JP2003039641A - インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法

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JP2003039641A
JP2003039641A JP2001232915A JP2001232915A JP2003039641A JP 2003039641 A JP2003039641 A JP 2003039641A JP 2001232915 A JP2001232915 A JP 2001232915A JP 2001232915 A JP2001232915 A JP 2001232915A JP 2003039641 A JP2003039641 A JP 2003039641A
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recording
temperature
heating
head
page
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JP2001232915A
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English (en)
Inventor
Norihiro Kawatoko
徳宏 川床
Yuji Konno
裕司 今野
Miyuki Fujita
美由紀 藤田
Tetsuya Edamura
哲也 枝村
Takayuki Ogasawara
隆行 小笠原
Tetsuhiro Maeda
哲宏 前田
Michihiko Masuyama
充彦 増山
Hiroshi Tajika
博司 田鹿
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高品位な画像記録において濃度ムラなどが発
生せず、Bkテキスト記録などの濃度ムラが目立ちにく
い画像においては必要以上の加熱制御を行わないスルー
プットの高い制御方法を簡単な構成で提供する。 【解決手段】 記録ヘッドのヘッド温度を検出する温度
検出手段によって検出された検出温度と予め設定した基
準温度とを比較する比較手段と、現在の状態が1ページ
分の記録動作開始前の状態であるか、1ページ分の記録
動作が実行中であるかを判断する判断手段と、比較手段
による比較結果と判断手段による判断結果とに基づき、
加熱手段による加熱量を制御する制御手段と、を備え
る。制御手段は、1ページ分の記録動作開始前の状態に
おいて前記検出温度が基準温度より低い場合に、前記検
出温度が基準温度に達するまで加熱手段によって記録ヘ
ッドを加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱エネルギーを利用
して記録を行うインクジェット記録装置、及びインクジ
ェット記録方法に関し、詳しくは記録ヘッドの温度制御
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェット記録装置などにお
いては、環境温度や記録素子を集積したヘッド温度の変
化によって様々な弊害が発生することが知られている。
これは、温度によりインクの粘度や表面張力などの物性
値が変化するためである。また、熱エネルギーによって
インク中に気泡を発生させ、この気泡発生によってイン
クを吐出する所謂バブルジェット(登録商標)記録方式
では、温度変化により気泡の発生条件なども変化する。
【0003】このようなインクの物性値の変化、及び気
泡の発生条件の変化が発生した場合、記録ヘッドにおけ
るインク滴の吐出量や着弾精度にばらつきが生じ、濃度
変動、濃度ムラ、及び色味変化などが生じてしまう。
【0004】従って、インクジェット記録装置において
はヘッドの温度制御が重要となる。従来の温度制御とし
ては、特開平5−31905号公報や特開平5−220
964号公報に従来技術として記載されているように、
記録ヘッドを加熱するためのヒータ(温度制御専用のヒ
ータ、もしくはインク吐出と温度制御とに兼用するヒー
タ)と、記録ヘッドに関する温度を検出する温度センサ
とを用い、温度センサによって検出した温度をヒータに
よる加熱量にフィードバックする構成を備えたものがあ
る。また、前記のようなフィードバック制御を行わず、
ヒータを設定した任意の温度に調整し得るようにした開
ループ制御を可能としたものもある。
【0005】このような、記録ヘッドのヒータ制御方式
としては、常時ヘッド温の調整を行う方式(検出温度に
