JP2003038647A - 鼻孔カニューラ及びその製造方法 - Google Patents

鼻孔カニューラ及びその製造方法

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Toshiaki Nakamaru
敏明 中丸
Shozo Kusano
省三 草野
Kazuo Matsubara
一雄 松原
Tadashi Katsuragi
忠 桂木
Takeshi Kishikawa
健 岸川
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YAMASHIRO SEIKI SEISAKUSHO KK
Atom Medical Corp
Sanjo Seiki Seisakusho KK
Original Assignee
YAMASHIRO SEIKI SEISAKUSHO KK
Atom Medical Corp
Sanjo Seiki Seisakusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造コスト及び使用コストを低下させること
と装着時の適合感を向上させることとを同時に達成する
ことができる鼻孔カニューラ及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 鼻孔カニューラ44では、チューブに接
続される一対の端部47における内面の対向間隔よりも
広い対向間隔の内面を有する中間部48が一対の端部4
7同士の間に設けられているので、鼻孔の下方部に密着
し易い形状を実現して、装着時の適合感を向上させるこ
とができる。また、鼻孔カニューラ44がスチレン系エ
ラストマーから成っているので、射出成形によって製造
コストを低下させることができ、また、鼻孔カニューラ
44の耐用期間が長くて使用コストを低下させることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願の発明は、呼吸療法用品
であって、チューブに接続される一対の端部同士の間
に、鼻孔に挿入される突出部が設けられている鼻孔カニ
ューラ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は、鼻孔カニューラの第一従来例を
示している。この第一従来例の鼻孔カニューラ11で
は、長手方向の中央部に「へ」の字状の屈曲部12が設
けられており、屈曲している一対の筒状の突出部13が
屈曲部12の両側に設けられている。鼻孔カニューラ1
1の一対の端部14は円筒状であり、一対の端部14同
士の間の中間部15は偏平な角筒状である。このため、
中間部15の略長方形の断面における短辺の内面同士の
対向間隔つまり長辺の内面の長さの方が、端部14の内
径よりも長い。
【0003】一対の端部14の各々にチューブ16の一
方の端部が挿入されており、一対のチューブ16の他方
の端部はストッパリング17で纏められた状態で接続管
18に挿入されている。接続管18には一本のチューブ
21の一方の端部が挿入されており、チューブ21の他
方の端部はソケット22に挿入されている。ソケット2
2は酸素発生装置(図示せず)等に接続され、突出部1
3から酸素が供給される。
【0004】人体への鼻孔カニューラ11の装着に際し
ては、図5に示されている様に、一対のチューブ16を
両耳に掛け、鼻孔カニューラ11を鼻孔の下方部に位置
させた状態で、突出部13を鼻孔に挿入する。鼻孔カニ
ューラ11の一対の端部14が円筒状であるのは、汎用
の円筒状のチューブ16を一対の端部14に挿入するた
めである。また、中間部15が偏平な角筒状であり且つ
全体の長手方向の中央部に「へ」の字状の屈曲部12が
設けられているのは、鼻孔の下方部に密着し易い形状に
することによって、装着時の適合感を向上させるためで
ある。
【0005】この第一従来例の鼻孔カニューラ11は、
可塑剤や種々の添加剤が混合されている塩化ビニルペー
ストレジン中に、加熱及び乾燥させた金属製の中子を浸
し、中子の周囲にペーストレジンを付着させた状態でこ
の中子を引き上げ、ペーストレジンを加熱及び硬化させ
て形成した鼻孔カニューラ11内から中子を引き抜く、
ディッピングと称される方法で製造されている。
【0006】図6は、鼻孔カニューラの第二従来例を示
している。この第二従来例の鼻孔カニューラ23では、
全体が円筒状であり、全体の長手方向の中央近傍に突出
部24が設けられている。この第二従来例の鼻孔カニュ
ーラ23は、金型の円柱状のキャビティ内に円柱状の中
子を配置し、この金型と成形材料とを用いて鼻孔カニュ
ーラ23を射出成形し、射出成形された鼻孔カニューラ
