JP2003033874A - 溶接自動倣い制御装置 - Google Patents

溶接自動倣い制御装置

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JP2003033874A
JP2003033874A JP2001221755A JP2001221755A JP2003033874A JP 2003033874 A JP2003033874 A JP 2003033874A JP 2001221755 A JP2001221755 A JP 2001221755A JP 2001221755 A JP2001221755 A JP 2001221755A JP 2003033874 A JP2003033874 A JP 2003033874A
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welding
welded
electrode
camera
touch sensor
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JP2001221755A
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Nobuo Shibata
信雄 柴田
Takeshi Wada
武 和田
Yasukata Tamai
康方 玉井
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動溶接倣い制御装置において、被溶接部材
の溶接箇所に対する電極の位置決め精度を向上する。 【解決手段】 溶接自動倣い制御装置は、被溶接部材2
との間にアークを形成する電極1と、この電極1を移動
させる多関節ロボット11と、被溶接部材2の位置を検
出するタッチセンサ5と、このタッチセンサ5で検出し
た被溶接部材2の位置に応じて、被溶接部材2の溶接箇
所を撮影するカメラ9とを含み、このカメラ9が撮像し
た画像に基づいて、多関節ロボット11が電極1の位置
を制御する。このため、タッチセンサ5は、被溶接部材
2の大まかな位置を検出することができ、この検出値に
より、カメラ9の位置を修正できる。この修正されたカ
メラ9の位置で、被溶接部材2を撮像するため、被溶接
部材2の精密な位置を算出することでき、この算出値に
より電極1の位置を制御するので、被溶接部材2の溶接
箇所に対する電極1の位置決め精度を向上することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接を行うとき
に、電極を被溶接部材の溶接線に自動的に倣わせる溶接
自動倣い制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電極を被溶接部材の溶接線に沿って正し
い位置で溶接が行えるように自動的に制御する、すなわ
ち、電極を自動的に溶接線に倣わせる溶接自動倣い制御
装置として、特開平5−138354号公報や特開平1
0−6006号公報に記載の溶接自動倣い制御装置など
が提案されている。例えば、特開平5−138354号
公報に記載の溶接自動倣い制御装置は、ITVカメラよ
り得られる画像情報により、電極と被溶接部材の溶接箇
所とのずれ量を検出して、電極の位置の制御を行うもの
である。また、特開平10−6006号公報に記載の溶
接自動倣い制御装置は、断面形状測定用カメラから得ら
れる被溶接材の断面形状と、アークカメラから得られる
溶接アーク及び溶着金属のプールの画像を合成して、溶
接を監視し、アーク溶接の際、アーク溶接をリアルタイ
ムでオペレーションでき、アーク溶接した部分に欠陥が
生じないように溶接条件を調整するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、溶接を自動
で行う場合、被溶接部材の溶接線に対し予め電極の位置
を設定し、この予め設定された電極の位置に基づき、自
動的に電極を溶接線に倣わせて溶接を行っている。しか
し、品質の良い溶接ビードを得るためには、溶接中に電
極を溶接線に正確に倣わせる必要がある。電極を溶接線
に正確に倣わせるためには、溶接を開始するときに、溶
接線に対して電極が正確に位置決めされていなければな
らない。
【0004】これに対し、特開平5−138354号公
報や特開平10−6006号公報などに記載されている
ような従来の溶接自動倣い制御装置は、溶接中に起こる
溶接線に対する電極の位置のずれを検出し、このずれに
対して電極の位置を制御するものであり、溶接をする前
に、予め設定した被溶接部材の溶接線と実際に設置され
ている被溶接部材の溶接線とのずれを検出し、電極の位
置を補正することはできない。
【0005】一方、溶接前に、予め設定した被溶接部材
の溶接線と、実際に設置された被溶接部材の溶接線との
ずれから電極の位置を修正し、実際の溶接線に電極を倣
わせる方法として、溶接作業者が、電極と溶接線のずれ
を目視や遠隔モニタカメラにより判断して、手作業で電
極の溶接開始位置を修正した後、溶接を行う方法があ
る。この方法では、溶接作業者が、目視や遠隔モニタカ
メラにより、電極の位置を修正するので、修正に時間が
かかるなどの問題があり、更に、十分な精度で修正を行
うためには、溶接作業者の熟練が必要となる。
【0006】本発明の課題は、自動溶接倣い制御装置に
おいて、被溶接部材の溶接箇所に対する電極の位置決め
精度を向上することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の自動溶接倣い制
御装置は、被溶接部材との間にアークを形成する電極
と、この電極を移動させる電極移動手段と、被溶接部材
の位置を検出するタッチセンサと、このタッチセンサで
検出した被溶接部材の位置に応じて、この被溶接部材の
溶接箇所を撮影するカメラとを含み、前記カメラが撮像
した画像に基づいて、前記電極移動手段が前記電極の位
置を制御する構成とすることにより、上記課題を解決す
るものである。
【0008】また、本発明の自動溶接倣い制御装置は、
