JP2003038641A - 白血球選択除去フィルター材 - Google Patents

白血球選択除去フィルター材

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JP2003038641A
JP2003038641A JP2001230739A JP2001230739A JP2003038641A JP 2003038641 A JP2003038641 A JP 2003038641A JP 2001230739 A JP2001230739 A JP 2001230739A JP 2001230739 A JP2001230739 A JP 2001230739A JP 2003038641 A JP2003038641 A JP 2003038641A
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polymer
filter material
mol
blood
polymerizable monomer
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JP2001230739A
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Hirofumi Miura
裕文 三浦
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Asahi Kasei Medical Co Ltd
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Asahi Medical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】各種血液、特に全血中の血小板吸着を出来るだ
け抑制し、且つ、白血球を選択的に高除去率で捕捉除去
することの出来る、血液への溶出物が極めて少ない白血
球選択除去フィルター材を提供すること。 【解決手段】フィルター材表面にポリマーを含んでなる
白血球選択除去用フィルター材において、該ポリマー
は、疎水性重合性モノマー由来のユニットと塩基性含窒
素部分を含む重合性モノマー由来のユニットとプロトン
性中性親水性部分を含む重合性モノマー由来のユニット
から構成され、且つ、ポリマー中の疎水性重合性モノマ
ー由来のユニットが3mol%以上25mol%以下、
塩基性含窒素部分を含む重合性モノマー由来のユニット
が1mol%以上8mol%以下、残余がプロトン性中
性親水性部分を含む重合性モノマー由来のユニットであ
り、フィルター材の全表面積の単位面積あたりのポリマ
ーの重量が、90mg/m2以上300mg/m2以下で
あることを特徴とする白血球選択除去用フィルター材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液への溶出物が
極めて少ない、血液成分から白血球を選択的に除去する
ための白血球選択除去フィルター材に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】現在、輸血の分野においては、患者に必
要な成分のみを輸血する成分輸血が主流となりつつあ
り、成分輸血に用いられる赤血球濃厚液(CRC)、濃
厚血小板液(PC)、乏血小板血漿(PPP)などは遠
心分離法により分離、分画調整される。しかし、この際
有益血液成分の損傷・損失を引き起こし、且つ、現状で
は通常相当数の白血球が混入していることが知られてい
る。
【0003】一般に輸血時における白血球の混入は、種
々の副作用を示すことが知られている。例えば、白血球
が輸注されつづけると、体内に抗白血球抗体が産出さ
れ、輸血血液中の白血球との間に抗原抗体反応を引き起
こし、悪感・発熱などの原因になる。また、患者の免疫
系の弱体化が引き起こされている場合には、輸血後GV
HD(移植片対宿主疾患)を引き起こす可能性が高いこ
とも示唆されている。また、ウイルス感染などの重篤な
副作用を誘発させることもあり血液製剤から白血球を除
去する工夫がされている。
【0004】これまでは一般的に各種血液製剤を調整後
に白血球を除去する方式が一般的であった。しかしなが
らこの場合には白血球を除去する操作が各成分血毎に必
要となり、操作の簡便さ、コスト、血液製剤の安全性か
ら見ても、まず初めに全血において白血球のみを可能な
限り取り除いたのちに分離分画する方式が望ましいこと
は言うまでもない。
【0005】しかし、これまで白血球選択除去フィルタ
ーに関する特許の中で、白血球の除去を先ず新鮮全血で
使用した例は少ない。本発明者らは採血後間もない新鮮
全血は、一日以上保存した保存血よりさらに、血小板が
透過しにくくなるという問題点があることを見出した。
ちなみに、これまで一般的な白血球除去フィルターとし
て種々市販されているものは、ポリエステルなどの合成
繊維に白血球を付着させて除去する方法のものであった
が、これらのフィルター材料の多くは疎水性ポリマー材
料よりなるために、白血球のみならず、一般的に高い粘
着能を示す血小板をも吸着除去してしまい、白血球除去
効率は比較的高いとしても、血小板も同時に除去してし
まうという欠点があり新鮮全血向けには適当でないこと
が分かった。
【0006】その中で、特公平6−59304号公報に
は血漿、赤血球、血小板は通過させるが白血球は捕捉す
る白血球除去フィルターが開示されている。該発明では
前出の欠点を多孔質体に親水性ポリマーをコーティング
することで解消している。ここではコーティング用ポリ
マーとして特開昭60−119955に記載されている
ポリマーが用いられている。このポリマーはpKaが
4.0以上の塩基性窒素官能基を有する生体材料用の合
成ポリマー、例えばジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレートとヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの
共重合体であるが、このようなポリマーによるコーティ
ングを行った場合に懸念される問題点として溶出があ
る。この特開昭60−119955号公報に記載される
ポリマーは、血液への溶出物は極めて低いことが確認さ
れてはいるが、人体に対するより高い安全性を確保する
必要性がある。さらに、より溶出物が少ないこと、より
高い白血球除去率、より高い血小板回収率というの3つ
の要求すべてを同時に満たすためには新規のポリマーを
用いる必要がある。
【0007】また、特開平5−262656号公報に
は、アルコキシメタクリレートモノマーを主成分とした
ポリマーをフィルター表面に保持させた白血球除去フィ
ルターが示されている。これはアルコキシ(メタ)アク
リレートを用いることで血小板の粘着を防ぎ白血球を選
択的に除去することを目的としたフィルターであるが、
その低い親水性のために、血液製剤を処理するため最初
にフィルターに血液製剤を満たすプライミングに時間を
要し、目詰まりを起こす可能性も高く、新鮮全血に適用
された実施例は無い。実際アルコキシ(メタ)アクリレ
ートを保持させたフィルターを全血に用いた場合には、
血液の流れ性が悪いばかりではなく、血小板回収率も低
くなることが確認され、本発明の目的を達成できないこ
とが分かった。
【0008】また、特開平5−194243号公報や特
開平7−25776号公報には、繰り返し単位が2から
15のポリエチレンオキサイド鎖を含有する白血球除去
フィルターについて開示されている。該フィルターに用
いるポリマーは親水性が高く血小板の粘着性を低下させ
ることができる。しかし、その一方で白血球の粘着性も
低下させる懸念もあり、実施例においても新鮮全血を用
いた例は記載されていない。さらに、ポリエチレンオキ
サイド鎖が長くなると、その高い親水性により血液成分
への溶出が懸念される。
【0009】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、各種血
液、特に全血中の血小板吸着を出来るだけ抑制し、且