23内から中子を引き抜くことによって製造されてい
る。全体が円筒状であるのは、射出成形された鼻孔カニ
ューラ23内から中子を引き抜き易くするためである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図4、5に
示されている第一従来例の鼻孔カニューラ11はディッ
ピングで製造されており、ディッピングでは、製造周期
が長いので、量産のためには一度に多数の鼻孔カニュー
ラ11を製造する必要がある。一方、ディッピングで
は、ペーストレジンの貯槽と、中子を加熱する第一の加
熱槽と、中子に付着しているペーストレジンを加熱及び
硬化させる第二の加熱槽と、鼻孔カニューラ11内から
引き抜かれた中子を乾燥させる乾燥炉との、少なくとも
四つの槽または炉が必要である。
【0008】そして、上述の様に一度に多数の鼻孔カニ
ューラ11を製造する必要があると、各々の槽または炉
の面積を広くする必要があり、結局、製造のための占有
面積が広い。また、少なくとも四つの槽または炉がある
と、各々の槽または炉を清浄な環境に維持することが困
難である。即ち、例えば、中子に付着しているペースト
レジンが第二の加熱槽や第一の加熱槽で加熱されて炭化
し、この炭化物がペーストレジンの貯槽中に落下して製
品中に混入し、結局、歩留りが低下する。
【0009】また、中子の周囲にペーストレジンを自然
に付着させるディッピングによって製造される第一従来
例の鼻孔カニューラ11では、肉厚や重量等のばらつき
が大きくて規格外の製品が製造される比率が高く、この
ことによっても歩留りが低かった。これらのために、第
一従来例の鼻孔カニューラ11では、製造コストを低下
させることが困難であった。
【0010】また、第一従来例の鼻孔カニューラ11で
は、上述の様に可塑剤が添加されているので、装着時に
可塑剤が人体の皮脂と反応して染み出して、柔軟性が低
下する。このため、鼻孔カニューラ11の耐用期間が短
く、使用コストを低下させることが困難であった。一
方、図6に示されている第二従来例の鼻孔カニューラ2
3では、全体が円筒状であり、装着時の適合感を向上さ
せることが困難であった。
【0011】つまり、第一及び第二従来例の鼻孔カニュ
ーラ11、23では、製造コスト及び使用コストを低下
させることと装着時の適合感を向上させることとを同時
に達成することが困難であった。従って、本願の発明の
目的は、製造コスト及び使用コストを低下させることと
装着時の適合感を向上させることとを同時に達成するこ
とができる鼻孔カニューラ及びその製造方法を提供する
ことである。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る鼻孔カニ
ューラでは、チューブに接続される一対の端部における
内面の対向間隔よりも広い対向間隔の内面を有する中間
部が、一対の端部同士の間に設けられている。このた
め、鼻孔カニューラの装着時に鼻孔の下方部に接触する
中間部を偏平にしておくことによって、鼻孔の下方部に
密着し易い形状を実現することができる。
【0013】また、鼻孔カニューラがスチレン系エラス
トマーから成っており、スチレン系エラストマーでは強
度及び弾性が共に高い。このため、金型及び中子を用い
る射出成形によって鼻孔カニューラを製造して製造後に
端部から中子を引き抜き、この引き抜き時に中子の偏平
な部分が鼻孔カニューラの端部を強く押し広げても、鼻
孔カニューラは損傷を受けない。更に、鼻孔カニューラ
が射出成形によって製造されれば、肉厚や重量等のばら
つきが小さくて規格外の製品が製造される比率が低い。
従って、射出成形によって、ディッピングに比べて、狭
い占有面積及び高い歩留りで製造することができる。
【0014】また、スチレン系エラストマーでは、柔軟
性が本来的に高く、可塑剤の添加の必要性が低い。この
ため、鼻孔カニューラの装着時に可塑剤が人体の皮脂と
反応して染み出して、柔軟性が低下することはない。従
って、鼻孔カニューラの耐用期間が長い。
【0015】請求項2に係る鼻孔カニューラでは、一対
の端部同士の間に屈曲部が設けられている。このため、
鼻孔カニューラの装着時に鼻孔の下方部に接触する中間
部が偏平になっているだけの構造に比べて、鼻孔の下方
部に更に密着し易い形状を実現することができる。
【0016】請求項3に係る鼻孔カニューラの製造方法
では、射出成形で鼻孔カニューラを製造する。このた
め、ディッピングに比べて、射出成形機のみで鼻孔カニ
ューラを製造することができて狭い占有面積で鼻孔カニ
ューラを製造することでき、また、清浄な環境で鼻孔カ
ニューラを製造することができると共に肉厚や重量等の
ばらつきが小さくて規格外の製品が製造される比率が低
