JP2003043210A - 光学面形成方法、成形金型の製造方法及び光学素子 - Google Patents

光学面形成方法、成形金型の製造方法及び光学素子

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JP2003043210A
JP2003043210A JP2001235724A JP2001235724A JP2003043210A JP 2003043210 A JP2003043210 A JP 2003043210A JP 2001235724 A JP2001235724 A JP 2001235724A JP 2001235724 A JP2001235724 A JP 2001235724A JP 2003043210 A JP2003043210 A JP 2003043210A
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ion beam
substrate
focused ion
optical
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Hide Hosoe
秀 細江
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 集束イオンビームを電界や磁界により照射位
置を容易にかつ瞬時に制御できることに着目し、非光学
面上に光学面を形成し、また、成形金型やマスタ型など
の光学面上に直接微細な光学面形状を形成し、その微細
形状構造により新たな機能を付加した光学面を容易にか
つ高精度に形成することのできる光学面形成方法を提供
する。また、かかる方法を用いて光学面が形成された成
形金型の製造方法及びかかる成形金型により形成された
光学素子を提供する。 【解決手段】 この光学面形成方法は、基体10の表面
近傍にスポットを結ぶように集束イオンビームbを照射
し、基体の表面近傍の雰囲気が集束イオンビームと衝突
することによって分子及び/又は原子を発生させ、分子
及び/又は原子を基体の表面に付加させて光学面を形成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、集束イオンビーム
を用いて光学面を形成する方法、この光学面形成方法に
よる成形金型の製造方法及び光学素子に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、集束イオンビーム(focused ion b
eam)を用いた加工技術として、30〜75keVに加速
されたイオンを加工対象物にあてて除去加工し、所望の
形状の形成を行う方法が試みられている。イオン原子と
しては、常温付近で液体である必要からアルゴンやガリ
ウム等が用いられているが、このように質量の大きい原
子を加速して20nm程度の大きさに焦点を絞り、その
焦点付近に非常に高いエネルギ密度をつくりだして、加
工対象の材料の表面を走査して除去加工を行うものであ
る。
【0003】この方法によって平面などの光学面を形成
しようとすると、極端に大きな除去能力を有する針先を
走査して光学平面を形成する状態であるため除去量が安
定せす、加工表面は数μm程度の凹凸を有する粗面とな
り、均一な滑らかさを有する光学面を形成することは非
常に難しかった。また、対象材料の材質の不均一性など
にも加工効率が大きく影響されるため、このような集束
イオンビームの焦点部による除去加工で光学面を形成す
る方法は、実用されるに至っていない。
【0004】また、集束するビームの焦点部ではなく外
周面を利用すると、非常に平滑な除去面を形成すること
はできる。これは、対象材料に集束イオンビームをあて
て溝を削り、その溝の側壁を平滑な加工面として利用す
るもので、透過型電子顕微鏡などの試料の切り出しなど
に用いられている。しかし、加工面が集束イオンビーム
の光軸に対してほぼ平行な加工面に限定されるため、凹
面や凸面などの立体的な光学面形状の形成には適さな
い。
【0005】このように、従来、集束イオンビームはそ
の非常に高いエネルギビームにより、除去加工としての
能力を注目されてきたが、光学面の形成手段としてはあ
まりに高いエネルギ密度を微細に制御することが難しい
ため、実用的に応用されることはなかった。
【0006】ところで、光学面基板上に微細な光学面構
