JP2003029101A - 光ファイバ製造方法及び光ファイバ製造装置 - Google Patents

光ファイバ製造方法及び光ファイバ製造装置

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JP2003029101A
JP2003029101A JP2001217890A JP2001217890A JP2003029101A JP 2003029101 A JP2003029101 A JP 2003029101A JP 2001217890 A JP2001217890 A JP 2001217890A JP 2001217890 A JP2001217890 A JP 2001217890A JP 2003029101 A JP2003029101 A JP 2003029101A
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】解決しようとする課題は、高速度で走行する光
ファイバに効率良く電子線を吸収させて表面に塗布した
被覆材を瞬時に硬化させ、狭いスペースに於いて生産速
度を高めた光ファイバ製造方法及び光ファイバ製造装置
を提供することである。 【解決手段】本発明では、高真空状態に維持された真空
領域内に設けられた陰極から放出された電子を、電子通
過孔を有する陽極との間で加速して、前記の真空領域の
外部に取り出す為の電子透過窓を透過させ、透過した電
子を電子透過窓と同軸的に配設した電磁石によって光フ
ァイバに集中させることによって光ファイバへの命中率
を高めた光ファイバ被覆材硬化装置を実現している。電
子透過窓を含む面を光ファイバ通路と交叉させて設けて
おり、全長を伸ばすことなく光ファイバの生産速度を増
せるようになっている。又、電子透過窓における電子密
度を小さくして電子透過窓が過熱されるのを防止して信
頼性を向上させている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、光ファイバ裸線の
表面に塗布した被覆材を硬化させるために全周囲方向か
ら多量の電子を光ファイバ被覆材に集中して照射する光
ファイバ製造方法又は光ファイバ製造装置であって、特
に、高速度で走行する光ファイバ裸線の表面に塗布した
被覆材に命中する電子線の線量率を増して処理速度を大
幅に増すとともに、光ファイバに熱やX線を与え難くし
て光ファイバの伝送特性の劣化を防止したことを特徴と
する光ファイバ製造方法又は光ファイバ製造装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の光ファイバ製造方法は図17に示
すように、以下のように行われている。即ち、公開特許
公報、特開平10−59749号公報に記載の様に、光
ファイバ母材2001を約2000℃の加熱炉2002
で溶融しながら線引きし、この結果得られたファイバ裸
線2003の外径を外径測定器で測定した後に、冷却管
2004を通過させて100℃以下の温度にまで冷却す
る。次いで、硬化後のヤング率が0.1〜1kg/mm
と比較的低く、且つ石英ガラスよりも高屈折率の紫外
線硬化型あるいは熱硬化型の樹脂(一次被覆材)を樹脂
塗布装置2005で塗布する。その後、樹脂を塗布した
光ファイバ2006を樹脂硬化装置2007に通過させ
て前記の樹脂を硬化させ、1層の被覆層を有する被覆光
ファイバ2008とする。更に、この被覆光ファイバ2
008に、硬化後のヤング率が10〜80kg/mm
程度に比較的高い紫外線硬化型あるいは熱硬化型の樹脂
(二次被覆材)を樹脂塗布装置2009で塗布し、次い
でこの樹脂を塗布した光ファイバ2010を樹脂硬化装
置2011に通過させて前記樹脂を硬化させ、2層の被
覆層を有する光ファイバ芯線2012とする。しかる
後、光ファイバ芯線20を図示しない引取りキャプスタ
ンで引取り、図示しない巻き取りボビンに巻き取る。こ
の光ファイバ芯線を複数並べてテープ化材で被覆して光
ファイバとして使用される。本明細書に於いては、特に
明記しない場合には、光ファイバ裸線、光ファイバ芯
線、及び光ファイバを単に光ファイバと言う。また、光
ファイバ裸線は光ファイバ芯線のコアを意味している。
【0003】光ファイバに塗布する樹脂としては、熱硬
化性樹脂や、紫外線硬化性樹脂が通常良く用いられてい
るが、近年ではより高速で線引きしても硬化できること
から、紫外線硬化樹脂を用いることが多い。光ファイバ
に紫外線硬化性樹脂を被覆する場合には、前記の樹脂塗
布装置2005、2009内に紫外線硬化性樹脂を供給
し、前記の樹脂硬化装置2007、2011によって紫
外線ランプから発生した紫外線によって紫外線硬化性樹
脂を硬化する。この樹脂硬化装置2007、2011は
紫外線硬化性樹脂を塗布した光ファイバ2006、20
10が内部を通過する石英管2013、2015と、そ
の石英管2013,2015の外側から紫外線を照射す
る紫外線ランプ2014、2016、と内面に紫外線反
射層を有した外壁を具備する装置である。公開特許公
報、特開平10−59749号公報に開示されているよ
うに、前記の樹脂硬化装置2007、2011による紫
外線硬化樹脂の硬化反応は、タール状有機物の発生を伴
うものであり、発生したタール状有機物は前記石英管の
内壁に付着し、石英管を透過する紫外線の強度を弱めて
しまう。紫外線強度が弱まると樹脂の硬化が不完全にな
るという問題が生じてしまう為、前記石英管内の雰囲気
を強制排気すること等によってタール状有機物を石英管
外へ除去することが行われている。
【0004】近年、光ファイバの製造速度を高めること
が注目されており、一次被覆材、二次被覆材とも低エネ
ルギーで硬化する樹脂が公開特許公報、特開2001−
89200号公報に提案されており、この樹脂は電子線
で硬化することが記載されている。同公報には、この電
子硬化性の樹脂を20〜65μmの厚さで光ファイバ裸
線に塗布して、150kV以下の加速電圧で加速した電
子線を30kGy以下の線量を照射することによって光
ファイバ用被覆材を硬化する方法が提案されている。ま
た、公開特許公報、特開2000−344844号公報
には、ポリエーテルポリウレタン(メタ)アクリレート
オリゴマーを含むヤング率が低くてヤング率の変化が小
さく低粘度であり、光ファイバの一次被覆材として有用
な樹脂組成物が提案されており、これは電子線で硬化す
る旨の記述がある。また、電子線のエネルギーが150
keV以下の場合には、電子線が光ファイバ裸線に到達
せず、光ファイバの伝送損失の増加が10%以下に抑え
られることが公開特許公報、特開2000−30498
7号公報に記述されている。
【0005】一般に、上記のようにして得られる光ファ
イバ芯線は複数並列させられて光ファイバとして使用さ
れるが、公開特許公報、特開2001−116967号
公報には、これら光ファイバ芯線を電子線硬化性テープ
化材で被覆し、このテープ化材を電子線によって硬化し
て光ファイバの伝送損失の増加を10%以下に抑える方
法が提案されている。これは、電子のエネルギーを19
0keV以下に制限して、電子が光ファイバ裸線に到達
しないようにして達成されている。
【0006】上記のように、電子線を照射して光ファイ
バの被覆材を硬化させる場合には光ファイバ裸線に電子
線が到達しないように低エネルギーの電子線を用いる必
要があり、光ファイバの全周囲方向から均一な量の電子
線を光ファイバに命中させる必要がある。上記の光ファ
イバの被覆材に電子線を照射すると瞬時に硬化するが、
この為には30kGy程度の線量が必要であり、硬化処
理速度を増すためには短時間に多量の電子線を細いファ
イバに命中させる必要がある。
【0007】この為の装置として、公開特許公報、特開
2001−89199号には、新しいアイデアが提案さ
れている。これは、断面が中空扇形状、円形状又は楕円
形状の電子透過窓を設けて、これを取り囲むように円弧
状、円形リング状、楕円形リング状又は螺旋状に設けた
フィラメントから熱電子を放出して、これらの電子透過
窓とフィラメントの間にグリッドを設けて前記の電子を
前記のフィラメントの中心部に向かって直進させ、前記