タッチセンサで被溶接部材の溶接箇所の大まかな位置を
検出し、このタッチセンサで検出された溶接箇所の位置
に応じてカメラの位置を決定し、この決定された位置で
前記カメラは溶接箇所を撮像し、前記カメラが撮像した
画像から溶接箇所の位置を算出し、この算出された溶接
箇所の詳細な位置に基づいて前記電極の位置を制御する
構成とすることにより、上記課題を解決するものであ
る。
【0009】更に、カメラの位置は、予め設定された被
溶接部材の設置位置に対応して設定することもでき、タ
ッチセンサは、被溶接部材が実際に設置された位置を検
出し、この検出された実際の被溶接部材の設置位置に応
じて、カメラの位置を補正する構成とする。
【0010】更にまた、電極の位置は、予め設定された
被溶接部材の設置位置に対応して設定し、カメラは、実
際に設置された被溶接部材の溶接箇所を撮像し、この撮
像した実際に設置された被溶接部材の溶接箇所の画像に
基づいて、予め設定された被溶接部材の溶接箇所の位置
と実際に設置された被溶接部材の溶接箇所の位置とのず
れ量を算出し、この算出されたずれ量に基づいて、予め
設定された電極の位置を補正する構成とする。
【0011】このように、本発明の自動溶接倣い制御装
置は、溶接前に、タッチセンサで被溶接部材の大まかな
位置を検出し、このタッチセンサが検出した被溶接部材
の大まかな位置に応じて、被溶接部材の溶接箇所をカメ
ラで撮像する。
【0012】ここで、カメラが撮像した溶接箇所の画像
は、溶接箇所の位置を精密に算出するため、撮像倍率を
大きくして、小さな撮像範囲となる条件で撮像すること
が必要となる。その一方で、実際に設置された被溶接部
材の溶接箇所を大きな倍率で撮像できるように、予め設
定された被溶接部材の位置に基づいてカメラの撮像範囲
を決めると、予め設定した被溶接部材の溶接箇所の位置
に対して、実際に設置された被溶接部材の溶接箇所の位
置がずれた場合、カメラの撮像範囲に実際に設置された
被溶接部材の溶接箇所が入らないことがある。しかし、
予め設定した被溶接部材の溶接箇所の位置と、実際に設
置されている被溶接部材の溶接箇所の位置とがずれた場
合を考慮して、カメラの撮像範囲を拡大すると、被溶接
部材の溶接箇所の位置を精密に算出するのに、高い分解
能で溶接箇所を撮像することができなくなる。
【0013】そこで、カメラの撮像範囲を変えられるよ
うに、例えば、撮像倍率の異なる複数のカメラを用いた
り、1台のカメラに撮像倍率の変更できるズーム機能な
どを設けることが考えられる。しかし、複数のカメラを
自動溶接倣い制御装置に備えると、カメラの台数が増え
る分、装置が大型化したり、コストが増大するなどの問
題がある。また、カメラにズーム機能などを持たせる
と、コストの増大に加えて、ズーム機能を正確に制御し
て、ズームにより変化した画像の倍率を、算出した溶接
箇所の位置に反映させなければならず、溶接箇所の精密
な位置を算出するための制御が複雑になる。また、カメ
ラにズーム機能を搭載すると、光学ズームの機械的構成
のため、カメラの重量の増大や、検出部の大型化などの
問題が生じる。
【0014】これに対し、本発明の自動溶接倣い制御装
置は、複数のカメラを用意したり、カメラにズーム機能
を搭載させるのに比べ、小型で軽量、安価でしかも容易
に制御することができるタッチセンサを用いている。つ
まり、本発明の自動溶接倣い制御装置は、タッチセンサ
で被溶接部材の大まかな位置を検出し、このタッチセン
サが検出した被溶接部材の大まかな位置に応じて、カメ
ラの位置を補正して、この補正された位置でカメラが被
溶接部材の溶接箇所を撮像することができるので、溶接
箇所を十分に拡大して撮像することができる。このよう
に、本発明の自動溶接倣い制御装置は、被溶接部材の溶
接箇所を十分に拡大して撮像することができるため、被
溶接部材の溶接箇所の位置がずれた場合を考慮して、カ
メラの撮像範囲を広げる必要がないので、撮像倍率の異
なる複数のカメラを備えたり、また、カメラにズームな
どの撮像倍率の変更機能を持たせたりする必要がない。
このため、本発明の自動溶接倣い制御装置は、カメラの
重量の増大や大型化、そして、制御の複雑化などによる
コストの増大を招くことなく、被溶接部材の溶接箇所の
位置を精密に算出し、この算出した溶接箇所の位置に基
づき電極の位置を制御することで、被溶接部材の溶接箇
所に対する電極の位置決め精度を向上することができ
る。
【0015】更に、電極移動手段は、ヘッドを備え、こ
のヘッドに、電極と、投光器と、カメラと、タッチセン
サとを設けた構成とする。
【0016】このようにすると、電極、投光器、カメ
ラ、タッチセンサの位置をそれぞれ別々に制御する必要
がなくなり、自動溶接倣い制御装置の制御を簡素化する
ことができるので好ましい。
【0017】更にまた、タッチセンサは、被溶接部材と
接触して被溶接部材の位置を検出する検出部を有し、こ
の検出部は、被溶接部材に向かって移動可能に形成さ
れ、被溶接部材の位置を検出するときに、検出部が電極
の先端部よりも被溶接部材側に突出する構成とする。
【0018】このように構成することにより、本発明の
自動溶接倣い制御装置は、タッチセンサが被溶接部材の
位置を検出するとき、電極が被溶接部材に干渉するのを
回避できるとともに、溶接作業のときに、タッチセンサ
が被溶接部材に干渉するのを回避することができるので
好ましい。
【0019】また、本発明の自動溶接倣い制御装置は、
カメラが撮像する被溶接部材の溶接箇所に向けてスリッ
ト状の光を照射する投光器を含む構成する。
【0020】このように、被溶接部材にスリット状の光
を照射する投光器を設け、このスリット状の光が照射さ
れた被溶接部材をカメラが撮像することにより、自動溶
接倣い制御装置は、線状の画像を得ることができる。こ
の線状の画像を画像処理することにより、自動溶接倣い
制御装置は、被溶接部材の溶接箇所を検出することがで
きる。
【0021】更に、本発明の自動溶接倣い制御装置は、
カメラが撮像する被溶接部材の溶接箇所に向けて光を照
射する投光器を有し、この投光器は、被溶接部材にスリ
ット状の光を照射する第1の投光器と、カメラが撮像す