つ、白血球を選択的に高除去率で捕捉除去することの出
来る、血液への溶出物が極めて少ない白血球選択除去フ
ィルター材を提供することを課題とする。即ち、本発明
は全血のみならず、血小板輸血や血液の体外循環白血球
除去療法に有効に用いることのできる、血小板吸着が少
なく且つ白血球を選択的に高収率で除去する、血液への
溶出物の極めて少ない白血球選択除去フィルターを提供
することを課題とする。さらに、本発明は、従来血小板
が透過しにくい傾向にある新鮮全血に対しても、保存血
に対するのと同様に、高い血小板透過率を維持して白血
球を選択的に除去することができる白血球選択除去フィ
ルター材を提供することも課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】白血球選択除去フィルタ
ーにおいては、血小板回収率の向上のために親水化が要
求される一方、溶出抑制には疎水化が要求される。即
ち、本発明の課題を達成するためには本来相反する特性
が要求される訳であるが、本発明者が鋭意検討した結
果、疎水性モノマーからなるユニットを適量含む親水性
ポリマーをフィルター基材表面に特定量存在させること
により、驚くべきことに、高い白血球除去性能と高い血
小板回収率と著しく低い溶出性の3つの課題を同時に満
足できるフィルター材の提供が可能となることを見出し
た。
【0011】即ちこの発明は(1)フィルター材表面に
重合性モノマーからなるポリマーを含んでなる白血球選
択除去用フィルター材において、該ポリマーは、疎水性
重合性モノマー由来のユニットと含窒素部分を含む重合
性モノマー由来のユニットとプロトン性中性親水性部分
を含む重合性モノマー由来のユニットから構成され、且
つ、ポリマー中の疎水性重合性モノマー由来のユニット
が3mol%以上25mol%以下、塩基性含窒素部分
を含む重合性モノマー由来のユニットが1mol%以上
8mol%以下、残余がプロトン性中性親水性部分を含
む重合性モノマー由来のユニットであり、フィルター材
の全表面積の単位面積あたりのポリマーの重量が、90
mg/m2以上300mg/m2以下であることを特徴と
する白血球選択除去用フィルター材、(2)ポリマーが
ビニル系ポリマーであることを特徴とする(1)記載の
白血球選択除去用フィルター材、(3)ポリマーがアク
リル酸誘導体及び又はメタアクリル酸誘導体からなる重
合性モノマーから構成された(1)または(2)に記載
の白血球選択除去フィルター材、(4)塩基性含窒素部
分が3級アミノ基である(1)−(3)のいずれかに記
載の白血球選択除去フィルター材、(5)プロトン性中
性親水性部分が水酸基である(1)−(4)のいずれか
に記載の白血球選択除去フィルター材、(6)フィルタ
ー材の素材表面の少なくとも一部に(1)−(5)のい
ずれかに記載のポリマーが存在することを特徴とする白
血球選択除去フィルター材、に関するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、疎水性重合性モノマー
由来のユニットと塩基性含窒素部分を含む重合性モノマ
ー由来のユニットとプロトン性中性親水性部分を含む重
合性モノマー由来のユニットから構成されるポリマーが
表面に存在する白血球選択除去フィルターに関するもの
である。疎水性重合性モノマーからなるユニットは高白
血球除去性能と溶出抑制の効果があり、塩基性含窒素部
分を含む重合性モノマーからなるユニットは高白血球除
去性能と白血球除去の選択性の効果が有り、プロトン性
中性親水性部分を含む重合性モノマーからなるユニット
は高い血小板回収率と血液成分の流れ性を確保する効果
がある。本発明で言うユニットとは、ポリマー中の一部
分であり、重合性モノマーの重合で構成し得る最小繰り
返し単位を意味する。
【0013】本発明でいう疎水性重合性モノマーとは、
水に対する親和性が極めて低い重合性モノマーであり、
且つ、塩基性含窒素部分もプロトン性中性親水性部分も
含まないモノマーのことである。
【0014】ここで、本発明の白血球選択除去フィルタ
ー材を得る方法としては、一般的な表面修飾方法を用い
ることができる。具体的には、ポリマーのフィルター材
表面へのコーティング、あるいは請求項1に記載のポリ
マーを構成するモノマーあるいはポリマーをフィルター
表面に共有結合させる方法、より具体的には重合性モノ
マーや重合性ポリマーなどの化学種を放射線グラフト重
合やプラズマ照射により導入する方法、電子線や紫外線
を照射して導入する方法などが挙げられる。
【0015】また、表面修飾の前処理として、本発明の
ポリマーとフィルター材の素材との接着性をより高める
などの効果のため、フィルター材の素材の表面を酸、ア
ルカリなどの適当な薬品で処理をしたり、プラズマを照
射することもできる。更に、ポリマーを表面に修飾した
後に熱処理や、γ線、電子線などの放射線を照射する後
加工を施し、フィルター材の素材と該ポリマーとの接着
性を更に強化することもできる。
【0016】基材修飾の為に用いられるポリマーは公知
の重合法によって得ることができる。例えば、連鎖反応
である付加重合、環化重合、異性化重合、開環重合、逐
次反応である脱離反応、重付加、重縮合や付加重縮合等
が挙げられ、モノマーとしては上記重合反応可能なもの
であれば構わない。その中でモノマーの入手が容易であ
ること、取り扱いやすいことや合成しやすい等の理由に
より、重合性部分がビニル基であるモノマーを付加重合
(ビニル重合)することにより得られるビニル系ポリマ
ーが好ましく、ランダム、ブロックどちらでも良い。
【0017】本発明でいうビニル系ポリマーとは、広義
の意味でのビニル系ポリマーであり、主鎖が非環式から
なるポリマーを意味する。その具体例としては、「J
Brandrup;E.H.Immergut.198
9.“Polymer Handbook Third
Edition”A Wiley−intersci
ence Publication,pVII−5〜VII−
18」に示される、ポリアクリル酸のα−置換体とその
誘導体、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、
ポリビニルエステル、ポリスチレンとその誘導体、およ
びこれらを含む共ポリマー等を挙げることができる。
【0018】本発明における疎水性重合性モノマーと
は、温度20℃の水への溶解度が12(g/水100
g)以下の重合性モノマーを意味する。その溶解度が1
2(g/水100g)を超えると本発明にて得られる様
な高い白血球除去能、高血小板回収率、低溶出性は得る
ことはできない。なお、より好ましい範囲としては溶解
度が2(g/水100g)以下である 溶解度の測定は、重合性モノマーが固体の場合は、露点
法、熱分析法、溶液の起電力や電導度を測定する電気的
方法、ガスクロマトグラフィー分析法、トレーサー法等
の公知の測定方法で測定でき、重合性モノマーが液体の
場合には、固体の時と同じ測定法でも測定できるが、更
に容量法、光散乱法、蒸気圧法等の公知の方法によって
測定することができる。また、より簡便な方法として、
重合性モノマーが水より充分に沸点が高い場合には、重
合性モノマーの飽和水溶液から水を蒸発させ、残量の重
さを測定する方法により求めることもできる。
【0019】疎水性重合性モノマーとしては、スチレ
ン、メチルスチレン、メチルメタクリレート、メチルア
クリレート、エチルメタクリレート、エチルメタクリレ
ート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、フ
ェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、エチル
ヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレー
ト、トリクロロエチルアクリレート、トリクロロエチル
メタクリレート、エチレンエキサイド変成ビスフェノー
ルAジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレー
ト、などのアクリレートまたはメタクリレート、3−メ
タクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シ
ラン、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート
などのヘテロ原子含有のアクリレートまたはメタクリレ
ート、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテンなどの
アルケン類などが挙げられるが、これに限定されるもの
ではない。疎水性重合性モノマーとしてはアクリル酸誘
導体、またはメタアクリル酸誘導体がより好ましい。
【0020】疎水性部分を含むモノマーはポリマー中に
おいて3mol%以上25mol%以下を占めることが
必要である。3mol%未満である場合には血液成分へ
の溶出の抑制効果が低くなる傾向を示し、25mol%
を超えると疎水性が高くなりすぎて血小板の吸着が増加
する。また、オートクレーブによる滅菌をかける場合に
は、表面の疎水性が高まる傾向が見られるため、3mo
l%以上9mol%以下であることがより好ましい。
【0021】塩基性含窒素を有する材料は、細胞を浮遊
させるような生理的液体中で材料表面が正電荷を有する
ようになり、負電荷を有する白血球を粘着させることが
一般的に知られている。高白血球除去能を可能とするた
めには上述の疎水性部分、プロトン性中性親水性部分に
加えて、塩基性含窒素が必要となる。
【0022】塩基性含窒素部分を含む重合性モノマーと
して、具体的には入手のし易さ、取り扱い性の点から、
ビニルアミン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジ
ン、2−メチル−5−ビニルピリジン、4−ビニルイミ
ダゾール、N−ビニルー2−エチルイミダゾール、N−
ビニル−2−メチルイミダゾール等の含窒素芳香環化合
物のビニル誘導体、ジメチルアミノエチルアクリレー
ト、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルア
ミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタク
リレート、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピ
ルアクリレート、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ
プロピルメタクリレート等のアクリレート及びメタクリ
レート、N−ジメチルアミノエチルアクリル酸アミド、
N−ジメチルアミノエチルメタアクリル酸アミド、N
−ジエチルアミノエチルアクリル酸アミド、 N−ジエ
チルアミノエチルメタアクリル酸アミド等のアクリル酸
アミド及びメタアクリル酸アミド誘導体、p−ジメチル
アミノメチルスチレン、p−ジエチルアミノエチルスチ
レン等のスチレン誘導体、及び上記重合性モノマーをハ
ロゲン化アルキル基によって4級アンモニウム塩とした
誘導体などが挙げられるが、上記物質に限定されるもの
ではない。含窒素塩基性官能基を含むモノマーとしては
アクリレートまたはメタクリレートがより好ましい。そ
の中でも特に3級アミノ基を含む、ジメチルアミノエチ
ルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミ
ノエチルメタクリレートが好ましい。
【0023】塩基性含窒素部分を含む重合性モノマー
は、ポリマー中量に1mol%以上8mol%以下占め
ることが必要である。より好ましくは2mol%以上6
mol%以下である。1mol%未満であると白血球捕
捉効率が低下し、8mol%を超えると、白血球のみな
らず血小板の吸着も顕著になり課題を達成することが困
難となる。
【0024】プロトン性中性親水性部分を有するモノマ
ーとは、非重合性部分が解離してプロトン(H+)を放
出し得るものであり、カルボン酸あるいは塩基性アミノ
基のように極端な酸性・塩基性を示さないモノマーのこ
とである。なお、本発明でいうプロトン性とは、例え
ば、「モリソンボイド 有機化学4版(東京化学同人1
985)1.構造と物性,1.22溶解度,P46」に示
されるような性質を言う。プロトン性中性親水性部分を
有するモノマーは、非プロトン性中性親水性部分を有す
るモノマーに比べて高い親水性を示し、血液のプライミ
ング性、血液のチャネリング防止特性に優れる。プロト
ン性中性親水性部分としては、水酸基、α位にプロトン
が存在するアルデヒド基やα位にプロトンが存在するア
ミド基、1、3−ジカルボニル基等が挙げられる。非重
合性のプロトン性中性親水性部分としては特に水酸基が
好ましい。プロトン性中性親水性部分を含むモノマーと
してメタクリル酸2−ヒドロキシキシエチル、メタクリ
ル酸ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、メタアクリ
ルアミドなどが挙げられるが、プロトン性中性親水性部
分を含むモノマーは上記物質に限定されるものではな
い。プロトン性中性親水性部分を含むモノマーとしてア
クリレートまたはメタクリレートがより好ましい。
【0025】本発明の白血球選択除去フィルター材を得
る表面修飾方法の一つとしてポリマーのコーティングが
あるが、この場合、ポリマーの重量平均分子量が5万以
上300万以下、好ましくは重量平均分子量が10万以
上100万以下である。重量平均分子量が5万未満だと
血液と接触した時にポリマーの血液への溶出がおこりや
すく、また重量平均分子量が300万を超えるとコーテ
ィングが困難となるばかりでは無く血液接触時において
血液の流れ性が悪くなり、何れの場合も白血球選択除去
フィルターとしての性能を十分に発揮できない。なお分
子量は種々の公知の方法により求められるが本発明では
ポリメチルメタクリレート(以下PMMAと略する)を
標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(以下GPCと略する)測定による値を採用している。
【0026】フィルター材の全表面積の単位面積あたり
のポリマーの重量は、90mg/m 2以上300mg/
2以下であることが必要である。90mg/m2未満で
ある場合には血小板の回収率が低下し、300mg/m
2より多い場合は、白血球除去性能が低下する。ここ
で、本発明におけるフィルター材の全表面積とは、BE
T吸着法により算出した値である。
【0027】また、本発明におけるフィルター材の素材
表面の該ポリマーの存在量の算出方法は、表面修飾前後
の重量変化から簡易的に求めることができる。また、修
飾前の重量が未知の場合でも、ポリマーのみを溶解する
良溶媒が存在する場合には、良溶媒にポリマーを溶解さ
せてポリマー重量を算出することも可能である。また、
フィルター材そのものを溶媒により全溶解させて核磁気
共鳴分光法(NMR)により算出する方法や、ポリマー
中にアミノ基などの荷電性官能基が含まれていて、その
共重合組成が既知の場合には、その荷電性官能基にイオ
ン的に吸着する色素を用いる色素吸着法による算出も可
能である。
【0028】またポリマーは該白血球選択除去フィルタ
ー材表面の少なくとも一部に存在すればよい。その確認
方法としてはX線光電子分光法(XPS)、2次イオン
質量分光法(SIMS)など公知の解析方法で解析する
ことが可能である。
【0029】本発明のフィルター材の平均気孔径は1μ
m以上30μm以下、好ましくは1μm以上20μm以
下、より好ましくは2μm以上10μmである。平均気
孔径が1μm以下では全血などを濾過する際の圧力損失
が高すぎて実用的でない恐れが有り、30μm以上では
フィルター材と白血球との接触確率が低下し、十分な白
血球除去能を示さない可能性がある。尚、ここで言う平
均気孔径とは、ASTM F316−86に記載されて
いるエアーフロー法に準じて測定した平均気孔径を指
す。
【0030】また、容器内に本発明のフィルター材を充
填した時の充填密度は0.10g/cm3以上0.50
g/cm3以下、好ましくは0.10g/cm3以上0.
