JP2003034526A - 希土類酸化物ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

希土類酸化物ナノ粒子の製造方法

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JP2003034526A JP2001218143A JP2001218143A JP2003034526A JP 2003034526 A JP2003034526 A JP 2003034526A JP 2001218143 A JP2001218143 A JP 2001218143A JP 2001218143 A JP2001218143 A JP 2001218143A JP 2003034526 A JP2003034526 A JP 2003034526A
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Kinya Adachi
吟也 足立
Nobuhito Imanaka
信人 今中
Toshiyuki Masui
敏行 増井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】希土類酸化物ナノ粒子とその製造方法を提供す
る。 【解決手段】水溶性希土類元素化合物とクエン酸の混合
水溶液に塩基を混合して得られる沈殿を、密閉容器中5
0〜300℃で加熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光体、研磨剤、
触媒、紫外線遮断剤、セラミックス焼結助剤等に有用
な、希土類元素酸化物ナノ粒子の新規な製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】希土類元素酸化物ナノ粒子は、ガス中蒸
発法、スパッタ法、CVD法などの気相法、あるいは均
一沈殿法、加水分解法、水熱合成法、逆ミセル法などの
液相法により得られることが知られている。
【0003】しかしながら、従来の方法で得られる希土
類元素酸化物ナノ粒子は、平均粒径が数ナノ〜数十ナノ
メートル程度の細かいものもあるが、平均粒径10nm
未満のいわゆるシングルナノ粒子、とりわけ5nm以下
の粒子のみを収率よく合成することが難しく、また粉体
で安定に取り出すことが難しい場合が多く見られる。
【0004】一方、近年の技術の進歩に伴い、上述の蛍
光体、研磨剤、触媒、紫外線遮断剤、セラミックス焼結
助剤への応用としてナノ粒子の需要が急速に高まってい
る。この場合、理想的には平均粒径が小さく、単分散状
態で、結晶性に優れるものが望ましい。しかしながら従
来の合成法では、平均粒径10nm以下の粒子を単分散
状態で得ることが難しく、たとえ得られたとしても結晶
性が著しく低下してしまう。
【0005】また、特開平7−309622公報にみら
れるように、水溶性希土類元素化合物の水溶液と、クエ
ン酸および塩基を混合して得られる沈殿を大気中600
℃以上1500℃以下で焼成することを特徴とする希土
類元素酸化物微粉の製造方法が知られているが、この方
法でも沈殿を高温で焼成する工程が必要となるため、平
均粒径10nm以下の粒子を単分散状態で得ることがで
きない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの欠
点を解決したものであり、新しい材料として有望な、平
均粒径10nm以下で結晶性に優れる希土類酸化物ナノ
粒子を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために、粒子生成反応を広く検討し、諸条
件を精査したところ、水溶性希土類元素化合物とクエン
酸の混合水溶液に塩基を混合して得られる沈殿を、密閉
容器中50〜300℃で加熱処理することを特徴とする
製造方法により、単分散かつ結晶性に優れる希土類酸化
物ナノ粒子が得られることを見いだした。
【0008】本発明の希土類酸化物ナノ粒子は、スカン
ジウム、イットリウム、および原子番号57〜71の希
土類元素から選択される少なくとも1種の元素を含み、
平均粒径が10nm以下であることを特徴とする超微粒
子である。
【0009】本発明の希土類酸化物ナノ粒子は、その用
途に応じて他の希土類元素、遷移金属やアルカリ金属、
アルカリ土類金属等と複合酸化物を形成してもよい。た
とえば、蛍光体としては酸化イットリウムと酸化ユウロ
ピウムまたは酸化テルビウムの複合酸化物としたり、触
媒やセラミックスとしては酸化セリウムと酸化ジルコニ
ウムの複合酸化物としたり、紫外線遮断剤としては酸化
セリウムと酸化チタンや酸化亜鉛との複合酸化物として
もよい。このときの複合酸化物の構成としては、固溶体
や金属間化合物であってもよいし、各成分のナノ粒子の
均一混合物(ナノコンポジット)であってもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の希土類酸化物ナノ粒子の製造方法は、水溶性希
土類元素化合物とクエン酸の混合水溶液に塩基を混合し
て得られる沈殿を、密閉容器中50〜300℃で加熱処
理することを特徴とし、極めて簡便な方法で、平均粒径
10nm以下で結晶性のよい、単分散希土類希土類酸化
物ナノ粒子を得ることができる。
【0011】本発明において用いられる希土類塩の水溶
液としては、スカンジウム、イットリウム、ならびにラ
ンタン、セリウムをはじめとする原子番号57〜71の
希土類元素の硝酸塩、塩化物、酢酸塩、クエン酸塩、硫
酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物等を水または塩酸、硫
酸、硝酸等の酸に溶解したものが用いられるが、好まし
くは水に易溶で比較的安価な、塩化物や硝酸塩の水溶
液、もしくは酸化物の塩酸溶液や硝酸溶液が用いられ
る。
【0012】本発明において用いられるクエン酸の添加
量としては、希土類元素1モルあたり1モル程度が望ま
しく、多過ぎても少な過ぎても収率が悪くなる。また、
クエン酸の代わりに、一部または全部を、クエン酸の塩
