JP2003038952A - プラズマ処理装置およびこの装置を備えた薄膜の製造装置ならびに製造方法 - Google Patents

プラズマ処理装置およびこの装置を備えた薄膜の製造装置ならびに製造方法

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JP2003038952A
JP2003038952A JP2001231130A JP2001231130A JP2003038952A JP 2003038952 A JP2003038952 A JP 2003038952A JP 2001231130 A JP2001231130 A JP 2001231130A JP 2001231130 A JP2001231130 A JP 2001231130A JP 2003038952 A JP2003038952 A JP 2003038952A
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thin film
plasma
processed
electrode
plasma processing
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JP2001231130A
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English (en)
Inventor
Toshiki Kobayashi
俊起 小林
Kazuhiro Fukushima
和宏 福島
Kazuyoshi Koide
和佳 小出
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Toyo Metallizing Co Ltd
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toyo Metallizing Co Ltd
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、高密度なプラズマによる処理を容易
に実現できるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法
ならびにこれを用いた薄膜製造装置および薄膜製造方法
を提供する。 【解決手段】プラズマを生成するために電圧が印加され
る電極と、該電極により生成されるプラズマと電位差を
持つ導体面と、該導体面を挟んで前記電極とは反対側に
磁石を備え、前記電極と前記導体面との間に被処理物体
を保持する機構を備える装置において、前記保持機構に
より保持される被処理物体表面から前記電極側に向って
0〜20mmの範囲において前記磁石による磁界の前記
導体面と平行な磁界成分の強さが50(mT)以下であ
ることを特徴とするプラズマ処理装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマ処理装置
およびこれを用いた薄膜の製造装置ならびに製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】プラズマは電気化学的に活性な雰囲気を
容易に実現できるため、表面改質や蒸着の反応支援の手
段として工業的に広く使われている。そして、各種プロ
セスの高速化、大面積化、高品質化などの要求に対応す
るために、高密度化、大面積化、均一化などが技術的課
題となっている。
【0003】特に、真空蒸着などの薄膜形成プロセスで
は、蒸着装置内のどの部分にプラズマを生成するかがプ
ロセスおよび薄膜の特性を大きく左右する。最近ではイ
オンプレーティング法がプラズマを利用して高品質の薄
膜を高速に成膜する技術として使われている。これは、
蒸発物質をプラズマ(イオン)にし、電界で基板表面に
引きつける原理を利用したものである。
【0004】イオンプレーティングをはじめ、プラズマ
支援蒸着やプラズマによる表面改質などでは、基材表面
のプラズマをいかに高密度かつ均一にできるかが重要と
なる。
【0005】高密度のプラズマを容易に実現できる手段
としては、マグネトロンプラズマが古くから知られ、ス
パッタリングなど工業的に広く使われている(例えば、
早川、和佐著:「薄膜化技術」、共立出版、昭和57年
初版)。
【0006】従来の電界と磁界の相互作用によるマグネ
トロンプラズマの生成電極は、電界と磁界の発生源が一
体またはごく接近しており、電極構造が複雑であった
り、マグネトロンプラズマの発生領域が電極近傍に限定
されている。そのため、イオンプレーティングやプラズ
