構造物の維持管理にあた
っては、施工用の機材および人員が揃っていることや、
構造物管理の規定を順守していれば十分に実行されると
は限らない。すなわち、維持管理の処理自体は、それぞ
れの構造物の履歴、現状およびその置かれている環境に
応じて微妙な処置をもって対処する必要があり、実際に
は、経験豊かで、かつ広い専門的な知識を必要とすると
いう問題がある。なお、橋梁その他の構造物を長くかつ
有効に使用してゆくために、構造物の体力や耐久性とい
った性能を十分に把握する手段、ならびに把握した情報
を有効に活用する性能評価および維持経営手段を持たな
いために、実際の耐用性能よりも早期に橋梁を架け替え
るなど過剰な施工を行って時間および費用の面で構造物
管理者に大きな負担をかけている場合が多いという問題
があり、本来長持ちさせることができる構造物を無駄に
廃棄していることにもなりかねない。
【0005】要するに、構造物管理者が保有する構造物
について維持管理企業が実際の施工作業を行うにあた
り、構造物の性能評価情報の他、両者の状況およびレベ
ルをともに把握しながら適切な指導を行って、必要かつ
十分な維持管理を適切な時間と費用で、さらにタイミン
グよく行うことが肝心である。
【0006】また、新幹線や高速道路など、とくに大規
模であって、かつ所定地域に連続あるいは集中している
大規模集中型の構造物については、従来から、その効率
化を図り、維持管理センターなど一極に集中して維持管
理を行うことが比較的容易である。しかしながら、全国
の路線延長の95%以上を占める地方道や地方鉄道は、
その80%が小規模構造物であり、かつ、これら小規模
構造物が比較的広範囲に分散して構築されていると、そ
の維持管理の効率化が困難であるという事情がある。
【0007】以下、図12ないし図15にもとづき説明
する。図12は、構造物(とくに公共構造物)について
従来方式の検査および診断を行う際の説明図であって、
橋梁1などの構造物を管理する責任を有する構造物管理
者Gが検査員2に依頼して、橋梁1の検査およびこの検
査にもとづく診断を行う。具体的には、検査員2が通常
は目視により、あるいは場合によっては現場に持参した
各種のセンサーなどの所定の検査機材3を用いて、橋梁
1を検査する。また、構造物管理者Gは、診断の結果、
必要に応じて維持管理企業Eに依頼して橋梁1の補強、
修理、更新その他の施工を行う。
【0008】ただし、検査員2としては通常四名という
多人数からなり、しかも、いわゆるベテランという構造
物専門家Pが常に随伴していることが前提である。「構
造物専門家」とは、橋梁1その他の構造物に関して各種
の専門知識および経験を有するもので、構造物管理者G
および維持管理企業Eに対して必要なコンサルティング
ないしアドバイスやサポートを行うことができるもので
ある。したがって、検査員2のチームとしては一般的に
は四名という比較的多人数であるとともに、それぞれの
橋梁1の検査および診断にあたって構造物専門家Pが必
要となり、とくに中小規模分散型の橋梁1などについて
は機動性に劣るという問題がある。
【0009】すなわち、図13は、中小規模分散型の橋
梁1などについての検査および診断のためのパターンを
示す説明図であって、たとえばある構造物管理者Gが管
理する橋梁1は、現行の規定や慣習からそれぞれの検査
員2が個々にこれを診断し、維持管理を行っている。つ
まり構造物管理者Gとしては、それぞれの橋梁1につい
て管理上の境界4(いわば地域的あるいは法律的な隔
壁)が存在することになり、それぞれの橋梁1のために
必要な検査員2を確保しておく必要があり、人件費、人
材育成費、その他機材の維持費はもとより、橋梁1の維
持管理のための必要なものすべてを自前でそれぞれ確保
および保管する必要がある。たとえば、ある構造物管理
者GA(たとえば県あるいは市などの地方公共団体)が
管理する橋梁1Aと、他の構造物管理者GB(たとえば
私鉄などの民間企業)が管理する橋梁1Bとが近接した
場所に互いに平行して走っていたとしても、構造物管理
者GAおよび構造物管理者GBは、異なる人員を検査員
2Aおよび検査員2Bとして配置しなければならないと
いう問題がある。さらに、橋梁1が架けられる鉄道ある
いは高速道路などは、所定の地域にわたって長く延びて
敷設されているために、ある構造物管理者Gの同じ検査
員2がその受持ち地域の長い距離を移動してそれぞれの
橋梁1の検査、診断および維持管理を行う必要があり、
物理的ないし距離的にも大きな障害があり、ひとつの作
業を実施するにあたり、それに付帯する作業比率が高い
という問題がある。
【0010】なお、新幹線あるいは高速道路などの大規
模集中型の構造物には、上述のような諸問題は生じにく
い。たとえば図14は、大規模構造物の維持管理システ
ムの概略を示す説明図であって、高速道路5に敷設され
た各種構造物、たとえば橋梁1、トンネル6あるいは道
路橋7に通信ネットワーク8を接続し、中央の構造物管
理センター9による維持管理を行っている。すなわち、
橋梁1、トンネル6および道路橋7に有線テレビ10お
よび光ケーブル11を接続し、常時橋梁1、トンネル6
および道路橋7の監視を行って、必要な診断および維持
管理を行っている。こうした大規模構造物の維持管理は
通常、国あるいは大企業がこれを行うもので、その維持
管理費用の予算も十分に確保可能であるとともに、その
維持管理を効率的に行うことは比較的容易である。すな
わち図15は、大規模集中型の橋梁1などについての検
査および診断のためのパターンを示す説明図であって、
構造物管理者Gにおける検査員2は、通信ネットワーク
8を用いることによりそれぞれの橋梁1を一人で維持管
理することも可能となり、維持管理の効率化は高度に達
成されている。
【0011】しかしながら、既述のように、中小規模分
散型の橋梁1などにおいては、それぞれの橋梁1すべて
に有線テレビ10および光ケーブル11を配置すること
は、インフラ整備に対する投資が著しく高くなり、物理
的および経済的にまず不可能に近く、また、中央の構造
物管理センター9による中央維持管理を行う要員を常時
固定して確保することもできないという問題がある。し
かも、既設の公共構造物でとくに中小規模の構造物をか
かえる自治体等は十分な維持管理のための投資ができな
いでいるうちに構造物の老朽化だけは確実に進み、その
ための負担は確実に増え続けていることになる。そして
このための負担が自治体などの構造物管理者の財政を著
しく急速に圧迫し始めている現在、可能な限り低コスト
で、かつ適正に橋梁1を維持管理することは必須の命題
である。
【0012】さらに述べると、橋梁1その他の構造物の
維持管理に加えて、その維持管理のための諸費用まで考
慮に入れた維持経営の面から考察すると、とくに中小規
模分散型の橋梁1などについては、その維持管理費用と
して地方公共団体が税金からの補助金によりまかなって
いるものの、その負担は確実に増え続けるため、もはや
自治体自身や国からの財政だけを当てにする仕組みは不
可能になってきている。そこで最近、国や自治体が積極
的に進めようとしているのが、これらの維持管理事業に
民間の手法や民間資金を導入しようとする動きである。
つまりPFI(Private Finance In
itiative)と呼ばれる「民間資金や経営手法を
活用した社会資本の整備ないしその整備事業」である
が、これを実現するという側面からは、今のところ満足
のいく維持管理システムないし維持経営システムが開発
されていないという問題がある。すなわち、構造物の維
持管理ないし維持経営のための費用をすべて税金ないし
補助金でまかなうことには限界があり、必要な費用を民
間に対し、どのような仕組みで、どこから調達するかに
ついては名案がないのが現状である。さらには、維持管
理に膨大な費用がかかる橋梁1その他の構造物について
これを、費用ばかりかかる負の遺産と見る考え方が大勢
を占め、こうした構造物から利益を生み出そうとする、
いわゆるインフラとしての公共構造物をストックとして
維持経営する発想がなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
諸問題にかんがみなされたもので、とくに中小規模分散
型の構造物について、適正な維持経営を可能とした構造
物の維持経営システム、維持経営方法、およびそのコン
テンツファイル記憶装置を提供することを課題とする。
【0014】また本発明は、安全性を確保しつつ構造物
を低コストで管理ないし経営することができる構造物の
維持経営システム、維持経営方法、およびそのコンテン
ツファイル記憶装置を提供することを課題とする。
【0015】また本発明は、構造物専門家の支援のも
と、橋梁その他の公共構造物について第三者による評価
を行って民間資金の導入を可能とし、税金ないし補助金
のみによる構造物の管理システムを改善することができ
る構造物の維持経営システム、維持経営方法、およびそ
のコンテンツファイル記憶装置を提供することを課題と
する。
【0016】また本発明は、維持管理に膨大な費用がか
かる橋梁その他の構造物を負の遺産と見るのではなく、
こうした構造物から利益を生み出すことができる構造物
の維持経営システム、維持経営方法、およびそのコンテ
ンツファイル記憶装置を提供することを課題とする。
【0017】また本発明は、構造物管理者間の縄張りと
もいうべき管理上の境界を取り払い、また、インターネ
ットその他の通信手段など新たな情報技術(IT)を導
入することにより、構造物の維持経営を効率化すること
ができる構造物の維持経営システム、維持経営方法、お
よびそのコンテンツファイル記憶装置を提供することを
課題とする。
【0018】また本発明は、少人数の検査員が効率的に
橋梁その他の構造物を検査および診断することができる
ようにした構造物の維持経営システム、維持経営方法、
およびそのコンテンツファイル記憶装置を提供すること
を課題とする。
【0019】また本発明は、構造物管理者が国や自治体
および構造物管理者自身に経済的な負担をあまりかける
ことがないようにした構造物の維持経営システム、維持
経営方法、およびそのコンテンツファイル記憶装置を提
供することを課題とする。
【0020】また本発明は、構造物の維持経営の費用を