くて高い歩留りで鼻孔カニューラを製造することができ
る。
【0017】また、成形材料としてスチレン系エラスト
マーを用い、スチレン系エラストマーでは、柔軟性が本
来的に高く、可塑剤の添加の必要性が低い。このため、
鼻孔カニューラの装着時に可塑剤が人体の皮脂と反応し
て染み出して、柔軟性が低下することはない。従って、
耐用期間の長い鼻孔カニューラを製造することができ
る。
【0018】また、鼻孔カニューラの製造に際して、鼻
孔カニューラのうちでチューブに接続される一対の端部
に対応する第一の部分おける内壁の対向間隔よりも広い
対向間隔の内壁を有する第二の部分が第一の部分同士の
間に設けられているキャビティを備える金型を用意し、
この金型におけるキャビティの内壁に沿う中子をキャビ
ティ内に配置する。このため、鼻孔カニューラの装着時
に鼻孔の下方部に接触する中間部を偏平にすることによ
って、鼻孔の下方部に密着し易い形状を実現することが
できる。
【0019】また、射出成形された鼻孔カニューラ内か
ら中子を引き抜く必要があるが、成形材料としてスチレ
ン系エラストマーを用い、スチレン系エラストマーでは
強度及び弾性が共に高い。このため、上述の形状に射出
成形された鼻孔カニューラの端部から中子を引き抜く時
に中子の偏平な部分が鼻孔カニューラの端部を強く押し
広げても、鼻孔カニューラは損傷を受けず、歩留りを低
下させることなく鼻孔カニューラを製造することかでき
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本願の発明の一実施形態
を、図1〜3を参照しながら説明する。本実施形態の鼻
孔カニューラの製造に際しては、図2に示されている金
型31を用意する。金型31は上型32及び下型33か
ら成っており、金型31の長辺に沿う方向における上型
32及び下型33の断面の形状は夫々略逆三角形及び三
角形である。上型32及び下型33の夫々の対向面に
は、上述の逆三角形及び三角形の頂点を越えて延びる二
本ずつの溝34が設けられている。
【0021】このため、溝34のうちで上述の逆三角形
及び三角形の頂点に対応する部分が屈曲部35になって
おり、また、屈曲している一対の突出部36が屈曲部3
5の両側に設けられている。上型32及び下型33が夫
々の対向面で合わせられた状態の溝34によって形成さ
れるキャビティでは、上述の逆三角形及び三角形の頂点
から離隔している端部37は円柱状であり、一対の端部
37同士の間の中間部38は偏平な角柱状である。そし
て、偏平な角柱状である中間部38の長辺は、円柱状で
ある端部37の直径よりも長い。
【0022】図3に示されている様に、下型33の溝3
4内には、上型32及び下型33の溝34によって形成
されるキャビティの内壁に沿う中子41が配置される。
なお、中子41のうちで溝34の一方の端部37から他
方の端部37にまで配置される本体部42と、溝34の
突出部36に配置される分枝部43とは、互いに別体で
ある。上述の様に中子41がキャビティの内壁に沿うの
で、中子41もキャビティと同様な形状を有している。
つまり、中子41の本体部42のうちで溝34の中間部
38に対応する偏平な角柱部の長辺は、溝34の端部3
7に対応する円柱部の直径よりも長い。
【0023】以上の様に中子41が配置されている金型
31と成形材料であるスチレン系エラストマーとを用い
て、図1に示されている鼻孔カニューラ44を一度に二
個ずつ射出成形する。上型32及び下型33の溝34に
よって形成されるキャビティと中子41とが上述の形状
を有しているので、本実施形態の鼻孔カニューラ44の
形状も、図4、5に示されている第一従来例の鼻孔カニ
ューラ11の形状と実質的に同様である。
【0024】つまり、鼻孔カニューラ44の長手方向の
中央部に「へ」の字状の屈曲部45が設けられており、
屈曲している一対の筒状の突出部46が屈曲部45の両
側に設けられている。また、鼻孔カニューラ44の一対
の端部47は円筒状であり、一対の端部47同士の間の
中間部48は偏平な角筒状である。従って、鼻孔カニュ
ーラ44は、鼻孔の下方部に密着し易い形状を有してお
り、装着時の適合感が高い。
【0025】射出成形後は、鼻孔カニューラ44の突出
部46から中子41の分枝部43を引き抜き、アルコー
ルやアセトン等の表面張力の低い液体を突出部46から
鼻孔カニューラ44内へ圧入してから、鼻孔カニューラ
44の一方の端部47から中子41の本体部42を引き
抜く。鼻孔カニューラ44内へ圧入された表面張力の低
い液体によって、鼻孔カニューラ44から中子41の本
体部42を容易に引き抜くことができる。
【0026】この引き抜き時に、中子41の本体部42
