JP2003042085A - 気体圧縮機及び該気体圧縮機を構成する部材の含浸処理方法 - Google Patents

気体圧縮機及び該気体圧縮機を構成する部材の含浸処理方法

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JP2003042085A
JP2003042085A JP2002150227A JP2002150227A JP2003042085A JP 2003042085 A JP2003042085 A JP 2003042085A JP 2002150227 A JP2002150227 A JP 2002150227A JP 2002150227 A JP2002150227 A JP 2002150227A JP 2003042085 A JP2003042085 A JP 2003042085A
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rotor
cylinder
gas compressor
refrigerating machine
machine oil
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Okikazu Kuwabara
沖和 桑原
Hidehisa Takatsu
秀久 高津
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Seiko Instruments Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 どのような状況においても潤滑が確保される
ことにより、騒音発生を抑えて安定した効率の良い運転
が可能となる気体圧縮機及び該気体圧縮機を構成する部
材の含浸処理方法を提供する。 【解決手段】 複数のベーン15…がロータ9に進退可
能に取り付けられ、このロータ9がシリンダ3と2つの
サイドブロック5、7とによって形成された空間に回動
可能に配設されて圧縮室が形成される。これら構成部材
には、相互の摺動部を潤滑するために、予め冷凍機油L
が含浸処理されることにより気体圧縮機が構成される。
また、この含浸処理は、各部材を冷凍機油L中に浸漬し
たり、各部材に対しノズル41を用いて噴射することに
より可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は気体圧縮機及び該気
体圧縮機を構成する部材の含浸処理方法に係わり、特に
どのような状況においても潤滑が確保されることによ
り、騒音発生を抑えて安定した効率の良い運転が可能と
なる気体圧縮機及び該気体圧縮機を構成する部材の含浸
処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、空調システムにおいて冷媒ガスを
圧縮する気体圧縮機が知られている。気体圧縮機は、回
転動力を受けることにより、熱交換用のエバポレータで
気化された冷媒ガスを加圧し、室外放熱用の凝縮器に送
る機器である。図8に気体圧縮機の断面図、図9に気体
圧縮機の図8中のA−A矢視線断面図を示す。
【0003】フロントヘッドカバー1には吸入口1aが
形成され、この吸入口1aに接続された外部のエバポレ
ータより冷媒ガスを吸気室1bに吸入するようになって
いる。フロントヘッドカバー1と回転軸11との間は、
シール部1cによってシールされている。
【0004】シリンダ3は、フロントサイドブロック5
とリアサイドブロック7間に挟装されている。シリンダ
3内にはロータ9が回転可能に配設されている。ロータ
9は回転軸11に貫通固定されている。ロータ9には略
半径方向にベーン溝13が形成され、各ベーン溝13に
はベーン15が摺動可能に嵌め込まれている。そして、
ベーン15は、ロータ9の回転時には遠心力とベーン溝
13底部の油圧とによりシリンダ3の内壁に付勢され
る。
【0005】シリンダ3内は、ロータ9、ベーン15、