軽減するとともに、必要な経費を貯蓄、保険システム、
リースやレンタルなどの賃貸システム、さらにはインフ
ラとしての構造物自体にストック価値を基にした資産の
有価証券化などから資金として調達することができるよ
うにした構造物の維持経営システム、維持経営方法、お
よびそのコンテンツファイル記憶装置を提供することを
課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、橋梁
その他の構造物の状態を、たとえば余寿命および耐力あ
るいは疲労損傷の程度などおよびこれらに対する劣化・
損傷予測として定量的に診断すること、それに対処する
対策工法や経費を的確に選定できるシステムを構築する
ことにより維持管理ないし維持経営のための費用を的確
に査定することを可能とすると同時に、従来必要として
いた複数の構造物管理者間で重複している人材を有効活
用して効率化を図ること、またこれを実現するために構
造物専門家による支援をシステム化したもとで、構造物
の検査および診断を適正に行い、また、構造物の性能を
適切に評価し、それに対する手当の仕方を客観的に評価
する第三者評価を位置づけることにより、必要な資金を
民間から調達可能として構造物の維持経営を行うことが
できるようにすることに着目したもので、第一の発明
は、構造物を維持経営するための構造物の維持経営シス
テムであって、上記構造物の状態を継続的に記憶および
比較可能な構造物データファイルを設けるとともに、構
造物専門家の支援のもとに上記構造物の状態を、目視検
査などの定性的判断に加えて、客観的に診断もしくは性
能評価することにより該構造物の余寿命および耐力など
の特性を定量的に把握してこの構造物データファイルに
データベース化し、このデータベースにもとづいて、該
構造物の維持経営のための費用を適正に査定し、該構造
物の維持経営のための民間資金を導入可能とすることを
特徴とする構造物の維持経営システムである。上記診断
は、上記構造物の実態を把握するものであり、上記性能
評価は、上記構造物のストック価値に関連してその実態
のランク付けを行うものである。上記定性的判断として
は、ボルトのゆるみなどをはじめ、構造物の劣化の兆候
や損傷の度合いや損傷原因を点検作業により効率的に見
いだすとともに、これらのデータを収録する点検システ
ムを採用可能である。上記構造物の特性として把握すべ
き点は、上記余寿命や耐力のほか、劣化や損傷の推移な
いし将来の予測、安全度および危険度などがある。
【0022】第二の発明は、第一の発明に加えて、上記
構造物の状態に対応した補修、補強、延命化措置および
更新などの対策パターンを記憶した技術情報ファイルを
設けたもので、構造物を維持経営するための構造物の維
持経営システムであって、上記構造物の状態を継続的に
記憶および比較可能な構造物データファイルを設けると
ともに、構造物専門家の支援のもとに上記構造物の状態
を、目視検査などの定性的判断に加えて、客観的に診断
もしくは性能評価することにより該構造物の余寿命およ
び耐力などの特性を定量的に把握してこの構造物データ
ファイルにデータベース化し、さらに、上記構造物の状
態に対応した対策パターンを記憶した技術情報ファイル
を設け、この対策パターンおよび上記データベースにも
とづいて、該構造物の維持経営のための費用を適正に査
定し、該構造物の維持経営のための民間資金を導入可能
とすることを特徴とする構造物の維持経営システムであ
る。
【0023】第三の発明は、民間資金として保険システ
ムによる資金に着目したもので、構造物を維持経営する
ための構造物の維持経営システムであって、上記構造物
の状態を継続的に記憶および比較可能な構造物データフ
ァイルを設けるとともに、構造物専門家の支援のもとに
上記構造物の状態を客観的に診断もしくは性能評価する
ことにより、該構造物の余寿命および耐力などの特性を
定量的に把握してこの構造物データファイルにデータベ
ース化し、複数の上記構造物を、管理上の境界をこえて
まとめて維持経営することにより、余剰資金を生み出
し、該構造物の維持経営のための保険システムを導入可
能とすることを特徴とする構造物の維持経営システムで
ある。上記構造物が、とくに分散して設置されている場
合には、それぞれの設置場所にできるだけ近くの人員あ
るいは地元の諸企業が監視ないし維持管理作業に参加可
能であるような身近な仕組みを構築することにより維持
経営することが望ましい。
【0024】第四の発明は、民間資金としてレンタルや
リースなどの賃貸システムによる資金に着目したもの
で、構造物を維持経営するための構造物の維持経営シス
テムであって、上記構造物の状態を継続的に記憶および
比較可能な構造物データファイルを設けるとともに、構
造物専門家の支援のもとに上記構造物の状態を客観的に
診断もしくは性能評価することにより、該構造物の余寿
命および耐力などの特性を定量的に把握してこの構造物
データファイルにデータベース化し、このデータベース
にもとづいて、補修、補強や延命化工法などと関連づけ
て該構造物の維持経営のための費用の最適化を行い、該
構造物の維持経営のための賃貸システムを導入可能とす
ることを特徴とする構造物の維持経営システムである。
さらに、上記構造物の状態に対応した補修、補強、延命
化措置および更新などの対策パターンを記憶した技術情
報ファイルを設けることにより、この対策パターンまで
含めた全生涯費用(Life Cycle Cost)
を算定することができる。
【0025】第五の発明は、民間資金として、構造物を
ストックとみなしたときの証券システムによる有価証券
に着目したもので、構造物を維持経営するための構造物
の維持経営システムであって、上記構造物の状態を継続
的に記憶および比較可能な構造物データファイルを設け
るとともに、構造物専門家の支援のもとに上記構造物の
状態を客観的に診断もしくは性能評価することにより、
該構造物の余寿命および耐力などの特性を定量的に把握
してこの構造物データファイルにデータベース化し、こ
のデータベースにもとづいて、該構造物という資産やス
トックとしての性能を有価証券化し、該構造物の維持経
営のための証券システムを導入可能とすることを特徴と
する構造物の維持経営システムである。
【0026】第六の発明は、とくに診断装置、構造物デ
ータファイル、技術情報ファイルおよび支援システムに
着目したもので、構造物を維持経営するための構造物の
維持経営システムであって、上記構造物の状態を診断す
る診断装置と、この診断装置による診断結果を継続的に
記憶および比較可能な構造物データファイルと、上記構
造物の状態に対応した対策パターンを記憶した技術情報
ファイルと、上記構造物に関して各種の専門知識および
経験を有する構造物専門家による支援システムと、を有
することを特徴とする構造物の維持経営システムであ
る。
【0027】第七の発明は、第六の発明に関連して査定
システムファイルを考慮したもので、構造物を維持経営
するための構造物の維持経営システムであって、上記構
造物の状態を診断する診断装置と、この診断装置による
診断結果を継続的に記憶および比較可能な構造物データ
ファイルと、上記構造物に関して各種の専門知識および
経験を有する構造物専門家による支援システムと、上記
構造物データファイルのデータベースにもとづいて上記
構造物の検査、点検、補修、補強、延命化措置および更
新費を含めた維持経営のための全生涯費用(LCC)を
査定する査定システムファイルと、を有することを特徴
とする構造物の維持経営システムである。
【0028】第八の発明は、第六の発明に関連してモニ
タリングセンサーを考慮したもので、構造物を維持経営
するための構造物の維持経営システムであって、上記構
造物の状態を診断する診断装置と、この診断装置による
診断結果を継続的に記憶および比較可能な構造物データ
ファイルと、上記構造物に関して各種の専門知識および
経験を有する構造物専門家、もしくはデータマイニング
処理により構築された知識ベース情報による支援システ
ムと、上記構造物の異状を検知もしくは状態を把握する
とともにこの検知情報をこの支援システムに連絡可能と
してあるモニタリングセンサーと、を有することを特徴
とする構造物の維持経営システムである。上記支援シス
テムにおいては、構造物専門家が直接あるいは間接的に
助言を行うような場合と、コンピューターなどを用いた
データマイニング処理により構築された知識ベース情報
による支援を行う場合と、がある。上記モニタリングセ
ンサーに加えて、必要に応じてインターネットその他の
通信手段および各種の情報技術(IT)を用いることに
より、システム全体の自動化および効率化を図ることが
できる。
【0029】第九の発明は、構造物を維持経営するため
の構造物の維持経営方法であって、上記構造物の状態を
継続的に記憶および比較可能な構造物データファイルを
設け、上記構造物が供用開始時もしくは瑕疵担保期間終
了前に、構造物専門家の支援のもと、目視点検などの定
性的判断に加えて上記構造物の状態を客観的に診断もし
くは性能評価による定量的判断により、特定の期間に対
する地震や洪水もしくは衝突事故による安全の度合いや
危険性、もしくは上記構造物からの落下物による周辺の
第三者被害に対する危険度および上記構造物の耐荷力や
耐久性能を評価するとともに、これを定期的に特定の頻
度で繰り返した情報を、上記構造物データファイルにデ
ータベース化し、上記データベースにもとづいて、該構
造物の維持経営のための費用を適正に査定し、該構造物
の維持経営のための民間資金を導入可能とすることを特
徴とする構造物の維持経営方法である。さらに、上記構
造物の状態に対応した補修、補強、延命化措置および更
新などの対策パターンの情報を考慮することにより、こ
の対策パターンまで含めた全生涯費用(LCC)を算定
することができる。
【0030】第十の発明は、構造物を維持経営するため
の構造物の維持経営システムのコンテンツファイル記憶
装置であって、上記構造物の安全度や危険度、余寿命お
よび耐力などの特性を記憶可能な構造物データファイル
と、この構造物データファイルによるデータベースにも
とづいて上記構造物の資産価値を査定するための査定シ
ステムファイルと、を有するとともに、この査定システ