の電子透過窓を透過させた後に、この装置の中心部を走
行する電子線硬化性被覆材を塗布した光ファイバに照射
する装置である。この提案では、電子透過窓を含む面は
光ファイバ通路と交わらないように作られていることは
明らかである。
【0008】この装置では、電子透過窓が中空扇形状、
円形状又は楕円形状の断面を有する形状であり、電子透
過窓が極めて薄い金属その他の材質から作られることを
考えると製造が極めて困難であり、実現性に乏しい。ま
た、電子透過窓の特定の部分から飛来した電子の大部分
は光ファイバに命中することなく電子透過窓の対向する
面に入射するために、電子透過窓が過熱されて電子透過
窓が高温度になる。この高温度の為に電子透過窓の信頼
性が悪化するだけでなく、電子透過窓を透過した電子の
内で光ファイバに命中する電子の数は極めて少量であ
り、被覆材の硬化処理速度を高める為には、光ファイバ
に沿って長い距離にわたって電子線を照射する必要があ
り、装置が大型になり、高価な装置となる。更に、電子
透過窓を透過した電子が周囲の金属に衝突してX線が発
生され、このX線が光ファイバ裸線に到達して光の伝送
特性を悪化させる。更に、電子透過窓は500℃以上の
高温度になり、その輻射熱が光ファイバに直接照射さ
れ、被覆材の蒸発や飛散が発生し、電子透過窓窓に到達
してこれを劣化させる問題がある。
【0009】前記のように電子線で硬化する光ファイバ
被覆材はすでに開発されているにもかかわらず電子線硬
化性被覆材を電子線を照射して硬化させる工程を含む光
ファイバの製造方法が実用化されていない理由は、これ
に適した電子線照射装置が開発されていないことによ
る。例えば、公開特許公報、特開2000−30498
7号公報に記載のように、外径125μmの光ファイバ
裸線に一次被覆材を外径が180μmになるように塗布
し、更にその上に二次被覆材を外径が250μmになる
ように塗布した後に、これに加速電圧100kVで加速
した電子線を線量30kGyだけ吸収させて硬化させた
例を開示している。この例では、光ファイバの製造速度
が記載されていないが、外径が250μmと細い為に、
電子透過窓を透過した電子の内で光ファイバの被覆材に
命中する電子の数の比率は、幾何学的な計算から0.5
%以下であるので、光ファイバの製造速度を高めるのは
極めて困難であった。例えば、公開特許公報、特開20
01−89199号公報に記載の様に2000m/分の
速度で走行する上記の寸法の光ファイバ被覆材に線量3
0kGyの電子線を命中する為には、光ファイバ被覆材
の断面積は3.67x10−4cmであるので、光ファ
イバ被覆材の密度を1.1g/cmとすると、光ファ
イバ被覆材に命中する電子線のパワーは40.3Wであ
る必要がある。上記の通り、光ファイバの被覆材に命中
する電子の数が0.5%であるとすると、電子透過窓に
入射すべき電子線のパワーは8060Wとなる。一般
に、電子透過窓にはチタニューム箔が用いられており、
例えば10μmのチタニューム箔の場合には、温度計算
の結果、20W/cmのパワー密度まで許容されるこ
とが判っているので、電子透過窓の面積は403cm
必要であり、この表面に均一な密度で電子を入射する必
要がある。
【0010】公開特許公報、特開2001−89199
号公報に記載のように、光ファイバを取り囲んで設けら
れた、断面が最も小さい直径5mmの円形状である円筒
状の電子透過窓の場合には、前記の面積を得るには25
7cmの長さが必要であり、このような円筒状の厚さ1
0μmの箔を製作するのは不可能に近い。断面の直径が
小さいことを考えると、上記の光ファイバの被覆材に命
中する電子の数の比率は増加するが、このような細管の
表面の冷却が困難であるので許容されるパワー密度は低
下し、電子透過窓の長さを短くすることは出来ない。
【0011】逆に、公開特許公報、特開2001−89
199号公報に記載のように、光ファイバを取り囲んで
設けられた、断面が最も大きい直径50mmの円形状で
ある円筒状の電子透過窓の場合には、上記の光ファイバ
の被覆材に命中する電子の数の比率は前記の1/5以下
に減少するので、電子透過窓に入射すべき電子線のパワ
ーは40300W程度に加する。上記と同様に、許容さ
れるパワー密度が20W/cmであるとすると、12
8cmの長さを必要とする。また、このような狭い空間
でおよそ40kWの冷却をするのは不可能に近く、パワ
ー密度を減らしてもっと長くする必要が生じ、装置が大
型になる。いずれにしても、公開特許公報、特開200
1−89199号公報に記載のような装置は実現性に乏
しく、実用化されるに至っていない。仮に出来たとして
も、上記のように光ファイバに好ましくない影響を与え
るので、装置の信頼性が確保できない。また、電子透過
窓は経時的に劣化するので定期的に交換する必要がある
が、このような構造の電子透過窓の交換作業は極めて困
難であるという欠点がある。
【0012】更に、公開特許公報、特開2001−89
199号公報に記載の電子線照射装置では、フィラメン
トから熱電子を放出し、この電子を加速して電子透過窓
に至らせる装置であるが、この場合には電子透過窓の表
面における電子線の分布を均一にすることが事実上出来
ないので、局部的な電子密度の高い場所が生じ、この場
所で電子透過窓が破損する欠点を持っている。
【0013】上記のような電子線照射装置は製作されて
おらず、現在実用されている電子線照射装置は以下のよ
うなものである。従来の電子線照射装置は、公開特許公
報、特開平11−19190号公報に記載されているよ
うに、固定されたドラム管状の長い真空容器の中に直線
状の金属フィラメントを取付け、これを通電加熱するこ
とによって放出される熱電子を500kV以下の電圧で
加速し、薄い金属箔で出来た平板状の電子透過窓を透過
させて、大気中にある被照射体に電子線を照射するよう
になっている。公開特許公報、特開平11−19190
号公報に記載されている電子線照射装置の概略の横断面
図を図16に示している。図16において、1001は
円筒状の長い真空容器であり、1003は長い電子銃構
造体であり、1002は電子銃構体1003等を支持す
るターミナルであり、1004は細長い陰極フィラメン
トであり、1005はグリッドであり、1006は電子を
透過させる長い電子透過窓である。陰極フィラメント1
004から放出された電子がグリッド1005に印加さ
れた電位差で加速され、更に電子透過窓1006との間
に印加された500kV以下の電位差で加速されて電子
透過窓1006を透過する。透過した電子線B02は電
子透過窓1006で散乱されて方向を変えて進行し、そ
の一部が照射室内にある被照射体1011に照射され
る。被照射体1011が光ファイバのように細長い物体
である場合にはごく少量が命中するに過ぎないので、電
子透過窓1006を光ファイバに平行な細長い構造にす
る必要があり、装置が極めて大型となり、実用的な光フ
ァイバ製造装置を実現するのは極めて困難である。
【0014】被照射体1011が光ファイバのような細
長い線状の物体である場合には、上記の例では被照射体
1011の周囲に万遍無く高密度の電子線を照射するの
は不可能に近い。又、被照射体1011に到達する電子
線の密度が大きく出来ないので、照射能率が極めて悪い
と言う問題がある。光ファイバのように細い線状の被照
射体の照射処理速度を高める為には、命中率が極めて低
いので、短時間に多量の電子線を被照射体の方向に入射
させる必要がある。しかるに、真空中で発生した電子線
を加速した後、真空容器の外部に取り出す為には真空の
壁を形成しながら電子を通過させる電子透過窓1006
を透過させる必要があり、この電子透過窓1006で電
子が吸収されてここで発熱するだけでなく、透過した電
子は大きく散乱されるので前記の線状の被照射体に入射
する電子は0.5%以下の少量に過ぎない。このため
に、電子透過窓1006を不活性ガスなどを吹き付けた
り、周囲のフレームを水冷したりして冷却しても前記の
電子透過窓1006の中央が高温になり過ぎて十分な量
の電子線を線状の被照射体に照射することができなかっ
た。
【0015】例えば、前記の電子透過窓1006と1.