基づくフィードバック制御による)、一定の間隔でヘッ
ド温の調整を行う方式(検出温度に基づくフィードバッ
ク制御による)、ヘッド温が環境温度より高温になった
時にヘッド温の調整を行う方式(検出温度に基づくフィ
ードバック制御による)、及びヒートパルスのパルス幅
変調を行う方式、の4種類にほぼ分類される。
【0006】上記従来の温度制御方式では、記録開始時
や各行の記録動作毎にヘッド温度を検出してその検出温
度と基準温度と比較し、基準温度よりその検出温度が低
かった場合には、ある目標温度まで加熱するような制御
を行うものが知られている。この場合、加熱によるスル
ープット低下を一定以内に抑えるため、加熱時間に一定
の上限を設けることが一般的に行われている。
【0007】そのほか、特開平5−124195号公
報、特開平7−195698号公報にあるようにリアル
タイムでヘッド温度と基準温度とを比較し、ヘッド温度
と基準温度との差から非記録パルスをヘッドに加えてヘ
ッド温を制御するものもある。
【0008】また、特開平11−34260号公報に
は、給紙中や記録ヘッドの加速もしくは減速期間中に記
録ヘッドを予熱する技術が開示されている。前述の特開
平5−31905号公報には、ヘッド温に基づいて駆動
信号の波形を変更することにより、ヘッド温による記録
ヘッドからの吐出量変動を抑えると共に、自己昇温を低
減させるものとなっている。
【0009】また、効果的なヘッド加熱の方法として、
特開平5−220965号公報には、第1温度までは吐
出用加熱手段で加熱し、第1温度より高い第2温度まで
はサブヒータを有するサブ加熱手段によって加熱を行う
技術が開示されている。さらに、特開平5−96718
号公報には、複数の搬送手段を有する場合に、各搬送手
段の搬送動作に応じたタイミングで記録ヘッドを加熱す
る技術が開示されている。
【0010】また、記録される対象が、高品位な画像に
なるほど、ヘッド温度による濃度変化や色味の変化など
による弊害は大きくなる。特開平5−031886号公
報には、記録対象の種類が、文字であるか画像であるか
に応じてヘッドの吐出量を変えるために、記録の種類に
応じた温度に保つ、という制御を行っている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記制
御においては、ヘッドの加熱時間を設けることによりス
ループットが大きく低下するという問題がある。特に、
記録動作による記録ヘッドの昇温(自己昇温)の少ない
黒色によるテキスト等をマルチパス記録したような場
合、記録行毎に加熱を行うとスループット低下は一層顕
著になる。これを避けるために、加熱時間に上限を設定
することも考えられたが、この場合には、記録ヘッドが
十分に加熱されないまま記録が行われる結果となる。特
に自己昇温の少ない記録開始直後の部分ではこの傾向が
強く、濃度ムラなどの問題がより発生し易いため、高品
位な画像記録には不適当なものとなる。
【0012】さらに、スループットの低下を避けるため
に、記録中に記録ヘッドの加熱を行おうとすると、記録
パルスと加熱パルスとを個別に制御するか、サブヒータ
など加熱のための補助手段を設ける、といった手段を講
じる必要があり、装置が複雑となる。また、記録動作が
実行されない期間、すなわち給紙中やキャリッジ加減速
中に加熱動作期間を限定した場合には、前述のような加
熱時間の上限を低く設定した場合と同様に、期間中に十
分な加熱が行われない可能性がある。また、その期間中
は搬送系、キャリッジ系のモーターの加減速期間中のた
め駆動系の消費電力も大きく、さらに加熱を行おうとす
る場合には電源容量を増やす必要がある、などの問題が
生じる。
【0013】また、問題の目立ち易い高品位な画像記録
時のみ保温制御を行うというような、記録の種類に応じ
た保温制御を行うことも提案されているが、この場合に
は、記録すべき画像に対する自動判別などの高度な判定
手段が必要となる。
【0014】よって本発明は、高品位な画像では記録開
始当初の部分から濃度ムラなどが生じないように十分に
記録ヘッドの加熱を行う一方、黒色によるテキスト記録
などのように濃度ムラが目立ちにくい画像においては、
必要以上の加熱を行わず、スループットの向上を図るこ
とができる安価な構成のインクジェット記録装置の提供
を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成を備える。
【0016】すなわち、本発明は、記録ヘッドに設けら
れたノズルから、記録データに基づいてインクを吐出さ
せ、記録媒体に記録を行うようにしたインクジェット記