ムファイルによる査定にもとづいて民間資金の導入を可
能とする保険システムファイル、賃貸システムファイル
あるいは証券システムファイル、の少なくともいずれか
ひとつを含むことを特徴とする構造物の維持経営システ
ムのコンテンツファイル記憶装置である。
【0031】上記民間資金は、保険料、賃貸費用、ある
いは有価証券のいずれかであることができる。
【0032】上記支援システムは、上記構造物の状態を
診断する診断装置からの診断情報について、上記構造物
に関して各種の専門知識および経験を有する構造物専門
家が支援することができる。
【0033】上記支援システムは、支援システムファイ
ルを有し、この支援システムファイルは、上記診断装置
による診断のための検査項目およびその要領ファイル、
この検査項目による検査結果およびその記録・判定要領
ファイル、定量的診断の項目およびその要領ファイル、
上記構造物の変状のパターンおよび事例、診断にもとづ
く上記構造物への対策パターンもしくは保全工法パター
ンおよび事例、この対策パターンに関連する維持管理企
業情報、の少なくともいずれかひとつを有することがで
きる。
【0034】上記構造物を管理する責任を有する構造物
管理者の管理者端末と、上記構造物専門家の専門家端末
と、をインターネットその他の通信手段により接続する
とともに、この通信手段を介して上記構造物データファ
イルにアクセス可能とすることができる。
【0035】本発明において、上記構造物が比較的広範
囲に分散して構築されている場合にとくに有効である。
【0036】本発明において、上記支援システムは、上
記診断装置による上記構造物の診断および当該維持経営
について、上記構造物専門家が助言を行うものである。
【0037】本発明において、上記モニタリングセンサ
ーにより上記構造物を常時監視可能とし、上記構造物の
異状を検知した際には、電話、ファクシミリ、携帯電話
その他の移動体電話、通信衛星やインターネットなど任
意の情報技術による情報通信手段によって上記支援シス
テムにこの検知情報を送信し、これを受信した支援シス
テム側では、的確な指示および対処を行う。
【0038】本発明による構造物の維持経営システム、
維持経営方法、およびそのコンテンツファイル記憶装置
においては、構造物専門家による支援のもとで、橋梁そ
の他の構造物の状態を、たとえば余寿命および耐力など
について定量的に診断するとともにこれをデータベース
化することによって情報の継続的蓄積および更新が可能
となり、維持管理ないし維持経営のための費用を的確に
査定することが可能となって、負の資産と考えられてい
た橋梁その他の構造物から利益を上げることができる。
とくに構造物専門家の支援のもとで客観的かつ第三者的
な診断ないし性能評価を行うことができるので、その診
断および性能評価の信頼性を向上させ、民間資金導入の
安全性を確保することができる。
【0039】とくに第一の発明によれば、構造物の状態
を継続的に記憶および比較可能な構造物データファイル
を設けて構造物の劣化および損傷の推移、さらに余寿命
および耐力などの特性をデータベース化し、客観的診断
および性能評価を行うことにより、構造物の維持経営の
ための費用を適正に査定し、構造物の維持経営のための
民間資金を導入可能とする。構造物の余寿命および耐力
あるいは疲労損傷の程度や劣化度を定量的に把握するこ
とによって、構造物についてその時系列的性能の変化を
より正確に査定することが可能となる。この査定に瑕疵
担保保証期間を特定することにより、保険システムおよ
びレンタルやリースの賃貸システムなどの仕組みの導入
が可能となる。換言すれば、従来は橋梁その他の構造物
についてその余寿命や耐力についてこれを定量的に保証
することができなかったが、本発明によって定量的に保
証期間およびその保証内容を提示可能となり、その場合
の負担となるリスクの評価を行うことができるので、こ
の保証期間にもとづき保険システムや賃貸システムによ
る資金の導入、さらには有価証券化による資金調達が可
能となる。
【0040】とくに第二の発明によれば、第一の発明に
加えて、上記構造物の状態に対応した補修、補強、延命
化措置および更新などの対策パターンを記憶した技術情
報ファイルを設けたので、構造物の状態に加えて対策パ
ターンまで含めた全生涯費用を算定することができる。
【0041】とくに第三の発明によれば、複数の構造物
を複数の構造物管理者がそれぞれ独立に維持管理するの
ではなく、縄張りともいえる管理上の境界をこえて所定
数にまとめて維持経営することによる維持経営の効率化
から余剰資金を生み出し、構造物の検査点検費用や補修
工事および架替え工事などの費用調達のために保険シス
テムを導入可能とする。なお、この保険システムにおい
て、一般的な保険契約のようにまず契約を行って保険料
の支払いを開始し、実際に構造物について補修あるいは
架替えその他の施工作業が必要となったときに保険金が
出る事前支払いタイプや定期分割払いタイプのほか、契
約時には若干の契約手数料のみもしくは割引き保険料と
し大半の保険料の支払いは、実際に補修あるいは架替え
その他の施工作業が必要となったとき以降に所定期間に
わたってこれを行う(ただし保険料自体は若干高めとな
る)事後支払いタイプ、の二種類を設定することができ
るため、とくに財政的に苦しい構造物管理者には事後支
払いタイプの選択も可能である。
【0042】とくに第四の発明によれば、第一の発明、
第二の発明、および第三の発明と同様な、構造物の状態
に関する定性的把握および定量的把握を行ったデータベ
ースにもとづいて、構造物の維持経営のための費用の最
適化を行い、構造物管理者の保有施設を国や地方公共団
体あるいは任意の民間会社その他の法人から、維持経営
を希望する民間会社に移管したり、施設の維持管理その
もの全体もしくは一部を民間会社に移管する。すなわ
ち、橋梁その他の構造物の所有権や、管理すなわち、検
査、点検、補修、補強および架替えその他の情報の管理
の一部もしくは全部を民間に移管するとともに、国や地
方公共団体あるいは任意の民間会社その他の法人が当該
構造物を賃貸する、いわゆるレンタルやリースなどの賃
貸システムを導入可能とする。また、たとえば橋梁製作
会社や建設会社が橋梁を製作もしくは建設することに加
え、当該橋梁について、ある特性の期間の維持管理や維
持経営を含めた形で受注することを特徴とする事業を可
能とする。
【0043】とくに第五の発明によれば、第一の発明、
第二の発明、第三の発明および第四の発明と同様な、構
造物の状態に関する定性的把握および定量的把握を行っ
たデータベースにもとづいて、維持経営のための収支決
算における費用ないし経費の割合を低減させることによ
り、構造物を有価証券化し、構造物の維持経営のための
証券システムを導入可能とする。橋梁その他の構造物が
従来、負の資産と考えられていた理由は、構造物の運営
による売上げ金額だけによってはその維持管理費用を含
む必要経費をまかなうことができないためであり、構造
物の維持管理のために赤字となった部分を国や地方公共
団体からの税金にもとづく補助金を利用するという前提
が当たり前になっていたからである。しかしながら、税
金ないし補助金を構造物の維持経営のための投資と捉え
ると、この投資に見合った利益を上げるためには、その
経費を適正かつ妥当なものとすることが必要であり、本
発明(第五の発明)のように、構造物専門家の支援のも
とで、とくにその余寿命(あと何年、安全に使用が可能
かという寿命)および耐力(何トンの荷重に耐えられる
かという耐力)などに表されるその資産価値を正確に把
握することによって構造物の維持経営のための費用を的
確に査定すれば、投入すべき税金ないし補助金の金額を
従来より低減可能であって、その有価証券化が可能であ
る。
【0044】とくに第六の発明によれば、診断装置、構
造物データファイル、技術情報ファイルおよび支援シス
テムにより、特定の構造物についてその履歴を含む定量
的特性を客観的に把握することが可能となる。
【0045】とくに第七の発明によれば、第六の発明に
加えて、維持経営のための費用を査定する査定ファイル
を備えたので、維持管理ないし維持経営のための費用と
くに全生涯費用(LCC)を的確に査定することが可能
となる。
【0046】とくに第八の発明によれば、第六の発明に
加えて、構造物の異状検知用のモニタリングセンサーを
備えたので、構造物の状態を常時監視することが可能と
なり、構造物の異状検知情報を支援システムもしくは構
造物管理者に送信することができる。
【0047】とくに第九の発明によれば、構造物の状態
を構造物データファイルに時系列的に余寿命および耐力
などのほか、目標とする耐用期間ないし瑕疵担保期間を
合理的に維持するための措置および方法に関する技術情
報をデータベース化し、維持経営のための費用を適正に
査定し、またこのシステムを利用した第三者による構造
物の性能評価を導入することにより、構造物の維持経営
のための民間資金を導入可能とする。
【0048】とくに第十の発明によれば、構造物の余寿
命および耐力などの特性を構造物データファイルにデー
タベース化可能であるとともに、構造物の資産価値を査
定して、保険システム、賃貸システムあるいは証券シス
テムなどによる民間資金を導入することができる。
【0049】より具体的に述べると、本発明(たとえば
第三の発明)によれば、構造物専門家の支援のもとで構
造物の状態を客観的に把握するので、最適な延命化を容
易に可能にすることによる経費の縮減や、構造物管理者
における人員を有効活用するようにすることができるの
で、一人の検査員が縄張りを撤去した形で複数の構造物
管理者における複数の橋梁などの構造物を一括して検
査、診断、維持経営することが可能となり、保険、レン
タルあるいはリースのための経費を捻出することができ
る。もちろん、人員の削減のみならず、各システムを有
効に活用することによって必要経費をより適正に査定
し、投入する資金の最適化を図ってこれをを有効に利用
することができる。したがって、診断あるいは監視の結
果、実際に補強、修理あるいは更新などの施工作業が必
要になったときに、そのための資金を保険料、レンタル
料あるいはリース料さらには有価証券などから調達する