マ支援蒸着に適用しようとしても、蒸着膜が形成されつ
つある基材表面に高密度のプラズマを実現することは困
難である。これに対し、特開平11−302833号公
報において基材表面でのマグネトロンプラズマの実現と
プラズマ生成電極が基材表面への加工手段を妨げないこ
とを両立させる方法が開示されている。しかし、特開平
11−302833号公報では閉ループを形成する磁界
の形成について充分な設計指針がなく、特にシース領域
幅が10mmを越える場合では、充分な効果が現れない
問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の手法では、閉ル
ープを形成する磁界の形成について考慮されていないた
め、プラズマシース長が10mmを越えるようなプラズ
マでは効果が充分現れない、あるいは効果が現れない問
題がある。
【0008】本発明の課題は、プラズマシース長が10
mmを越えるようなプラズマにおいても高密度なプラズ
マを生成し、なおかつプラズマにさらされている基材表
面に真空蒸着などの加工が容易に行えるプラズマ処理装
置および薄膜の製造装置ならびに製造方法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は以下の構成からなる。すなわち、 [1]プラズマを生成するために電圧が印加される電極
と、該電極により生成されるプラズマと電位差を持つ導
体面と、該導体面を挟んで前記電極とは反対側に磁石を
備え、前記電極と前記導体面との間に被処理物体を保持
する機構を備える装置において、前記保持機構により保
持される被処理物体表面から前記電極側に向って0〜2
0mmの範囲において前記磁石による磁界の前記導体面
と平行な磁界成分の強さが50(mT)以下であること
を特徴とするプラズマ処理装置。
【0010】プラズマと電位差を持つ導体面は接地電位
または電圧を印加された面のいずれでも良いが、プラズ
マと100(V)以上の電位差があると磁界との相互作
用が生じ易いので良い。また、導体面は磁石表面と同一
面でも良いが、磁石とは別に非磁性体の金属板で導体面
を構成すると、磁石の形を自由に選べるので良い。磁石
は永久磁石または電磁石のいずれでも良いが、プラズマ
シースにあたる前記保持機構により保持される被処理物
体表面から前記電極側に向って0〜20mmの範囲にお
いて、導体面平行な磁界成分が50(mT)以下である
とマグネトロンプラズマを生成させ易いので好ましい。
さらに、導体面およびこれと平行な磁界成分を持つ磁界
との間に被処理物体を保持すると、被処理物体の電極側
の面を高密度なプラズマで処理できるので良い。プラズ
マを生成するために電極に印加される電圧は交流または
直流のいずれでも良いが、100(kHz)以上の交流
の方がマグネトロンプラズマを生成させ易いので好まし
い。ここで、プラズマシースとは被処理物体の表面とプ
ラズマの間に生ずるプラズマ発光の弱い領域である。
【0011】[2]被処理物体が帯状シート体であり、
該被処理物体を保持する機構が帯状シート体を搬送する
機構を備えることを特徴とする、前記[1]に記載のプ
ラズマ処理装置。
【0012】処理物体を搬送する機構が、張力および速
度の制御機構を有する巻取機構を備えると、長尺の帯状
シートを容易に扱えるので好ましい。
【0013】[3]被処理物体が板状シート体であり、
該被処理物体を保持する機構が板状シート体を前記導体
面と平行に搬送する機構を備えることを特徴とする、前
記[1]または[2]に記載のプラズマ処理装置。
【0014】板状シート体を保持する機構を搬送方向に
平行な両端に配置すると、被処理物体近傍の電界および
磁界を乱さないようにすることができるので良い。
【0015】[4]移動するシート体に対して、前記
[1]〜[3]のいずれかに記載のプラズマ処理装置を
用いてプラズマを照射することを特徴とするプラズマ処
理方法。
【0016】シート体とは板、フィルム、布帛、および
繊維を並べたものを含む。
【0017】[5]移動する非磁性シート体に対して、
前記[1]〜[3]のいずれかに記載のプラズマ処理装
置を用いてプラズマを照射することを特徴とするプラズ
マ処理方法。
【0018】被処理物体が非磁性シート体の場合は磁界
を乱さず、プラズマ処理が有効に行えるので良い。
【0019】[6]前記[1]〜[3]のいずれかに記
載のプラズマ処理装置を少なくとも一つ備えることを特
徴とする薄膜の製造装置。
【0020】薄膜の製造装置とは、蒸着装置、イオンプ
レーティング装置、スパッタ装置およびCVD装置を含
む。
【0021】[7]被処理物体表面に薄膜が形成される
領域とプラズマにさらされる領域とが少なくとも一部分