5cm離れた位置にある直径が0.25mmの光ファイ
バに電子線を照射する場合を考える。この場合、電子透
過窓1006を通過した電子は散乱によって進行方向が
広がっており、光ファイバから離れた位置から出発した
電子は光ファイバに到達しないので、電子透過窓の幅を
1cm程度に狭め、光ファイバに沿った方向に長く伸ば
す必要がある。1方向から1台の装置で電子線を照射す
る場合には、前記の様に2000m/分の処理速度を得
ようとすると、403cmの長さが必要になる。仮に、
3台の電子線照射装置を対向させて照射させた場合でも
電子透過窓の長さは135cm必要になり、装置の全長
は2mを超えると考えられる。装置が大型となり、高価
であるだけでなく、電子透過窓が光ファイバに平行にな
っているので、電子透過窓の輻射熱が光ファイバに照射
され、光ファイバの被覆材が蒸発や飛散などにより電子
透過窓に達して電子透過窓の信頼性確保が困難である。
装置の全長が長いので、限定された空間内で、装置を直
列に接続するなどして更に処理能力を高めることは不可
能である。一方で、被覆材の硬化処理に電子線照射を採
用して十分な量の電子線を照射すると被覆材と電子との
反応により被覆材が瞬時に硬化する特性があるので、短
時間に多量の電子線を集中して光ファイバの被覆材に照
射することによって処理能率を高めることができるコン
パクトであり、電子透過窓と光ファイバとの相互作用が
少ない光ファイバ被覆材硬化装置の実現が待望されてい
た。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題
は、光ファイバの被覆材に短時間内に命中する電子の数
を多くして、狭いスペースに於いて十分に高速度で光フ
ァイバの被覆材を硬化させることが出来、且つ、伝送損
失の増加が少ない光ファイバ被覆材の硬化工程を含む光
ファイバの製造方法と、これに使うコンパクトで、光フ
ァイバ被覆材の硬化処理速度が大きく、信頼性が高い被
覆材硬化装置を含む光ファイバ製造装置を提供すること
である。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明では、高真空状態
に維持された真空領域内に設けられた陰極から放出され
た電子を、電子通過孔を有する陽極との間で加速した後
に、前記の真空領域の外部に取り出す為の電子透過窓を
透過させ、自らの中心軸に向かう方向に偏向させてこの
中心軸の近くでの電流密度を増すように作用する電子集
中手段を用いることにより、上記中心軸を含むように作
られた光ファイバ通路内を高速度で通過する光ファイバ
に前記の電子を集中して衝突させる事によって、光ファ
イバ被覆材の硬化処理速度を大幅に改善している。薄い
金属で出来た電子透過窓を通過する時や、大気中を走行
するときに電子は散乱するが、これらの散乱した電子
も、電子集中手段を用いて強制的に光ファイバ通路内の
前記中心軸に接近させて、短時間に多量の電子を光ファ
イバ被覆材に衝突させられるようになっている。
【0018】上記の電子集中手段の一つとして前記の光
ファイバ通路と同軸的に配設した磁石用いることによ
り、光ファイバ通路に平行な磁束密度成分と光ファイバ
通路の中心軸に向かう磁束密度成分とを有する空間を形
成し、この空間に電子を走行させて、これらの磁束密度
成分と電子との相互作用により、電子が走行するに従っ
て強い回転力を受けるとともに光ファイバ通路の中心軸
に近づくようになっている。電子透過窓を通過する場合
に散乱によって初期的に逆方向の回転力を与えられた電
子も前記の磁束との相互作用で正方向に強制回転させら
れて光ファイバ通路の中心軸に向かうように運動させら
れる。
【0019】前記の電子透過窓においては電子の密度が
小さくなるように予め均一に広がった状態で電子が前記
の電子透過窓に入射され、電子透過窓を通過した後で光
ファイバに命中するように電子集中手段によって電子の
軌道が強制されるようになっているので、電子透過窓の
発熱が抑えられ、短時間に多量の電子が光ファイバに照
射されるようになっている。
【0020】前記の電子透過窓は、前記の光ファイバ通
路を環状に取り囲むように設けられており、電子透過窓
の表面を含む面は光ファイバ通路と角度を有して交叉し
ているので、装置の全長をさほど長くすること無く電子
透過窓の面積を増して電子透過窓を透過する電流を増加
させることができるだけでなく、電子透過窓から出てく
る輻射熱が光ファイバに到達し難くなっている。更に、
光ファイバの進行方向からは電子透過窓が見えないよう
になっており、光ファイバ被覆材の蒸発物や飛散物等が
電子透過窓に到達しないようになっている。
【0021】本発明の特許請求項1に係わる光ファイバ
製造方法は、真空領域内で電子加速手段によって電子を
加速し、この加速された電子を真空領域の境界を成す電
子透過窓を透過させ、被覆材を被覆した光ファイバを光
ファイバ通路内で移動させた状態で、この光ファイバを
取り囲む方向から前記の電子を飛来させて前記の被覆材
に照射することによって前記の被覆材を硬化させる工程
を含む光ファイバ製造方法において、前記の電子透過窓
を含む面が前記の光ファイバ通路によって貫通されてい
ることを特徴とする方法である。本発明を採用すること
により、電子透過窓を含む面が光ファイバ通路と交叉し
ているので、電子透過窓の面積を増して入射電子の密度
を小さくするのに際して、装置の長さの増加を抑制する
ことが出来、設置スペースが小さくて済むコンパクトな
装置で光ファイバの製造能力を限りなく増やすことがで
きるようになる。
【0022】本発明の特許請求項2に係わる光ファイバ
製造方法は、請求項1に記載の光ファイバ製造方法にお
いて、前記の電子透過窓の少なくとも一部を含む面が、
前記の光ファイバ通路と実質的に直交していることを特
徴とする方法である。本発明を採用することにより、光
ファイバ製造速度を増すために電子透過窓の表面積を増
す場合に装置の長さを実質的に増す必要が無く、電子透
過窓の半径の2乗に概略比例して光ファイバ製造速度を
増すことができ、最も少ないスペースで光ファイバの高
速製造を達成できるようになる。加えて、光ファイバと
電子透過窓との相互作用が最小になって、光ファイバの
伝送特性の劣化が最小限に抑えられるとともに、電子透
過窓の信頼性が向上する。
【0023】本発明の特許請求項3に係わる光ファイバ
製造方法は、請求項1又は2に記載の光ファイバ製造方
法において、前記の電子透過窓を透過した電子は、真空
領域外において電子集中手段によって前記の被覆材に向
かって強制的に集中させられて前記の被覆材に入射する
ことを特徴とする方法である。本発明を採用することに
より、光ファイバ製造速度を増すために電子透過窓の表
面積を増す場合に、光ファイバから離れた位置において
電子透過窓を透過した電子も前記の電子集中手段によっ
て光ファイバに集中させられるので、電子の走行距離の
増加が抑制されて容易に光ファイバの被覆材に達し、高
速度で光ファイバの被覆材を硬化させることができるの
で、更に少ないスペースで光ファイバの高速製造を達成
できるようになる。
【0024】本発明の特許請求項4に係わる光ファイバ
製造方法は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光
ファイバ製造方法において、前記の被覆材に命中する電
子の数は、真空領域外において電子集中手段によって増
加させられることを特徴とする方法である。本発明を採