ことができ、構造物管理者の経済的負担を軽減するばか
りか、構造物専門家による支援のもとで必要な維持経営
を適正に実行することができる。しかも、広い範囲に分
散している各構造物管理者は、構造物専門家の支援によ
り、従来もっていなかった維持管理事業の参入に必要な
知識や技術を持つことが可能になること、ならびに高価
なシステムおよび人材を共同利用することが可能となる
ことにより、地元で維持管理事業に参入することができ
なかった小規模な施工業者、コンサルタント、鉄工所も
維持経営作業を行うことができるので、地場産業の活性
化にもつながる。さらに、従来のそれぞれの構造物管理
者の業務の効率化により余剰人員となった検査員につい
ても、必要な人材育成システムにより、新たな検査員と
して訓練を行うことが可能で、かつ、40〜60才の経
験の高い構造物専門家に新たに職を提供することにな
り、二重の意味で雇用の創出も可能である。また、橋梁
など構造物のメンテナンスは小規模な仕事が無数にあ
り、かつ継続性が高い市場であって、維持管理企業とし
ても、新たに橋梁を建設するという建設事業から、維持
管理事業へと移管することが容易となり、いわゆるメン
テナンス市場の創出により、企業の方向転換も可能であ
る。また、維持管理の方が建設よりコストが低く、土地
代が不要で、構造物管理者における協議による時間的ロ
スも少ないため、維持経営における利益の創出という面
で即効性が高い。さらに、維持管理ないし維持経営に民
間資金を投入可能とすることは、間接費が新規の建設に
比較して低いという利点を増強させるという効果もあ
る。かくして、橋梁その他の構造物の適正な維持経営に
より、その安全性を向上させるとともに、資産としての
評価を高め、保険その他の資金投入を活発化することが
できる。
【0050】要するに、構造物に関する技術情報その他
の情報の共有化による効率化、分社化、専門性の向上、
省力化による人材の有効活用、危険の度合いを初めとす
る構造物の現状をより正確に把握するとともに、これら
の諸情報を構造物データファイルにデータベース化し、
余寿命および耐力について定量的診断を行って、適切な
対策を実行可能として構造物の延命化を可能とし、構造
物のトータルでのメンテナンスコストすなわち全生涯費
用(LCC)を削減するとともに、民間資金の導入を図
って経費の財源を確保することができる。
【0051】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態によ
る構造物の維持経営システム20およびその維持経営支
援システム21やコンテンツファイル記憶装置33を、
その維持経営方法とともに、図1ないし図11にもとづ
き説明する。ただし、図12ないし図15と同様の部分
には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。図1
は、構造物の維持経営システム20により構造物(とく
に橋梁1などの公共構造物)を診断する際の説明図であ
って、構造物の維持経営システム20においては、構造
物専門家Pによるその維持経営支援システム21(支援
システム)とともに、橋梁1を診断するための診断装置
22および常設のモニタリングセンサー23を用いる。
検査員2を構造物専門家Pが支援し、モニタリングセン
サー23の監視は地元の任意の組織、たとえば警備会社
24がこれにあたる。もちろん、モニタリングセンサー
23の検知信号を診断装置22あるいは維持経営支援シ
ステム21に直接供給するように構成することもでき
る。維持経営支援システム21は後述のように、遠隔支
援システムファイル49を有するとともに、診断装置2
2および構造物専門家Pに関連して構造物データファイ
ル46および技術情報ファイル47(ともに後述)を設
けて、診断および性能評価にもとづく維持経営に利用す
る。
【0052】診断装置22は、検査員2が橋梁1に携帯
し、橋梁1の状態を定量的に診断するためのもので、任
意の構成のものを採用可能であるが、たとえば本出願人
による特許第2787121号「構造物診断用信号調整
装置およびその使用方法」、特開平3−186729号
「構造物診断装置および方法」などによるものを採用す
ることができる。この診断装置22は、橋梁1の状態を
継続的に記憶および比較可能な構造物データファイル4
6(後述、図3参照)に接続可能である。検査員2は、
診断装置22により橋梁1の状態を定量的に検査診断す
るとともに、目視点検によりボルトのゆるみ、その他劣
化の兆候や疲労損傷の度合いを点検するなど定性的な状
態の把握を行う。
【0053】モニタリングセンサー23は、橋梁1に常
時これを取り付けて、その応力ないし歪み、その他の物
性を検出するとともに、異状の検知もしくは状態の把握
を行うことができるものである。
【0054】検査員2は、構造物専門家Pの支援のもと
に診断装置22を使って橋梁1を点検、検査ないし診断
する。実際には、この診断チームとしては、従来の四名
から二名で十分であることが実地実証実験で判明してい
る。
【0055】構造物専門家Pは、診断装置22の使用の
提供および補助はもちろん、実際の診断における相談に
応じるとともに、検査員2の人材育成も行う。
【0056】図2は、構造物の維持経営システム20の
概略構成図であって、構造物の維持経営システム20
は、システムサーバー25と、複数の構造物管理者Gに
よるそれぞれの管理者端末26と、複数の維持管理企業
Eによるそれぞれの企業端末27と、複数の構造物専門
家Pによるそれぞれの専門家端末28と、これらを双方
向通信可能に接続するインターネット29(通信手段)
と、を有する。システムサーバー25にはコンテンツフ
ァイル記憶装置33および上記維持経営支援システム2
1を設けてある(後述、図3参照)。
【0057】管理者端末26、企業端末27および専門
家端末28は、電話回線あるいは専用回線などを介して
それぞれインターネット29に接続可能な、たとえばパ
ソコンその他の電子機器からこれを構成するもので、所
定の端末入出力手段、端末制御手段および端末記憶手段
(ともに図示せず)を備えているとともに、パスワード
およびID番号などの入力により、さらに、後述のコン
テンツファイル記憶装置33(図3)の各種情報ファイ
ル34に認証およびセキュリティデータファイル43に
よるチェックを受け、インターネット29を介してシス
テムサーバー25にアクセス可能である。
【0058】図3は、システムサーバー25の概略構成
を示すブロック図であって、システムサーバー25は、
システム制御手段30と、インターネット29への入出
力制御手段31と、ROMなどによるプログラム記憶装
置32と、コンテンツファイル記憶装置33と、を有す
る。
【0059】システム制御手段30は、プログラム記憶
装置32に記憶された各種のプログラムにしたがって、
システムサーバー25全体の処理、ならびに入出力制御
手段31を介して管理者端末26、企業端末27および
専門家端末28との間の双方向通信を制御する。
【0060】図3に示すように、コンテンツファイル記
憶装置33は、橋梁1(図1)、トンネル6(図1
4)、斜面などの土構造、その他の土木構造物などの構
造物に責任を有する構造物管理者G、技術などを提供す
る維持管理企業E、および構造物についての専門知識な
いし経験を有する構造物専門家Pについての需要供給情
報、技術情報、診断情報、性能評価情報、査定情報、そ
の他各種情報をアクセス可能かつ検索可能に継続して時
系列的に記憶するもので、必要なデータについてはこれ
を所定の形式あるいは形態に編集するとともに、随時更
新して記憶する。
【0061】コンテンツファイル記憶装置33に記憶さ
れている各種データファイル(コンテンツファイル)と
しては、たとえば、構造物管理者Gに関するデータファ
イル34、維持管理企業Eに関するデータファイル3
5、各種構造物専門家Pに関するデータファイル36、
構造物管理者G、維持管理企業Eおよび各種構造物専門
家Pが提供する技術情報およびメンテナンス情報データ
ファイル37、各種構造物専門家Pによる専門知識を記
憶した専門知識ファイル38、構造物維持管理のための
各種のアプリケーションプログラムファイル39、技術
評価ないし認定付きの商品情報データファイル40、維
持管理のための人材データファイル41、構造物管理者
G、維持管理企業Eおよび各種構造物専門家Pの評価フ
ァイルあるいは認証ファイル42、構造物管理者G、維
持管理企業Eおよび各種構造物専門家Pの認証およびセ
キュリティデータファイル43、電子決済データファイ
ル44、ならびに、技術および商品などに関する構造物
管理者Gに対して行ったアンケートデータファイル4
5、などがある。なお、構造物管理者Gに関するデータ
ファイル34に関連して、構造物の状態を継続的に記憶
および比較可能な構造物データファイル46を設ける。
また、維持管理企業Eに関するデータファイル35に関
連して、構造物の維持管理のための技術情報、たとえば
橋梁1の状態に対応した補修、補強、延命化措置および
更新などの対策パターンその他を記憶する技術情報ファ
イル47を設ける。さらに、人材育成システムファイル
48と、上記維持経営支援システム21の遠隔支援シス
テムファイル49と、保険システムファイル50と、査
定システムファイル51と、を設ける。なお、保険シス
テムファイル50は、保険システムを導入する場合にこ
れを採用し、レンタルやリースなどの賃貸システムの場
合には、賃貸システムに応じた賃貸システムファイル5
2とし、証券システムを導入する場合には、証券システ
ムに応じた証券システムファイル53とする。
【0062】なお既述のように、「構造物管理者G」と
は、橋梁その他の構造物を保有していて、構造物の維持
管理の需要を有する、いわばユーザーの立場にある。
「維持管理企業E」とは、構造物の維持管理のために実
際の工事その他必要な作業ないしはサービスを提供す
る、いわば、需要に対する供給側としての各種施工会社
その他一般の会社などである。「構造物専門家P」と
は、橋梁その他の構造物に関して各種の専門知識および
経験を有するもので、構造物管理者Gおよび維持管理企
業Eに対して必要なコンサルティングないしアドバイス
やサポートを行うことができるものである。したがっ