15・・により複数の小室に仕切られている。これらの
小室は圧縮室17、17・・と称され、ロータ9の回転
により容積の大小変化を繰り返す。そして、このよう
に、ロータ9が回転して圧縮室17、17・・の容積が
変化すると、その容積変化により吸入口1aより低圧冷
媒ガスを吸気し圧縮する。
【0006】また、リアサイドブロック7の周端部には
ケース19が固定され、このケース19の内部には、吐
出室21が形成されている。圧縮室17で圧縮された高
圧冷媒ガスは、吐出ポート23、吐出弁25を介して吐
出室21に送られる。そして、冷媒ガスは吐出室21か
ら吐出口27を経て外部の凝縮器へと送られる。
【0007】吐出室21には、冷媒ガスとともに気体圧
縮機に封入されている冷凍機油Lを冷媒ガスから分離す
る油分離器29が取り付けられている。この油分離器2
9により冷媒ガスから冷凍機油Lが分離され、吐出室2
1の下部に貯留される。この冷凍機油Lは、摺動部の潤
滑等のために、吐出室21の圧力によって気体圧縮機内
の各部に送られる。
【0008】その一部は、リアサイドブロック7に形成
されている油路31を介して回転軸11に至り、さらに
延びる油路33からロータ9に送られる。この冷凍機油
Lは、回転軸11のリア側を支える軸受孔7aを潤滑
し、ついで、リアサイドブロック7とロータ9及びベー
ン15との間の摺動部を潤滑する。
【0009】また他の一部は、リアサイドブロック7の
油路31からシリンダ3の油路35及びフロントサイド
ブロック5の油路39を介して回転軸11に送られる。
この冷凍機油Lは、回転軸11のフロント側を支える軸
受孔5aを潤滑した後、油溜り6に至る。この油溜り6
から一部がフロントサイドブロック5とロータ9及びベ
ーン15との間の摺動部を潤滑する。残りは、ロータ9
のベーン溝13を介して各摺動部を潤滑する。
【0010】このように、固定側構成部品であるシリン
ダ3、フロントサイドブロック5、及びリアサイドブロ
ック7と、可動側構成部品である回転軸11、ロータ
9、及びベーン15との間の摺動部が冷凍機油Lにより
潤滑される。また、可動側構成部品であるロータ9とベ
ーン15との相互の間の摺動部も同様に潤滑される。各
摺動部は、冷凍機油Lが行き渡るように、所定寸法の初
期隙間が確保されている。その他、冷凍機油Lは、摺動
部の潤滑のみならず、ロータ9のベーン溝13から各ベ
ーン15に動作圧を供給するほか、各部の冷却作用を担
っている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
気体圧縮機は、種々の状況により、冷凍機油Lによる潤
滑が不足する場合があった。
【0012】例えば、空調システムの運転状態において
吐出室21内に冷凍機油Lが溜らないことがある。これ
は、油分離器29による分離回収量と摺動部への送出量
が運転条件によりアンバランスとなり、潤滑不足となる
場合である。
【0013】他の例として、長期間放置による冷媒移動
がある。空調システムの停止中に気温が上昇すると、冷
媒ガスとともに冷凍機油Lが気化することにより冷凍機
油Lが摺動部から持ち出された状態となる。気化した冷
凍機油Lは、冷媒ガスとともに他の場所に移動して滞留
される。空調システムを搭載した車両を海上輸送する場
合や、空調を使用しない時期等に発生することが多い。
【0014】このような潤滑不足により、異常なレベル
の騒音発生や、摺動する圧縮機部品同士の凝着によるロ
ックの問題が発生する。その他、ベーン15の先端がシ
リンダ3と摺動する部分は境界潤滑領域のため摩擦抵抗
が大きく、動力消費と騒音の点において改善が望まれて
いた。
【0015】本発明はこのような従来の課題に鑑みてな
されたもので、どのような状況においても潤滑を確保す
ることにより、騒音発生を抑えて安定した効率の良い運
転が可能となる気体圧縮機及び該気体圧縮機を構成する
部材の含浸処理方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】このため本発明は、複数