用することにより、光ファイバ製造速度を増す為に電子
透過窓の表面積を増す場合に、概略大気圧の雰囲気中で
散乱させた電子も光ファイバに集められて光ファイバ被
覆材に命中する電子が増えるので、光ファイバ被覆材を
高速度で硬化させることができ、光ファイバ製造速度を
増すことができ、少ないスペースで光ファイバの高速製
造を達成できるようになる。
【0025】本発明の特許請求項5に係わる光ファイバ
製造方法は、請求項3又は4に記載の光ファイバ製造方
法において、前記の電子集中手段は、中心軸をもってお
り、前記の電子透過窓を透過して散乱した電子に前記の
中心軸に向かう力を与えることを特徴とする方法であ
る。本発明を採用することにより、光ファイバを前記の
電子集中手段の中心軸に一致させることにより、製造能
力が大きい光ファイバ製造方法を簡単に実現できる。
【0026】本発明の特許請求項6に係わる光ファイバ
製造方法は、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の光
ファイバ製造方法において、前記の電子集中手段は、前
記の電子透過窓を透過した電子の進行方向と前記の光フ
ァイバ通路との成す角度を大きくする様に作用すること
を特徴とする方法である。本発明を採用することによ
り、前記の電子透過窓を通過した電子の概ね大気圧の雰
囲気中の走行距離を減少させることが出来、多くの電子
を前記の光ファイバ被覆材に命中させられるようにな
り、製造能力が大きい光ファイバ製造方法を簡単に実現
できる。
【0027】本発明の特許請求項7に係わる光ファイバ
製造方法は、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の光
ファイバ製造方法において、前記の電子集中手段は、前
記の電子透過窓に対向した状態で前記の光ファイバ通路
と同軸的に設けられた環状の磁石を用いて構成されてい
ることを特徴とする方法である。本発明を採用すること
により、簡単な構造で前記の電子集中手段を実現出来
て、狭いスペースに於いて製造能力を大きくできる光フ
ァイバ製造方法を簡単に実現できる。
【0028】本発明の特許請求項8に係わる光ファイバ
製造方法は、請求項3乃至7のいずれか1項に記載の光
ファイバ製造方法において、前記の電子集中手段は、前
記の光ファイバ通路に沿った方向に傾斜して分布する磁
束を生じることを特徴とする方法である。本発明を採用
することにより、前記の電子集中手段の中心軸に電子を
集中させる力を生じさせることが出来るので、簡単な構
造で前記の電子集中手段を実現出来て、狭いスペースに
於いて製造能力を大きくできる光ファイバ製造方法を簡
単に実現できる。
【0029】本発明の特許請求項9に係わる光ファイバ
製造方法は、請求項3乃至8のいずれか1項に記載の光
ファイバ製造方法において、前記の電子集中手段は、前
記の光ファイバ通路と同軸的に設けられた第1の環状の
磁極と、この第1の環状の磁極と同軸的に設けられた、
より大きな径を有する第2の環状の磁極とを含んでお
り、この第2の環状の磁極と前記の第1の環状の磁極と
の開口は、前記の電子透過窓と対向していることを特徴
とする方法である。本発明を採用することにより、前記
の電子集中手段の中心軸に電子を集中させる力を生じさ
せることが出来る簡単な構造の電子集中手段を実現出来
て、狭いスペースに於いて製造能力を大きくできる光フ
ァイバ製造方法を簡単に実現できる。
【0030】本発明の特許請求項10に係わる光ファイ
バ製造方法は、請求項9に記載の光ファイバ製造方法に
おいて、前記の電子集中手段は、前記の第2の磁極の先
端が前記の電子透過窓を覆う様に位置して構成されてい
ることを特徴とする方法である。本発明を採用すること
により、前記の電子集中手段の中心軸に電子を集中させ
る力をより効果的に生じさせることが出来る簡単な構造
の電子集中手段を実現出来て、狭いスペースに於いて製
造能力を大きくできる光ファイバ製造方法を簡単に実現
できる。
【0031】本発明の特許請求項11に係わる光ファイ
バ製造方法は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載
の光ファイバ製造方法において、前記の電子透過窓に入
射する電子の軌道は、前記の光ファイバ通路を中心とす
る円錐状に形成されていることを特徴とする方法であ
る。本発明を採用することにより、電子透過窓を通過し
た電子が光ファイバに平行な速度成分と光ファイバに垂
直な成分とを有する確率が高くなり、前記の電子集中手
段との相互作用で光ファイバに集中する効果を得易く、
製造能力が大きくできる光ファイバ製造方法を簡単に実
現できる。更に、光ファイバを取り囲んで設けられた陰
極の直径を比較的小さくした状態で実質的に同電位に保
たれた長い走行距離を確保することが出来、狭いスペー
スに於いて安定な光ファイバ製造方法を実現できる。
【0032】本発明の特許請求項12に係わる光ファイ
バ製造方法は、請求項1乃至11のいずれか1項に記載
の光ファイバ製造方法において、前記の電子加速手段に
よって加速された電子は、実質的に電界が存在しない空
間を走行した後に前記の電子透過窓に入射することを特
徴とする方法である。本発明を採用することにより、前
記の電子透過窓と前記の陰極との相互作用が軽減し、前
記の陰極と前記の加速手段を形成する陽極との間で放電
した場合にも前記の電子透過窓に入射する電子の増加が
無く、電子透過窓の信頼性が高くなり、安定な動作をす
る光ファイバ製造方法を実現できる。
【0033】本発明の特許請求項13に係わる光ファイ
バ製造方法は、請求項1乃至12のいずれか1項に記載
の光ファイバ製造方法において、前記の電子透過窓は、
前記の光ファイバ通路内に在る光ファイバからその進行
方向に見えないように構成されたことを特徴とする方法
である。本発明を採用することにより、光ファイバの被
覆材が前記の電子透過窓に到達することが無く、電子透
過窓の信頼性が高くなり、安定な動作をする光ファイバ
製造方法を実現できる。
【0034】本発明の特許請求項14に係わる光ファイ
バ製造装置は、被覆材を被覆した光ファイバを通過させ
る為の光ファイバ通路と、この光ファイバ通路を取り囲
んで設けられており真空領域を構成する真空容器と、こ
の真空容器の内部で前記の光ファイバ通路を取り囲んで
設けられており電子を放出する陰極と、前記の真空容器
の内部で前記の光ファイバ通路を取り囲んで設けられて
おり前記の陰極から放出された電子を加速する電子加速
手段と、前記の光ファイバ通路を取り囲んで設けられて
おり前記の電子加速手段によって加速された電子を真空
容器の外部に透過させる電子透過窓とを含んで構成され
ており、前記の電子透過窓を含む面が前記の光ファイバ
通路によって貫通されていることを特徴とする装置であ
る。本発明を採用することにより、光ファイバの全周囲
から均一な強度の密度分布をした電子を光ファイバ被覆
材に命中させることが出来、光ファイバ製造速度を増す
ために前記の電子透過窓の表面積を増す場合に、光ファ
イバに沿った方向の長さが短くできるので、短くてコン
パクトな製造能力が大きい光ファイバ製造装置を提供す
ることができる。
【0035】本発明の特許請求項15に係わる光ファイ
バ製造装置は、真空領域を構成する真空容器と、この真
空容器の外部に在り、被覆材を被覆した光ファイバを通
過させる為の光ファイバ通路と、前記の真空容器の内部
で電子を放出する陰極と、この陰極から放出された電子