て、専門家端末28(図3)はこれを、コンテンツファ
イル記憶装置33に接続するか、あるいはコンテンツフ
ァイル記憶装置33と一体に形成することも可能であ
る。もちろん、構造物専門家Pによるアドバイスやサポ
ートは、インターネット29やテレビ会議システムなど
の通信手段により行う場合はもとより、これをオフライ
ンで供給可能とする場合もある。
【0063】構造物管理者G(ユーザー)に関するデー
タファイル34は、維持管理企業Eにとってのいわば顧
客情報であり、各構造物管理者Gの住所、名称などはも
とより、構造物データファイル46として構造物の各種
データを記憶させておくこともできる。なお顧客情報と
しては、構造物管理者Gに関するデータファイル34、
維持管理企業Eに関するデータファイル35および商品
情報データファイル40、さらにアンケート調査やヒア
リング調査をベースにして、構造物管理者Gおよび維持
管理企業Eあるいは商品に関する市場動向の性向を解析
した結果を入れておくこともできる。
【0064】維持管理企業E(各種施工会社)に関する
データファイル35は、各維持管理企業Eの住所、名称
などはもとより、施工内容の各種データおよびその広告
内容を記憶させておくこともできる。
【0065】各種構造物専門家Pに関するデータファイ
ル36は、各構造物専門家Pの住所、名称などはもとよ
り、専門分野その他専門内容の各種データを記憶させて
おくこともできる。
【0066】構造物管理者G、維持管理企業Eおよび各
種構造物専門家Pが提供する技術情報およびメンテナン
ス情報データファイル37は、特定の構造物に対して施
工した、あるいは施工することが可能な各種の技術情報
およびメンテナンス情報を記憶している。したがってこ
の技術情報およびメンテナンス情報データファイル37
は、構造物の維持管理のための技術情報を記憶する技術
情報ファイル47と一体にこれを構成することもでき
る。
【0067】各種構造物専門家Pによる専門知識を記憶
した専門知識ファイル38は、それぞれの専門分野にお
ける専門知識はもとより、各種構造物専門家Pに関する
データファイル36と一体にこれを構成することもでき
る。
【0068】構造物維持管理のための各種のアプリケー
ションプログラムファイル39は、それぞれの構造物管
理者G、維持管理企業E、構造物専門家Pが必要に応じ
てダウンロードすることにより使用することができるア
プリケーションプログラムを記憶している。
【0069】技術評価ないし認定付きの商品情報データ
ファイル40は、各維持管理企業Eについて、公開市場
に提供するその商品、施工技術ないし維持管理技術の客
観的評価を構造物専門家Pが行い、必要なものは認証を
付け、記憶している。評価の手法および評価者について
もこれを公開することにより、評価に関する客観性およ
び信頼性を確保する。なお構造物専門家Pは、技術情報
ファイル47における各維持管理企業の構造物に関する
維持管理を行うための技術についても、同じく評価およ
び認定を行い、格付けを行ったものを公開する。
【0070】維持管理のための人材データファイル41
は、維持管理企業Eに代わって、あるいは維持管理企業
Eとともに構造物管理者Gの構造物を維持管理する技術
者ないし人材のデータを記憶し紹介しているとともに、
これに関連して人材育成のプログラム(人材育成システ
ムファイル48)も準備している。
【0071】この人材育成システムファイル48では、
まず各人員の経験年数あるいはレベルに応じて、現場で
の実習を含むカリキュラムを組み、特定のテキストを準
備し、所定の専門知識および経験を有する講師による教
育を行う。この教育形態としては、インターネット29
およびテレビ会議システムなどを介したオンライン教育
はもちろん、前記診断装置22およびモニタリングセン
サー23などを用いた現場でのオンジョブトレーニング
を含むその他の講習などを採用する。ついで実地試験を
含む試験を行って教育効果を確認したのち、研修終了証
を発行し、それぞれの等級(技術ランク)に分けて標準
的待遇を示し、各人材の経歴や、希望する職種、勤務時
期や期間あるいは地区その他の希望条件などとともに人
材育成システムファイル48あるいは人材データファイ
ル41に公開する。なお、この人材育成システムファイ
ル48には、上記カリキュラム、テキストおよび講師、
さらには各人材の経験年数および終了試験の等級などの
教育終了結果その他の教育内容自体についても情報を公
開し、人材育成システムの透明性を図るものとする。し
たがって、構造物管理者Gおよび維持管理企業Eは、人
材育成システムファイル48あるいは人材データファイ
ル41にアクセスすることにより、必要な人材を所定の
費用および条件で確保することができる。なお人材を求
人する側(構造物管理者Gあるいは維持管理企業E)に
ついても希望条件すなわち、その希望する職種、期間、
地区および待遇を人材育成システムファイル48あるい
は人材データファイル41に掲示板的に表示するととも
に、相互の人材認証、企業認証、問い合わせおよび雇用
契約処理を行うことができる雇用システムを用意してお
き、この雇用システムを利用して人材の需要供給に対応
することができる。
【0072】構造物管理者G、維持管理企業Eおよび各
種構造物専門家Pの評価ファイルあるいは認証ファイル
42は、構造物管理者G、維持管理企業Eおよび各種構
造物専門家Pのそれぞれについて客観的な評価を行って
記憶しているもので、構造物の維持経営システム20お
よびコンテンツファイル記憶装置33自体の信頼性を確
保している。
【0073】構造物管理者G、維持管理企業Eおよび各
種構造物専門家Pの認証およびセキュリティデータファ
イル43は、それぞれの構造物管理者G、維持管理企業
Eおよび各種構造物専門家Pの認証、すなわち本人の確
認を行うとともに、電子決済を含む電子商取引きその他
の接続に際してのセキュリティを確保している。
【0074】電子決済データファイル44は、当該構造
物の維持経営システム20ないしシステムサーバー25
において成約された販売契約の決済を電子的に行うもの
である。すなわち、構造物管理者Gが必要な技術を維持
管理企業Eから入手し、構造物の維持管理についての施
工あるいは商品購入の契約を結び、その決済を電子決済
データファイル44を利用して電子商取引きを行うこと
ができる。
【0075】技術および商品などに関する構造物管理者
Gに対して行ったアンケートデータファイル45は、構
造物管理者Gによる維持管理企業Eあるいは構造物専門
家Pの評価、逆に、維持管理企業Eあるいは構造物専門
家Pによる構造物管理者Gの評価などを、成約時点でお
よび成約後のヒアリングあるいはアンケートとして入手
した情報をデータマイニング手法その他任意の統計手法
などにより処理して公開するもので、必要に応じて、そ
れぞれの要望者に一般には非公開の特定レポートも作製
可能である。したがって、たとえば維持管理企業Eは、
アンケートデータファイル45にアクセスすることによ
り、自社の技術や商品についての客観的な評価をリアル
タイムで、もしくは任意のタイミングないし時期に確認
することができるとともに、その技術レベル向上の指針
を得ることもできる。もちろん、構造物管理者Gあるい
は構造物専門家Pにしても、それぞれのアンケート対象
者による自分の評価を見ることができるので、同じく、
自己改善の指針を得ることができる。
【0076】構造物の状態を記憶した構造物データファ
イル46は、既述のように、構造物管理者Gに関するデ
ータファイル34に関連してこれを設けることもできる
し、データファイル34と一体にすることもできるもの
で、構造物の現状、履歴、余寿命(あと何年、安全に使
用が可能かという寿命)および耐力(何トンの荷重に耐
えられるかという耐力)、劣化や損傷の推移および将来
の予測、安全度や危険度、その他の諸特性を記憶してい
る。すなわち、橋梁1の定性的判断、定量的診断および
性能評価にもとづいて、これら諸特性の客観的な情報を
構造物データファイル46にデータベース化する。した
がって維持管理企業Eは、この構造物データファイル4
6のうちの公開情報にアクセスすることにより、構造物
管理者Gに対して自社が提供する技術、サービスおよび
商品についての営業活動を行うことができる。なお、構
造物データファイル46中の各種データないし情報は、
原則として非公開とし、これらデータの構造物管理者G
自身および特定の構造物専門家Pがアクセス可能とする
とともに、必要なデータおよび情報を抽出し、これを公
開情報としてインターネット29上に公開する。
【0077】構造物の維持管理のための技術情報を記憶
する技術情報ファイル47は、既述のように、維持管理
企業Eに関するデータファイル35に関連してこれを設
けることもできるし、データファイル35と一体にする
こともできるものである。したがって構造物管理者G
は、この技術情報ファイル47にアクセスすることによ
り、維持管理企業Eに対し橋梁1の維持管理に必要な諸
対策の各種技術、サービスおよび商品についての要請を
行うことができる。この技術情報ファイル47が有する
維持管理に必要な諸対策の各種技術、サービスおよび商
品をもとにして、橋梁1の定量的診断および性能評価に
もとづく維持経営のための費用の査定を可能とする。
【0078】保険システムファイル50は、構造物の維
持経営システム20および維持経営支援システム21の
採用による経費の余剰分により橋梁1に保険をかけ、必
要な維持経営施工のための資金を提供する保険システム
の運用ファイルである。なお既述のように、本発明にお
ける保険システムにおいては、構造物管理者Gは、管理
する橋梁1などについて、その財政状況に応じて、保険
料の事前支払いタイプあるいは事後支払いタイプのいず
れかを選択可能である。
【0079】査定システムファイル51は、前述の診断
装置22などを用いて定性的および定量的に把握した橋
梁1その他構造物の状態に即して、とくにその余寿命お
よび耐力を基準として、その保険料、レンタル料やリー
ス料、および保険期間や賃貸期間、さらには証券化のた
めに構造物の資産価値を査定するための運用ファイルで
ある。
【0080】賃貸システムファイル52は、賃貸システ