のベーンを略半径方向に進退可能に保持したロータと、
前記ベーンの摺接により圧縮室を形成するシリンダと、
該シリンダの両端を閉じることにより、前記ベーンによ
って仕切られる複数の空間を形成しつつ前記ロータを軸
支する2つのサイドブロックとを備え、前記ベーン、前
記ロータ、前記シリンダ、及び前記2つのサイドブロッ
クの相互が摺動する部分の潤滑のために、摺動する少な
くとも一方の側の部材に冷凍機油が含浸処理されている
ことを特徴とする。
【0017】部材相互の摺動部の少なくとも一方から、
冷凍機油Lがその表面に沁み出すので、摺動部は常に潤
滑が確保される。したがって、どのような状況において
も潤滑下で摺動されるので、騒音発生を抑えて安定した
効率の良い運転が可能となる。特に、ベーン先端とシリ
ンダとの間は流体潤滑に近い状態となり、摩擦抵抗も低
減されるので、動力消費と騒音の問題を解決することが
できる。
【0018】また、本発明は、前記ロータ及び前記ベー
ンのみを含浸処理したことを特徴とする。
【0019】含浸処理の対象部材を限定することによ
り、潤滑性の確保とともに、部品コストの低減が可能と
なる。
【0020】さらに、本発明は、前記各部材の摺動面相
互間の隙間を冷媒ガスが通過するときの抵抗が冷媒ガス
の圧力と対抗しうる程度に摺動面相互間が近接して構成
されたことを特徴とする。
【0021】摺動部においては、潤滑油を送り込むため
の初期隙間を要しないことから、圧力漏れを抑えうる程
度に摺動面相互間の隙間を小さく構成することによって
圧縮効率を向上することができる。また、隙間の減少に
よりあそびが少なくなって部材の振動が抑えられるの
で、騒音を低減することができる。
【0022】さらに、本発明は、複数のベーンを略半径
方向に進退可能に保持したロータと、前記ベーンの摺接
により圧縮室を形成するシリンダと、該シリンダの両端
を閉じることによって前記ベーンによって仕切られる複
数の空間を形成しつつ前記ロータを軸支する2つのサイ
ドブロックとを備える気体圧縮機を構成する部材の含浸
処理方法であって、前記ベーン、前記ロータ、前記シリ
ンダ、及び前記2つのサイドブロックは含浸処理されて
おり、該含浸処理は、前記各部材を冷凍機油中に浸漬す
ることにより行うことを特徴とする。
【0023】部品全体を一括処理することが可能であ
り、バッチ処理に適した方法である。
【0024】さらに、本発明は、複数のベーンを略半径
方向に進退可能に保持したロータと、前記ベーンの摺接
により圧縮室を形成するシリンダと、該シリンダの両端
を閉じることによって前記ベーンによって仕切られる複
数の空間を形成しつつ前記ロータを軸支する2つのサイ
ドブロックとを備える気体圧縮機を構成する部材の含浸
処理方法であって、前記ベーン、前記ロータ、前記シリ
ンダ、及び前記2つのサイドブロックの相互が摺動する
部分の潤滑のために、摺動する少なくとも一方の側の部
材に冷凍機油が含浸処理されており、該含浸処理は前記
各部材に冷凍機油をノズルを用いて噴射することにより
行うことを特徴とする。
【0025】各部材毎に摺動部に限って処理することに
より、潤滑性を確保しつつ、使用する冷凍機油の削減、
及び処理に要する時間の短縮が可能であり、インライン
処理に適した方法である。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態の気体圧
縮機について、その構成部品別に説明する。本発明の第
1の実施形態に係る気体圧縮機のシリンダ3の構成を示
す斜視図を図1に示す。なお、以下において、図8、9
と同一要素のものについては同一符号を付して説明は省
略する。
【0027】図1において、シリンダ3は、少なくとも
内周面3aについて予め冷凍機油Lの含浸処理がされて
いる。シリンダ3の内周面3aはベーン15との摺動面
である。この内周面3aの最小径部は、場合によりロー
タ9と摺動することがある。その他の両端面3b、3b
はフロントサイドブロック5又はリアサイドブロック7
との締結部、また、外周面3cはケース19によって覆