造を形成する技術としては、電子ビーム描画が既に知ら
れている。これは、PMMAなどの樹脂を1μm程度の
厚みにスピンコートして硬化させ、これに30〜75k
eVに加速した電子ビームを集束させて走査・照射して
所望のパターンを露光した後、現像して光学面形状を得
るものである。できあがったレジストの光学面形状は、
電子ビームの照射(露光)量を変えることにより現像時
に残った樹脂の厚みが変わることを利用する。この方法
により、光学面基板上に回折格子のブレーズパターンや
波長以下の微細構造(Sub-Wavelength Structure)による
偏光素子などを形成することが、既に実用化されてい
る。しかしながら、この方法は、従来にない微細な光学
面構造を形成できる反面、レジストを介しているため
に、例えばプラスチック光学素子の成形金型などに応用
する場合では、レジストで形成した光学面を実際に成形
に耐え得る金型材料の表面に転写加工する必要があっ
た。
【0007】この転写加工は、イオンビームシャワーな
どによるドライエッチングで、基板面をレジストで形成
された微細光学面形状に彫り込む等の方法が行われてい
るが、ドライエッチングでは基板のエッチングレートが
レジストよりもあまり小さくならないようにしないと、
エッチングの際に基板に光学パターンが十分な深さで彫
り込まれる前にレジストが除去されてしまうという難し
さがあった。そのため、ドライエッチングでは、エッチ
ングに用いるガスと基板の相性、加速電圧やエッチング
ガス濃度などのエッチング条件を適性に選ぶ必要があ
り、工程として煩雑であり、また光学面基板材料も必ず
しも本来の応用目的に最適な材料を選べない場合もあっ
た。例えば、前述のプラスチックレンズを成形する金型
の光学面形成に電子ビーム描画方法を利用する場合にお
いては、通常の金型材料としては硬度が大きく欠け難く
かつ機械加工が容易な鋼やステンレス材料が用いられる
が、ドライエッチングではこの金属材料では、多結晶構
造や不純物によってエッチングが均一に進まず、所望の
レジストで形成した光学面を金型基材に写し取ることは
極めて難しい。そこで、金型光学面基板の材料として、
ドライエッチングの容易な単結晶シリコン材料を選ぶ
と、SF6などのガスを用いてレジストと基材とのエッ
チング比をほぼ1にできるため、所望の光学面形状をシ
リコン基板上にほぼそのままの形状で写し取ることが出
来る。しかしながら、単結晶シリコンは基本的に脆性材
料であり機械加工に適さず、また成形時にかかる大きな
型締め力や光学樹脂の圧力に対して割れやカケを発生し
易く、金型としての耐久性は著しく低いため、実用性に
は問題があった。同じく、沸化水素によるエッチングに
適した石英基板の場合も、脆性材料であり極めて脆く、
所望の応用において問題があった。
【0008】また、従来の電子ビーム法ではレジストを
介するために、エッチング工程で一つの光学面を完成さ
せるには、せっかく電子ビームにより形成したレジスト
の光学面が破壊されてしまうため、必要な光学面の員数
だけ電子ビーム描画が必要になるという、非常に効率の
悪い光学面形成方法であった。従来のこのような問題点
を克服するために、本発明者は、先に特願2001‐0
54182号において、ドライエッチング容易な材料で
所望の光学面をレジストから転写しておき、これを型と
して金属ガラスによって成形して所望の光学面を大量に
形成する方法や、金属ガラスそのものを基板材料とし
て、その均一な組織により極めて良好なドライエッチン
グを実現して、所望の光学面を得る方法を提案した。こ
の発明により従来では不可能か又は極めて実現が難しか
った微細光学面構造を有する光学面の形成と利用が容易
になったが、本発明ではさらに、煩雑な現像やエッチン
グ工程を必要とするレジストを介さずに、しかも基材の
材料を選ばない、より直接的な光学面の形成方法を提案
するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、集束イオン
ビームを電界や磁界により照射位置を容易にかつ瞬時に
制御できることに着目し、基体の非光学面上に光学面を
形成し、また、成形金型やマスタ型などの光学面上に直
接微細な光学面形状を形成し、その微細形状構造により
新たな機能を付加した光学面を容易にかつ高精度に形成
することのできる光学面形成方法を提供することを目的
とする。