35g/cm3以下、より好ましくは0.15g/cm3
以上0.30g/cm3以下を有するものである。充填
密度が0.1g/cm3未満である場合には機械的強度
が不足し血液濾過の際にフィルター材が変形する恐れが
有る。また、充填密度が0.5g/cm3より高い場合
にはフィルター材の反発力が高すぎて容器内に充填する
ことが困難になる可能性がある。
【0031】本発明の白血球除去用フィルター材の素材
とは、血液を濾過し得る細孔を有するもので血球にダメ
ージを与えにくいものであれば特に限定はなく、何れの
形態を有する物も含まれる。具体的には天然繊維、ガラ
ス繊維、編布、織布、不織布などの繊維状媒体や多孔
膜、三次元網目状連続孔を有するスポンジ状構造物であ
るが、その中でも有機ポリマー材料は切断等の加工性に
優れるためより好ましい素材である。具体的には、ポリ
エチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエ
ステル、ポリウレタン、ポリアミド、エチレン−ビニル
アルコール共重合体、ポリアクリレート、ポリメタクリ
レート、ポリスルホン、セルロース、セルロースアセテ
ート、ポリフッ化ビニル、ポリフッビニリデン、ポリエ
ーテルスルホン、ブタジエン−アクリロニトリルコポリ
マー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラ
エチレンテレフタレート、あるいはそれらの混合物など
が挙げられるが、本発明のフィルター材の素材は上記例
示に限定されるものではない。
【0032】以下にこの発明の実施例を示すがこれに限
定されるものではない。
【実施例1】(コーティング用ポリマーの合成)フィル
ター材の表面をコーティングにより修飾する場合に用い
るポリマーの合成方法の一例を示す。エタノール(28
0ml)を還流装置を設置した反応容器に入れ、78℃
で1時間窒素でバブリング・溶液の攪拌を行った後に窒
素雰囲気を維持したまま、モノマーを120分かけて系
中に滴下し、併行して開始剤溶液を330分かけて系中
に滴下し、開始剤溶液滴下完了後2時間さらに重合を行
った。モノマーとしては疎水性重合性モノマーに該当す
るメチルメタクリレート(以後MMAと略する)6.5
5g(65.5mmol)、および塩基性含窒素部分を
含む重合性モノマーに該当するジメチルアミノエチルメ
タクリレート(以後DMと略する)を6.18g(3
9.3mmol)、およびプロトン性中性親水性部分を
含む重合性モノマーに該当する2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート(以後2−HEMAと略する)を156.
85g(1.21mol)を含む液体である。つまり各
モノマーの仕込量は、MMAが5.0mol%、DMが
3.0mol%、2−HEMAが92.0mol%であ
る。開始剤溶液としてアゾビスイソバレロニトニル(以
下V−65と略する)を1.20g(4.83mmo
l)含むエタノール溶液を用いる。重合反応の後、重合
溶液を純水に滴下しポリマーを析出させ回収し、析出し
たポリマーを細断化したものを再度純水に添加して1時
間攪拌することでポリマーの洗浄を行った。次に洗浄を
完了したポリマーを27℃で真空乾燥させて目的のポリ
マーを得た(以下HAM053と略する)。得られたポ
リマーの組成分析をアミノ基の中和滴定、及び、NMR
測定の積分値から算出したところほぼ仕込比どおりであ
ることを確認したことから、HAM053中のMMAの
含量は5mol%であり、DMの含量は3mol%であ
る。また、GPC測定により数平均分子量は5.4×1
4、重量平均分子量は2.0×105であった。
【0033】(フィルター材の作成)フィルター材の作
成方法としての例を次に示す。得られたポリマー(HA
M053)10gをイソプロパノールと純水の混合溶媒
100gに溶解させ、その溶液に、ポリエチレンテレフ
タレート製不織布(平均孔径7μm、目付け40g/m
2)を浸漬させ、余分な液を除去した後に40℃で2時
間乾燥させて目的のフィルター材を得た。
【0034】(ポリマー量)次にフィルター材の全表面
積測定を行った。測定方法はBET吸着法で、測定装置
は、島津アキュソープ2100E、吸着ガスはクリプト
ンガス、吸着温度は液体窒素温度である。測定の結果、
フィルター材の全表面積は、0.94m2/gであり、
フィルター材の単位表面積あたりのポリマー重量は25
0mg/m2であり、フィルター基材1g当たりのポリ
マー重量は307mg/(基材)gであった。
【0035】(溶出物試験)次に溶出物試験方法を記述
する。溶出物試験とは、作成したフィルター材約25m
gを300mlの純水中において、25℃で16時間浸
漬させたのちにフィルターを真空乾燥させ、次式(1)
によりポリマーの重量変化率を算出することである。 重量変化率(%)=(1−[フィルター材中のポリマー重量(試験後)] /[フィルター材中のポリマー重量(試験前)])×100 (1) 溶出物試験の結果、重量変化率は、1.5%であった。
なお、ポリマー重量は、各ポリマーの良溶媒に完全溶解
させて測定した。なお、基材にポリマーが残っていない
ことは、NMR測定により確認している。
【0036】(白血球選択除去能の測定)次に白血球選
択除去の性能を試験する方法を記述する。血液評価に用
いる血液は新鮮全血であり、採血血100mlに対して
濾過済みCPD溶液(クエン酸三ナトリウム・二水和物
2.630gとクエン酸一水和物0.327gと燐酸二
水素ナトリウム・二水和物0.251gとグルコース
2.320gを注射用蒸留水100mlに溶解させた物
を0.2μmのフィルターで濾過)を14ml加え混和
し2時間静置した物である(以後、濾過前血という)。
血液評価は次のように行った。即ち、20mmΦ大のフ
ィルター16枚(約250mg)を充填したカラム(充
填密度は約0.30g/cm3)に、流速を0.9ml
/minに調整した血液を通過濾過させ、濾過血8ml
を回収液とした。白血球除去率はフローサイトメトリー
法(装置:BECTON DICKINSON社製 F
ACSCalibur)を用い、次の(2)式に従い計
算した。 白血球除去能=−log([白血球数(回収液)]/[白血球数(濾過前血)])(2) なお、各試料の調製は、血液100μlをサンプリング
し、ビーズ入りLeucocountキット(日本ベク
トン・ディッキンソン社)を用いて調製した。
【0037】(血小板回収率)血小板回収率は、自動血
球数測定装置(東亜医用電子株式会社SysmexK4
500)にて測定を行い、次の(3)式に従い計算し
た。 血小板回収率=[血小板濃度(回収液)]/[血小板濃度(濾過前血)]×100(3) 結果は、白血球除去能は3.4、血小板回収率は87%
であった。なお、実施例1の結果も含めてこれ以降に記
述される溶出物試験結果ならびに血液評価結果について
は表1,表2にすべてまとめてある。
【0038】
【実施例2】エタノール(280ml)を還流装置を設
置した反応容器に入れ、78℃で1時間窒素でバブリン
グ・溶液の攪拌を行った後に窒素雰囲気を維持したま
ま、モノマーを120分かけて系中に滴下し、併行して
開始剤溶液を330分かけて系中に滴下し、開始剤溶液
滴下完了後2時間さらに重合を行った。モノマーとして
は、疎水性重合性モノマーに該当するMMAを9.17
g(91.7mmol)、および塩基性含窒素部分を含
む重合性モノマーに該当するDMを6.18g(39.
3mmol)、およびプロトン性親水性部分を有するモ
ノマーに該当する2−HEMAを153.44g(1.
