JP2003038134A - 農水産物の乾燥方法 - Google Patents

農水産物の乾燥方法

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JP2003038134A JP2001232129A JP2001232129A JP2003038134A JP 2003038134 A JP2003038134 A JP 2003038134A JP 2001232129 A JP2001232129 A JP 2001232129A JP 2001232129 A JP2001232129 A JP 2001232129A JP 2003038134 A JP2003038134 A JP 2003038134A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 農水産物の成分組成を維持して短時間で乾燥
を行うことが可能な農水産物の乾燥方法を提供する。 【解決手段】 農水産物12の無水時の重量に対する水
分量の比として定義される含水率が予め設定した限界含
水率を超えている場合では、温風の温度を高温に保って
農水産物12の成分組成を維持した状態で恒率乾燥を行
ない、農水産物12の含水率が限界含水率以下となった
場合では、温風の温度を低温に保って減率乾燥を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温風を使用した農
水産物の高効率な乾燥方法に係り、詳しくは農水産物の
成分組成を維持して短時間で乾燥を行う農水産物の乾燥
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】農水産物の乾燥は、農水産物の含水率を
低下させ農水産物を構成している細胞内の酵素や微生物
の活性を低下させて、農水産物の成分組成の変化を防ぐ
と共にその保存性を高めるために行われている。例えば
海苔の乾燥は、熱風発生バーナーからの温風を海苔に当
てて行っていたが、乾燥に伴って次第に海苔の内面温度
が高くなるため、海苔の成分組成が熱により変化して、
海苔独特の色、艶、香り、風味等が損なわれ、品質低下
が生じ易かった。そのため、海苔の乾燥では、乾燥中の
海苔の表面状態の変化を常に観察して、状態変化に応じ
て温風の温度を適宜変化させながら乾燥を行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、海苔の
表面状態の変化に応じて温風温度を適宜変化させながら
乾燥を行うには、乾燥装置の運転に高度の熟練性が要求
され、乾燥作業の機械化を図る上での妨げとなってい
た。このため、海苔の乾燥を機械化して行うには、高温
乾燥による品質低下を防止する必要から、低温で乾燥す
ることが主流となっていた。その結果、乾燥時間が長時
間化して乾燥効率が低下し、乾燥コストの増加要因とな
っていた。本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、農水産物の成分組成を維持して短時間で乾燥を行う
ことが可能な農水産物の乾燥方法を提供することを目的
とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明に
係る農水産物の乾燥方法は、農水産物の無水時の重量に
対する水分量の比として定義される含水率が予め設定し
た限界含水率を超えている場合では、温風の温度を高温
に保って前記農水産物の成分組成を維持した状態で恒率
乾燥を行ない、前記農水産物の含水率が前記限界含水率
以下となった場合では、温風の温度を低温に保って減率
乾燥を行う。十分に湿潤している状態の農水産物は、そ
の表面が水膜に覆われた状態となっている。この農水産
物を一定の温度及び湿度を有する温風の流通下において
乾燥を行うと、農水産物の温度は、近似的に温風の湿球
温度になる。農水産物の表面に水膜が存在する限り、流
入熱はすべて水分の蒸発に使用されるため、乾燥速度は
水の蒸発速度に等しく農水産物は一定速度の乾燥(恒率
乾燥)となり、恒率乾燥が行われている間では農水産物
の温度は湿球温度に維持される。このため、高温の温風
を使用して乾燥を行っても農水産物の温度が上昇せず成