を加速する電子加速手段と、この電子加速手段によって
加速された電子を真空容器の外部に透過させる電子透過
窓とを含んで構成されており、この電子透過窓を含む面
が前記の光ファイバ通路によって貫通されていることを
特徴とする装置である。本発明を採用することにより、
光ファイバ製造速度を増すために前記の電子透過窓の表
面積を増す場合に、光ファイバに沿った方向の長さが短
くできるので、短くてコンパクトな製造能力が大きい光
ファイバ製造装置を提供することができる。
【0036】本発明の特許請求項16に係わる光ファイ
バ製造装置は、請求項14又は15に記載の光ファイバ
製造装置において、前記の電子透過窓の少なくとも一部
を含む面が、前記の光ファイバ通路と実質的に直交して
いることを特徴とする装置である。本発明を採用するこ
とにより、光ファイバ製造速度を増すために電子透過窓
の表面積を増す場合に装置の長さを実質的に増す必要が
無く、電子透過窓の半径の2乗に概略比例して光ファイ
バ製造速度を増すことができ、少ないスペースで光ファ
イバの高速製造を達成できるようになる。加えて、光フ
ァイバと電子透過窓との相互作用が最小になって、光フ
ァイバの伝送特性の劣化が最小限に抑えられるととも
に、電子透過窓の信頼性が向上する。
【0037】本発明の特許請求項17に係わる光ファイ
バ製造装置は、請求項14乃至16のいずれか1項に記
載の光ファイバ製造装置において、前記の電子透過窓を
透過した電子の数に対する前記の光ファイバの被覆材に
衝突する電子の数の割合を増加する電子集中手段を含ん
でいることを特徴とする装置である。本発明を採用する
ことにより、電子透過窓における電子密度を低く抑えた
状態で、電子透過窓と概ね大気圧の雰囲気中で散乱した
電子を光ファイバに集中させて多量の電子を光ファイバ
の被覆材に衝突させることができるので、安価で、コン
パクトな製造能力が大きい光ファイバ製造装置を提供す
ることができる。
【0038】本発明の特許請求項18に係わる光ファイ
バ製造装置は、請求項17に記載の光ファイバ製造装置
において、前記の電子集中手段は、中心軸をもってお
り、前記の電子透過窓を透過して散乱した電子に前記の
中心軸に向かう力を与えることを特徴とする装置であ
る。本発明を採用することにより、簡単な構造で前記の
電子集中手段を実現することが出来るので、製造能力が
大きい光ファイバ製造装置を容易に実現できる。
【0039】本発明の特許請求項19に係わる光ファイ
バ製造装置は、請求項17又は18に記載の光ファイバ
製造装置において、前記の電子集中手段は、前記の電子
透過窓を透過した電子の進行方向と前記の光ファイバ通
路との成す角度を大きくする様に作用することを特徴と
する装置である。本発明を採用することにより、前記の
電子透過窓を通過した電子の概ね大気圧の雰囲気中の走
行距離を減少させることが出来、多くの電子を前記の光
ファイバ被覆材に命中させられるようになり、製造能力
が大きい光ファイバ製造装置を容易に実現できる。
【0040】本発明の特許請求項20に係わる光ファイ
バ製造装置は、請求項16乃至19のいずれか1項に記
載の光ファイバ製造装置において、前記の電子集中手段
は、前記の電子透過窓に対向した状態で前記の光ファイ
バ通路と同軸的に設けられた環状の磁石を用いて構成さ
れていることを特徴とする装置である。本発明を採用す
ることにより、簡単な構造で前記の電子集中手段を実現
出来て、狭いスペースに於いて製造能力を大きくできる
光ファイバ製造装置を容易に実現できる。
【0041】本発明の特許請求項21に係わる光ファイ
バ製造装置は、請求項16乃至20のいずれか1項に記
載の光ファイバ製造装置において、前記の電子集中手段
は、前記の光ファイバ通路に沿った方向に傾斜して分布
する磁束を生じることを特徴とする装置である。本発明
を採用することにより、前記の電子集中手段の中心軸に
電子を集中させる力を生じさせることが出来るので、簡
単な構造で前記の電子集中手段を実現出来て、狭いスペ
ースに於いて製造能力を大きくできる光ファイバ製造装
置を容易に実現できる。
【0042】本発明の特許請求項22に係わる光ファイ
バ製造装置は、請求項16乃至21のいずれか1項に記
載の光ファイバ製造装置において、前記の電子集中手段
は、前記の光ファイバ通路と同軸的に設けられた第1の
環状の磁極と、この第1の環状の磁極と同軸的に設けら
れた、より大きな径を有する第2の環状の磁極とを含ん
でおり、この第2の環状の磁極と前記の第1の環状の磁
極との開口は、前記の電子透過窓と対向していることを
特徴とする装置である。本発明を採用することにより、
前記の電子集中手段の中心軸に電子を集中させる力を生
じさせることが出来る簡単な構造の電子集中手段を実現
出来て、狭いスペースに於いて製造能力を大きくできる
光ファイバ製造装置を容易に実現できる。
【0043】本発明の特許請求項23に係わる光ファイ
バ製造装置は、請求項22に記載の光ファイバ製造装置
において、前記の電子集中手段は、前記の第2の磁極の
先端が前記の電子透過窓を覆う様に位置して構成されて
いることを特徴とする装置である。本発明を採用するこ
とにより、前記の電子集中手段の中心軸に電子を集中さ
せる力をより効果的に生じさせることが出来る簡単な構
造の電子集中手段を実現出来て、狭いスペースに於いて
製造能力を大きくできる光ファイバ製造装置を容易に実
現できる。
【0044】本発明の特許請求項24に係わる光ファイ
バ製造装置は、請求項14乃至23のいずれか1項に記
載の光ファイバ製造装置において、前記の電子透過窓に
入射する電子の軌道は、前記の光ファイバ通路を中心と
する円錐状に形成されていることを特徴とする装置であ
る。本発明を採用することにより、電子透過窓を通過し
た電子が光ファイバに平行な速度成分と光ファイバに垂
直な成分とを有する確率が高くなり、前記の電子集中手
段との相互作用で光ファイバに集中する効果を得易く、
製造能力を大きくできる光ファイバ製造装置を容易に実
現できる。更に、光ファイバを取り囲んで設けられた陰
極の直径を比較的小さくした状態で実質的に同電位に保
たれた長い走行距離を確保することが出来、狭いスペー
スに於いて安定な光ファイバ製造装置を実現できる。
【0045】本発明の特許請求項25に係わる光ファイ
バ製造装置は、請求項14乃至24のいずれか1項に記
載の光ファイバ製造装置において、前記の電子加速手段
によって加速された電子は、実質的に電界が存在しない
空間を走行した後に前記の電子透過窓に入射することを
特徴とする装置である。本発明を採用することにより、
前記の電子透過窓と前記の陰極との相互作用が軽減し、
前記の陰極と前記の加速手段を形成する陽極との間で放
電した場合にも前記の電子透過窓に入射する電子の増加
が無く、電子透過窓の信頼性が高くなり、安定な動作を
する光ファイバ製造装置を実現できる。
【0046】本発明の特許請求項26に係わる光ファイ
バ製造装置は、請求項14乃至25のいずれか1項に記
載の光ファイバ製造装置において、前記の電子透過窓
は、前記の光ファイバ通路内に在る光ファイバからその
進行方向に見えないように構成されたことを特徴とする
装置である。本発明を採用することにより、光ファイバ
の被覆材が前記の電子透過窓に到達することが無く、電
子透過窓の信頼性が高くなり、安定な動作をする光ファ
イバ製造装置を実現できる。
【0047】本発明の特許請求項27に係わる光ファイ
バ製造装置は、請求項14乃至26のいずれか1項に記