録装置において、前記記録ヘッドを加熱する加熱手段
と、前記記録ヘッドのヘッド温度を検出する温度検出手
段と、前記温度検出手段によって検出された検出温度と
予め設定した基準温度とを比較する比較手段と、現在の
状態が1ページ分の記録動作開始前の状態であるか、1
ページ分の記録動作が実行中であるかを判断する判断手
段と、前記比較手段による比較結果と判断手段による判
断結果とに基づき、加熱手段による加熱量を制御する制
御手段と、を備え、前記制御手段は、1ページ分の記録
動作開始前の状態において前記検出温度が基準温度より
低い場合に、前記検出温度が基準温度に達するまで加熱
手段によって記録ヘッドを加熱することを特徴とするも
のである。
【0017】また、本発明は、前記制御手段が、1ペー
ジ分の記録動作開始前の状態において前記検出温度が基
準温度より低い場合に、前記検出温度が基準温度より高
温に設定された目標温度に達するまで加熱手段によって
記録ヘッドを加熱することを特徴とするものである。
【0018】さらにまた、本発明は、記録ヘッドに設け
られたノズルから、記録データに基づいてインクを吐出
させ、記録媒体に記録を行うようにしたインクジェット
記録方法において、前記記録ヘッドを加熱する加熱ステ
ップと、前記記録ヘッドのヘッド温度を検出する温度検
出ステップと、前記温度検出ステップによって検出され
た検出温度と予め設定した基準温度とを比較する比較ス
テップと、現在の状態が1ページ分の記録動作開始前の
状態であるか、1ページ分の記録動作が実行中であるか
を判断する判断ステップと、前記比較手段による比較結
果と判断手段による判断結果とに基づき、加熱手段によ
る加熱量を制御する制御ステップと、を備え、前記制御
ステップは、1ページ分の記録動作開始前の状態におい
て前記検出温度が基準温度より低い場合に、前記検出温
度が基準温度に達するまで記録ヘッドを加熱することを
特徴とする。
【0019】上記のように、本発明においては、1ペー
ジ分の記録動作前に十分な加熱を行うことにより、高品
位な画像においても記録動作開始当初から濃度ムラなど
の画像弊害を回避することができ、その後は、高品位画
像の記録動作に伴って発生する比較的大きなヘッド温の
上昇によりヘッド温度を維持することができる。
【0020】一方、黒色のテキスト画像などのように、
記録動作に伴うヘッド温の上昇が比較的小さく、画像弊
害が目立ちにくい画像を記録する場合にも、高品位画像
を記録する場合と同様に、加熱動作は1ページ分の記録
動作開始前にのみ行われるため、スループットが大きく
低下することはない。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ詳細に説明する。まず、図1に基づき、本
実施形態におけるインクジェット記録装置の概略構成を
説明する。
【0022】ここに示すインクジェット記録装置50
は、シリアルスキャン方式を採るものであり、ガイド軸
51,52に沿ってキャリッジ53が矢印Aに示す主走
査方向に沿って往復移動可能に支持されている。キャリ
ッジ53は、キャリッジモータ及びその駆動力を伝達す
るベルトなどの駆動力伝達機構によって主走査方向に往
復移動する。キャリッジ53には、記録ヘッド10(図
1では図示せず)と、その記録ヘッド10にインクを供
給するインクタンク54とが搭載される。この記録ヘッ
ド10とインクタンク54は、インクジェットカートリ
ッジを構成するものであっても良い。
【0023】また、記録媒体Pは、装置の正面に設けら
れた挿入口から挿入された後、送りローラ56によって
矢印Bに示す副走査方向へと搬送される。インクジェッ
ト記録装置50は、記録ヘッド10を主走査方向に移動
させつつ、プラテン57上の記録媒体Pの記録領域に向
かってインクを吐出させる記録動作と、前記主走査方向
と直交する副走査方向に沿って記録媒体Pを副走査方向
に搬送する搬送動作とを繰り返すことによって記録媒体
Pに順次記録を行うようになっている。
【0024】また、キャリッジ53の移動領域における
端部(図1中の左端)には、キャリッジ53に搭載され
た記録ヘッド101の吐出口15の形成面と対向する回
復系ユニット58が設けられている。
【0025】ここで、図2ないし図4に、本実施形態に
おけるインクジェット記録装置に用いる記録ヘッドの構
成を示す。なお、図2は記録ヘッドの外観斜視図、図3
は正面図、図4(a)は図3におけるA−A線断面図、
同図(b)は同図(a)の部分拡大図である。図2ない
し図4において、記録ヘッド101は、複数色(例え
ば、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色)の