われる部分である。
【0028】次に、フロントサイドブロック5とリアサ
イドブロック7について説明する。図2にフロントサイ
ドブロック5の斜視図、また、図3にリアサイドブロッ
ク7の斜視図を示す。
【0029】図2において、フロントサイドブロック5
は、少なくとも中心の軸受孔5a及び内端面5bについ
て予め冷凍機油Lの含浸処理がされている。軸受孔5a
の内周面は、ロータ9の回転軸11のフロント側を回転
可能に支える部分である。図の奥側の内端面5bは、そ
の外周側においてシリンダ3と当接締結されるととも
に、内周側においてロータ9及びベーン15と摺動す
る。外端面5cは吸気室1bに臨む部分である。
【0030】また、図3において、リアサイドブロック
7は、少なくとも軸受孔7a及び内端面7bについて予
め冷凍機油Lの含浸処理がされている。軸受孔7aの内
周面は、ロータ9の回転軸11のリア側を回転可能に支
える部分である。内端面7bは、その外周側においてシ
リンダ3と当接締結されるとともに、内周側においてロ
ータ9及びベーン15と摺動する。図の奥側の外端面7
cは吐出室21に臨む部分である。
【0031】次に、ロータ9について説明する。ロータ
9の斜視図を図4に示す。図4において、ロータ9の中
心の回転軸11には、フロントサイドブロック5との摺
動部11b及び、シール部1cとの摺動部11c、さら
に、図上でロータ9の後ろ側にリアサイドブロック7と
の摺動部11aが形成されている。
【0032】また、ロータ9の両端面9b、9bは2つ
のサイドブロック5、7のいずれかとの間で、及びベー
ン溝13の内面13a、13bはベーン15との間で摺
動する部分である。その他、ロータ9の外周面9aは、
振動等の状況によりシリンダ3と摺動する場合がある。
【0033】次に、ベーン15について説明する。ベー
ン15の斜視図を図5に示す。図5において、各ベーン
15は、少なくともその各摺動部、すなわち、ロータ9
のベーン溝13の内面13a、13bでその底部に臨む
下端面15dを除いたすべての摺動部について含浸処理
がされている。各ベーン15の上端面15aはシリンダ
3と摺動し、両仕切面15b、15fはロータ9と摺動
し、また、両端面15c、15eはいずれかのサイドブ
ロック5、7と摺動する摺動部である。このときベーン
15の回転方向は、図5における矢印に示す方向であ
る。
【0034】次に、各部材の含浸処理について説明す
る。例えば、シリンダ3についてその含浸処理の透視斜
視図を図6に示す。図6において、含浸するべき冷凍機
油L中にシリンダ3を浸漬し、温度、圧力の条件を調整
する。含浸処理は、摺動部に限ることなく部品全体を一
括処理することにより、簡単に処理することができる。
冷凍機油Lは、冷媒ガス(例えば、R134a、CO
2、R407c、R410a)と適合するオイル(例え
ば、PAG系オイル)を使用する。
【0035】冷凍機油Lの含浸は、外部から給油を受け
ない乾燥環境下において、部材表面を覆うに足りる油膜
が常に形成される程度に処理する必要がある。含浸の処
理条件は、含浸対象の部材(例えば、溶製材、焼結材、
鋳造材)及び含浸する冷凍機油Lとの組み合わせによっ
て、実験的に定める。シリンダ3を始めとして、気体圧
縮機の多くの部材は、一般にアルミニウム焼結材が使用
されるので、比較的容易に含浸処理することができる。
【0036】その他の部材も同様にして含浸処理を行
う。ただし、ロータ9は、溶製材による本体と鋼製の軸
とによって複合構成される場合があるので、それぞれ構
成部材に適合した含浸処理を行う。
【0037】次に、本発明の第1の実施形態に係る気体
圧縮機の動作を説明する。係る構成によれば、構成部品
の含浸処理によって金属組織内に冷凍機油Lが入り込
む。金属内に含浸された冷凍機油Lは、摺動部から冷凍
機油Lが持ち出されてしまった後に金属から沁み出し、
部品同士の潤滑を保つ。したがって、ロータ9は、油路
31、39から冷凍機油Lの供給を受けなくても、回動
力を受けることにより、2つのサイドブロック5、7に