重複するようにプラズマ処理装置が配置されていること
を特徴とする、前記[6]に記載の薄膜の製造装置。
【0022】被処理物体表面に薄膜が形成される領域と
プラズマにさらされる領域とを重複させると、プラズマ
処理されながら薄膜が形成されるため、高品質の薄膜を
安定に製造し易くなるので良い。また、基材を搬送させ
ながら薄膜を形成する場合、薄膜が形成される領域の上
流を前記マグネトロンプラズマにさらすと基材の表面処
理効果により薄膜の密着性などを改善することが可能と
なるので良い。薄膜が形成される領域の下流を前記マグ
ネトロンプラズマにさらすと、形成した薄膜の後処理に
より薄膜の品質を改善することが可能となるので良い。
【0023】[8]被処理物体表面がプラズマにさらさ
れる領域内で、被処理物体表面に薄膜が形成されるよう
にプラズマ処理装置が配置されていることを特徴とす
る、前記[6]に記載の薄膜の製造装置。
【0024】被処理物体表面がプラズマにさらされる領
域内で被処理物体表面に薄膜が形成されるようにする
と、面内および厚さ方向に均質で良好な薄膜を高速で形
成し易いので良い。
【0025】[9]移動するシート体に、前記[6]〜
[8]のいずれかに記載の薄膜の製造装置を用いて非磁
性体薄膜を形成することを特徴とする薄膜の製造方法。
【0026】被処理物体に非磁性体が形成されても前記
マグネトロンプラズマを生成する磁場を乱さないため、
前記[6]〜[8]のいずれかに記載の薄膜の製造装置
は非磁性体薄膜の製造に有効である。
【0027】[10]移動するシート体に、前記[6]
〜[8]のいずれかに記載の薄膜の製造装置を用いて化
合物薄膜を形成することを特徴とする薄膜の製造方法。
【0028】化合物薄膜を製造する場合、被処理物体表
面のプラズマは化合物の生成反応を促進するため、
[6]〜[8]のいずれかに記載の薄膜の製造装置は化
合物薄膜の製造に有効である。
【0029】[11]移動するシート体に、前記[6]
〜[8]のいずれかに記載の薄膜の製造装置を用いて酸
化物薄膜を形成することを特徴とする薄膜の製造方法。
【0030】[12]移動するシート体に、前記[6]
〜[8]のいずれかに記載の薄膜の製造装置を用いて、
導電性でかつ非磁性の薄膜を形成することを特徴とする
薄膜の製造方法。
【0031】被処理物体表面に導電性でかつ非磁性薄膜
が形成されても、前記マグネトロンプラズマを生成する
磁界を乱さないので、[7]〜[9]のいずれかに記載
の薄膜の製造装置は導電性薄膜の製造に適している。な
お、ここで導電性とは、表面抵抗が10(kΩ/□)以
下のものをいう。
【0032】[13]10(kΩ/□)以下の導電性の
面を有しかつ移動するシート体に、前記[6]〜[8]
のいずれかに記載の薄膜の製造装置を用いて薄膜を形成
することを特徴とする薄膜の製造方法。
【0033】基材が導電性を有していても磁界を乱さな
いので、基材表面近傍に高密度なプラズマを生成でき
る。従って、[6]〜[8]のいずれかに記載の薄膜の
製造装置は導電性薄膜の製造に適している。なお、ここ
で導電性を有する基材とは、面抵抗が10(kΩ/□)
以下の層を表面および/または内部のいずれかに有する
ものをいう。
【0034】[14]前記[6]〜[8]のいずれかに
記載の薄膜の製造装置を用い、基材として熱可塑性樹脂
を用いることを特徴とする薄膜の製造方法。
【0035】[6]〜[8]のいずれかに記載の薄膜の
製造装置は、基材表面近傍に生成されるプラズマの電気
化学的作用を利用できるので比較的低温で薄膜を形成で
き、熱可塑性樹脂表面にも高品質な薄膜を容易に製造で
きるので良い。
【0036】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好ましい実施の
形態の一例を、図を用いて説明する。なお、本発明はこ
の実施の形態に限定されるものではない。
【0037】図1は、本発明に係るプラズマ処理装置の
一例を示す側面図であり、図2は、図1のA−A′断面
図であり、図3は、図1のB−B′断面図である。
【0038】図1〜図3に示すように、プラズマ8と電
位差を持つ非磁性導体板1を挟んでプラズマ8を生成す
るための電極3と磁石2が配置されており、電極3はプ
ラズマ8を発生させるための電圧を印可する電源4に接
続され、磁石2は磁性導体板5に密着され、金属製の処
理容器筺体6に固定されて接地されている。
【0039】また、被処理物体7は非磁性導体板1と電
極3の間に設置されている。
【0040】非磁性導体板1は接地電位または故意に電
圧を印加されたもののいずれでも良いが、プラズマ8と
100(V)以上の電位差があると磁界との相互作用が