分組成が熱により変質しないため、農水産物の成分組成
を維持した状態で乾燥速度を高めて乾燥を行うことがで
きる。
【0005】農水産物の乾燥が進行して、農水産物の内
部からの水分移動の速度が蒸発速度に追いつかなくなる
と、すなわち、農水産物の表面を一様に水膜で覆うこと
が困難となる状態の含水率(限界含水率)まで含水率が
低下すると、農水産物の表面には乾所が発生して農水産
物の温度は上昇を開始する。従って、農水産物の含水率
が限界含水率となる直前に温風温度を低下する、例え
ば、農水産物の成分組成の変化が生じない温度まで温風
温度を低下すると、農水産物の成分組成を維持した状態
で乾燥を継続することができる。なお、限界含水率以下
で乾燥を行う場合、温風からの熱は、農水産物からの水
分蒸発の他に農水産物加熱の顕熱にも消費されるため、
乾燥速度は次第に減少する乾燥(減率乾燥)となる。以
上のように、農水産物の含水率が限界含水率を超えてい
る場合では、温風の温度を高温に保って乾燥速度を高く
維持して乾燥を行ない、農水産物の含水率が限界含水率
となる直前から温風の温度を低温に保って乾燥を行うこ
とにより、農水産物の成分組成を維持して、すなわち品
質の低下を防止して、短時間で乾燥を行うことができ
る。
【0006】本発明に係る農水産物の乾燥方法におい
て、前記農水産物が海苔であって、前記恒率乾燥は温度
を43℃以上、かつ47℃以下に制御した温風を用いて
行ない、前記減率乾燥は温度を30℃以上、かつ35℃
以下に制御した温風を用いて行うことが好ましい。温風
温度を43℃以上、かつ47℃以下、好ましくは45℃
以下に制御することにより、乾燥速度を高めて恒率乾燥
を行うことができる。ここで、温風温度を47℃以下と
したのは、温風温度が47℃を超えると、海苔に温風が
直接当たったときに海苔の表層部分が急激に乾燥して海
苔の成分組成に変化が生じるためである。また、温風温
度を43℃以上としたのは、43℃未満とすると恒率乾
燥速度が小さく恒率乾燥時間が長くなるためである。減
率乾燥の場合、乾燥の進行と共に海苔の表面温度は温風
温度と実質的に同一の温度となる。また、実験から、海
苔の乾燥中に海苔の成分組成に変化が生じ始める限界温
度、すなわち海苔の細胞が乾燥中に死滅する限界温度
は、35℃と求まっている。このため、減率乾燥におけ
る、温風温度を35℃以下とした。また、温風温度を3
0℃以上としたのは、30℃未満とすると減率乾燥速度
が小さく減率乾燥時間が長くなるためである。従って、
温風温度を30℃以上、かつ35℃以下に制御すること
により、海苔の成分組成を維持して、かつ乾燥速度を高
めて減率乾燥を行うことができる。
【0007】本発明に係る農水産物の乾燥方法におい
て、前記限界含水率を8〜12とすることができる。種
々の温度の温風を使用して海苔を乾燥するときの乾燥過
程における水分蒸発量の変化挙動から含水率と乾燥時間
の関係を求めると、いずれの温度の温風を使用した場合
でも、含水率は乾燥初期には直線的に減少し、その後減
少量に低下が生じる関係となることが判明した。ここ
で、含水率の直線的減少が見られる期間は恒率乾燥期
間、減少量の低下が見られる期間は減率乾燥期間にそれ
ぞれ相当し、恒率乾燥から減率乾燥に移行するときの含
水率は8〜12の範囲に存在することが確認された。こ
のため、限界含水率を8〜12と規定した。海苔の限界
含水率が判明していることにより、予め乾燥条件、乾燥
時間、及び海苔の含水率の定量的な関係を求めておく
と、高温の温風を使用した恒率乾燥と、低温の温風を使
用した減率乾燥が連続的に行われるように、乾燥装置の
運転を制御することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1(a)、(b)、
(c)は温風温度が異なる場合の海苔の乾燥過程におけ
る含水率の時間変化を示すグラフ、図2は47℃(湿度
24%)の温風を用いて海苔を乾燥させたときの水分蒸
発量の時間変化を示すグラフ、図3は減率乾燥時におけ
る水分の蒸発率と含水率の関係を示すグラフ、図4は乾
燥中における海苔の含水率及び表面温度の時間変化を示
グラフ、図5は乾燥中における海苔の表面温度の時間変