18mol)を含む液体である。つまり各モノマーの仕
込量は、MMAが7.0mol%、DMが3.0mol
%、2−HEMAが90.0mol%である。開始剤溶
液はV−65を1.20g(4.83mmol)含むエ
タノール溶液である。ポリマーは、重合溶液を純水に滴
下しポリマーを析出させ回収し、析出したポリマーを細
断化したものを再度純水に添加して1時間攪拌すること
で洗浄を行った。次に洗浄を完了したポリマーを27℃
で真空乾燥させて目的のポリマーを得た(HAM073
と略)。得られたポリマーの組成分析をアミノ基の中和
滴定、及び、NMR測定の積分値から算出したところほ
ぼ仕込比どおりであることを確認したことから、HAM
073中のMMAの含量は7mol%であり、DMの含
量は3mol%である。また、GPC測定により数平均
分子量は4.7×104、重量平均分子量は1.8×1
5であった。血液評価方法、フィルター作成方法は実
施例1と同様とした。フィルター材の全表面積は、0.
92m2/gであり、フィルター材の単位表面積あたり
のポリマー重量は260mg/m2であり、フィルター
基材1g当たりのポリマー重量は314mg/(基材)
gであった。溶出物試験の結果、重量変化率は1.4%
であった。血液評価の結果は、白血球除去能が3.7、
血小板回収率が88%であった。
【0039】
【実施例3】エタノール(280ml)を還流装置を設
置した反応容器に入れ、78℃で1時間窒素でバブリン
グ・溶液の攪拌を行った後に窒素雰囲気を維持したま
ま、モノマーを120分かけて系中に滴下し、併行して
開始剤溶液を330分かけて系中に滴下し、開始剤溶液
滴下完了後2時間さらに重合を行った。モノマーとして
は、疎水性重合性モノマーに該当するMMAを11.7
9g(117.9mmol)、および塩基性含窒素部分
を含む重合性モノマーに該当するDMを6.18g(3
9.3mmol)、およびプロトン性親水性部分を有す
るモノマーに該当する2−HEMAを150.03g
(1.15mol)を含む液体である。つまり各モノマ
ーの仕込量は、MMAが9.0mol%、DMが3.0
mol%、2−HEMAが88.0mol%である。開
始剤溶液はV−65を1.20g(4.83mmol)
含むエタノール溶液である。ポリマーは、重合溶液を純
水に滴下しポリマーを析出させ回収し、析出ポリマーを
細断化したものを再度純水に添加して1時間攪拌するこ
とで洗浄を行った。次に洗浄を完了したポリマーを27
℃で真空乾燥させて目的のポリマーを得た(以下HAM
093と略)。得られたポリマーの組成分析をアミノ基
の中和滴定、及び、NMR測定の積分値から算出したと
ころほぼ仕込比どおりであることを確認したことから、
HAM093中のMMAの含量は9mol%であり、D
Mの含量は3mol%である。また、GPC測定により
数平均分子量は4.6×104、重量平均分子量は1.
8×105であった。血液評価方法、フィルター作成方
法は実施例1と同様とした。フィルター材の全表面積
は、0.96m2/gであり、フィルター材の単位表面
積あたりのポリマー重量は255mg/m2であり、フ
ィルター基材1g当たりのポリマー重量は324mg/
(基材)gであった。溶出物試験の結果、重量変化率は
1.2%であった。血液評価の結果は、白血球除去能が
3.7、血小板回収率が88%であった。
【0040】
【実施例4】エタノール(280ml)を還流装置を設
置した反応容器に入れ、78℃で1時間窒素でバブリン
グ・溶液の攪拌を行った後に窒素雰囲気を維持したま
ま、モノマーを120分かけて系中に滴下し、併行して
開始剤溶液を330分かけて系中に滴下し、開始剤溶液
滴下完了後2時間さらに重合を行った。モノマーとして
は、疎水性重合性モノマーに該当するMMAを24.8
9g(248.9mmol)、および塩基性含窒素部分
を含む重合性モノマーに該当するDMを6.18g(3
9.3mmol)、およびプロトン性親水性部分を有す
るモノマーに該当する2−HEMAを132.98g
(1.02mol)を含む液体である。つまり各モノマ
ーの仕込量は、MMAが19.0mol%、DMが3.
0mol%、2−HEMAが78.0mol%である。
開始剤溶液はV−65を1.20g(4.83mmo
l)含むエタノール溶液である。ポリマーは、重合溶液
を純水に滴下しポリマーを析出させ回収し、析出ポリマ
ーを細断化したものを再度純水に添加して1時間攪拌す
ることで洗浄を行った。次に洗浄を完了したポリマーを
27℃で真空乾燥させて目的のポリマーを得た(以下H
AM193と略)。得られたポリマーの組成分析をアミ
ノ基の中和滴定、及び、NMR測定の積分値から算出し
たところほぼ仕込比どおりであることを確認したことか
ら、HAM193中のMMAの含量は19mol%であ
り、DMの含量は3mol%である。また、GPC測定
により数平均分子量は4.7×104、重量平均分子量
は1.8×105であった。血液評価方法、フィルター
作成方法は実施例1と同様とした。フィルター材の全表
面積は、0.94m2/gであり、フィルター材の単位
表面積あたりのポリマー重量は253mg/m2であ
り、フィルター基材1g当たりのポリマー重量は312
mg/(基材)gであった。溶出物試験の結果、重量変
化率は0.5%であった。血液評価の結果は、白血球除
去能が3.6、血小板回収率が89%であった。
【0041】
【実施例5】エタノール(280ml)を還流装置を設
置した反応容器に入れ、78℃で1時間窒素でバブリン
グ・溶液の攪拌を行った後に窒素雰囲気を維持したま
ま、モノマーを120分かけて系中に滴下し、併行して
開始剤溶液を330分かけて系中に滴下し、開始剤溶液
滴下完了後2時間さらに重合を行った。モノマーとして
は、疎水性重合性モノマーに該当するMMAを9.17
g(91.7mmol)、および塩基性含窒素部分を含
む重合性モノマーに該当するDMを14.42g(9
1.7mmol)、およびプロトン性親水性部分を有す
るモノマーに該当する2−HEMAを146.62g
(1.13mol)を含む液体である。つまり各モノマ
ーの仕込量は、MMAが7.0mol%、DMが7.0
mol%、2−HEMAが86.0mol%である。開
始剤溶液はV−65を1.20g(4.83mmol)
含むエタノール溶液である。ポリマーは、重合溶液を純
水に滴下しポリマーを析出させ回収し、析出ポリマーを
細断化したものを再度純水に添加して1時間攪拌するこ
とで洗浄を行った。次に洗浄を完了したポリマーを27
℃で真空乾燥させて目的のポリマーを得た(以下HAM
077と略)。得られたポリマーの組成分析をアミノ基
の中和滴定、及び、NMR測定の積分値から算出したと
ころほぼ仕込比どおりであることを確認したことから、
HAM077中のMMAの含量は7mol%であり、D
Mの含量は7mol%である。また、GPC測定により
数平均分子量は5.4×104、重量平均分子量は2.