生じ易いので良い。また、導体面は磁石表面と同一面で
も良いが、磁石とは別に非磁性体の金属板で導体面を構
成すると、磁石の形を自由に選べるので良い。
【0041】磁石2は永久磁石または電磁石のいずれで
も良いが、プラズマシースにあたる前記保持機構により
保持される被処理物体表面から前記電極側に向って0〜
20mmの範囲において、前記導体と平行な磁界成分2
3が50(mT)以下であるとマグネトロンプラズマを
生成させ易いので好ましい。
【0042】ここで、プラズマシースとは被処理物体7
の表面とプラズマ8との間に生ずるプラズマ発光の弱い
領域である。
【0043】さらに、被処理物体7を非磁性導体板1と
平行な磁界成分23が50(mT)以下であるプラズマ
シース内に保持すると、被処理物体7の電極3側の面を
高密度なプラズマで処理できるので良い。さらに、前記
処理物体を前記導体面と平行に保持すると効率良く高密
度なプラズマで処理できるので良い。
【0044】また、プラズマを生成するため電源3は、
交流または直流のいずれでも良いが、100(kHz)
以上の交流の方がマグネトロンプラズマを生成させ易い
ので好ましい。
【0045】また、被処理物体7を保持する機構が搬送
機能を備えていると連続して処理できるので好ましい。
【0046】さらに、被処理物体7が帯状シート体であ
る場合には、被処理物体を保持する機構が帯状シート体
を前記導体面とおおよそ平行に搬送する機構を備えるも
のであることが好ましく、さらには搬送する機構が張力
および速度の制御機構を有する巻取り機構を備えると長
尺の帯状シートを容易に扱えるのでより好ましい。
【0047】また、被処理物体7が板状シート体である
場合には、被処理物体を保持する機構が板状シート体を
前記導体面と平行に搬送する機構を備えるものであるこ
とが好ましく、さらには平行に搬送かつ保持する機構が
搬送方向に平行な両端にあると被処理物体7近傍の電界
および磁界を乱さないようにすることができるので、よ
り好ましい。
【0048】ここで、シート体とは板、フィルム、布
帛、および繊維を並べたものを含む。
【0049】また、「導体面とおおよそ平行な」とは導
体面と厳密に平行でないものをも含むものである。
【0050】また、薄膜作成装置に前記処理装置を一つ
以上備えるとプラズマ処理と薄膜の形成が連続して行え
るので良い。前記処理装置は2つ以上備えても良い。
【0051】また、被処理物体表面に薄膜が形成される
領域とプラズマにさらされる領域とを少なくとも一部分
重複させると、プラズマ処理されながら薄膜が形成され
るため、高品質の薄膜を安定に製造し易くなるので良
い。被処理物体表面に薄膜が形成される領域とプラズマ
にさらされる領域とを重複させる領域を大きくすると、
高品質な薄膜をより安定に製造し易くなるので良い。
【0052】また、基材を搬送させながら薄膜を形成す
る場合、薄膜が形成される領域の上流を前記マグネトロ
ンプラズマにさらすと基材の表面処理効果により薄膜の
密着性などを改善することが可能となるのでよりよい。
【0053】薄膜が形成される領域の下流を前記マグネ
トロンプラズマにさらすと、形成した薄膜の後処理によ
り薄膜の品質を改善することが可能となるので良い。
【0054】被処理物体表面がプラズマにさらされる領
域内で被処理物体表面に薄膜が形成されるようにする
と、面内および厚さ方向に均質で良好な薄膜を高速で形
成し易いのでさらに良い。
【0055】ここで、薄膜作成装置とは、蒸着装置、イ
オンプレーティング装置、スパッタ装置およびCVD装
置を含む。
【0056】化合物薄膜を製造する場合、前記薄膜の製
造装置を用いると被処理物体表面のプラズマは化合物の
生成反応を促進するため高品質な化合物薄膜が作成でき
るので良い。被処理物体表面に導電性でかつ非磁性薄膜
が形成されても、前記マグネトロンプラズマを生成する
磁界を乱さないので、前記薄膜の製造装置は導電性薄膜
の製造に適している。なお、ここで導電性とは、表面抵
抗が10(kΩ/□)以下のものをいう。また、前記薄
膜の製造装置は、基材表面近傍に生成されるプラズマの
電気化学的作用を利用できるので比較的低温で薄膜を形
成でき、熱可塑性樹脂表面にも高品質な薄膜を容易に製
造できるので良い。
【0057】
【実施例】[実施例1]図4に、本発明によるプラズマ
処理装置を用いた薄膜の製造装置の一例を示す。ステン
レス鋼(SUS304)製の処理容器筺体6の中に蒸発
源9とフィルム巻取機構10が設置されており、蒸発源
9と被処理物体7(フィルム基材)の間にはプラズマ用
電極3が非磁性体導体板1と平行に設置され、電源4に
接続されている。非磁性体導体板1の電極3と反対側の
面には磁石2が配置され、磁性導体板5で磁気的に結合