【0010】また、上述の光学面形成方法を用いた成形
金型の製造方法及びかかる成形金型を用いて成形された
光学素子を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、光学面形状を
創成するに際して、集束イオンビームを除去加工ではな
く付着加工(デポジション)として用いることに大きな
特徴がある。即ち、基体上にガスを導入して、そこヘ集
束イオンビームを照射すると、加速されて飛来する集束
イオンビームは、ガス分子と衝突し分解して、その中の
原子または分子を高速ではじき出して基体上に衝突さ
せ、その原子または分子による膜を基体表面上に形成す
る。これは、FIBガスデポジション法等と呼ばれてい
る方法で、集束イオンビームを磁界や電界などを与えて
照射位置を走査することで、基体上に任意のパターンで
選択的に薄膜を形成することが可能である。
【0012】この技術は、もともとは半導体用フォトマ
スク作製時の白黒欠陥を修復したり、半導体の製作工程
で配線が一部欠落する等の不良発生時に、タングステン
や白金などの安定した良導体の金属を含むガスを導入し
て、所望の欠落した配線部分をデポジションにより修復
し、半導体を再生する目的で開発されたものである。
【0013】本発明者は、この技術において集束イオン
ビームの照射だけにより、基体上の非常に小さな領域を
選択的にデポジションできることに注目し、集束イオン
ビームを照射しながら基体上を走査している際に、ガス
濃度やビーム照射量を制御することで任意の厚みのガス
組成原子または分子の薄膜を形成できることを見出し、
さらにこのデポジション条件を制御することにより任意
の微細な光学面形状で基体上に付着加工できることを見
出し、かかる知見に基づいて本発明に至ったのである。
【0014】即ち、本発明による第1の光学面形成方法
は、基体の表面近傍にスポットを結ぶように集束イオン
ビームを照射し、前記基体の表面近傍の雰囲気が前記集
束イオンビームと衝突することによって分子及び/又は
原子を発生させ、前記分子及び/又は原子を前記基体の
表面に付加させて光学面を形成することを特徴とする。
【0015】また、本発明による第2の光学面形成方法
は、集束イオンビームを用いて、光学面基体の表面にガ
スを導入しながら、前記ガスに含まれる原子または前記
ガスが分解してできた分子により成膜を行い、その膜表
面が所望の光学面を形成することを特徴とする。
【0016】本発明の光学面形成方法によれば、集束イ
オンビーム法により基体の表面に成膜でき、所定の形状
の光学面を創成することができる。
【0017】また、前記集束イオンビームが前記基体上
を走査することにより、前記基体表面に導入した前記ガ
スを構成する原子または前記ガスが分解してできた分子
で走査領域において選択的に成膜を行うことができる。
これにより、所望の形状に成膜することで所定の形状の
光学面を形成することができる。
【0018】また、前記集束イオンビームの照射時間を
制御することで膜厚を変え、成膜された表面形状を前記
光学面の形状に形成することができる。また、前記集束
イオンビームを前記基体上を走査する際に、同一領域を
複数回走査することにより等価的に前記集束イオンビー
ムの照射時間を変化させることができる。更に、前記基
体の表面に導入するガスの濃度を制御し変化させて前記
集束イオンビームを照射することができる。
【0019】本発明のFIB(focused ion beam)ガスデ
ポジション法による光学面形成方法は、その形成プロセ
スにエッチングを全く用いないため、エッチングレート
の揺らぎを起こす金属などの多結晶材料や不純物を含む
材料であっても形成された光学面ヘの影響は小さい。そ
のため、電子ビーム方法などと異なり光学面の基材材料
を選ばないという大きな特徴を有する。従って、前述し
たプラスチックレンズの成形金型を形成する際には、鉄
鋼材料やステンレス鋼などの従来用いられていた金型材
料、超硬材料、セラミックスに直接所望の光学面を形成
できるという、実用上の大きな特徴がある。また、基材
表面も前述したように、光学面であって新たな光学機能
を付加する場合でも良いし、光学面ではなくてその表面
に新規に光学機能を形成する場合であっても良い。
【0020】さらに、本発明により形成された光学面形
状は、平面や球面形状に限らす、トーリック面や放物面
などの任意の非球面形状であつても良く、その光学面表