3×105であった。血液評価方法、フィルター作成方
法は実施例1と同様とした。フィルター材の全表面積
は、0.95m2/gであり、フィルター材の単位表面
積あたりのポリマー重量は253mg/m2であり、フ
ィルター基材1g当たりのポリマー重量は315mg/
(基材)gであった。溶出物試験の結果、重量変化率は
1.3%であった。血液評価の結果は、白血球除去能が
3.7、血小板回収率が80%であった。
【0042】
【実施例6】エタノール(280ml)を還流装置を設
置した反応容器に入れ、78℃で1時間窒素でバブリン
グ・溶液の攪拌を行った後に窒素雰囲気を維持したま
ま、モノマーを120分かけて系中に滴下し、併行して
開始剤溶液を330分かけて系中に滴下し、開始剤溶液
滴下完了後2時間さらに重合を行った。モノマーとして
は、疎水性重合性モノマーに該当するエチルメタクリレ
ート(以後EMAと略する)を5.66g(39.3m
mol)、および塩基性含窒素部分を含む重合性モノマ
ーに該当するN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレ
ート(以後DEと略する)を4.85g(26.2mm
ol)、およびプロトン性親水性部分を有するモノマー
に該当するヒドロキシプロピルメタクリレート(以後H
PMAと略する)を179.2g(1.24mol)を
含む液体である。つまり各モノマーの仕込量は、EMA
が3.0mol%、DEが2.0mol%、HPMAが
95.0mol%である。開始剤溶液はV−65を1.
20g(4.83mmol)含むエタノール溶液であ
る。ポリマーは、重合溶液を純水に滴下しポリマーを析
出させ回収し、析出ポリマーを細断化したものを再度純
水に添加して1時間攪拌することで洗浄を行った。次に
洗浄を完了したポリマーを27℃で真空乾燥させて目的
のポリマーを得た(以下PEE032と略)。得られた
ポリマーの組成分析をアミノ基の中和滴定、及び、NM
R測定の積分値から算出したところほぼ仕込比どおりで
あることを確認したことから、PEE032中のEMA
の含量は3mol%であり、DEの含量は2mol%で
ある。また、GPC測定により数平均分子量は4.6×
104、重量平均分子量は2.5×105であった。血液
評価方法、フィルター作成方法は実施例1と同様とし
た。フィルター材の全表面積は、0.92m2/gであ
り、フィルター材の単位表面積あたりのポリマー重量は
248mg/m2であり、フィルター基材1g当たりの
ポリマー重量は296mg/(基材)gであった。溶出
物試験の結果、重量変化率は0.0%であった。血液評
価の結果は、白血球除去能が4.0、血小板回収率が8
1%であった。
【0043】
【実施例7】実施例2で合成したHAM0734gをイ
ソプロパノールと純水の混合溶媒100gに溶解させ、
その溶液に、ポリエチレンテレフタレート製不織布(平
均孔径7μm、目付け40g/m2)を浸漬させ、余分
な液を除去した後に40℃で2時間乾燥させて目的のフ
ィルターを得た。フィルター材の全表面積は、1.40
2/gであり、フィルター材の単位表面積あたりのポ
リマー重量は93mg/m2であり、フィルター基材1
g当たりのポリマー重量は150mg/(基材)gであ
った。血液評価方法、フィルター作成方法は実施例1と
同様とした。溶出物試験の結果、重量変化率は0.4%
であった。血液評価の結果は、白血球除去能が4.1、
血小板回収率が80%であった。
【0044】
【実施例8】実施例3で得たフィルター材(HAM09
3をPET不織布表面に保持させたもの。フィルター材
の全表面積は0.96m2/g、フィルター材の単位表
面積あたりのポリマー重量は255mg/m2、フィル
ター基材1g当たりのポリマー重量は324mg/(基
材)g)を滅菌袋に入れ、オートクレーブ滅菌(118
℃、30分)を行った。滅菌終了後、実施例1と同様の
方法で血液評価、溶出物試験を行った。フィルター材の
全表面積の単位面積あたりのポリマーの重量はオートク
レーブ前後で変化は無かった。オートクレーブ後のフィ
ルター材の溶出物試験の結果、重量変化率は1.2%で
あった。血液評価の結果は、白血球除去能が3.7、血
小板回収率が84%であった。
【0045】
【実施例9】実施例4で得たフィルター材(HAM19
3をPET不織布表面に保持させたもの。フィルター材
の全表面積は0.94m2/g、フィルター材の単位表
面積あたりのポリマー重量は253mg/m2、フィル
ター基材1g当たりのポリマー重量は312mg/(基
材)g)を滅菌袋に入れ、オートクレーブ滅菌(118
℃、30分)を行った。滅菌終了後、実施例1と同様の
方法で血液評価、溶出物試験を行った。フィルター材の
全表面積の単位面積あたりのポリマーの重量はオートク
レーブ前後で変化は無かった。オートクレーブ後のフィ
ルター材の溶出物試験の結果、重量変化率は0.5%で
あった。血液評価の結果は、白血球除去能が3.6、血
小板回収率が75%であった。
【0046】
【比較例1】疎水性重合性モノマー由来のユニットを含
まないポリマーをコーティングしたフィルターを比較例
として示す。エタノール(280ml)を還流装置を設
置した反応容器に入れ、78℃で1時間窒素でバブリン
グ・溶液の攪拌を行った後に窒素雰囲気を維持したま
ま、モノマーを120分かけて系中に滴下し、併行して
開始剤溶液を330分かけて系中に滴下し、開始剤溶液
滴下完了後2時間さらに重合を行った。モノマーは、塩
基性含窒素部分を含む重合性モノマーに該当するDMを
6.18g(39.3mmol)、およびプロトン性親
水性部分を有するモノマーに該当する2−HEMAを1
65.37g(1.27mol)を含む液体である。つ
まり各モノマーの仕込量は、DMが3.0mol%、2
−HEMAが97.0mol%である。開始剤溶液はV
−65を1.20g(4.83mmol)含むエタノー
ル溶液である。ポリマーは、重合溶液を純水に滴下しポ
リマーを析出させ回収し、析出したポリマーを細断化し
たものを再度純水に添加して1時間攪拌することで洗浄
を行った。次に洗浄を完了したポリマーを27℃で真空
乾燥させて目的のポリマーを得た(以下HAM003と
略)。得られたポリマーの組成分析をアミノ基の中和滴
定、及び、NMR測定の積分値から算出したところほぼ
仕込比どおりであることを確認したことから、HAM0
03中のDMの含量は3mol%である。GPC測定に
より数平均分子量は5.2×104、重量平均分子量は
2.0×105であった。血液評価方法、フィルター作
成方法は実施例1と同様とした。フィルター材の全表面
積は、0.93m2/gであり、フィルター材の単位表
面積あたりのポリマー重量は243mg/m2であり、
フィルター基材1g当たりのポリマー重量は292mg
/(基材)gであった。溶出物試験の結果、重量変化率
は2.3%であった。血液評価の結果は、白血球除去率
が2.8、血小板回収率が85%であった。ポリマーに
疎水性重合性モノマーに由来するユニットを含まないと
きには、溶出量が増加し、且つ白血球除去能が低下する
ことが分かる。
【0047】
【比較例2】疎水性重合性モノマー由来のユニット含有
量が少ないポリマーを用いてフィルターを作成して、血
液処理評価をした。エタノール(240ml)を還流装
置を設置した反応容器に入れ、78℃で1時間窒素でバ
ブリング・溶液の攪拌を行った後に窒素雰囲気を維持し
たまま、モノマーを120分かけて系中に滴下し、併行
して開始剤溶液を330分かけて系中に滴下し、開始剤
溶液滴下完了後2時間さらに重合を行った。モノマーと
しては疎水性重合性単量に該当するMMAを2.62g
(26.2mmol)、および塩基性含窒素部分を含む
重合性モノマーに該当するDMを6.18g(39.3
mmol)、およびプロトン性親水性部分を有するモノ
マーに該当する2−HEMAを161.96g(1.2
4mmol)を含む液体である。つまり各モノマーの仕
込量は、MMAが2.0mol%、DMが3.0mol
%、2−HEMAが95.0mol%である。開始剤溶
液はV−65を1.12g(4.51mmol)含むエ
タノール溶液である。ポリマーは、重合溶液を純水に滴
下しポリマーを析出させ回収し、析出したポリマーを細
断化したものを再度純水に添加して1時間攪拌すること
で洗浄を行った。次に洗浄を完了したポリマーを27℃
で真空乾燥させて目的のポリマーを得た(以下HAM0
23と略)。得られたポリマーの組成分析をアミノ基の
中和滴定、及び、NMR測定の積分値から算出したとこ
ろほぼ仕込比どおりであることを確認したことから、H
AM023中MMAの含量は2mol%であり、DMの
含量は3mol%である。また、GPC測定により数平
均分子量は5.0×104、重量平均分子量は2.3×
105であった。血液評価方法、フィルター作成方法は
実施例1と同様とした。フィルター材の全表面積は、
0.94m2/gであり、フィルター材の単位表面積あ
たりのポリマー重量は260mg/m2であり、フィル
ター基材1g当たりのポリマー重量は324mg/(基
材)gであった。溶出物試験の結果、重量変化率は2.