対して円滑に回動される。
【0038】このロータ9の回動とともに、各ベーン1
5…はロータ9に対し、また、各ベーン15…は2つの
サイドブロック及びシリンダ3に対してその自己潤滑作
用によって円滑に摺動され、圧縮動作を行うことができ
る。
【0039】このように、本発明の気体圧縮機は、冷凍
機油Lの分離量のアンバランスや冷媒移動によって摺動
部に冷凍機油Lが供給されない場合でも潤滑下で摺動さ
れる。そのため、騒音発生を抑えて安定した効率の良い
運転が可能となる。特に、ベーン15の先端とシリンダ
3との間は流体潤滑に近い状態となり、摩擦抵抗も低減
されるので、動力消費と騒音の問題を解決することがで
きる。
【0040】また、本発明の気体圧縮機においては、部
材相互の摺動部の少なくとも一方が含浸処理されていれ
ば、含浸された冷凍機油Lがその表面に沁み出すので潤
滑条件は満たされる。したがって、固定側又は可動側の
一方のみを含浸処理することによっても本発明の気体圧
縮機を構成することができる。
【0041】例えば、ロータ9及び各ベーン15…のみ
を含浸処理することにより、潤滑性を確保しつつ、部品
コストの低減が可能となる。
【0042】さらに、本発明の気体圧縮機は、その摺動
部について潤滑油を送り込むための初期隙間を要しない
ことから、各部材の摺動面相互間の隙間を小さく構成す
ることが可能となる。
【0043】摺動部の隙間を小さく構成し、冷媒ガスの
通過抵抗が圧力と対応する程度までに摺動面相互間が近
接されれば、その隙間からの圧力漏れを抑えることがで
きるので、気体圧縮機の圧縮効率を向上することができ
る。また、隙間を小さくすることにより部材間のあそび
が少なくなるので部材の振動が抑えられ、騒音を低減す
ることができる。
【0044】次に、本発明の第2の実施形態について説
明する。第1の実施形態は各部材を冷凍機油L中に浸漬
する方法により含浸処理を行うものであったが、第2の
実施形態は各部材に対しノズルで冷凍機油Lを噴射し、
吹き付ける方法により含浸処理を行うものである。
【0045】図7は、本実施形態の一例として、シリン
ダ3についての含浸処理の様子を示したものである。な
お、図1〜6、及び図8〜9と同一要素のものについて
は同一符号を付して説明は省略する。
【0046】図7において、ノズル41は図示しない作
業員により把持されるものである。ノズル41の先端に
位置する噴射口43から冷凍機油Lが、シリンダ3の内
周面3aに対し噴射されるようになっている。
【0047】係る構成において、ノズル41より噴射さ
れる冷凍機油Lの圧力、噴射速度、オイルの粘度等の条
件は、実験的に調整される。圧力の条件として、例えば
0.4〜0.6Mpa相当が可能である。
【0048】含浸処理は、各部材毎に摺動部に限って処
理することができる。例えば、シリンダ3に処理を行う
場合、内周面3aに冷凍機油Lを噴射する。シリンダ3
の内周面3aはベーン15との摺動面だからである。一
方、その他の両端面3b、3bはフロントサイドブロッ
ク5又はリアサイドブロック7との締結部、また、外周
面3cはケース19によって覆われる部分なので、含浸
処理を行わなくても良い。
【0049】また、フロントサイドブロック5に処理を
行う場合、軸受孔5a及び内端面5bに冷凍機油Lを噴
射する。軸受孔5aの内周面は、ロータ9の回転軸11
のフロント側を回転可能に支える部分であり、内端面5
bは、その外周側においてシリンダ3と当接締結される
とともに、内周側においてロータ9及びベーン15と摺
動するからである。一方、外端面5cは吸気室1bに臨
む部分なので、含浸処理を行わなくても良い。
【0050】また、リアサイドブロック7に処理を行う
場合、軸受孔7a及び内端面7bに冷凍機油Lを噴射す
る。軸受孔7aの内周面は、ロータ9の回転軸11のリ
ア側を回転可能に支える部分であり、内端面7bは、そ
の外周側においてシリンダ3と当接締結されるととも
に、内周側においてロータ9及びベーン15と摺動する
からである。一方、図の奥側の外端面7cは吐出室21