面に回折溝や波長以下の大きさの微細構造を有していて
も良く、また有していなくても良い。
【0021】本発明による光学面形成方法は、基材材料
にレジストを介さずに直接光学面形成を行うため、形成
された光学面をそのまま成形金型やマスタ型の転写用光
学面とすることができる。また、形成された光学面につ
いて過冷却領域を有するアモルファス金属を加熱軟化さ
せてプレス成形を行ったり、または電鋳等によって光学
面を写し取ることができ、この場合の光学面材料の硬度
や密着性が高いため、マスタ型として繰り返し使用でき
る。これにより、光学面の複製を大量に行うことが出来
るので、本発明による再生産性の効果をさらに発揮する
ことが出来る。
【0022】また、本発明による光学面形成方法で微細
な光学面を容易に形成できるので、本光学面形成方法で
得られた転写用光学面を有する成形金型により成形され
た光学素子は微細構造を有することができ、例えば光学
素子の用いられる光学系の使用波長(光源波長)よりも
小さな構造を形成できる。例えば、そのピッチが光源波
長以下の鋸歯状の反射防止膜を有する光学素子を容易に
得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明による実施の形態に
ついて図面を用いて説明する。図1は本発明の実施の形
態による光学面形成方法で用いることのできる集束イオ
ンビーム装置の要部を概略的に示す図である。
【0024】図1の集束イオンビーム装置では、ガリウ
ム液体金属イオン源11のエミッタ11aに加速電圧を
印加し電極11bに負の高電圧を印加すると、エミッタ
11aからイオンが放出され、電極11b及び11cで
構成される集束レンズで集束される。集束されたイオン
ビームbは、ビームを平行にするコンデンサレンズ12
と、ビーム照射のオンオフを行うブランカ13と、ビー
ム位置をアパチャ15に対し調整するアライナ14と、
ビーム開角を決めるアパチャ15と、ビームを対物レン
ズ17の中心に通すためのアライナ16と、ビームを基
体10の表面にスポット状に合焦させる対物レンズ17
と、ビームを基体10の表面上で走査させるように電界
または磁界によりビームを偏向させる偏向走査部18と
を順に通過し、XYステージ21上に取り付け固定され
た光学面形成対象物である基体10の表面に照射され
る。
【0025】また、ガス放出部19ではノズル19aか
ら基体10に向けてデポジション用のガスを吹き付け
る。また、集束イオンビームの照射により基体10から
放出される2次電子を2次電子検出器20で検出する。
また、XYステージ21は駆動部21a、21bにより
XY方向に微小に移動し、XYステージ制御部22の駆
動部21a、21bの制御により集束イオンビームの照
射点と光学面を形成する基体10との相対位置を微小調
整できる。図1の集束イオンビーム装置の上述の各部分
11〜22は全体として制御装置23により制御され
る。
【0026】図1の集束イオンビーム装置により、集束
イオンビームを照射しながらガス放出部19のノズル1
9aから基体10にガスを吹き付けると、この吹き付け
ガスにより形成された基体10の表面近傍の雰囲気が集
束イオンビームと衝突する。この衝突で発生した分子・
原子を基体10の表面に付加させてデポジションを行う
ことにより基体10の表面に成膜を行うことができ、こ
の成膜により光学面を形成できる。
【0027】上述の集束イオンビームに用いるイオン
は、ガリウム以外にアルゴン等が用いられるが、原子量
の大きい元素の方がエネルギ密度が高く、加工に適す
る。また、イオン生成においては室温で液体であること
が望ましいため、イオン発生元素としては通常はガリウ
ムを用いるのが好ましい。また、効率よく高速にデポジ
ションを行うにはガスの分解効率が高いことが望まし
く、従って、加速したときの運動エネルギが大きなガリ
ウムを加速イオンに用いた方が良い。そのため、イオン
ビームは正の荷電粒子となるが、イオンビームの電荷の
正負は本発明の本質とは関係ない。
【0028】また、図1の偏向走査部18は電界や磁界
により集束イオンビームの走査範囲(フィールド)を制
御できるが、この走査範囲は、通常は5μm角〜20μ
m角と非常に狭いため、図1のXYステージ21で基体
10と集束イオンビームの照射点の位置を相対的に変え
ることにより広い光学面を形成できる。即ち、形成され