され、被処理物体7の電極3側に平行磁場が閉ループを
形成している。また、非磁性導体板1は磁石2と磁性導
体板5を介して処理容器筺体6に電気的に接続されて接
地電位になっている。磁石2にはサマリウムコバルト製
のもの、非磁性体導体板1には厚さ0.1(mm)のア
ルミニウム、磁性導体板5には厚さ3(mm)のSS4
00を用いた。非磁性導体面からプラズマの間に生じる
プラズマシース内の位置において、非磁性体導体板1と
平行な磁界強度を測定したところ50(mT)以下であ
った。
【0058】次に、処理容器筺体6内を一旦5×10-4
(Pa)まで排気した後、酸素を導入して3×10
-2(Pa)の圧力に保ち、電極3に13.56(MH
z)3(kW)の電力を投入した。その結果、電極3付
近にプラズマ8が形成され、被処理物体7の表面近傍の
平行閉ループ磁場の部分に周囲よりもプラズマ発光の強
い部分82が観測された。
【0059】この状態でITO(In23:SnO2
0wt%含有)顆粒91に電子ビーム92を照射して蒸
着を行った。蒸発量は電子ビーム92の強度を調整し、
蒸発源9から1000(mm)離れた位置を0.5(m
/min)で移動する被処理物体7表面にITO膜の厚
みを変化させて成膜を行った。作成したITO膜を評価
した。図5にITO膜の厚さ90(nm)の場合の光の
吸収率により規格化された、本実施例1および後記する
比較例1および2の波長550(nm)の光の吸収とI
TO膜の厚さの関係を示す。本実施例1は、比較例1お
よび2に比べて光の吸収率が低く、例えば90(nm)
の厚さにおいて吸収率は1.05%であり、また表面抵
抗は500(Ω/□)以下の酸化反応が充分な良好な膜
であった。
【0060】[比較例1]図6に示すように図4に示し
た実施例の磁石2を、フィルム71の表面から電極3の
方向に向って0〜20mmの範囲において非磁性体導体
板1と平行な磁界成分が50(mT)以下となる配置と
して、その他の条件を実施例と同一にして成膜した。被
処理物体表面には特にプラズマ発光の強い部分は見られ
なかった。図5に示すように、本比較例1は、後記する
比較例2と比べて光の吸収が低いものの、前記実施例と
比べて高い。例えば90(nm)の厚さにおいて、波長
550(nm)の光の吸収が前記実施例の1.8倍であ
り、また表面抵抗が500(Ω/□)以上の酸化反応が
不十分な膜であった。
【0061】[比較例2]図7に示すように、図6に示
した実施例1の磁石2をアルミニウムブロック11に置
き換え、その他の条件を実施例1と同一にして成膜し
た。被処理物体表面には特にプラズマ発光の強い部分は
見られなかった。図5に示すように、本比較例2は、前
記比較例1および前記実施例1と比べて高い。例えば9
0(nm)の厚さにおいて、波長550(nm)の光の
吸収が前記実施例1の2.3倍であり、また表面抵抗は
1000(Ω/□)以上の酸化反応が不十分な膜であっ
た。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、プラズマ内に導体面と
平行な磁界成分のループを形成する磁界を形成すること
により、特にシース領域幅が10mmを越える場合にお
いても、磁界による高密度なプラズマを生成することが
できる。このため本発明のプラズマ処理装置は、上述の
従来のプラズマ処理装置に比べて被処理物体の電極側の
面を高密度なプラズマで処理できる。また、本発明の処
理装置を備えた薄膜作成装置により化合物薄膜を製造す
る場合、被処理物体表面のプラズマは化合物の生成反応
を促進するため高品質な化合物薄膜が作成できる。ま
た、基材表面近傍に生成されるプラズマの電気化学的作
用を利用できるので比較的低温で薄膜を形成でき、熱可
塑性樹脂表面にも高品質な薄膜を容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いたプラズマ処理装置の一例を示す
図である。
【図2】本発明を用いたプラズマ処理装置の一例を示す
図である。
【図3】本発明の磁石の配置の一例である。
【図4】本発明の実施例を説明する図である。
【図5】本発明の実施例および比較例のITO膜の光の
吸収率を示す図である。
【図6】比較例1を説明する図である。
【図7】比較例2を説明する図である。
【符号の説明】