に臨む部分なので、含浸処理を行わなくても良い。
【0051】また、ロータ9に処理を行う場合、外周面
9a、端面9b、摺動部11a、11b、11c、ベー
ン溝13の内面13a、13bに冷凍機油Lを噴射す
る。ロータ9の中心の回転軸11には、フロントサイド
ブロック5との摺動部11b及び、シール部1cとの摺
動部11c、さらに、図上でロータ9の後ろ側にリアサ
イドブロック7との摺動部11aが形成されるからであ
る。また、ロータ9の両端面9b、9bは2つのサイド
ブロック5、7のいずれかとの間で、及びベーン溝13
の内面13a、13bはベーン15との間で摺動する部
分であり、その他、ロータ9の外周面9aは、振動等の
状況によりシリンダ3と摺動する場合があるからであ
る。
【0052】また、ベーン15に処理を行う場合、ロー
タ9のベーン溝13の内面13a、13bでその底部に
臨む下端面15dを除いたすべての摺動部に冷凍機油L
を噴射する。各ベーン15の上端面15aはシリンダ3
と摺動し、両仕切面15b、15fはロータ9と摺動
し、また、両端面15c、15eはいずれかのサイドブ
ロック5、7と摺動するからである。
【0053】また、第2の実施形態におけるノズル41
の噴射口43の構成は、図7に示す1点のみから噴射す
る構成に限られない。例えば、複数個の噴射口43をラ
イン状に長手方向へ直列に配設した構成や、複数個の噴
射口43を球状又は円状に配設した構成でも良い。ま
た、係る構成におけるノズル41の先端の形状は、処理
部分の形状により先端に角度を付けても良い。含浸処理
を行う部材の形状に対し、最も良い潤滑条件を得られる
噴射口43の構成にすれば良い。
【0054】このように各部材毎に摺動部に限って処理
することで、潤滑性を確保しつつ、使用する冷凍機油L
の削減が可能となる。また、ノズル41より噴射される
冷凍機油Lの圧力等を調整することで、冷凍機油Lが金
属組織中に含浸しやすく、処理に要する時間を短縮する
ことが可能である。
【0055】なお、各部材を冷凍機油L中に浸漬し処理
を行う第1の実施形態では、通常、容積の大きい浸漬槽
を用いるため、複数個の部材を一度に処理する、いわゆ
るバッチ処理するのに適している。一方、各部材を噴射
により処理を行う第2の実施形態では、それぞれの部材
毎に個々に処理を施す、いわゆるインライン処理するの
に適している。いずれの処理方法を用いても、気体圧縮
機の性能には差は生じないため、含浸処理を行う部材の
形状や処理時間等を踏まえて、どちらの構成を採るか決
めれば良い。
【0056】なお、含浸する潤滑油は、冷媒ガスと適合
しうる範囲であれば、冷凍機油Lに限らず、その他の潤
滑油・グリース等であっても良い。
【0057】また、ノズル41は作業員に把持されるだ
けでなく、座標に沿って自動制御される噴射用機械に把
持されても良い。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、気
体圧縮機の部材相互の摺動部の少なくとも一方に冷凍機
油を含浸して構成したことから、含浸された冷凍機油が
摺動部の表面に沁み出す。そのため、部品同士の摺動面
が潤滑され、部品同士の凝着を防ぐことができる。
【0059】したがって、本発明の気体圧縮機は、どの
ような状況においても潤滑下で摺動されるので、騒音発
生を抑えて安定した効率の良い運転が可能となる。特
に、ベーン先端とシリンダとの間は流体潤滑に近い状態
となり、摩擦抵抗も低減されるので、動力消費と騒音の
問題を解決することができる。
【0060】また、摺動部の隙間から潤滑油を送り込む
必要がないので、初期隙間を小さくすることにより、性
能向上、騒音低減の効果もある。
【0061】また、各部材を冷凍機油中に浸漬すること
により、又はノズルを用いて噴射することにより含浸処
理を行うことで、各部材毎に最適な処理方法を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の気体圧縮機のシリンダの構成を示す
斜視図