0%であった。血液評価の結果は、白血球除去能が2.
9、血小板回収率が84%であった。この比較例から、
疎水性重合性モノマーに由来するユニットが少なけれ
ば、溶出量が増加し、白血球除去能が低下することが分
かる。
【0048】
【比較例3】疎水性重合性モノマーに由来するユニット
を多量に含むポリマーからフィルターを作成して血液評
価を行った。エタノール(280ml)を還流装置を設
置した反応容器に入れ、78℃で1時間窒素でバブリン
グ・溶液の攪拌を行った後に窒素雰囲気を維持したま
ま、モノマーを120分かけて系中に滴下し、併行して
開始剤溶液を330分かけて系中に滴下し、開始剤溶液
滴下完了後2時間さらに重合を行った。モノマーとして
は、疎水性重合性モノマーに該当するMMAを39.3
g(393mmol)、および塩基性含窒素部分を含む
重合性モノマーに該当するDMを6.18g(39.3
mmol)、およびプロトン性親水性部分を有するモノ
マーに該当する2−HEMAを114.23g(0.8
8mol)を含む液体である。つまり各モノマーの仕込
量は、MMAが30.0mol%、DMが3.0mol
%、2−HEMAが67.0mol%である。開始剤溶
液はV−65を1.20g(4.83mmol)含むエ
タノール溶液である。ポリマーは、重合溶液を純水に滴
下しポリマーを析出させ回収し、析出したポリマーを細
断化したものを再度純水に添加して1時間攪拌すること
で洗浄を行った。次に洗浄を完了したポリマーを27℃
で真空乾燥させて目的のポリマーを得た(以下HAM3
03と略)。得られたポリマーの組成分析をアミノ基の
中和滴定、及び、NMR測定の積分値から算出したとこ
ろほぼ仕込比どおりであることを確認したことから、H
AM303中のMMAの含量は30mol%であり、D
Mの含量は3mol%である。GPC測定により数平均
分子量は5.8×104、重量平均分子量は2.6×1
5であった。血液評価方法、フィルター作成方法は実
施例1と同様とした。フィルター材の全表面積は、0.
94m2/gであり、フィルター材の単位表面積あたり
のポリマー重量は246mg/m2であり、フィルター
基材1g当たりのポリマー重量は301mg/(基材)
gであった。溶出物試験の結果、重量変化率は0.5%
であった。血液評価を行った結果、白血球除去能が3.
7、血小板回収率が52%であった。この比較例から、
疎水性重合性モノマーに由来するユニットが多すぎる
と、血小板回収率が低下することが分かる。
【0049】
【比較例4】塩基性含窒素部分を含む重合性モノマー由
来のユニットを含まないポリマーからフィルターを作成
した。エタノール(280ml)を還流装置を設置した
反応容器に入れ、78℃で1時間窒素でバブリング・溶
液の攪拌を行った後に窒素雰囲気を維持したまま、モノ
マーを120分かけて系中に滴下し、併行して開始剤溶
液を330分かけて系中に滴下し、開始剤溶液滴下完了
後2時間さらに重合を行った。モノマーとしては、疎水
性重合性モノマーに該当するMMAを9.17g(9
1.7mmol)、およびプロトン性親水性部分を有す
るモノマーに該当する2−HEMAを158.55g
(1.22mol)を含む液体である。つまり各モノマ
ーの仕込量は、MMAが7.0mol%、2−HEMA
が93.0mol%である。開始剤溶液はV−65を
1.20g(4.83mmol)含むエタノール溶液で
ある。ポリマーは、重合溶液を純水に滴下しポリマーを
析出させ回収し、析出したポリマーを細断化したものを
再度純水に添加して1時間攪拌することで洗浄を行っ
た。次に洗浄を完了したポリマーを27℃で真空乾燥さ
せて目的のポリマーを得た(以下HAM070と略)。
得られたポリマーの組成分析をNMR測定の積分値から
算出したところほぼ仕込比どおりであることを確認した
ことから、HAM070中のMMAの含量は7mol%
であり、含窒素塩基性部分を含有するモノマーの含量は
0mol%である。GPC測定により数平均分子量は
5.8×104、重量平均分子量は1.8×105であっ
た。血液評価方法、フィルター作成方法は実施例1と同
様とした。フィルター材の全表面積は、0.91m2
gであり、フィルター材の単位表面積あたりのポリマー
重量は256mg/m2であり、フィルター基材1g当
たりのポリマー重量は304mg/(基材)gであっ
た。溶出物試験の結果、重量変化率は0.7%であっ
た。血液評価を行った結果、白血球除去能が3.0、血
小板回収率が0%であった。コーティング用ポリマーが
塩基性含窒素部分を含む重合性モノマー由来のユニット
を含まないとき、白血球除去能が向上しないだけでな
く、血小板回収率も低下する。
【0050】
【比較例5】塩基性含窒素部分を含む重合性モノマー由
来のユニットが多すぎるポリマーを用いてフィルターを
コーティングした。エタノール(280ml)を還流装
置を設置した反応容器に入れ、78℃で1時間窒素でバ
ブリング・溶液の攪拌を行った後に窒素雰囲気を維持し
たまま、モノマーを120分かけて系中に滴下し、併行
して開始剤溶液を330分かけて系中に滴下し、開始剤
溶液滴下完了後2時間さらに重合を行った。モノマーと
しては、疎水性重合性モノマーに該当するMMAを9.