る光学面パターンの大きさが集束イオンビームの走査範
囲を超える場合は、XYステージ21により基体10を
移動させながらつなぎ照射をして光学面を接続すること
により、より広い光学面を形成できる。
【0029】上述のようにつなぎ照射のためXYステー
ジ21で基体10を移動する方が、一般的には集束イオ
ンビーム装置(加速器)よりも基体の方がはるかに小型
で軽量であるため好ましい。また、走査パターンのつな
ぎ精度は、所望の光学面形状や光学特性を得るのに非常
に重要であるので、XYステージ21は、例えば既存の
電子ビーム描画装置などで実用になっている2軸の微動
ステージが同様のつなぎ露光を目的とした装置なので、
そのまま利用できる。
【0030】また、基体の形状が平面以外の球面や非球
面形状などの3次元的な場合は、本発明の光学面形成を
行うには、集束イオンビームの焦点近傍に基材表面が常
に位置するように制御するために、微動ステージは、X
YZの3軸駆動や各軸固りの回転駆動などとすることが
好ましい。この場合、集束イオンビームのビーム開き角
は、2〜3度程度であるので、所望の光学面精度にもよ
るが、焦点深度を5μm程度取ることができ、微動ステ
ージの集束イオンビーム光軸方向の位置決め精度は、そ
れほど高分解能高精度にする必要はない。球面や非球面
の深い基体形状に本発明の方法により光学面形成を行う
際には、場合によっては集束イオンビームを照射する部
分の面傾斜角が50〜70度と大きくなることがある。
このような場合は、ワークを回転駆動することにより集
束イオンビームの光軸に対する面傾斜角を0度(垂直)
に近づくように微動ステージを制御すると、デポジショ
ン条件が基体上でほぼ均一となり、膜厚制御が容易とな
る。しかし、集束イオンビームにより分解され発生する
デポジション媒体の量やそのスパッタエネルギに対し
て、基板の面傾斜角は本来関係がないため、本発明の方
法は基板の面傾斜角の影響を受けにくく、面傾斜角に合
わせて若干の照射時間などに補正を加えることにより、
所望の膜厚で高精度に光学面形状を形成できる。
【0031】また、図2のように、集束イオンビームの
焦点スポットsの径は通常20nm程度であるが、集束
イオンビームの照射により分解されたガスが拡散したり
飛散方向がばらつくため、ライン状にビームを走査した
際にデポジションされたパターンの片側にはみ出しが生
じ、図2の破線のように、そのはみ出し量tは、数10
〜数100nm程度である。このはみ出しは、走査毎の
再現性が極めて良いため、光学面パターンを形成する際
には、予めこのはみ出し量を見込んで、走査のパターン
を走査ラインに対して膜厚が厚くなる側にオフセットし
て照射することで、所望の光学パターン形状を高精度に
得ることができる。
【0032】上述のはみ出し量は、ガスの種類やデポジ
ション条件によって変わり、一般的にはデポジションレ
ートが小さいときは小さく、大きいときは大きくなるの
で、それを補正するオフセット量もそのはみ出し量に準
じて決めれば良い。本発明の光学面形成方法において
は、実用的なデポジション条件の制約からこのオフセッ
ト量は、概ね50nm以上から500nmまでの範囲に
なる。
【0033】
【実施例】次に、図1のような集束イオンビーム装置を
用いてFIBガスデポジション法により、シリコン基体
上に光学面として回折格子のブレーズ(鋸歯状溝)を形
成した実施例について説明する。
【0034】まず、図1でガス放出部19からフェナン
トレンガスをシリコン基材の表面に一定濃度で導入しな
がら、集束イオンビームを20μm×8μmの矩形パタ
ーンで照射した後、その長辺の1辺を揃えて短辺の長さ
を4段階に変えて矩形パターンを重ね照射し、図3、図
4に示すようにブレーズ形状として5段の階段状構造を
形成した。
【0035】図3、図4から明らかなように、カーボン
原子による薄膜が照射時間によって規則正しく5段に重
なって形成されており、最も厚い部分で1.5μmの膜
厚となっている。このときの加速電圧は30keVで、
加工時間は75秒であり、短時間で加工することができ
た。デポジション条件としては、ガス濃度や集束イオン
ビームの加速電圧を一定とし、総合的な照射時間の制御
によって所望の光学面形状が形成できることが分かっ
た。
【0036】図5は図4の拡大図であるが、図5から集
束イオンビームの焦点部で加工されたにもかかわらす、
除去加工の場合と異なり、形成された階段構造の表面は