【図2】 本発明の気体圧縮機のフロントサイドブロッ
クの斜視図
【図3】 本発明の気体圧縮機のリアサイドブロックの
斜視図
【図4】 本発明の気体圧縮機のロータの斜視図
【図5】 本発明の気体圧縮機のベーンの斜視図
【図6】 含浸処理を示す透視斜視図
【図7】 含浸処理の様子を示す斜視図(ノズルによ
る)
【図8】 気体圧縮機の断面図
【図9】 気体圧縮機の図8中のA−A矢視線断面図
【符号の説明】
1 フロントヘッドカバー 3 シリンダ 3a 内周面 3b、9b、15c、15e 端面 3c、9a 外周面 5 フロントサイドブロック 5a、7a 軸受孔 5b、7b 内端面 5c、7c 外端面 7 リアサイドブロック 9 ロータ 11 回転軸 11a、11b、11c 摺動部 13 ベーン溝 13a、13b 内面 15 ベーン 15b、15f 仕切面 15d 下端面 15a 上端面 41 ノズル 43 噴射口 L 冷凍機油
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F04C 29/02 F04C 29/02 Z Fターム(参考) 3H029 AA05 AA17 AB03 BB01 BB21 BB31 BB44 CC04 CC05 CC38 3H040 AA09 BB05 BB11 CC06 CC08 CC10 DD07 DD11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のベーンを略半径方向に進退可能に
    保持したロータと、前記ベーンの摺接により圧縮室を形
    成するシリンダと、該シリンダの両端を閉じることによ
    って前記ベーンによって仕切られる複数の空間を形成し
    つつ前記ロータを軸支する2つのサイドブロックとを備
    え、前記ベーン、前記ロータ、前記シリンダ、及び前記
    2つのサイドブロックの相互が摺動する部分の潤滑のた
    めに、摺動する少なくとも一方の側の部材に冷凍機油が
    含浸処理されていることを特徴とする気体圧縮機。
  2. 【請求項2】 前記ロータ及び前記ベーンのみを含浸処
    理したことを特徴とする請求項1記載の気体圧縮機。
  3. 【請求項3】 前記各部材の摺動面相互間の隙間を冷媒
    ガスが通過するときの抵抗が冷媒ガスの圧力と対抗しう
    る程度に摺動面相互間が近接して構成されたことを特徴
    とする請求項1又は請求項2記載の気体圧縮機。
  4. 【請求項4】 複数のベーンを略半径方向に進退可能に
    保持したロータと、前記ベーンの摺接により圧縮室を形
    成するシリンダと、該シリンダの両端を閉じることによ
    って前記ベーンによって仕切られる複数の空間を形成し
    つつ前記ロータを軸支する2つのサイドブロックとを備
    える気体圧縮機を構成する部材の含浸処理方法であっ
    て、前記ベーン、前記ロータ、前記シリンダ、及び前記
    2つのサイドブロックは含浸処理されており、該含浸処
    理は、前記各部材を冷凍機油中に浸漬することにより行
    うことを特徴とする含浸処理方法。
  5. 【請求項5】 複数のベーンを略半径方向に進退可能に
    保持したロータと、前記ベーンの摺接により圧縮室を形
    成するシリンダと、該シリンダの両端を閉じることによ
    って前記ベーンによって仕切られる複数の空間を形成し
    つつ前記ロータを軸支する2つのサイドブロックとを備
    える気体圧縮機を構成する部材の含浸処理方法であっ
    て、前記ベーン、前記ロータ、前記シリンダ、及び前記
    2つのサイドブロックの相互が摺動する部分の潤滑のた
    めに、摺動する少なくとも一方の側の部材に冷凍機油が
    含浸処理されており、該含浸処理は前記各部材に冷凍機
    油をノズルを用いて噴射することにより行うことを特徴
    とする含浸処理方法。
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