る被溶接部材の溶接箇所を一様に照射する第2の投光器
とを含み、電極を挟んで、電極の一方の側にカメラが配
置され、カメラの反対側に第1の投光器および第2の投
光器が配置され、かつ、カメラが、被溶接部材の溶接箇
所と電極とを同時に撮像できる位置に配置されている構
成とする。
【0022】このように、カメラと、第1の投光器およ
び第2の投光器との間に電極を配置して、かつ、カメラ
が電極を撮像できるようにすると、本発明の自動溶接倣
い制御装置は、第1の投光器から照射されたスリット状
の光の反射による線状の画像と、第2の投光器から照射
された光による電極のシルエットの画像とを得ることが
できる。これら線状の画像と、電極のシルエットの画像
を画像処理することにより、被溶接部材の溶接箇所の位
置と電極の位置とを検出することができ、電極とカメラ
の相対的な位置がずれた場合、撮像された画像におい
て、電極のシルエットの画像の位置が変わるので、電極
とカメラの相対的な位置のずれ量を検出することができ
る。
【0023】また、上記いずれかの構成の自動溶接倣い
制御装置を備えた自動溶接装置とすれば、被溶接部材の
溶接箇所に対する電極の位置決め精度を向上することが
できるので、自動溶接装置の電極の溶接線に対する倣い
精度を向上することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用してなる自動
溶接倣い制御装置を備えた自動溶接装置の一実施形態に
ついて、図1乃至図5を参照して説明する。図1は、本
発明を適用してなる自動溶接倣い制御装置を備えた自動
溶接装置の構成の概略を示した概略構成図である。図2
は、図1の矢印A方向から見た電極の周辺部の側面図で
ある。図3は、図1の自動溶接装置における溶接施工の
手順の概要を示すフローチャート図である。図4は、タ
ッチセンサで被溶接部材の位置のずれ量を検出する原理
を説明する図である。図5は、カメラが撮像した画像を
模式的に示した模式図である。
【0025】本実施形態の自動溶接装置は、図1に示す
ように、非消耗電極であるタングステン電極1(以下、
電極1と称する)、被溶接部材2である縦板3と下板4
との位置を検出するタッチセンサ5、縦板3と下板4に
スリット状の光を照射するスリット光投光器6、縦板3
と下板4に光を照射するハロゲンランプ7、そして、縦
板3と下板4の溶接位置を撮像するカメラ9などを含ん
で構成され、これら電極1、タッチセンサ5、スリット
光投光器6、ハロゲンランプ7、および、カメラ9など
は、図示しないヘッドに一体的に配設されている。更
に、本実施形態の自動溶接装置は、電極1などが一体的
に配設された図示しないヘッドを先端部に備えた多関節
ロボット11、この多関節ロボット11を駆動制御する
多関節ロボット制御装置13、スリット光投光器6の駆
動電源であるスリット光投光器駆動電源15、ハロゲン
ランプ7の駆動電源であるハロゲンランプ駆動電源1
7、タッチセンサ5を駆動制御するタッチセンサ制御器
19、溶接電源20、カメラ制御回路21、画像処理装
置23、モニタ25、そして、全体制御装置27などを
含み構成されている。
【0026】電極1は、溶接電源20と電気的に接続さ
れ、タッチセンサ5は、タッチセンサ制御器19と電気
的に接続されている。スリット光投光器6は、スリット
光投光器駆動電源15と電気的に接続され、ハロゲンラ
ンプ7は、ハロゲンランプ駆動電源17と電気的に接続
されている。カメラ9は、カメラ制御回路21と電気的
に接続され、カメラ制御回路21は、画像処理装置23
と電気的に接続され、画像処理装置23は、モニタ25
とも電気的に接続されている。多関節ロボット11は、
多関節ロボット制御装置13と電気的に接続され、多関
節ロボット制御装置13は、全体制御装置27と電気的
に接続されている。この多関節ロボット制御装置13と
電気的に接続されている全体制御装置27は、スリット
光投光器駆動電源15、ハロゲンランプ駆動電源17、
タッチセンサ制御器19、溶接電源20、そして、画像
処理装置23などととも電気的に接続されている。
【0027】タッチセンサ5は、被溶接部材2である縦
板3や下板4との接触を感知して、タッチセンサ制御器
19に信号を出すもので、例えば、検出接触子と被溶接
部材2との接触によって流れる微小電流を感知する方式
を用いることができる。スリット光投光器6は、例え
ば、半導体レーザと、半導体レーザから照射されるレー
ザ光をスリット状に収束するシリンドリカルレンズなど
により形成され、被溶接部材2に形成された溶接線28
とスリット光とのなす角度αが、ほぼ直交する状態でス
リット光を照射する。
【0028】スリット光投光器6により照射されるスリ
ット光とほぼ直交する溶接線28は、縦板3を下板4の
上に乗せた際の縦板3の側面と下板4の表面により形成
される被溶接部材2のコーナ部である。ここで、被溶接
部材2の座標系を、例えば、溶接線28に沿ったX軸
と、このX軸と水平面内で互いに直交するY軸と、これ
らX軸とY軸の双方に直交する垂直方向のZ軸とによる
直交3軸のワーク座標系とすると、略矩形に形成された
下板4は、上面がXY平面とほぼ平行に配置されるとと
もに、長手方向の軸がX軸にほぼ平行に配置され、略矩
形に形成された縦板3は、下板4の上面にほぼ垂直に立
てられ、長手方向の軸がX軸とほぼ平行に配置されてい
る。
【0029】ハロゲンランプ7は、広がりのある光を被
溶接部材2にほぼ均一照射して、カメラ9の撮影する範
囲をほぼ一様に照らす。カメラ9は、二次元受光手段で
あり、例えば、MOSやCCDカメラなどで構成され、
スリット光の発光波長のみを通過させる干渉フィルタ2
9が、着脱自在に備えられている。
【0030】多関節ロボット11は、例えば、屈伸自在
の関節や回転自在の関節などによりアームが互いに連結
され、6軸の動作自由度、つまり、6つの互いに独立な
ジョイントを有している。多関節ロボット11は、先端
部に設けられた図示しないヘッドを移動させることによ
り、ヘッドに設けられた電極1など自在に動かすことが
できる。図1の多関節ロボット11の丸印は、関節部で