載の光ファイバ製造装置において、前記の光ファイバ通
路は、前記の真空容器を貫通して設けられており、前記
の陰極はこの光ファイバ通路の周囲から光ファイバ通路
に向かって電子を放出する環状の電子放出面を有するこ
とを特徴とする装置である。本発明を採用することによ
り、前記の光ファイバ通路内を高速度で走行する光ファ
イバの全周囲方向から均一な密度の電子線を光ファイバ
に照射できる簡単な構造の光ファイバ製造装置を実現で
きる。
【0048】本発明の特許請求項28に係わる光ファイ
バ製造装置は、請求項14乃至27のいずれか1項に記
載の光ファイバ製造装置において、前記の陰極と、前記
の電子加速手段と、前記の電子透過窓と、前記の電子集
中手段と、前記の光ファイバ通路とが同軸状に取り付け
られていることを特徴とする装置である。本発明を採用
することにより、前記の光ファイバ通路内を高速度で走
行する光ファイバの全周囲方向から均一な密度の電子線
を光ファイバに照射できる簡単な構造の光ファイバ製造
装置を実現できる。
【0049】本発明の特許請求項29に係わる光ファイ
バ製造装置は、請求項14乃至28のいずれか1項に記
載の光ファイバ製造装置において、前記の光ファイバ通
路内における光ファイバの移動速度を検出する手段と、
前記の電子透過窓で吸収された電子の量又は前記の電子
透過窓を通過した電子の量を検出する手段とを有して構
成されており、前記の光ファイバの移動速度に応じて前
記の陰極から放出される電子の量を制御するようになっ
ていることを特徴とする装置である。本発明を採用する
ことにより、光ファイバの長さ方向に均一な量の電子線
を照射できる光ファイバ製造装置を実現できる。
【0050】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態で
ある光ファイバ被覆材の硬化方法を示す概略の縦断面図
(a)と概略の横断面図(b)であり、図2は本発明の
一実施形態である光ファイバ被覆材硬化装置の縦断面図
であり、図3は図2のAA’の矢印方向から見た横断面
図、図4は図2のBB’の矢印方向から見た横断面図、
図5は図2のCC’の矢印方向から見た横断面図、図6
は本発明の主要構成要素である電子集中手段としての電
磁石の構造と磁束の分布の例を表す断面図、図7から図
9までは本発明の原理を説明する原理図、図10から図
14までは本発明の作用及び効果を説明する為の電子の
軌道を計算した結果を表す図面、図15は他の変形した
実施形態を示す縦断面図、図16は従来の電子線照射装
置を示す横断面図、図17は従来の光ファイバ製造装置
を模式的に表した図である。同じ部分は同じ番号を付与
している。簡略化の為に断面のハッチングは部分的に省
略している。
【0051】図1の100は、光ファイバを表してお
り、図1−aの上方から下方に2000m/分の速さで
移動している。図1−bは図1−aの下方から見た概略
の横断面図であり、光ファイバ100は紙面の裏から表
の方向に2000m/分の速さで移動している。この光
ファイバ100を取り囲む様に光ファイバ通路10が設
けられており、この光ファイバ通路10には、これに直
交して穴付き円板形状の電子透過窓7が設けられてお
り、真空領域の境界を形成している。光ファイバ通路1
0の内側と電子透過窓7の外側(図1−aの下方)及び
これらに繋がる空間は窒素等の不活性ガスで満たされた
概ね大気圧の空間を形成している。一方、光ファイバ通
路10の外側と電子透過窓7の内側(図1−aの上方)
は図示しない真空容器で覆われた高真空空間を形成して
いる。この高真空空間の中で光ファイバ通路10と同軸
状に設けられた環状の陰極2から熱電子が放出され、図
示しない加速手段によって100keV程度に加速され
て、光ファイバ通路10とおよそ30度傾斜した円錐形
状の軌道を成す電子ビーム20を成して走行し、前記の
電子透過窓7に到達する。電子透過窓7は厚さが10μ
m程度のチタニューム箔で出来ており、入射した電子の
およそ50%が透過する。透過した電子は軌道700で
示すように散乱されて色々な方向を向いている。しかる
に、後述する電子集中手段によってそれぞれの電子軌道
700は光ファイバ100に接近するように、且つ、光
ファイバのとの成す角度が大きくなって90度に近づく
ように強制される。この電子集中手段の作用で、電子透
過窓7を透過した電子の内で、光ファイバ100に命中
する電子は3倍以上増加させられる。
【0052】電子透過窓7における入射電子の密度を増
さないで入射電子の量を増すことは、電子透過窓7の面
積を増して入射する電子をこの表面に均一に広げること
で達成される。電子透過窓7の表面積は外側の半径の2
乗に概ね比例して大きくなるのに対して、電子透過窓7
の周辺を透過した電子の走行距離の増加は半径に概ね比
例するに過ぎない。概ね大気圧の窒素雰囲気中での半下
層は8cm程度であり、電子透過窓7の外側での走行距
離の増加による線量の低下は小さいので、電子透過窓7
の直径を増すことによりいくらでも光ファイバ100に
命中する電子を増すことができる。この場合、装置の長
さが実質的に増えないので、コンパクトな装置で光ファ
イバの製造速度を十分に大きくすることができる。
【0053】次に、図1の製造方法を具体的に実現する
光ファイバ被覆材硬化装置に付いて、図2から図5を用
いて説明する。図2は、図1−aを90度回転して表さ
れており、光ファイバは図2の左側から右側に高速度で
走行する。図2は、光ファイバの被覆材を瞬時に効率良
く電子線によって硬化させる光ファイバ被覆材硬化装置
の断面を表しており、これは、図17に示した紫外線に
よって硬化させる従来の樹脂硬化装置2007,201
1に取って代わる装置である。図2において、1は真空
容器であり、排気管16に接続された図示しない真空ポ
ンプによって排気されて常時10−6〜10−8Tor
r程度の真空度に保たれた真空空間101を形成してい
る。真空空間101内において真空容器1の壁に絶縁筒
13が取り付けられており、絶縁筒13の他端には環状
の電子銃取付台14が固定されている。電子銃取付台1
4には環状の取付金具17を介して環状の陰極2と環状
の集束電極3が同軸状に取り付けられている。環状の陰
極2はバリウム含浸型カソードであり、内部に取り付け
られたヒーターによって加熱されて熱電子を放出する。
環状の陰極2及び図示しないヒーターには高電圧リード
線15から−100kV程度の負の高電圧が印加され
る。高電圧リード線15は図示しない高電圧端子を介し
て外部の図示しない高電圧電源に接続されている。集束
電極3は陰極2に対して正のバイアス電圧が印加され、
このバイアス電圧は前記の高電圧電源によって可変で
き、電子の分布状態を制御できるるようになっている。
【0054】前記の陰極2に対向した位置に環状の電子
通過孔401を形成する陽極構体4と陽極リング5が同
軸状に設けられており、前記の陰極2と組み合わせて電
子加速手段を形成している。陽極構体4の一部である平
板部402は真空容器1の一部を形成している。陽極構
体4の中心位置には、陽極構体4を貫通した状態で大気
圧になった光ファイバ通路10が設けられている。図2
に示した陽極構体4の平板部402のAA’の矢印方向
から見た横断面図を図3に示している。図3に示すよう
に、平板部402には放射状に設けられた多数の窪み4
05があり、その一部は前記の電子通過孔401と繋が
っており電子通路406を形成している。前記の窪み4