17g(91.7mmol)、および塩基性含窒素部分
を含む重合性モノマーに該当するDMを18.54g
(117.9mmol)、およびプロトン性親水性部分
を有するモノマーに該当する2−HEMAを143.2
1g(1.10mol)を含む液体である。つまり各モ
ノマーの仕込量は、MMAが7.0mol%、DMが
9.0mol%、2−HEMAが84.0mol%であ
る。開始剤溶液はV−65を1.20g(4.83mm
ol)含むエタノール溶液である。ポリマーは、重合溶
液を純水に滴下しポリマーを析出させ回収し、析出した
ポリマーを細断化したものを再度純水に添加して1時間
攪拌することで洗浄を行った。次に洗浄を完了したポリ
マーを27℃で真空乾燥させて目的のポリマーを得た
(以下HAM079と略)。得られたポリマーの組成分
析をアミノ基の中和滴定、及び、NMR測定の積分値か
ら算出したところほぼ仕込比どおりであることを確認し
たことから、HAM079中のMMAの含量は7mol
%であり、DMの含量は9mol%である。GPC測定
により数平均分子量は5.6×104、重量平均分子量
は2.4×105であった。血液評価方法、フィルター
作成方法は実施例1と同様とした。フィルター材の全表
面積は、0.90m2/gであり、フィルター材の単位
表面積あたりのポリマー重量は239mg/m2であ
り、フィルター基材1g当たりのポリマー重量は274
mg/(基材)gであった。溶出物試験の結果、重量変
化率は1.3%であった。血液評価を行った結果、白血
球除去能が4.1、血小板回収率が0%であった。塩基
性含窒素部分を含む重合性モノマー由来のユニットが多
すぎる場合、白血球除去能は優れるが、血小板は回収で
きなかった。
【0051】
【比較例6】比較例3の評価に用いたものと同様のフィ
ルター材(HAM303をPET不織布表面に保持させ
たもの。フィルター材の全表面積の単位面積あたりのポ
リマー重量は246mg/m2、PET不織布1gあた
りのポリマー重量は301mg/g)を滅菌袋に入れ、
オートクレーブ滅菌(118℃、30分)を行った。滅
菌終了後、実施例1と同様の方法で血液評価、溶出物試
験を行った。フィルター材の全表面積あたりのポリマー
の重量はオートクレーブ前後で変化は無かった。オート
クレーブ後のフィルター材の溶出物試験の結果、重量変
化率は1.2%、白血球除去性能は3.8、血小板回収
率は25%であった。比較例3で得られたフィルター材
を、滅菌処理することによって、血小板回収率はさらに
低下することが分かる。
【0052】
【比較例7】実施例2で用いたポリマー(HAM07
3)1gをイソプロパノールと純水の混合溶媒100g
に溶解させ、その溶液に、ポリエチレンテレフタレート
製不織布(平均孔径7μm、目付け40g/m2)を浸
漬させ、余分な液を除去した後に40℃で2時間乾燥さ
せて目的のフィルターを得た。フィルター材の全表面積
は、1.21m2/gであり、フィルター材の全表面積
の単位面積あたりのポリマー重量は33mg/m2であ
り、不織布1g当たりのポリマー重量は42mg/gで
あった。血液評価方法、フィルター作成方法は実施例1
と同様とした。溶出物試験の結果、重量変化率は0.3
%であった。血液評価の結果は、白血球除去能が4.
0、血小板回収率が0%であった。ポリマーのコート量
が少なければ、血小板が回収できないことが分かる。
【0053】
【比較例8】実施例2で用いたポリマー(HAM07
3)13gをイソプロパノールと純水の混合溶媒87g
に溶解させ、その溶液に、ポリエチレンテレフタレート
製不織布(平均孔径7μm、目付け40g/m2)を浸漬
させ、余分な液を除去した後に40℃で2時間乾燥させ
て目的のフィルターを得た。フィルター材の全表面積
は、0.80m2/gであり、フィルター材の全表面積
の単位面積あたりのポリマー重量は364mg/m2
あり、不織布1g当たりのポリマー重量は411mg/
gであった。血液評価方法、フィルター作成方法は実施
例1と同様とした。溶出物試験の結果、重量変化率は
2.5%であった。血液評価の結果は、白血球除去能が
2.8、血小板回収率が88%であった。ポリマーのコ
ート量が多すぎると血小板回収率は変わらないが、白血
球除去能が低下してくることが分かる。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】以上の実施例と比較例の結果から、本発明
の、疎水性重合性モノマー由来のユニットと塩基性含窒
素部分を含む重合性モノマー由来のユニットとプロトン
性中性親水性部分を含む重合性モノマー由来のユニット
から構成され特定のポリマーを、特定の組成比で特定量
フィルター素材に存在させることで、高い白血球除去能
と高い血小板回収率と低い溶出性を同時に満足する白血
球選択除去フィルターを得られることが分かった。
【0057】
【発明の効果】以上のとおり、、本発明は全血などの血
液に用いる白血球選択除去フィルター材、あるいは、血
小板輸血や血液の体外循環白血球除去療法に用いること
のできるフィルター材として、溶出物が極少且つ血小板
吸着をできるだけ抑制し白血球を選択的に高収率で捕捉
除去することを可能とした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C077 AA12 BB02 KK04 KK13 LL23 PP09 PP10 PP18 4D019 AA03 BA04 BA12 BA13 BB03 BC05 CB04 4G066 AC16B AC17B AC23C AD10B AD20B AE05B CA20 CA54 DA12 FA37

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルター材表面にポリマーを含んでな
    る白血球選択除去用フィルター材において、該ポリマー
    は、疎水性重合性モノマー由来のユニットと塩基性含窒
    素部分を含む重合性モノマー由来のユニットとプロトン
    性中性親水性部分を含む重合性モノマー由来のユニット
    から構成され、且つ、ポリマー中の疎水性重合性モノマ
    ー由来のユニットが3mol%以上25mol%以下、
    塩基性含窒素部分を含む重合性モノマー由来のユニット
    が1mol%以上8mol%以下、残余がプロトン性中
    性親水性部分を含む重合性モノマー由来のユニットであ
    り、フィルター材の全表面積の単位面積あたりのポリマ
    ーの重量が、90mg/m2以上300mg/m2以下で
    あることを特徴とする白血球選択除去用フィルター材。
  2. 【請求項2】 ポリマーがビニル系ポリマーであること
    を特徴とする請求項1記載の白血球選択除去用フィルタ
    ー材。
  3. 【請求項3】 ポリマーがアクリル酸誘導体及び又はメ
    タアクリル酸誘導体からなる重合性モノマー由来である
    請求項1または2記載の白血球選択除去フィルター材。
  4. 【請求項4】 塩基性含窒素部分が3級アミノ基である
    請求項1−3のいずれかに記載の白血球選択除去フィル
    ター材。
  5. 【請求項5】 プロトン性中性親水性部分が水酸基であ
    る請求項1−4のいずれかに記載の白血球選択除去フィ
    ルター材。
  6. 【請求項6】 フィルター材の素材表面の少なくとも一
    部に請求項1−5のいずれかに記載のポリマーが存在す
    ることを特徴とする白血球選択除去フィルター材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003047655A1 (fr) * 2001-12-03 2003-06-12 Asahi Medical Co., Ltd. Filtre pour l'elimination selective de leucocytes
US7410066B2 (en) 2001-12-03 2008-08-12 Ashai Kasei Medical Co., Ltd Filter for selectively eliminating leukocytes

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