あり、矢印が可動方向を示している。
【0031】溶接電源20は、多関節ロボット11の先
端部に設けられた電極1に電力を供給し、タッチセンサ
制御器19は、タッチセンサ5の駆動制御を行うととも
に、タッチセンサ5から送られる電気的な信号を処理す
る。カメラ制御回路21は、カメラ9の制御回路であ
り、画像処理装置23にアナログ映像信号、つまり、ア
ナログ画像信号を出力する。画像処理装置23は、図示
しない画像入力部、多値画像記憶部、微分または平滑化
微分処理部、演算処理部、そして、これらを統括的に制
御する主制御部などを含み構成されている。
【0032】画像処理装置23の図示しない画像入力部
は、カメラ制御回路21から出力されるアナログ画像信
号をデジタル量に変換、すなわち、A/D変換して、多
値画像データを多値画像記憶部に入力し、画像処理装置
23の図示しない多値画像記憶部は、入力された多値画
像データを記憶する。画像処理装置23の図示しない微
分または平滑化微分処理部は、多値画像記憶部に記憶さ
れた多値画像データにより、画像中の暗い部分から明る
い部分に変化するエッジ部、または、画像中の明るい部
分から暗い部分に変化するエッジ部で極大点、または、
極小点を抽出する。画像処理装置23の図示しない演算
処理部は、微分または平滑化微分処理部により抽出され
た極大点および極小点データから、境界位置を検出する
とともに、その境界位置検出データから、所定の電極1
の先端位置、開先の位置、および、電極1の先端位置に
対する開先の位置のずれ量を検出する。ここで、開先と
は、縦板3と下板4とが溶接される溶接線28と、この
溶接線28の近傍とを合わせた部分を意味するものであ
る。
【0033】モニタ25は、TVモニタであり、カメラ
制御回路21から出力された映像信号や、画像処理装置
23から出力された処理結果を表示する。全体制御装置
27は、多関節ロボット制御装置13、スリット光投光
器駆動電源15、ハロゲンランプ駆動電源17、タッチ
センサ制御器19、溶接電源20、および、画像処理装
置23を統括的に制御するものであり、パーソナルコン
ピュータなどで構成されている。また、全体制御装置2
7は、被溶接部材2となる縦板3、下板4を溶接するた
め予めティーチングした電極1の倣い目標位置を記憶し
ておく機能を有し、その電極1の倣い目標位置と、画像
処理装置23から得られる開先の位置ずれ情報から、電
極1の溶接狙い位置を決定するために、多関節ロボット
制御装置13へ電極1の狙い位置情報を出力する溶接線
倣い制御機能を備えている。更に、全体制御装置27
は、溶接電流、電圧、溶接速度などの溶接条件データを
記憶することができ、溶接開始前にこれらのデータを、
変更、または、修正することもできる。
【0034】このように、全体制御装置27は、電極1
を溶接線28に沿って倣わせる、いわゆる倣い制御動作
において、動作全体を管理する主局となり、多関節ロボ
ット制御装置13、タッチセンサ制御器19、溶接電源
20、そして、画像処理装置23などは、従局の関係に
ある。すなわち、従局の多関節ロボット制御装置13、
タッチセンサ制御器19、溶接電源20、画像処理装置
23などは、主局である全体制御装置27の指令によっ
て所定の動作を実行する。
【0035】予め設置された被溶接部材2の縦板3、下
板4の溶接線28に電極1の先端部が一致している場合
の電極1、タッチセンサ5、スリット光投光器6、ハロ
ゲンランプ7、および、カメラ9の配置について説明す
る。カメラ9、タッチセンサ5、電極1、スリット光投
光器6、そして、ハロゲンランプ7などは、図2に示す
ように、溶接線28に沿って配置されている。
【0036】電極1は、略棒状に形成され、この略棒状
の一方の端部に、被溶接部材との間にアークを形成する
先端部を備えている。この電極1は、溶接線28に対し
てほぼ直角に配置されるとともに、電極1の先端の位置
は、溶接線28の位置とほぼ一致している。スリット光
投光器6は、スリット光を電極1の先端の位置と一致す
る溶接線28の位置の手前の位置である開先コーナ位置
Paに照射する。スリット光が照射される開先コーナ位
置Paは、電極1の先端部に照射される位置の手前の位
置、つまり、電極1の先端の位置と一致する溶接線28
の位置の近傍で、かつ、スリット光投光器6側の位置で
ある。ハロゲンランプ7は、広がりのある光を、電極1
の先端部の近傍に向けて照射している。カメラ9は、電
極1の先端部に向けて配置され、開先に対し斜め上方か
ら電極、および、開先を撮像する。
【0037】すなわち、電極1を挟むように配置された
カメラ9とスリッ光投光器6、ハロゲンランプ7は、そ
れぞれ電極1の先端部を撮影できる方向、スリット光を
電極1の先端部の手前側の開先コーナ位置Paに照射で
きる方向、広がりのある光を電極1の先端部の周囲に照
射できる方向に向けて配置されている。
【0038】タッチセンサ5は、電極1と同様に略棒状
に形成され、この略棒状の一方の端部に、被溶接部材と
の接触を感知する先端部を備えている。この先端部がタ
ッチセンサ5の軸方向に沿って、自在に伸縮する構造と
なっており、このタッチセンサ5の先端部は、通常、電
極1の先端部より上方に位置しているが、縦板3、下板
4の位置を検出するときに、伸張して電極1の先端部よ
り下方に突出する。また、電極1の中心軸とタッチセン
サ5の中心軸とは、ほぼ平行に配設されている。
【0039】ここで、本実施形態の自動溶接倣い制御装
置および自動溶接装置の動作、および、本発明の特徴部
について説明する。本実施形態の自動溶接倣い制御装置
は、図3に示すように、予め設置された被溶接部材の位
置に応じて、溶接開始位置、溶接終了位置、タッチセン
サ5の移動開始位置Pt、カメラ9の検出位置P、基
準開先位置Wなどをティーチングにより設定する手順
1と、このティーチングをしたときの被溶接部材2の位
置と実際に設置された被溶接部材2の位置とのずれ量を
タッチセンサ5により検出する手順2と、このタッチセ
ンサ5により検出されたずれ量に応じてカメラ9の検出
位置Pを補正して、この検出位置Pが補正されたカ
メラ9により、ティーチングをしたときの被溶接部材2