吐出部123を有し、各吐出部は、300dpiの密度
を有する2列のノズル列を互いに600dpiだけずら
して並列したものとなっており、これによって実質的に
600dpiの記録を各色で実現し得るものとなってい
る。
【0026】また、図4(b)において、133は前記
記録ヘッド101の各ノズル内に設けられた電気熱変換
素子としてのヒータである。このヒータ133は、電気
エネルギーを熱エネルギーに変換し、その熱エネルギー
によってインク中で気泡を発生させ、その気泡の発生エ
ネルギーによってノズルからインク滴を吐出させる吐出
エネルギー発生手段として機能すると一方、インクの吐
出に至らない程度の電気エネルギーを与えることによ
り、記録ヘッドを加熱する加熱手段として機能するもの
となっており、記録ヘッド100の自己昇温手段として
も機能する。
【0027】また、図3に示すように、記録ヘッド10
0における各吐出部123のノズル列122の近傍には
ヘッド温センサ121が設けられ、記録ヘッド101に
おける各吐出部123の温度(ヘッド温)を検出してい
る。
【0028】また、図5は、この実施形態における制御
系の概略構成を示すブロック図である。図において、2
00は、所定の演算、計数、検索、判別、及び制御など
の動作を行うCPUである。201はCPU200にて
実行すべき制御プログラムなどを格納してなるROM、
202はホストコンピュータから送出されるデータなど
を格納するデータメモリ及びCPUによって演算処理を
実行するためのワーキングメモリとして機能するRAM
であり、これらはそれぞれCPU200に接続されてお
り、CPU200、ROM201及びRAM202によ
って後述の比較動作を行う比較手段、判別動作を行う判
別手段、及び制御手段が構成されている。
【0029】また、CPU200には、記録ヘッド10
1内に設けられたヒータ133を駆動するヒータドライ
バ133A、キャリッジ53の駆動源であるキャリッジ
モータ203のモータドライバ203A、記録媒体の搬
送駆動源であるPFモータ204のモータドライバ20
4A、及び前記記録ヘッド101内の温度を検出するヘ
ッド温センサ121等が接続されている。
【0030】そして、CPU200は、前記ヘッド温セ
ンサ121の検出値に基づき、前記吐出用ヒータの駆動
データ(画像データ)及び駆動制御信号(ヒートパルス
信号)をヒータドライバ133Aに供給することにより
記録ヘッド101からインク滴を吐出させる吐出制御
と、記録ヘッド101の温度を調整するヘッド温度制御
を行う。また、CPU200は、キャリッジ53を主走
査方向に駆動するためのキャリッジモータ203をモー
タドライバ203Aを介して制御する一方、記録媒体P
を副走査方向に搬送するためのPFモータ204をモー
タドライバ204Aを介して制御する。
【0031】以下、上記構成を有する本実施形態におけ
るインクジェット記録装置によるヒータ133の加熱制
御動作を説明する。ここでは、まず、この実施形態にお
ける特徴を明らかにするため、上記インクジェット記録
装置において、従来実行されているヒータ133の加熱
動作シーケンスを図6に基づき説明する。
【0032】いま、ホストコンピュータ300から記録
開始信号が送られると(ステップS1)、CPU200
は、内部に設けられた記録ヘッド101の加熱回数をカ
ウントするカウンタの値Nをリセット(N=0)し(ス
テップS2)、ヘッド温センサ121によって検出され
たヘッド温度Tを読み込む(ステップS3)。この際、
読み込んだヘッド温度Tと、予め設定されている基準温
度Tth(=20°C)とを比較し(ステップS4)、
ヘッド温度が予め設定した基準温度より高い場合には1
行分の記録動作を行う(ステップS8)。
【0033】また、ヘッド温度が基準温度より低い場合
には、10mSの加熱を行い(ステップS5)、加熱回
数カウンタのカウント値Nに1を加える(ステップS
6)。ここで、加熱回数カウンタのカウント値が上限、
例えば40カウント、を超えているかどうかを判定し
(ステップS7)、超えている場合にはそれ以上の加熱
を行わずに記録動作を行う(ステップS8)。加熱回数
が40カウント以下の場合には、温度取得を行うための
ステップS3へと戻る。そして、以上の動作を記録動作
が完了するまで、毎行、もしくは複数行毎に行う。
【0034】ここで加熱回数カウントを行うのは、低温
時の加熱時間上限を設定しスループット低下を一定以内
に収めるためである。また、加熱に時間がかかり過ぎる
と、ユーザが、誤って本体の故障と判断する可能性もあ