1:非磁性導体板 2:磁石 21:磁力線 22:磁界ベクトル 23:平行な磁界成分 24:垂直な磁界成分 3:電極 4:電源 5:磁性導体板 6:処理容器筺体 7:被処理物体 71:フィルム 8:プラズマ 81:プラズマシース 82:プラズマ発光の強い部分 9:蒸発源 91:ITO顆粒 92:電子ビーム 10:フィルム巻取機構 11:アルミニウムブロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福島 和宏 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 (72)発明者 小出 和佳 静岡県三島市長伏33の1 東洋メタライジ ング株式会社三島工場内 Fターム(参考) 4G075 AA24 BA01 BC02 BC03 BC04 CA25 CA42 DA02 EB41 ED06 ED09 4K029 AA11 AA25 BA50 BC03 CA01 DB05 DB21 EA06 JA10 KA03

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラズマを生成するために電圧が印加され
    る電極と、該電極により生成されるプラズマと電位差を
    持つ導体面と、該導体面を挟んで前記電極とは反対側に
    磁石を備え、前記電極と前記導体面との間に被処理物体
    を保持する機構を備える装置において、前記保持機構に
    より保持される被処理物体表面から前記電極側に向って
    0〜20mmの範囲において前記磁石による磁界の前記
    導体面と平行な磁界成分の強さが50(mT)以下であ
    ることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 【請求項2】被処理物体が帯状シート体であり、該被処
    理物体を保持する機構が帯状シート体を前記導体面とお
    およそ平行に搬送する機構を備えることを特徴とする請
    求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 【請求項3】被処理物体が板状シート体であり、該被処
    理物体を保持する機構が板状シート体を前記導体面とお
    およそ平行に搬送する機構を備えることを特徴とする請
    求項1または2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 【請求項4】移動するシート体に対して、請求項1〜3
    のいずれかに記載のプラズマ処理装置を用いてプラズマ
    を照射することを特徴とするプラズマ処理方法。
  5. 【請求項5】移動する非磁性シート体に対して、請求項
    1〜3のいずれかに記載のプラズマ処理装置を用いてプ
    ラズマを照射することを特徴とするプラズマ処理方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜3のいずれかに記載のプラズマ
    処理装置を少なくとも一つ備えることを特徴とする薄膜
    の製造装置。
  7. 【請求項7】被処理物体表面に薄膜が形成される領域と
    プラズマにさらされる領域とが、少なくとも一部分重複
    するようにプラズマ処理装置が配置されていることを特
    徴とする請求項6に記載の薄膜の製造装置。
  8. 【請求項8】被処理物体表面がプラズマにさらされる領
    域内で、被処理物体表面に薄膜が形成されるようにプラ
    ズマ処理装置が配置されていることを特徴とする請求項
    6に記載の薄膜の製造装置。
  9. 【請求項9】移動するシート体に、請求項6〜8のいず
    れかに記載の薄膜の製造装置を用いて非磁性体薄膜を形
    成することを特徴とする薄膜の製造方法。
  10. 【請求項10】移動するシート体に、請求項6〜8のい
    ずれかに記載の薄膜の製造装置を用いて化合物薄膜を形
    成することを特徴とする薄膜の製造方法。
  11. 【請求項11】移動するシート体に、請求項6〜8のい
    ずれかに記載の薄膜の製造装置を用いて酸化物薄膜を形
    成することを特徴とする薄膜の製造方法。
  12. 【請求項12】移動するシート体に、請求項6〜8のい
    ずれかに記載の薄膜の製造装置を用いて、導電性でかつ
    非磁性の薄膜を形成することを特徴とする薄膜の製造方
    法。
  13. 【請求項13】10(kΩ/□)以下の導電性の面を有
    しかつ移動するシート体に、請求項6〜8のいずれかに
    記載の薄膜の製造装置を用いて薄膜を形成することを特
    徴とする薄膜の製造方法。
  14. 【請求項14】請求項6〜8のいずれかに記載の薄膜の
    製造装置を用い、シート体として熱可塑性樹脂を用いる
    ことを特徴とする薄膜の製造方法。
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