の開先の位置と実際に設置された被溶接部材2の開先の
位置とのずれ量を検出する手順3と、このカメラ9によ
り検出された開先のずれ量に基づいて電極1を倣い、溶
接を行う手順4とに大別される溶接施工手順により、被
溶接部材2の溶接を行う。
【0040】手順1は、図3に示すように、溶接開始位
置、溶接終了位置、タッチセンサ5の移動開始位置Pt
などを設定する工程S1、開先コーナ位置に電極1の先
端位置を合わせる工程S2、画面上での基準開先位置W
の計測し、この計測した基準開先位置Wを記憶する
工程S3を含んでいる。手順2は、タッチセンサ5を移
動開始点Ptに誘導する工程S4と、タッチセンサ5で
開先粗位置ずれ量(Δy,Δz)を検出する工程S5を
含んでいる。手順3は、手順2の検出情報である開先粗
位置ずれ量(Δy,Δz)を基に、カメラ9を位置ずれ
検出位置Pに誘導する工程S6と、カメラ9が撮像し
た画面上での開先位置ずれ量(ΔI,ΔJ)を計測する
工程S7と、開先面上の座標系での開先位置ずれ量(Δ
,Δz)に変換する工程S8と、多関節ロボット
11の座標系での位置ずれ量に変換する工程S9とを含
んでいる。手順4は、多関節ロボット11の座標系に変
換された位置ずれ量に基づき、電極1を倣って溶接する
工程S10を含んでいる。
【0041】手順1は、溶接開始位置、溶接終了位置、
タッチセンサ5の移動開始位置Pt、カメラ9の検出位
置P、基準開先位置Wなどをティーチングにより設
定する作業、つまり、予め多関節ロボット11を手動で
動作させ、多関節ロボット11が行う予定の動作の順
序、位置、その他の情報などを予め記憶させる作業であ
る。
【0042】手順1の工程S1は、溶接開始位置、溶接
終了位置、タッチセンサ5の移動開始位置Ptをティー
チングにより設定する工程である。まず、作業者は、電
極1を移動させ、予め設置された縦板3と下板4の溶接
線28に対して、ティーチングにより溶接開始位置、お
よび、溶接終了位置などを設定する。そして、作業者
は、図4に示すように、予め設置された縦板3、下板4
の位置を検出するタッチセンサ5の移動開始位置Ptを
ティーチングにより設定し、この移動開始位置Ptから
タッチセンサ5が検出した縦板3の位置P20と、下板
4の位置P30を記憶させる。このティーチング作業の
ときの縦板3、下板4を基準ワークとする。図4におい
て、基準ワークである縦板3、下板4は、ティーチング
を行うために予め設置された被溶接部材2であり、縦板
3´、下板4´は、予め設置された被溶接部材2に対し
て、溶接を行うために実際に設置された被溶接部材2´
である。
【0043】縦板3の位置P20は、タッチセンサ5の
移動開始位置Ptから、Y軸に沿って縦板3に向かっ
て、タッチセンサ5を移動させたとき、タッチセンサ5
と縦板3とが接触する位置とする。また、下板4の位置
30は、タッチセンサ5の検出開始位置Ptから、Z
軸に沿って下板4に向かって、タッチセンサ5を移動さ
せたとき、タッチセンサ5が下板4とが接触する位置と
する。また、溶接する時の電極1の狙い位置や狙い角度
は、溶接法や溶接姿勢により適宜変更することができ
る。
【0044】手順1の工程S2は、開先コーナ位置、つ
まり、溶接線28に電極1の先端部を合わせる工程であ
る。また、手順1の工程S3は、カメラ9が撮像した画
像での基準開先位置Wの計測し、この計測した基準開
先位置Wを記憶する工程である。
【0045】手順1では、予め設置された被溶接部材2
の対し、ティーチング作業が行われるが、実際の溶接作
業においては、ティーチングにより記憶させた動作を読
み出して繰り返させるため、ティーチング作業が行われ
た被溶接部材2の位置に、実際に溶接する被溶接部材2
´を、正確に設置しなければならない。しかし、実際に
溶接する被溶接部材2´を、正確に設置するには時間が
かかり、毎回正確に設置するのは困難である。このた
め、予め設置された被溶接部材2の位置に対して、実際
に設置された被溶接部材2´の位置がずれる場合があ
る。このずれに対応して、ティーチングで設定した電極
1の位置などを補正してやれば、ティーチングで設定し
た動作で、被溶接部材2´の溶接線28´に十分な精度
で倣うことができる。
【0046】手順2、3の作業は、予め設置された被溶
接部材2の位置と、実際に設置された被溶接部材2´の
位置とのずれ量を検出し、この検出されたずれ量に基づ
きティーチングで設定した電極1の位置などを補正する
ものである。
【0047】手順2の工程S4は、タッチセンサ5を移
動開始点Ptに誘導、つまり、タッチセンサ5が縦板3
´および下板4´の位置を検出するときの移動開始点P
tに、タッチセンサ5の先端部を移動させる工程であ
る。また、手順2の工程S5は、タッチセンサ5で開先
粗位置ずれ、つまり、図4に示すように、ティーチング
をしたときの縦板3と実際に設置された縦板3´とのY
軸方向の距離Δyと、ティーチングをしたときの下板4
と実際に設置された下板4´とのZ軸方向の距離Δzと
を検出する工程である。
【0048】手順3の工程S6は、手順2の工程S5に
おける検出情報(Δy,Δz)、つまり、タッチセンサ
5が検出した開先粗位置ずれ量(Δy,Δz)に基づ
き、ヘッドに設けられたカメラ9の位置を、位置ずれ検
出位置Pから位置ずれ検出位置P、に補正し、補正
された位置ずれ検出位置Pに、カメラ9を移動させる
工程である。つまり、ティーチング作業を行ったときの
被溶接部材2の溶接線28の位置は、実際に設置された
被溶接部材2´の位置が、Y軸方向にΔy、Z軸方向に
Δzずれることにより、実際に設置された被溶接部材2
´の溶接線28´の位置となり、このティーチング作業
を行ったときの被溶接部材2の溶接線28の位置と、実
際に設置された被溶接部材2´の溶接線28´の位置と
のずれ量を検出するのに、縦板3´、下板4´を撮像す
る位置ずれ検出位置Pにカメラ9を移動させる工程で
ある。手順3の工程S7は、位置ずれ検出位置Pで、
カメラ9が撮像して得た画面上で開先位置ずれ量(Δ
I,ΔJ)を計測する工程である。
【0049】手順3の工程S8は、画面上の座標系を、