り、この誤判断を防ぐ上でも有効である。
【0035】図7は、図6に示した制御動作によって実
行される記録動作開始後のヘッド温度の変化状態を示
す。ヘッド温度が基準温度以下の場合には、基準温度に
達するよう一定時間の加熱動作を行うが、この一定時間
を経過してもなおヘッド温が基準温度に達しなかった場
合には、一旦加熱動作を停止し、1行分の記録を行う。
この1行分の記録動作において、記録データが多い場合
には図のように記録動作時の加熱による温度上昇(自己
昇温)が生じる。特に、自然画像の記録時には、黒色に
よるテキストデータの記録(Bkテキスト記録)などに
比べて使用色が多く、記録されるドットの密度も高いこ
とが多いため自己昇温は高めになる。基準温度に達する
までの区間(図7の加熱区間(A))では、図8に示す
ように各行の記録動作開始前に加熱を行い、基準温度以
上の区間(図7の非加熱区間(B))では、図9に示す
ように加熱は省略される。図8に示すように、加熱能力
や加熱時間が十分でない状態で記録が行われると、記録
の初期段階において基準温度以下で記録される部分が生
じることとなる。これにより記録ヘッド101のインク
吐出量や着弾精度にばらつきが生じ、濃度や色味の変
化、すじ、ムラなどの画像弊害が発生する場合がある。
特に自然画などの画像においては、各色毎の吐出量変動
が生じるとカラーバランスをくずすために悪影響が著し
い。
【0036】また、図8に示す加熱区間(A)と図9に
示す非加熱区間(B)との比較から明らかなように、各
記録動作前に加熱時間があるか否かで次の記録動作の時
間間隔が変化している。マルチパス記録ではこの時間差
も色味を変化させる要因となる。
【0037】加熱能力はヘッドの構成とヘッド制御の構
成とによって規定されてしまうため、これを改善するこ
とは困難である。一方、加熱時間の上限を上げることは
容易であるため、記録初期のヘッド温度を上昇させるた
めに加熱時間の上限を上げた場合のヘッド温度変化を図
10に示す。この場合には基準温度以下で記録される部
分は少なく、そのため前述のような画像弊害を避けるこ
とができる。
【0038】しかし、Bkテキスト記録などの記録によ
る昇温が少ないパターンを記録する場合には、記録動作
による昇温が少ないことから記録中にヘッド温度が下が
り、これを基準温度まで上昇させるべく各行の記録動作
前に、加熱動作が行われる。その結果、加熱時間が非常
に長くなってスループットの著しい低下が生じてしまう
(図11参照)。実際には、BkテキストではBkイン
ク1色で記録するために吐出量変動の影響が少なく、基
準温度以下で記録されたとしても弊害は少ない。
【0039】そこで本発明においては、加熱時間を記録
開始時のみ加熱動作を行うようにすることによって、画
像弊害が発生し易く、かつ記録による自己昇温も大きい
自然画などの画像においては、画像のはじめから十分高
いヘッド温度で記録可能とすると同時に、画像弊害が生
じにくく記録による昇温の低いBkテキストなどでは、
一定以上のスループットの低下を抑えることができるも
のとなっている。
【0040】次に、図12の本発明の第1の実施形態の
制御動作をフローチャートを用いてより詳細に説明す
る。1ページ分の記録開始指令が入力されると(ステッ
プS11)、加熱回数カウンタの値Nをリセット(N=
0)とし(ステップS12)、ヘッド温センサ121に
よってヘッド温度を取得する(ステップS13)。この
取得温度Tendと基準温度Tth(例えば20°C)
とを比較し(ステップS14)、基準温度以上であれば
加熱を行わずに1行分の記録動作を行う(ステップS1
8)。基準温度以下の場合にはステップS15にて一定
時間(例えば10ms)加熱した後、加熱回数カウンタ
ーに1を加える(ステップS16)。加熱回数カウンタ
の値が予め設定されたある回数(例えば10回)より大
きくなった場合には、1行分の記録動作が行ない(ステ
ップS18)、1頁分の記録動作が行われた時点で記録
は終了する(ステップ19)。このように、本実施形態
では、加熱動作は各ページの最初、もしくはページ内で
の記録画像の最初にのみ実施する。
【0041】以上の制御動作により、複数のインクを用
いて自然画像を記録した場合のヘッド温度の推移を図1
3に、記録による昇温の低いBkテキストを記録した場
合のヘッド温度の推移を図14に示す。図から明らかな
ように、自然画像などを記録した際には、記録動作開始
前のヒータ133の加熱によって記録の初期から十分に
高いヘッド温度で記録することが可能であるため、加熱
不足による画像品質の低下等が発生することはない。ま