化を示すグラフ、図6は海苔の乾燥に使用する温風の温
度と海苔細胞の生存率の関係を示すグラフ、図7は本発
明の一実施の形態に係る農水産物の乾燥方法に適用され
る海苔の乾燥装置の説明図である。
【0009】本発明の一実施の形態に係る農水産物の乾
燥方法について説明する。なお、本実施の形態では、農
水産物の一例としての海苔の乾燥方法について説明す
る。先ず、海苔の乾燥条件の決定に係わる各要因につい
て詳細に説明する。海苔を1層に成形し、例えば3×3
cmの大きさに裁断して乾燥用の試料とした。乾燥用試
料を重量の判明している容器に入れて初期重量を測定し
た後に、30〜50℃の温風を流通させた雰囲気中に装
入して120分間乾燥を行った。なお、乾燥を開始して
から2分毎に海苔の重量を、最小目盛り0.1mgの電
子天秤を使用して測定した。この120分間の乾燥後、
更に、試料を容器ごと80℃に保持した15×15cm
のラバーヒータ上に30分間載せて海苔を完全に乾燥さ
せて、完全乾燥時(無水時)の海苔重量を測定した。完
全乾燥時の海苔重量と海苔の初期重量から海苔の初期含
水量を、完全乾燥時の海苔重量と乾燥過程における各時
点での海苔の重量からそのときの海苔の含水量を求め
た。また、完全乾燥時の海苔重量に対するある時点での
海苔に含まれる水分量の比を、その時点での海苔の含水
率として定義し、乾燥過程での含水率の時間変化を算出
した。その結果を図1(a)、(b)、(c)に示す。
なお、含水率は水分量の比であるため、本来単位は存在
しないが、含水率が水分量の比であることを明確に示す
ため以下の記載では、海苔に含まれる水分量の単位を
g、完全乾燥時の海苔重量の単位を乾燥gと標記して、
含水率に関しては便宜的にg/g−乾燥の単位を付記す
る。
【0010】いずれの温度の温風を使用して乾燥させた
場合でも、乾燥初期の段階での含水率の時間変化は、直
線的な変化挙動として近似でき、温風の温度が高くなる
程直線の勾配が急になり、最終含水率に到達するまでの
時間が短くなっている。また、全ての条件において、含
水率の時間変化は乾燥を開始してからある時刻になる
と、直線的減少から穏やかな減少に変化する。この変化
が始まる時刻は、温風の温度が高温になる程早くなる
が、どの温度条件でも含水率が8〜12前後で生じてい
る。以上のことから、海苔の乾燥初期の直線的な含水率
の減少が見られる期間は、恒率乾燥期間に相当し、乾燥
後期の含水率の減少量に低下が見られる期間は減率乾燥
期間に相当していることが判明した。更に、含水率8〜
12の値が、乾燥が恒率乾燥期間から減率乾燥期間に移
行する含水率、すなわち限界含水率に相当することが判
明した。
【0011】続いて、恒率乾燥期間、減率乾燥期間にお
ける海苔の乾燥挙動について説明する。先ず、5層に積
層した海苔を、例えば3×3cmの大きさに裁断して試
料とし、重量の判明している容器に入れて初期重量を測
定した後に、温度28〜47℃(湿度43〜24%)の
温風を流通させた雰囲気中に装入して60分間乾燥を行
った。乾燥を開始してから2分毎に海苔の重量を電子天
秤を使用して測定した。更に、60分間の乾燥後、試料
を容器ごと80℃に保持したラバーヒータ上に30分間
載せて海苔を完全に乾燥させて、完全乾燥時の海苔重量
を測定した。得られた測定結果を表1に示す。また、図
2には、温度47℃、湿度24%の温風を使用したとき
の海苔の水分蒸発量と乾燥時間の関係を求示す。なお、
図2には、同じ乾燥条件で水のみを容器に入れたときの
水分蒸発量の変化も併記している。
【0012】
【表1】
【0013】表1から、各温度の温風を使用した恒率乾
燥時では、海苔の表面温度はいずれも温風温度よりもか
なり低い温度に保持されて乾燥が進行していることが確
認できる。また、図2に示される結果から、海苔の乾燥
を開始した初期段階の恒率乾燥期間では、海苔を乾燥さ
せたときの水分蒸発量の時間変化、すなわち水分蒸発速
度と、水のみを乾燥させたときの水分蒸発速度(直線の
傾き)はほぼ一致していることが判る。なお、他の温度
の温風を使用した乾燥を行った場合でも、海苔の乾燥
と、水のみを乾燥させたときの水分蒸発速度はほぼ一致
していた。従って、海苔の恒率乾燥期間では、海苔の乾
燥速度は海苔自体の影響を受けず、水のみの蒸発により