開先面上の座標系、つまり、基本ワークである被溶接部
材2の座標系に変換し、画面上の座標系での開先位置の
ずれ量(ΔI,ΔJ)から、基本ワークの座標系での開
先位置のずれ量(Δy,Δz)に変換する工程であ
る。手順3の工程S9は、基本ワークの座標系での開先
位置のずれ量(Δy,Δz)を、多関節ロボット1
1の座標系での位置ずれ量に変換する工程である。
【0050】手順4の工程S10は、工程S9で多関節
ロボット11の座標系に変換された位置ずれ量に基づ
き、予めティーチングにより設定した溶接線28を補正
して、この補正した溶接線28´に電極1を倣わせて縦
板3´と下板4´の開先を溶接する工程である。
【0051】手順4の後工程である工程S11は、工程
S10後に溶接が終了したかどうかを判断する工程であ
る。次の溶接工程がなければ、工程S11で溶接終了と
判断し、溶接作業が終了する。次の溶接工程がある場
合、溶接作業が終了していないと判断し、次の溶接位置
に移動する工程S12を行い、工程S4へ戻る。このよ
うに、次の溶接工程がなくなるまで、つまり、溶接作業
が終了するまで、工程S4から工程S12を繰り返す。
手順1の工程S2、S3は、溶接開始前にのみ実行する
処理で、ヘッドを構成する各部の相対的な位置ずれを起
こさない限り、繰り返さない。
【0052】ここで、手順2のタッチセンサ5による開
先の粗位置ずれ検出の原理を説明する。手順2の工程S
4において、タッチセンサ5は、図4に示すように、手
順1の工程S1で、ティーチングにより設定された移動
開始点Ptに誘導される。工程S5おいて、例えば、テ
ィーチングしたときの被溶接部材2を縦板3、下板4と
し、その縦板3と下板4の溶接線28とすると、実際に
セッティングされた縦板3´、下板4´の配置がy方向
にΔy、z方向にΔzずれている場合、タッチセンサ5
は、移動開始点PtからY軸方向に沿って縦板3´の方
向、つまり、水平に縦板3´に向かって移動し、縦板3
´と接触して、縦板3´とタッチセンサ5が接触する位
置P21を検出する。縦板3´とタッチセンサ5が接触
する位置P21を検出した後、タッチセンサ5は、移動
開始点Ptに戻り、移動開始点PtからZ軸方向に沿っ
て下板4´に向かって、つまり、垂直下向きに下板4´
に向かって移動し、下板4´と接触して、下板4´とタ
ッチセンサ5が接触する位置P31を検出する。これに
より、ティーチング時の縦板3´と実際に設置された縦
板3´との水平方向、つまり、Y軸方向のずれ量Δy
と、ティーチング時の下板4と実際に設置された下板4
´との垂直方向、つまり、z軸方向のずれ量Δzを検出
することができる。
【0053】手順3の工程S6において、タッチセンサ
5が検出した開先粗位置ずれ量(Δy,Δz)に基づ
き、予めティーチングにより設定したカメラ9の位置、
つまり、位置ずれ検出位置Pを、位置ずれ検出位置P
に修正し、この位置ずれ検出位置Pの位置にカメラ
9を移動し、工程S7において、カメラ9で開先位置の
ずれ量を詳細に検出する。
【0054】ここで、手順3のカメラ9を用いて開先位
置のずれ量を検出する方法について説明する。カメラ9
が撮像した画像には、図5に示すように、電極のシルエ
ット像である電極像D、電極先端位置D(ID1,J
D1)、スリット光による縦板3´からの散乱像L
スリット光による下板4´からの散乱像L、ハロゲン
ランプ7による縦板3´からの散乱像K、ハロゲンラ
ンプ7による下板4´からの散乱像K、基準開先位置
(Iw0,Jw0)、開先位置W(I ,J
w1)、そして、縦板3´と下板4´との境界部に発生
したギャップGなどが表示されている。
【0055】この画像は、カメラ9の前面に設けられた
干渉フィルタ29を取り外して得られものであり、明る
い部分、つまり輝度が高い部分を白、暗い部分、つま
り、輝度が低い部分を黒として表現している。本実施形
態では、スリット光の散乱像L 、Lの像が最も明る
く、散乱像K、Kの像がスリット光の散乱像L
の像の次に明るくなるように、スリット光投光器6
とハロゲンランプ7の照射光量を調整して各々を照射し
ている。カメラ9は、電極1を挟んでハロゲンランプ7
と反対側に配置しているため、逆光となり、電極1は、
画面において、輪郭内も暗いシルエットとなって観測さ
れる。このように、電極1の画像が、電極像Dのように
シルエット像となると、画像処理による電極先端位置D
(ID1,JD1)、の位置の検出が容易になる。
【0056】また、本実施形態の自動溶接装置の画像
は、IJ座標を有しており、左から右に向かって横方向
に座標I、上から下に向かって縦方向に座標J、画像の
左上の角をIJ座標(0,0)としている。開先基準位
置W(Iw0,Jw0)は、図2に示すように、電極
1の先端が、被溶接部材2の開先コーナ位置Paに一致
した際のスリット光の散乱像L、Lの画像上での交
点座標である。この電極1の先端が、開先コーナ位置P
aに一致したときのスリット光の散乱像L、L の画
像上での交点座標を基準開先位置Wと称する。基準開
先位置W(I ,Jw0)は、予め、手順1の工程
S1において、電極1の先端を開先コーナ位置Paに一
致させ、画像処理により計測し、図5に示すように、記
憶させておく。このときの開先コーナ位置Paの座標
も、多関節ロボット11の座標系で予め記憶させてお
く。
【0057】開先位置W(Iw1,Jw1)は、ティ
ーチングしたときの被溶接部材2である縦板3と下板4
に対して、撮像している被溶接部材2´の縦板3´と下
板4´の開先位置にずれが発生している場合のスリット
光の散乱像L、Lの画像上における交点座標であ
る。
【0058】縦板3´と下板4´とがともに、縦板3と
下板4に対して、Y軸方向にΔy、Z軸方向にΔzずれ
たときには、図2に示すように、スリット光の照射位置
は、開先コーナ位置Paから開先コーナ位置Pbに変化
する。すなわち、被溶接部材2のコーナ部に形成された
溶接線28は、図4に示すように、被溶接部材2´のコ
ーナ部に形成された溶接線28´に変化する。この結
果、溶接線28の位置は、図5に示すように、カメラ9
の画面上で開先基準位置Wから開先位置Wに変化す