た、画像品質の低下等の弊害が発生しにくいBkテキス
ト記録などでは、ヒータの加熱動作は1ページの記録動
作開始前の一定時間のみに制限されるため、記録動作に
おけるスループットの低下を生じさせることはない。し
かも、上記効果を達成するために複雑な構成を必要とせ
ず、安価な構成にて実現することができる。
【0042】(第2の実施形態)以下、本発明の第2の
実施形態を図15のフローチャートに基づき説明する。
なお、この実施形態においても、図1ないし図5に示す
構成を有するものとなっている。
【0043】本実施形態においては、まず、記録動作開
始指令を受け取ると(ステップS21)、記録すべき個
所まで記録媒体を移動させ(ステップS22)、ヘッド
温センサ133によってヘッド温度を取得する(ステッ
プS24)。次いで、この取得温度と基準温度Tthと
を比較し(ステップS25)、基準温度Tth以上であ
れば加熱を行わずに1ページ分の記録動作を行う(ステ
ップS31,S32)。また、ステップS25において
取得温度が基準温度Tth以下であると判断された場合
には、記録ヘッド101をヒータ133にて一定時間
(例えば10ms)加熱した後(ステップS26)、加
熱回数カウンターに1を加え(ステップS27)ると共
に、加熱後のヘッド温度を取得する(ステップS2
8)。
【0044】ここで、取得したヘッド温度が、基準温度
Tthより大なる値に設定された所定の目標温度Ten
dを超えたか否かの判断を行い(ステップS29)、目
標温度Tendに達するか、あるいは加熱回数カウンタ
の値が、予め設定された加熱回数(例えば、40回)よ
り大きくなった時点で、1ページ分の記録動作を実行す
る(ステップS31,S32)。
【0045】このように、この第2の実施形態において
も、記録ヘッドの加熱動作は、各ページの最初(印字開
始命令を記録装置が受け取ってから印字を記録媒体上に
実際に行うまでの間)、もしくはページ内での記録画像
の最初にのみ実施する。そしてさらに、基準温度Tth
と目標温度Tendの2つのパラメーターを持つことに
より、低温におけるヘッド温度をより望ましい温度に保
つことが可能となる。図16にこの第2の実施形態にお
けるヘッド温度の変化状態を示す。図示のように、この
第2の実施形態においては、第1の実施形態と比較し
て、記録中のヘッド温度が目標温度(第1の実施形態で
の基準温度)以下となる部分が減少することがわかる。
もっとも、前記第1の実施形態において、基準温度Tt
hを第2実施形態における目標温度Tendと等しい値
に設定すれば、ステップS26以降と同様に35度以上
の加熱動作後に記録動作を実行させることが可能とな
る。但し、この場合には最初の温度検出(ステップS1
4)によって検出された温度が、加熱を必要ない温度で
あった場合にも記録ヘッドの101に対する加熱動作が
行われてしまい、スループットの低下などの悪影響が発
生することとなる。
【0046】例えば、上記の第1、第2実施形態では、
ステップS14、S25において記録ヘッドが20℃以
下であると判断された場合にのみ加熱動作が行われる
が、前述のように第1の実施形態での基準温度を第2実
施形態における目標温度である35℃に設定すると、実
使用環境域である23〜28℃近辺においても短パルス
加熱が行われ、無駄な加熱時間が発生することとなり、
これによるスループットの低下が生じる。このような不
都合をこの第2の実施形態は解消し得るものとなってい
る。
【0047】なお、上記各実施形態においては、制御手
段に設けられたCPU200が、記録開始指令に応じ
て、現在の状態が1ページ分の記録動作中であるか、記
録動作開始前の状態にあるかを判断するものとなってい
るが、上記判断をその他の信号を用いて行うことも可能
である。例えば、記録媒体を記録ヘッドへと送給するた
めの給紙動作を指示する給紙信号を利用して、現在の状
態が記録動作開始前の状態にあるか1ページ分の記録動
作中であるかを判断したり、記録データを利用して現在
の状態が記録動作開始前の状態にあるか1ページ分の記
録動作中であるかを判断するようにすることも可能であ
る。
【0048】また、本発明は、記録ヘッドの各ノズル内
に設けられているインク吐出用の単一のヒータを用い
て、記録ヘッドを加熱する加熱手段を構成したが、加熱
手段とインク吐出手段とを別個に設けることも可能であ
る。この場合、インクを吐出させる手段としては、ヒー
タに限らず、ピエゾなどを用いることもできる。
【0049】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明は、1ページ