進行することが判る。更に、熱伝達と物質伝達の類似性
から、恒率乾燥における海苔の表面温度と水分蒸発率を
計算で求め、その結果を表1に示す。計算結果と実験結
果を比較すると、恒率乾燥期間では海苔の表面温度と蒸
発速度はいずれもよく一致している。以上のことから、
海苔の乾燥を行う場合、恒率乾燥期間における海苔乾燥
挙動は、熱伝達と物質伝達の類似性に基づいた計算から
予測することが可能となることが判明した。
【0014】次に、1〜20層に積層した海苔を試料と
し、温風温度47℃(湿度24%)の温風を使用して乾
燥を行った。その結果から、海苔の含水率と水分の蒸発
率との関係を求めて図3に示す。なお、図3は、含水率
が10以下の場合、すなわち減率乾燥期間についてのみ
表示している。図3から、減率乾燥期間と考えられる含
水率が10以下の状態では、含水率の減少に伴い水分の
蒸発率も低下していることが判る。また、試料の積層数
が1〜3層までの結果は、測定誤差が大きいため、多少
のばらつきは存在するが、積層数の違いによる影響は水
分の蒸発率には現れていない。この傾向は、他の温度の
温風を使用した場合でも共通している。また、減率乾燥
時の海苔の内部における水分移動として毛細管流動機構
を仮定し、熱エネルギー収支を付帯条件として海苔の表
面温度を求めた。積層数5の試料について、海苔の含水
率変化と表面温度変化の実験結果と計算結果との比較を
図4に示す。図4より、乾燥中の含水率及び表面温度の
時間変化は、いずれも実験結果とよく一致していること
が判る。以上のことから、海苔の乾燥を行う場合、減率
乾燥期間における海苔乾燥挙動は、毛細管流動機構に基
づいた水分移動の計算から予測することが可能になるこ
とが判明した。
【0015】続いて、1〜20層に積層した海苔を試料
とし、温度28〜47℃(湿度43〜24%)の温風を
使用して乾燥を行ない、乾燥中の海苔の温度測定を行っ
た。積層数5の試料について、温風温度47℃(湿度2
4%)の温風を使用して乾燥を行った場合の海苔の表面
温度の測定結果を図5に示す。恒率乾燥期間では、海苔
の表面温度は温風温度47℃よりかなり低い温度(28
〜29℃)に維持されているが、限界含水率到達直後に
急激な温度上昇が生じ、徐々に温風温度に近接して行
く。この温度変化挙動は、海苔の積層数が変化しても、
温風温度が変化しても、共通に生じている。また、海苔
の積層数を変えて乾燥させた場合、表層温度は積層数1
の場合の表面温度と一致し、温風の乾燥温度が高くなる
程、海苔の表面と内部の温度差が拡大することが判明し
た。
【0016】乾燥海苔の有する色、艶、香り、風味等
は、乾燥後の海苔に水分を与えたときに海苔細胞が再生
する程度、すなわち乾燥後の海苔細胞の生存率と密接に
関係していることが実験から明らかとなった。そこで、
温度28〜47℃(湿度43〜24%)の温風を使用し
て乾燥させたときの海苔細胞の生存率を測定した。1層
に成形した海苔を、例えば3×3cmの大きさに裁断し
て試料とし、熱電対を取付けたアクリル板上に載せて、
温風を流通させて乾燥を行った。海苔の表面温度が定常
状態に達してから10分間保持して乾燥終了とし、30
分後に海苔を蒸留水に漬けて、そのときの細胞の状態を
顕微鏡で観察して細胞の生死を判定した。また、そのと
きの顕微鏡像を画像解析装置に入力し、生死細胞の面積
比から海苔細胞の生存率を算出した。その結果を図6に
示す。図6から、乾燥に使用する温風の温度が高くなる
につれて、生存率は徐々に低下していくが、特に35〜
40℃の間での生存率の低下が著しく、温風温度が44
℃以上では生存率は0%となる。また、恒率乾燥期間は
47℃の温風を使用して乾燥を行ない、表面温度の上昇
が起こる減率乾燥直前に温風温度を35℃に低下させて
乾燥を行った場合、平均生存率は70%となった。これ
は、温風温度を35℃一定で恒率乾燥及び減率乾燥を行
った場合の海苔の生存率とほぼ一致する結果となった。
【0017】以上のことから、海苔細胞の生存率は、乾
燥時の表面温度の影響が大きく、表面温度が低温に保た
れる恒率乾燥期間の温風の温度には影響を受けないこと
が判明した。そこで、海苔の含水率が8〜12になる直