極めて滑らかであり、光学面として十分な平滑さを有し
ていることが分かる。
【0037】また、表面粗さの粗い基板表面にFIBガ
スデポジションを行うと、その形成表面は基板よりも表
面粗さが良くなり、光学面としてより適した表面が形成
されることが確認できた。従って、基材の表面粗さは、
必ずしも光学面としての表面粗さを備えていなくとも良
く、充分な光学機能の無い基材表面に光学機能を本発明
によって付加することも可能である。
【0038】本発明の方法により形成された表面は、上
述のように光学面として優れているから、図3〜図5に
おいて集束イオンビームの照射量を5段階よりもさらに
段数を増やして細かく制御すれば、段差が小さくなりよ
り滑らかな傾斜光学面を形成することができる。つま
り、本発明の本質であるデポジション条件を制御するこ
とにより微細な光学面構造を基体上に形成することが可
能であることが本実施例で実証された。
【0039】また、デポジション条件は、前述のように
繰り返し照射により総合的な照射時間を制御する方法で
あっても良いし、集束イオンビームの走査速度を制御す
る方法でも良い。また、照射時間を一定とし、ガス濃度
を変えても良く、加速電圧を変えたりイオンビーム量
(電流)を制御して行つても良い。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、集束イオンビームを用
いて非光学面上に光学面を形成し、また、成形金型やマ
スタ型などの光学面上に直接微細な光学面形状を形成
し、その微細形状構造により新たな機能を付加した光学
面を容易にかつ高精度に形成することのできる光学面形
成方法を提供できる。
【0041】また、上述の光学面形成方法を用いた成形
金型の製造方法及びかかる成形金型を用いて成形された
微細構造を有する光学素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態による光学面形成方法で用いるこ
とのできる集束イオンビーム装置の要部を概略的に示す
図である。
【図2】図1のイオンビーム装置において基体上の集束
イオンビームの焦点スポットsの径に対し、ライン状に
ビームを走査した際にデポジションされたパターンの片
側におけるはみ出し量tを模式的に示す図である。
【図3】本実施例においてシリコン基体上に光学面とし
て回折格子のブレーズ(鋸歯状溝)を形成した状態を示
し、基体の真上からみた図である。
【図4】図3を斜めから見た図である。
【図5】図4の拡大図である。
【符号の説明】
10 基体 21 XYステージ b 集束イオンビーム t はみ出し量

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体の表面近傍にスポットを結ぶように
    集束イオンビームを照射し、前記基体の表面近傍の雰囲
    気が前記集束イオンビームと衝突することによって分子
    及び/又は原子を発生させ、前記分子及び/又は原子を
    前記基体の表面に付加させて光学面を形成することを特
    徴とする光学面形成方法。
  2. 【請求項2】 集束イオンビームを用いて、光学面基体
    の表面にガスを導入しながら、前記ガスに含まれる原子
    または前記ガスが分解してできた分子により成膜を行
    い、その膜表面が所望の光学面を形成することを特徴と
    する光学面形成方法。
  3. 【請求項3】 前記集束イオンビームが前記基体上を走
    査することにより、前記基体表面に導入した前記ガスを
    構成する原子または前記ガスが分解してできた分子で走
    査領域において選択的に成膜を行うことを特徴とする請
    求項1または2に記載の光学面形成方法。
  4. 【請求項4】 前記集束イオンビームの照射時間を制御
    することで膜厚を変え、成膜された表面形状を前記光学
    面の形状に形成することを特徴とする請求項1,2また
    は3に記載の光学面形成方法。
  5. 【請求項5】 前記集束イオンビームを前記基体上を走
    査する際に、同一領域を複数回走査することにより等価
    的に前記集束イオンビームの照射時間を変化させること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学
    面形成方法。
  6. 【請求項6】 前記基体の表面に導入するガスの濃度を