る。このため、次式により画面上での開先の位置ずれ量
(ΔI,ΔJ)を検出することができる。
【0059】 ΔI= IW0 − IW1 ΔJ= JW0 − JW1 さらに、画面上の開先の位置ずれ量(ΔI,ΔJ)は、
スリットを照射するスリット光投光器6とカメラ9の幾
何学的な配置、カメラ9の撮像倍率などから、開先面上
の座標系(Y,Z)での開先位置ずれ量(Δy,Δz
)に変換する。
【0060】ここで、開先位置を検出するためのスリッ
ト光の画面上の交点を求める一方法を説明する。スリッ
ト光の散乱像L、Lを水平方向に微分処理すると、
輝度が低い点から高い点に変化するスリット光の散乱像
、Lの左側境界部分では極小値となり、輝度が高
い点から低い点に変化するスリット光の散乱像L、L
の右側の境界部分では極大値となる。この極大値、極
小値を検出してやることにより、スリット光の散乱像L
、Lの位置を見つけることが可能となる。この方法
で直線となるスリット光の散乱像L上の任意の2ポイ
ント(PL1S,PL1E)と、スリット光の散乱像L
の任意の2ポイント(PL2S,P 2E)を求め
る。さらに、PL1SとPL1Eを結ぶ直線と、P
L2SとPL2 を結ぶ直線のと交点を計算することに
よって開先位置Wを求めることが可能となる。
【0061】このように、本実施形態の自動溶接倣い制
御装置では、溶接開始前に、ティーチングにより設定さ
れた被溶接部材2の位置と、実際に設置された被溶接部
材2´の位置とのずれ量をタッチセンサ5により検出
し、この検出された位置ずれ情報に基づいて、カメラ9
の位置を補正して、この補正された位置でカメラ9が撮
影した画像により、ティーチングにより設定された被溶
接部材2の位置と実際に設置された被溶接部材2´の位
置とのずれ量を検出し、この検出された位置ずれ情報に
基づき、電極1の狙い位置を補正して、電極1の倣い制
御を行うので、自動溶接装置の倣い精度を向上すること
ができる。つまり、タッチセンサ5で大まかな開先位置
のずれ量を検出し、カメラ9の位置を補正しているの
で、カメラ9は、高い倍率で被溶接部材2´を観測でき
る。これにより、自動溶接倣い制御装置のずれ量の検出
精度を向上することができ、溶接の倣いの精度を向上す
ることができる。
【0062】更に、本実施形態の溶接装置によれば、被
溶接部材2の溶接長が比較的短い場合、被溶接部材2の
セッテイング時に予めティーチングした溶接線28に対
して、溶接すべきラインがずれても、溶接線28の溶接
開始点のみ、あるいは溶接線28の溶接開始点と溶接終
了点、あるいは溶接線28の中間点等における開先位置
のずれ量を検出し、溶接前に電極1と溶接すべき溶接線
28とのずれを正確に計測し、これらの情報のいずれか
を使用してティーチングで設定した溶接線28を修正
し、電極1を正しく倣わせて溶接することによって、品
質の良い溶接ビードを得ることが可能である。
【0063】これに対して、溶接中に溶接線28を観察
しながら倣い動作を補正する方法では、溶接線28に沿
って、随時、ずれ量などを検出し、それを倣い動作に反
映させなければ、電極を正しく溶接線28に倣わせるこ
とは難しい。このため、溶接前に溶接線28の溶接開始
点、中間点、溶接終了点などの位置から、溶接線28の
全体のずれ量を検出し、補正する本発明の自動溶接装置
に比べ、倣い制御が複雑になってしまう。
【0064】更に、本実施形態の自動溶接倣い制御装置
は、溶接前に、ティーチングにより設定した被溶接部材
2の位置と、実際に設置された被溶接部材2´の位置と
のずれ量を検出して、ティーチングにより設定した動作
を補正するので、溶接中に強いアーク光を受けながらカ
メラが撮影した画像を補正に使用しなくともよい。その
ため、補正に用いる画像にアーク光の影響などによる検
出誤差が生じないため、安定した倣い制御をすることが
でき、倣いの信頼性を向上することができる。
【0065】更に、本実施形態の自動溶接倣い制御装置
は、タッチセンサ5を多関節ロボット11により移動さ
せて、被溶接部材2´の位置を検出するので、タッチセ
ンサ5の移動範囲を大きくすることにより、検出範囲が
広くなり、ティーチングした被溶接部材2の位置に対し
て、実際に設置された被溶接部材2´の位置が大きくず
れた場合でも、ティーチングした被溶接部材2の位置と
実際に設置された被溶接部材2´の位置とのずれ量を検
出することができる。
【0066】加えて、本実施形態の自動溶接装置によれ
ば、倣い精度と信頼性が向上するので、自動で溶接の倣
い作業を行うことができ、無人溶接が可能となり、溶接
作業を省力化することができる。
【0067】更に、本実施形態の自動溶接倣い制御装置
のカメラ9は、ハロゲンランプ7により、電極1のシル
エット像である電極像Dを撮影することができるので、
電極先端位置D(ID1,JD1)の位置を検出する
ことができ、電極1の消耗や交換、あるいは、電極1に
付着物がついて電極先端位置D(ID1,JD1)の
位置が、多関節ロボット11の座標系において変化して
も、画像により電極1の先端の位置ずれを検出できるの
で、この検出した位置ずれ量に基づき電極1の先端位置
を補正することができる。
【0068】更に、本実施形態の自動溶接装置は、拡散
光により被溶接部材2が明るくなるので、作業者が、モ
ニタの画面上で、被溶接部材2の溶接線28やビードな
どを目視することが可能となり、作業性が向上する。
【0069】また、本実施形態の自動溶接装置は、非消
耗電極1を用いたタングステンイナートガスアーク溶
接、いわゆる、ティグ溶接の自動溶接装置であるが、非
消耗電極1に代わり、消耗電極、例えば、溶接ワイヤを
用いてメタルイナートガスアーク溶接、いわゆる、ミグ
溶接などの自動溶接装置とすることもできる。
【0070】また、実施形態の自動溶接装置は、多関節
ロボット制御装置13、スリット光投光器駆動電源1
5、ハロゲンランプ駆動電源17、タッチセンサ制御器
19、カメラ制御回路21、画像処理装置23、モニタ
25などを含む他の制御器を統括的に制御する全体制御
装置27を有して構成されているが、多関節ロボット制