前までの恒率乾燥期間(限界含水率を超えている状態)
では43℃以上、かつ47℃以下の高温の温風を用いて
乾燥速度を高めた乾燥を行ない、含水率が8〜12とな
る直前から減率乾燥期間(限界含水率以下となる状態)
では30℃以上、かつ35℃以下の低温の温風を用いて
海苔の表面温度を35℃以下に保つ乾燥方法を決定し
た。その結果、乾燥時間を短縮して、乾燥後の海苔細胞
の生存率を70%以上、すなわち海苔の成分組成を変化
させないで、海苔の乾燥を行うことが可能となった。
【0018】次に、本発明の一実施の形態に係る農水産
物の乾燥方法を適用した海苔の乾燥装置10について詳
細に説明する。図7に示すように、海苔の乾燥装置10
は、乾燥用の温風を発生する図示しない温風発生機と、
乾燥装置本体11内に設けられ乾燥しようとする海苔1
2を載置し通風性を有した支持台13と、温風発生機に
接続され乾燥装置本体12内に温風を輸送する温風輸送
管14と、それぞれ温風輸送管14から分岐し支持台1
3の下方に設けられて温風の送気用ファン15を備えて
いる送風口16と、それぞれ支持台13の上方に設けら
れ温風の排気用ファン17を備えた排気口18と、各排
気口18が接続され温風を外部に排気する温風排気管1
9を有している。また、乾燥装置10には、支持台13
と送風口16の間に設けられ送気された温風の温度を測
定する温風用温度センサ20と、支持台13に載置され
た海苔12の温度を測定する海苔用温度センサ21と、
温風用温度センサ20及び海苔用温度センサ21の検知
信号が入力されて、温風発生機、送気用ファン15、及
び排気用ファン17の運転をそれぞれ制御する図示しな
い温度制御器が設けられている。このような構成とする
ことにより、温度、湿度、風量をそれぞれ管理すること
ができ乾燥装置本体11内を一様な雰囲気に保つことが
可能となる。その結果、多数の海苔12を、同時に海苔
12の成分組成を維持して短時間に乾燥させることが可
能となる。以下、これらについて詳細に説明する。
【0019】乾燥装置本体11、支持台13、温風輸送
管14、送気用ファン15、送風口16、排気用ファン
17、排気口18、及び温風排気管19は、例えば、ス
テンレス鋼により製作されている。また、温風発生機
は、例えば電気ヒータを加熱源としたものが使用でき
る。海苔用温度センサ21、温風用温度センサ20に
は、例えば、銅・コンスタンタン等の熱電対や抵抗測温
体を使用することができる。更に、恒率乾燥期間中の海
苔乾燥挙動が熱伝達と物質伝達の類似性に基づいた計算
から、減率乾燥期間における海苔乾燥挙動が毛細管流動
機構に基づいた水分移動の計算からそれぞれ予測するこ
とが可能となるので、温度制御器内に乾燥挙動を予測す
るプログラムを格納しておくと、乾燥しようとする海苔
12に応じた標準的な乾燥パターンを決定することが可
能で、海苔用温度センサ21、温風用温度センサ20の
測温結果を逐次乾燥パターンの運転に反映させることに
より、品質の安定した海苔12の自動乾燥を行うことが
可能となる。
【0020】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、
例えば、ガスバーナーを用いて空気を間接的に加熱し
て、乾燥用の温風を得ることもできる。また、限界含水
率が個々の農水産物についてそれぞれ判明すれば、本発
明の乾燥方法をそれらの農水産物の乾燥に対して適用す
ることが可能となるので、例えば、葉たばこ、煮干し、
椎茸等についても、品質の低下を防止して、短時間で乾
燥を行うことが可能となる。
【0021】
【発明の効果】請求項1〜3記載の農水産物の乾燥方法
においては、農水産物の無水時の重量に対する水分量の
比として定義される含水率が予め設定した限界含水率を
超えている場合では、温風の温度を高温に保って農水産
物の成分組成を維持した状態で恒率乾燥を行ない、農水
産物の含水率が限界含水率以下となった場合では、温風
の温度を低温に保って減率乾燥を行うので、農水産物の
成分組成を維持し品質低下を防止して短時間で乾燥を行
うことができ、乾燥効率の向上、乾燥コストの低減が可
能となる。
【0022】特に、請求項2記載の農水産物の乾燥方法
においては、農水産物が海苔であって、恒率乾燥は温風