分の記録動作開始前に、記録ヘッドの各ノズルに設けら
れているヒータが所定の基準値より低い場合には、これ
を基準値まで加熱するようにしたため、画像弊害の発生
し易い自然画などの画像においては、記録開始当初から
十分に高いヘッド温度で記録を行うことができ、加熱不
足による画像弊害などが発生するのを防止することがで
きる。また、加熱動作は、1ページの記録動作開始前に
実行されるのみであるため、低温時でも画像弊害が現れ
にくいBkテキスト記録などにおいても、加熱動作によ
ってスループットが低下することもなく、効率的な記録
動作を実現することができる。しかも、従来のように、
記録動作が自然画像などのような加熱を必要とする記録
動作であるか、低温記録の可能なBkテキスト記録であ
るかを、複雑な構成によって判断し、その判別結果によ
って加熱動作制御を切り換えるといった、従来の複雑な
構成を一切必要とせず、安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の実施形
態を概略的に示す外観斜視図である。
【図2】図1に示した記録ヘッドの外観構成を概略的に
示す説明斜視図である。
【図3】図2に示したものの説明底面図である。
【図4】(a)は図3に示したもののA−A線断面図、
(b)は(a)に示したものの部分拡大図である。
【図5】本発明の実施形態に係る制御系のブロック図で
ある。
【図6】従来のインクジェット記録装置における制御動
作を示すフローチャートである。
【図7】図6に示す制御動作による記録ヘッドの温度変
化の状態を示す線図である。
【図8】図7に示した区間Cを拡大して示す線図であ
り、加熱期間と記録期間等を示す。
【図9】図7に示した区間Dを拡大して示す線図であ
り、加熱期間と記録期間等を示す。
【図10】従来の他のインクジェット記録装置における
記録ヘッドの温度変化の状態を示す線図であり、記録動
作による自己昇温が大きい場合を示す。
【図11】従来の他のインクジェット記録装置における
記録ヘッドの温度変化の状態を示す線図であり、記録動
作による自己昇温が小さい場合を示す。
【図12】本発明に係るインクジェット記録装置の第1
の実施形態における制御動作を示すフローチャートであ
る。
【図13】図12に示した制御動作による記録ヘッドの
温度変化の状態を示す線図であり、記録動作による自己
昇温が大きい場合を示す。
【図14】図12に示した制御動作による記録ヘッドの
温度変化の状態を示す線図であり、記録動作による自己
昇温が小さい場合を示す。
【図15】本発明に係るインクジェット記録装置の第2
の実施形態における制御動作を示すフローチャートであ
る。
【図16】図12に示した制御動作による記録ヘッドの
温度変化の状態を示す線図である。
【符号の説明】
101 記録ヘッド 123 吐出部 121 ヘッド温センサー(温度検出手段) 122 ノズル列 133 ヒータ(加熱手段) 200 CPU 201 ROM 202 RAM T ヘッド温度 Th 基準温度 Tend 目標温度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 美由紀 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 枝村 哲也 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 小笠原 隆行 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 前田 哲宏 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 増山 充彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 田鹿 博司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA06 EB07 EB30 EC04 EC07 EC29 EC39 FA03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録ヘッドに設けられたノズルから、記
    録データに基づいてインクを吐出させ、記録媒体に記録
    を行うようにしたインクジェット記録装置において、 前記記録ヘッドを加熱する加熱手段と、 前記記録ヘッドのヘッド温度を検出する温度検出手段
    と、 前記温度検出手段によって検出された検出温度と予め設
    定した基準温度とを比較する比較手段と、 現在の状態が1ページ分の記録動作開始前の状態である