の偏平な部分が鼻孔カニューラ44の端部47を強く押
し広げる。しかし、鼻孔カニューラ44の材料であるス
チレン系エラストマーでは、第一従来例の鼻孔カニュー
ラ11の材料である塩化ビニルレジンよりも強度及び弾
性が共に高い。従って、中子41の本体部42の偏平な
部分が鼻孔カニューラ44の端部47を強く押し広げて
も、鼻孔カニューラ44は損傷を受けず、鼻孔カニュー
ラ44の歩留りが高い。
【0027】なお、以上の実施形態では鼻孔カニューラ
44の中間部48の形状が偏平な角筒状であるが、一対
の端部47における内面の対向間隔よりも広い対向間隔
の内面を中間部48が有していれば、中間部48の形状
は角筒状以外の形状であってもよい。
【0028】
【発明の効果】請求項1に係る鼻孔カニューラでは、鼻
孔の下方部に密着し易い形状を実現することができるの
で、装着時の適合感を向上させることができる。また、
射出成形によって、ディッピングに比べて、狭い占有面
積及び高い歩留りで製造することができるので、製造コ
ストを低下させることができる。また、鼻孔カニューラ
の耐用期間が長いので、使用コストを低下させることが
できる。
【0029】請求項2に係る鼻孔カニューラでは、鼻孔
の下方部に更に密着し易い形状を実現することができる
ので、装着時の適合感を更に向上させることができる。
【0030】請求項3に係る鼻孔カニューラの製造方法
では、ディッピングに比べて、狭い占有面積及び高い歩
留りで鼻孔カニューラを製造することができるので、鼻
孔カニューラを低コストで製造することができる。ま
た、耐用期間の長い鼻孔カニューラを製造することがで
きるので、使用コストの低い鼻孔カニューラを製造する
ことができる。また、鼻孔の下方部に密着し易い形状を
実現することができるので、装着時の適合感の高い鼻孔
カニューラを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の発明の一実施形態で製造された鼻孔カニ
ューラ及びこの鼻孔カニューラから未だ引き抜かれてい
ない中子の側断面図である。
【図2】本願の発明の一実施形態で用いる金型の上型及
び下型の斜視図である。
【図3】本願の発明の一実施形態で用いる金型の下型及
び中子の斜視図である。
【図4】本願の発明の第一従来例の斜視図である。
【図5】人体に装着されている状態にある本願の発明の
第一従来例の正面図である。
【図6】本願の発明の第二従来例の斜視図である。
【符号の説明】
16…チューブ、31…金型、34…溝(キャビテ
ィ)、37…端部(第一の部分)、38…中間部(第二
の部分)、41…中子、44…鼻孔カニューラ、45…
屈曲部、46…突出部、47…端部、48…中間部
フロントページの続き (72)発明者 草野 省三 埼玉県春日部市南栄町6番地4 アトムメ ディカル株式会社春日部工場内 (72)発明者 松原 一雄 東京都文京区本郷3丁目18番15号 アトム メディカル株式会社内 (72)発明者 桂木 忠 埼玉県川口市中青木2丁目18番21号 株式 会社山城精機製作所内 (72)発明者 岸川 健 埼玉県川口市中青木2丁目18番21号 株式 会社山城精機製作所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チューブに接続される一対の端部同士の
    間に、鼻孔に挿入される突出部が設けられている鼻孔カ
    ニューラにおいて、 前記端部における内面の対向間隔よりも広い対向間隔の
    内面を有する中間部が前記一対の端部同士の間に設けら
    れており、 スチレン系エラストマーから成っている鼻孔カニュー
    ラ。
  2. 【請求項2】 前記一対の端部同士の間に屈曲部が設け
    られている請求項1記載の鼻孔カニューラ。
  3. 【請求項3】 チューブに接続される一対の端部同士の
    間に、鼻孔に挿入される突出部が設けられている鼻孔カ
    ニューラの製造方法において、 前記端部に対応する第一の部分における内壁の対向間隔
    よりも広い対向間隔の内壁を有する第二の部分が前記第
    一の部分同士の間に設けられているキャビティを備える
    金型を用意する工程と、 前記内壁に沿う中子を前記キャビティ内に配置する工程
    と、 前記中子が配置されている前記金型と成形材料であるス
    チレン系エラストマーとを用いて前記鼻孔カニューラを
    射出成形する工程と、 前記射出成形された前記鼻孔カニューラ内から前記中子
    を引き抜く工程とを具備する鼻孔カニューラの製造方
    法。
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