05の間には隔壁407があり、機械的強度を保ってい
る。窪み405の近傍には冷却水路403と404が設
けられており、強制冷却されるようになっている。
【0055】図2に示すように、前記の平板部402の
表面に電子透過窓構体6が取り付けられている。電子透
過窓構体6の中央には貫通した穴があり、光ファイバ通
路10の一部を形成している。前記の平板部402と電
子透過窓構体6との間はO―リングなどによって気密に
接続されている。電子透過窓構体6のBB’の矢印方向
から見た横断面図を図4に、CC’の矢印方向から見た
横断面図を図5に示している。図4及び図5に示すよう
に、電子透過窓構体6には多数の窪み601と、これと
連通した部分を有する環状の溝602が設けられてい
る。これらの近傍に環状の冷却水路603,604が設
けられており、強制冷却されるようになっている。多数
の窪み601の間には隔壁605があり、機械的強度を
保つようになっている。図2に示すように、電子透過窓
構体6の環状溝602の端部には環状の電子透過窓7が
電子ビーム溶接等により気密に取り付けられており、真
空容器1の一部を形成して真空空間101を高真空状態
に保っている。電子透過窓7は厚みが10μm程度のチ
タニューム箔で出来ており、100keVのエネルギー
を持って入射した電子のおよそ50%を透過することが
できる。電子透過窓7を含む面は光ファイバ通路10と
直交した平面となっている。
【0056】図2に示すように、電子透過窓7の外側に
はアルミニューム等の原子番号が鉄よりも小さい非磁性
の材質で出来た照射室壁11があり、前記の光ファイバ
通路10よりも大きな半径を有し、概ね大気圧の窒素等
で満たされた照射室空間111を形成しており、光ファ
イバ通路10と連通している。前記の電子透過窓7に対
向した位置において、電子集中手段としての電磁石8が
照射室壁11の外側に取り付けられている。電磁石8
は、光ファイバ通路10と同軸的に設けられた環状の第
1の磁極802と、これと同軸的に設けられており、第
1の磁極802よりも大きな径を持った環状の第2の磁
極801と、この間に巻かれたコイル803とを有して
おり、電子集中手段を構成している。第2の磁極801
の先端部分には半径がより小さい磁極804が設けられ
ている。
【0057】電磁石8によって生じる磁束805の分布
の例を図6に示している。図6に示すように、前記の第
1の磁極802、第2の磁極801の形状により、電子
透過窓7に近い側にコーン状に広がった磁束分布を呈し
ている。前記環状の陰極2の表面に位置し、その平均半
径を有する円と、前記環状の電子通過孔401に位置
し、その平均半径を有する円とを結んでできる円錐形状
の面と前記の光ファイバ通路10の中心線との交点9よ
りも電子透過窓7から遠い位置に最小の径を持つ曲面に
沿って磁束は分布している。前記の第1の磁極802の
内径は電子透過窓7の内径よりも小さくなっており、第
2の磁極801の内径は電子透過窓7の外径よりも大き
くなっている。
【0058】図2に示すように、電磁石8の外側には遮
蔽体12が設けられており、X線の遮蔽をしている。光
ファイバ通路10は装置全体を貫通しており、この内部
に光ファイバ100が高速度で移動されるようになって
いる。遮蔽体12には、光ファイバ通路10と同心状に
光ファイバ位置限定手段としての動圧発生管200が取
り付けられている。図2に示すように、動圧発生管20
0には窒素などの不活性ガスを高圧力で流入させる流体
導入口201と直径が大きい低圧力孔202と、この低
圧力孔202に繋がっており両方に伸びた高圧力孔20
3,204がある。光ファイバ100の装着時には高圧
力孔203,204は自動的に縦方向に2分割されるよ
うになっており、作業性が損なわれないようになってい
る。高圧力孔203,204は光ファイバ100とのギ
ャップが小さくなっており、高圧力孔203,204の
内側表面に図示しないスパイラル状の動圧発生溝が設け
られており、高圧ガスの流入や光ファイバ100の移動
等によって動圧が生じ、光ファイバ100は高圧力孔2
03,204の表面に接触することなくこの中心に位置
決めされるようになっている。このようにして光ファイ
バ100は前記の電磁石8の中心に位置決めされるよう
になっており、以下に説明するように多量の電子が前記
の電磁石8の中心に位置する細長い領域に集中して照射
されるので、細長い被照射体である光ファイバ100が
高速度で移動しても前記の照射室空間111を通過した
時に被覆材の硬化処理に必要な十分な吸収線量を与える
ことができる。以下において、電子透過窓7を透過した
電子を光ファイバ通路10内の細長い領域に集中させる
電子集中手段の作用について図6から図10を参照して
述べる。
【0059】光ファイバ通路10の中心軸を取り囲んで
配設された円板状の電子透過窓7を拡大して図7に模式
的に示している。ここで、Z軸は光ファイバ通路10の
中心軸と一致しており、図1−aの下方及び図2の右側
が正の座標になっており、R軸は半径方向を表してい
る。図7に示すように任意の点の座標を円柱座標(r、
θ、z)で表す。電子透過窓7上の点P(r
θ、z)において、角度φだけZ軸に対して傾斜
して、真空領域に在る環状の溝602から電子ビーム2
0が入射した場合を考える。入射した電子ビーム20は
電子透過窓7内でエネルギーを減少するとともに散乱さ
れて図7の実線で示すように点P(r、θ
)とZ軸を含む平面内、及び、図7の破線で示すよ
うに、これと直交する面の方向に立体的に広がった指向
性の速度分布を有して電子透過窓7の外側の大気圧領域
に進入する。
【0060】図7の点P(r、θ、z)とZ軸
を含む平面における断面図を図8−aに、これと直角で
Z軸に平行な方向の断面図を図8−bに示している。図
8−aの角度φはRZ平面内における電子の散乱角度
を示しており、半径方向散乱角と呼ぶ。図8−bにおけ
る角度φはRZ平面に垂直な面内における電子の散乱
角度を示しており、横方向散乱角と呼ぶ。100keV
の運動エネルギーを持って初速度vで角度φだけ傾
斜して電子透過窓7に入射した電子は、20keV程度
のエネルギーを減少させて透過した電子の初速度が幾分
減少する。これをvとすると、透過電子のR,θ、Z
方向の速度成分v、vθ、vは、それぞれ、v
・sin(φ−φ)・cos(φ)、vθ
−v・cos(φ−φ)・sin(φ)、v
=v・cos(φ−φ)・cos(φ)で表さ
れる。
【0061】図2に示すように、環状の電子透過窓7の
外側には電子集中手段としての前記の電磁石8が、その
中心軸がZ軸に一致するように設けられており、電子透
過窓7の内側の近傍及び外側では図6に示すような半径
方向の磁束密度成分B,Z軸方向の磁束密度成分B
をもった磁束805が存在するので、この領域に入った
電子は概略e(v−v)のZ軸の回りの回
転力を与えられることになる。ここで、vは電子のZ
方向速度成分を、vはR方向速度成分を、eは素電荷
をそれぞれ表している。電子が電磁石8内に進入するに
従ってZ軸の回りに強い回転力を与えるように磁束密度
の各成分B,Bの空間分布を与えておくと、電子は
電磁石8内に進入するにつれて強い正方向回転力を受け
てZ軸の周りで正方向に回転しようとする。図9−aに
は、Z軸の回りに正方向に回転している電子が磁束密度
成分、B,Bによって受ける力力F,Fの方向
を模式的に示している。この場合には電子は正方向に回