御装置13、タッチセンサ制御器19、および統括全体
制御装置27などを一体とする構成とすることもでき
る。
【0071】また、自動溶接倣い制御装置の多関節ロボ
ット11は、本実施形態の多関節ロボットに限定するこ
となく、例えば、溶接線28方向、つまり、X軸方向に
沿った走行軸を有する溶接ロボット、走行軸を持たず平
面上を自立して走行する自走式溶接ロボット、直行軸を
有する溶接ロボット、または配管の外周に設けた走行軸
上を走行するロボット等とすることもできる。
【0072】また、本実施形態の自動溶接装置は、電極
1、タッチセンサ5、スリット光投光器6、ハロゲンラ
ンプ7、および、カメラ9などを、それぞれ別の多関節
ロボットなどに設けて、それぞれ自在に動かすこともで
きるが、電極1、タッチセンサ5、スリット光投光器
6、ハロゲンランプ7、および、カメラ9などは、ヘッ
ドに一体的に配設し、このヘッドを多関節ロボット11
などにより自在に動かす方が、それぞれの多関節ロボッ
トを別々に制御するのに比べ、制御を簡素化できるので
好ましい。
【0073】また、タッチセンサ5は、開先位置を検出
する時のみ先端部が下方位置にくるように配置し、それ
以外は先端部を待避させた位置に配置できるように先端
部が上下に自在に伸縮する構造としたが、本実施形態の
タッチセンサ5の構成に限らず、タッチセンサ5の本体
が自在に伸縮する構造とすることもできる。要は、タッ
チセンサ5は、検出時に、電極1と被溶接部材2の間に
位置し、それ以外のときは、電極1と被溶接部材2の間
にないような構成とすることもできる。
【0074】また、本実施形態の自動溶接装置は、被溶
接部材2の溶接線28に隅肉溶接を施してT継手を形成
するものであるが、被溶接部材2の形状および構成は、
T継手に限定されるものではなく、タッチセンサ5によ
り被溶接部材2の位置を検出することができる被溶接部
材2の形状、配置であればよい。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、自動溶接倣い制御装置
において、被溶接部材の溶接箇所に対する電極の位置決
め精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる自動溶接倣い制御装置を
備えた自動溶接装置の構成の概略を示した概略構成図で
ある。
【図2】図1の矢印A方向から見た電極の周辺部の側面
図である。
【図3】図1の自動溶接装置における溶接施工の手順の
概要を示すフローチャート図である。
【図4】タッチセンサで被溶接部材の位置のずれ量を検
出する原理を説明する図である。
【図5】カメラが撮像した画像を模式的に示した模式図
である。
【符号の説明】 1 電極 5 タッチセンサ 6 スリット光投光器 7 ハロゲンランプ 9 カメラ 11 多関節ロボット 23 画像処理装置 25 モニタ 27 全体制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉井 康方 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被溶接部材との間にアークを形成する電
    極と、 該電極を移動させる電極移動手段と、 被溶接部材の位置を検出するタッチセンサと、 該タッチセンサで検出した被溶接部材の位置に応じて、
    該被溶接部材の溶接箇所を撮影するカメラとを含み、 前記カメラが撮像した画像に基づいて、前記電極移動手
    段が前記電極の位置を制御する溶接自動倣い制御装置。
  2. 【請求項2】 タッチセンサで被溶接部材の溶接箇所の
    位置を検出し、該タッチセンサで検出された溶接箇所の
    位置に応じてカメラの位置を決定し、該決定された位置
    で前記カメラは溶接箇所を撮像し、前記カメラが撮像し
    た画像から溶接箇所の精密な位置を算出し、該算出され
    た溶接箇所の精密な位置に基づいて電極の位置を制御す
    る溶接自動倣い制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の溶接自動倣い
    制御装置において、前記カメラの位置は、予め設定され
    た被溶接部材の設置位置に対応して設定されており、前
    記タッチセンサは、被溶接部材が実際に設置された位置
    を検出し、該検出された実際の被溶接部材の設置位置に
    応じて、前記カメラの位置を補正することを特徴とする
    溶接自動倣い制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
    溶接自動倣い制御装置において、前記電極の位置は、予
    め設定された被溶接部材の設置位置に対応して設定さ
    れ、前記カメラは、実際に設置された被溶接部材の溶接
    箇所を撮像し、該撮像した実際に設置された被溶接部材
    の溶接箇所の画像に基づいて、前記予め設定された被溶
    接部材の溶接箇所の位置と実際に設置された被溶接部材
    の溶接箇所の位置とのずれ量を算出し、該算出されたず
    れ量に基づいて、前記予め設定された電極の位置を補正
    することを特徴とする溶接自動倣い制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の
    溶接自動倣い制御装置は、前記カメラが撮像する被溶接
    部材の溶接箇所に向けてスリット状の光を照射する投光
    器を含むことを特徴とする溶接自動倣い制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の
    溶接自動倣い制御装置を備えたことを特徴とする自動溶
    接装置。
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CN115213524A (zh) * 2022-08-27 2022-10-21 湘潭大学 一种磁控tig电弧接触式双传感融合焊缝跟踪方法

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