ムに応じたレンタルあるいはリース処理のための運用フ
ァイルである。
【0081】証券システムファイル53は、証券システ
ムに応じた有価証券処理のための運用ファイルである。
【0082】なお、上述の各ファイル35〜53につい
ては、構造物管理者G、維持管理企業Eおよび構造物専
門家Pが所定の要語ないしキーワードを用いて検索を行
い、必要な情報にアクセス可能としているとともに、随
時内容を最新のものに更新するものとする。
【0083】図4は、構造物の維持経営システム20に
おいて、構造物管理者G、維持管理企業Eおよび構造物
専門家Pによる処理の流れの一例を示すブロック図であ
って、ユーザーである構造物管理者Gは、システムサー
バー25にとってクライアント企業である維持管理企業
Eとの間で、システムサーバー25を介して所定の専門
技術、サービスおよび商品などを受け取ることになる。
具体的には、管理者端末26は、インターネット29を
介してコンテンツファイル記憶装置33にアクセスし、
橋梁1などの構造物に関する診断結果および性能評価結
果、ならびにこれらの結果にもとづく資産としての査定
結果すなわち保険システムであればその保険料および保
険期間に関する情報を入手する。また、技術情報および
商品情報を入手するとともに商品その他を購入する。企
業端末27は、インターネット29を介してコンテンツ
ファイル記憶装置33にアクセスし、技術情報および商
品情報を提供するとともに、構造物専門家Pによる評価
を受け、あるいはアンケートデータファイル45などか
ら消費者の動向をリアルタイムで入手することができ
る。さらに専門家端末28は、インターネット29を介
して構造物管理者Gおよび維持管理企業Eに直接、ある
いはコンテンツファイル記憶装置33に各種アドバイス
を提供するとともに、構造物の検査および診断について
の支援を行うとともに橋梁1についての性能評価を行
う。また、維持管理企業Eの技術評価、確認および認
定、たとえばデータマイニング手法その他任意の統計手
法を用いた技術情報や商品情報の生成、人材育成、遠隔
地の構造物管理者Gの支援などを行う。
【0084】すなわち、構造物管理者Gは、管理者端末
26においてインターネット29を介してシステムサー
バー25にアクセスし、構造物の定量的診断結果、任意
の維持管理企業Eあるいは必要な技術情報その他を入手
することができる。
【0085】また維持管理企業Eは、企業端末27にお
いてインターネット29を介してシステムサーバー25
にアクセスし、任意の構造物管理者Gによる構造物の需
要を確認することができるとともに、技術および商品に
ついて広告を行い、また、構造物専門家Pによる技術評
価を受けて、構造物管理者Gあるいは構造物専門家Pか
らの維持管理の要請を待つ。
【0086】構造物専門家Pは、専門家端末28におい
てインターネット29を介してシステムサーバー25に
アクセスし、構造物管理者Gおよび維持管理企業Eに必
要なアドバイスを提供するとともに、維持管理企業Eの
技術および商品に適切な評価を行う。さらに、人材育成
システムファイル48により必要な人材の育成および紹
介を行うとともに、遠隔支援システムファイル49によ
り遠隔地における構造物の維持管理についての支援など
を行う。
【0087】すなわち、構造物専門家Pは、維持経営支
援システム21(遠隔支援システムファイル49)を介
して構造物管理者Gおよび維持管理企業Eを支援するこ
とができる。とくに地方に広範囲に分散している構造物
あるいは遠隔地における構造物を保有している構造物管
理者Gに対しては、維持管理、監視および点検、検査や
メンテナンスならびに診断について、管理者端末26お
よび専門家端末28を介したインターネット29、ある
いは各種の情報技術(IT)を介した遠隔支援システム
ファイル49を用いてその維持管理を支援することによ
り、メンテナンスコストを削減することができる。
【0088】図5は、この維持経営支援システム21
(遠隔支援システムファイル49)を示すブロック図で
あって、維持経営支援システム21は、遠隔支援システ
ムファイル49と、前記管理者端末26および企業端末
27と、前記インターネット29と、を有する。
【0089】遠隔支援システムファイル49は、検査員
2による点検ないし目視検査、モニタリングセンサー2
3および警備会社24による検査および監視、あるいは
診断装置22による検査(診断装置22によるモニタリ
ングシステム)に関連して、検査項目およびその要領フ
ァイル54、検査結果およびその記録・判定要領ファイ
ル55、定量的診断の項目およびその要領ファイル5
6、変状および対策パターンファイル57、ならびに維
持管理企業Eを含む関連業者情報ファイル58を有す
る。
【0090】検査項目およびその要領ファイル54は、
検査員2が橋梁1の実地の検査にあたって、どのような
項目を検査すべきか、さらにその検査要領を記憶したも
のである。
【0091】検査結果およびその記録・判定要領ファイ
ル55は、検査結果ならびにそれをどのように記録およ
び判定するかの要領を記憶したものである。
【0092】定量的診断の項目およびその要領ファイル
56は、実際の橋梁1について検査した結果、定量的に
その余寿命および耐力その他の項目、およびこれらの項
目をどのように診断するかの要領を記憶したものであ
る。
【0093】変状および対策パターンファイル57は、
橋梁1について、変状のパターンおよびその事例を含む
とともに、変状ないし異状があった場合に、補修、補
強、延命化措置および更新など、それらにどのように対
処すべきかの対策パターンもしくは保全工法のパターン
さらにそれらの事例を記憶したものである。
【0094】維持管理企業Eを含む関連業者情報ファイ
ル58は、前記構造物管理者Gに関するデータファイル
34あるいは構造物データファイル46と同様に、維持
管理企業Eについてこれらの情報を記憶したものであ
る。
【0095】こうした構成の構造物の維持経営システム
20および維持経営支援システム21において、たとえ
ば図6に示すような維持管理のパターンが可能となる。
すなわち、図6は、構造物の維持経営システム20およ
び維持経営支援システム21による中小規模分散型の橋
梁1などについての監視、点検、検査および診断のため
のパターンを示す説明図であって、それぞれの構造物管
理者Gが管理するそれぞれの橋梁1について、図13に
示したような地域的あるいは法律的な隔壁である管理上
の境界4を取り除くことにより、たとえば一人の検査員
2が構造物専門家Pの支援のもとで複数の橋梁1をまと
めて、効率よくかつ専門性をもって、監視、点検、検
査、診断および維持管理を行うことができる。たとえ
ば、同じ地域に走っている異なる会社の複数本の鉄道に
ついて、その橋梁1などを同一の検査員2が監視、点
検、検査、診断および維持管理することができる。この
検査員2としては、所定の構造物管理者Gに所属する者
であってもよいし、構造物専門家Pによる人材育成シス
テムの所定の課程を終了した者、あるいは民間企業その
他の維持管理企業Eに所属する者であってもよい。
【0096】図7は、図6による診断パターンをさらに
具体的に模式化した維持管理パターンの説明図であっ
て、広い範囲に分散している橋梁1について、通常は、
その地域に常駐している検査員2あるいは警備会社24
や維持管理企業Eが、目視、あるいは診断装置22やモ
ニタリングセンサー23を用いた検査ないし監視を定期
的に行っている。あるいは、モニタリングセンサー23
と構造物管理者Gとの間を専用回線により接続し、構造
物管理者Gが監視を行うようにすることもできる。しか
して、橋梁1について異状が発生したことをモニタリン
グセンサー23などが検知した場合には、構造物管理者
Gがそれぞれの警備会社24に異状発生の確認を依頼し
て任意の通信手段、たとえば電話59あるいは携帯電話
60、さらには衛星通信61により情報を入手するとと
もに、電話59あるいは携帯電話60、さらには衛星通
信61により、あるいはその管理者端末26からインタ
ーネット29を介して専門家端末28に情報を送信す
る。情報を受信した構造物専門家Pは、維持経営支援シ
ステム21にもとづき適切な初期指示を行った上で、さ
らに必要であれば構造物専門家Pの支援およびコンサル
ティングのもとで構造物管理者Gが現地の維持管理企業
Eに必要な施工を依頼することができる。
【0097】図8は、中心となる構造物の維持経営シス
テム20ないし維持経営支援システム21と各地域にお
ける組織のパターンを示した説明図であって、各地域の
拠点となる中心核組織62から、それぞれのコンサルタ
ント、工事会社あるいは鉄工所などの維持管理企業Eに
維持管理の必要作業を依頼することができる。
【0098】かくして、構造物の維持経営システム20
および維持経営支援システム21を採用することによ
り、各地に分散している中小規模の橋梁1などの構造物
に責任を有する構造物管理者Gは、構造物専門家Pの支
援のもとで有用な点検、検査および診断を有効かつ適切
に実行し、従来より少ない人員(検査員2)で監視、点
検、検査、診断および性能評価から維持管理までの作業
を実行することが可能となるばかりか、実際の施工作業
に付随する付帯作業を大幅に減少させることができる。
【0099】したがって、それぞれの構造物管理者Gに
おいて、橋梁1の維持経営のための経費を大幅に低減す
ることが可能となり、維持管理作業の効率化で余剰とな
った資金を有効に活用して、将来の維持経営費用に当て
ることができる。具体的には、貯蓄という方策はもちろ
ん、保険およびレンタルやリースを導入することが可能
となる。たとえば、コンテンツファイル記憶装置33に
おける保険システムファイル50を運用して、定期的な
積立て、あるいは保険料の支払いにより、実際に補修、
補強、更新などの施工作業が実際に必要となったときに
は、保険金を提供するようなシステムを構築することが
できる。すなわち、その地域の規模の割には経済的に負
担の割合が大きな中小規模の構造物管理者Gには、その
維持経営を効率化することにより必要な資金を生み出す
ことができ、かつ、それぞれの地域における地場産業
(維持管理企業E)の活性化が可能であるとともに、新
たな橋梁1などの建設分野からその維持管理ないし維持