(正塩あるいは酸性塩)として加えても良い。
【0013】本発明において用いられる塩基としては、
アンモニア水、ヒドラジン、水酸化アルカリ等の無機塩
基、或はヘキサメチレンテトラミン、トリエタノールア
ミン等の有機塩基が挙げられるが、金属イオンの混入が
なく、かつ比較的取り扱いが容易なアンモニア水が望ま
しい。加える塩基の濃度および量は、クエン酸の酸性カ
ルボキシル基が中和され、かつ希土類の水酸化物沈殿が
生成する濃度に達しておればいかなるものでもよく、特
に限定されないが、濃度に関しては粒子径を小さくする
ために薄いものが好ましく用いられ、特に好ましくは3
〜5%濃度のものが用いられる。
【0014】このようにして得られた希土類水酸化物の
分散液は、内壁がテフロン(登録商標)、外壁が真鍮性
の密閉容器内にそのまま封入され、50〜300℃で1
〜30時間加熱処理される。このとき加熱温度と加熱時
間がこれらの下限値を下回ると得られる粒子の結晶性が
悪くなり、またそれぞれ上限値を上回ると10nm以下
の粒子が得られない。
【0015】上記加熱処理によって得られた分散粒子
は、脱イオン水及び/又は低級アルコールにより洗浄さ
れる。洗浄手段は遠心分離を繰り返すか、セラミックフ
ィルターや限外ろ過膜を使った微粉洗浄装置でもよい。
洗浄が終わった粒子は、室温による自然乾燥、あるいは
オーブン等を用いた加熱乾燥により乾燥する。このとき
に真空乾燥機や凍結乾燥機、超臨界乾燥装置、あるいは
スプレードライヤーなどを用いてもよく、特に限定され
ないが、粒子間の凝集を押さえるために凍結乾燥、超臨
界乾燥、あるいはこれらの組み合わせが好ましく用いら
れる。
【0016】このようにして、平均粒径が10nm以下
であり、単分散かつ結晶性に優れる希土類酸化物ナノ粒
子を得ることができる。
【0017】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0018】(実施例1)1モル/リットルの塩化セリ
ウム水溶液20ミリリットルと1モル/リットルのクエ
ン酸水溶液20ミリリットル、脱イオン水20ミリリッ
トルの混合溶液を、70ミリリットルの5%アンモニア
水に滴下し、一晩撹拌した。得られたゾルをそのままテ
フロン(登録商標)ボトルに入れ、真鍮性の密閉容器内
にて、80℃で24時間加熱処理した。処理後、遠心分
離により粒子を回収し、脱イオン水で3回、メタノール
で2回洗浄した後、凍結乾燥により超微粉末を得た。
【0019】このようにして得られた超微粉末のX線回
折測定を行ったところ、酸化セリウム単相であることが
確認された。この超微粉末の比表面積をBET法により
測定したところ、211m−1であった。さらに、
TEM観察を行ったところ、図1に示すように平均粒子
径4.5nmの酸化セリウムナノ粒子が観測された。粒
径分布の標準偏差は0.36nmであり、粒子径のばら
つきがない単分散ナノ粒子であった。
【0020】(実施例2)1モル/リットルの硝酸イッ
トリウム水溶液20ミリリットルと1モル/リットルの
クエン酸水溶液20ミリリットル、脱イオン水20ミリ
リットルの混合溶液を、70ミリリットルの5%アンモ
ニア水に滴下し、一晩撹拌した。得られたゾルをそのま
まテフロン(登録商標)ボトルに入れ、真鍮性の密閉容
器内にて、200℃で24時間加熱処理した。処理後、
遠心分離により粒子を回収し、脱イオン水で3回、メタ
ノールで2回洗浄した後、凍結乾燥により超微粉末を得
た。
【0021】このようにして得られた超微粉末のX線回
折測定を行ったところ、酸化イットリウム単相であるこ
とが確認された。この超微粉末の比表面積をBET法に
より測定したところ、175m−1であった。さら
に、TEM観察を行ったところ、平均粒子径6nmの酸
化イットリウムナノ粒子が観測された。粒径分布の標準
偏差は0.40nmであり、粒子径のばらつきがない単
分散ナノ粒子であった。
【0022】(比較例)クエン酸水溶液を加えない以外
は実施例1と全く同様にして微粉末を得た。得られた微
粉末のX線回折測定を行ったところ、酸化セリウム単相
であったが、BET法により測定した比表面積は80m
−1であった。さらに、TEM観察により求めた平
均粒子径は14nmであった。粒径分布の標準偏差は
3.0nmであり、粒子径にばらつきが見られた。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、水溶性希土類元素化合
物とクエン酸の混合水溶液に塩基を混合して得られる沈
殿を、密閉容器中50〜300℃で加熱処理するという
極めて簡便な方法で、平均粒径が10nm以下であり、
単分散かつ結晶性に優れる希土類酸化物ナノ粒子を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造した希土類酸化物ナノ粒子の透
過型電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 足立 吟也 兵庫県神戸市東灘区御影町御影字滝ヶ鼻 1345番9号 (72)発明者 今中 信人 兵庫県川西市東畦野4丁目1番14号 (72)発明者 増井 敏行 大阪府吹田市青山台1丁目2番C20−103 号 Fターム(参考) 4G076 AA02 AB10 AB11 BA13 BA42 CA04 DA01 DA09 DA30 4H001 CA02 CF01 XA08 XA21 XA39 XA57 XA58

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性希土類元素化合物とクエン酸の混
    合水溶液に塩基を混合して得られる沈殿を、密閉容器中
    50〜300℃で加熱処理することを特徴とする希土類
    酸化物ナノ粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 希土類元素がセリウムであることを特徴
    とする請求項1に記載の希土類酸化物ナノ粒子の製造方
    法。
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