温度を43℃以上、かつ47℃以下に制御した温風を用
いて行ない、減率乾燥は温風温度を30℃以上、かつ3
5℃以下に制御した温風を用いて行うので、乾燥中に海
苔の成分組成が熱により変化せず、海苔独特の色、艶、
香り、風味等を維持して乾燥を短時間に効率的に行うこ
とが可能となる。例えば、従来は低温の温風を使用して
いたために乾燥には2時間から2時間10分程度の時間
が必要であったのに対して、1時間30分程度の時間で
乾燥を終了することが可能となる。
【0023】請求項3記載の農水産物の乾燥方法におい
ては、限界含水率を8〜12とするので、高温の温風を
使用した恒率乾燥期間と、低温の温風を使用した減率乾
燥期間を明確に区分して乾燥を行うことができ、品質を
高位に安定させて海苔の乾燥を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)、(c)はそれぞれ温風温度が
異なる場合の海苔の乾燥過程における含水率の時間変化
を示すグラフである。
【図2】47℃(湿度24%)の温風を用いて海苔を乾
燥させたときの水分蒸発量の時間変化を示すグラフであ
る。
【図3】減率乾燥時における水分の蒸発率と含水率の関
係を示すグラフである。
【図4】乾燥中における海苔の含水率及び表面温度の時
間変化を示すグラフである。
【図5】乾燥中における海苔の表面温度の時間変化を示
すグラフである。
【図6】海苔の乾燥に使用する温風の温度と海苔細胞の
生存率の関係を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施の形態に係る農水産物の乾燥方
法に適用される海苔の乾燥装置の説明図である。
【符号の説明】
10:乾燥装置、11:乾燥装置本体、12:海苔、1
3:支持台、14:温風輸送管、15:送気用ファン、
16:送気口、17:排気ファン、18:排気口、1
9:温風排気管、20:温風用温度センサ、21:海苔
用温度センサ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F26B 25/22 F26B 25/22 Z (72)発明者 佐々木 芳男 山口県下関市熊野町2丁目3番23号 (72)発明者 香川 正信 山口県宇部市東岐波54 (72)発明者 磯部 佳成 山口県新南陽市中央町4−17 Fターム(参考) 3L113 AA01 AB02 AC01 AC67 BA27 CA02 CA08 CB01 DA24 4B019 LC04 LP07 LT56 4B022 LA04 LA06 LB06 LF01 LR01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 農水産物の無水時の重量に対する水分量
    の比として定義される含水率が予め設定した限界含水率
    を超えている場合では、温風の温度を高温に保って前記
    農水産物の成分組成を維持した状態で恒率乾燥を行な
    い、前記農水産物の含水率が前記限界含水率以下となっ
    た場合では、温風の温度を低温に保って減率乾燥を行う
    ことを特徴とする農水産物の乾燥方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の農水産物の乾燥方法にお
    いて、前記農水産物が海苔であって、前記恒率乾燥は温
    度を43℃以上、かつ47℃以下に制御した温風を用い
    て行ない、前記減率乾燥は温度を30℃以上、かつ35
    ℃以下に制御した温風を用いて行うことを特徴とする農
    水産物の乾燥方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の農水産物の乾燥方法にお
    いて、前記限界含水率を8〜12とすることを特徴とす
    る農水産物の乾燥方法。
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JP2015029498A (ja) * 2013-08-06 2015-02-16 松本 孝 非板状乾燥海苔及びその製造方法
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