経営分野に既存の維持管理企業Eが移行することで、新
たな事業の開発も可能である。
【0100】図9は、保険システムなどを採用した場合
の構造物の診断および性能評価の処理の流れを概略的に
示したフローチャートであり、ステップS1において構
造物(橋梁1)の完成直後の構造物完成検査すなわち、
工事検査記録など当事者間による竣工検査を行い、これ
を前述の構造物データファイル46(図3)に初期条件
として記録しデータベース化する。さらにステップS2
において、瑕疵担保期間以前の第三者による診断および
性能評価を行う。具体的には、橋梁1全般を近接目視な
どにより弱点箇所の抽出を行い、定量的初期性能評価す
なわち、耐力および余寿命の評価を行う。この時点で瑕
疵が発見されれば瑕疵保証を行い(ステップS3)、ま
た、保険料および賃貸料およびそれぞれの期間の査定を
行う(ステップS4)。なお、以後の処理においても検
査結果、診断結果ないしは性能評価結果を構造物データ
ファイル46に継続的にデータベース化するとともに、
それぞれの処理時点において必要であれば、保険料や賃
貸料および保険期間や賃貸期間の査定を行う。
【0101】ステップS5において異状があるか否かを
判断し、もしあればステップS6において詳細な検査な
いし点検を行う。すなわち、補修、予防延命措置、ある
いは更新(架替え)その他必要な対策のための点検を行
い、原因究明および対策の判断をするとともに、ステッ
プS7において、損害保証、被害保証あるいは瑕疵保証
を行う。なお、通常の保険契約は、いわゆる事前支払い
タイプであり、契約後、保険料の支払を開始し、契約期
間満了までの間に保証必要事態が発生した時点で、保険
料の支払いを行う。事後支払いタイプの保険契約におい
ては、契約後、割引き保険料の支払いとするか、もしく
は保険料支払いの先送りのまま、事後支払い期間の満了
までの間に保証必要事態が発生した時点で、保険料の支
払いを行うとともに、事後は割増し保険料を支払う。
【0102】ステップS5において橋梁1に異状がなけ
れば、ステップS8において、日常的な点検を行う。す
なわち、全般および重点箇所について目視などにより点
検し、発見した変状などの記録を行う。ステップS9に
おいて異状があれば、上述と同様にしてステップS6お
よびS5の処理を行う。
【0103】ステップS9において橋梁1に異状がなけ
れば、ステップS10において、完成後特定期間後の点
検および診断、性能評価を行う。すなわち、構造物の特
性に応じた中間年の点検であって、構造物全般を近接目
視などにより変状の動態を検討するとともに、耐力およ
び余寿命について定量的な性能評価を行う。
【0104】ステップS11において、ある特定周期で
定期的もしくは不定期に第三者による診断、性能評価を
行うとともに、ステップS8に戻って日常的な点検のサ
イクルを繰り返す。
【0105】なお、図9にもとづく上述のような保険シ
ステムの処理の流れは、レンタルあるいはリースなど賃
貸システムを採用する場合にも同様にこれを採用可能で
ある。すなわち、賃貸システムの場合には、橋梁1その
他の構造物の所有者が、構造物管理者Gである国あるい
は地方公用団体に対して当該構造物を貸し出す形態であ
り、構造物管理者Gはその所有者に対してレンタル料あ
るいはリース料を支払う形態を取る。すなわち、橋梁1
の資産価値を吟味しこれを運用することで利益を上げよ
うとする民間企業その他の法人を対象とした橋梁1の市
場に橋梁1自体を流通させることができる。
【0106】つぎに図10は、証券システムを採用した
場合の、処理の流れを概略的に示したフローチャートで
あって、証券化の対象となる橋梁1その他の構造物に対
してステップS11において診断および性能評価を行
い、ステップS12において橋梁1の余寿命および耐力
を基準として、その資産価値を査定する。さらに、ステ
ップS13において維持経営のための経費の適正な算定
を行い、ステップS14において証券化を行う。
【0107】図11は、本発明による利益の創出の流れ
を概略的に示したフローチャートであって、ステップS
21において、構造物専門家Pの支援のもとでの適正か
つ客観的な診断および性能評価を行い、その結果を構造
物データファイル46にデータベース化するとともに、
橋梁1の余寿命および耐力その他を判定し、インターネ
ット29などを介して構造物管理者Gおよび維持管理企
業Eに必要なデータを公開する。ステップS22におい
て、技術情報ファイル47のデータを参照し、かつ査定
システムファイル51により保険システム、賃貸システ
ムあるいは証券システムの処理を行い、ステップS23
において利益を創出する。
【0108】すなわち、一般的かつ基本的な企業活動に
おいては、利益=売上げ−経費、という公式が成立し、
とくに比較的広範囲に分散して構築されていると中小規
模分散型の構造物については、その売上げに対して経費
がかさむため、利益が出ていないのが現状である。しか
も、その経費は税金から補助金として拠出されているこ
とも事実である。つまり、企業活動における経費という
投資金額に対して売上げの金額が伸びていないという現
実がある。本発明においては、構造物専門家Pの支援の
もと、構造物の状態を適正かつ定量的に診断もしくは性
能評価することにより、かつまた保険システム、賃貸シ
ステムあるいは証券システムを導入可能とすることによ
り、維持経営のための経費を低減し、従来は負の資産と
しか考えられていなかった構造物についても安全かつ適
正な維持管理を行いつつ、利益を創出することを可能と
した。換言すれば、構造物の全生涯費用を含む社会的コ
ストを削減することができる。
【0109】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、構造物専
門家の支援のもと、橋梁その他の構造物の状態を適正か
つ定量的に診断もしくは性能評価することとしたので、
維持経営のための費用を低減することができる。たとえ
ば、既存の検査員を構造物専門家の支援のもとで有効に
活用することにより、とくに中小規模かつ分散型の橋梁
などの構造物の維持経営を適切、安全、効率的、かつ低
廉に行うことが可能となり、民間資金の導入による社会
資本および公共事業の整備を積極的に進めることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による構造物の維持経営シ
ステム20により構造物(とくに橋梁1などの公共構造
物)を診断する際の説明図である。
【図2】同、構造物の維持経営システム20の概略構成
図である。
【図3】同、システムサーバー25の概略構成を示すブ
ロック図である。
【図4】同、構造物の維持経営システム20において、
構造物管理者G、維持管理企業Eおよび構造物専門家P
による処理の流れの一例を示すブロック図である。
【図5】同、維持経営支援システム21(遠隔支援シス
テムファイル49)を示すブロック図である。
【図6】同、構造物の維持経営システム20および維持
経営支援システム21による中小規模分散型の橋梁1な
どについての監視、点検、検査および診断のためのパタ
ーンを示す説明図である。
【図7】同、図6による診断パターンをさらに具体的に
模式化した維持管理パターンの説明図である。
【図8】同、中心となる構造物の維持経営システム20
ないし維持経営支援システム21と各地域における組織
のパターンを示した説明図である。
【図9】同、保険システムなどを採用した場合の構造物
の診断および性能評価の処理の流れを概略的に示したフ
ローチャートである。
【図10】同、証券システムを採用した場合の、処理の
流れを概略的に示したフローチャートである。
【図11】同、本発明による利益の創出の流れを概略的
に示したフローチャートである。
【図12】構造物(とくに公共構造物)について従来方
式の検査および診断を行う際の説明図である。
【図13】同、中小規模分散型の橋梁1などについての
検査および診断のためのパターンを示す説明図である。
【図14】同、大規模構造物の維持管理システムの概略
を示す説明図である。
【図15】同、大規模集中型の橋梁1などについての検
査および診断のためのパターンを示す説明図である。
【符号の説明】
1、1A、1B、1C 橋梁(構造物) 2、2A、2B、2C 検査員 3 検査機材(センサー)(図12) 4 橋梁1について管理上の境界(地域的あるいは法律
的な隔壁)(図13) 5 高速道路(図14) 6 トンネル 7 道路橋 8 通信ネットワーク 9 中央の構造物管理センター 10 有線テレビ 11 光ケーブル 20 構造物の維持経営システム(実施の形態、図1、
図2) 21 維持経営支援システム(支援システム、図1、図
5) 22 診断装置 23 モニタリングセンサー 24 警備会社 25 システムサーバー(図3) 26 複数の構造物管理者Gによるそれぞれの管理者端
末 27 複数の維持管理企業Eによるそれぞれの企業端末 28 複数の構造物専門家Pによるそれぞれの専門家端
末 29 インターネット(通信手段) 30 システム制御手段 31 入出力制御手段 32 プログラム記憶装置 33 コンテンツファイル記憶装置(実施の形態、図
3) 34 構造物管理者Gに関するデータファイル 35 維持管理企業Eに関するデータファイル 36 各種構造物専門家Pに関するデータファイル 37 技術情報およびメンテナンス情報データファイル 38 専門知識ファイル 39 アプリケーションプログラムファイル 40 技術評価ないし認定付き(あるいはナシの)商品
情報ファイル 41 人材データファイル 42 評価ファイルあるいは認証ファイル 43 認証およびセキュリティデータファイル 44 電子決済データファイル 45 アンケートデータファイル 46 構造物の状態を記憶した構造物データファイル 47 構造物の維持管理のための技術情報、対策パター
ンその他を記憶する技術情報ファイル 48 人材育成システムファイル 49 維持経営支援システム21の遠隔支援システムフ