    か、1ページ分の記録動作が実行中であるかを判断する
    判断手段と、 前記比較手段による比較結果と判断手段による判断結果
    とに基づき、加熱手段による加熱量を制御する制御手段
    と、を備え、 前記制御手段は、1ページ分の記録動作開始前の状態に
    おいて前記検出温度が基準温度より低い場合に、前記検
    出温度が基準温度に達するまで加熱手段によって記録ヘ
    ッドを加熱することを特徴とするインクジェット記録装
    置。
  2. 【請求項2】 記録ヘッドに設けられたノズルから、記
    録データに基づいてインクを吐出させ、記録媒体に記録
    を行うようにしたインクジェット記録装置において、 前記記録ヘッドを加熱する加熱手段と、 前記記録ヘッドのヘッド温度を検出する温度検出手段
    と、 前記温度検出手段によって検出された検出温度と予め設
    定した基準温度とを比較する比較手段と、 現在の状態が1ページ分の記録動作開始前の状態である
    か、1ページ分の記録動作が実行中であるかを判断する
    判断手段と、 前記比較手段による比較結果と判断手段による判断結果
    とに基づき、加熱手段による加熱量を制御する制御手段
    と、を備え、 前記制御手段は、1ページ分の記録動作開始前の状態に
    おいて前記検出温度が基準温度より低い場合に、前記検
    出温度が基準温度より高温に設定された目標温度に達す
    るまで加熱手段によって記録ヘッドを加熱することを特
    徴とするインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 前記加熱手段は、前記記録ヘッドにおい
    てインクを吐出させる吐出手段として設けられたヒータ
    によって構成することを特徴とする請求項1または2に
    記載のインクジェット記録装置
  4. 【請求項4】 前記判別手段は、記録開始指令を用いて
    現在の状態が1ページ分の記録動作中であるか、記録動
    作開始前の状態にあるかを判断することを特徴とする請
    求項1または2記載のインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 前記判別手段は、記録媒体を記録ヘッド
    へと送給するための給紙動作を指示する給紙信号を利用
    して、現在の状態が記録動作開始前の状態にあるか1ペ
    ージ分の記録動作中であるかを判断することを特徴とす
    る請求項1または2記載のインクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 前記判別手段は、記録データを利用して
    現在の状態が記録動作開始前の状態にあるか1ページ分
    の記録動作中であるかを判断することを特徴とする請求
    項1または2記載のインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】 記録ヘッドに設けられたノズルから、記
    録データに基づいてインクを吐出させ、記録媒体に記録
    を行うようにしたインクジェット記録方法において、 前記記録ヘッドを加熱する加熱ステップと、 前記記録ヘッドのヘッド温度を検出する温度検出ステッ
    プと、 前記温度検出ステップによって検出された検出温度と予
    め設定した基準温度とを比較する比較ステップと、 現在の状態が1ページ分の記録動作開始前の状態である
    か、1ページ分の記録動作が実行中であるかを判断する
    判断ステップと、 前記比較手段による比較結果と判断手段による判断結果
    とに基づき、加熱手段による加熱量を制御する制御ステ
    ップと、を備え、 前記制御ステップは、1ページ分の記録動作開始前の状
    態において前記検出温度が基準温度より低い場合に、前
    記検出温度が基準温度に達するまで記録ヘッドを加熱す
    ることを特徴とするインクジェット記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003039642A (ja) * 2001-07-31 2003-02-13 Canon Inc インクジェット記録装置、及びインクジェット記録装置におけるヘッド温度制御方法
JP2019025791A (ja) * 2017-07-31 2019-02-21 キヤノン株式会社 記録装置、記録装置の制御方法、及びプログラム

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