    制御し変化させて前記集束イオンビームを照射すること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学
    面形成方法。
  7. 【請求項7】 前記基体を前記集束イオンビームの光軸
    方向に対して垂直な方向に移動させる機構を用いて、前
    記基体を移動させることにより前記集束イオンビームの
    走査範囲を接続しながら光学面を形成することを特徴と
    する請求頂1〜6のいずれか1項に記載の光学面形成方
    法。
  8. 【請求項8】 前記基体を前記集束イオンビームの光軸
    方向に移動させる機構を用いて、前記集束イオンビーム
    の照射中または非照射中に前記基体を移動させることを
    特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学面
    形成方法。
  9. 【請求項9】 前記集束イオンビームを照射位置から5
    0nm以上500nm以下の範囲で膜厚が厚くなる側に
    オフセットして照射することを特徴とする請求項1〜8
    のいずれか1項に記載の光学面形成方法。
  10. 【請求項10】 前記基体の形状が非球面形状であるこ
    とを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の光
    学面形成方法。
  11. 【請求項11】 前記集束イオンビーム照射前の前記基
    体の表面上に導電性材料によるコートがされていること
    を特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の光
    学面形成方法。
  12. 【請求項12】 前記基体が鉄鋼材料からなることを特
    徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学面
    形成方法。
  13. 【請求項13】 前記基体が超硬材料からなることを特
    徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学面
    形成方法。
  14. 【請求項14】 前記基体がセラミックからなることを
    特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学
    面形成方法。
  15. 【請求項15】 前記集束イオンビームのイオンがガリ
    ウムであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか
    1項に記載の光学面形成方法。
  16. 【請求項16】 前記光学面がその使用波長以下の大き
    さの微細構造を有することを特徴とする請求項1〜15
    のいずれか1項に記載の光学面形成方法。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16のいずれか1項に記載
    の光学面形成方法により成形金型の転写用光学面を形成
    することを特徴とする成形金型の製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項1〜16のいずれか1項に記載
    の光学面形成方法によりマスタ型の転写用光学面を形成
    し、前記マスタ型から成形金型の転写用光学面を形成す
    ることを特徴とする成形金型の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記光学面形成方法で形成された前記
    光学面に対し過冷却領域を有するアモルファス金属を加
    熱軟化してプレス成形することにより前記成形金型の転
    写用光学面を形成することを特徴とする請求項18に記
    載の成形金型の製造方法。
  20. 【請求項20】 請求項17、18または19に記載の
    製造方法により製造された成形金型により形成された光
    学面を有することを特徴とする光学素子。
  21. 【請求項21】 前記形成された光学面が非球面形状で
    あることを特徴とする請求項20に記載の光学素子。
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