ァイル 50 保険システムファイル 51 査定システムファイル 52 賃貸システムファイル 53 証券システムファイル 54 検査項目およびその要領ファイル(図5) 55 検査結果およびその記録・判定要領ファイル 56 定量的診断の項目およびその要領ファイル 57 変状および対策パターンファイル 58 維持管理企業Eを含む関連業者情報ファイル 59 電話(通信手段)(図7) 60 携帯電話(通信手段) 61 衛星通信(通信手段) 62 各地域の拠点となる中心核組織(図8) G、GA、GB、GC 構造物管理者(ユーザー) E 維持管理企業(クライアント企業、各種施工会
社) P 構造物専門家
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E176 BB38 5B049 BB05 BB47 CC05 CC11 CC21 CC36 CC44 EE05 EE11 EE56 GG04 GG07 5B075 KK03 KK07 KK13 KK33 KK37 ND03 ND20 NS01 QP01 UU40

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物を維持経営するための構造物の
    維持経営システムであって、 前記構造物の状態を継続的に記憶および比較可能な構造
    物データファイルを設けるとともに、 構造物専門家の支援のもとに前記構造物の状態を、目視
    検査などの定性的判断に加えて、客観的に診断もしくは
    性能評価することにより該構造物の余寿命および耐力な
    どの特性を定量的に把握してこの構造物データファイル
    にデータベース化し、 このデータベースにもとづいて、該構造物の維持経営の
    ための費用を適正に査定し、 該構造物の維持経営のための民間資金を導入可能とする
    ことを特徴とする構造物の維持経営システム。
  2. 【請求項2】 構造物を維持経営するための構造物の
    維持経営システムであって、 前記構造物の状態を継続的に記憶および比較可能な構造
    物データファイルを設けるとともに、 構造物専門家の支援のもとに前記構造物の状態を、目視
    検査などの定性的判断に加えて、客観的に診断もしくは
    性能評価することにより該構造物の余寿命および耐力な
    どの特性を定量的に把握してこの構造物データファイル
    にデータベース化し、さらに、 前記構造物の状態に対応した対策パターンを記憶した技
    術情報ファイルを設け、 この対策パターンおよび前記データベースにもとづい
    て、該構造物の維持経営のための費用を適正に査定し、 該構造物の維持経営のための民間資金を導入可能とする
    ことを特徴とする構造物の維持経営システム。
  3. 【請求項3】 前記民間資金は、保険料、賃貸費用、
    あるいは有価証券のいずれかであることを特徴とする請
    求項1あるいは2記載の構造物の維持経営システム。
  4. 【請求項4】 構造物を維持経営するための構造物の
    維持経営システムであって、 前記構造物の状態を継続的に記憶および比較可能な構造
    物データファイルを設けるとともに、 構造物専門家の支援のもとに前記構造物の状態を客観的
    に診断もしくは性能評価することにより、該構造物の余
    寿命および耐力などの特性を定量的に把握してこの構造
    物データファイルにデータベース化し、 複数の前記構造物を、管理上の境界をこえてまとめて維
    持経営することにより、余剰資金を生み出し、 該構造物の維持経営のための保険システムを導入可能と
    することを特徴とする構造物の維持経営システム。
  5. 【請求項5】 構造物を維持経営するための構造物の
    維持経営システムであって、 前記構造物の状態を継続的に記憶および比較可能な構造
    物データファイルを設けるとともに、 構造物専門家の支援のもとに前記構造物の状態を客観的
    に診断もしくは性能評価することにより、該構造物の余
    寿命および耐力などの特性を定量的に把握してこの構造
    物データファイルにデータベース化し、 このデータベースにもとづいて、補修、補強や延命化工
    法などと関連づけて該構造物の維持経営のための費用の
    最適化を行い、 該構造物の維持経営のための賃貸システムを導入可能と
    することを特徴とする構造物の維持経営システム。
  6. 【請求項6】 構造物を維持経営するための構造物の
    維持経営システムであって、 前記構造物の状態を継続的に記憶および比較可能な構造
    物データファイルを設けるとともに、 構造物専門家の支援のもとに前記構造物の状態を客観的
    に診断もしくは性能評価することにより、該構造物の余
    寿命および耐力などの特性を定量的に把握してこの構造
    物データファイルにデータベース化し、 このデータベースにもとづいて、該構造物という資産や
    ストックとしての性能を有価証券化し、 該構造物の維持経営のための証券システムを導入可能と
    することを特徴とする構造物の維持経営システム。
  7. 【請求項7】 構造物を維持経営するための構造物の
    維持経営システムであって、 前記構造物の状態を診断する診断装置と、 この診断装置による診断結果を継続的に記憶および比較
    可能な構造物データファイルと、 前記構造物の状態に対応した対策パターンを記憶した技
    術情報ファイルと、 前記構造物に関して各種の専門知識および経験を有する
    構造物専門家による支援システムと、 を有することを特徴とする構造物の維持経営システム。
  8. 【請求項8】 構造物を維持経営するための構造物の
    維持経営システムであって、 前記構造物の状態を診断する診断装置と、 この診断装置による診断結果を継続的に記憶および比較
    可能な構造物データファイルと、 前記構造物に関して各種の専門知識および経験を有する
    構造物専門家による支援システムと、 前記構造物データファイルのデータベースにもとづいて
    前記構造物の検査、点検、補修、補強、延命化措置およ
    び更新費を含めた維持経営のための全生涯費用(LC
    C)を査定する査定システムファイルと、 を有することを特徴とする構造物の維持経営システム。
  9. 【請求項9】 構造物を維持経営するための構造物の
    維持経営システムであって、 前記構造物の状態を診断する診断装置と、 この診断装置による診断結果を継続的に記憶および比較
    可能な構造物データファイルと、 前記構造物に関して各種の専門知識および経験を有する
    構造物専門家、もしくはデータマイニング処理により構
    築された知識ベース情報による支援システムと、 前記構造物の異状を検知もしくは状態を把握するととも
    にこの検知情報をこの支援システムに連絡可能としてあ
    るモニタリングセンサーと、 を有することを特徴とする構造物の維持経営システム。
  10. 【請求項10】 前記支援システムは、 前記構造物の状態を診断する診断装置からの診断情報に
    ついて、前記構造物に関して各種の専門知識および経験
    を有する構造物専門家が支援することを特徴とする請求
    項7、8あるいは9いずれかに記載の構造物の維持経営
    システム。
  11. 【請求項11】 前記支援システムは、支援システム
    ファイルを有し、 この支援システムファイルは、 前記診断装置による診断のための検査項目およびその要
    領ファイル、 この検査項目による検査結果およびその記録・判定要領
    ファイル、 定量的診断の項目およびその要領ファイル、 前記構造物の変状のパターンおよび事例、 診断にもとづく前記構造物への対策パターンもしくは保
    全工法パターンおよび事例、 この対策パターンに関連する維持管理企業情報、の少な
    くともいずれかひとつを有することを特徴とする請求項
    7、8あるいは9いずれかに記載の構造物の維持経営シ
    ステム。
  12. 【請求項12】 前記構造物を管理する責任を有する
    構造物管理者の管理者端末と、前記構造物専門家の専門
    家端末と、を通信手段により接続するとともに、 この通信手段を介して前記構造物データファイルにアク
    セス可能としたことを特徴とする請求項7、8あるいは
    9いずれかに記載の構造物の維持経営システム。
  13. 【請求項13】 構造物を維持経営するための構造物
    の維持経営方法であって、 前記構造物の状態を継続的に記憶および比較可能な構造
    物データファイルを設け、 前記構造物が供用開始時もしくは瑕疵担保期間終了前
    に、構造物専門家の支援のもと、目視点検などの定性的
    判断に加えて前記構造物の状態を客観的に診断もしくは
    性能評価による定量的判断により、特定の期間に対する
    地震や洪水もしくは衝突事故による安全の度合いや危険
    性、もしくは前記構造物からの落下物による周辺の第三
    者被害に対する危険度および前記構造物の耐荷力や耐久
    性能を評価するとともに、これを定期的に特定の頻度で
    繰り返した情報を、前記構造物データファイルにデータ
    ベース化し、 前記データベースにもとづいて、該構造物の維持経営の
    ための費用を適正に査定し、 該構造物の維持経営のための民間資金を導入可能とする
    ことを特徴とする構造物の維持経営方法。
  14. 【請求項14】 構造物を維持経営するための構造物
    の維持経営システムのコンテンツファイル記憶装置であ
    って、 前記構造物の安全度や危険度、余寿命および耐力などの
    特性を記憶可能な構造物データファイルと、 この構造物データファイルによるデータベースにもとづ
    いて前記構造物の資産価値を査定するための査定システ
    ムファイルと、 を有するとともに、 この査定システムファイルによる査定にもとづいて民間
    資金の導入を可能とする保険システムファイル、賃貸シ
    ステムファイルあるいは証券システムファイル、の少な
    くともいずれかひとつを含むことを特徴とする構造物の
    維持経営システムのコンテンツファイル記憶装置。
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