転しながら力FによってZ軸方向に減速され、半径が
縮小する方向に力Frを受けることになる。図9−bに
は、Z軸の回りに負方向に回転している電子が磁束密度
成分、B,Bによって受ける力F,Fを示して
いる。この場合には電子はZ軸の回りに負方向に回転し
ながら力FによってZ軸方向に加速され、力Fによ
ってR軸の方向に発散されることになる。電子透過窓7
を透過した直後の電子のθ方向速度v θが図8−bにお
ける負方向である場合には、図9−aに示すように、Z
軸の回りの正方向回転が強調され、電子はZ軸方向に向
かう力Fを受けながらZ軸に近づいてゆく。θ方向速
度vθの影響でZ軸から逸れた軌道となるが、この電子
の軌道は、磁束密度成分、B,Bがゼロの場合に比
べてZ軸への最近接距離が小さくなっている。この様子
を計算して図10に示している。
【0062】図10は、図7のZ軸の方向から電子透過
窓7を見た図であり、Z軸に垂直で点P(r
θ、z)を含む方向を縦軸に表している。図2に示
す真空領域に在る環状の溝602を通って電子透過窓7
に近づいてくる電子の軌道は図10において701に示
されている。環状の陰極2の平均半径の部分から走行し
て点P(r、θ、z)において電子透過窓7に
入射して半径方向散乱角φ が−10度で横方向散乱角
φが−40度で散乱された電子の軌道を702、70
3、704、705に示している。これらの軌道は、電
子透過窓7の外側の概ね大気圧の領域における散乱は無
視して表されている。電子軌道702は前記の電磁石8
が無い場合、つまり磁束密度Bが0の場合を、電子軌道
703は図6の点9における磁束密度が0.09Tの場
合を、電子軌道704は図6の点9における磁束密度が
0.22Tの場合を、電子軌道705は図6の点9にお
ける磁束密度が0.45Tの場合を示している。図10
から判るように、電磁石8の磁束密度Bが大きくなるに
従って、電子の入射点P(r、θ、z)のr
が大きくなるとともに、電子透過窓7を透過した後にお
いてZ軸(r=0)への最近接距離が小さくなってい
る。電子の入射点P(r、θ、z)のrが大
きくなる理由は、電子が電子透過窓7に入射する前から
磁束Bの影響を受けて軌道が半径方向に曲げられること
による。磁束密度Bを極端に大きくすると、電子が磁束
密度Bの影響で反射されるようになって好ましくない。
電子軌道703,704,705のZ軸(r=0)への
最近接距離が小さくなっている理由は前記の磁束密度成
分、B,Bによって前記のZ軸への集中効果を電子
が受けることに因っている。このように、電磁石8を設
けることによって電子軌道のZ軸への最近接距離が小さ
くできるのでZ軸上に位置している細長い被照射体であ
る光ファイバ100への電子の命中率は向上する。光フ
ァイバ100が光ファイバ通路10内でZ軸から離れた
場合でも、上記の理由で電子密度が高められているので
光ファイバ100への電子の命中率は向上する。一方、
θ方向の初速度v θが図8−bにおける正方向である場
合には初期的には図9−bに示すような負方向回転とな
るが、前記の磁束密度に起因する正方向回転力が電子の
進行とともに大きくなり、電子は図9−aに示すような
正方向回転を行うようになって上記と同様のZ軸への集
中効果を生じることになる。
【0063】次に、図11から図14を使って本発明の
作用と効果について更に説明する。横方向散乱角φ
±0.6度、半径方向散乱角φが−10度の場合につ
いて電子軌道を計算してそれぞれの結果を図11から図
14に示している。図11は、図10と同様に、Z軸か
ら電子透過窓7の方向を見た電子軌道を表す図であり、
半径が2.5mm以内の狭い領域を拡大して示してい
る。図12は、電磁石8が無い場合、つまり磁束密度B
が0の場合の電子軌道をRZ平面に投影して表してい
る。図13は、図6の点9における磁束密度が0.22
Tの場合に横方向散乱角φが−0.6度で半径方向散
乱角φが−10度の場合の電子軌道をRZ平面に投影
して表している。同様に、図14は、図6の点9におけ
る磁束密度が0.22Tの場合に横方向散乱角φが+
0.6度で半径方向散乱角φが−10度の場合の電子
軌道をRZ平面に投影して表している。
【0064】図12、図13、図14において、陽極構
体4及び陽極リング5の形状の内で特性に影響しない部
分は、計算の都合上、図2に示したそれぞれの電極構造
と異なっているが電子の軌道には影響を与えていない。
これらの図において、電極間の等電位曲線を30で示し
ている。図12は、−100kVの電圧が印加された環
状の陰極2から放出されて−100kVが印加された集
束電極3によって均一な電子密度をもって集束されて、
環状の電子通過孔401を形成して接地電位に設定され
た陽極構体4、陽極リング5から成る電子加速手段によ
って加速された電子ビーム20が円錐形状の同電位の領
域を走行した後に円板状の電子透過窓7を透過して80
keVの運動エネルギーをもって横方向散乱角φが−
0.6度、半径方向散乱角φが−10度で散乱された
電子の軌道の内で電磁石8が無い場合の例を示してい
る。電子透過窓7を透過した直後に電子の進行方向が変
えられており、電子透過窓7を透過して概ね大気圧の窒
素雰囲気中を通過するが、雰囲気による電子の散乱は比
較的小さいことを考慮して省略しているので直進してい
る。図12では電子軌道をRZ平面に投影して表してい
るが、Z軸から見た実際の電子軌道の内で陰極2の平均
半径の部分から出た電子がZ軸に2.5mm以内に近づ
いた部分を図11の電子軌道711で示している。図1
1から判るとおり、電子透過窓7を透過する時に横方向
散乱角φが−0.6度で散乱されて横方向の速度vθ
を持っているのでZ軸から逸れた軌道となる。従って、
中心がZ軸に一致した状態で光ファイバ通路10に挿入
された細長い被照射体である光ファイバ100には命中
しないことを示している。図11の電子軌道712は電
子透過窓7において横方向散乱角φが+0.6度の場
合で、他の条件は電子軌道711と同じ場合を表してい
る。電子軌道712も電子軌道711と同様に光ファイ
バ100に命中しないことを示している。この場合のR
Z平面内に投影した電子軌道は図12と類似しているの
で図示していない。
【0065】図6の点9における磁束密度が0.22T
であること以外は図12と同じ条件の場合における電子
軌道をRZ平面内に投影して図13に示している。図1
3から判るとおり、この場合における電子透過窓7を透
過した後の電子軌道はZ軸に沿った方向に広がって分布
しているがそれぞれがZ軸と成す角度は図12の場合に
比べて大きくなっている。図13と同じ条件において陰
極2の平均半径の部分から出た電子をZ軸から見た電子
軌道の内でZ軸に2.5mm以内に近づいた部分を図1
1の電子軌道713で示している。これは、Z軸への最
近接距離が電磁石8の影響で小さくなっており、前記の
光ファイバ100に電子が命中することを示している。
同様に、電子透過窓7における横方向散乱角φが+
0.6度であること以外は図13と同じ条件の電子軌道
を図14に、これに対応したZ軸方向から見た電子軌道
を図11の電子軌道714に示している。これらの電子
軌道は、電子透過窓7で横方向に散乱された電子が電磁
石8の影響でZ軸により近づけられていることを示して
いる。電子透過窓7で散乱された電子の内で光ファイバ
100に衝突する電子の割合を命中率とすると、図11
から判るとおり、中心がZ軸に一致している光ファイバ
100への電子の命中率がおよそ2.7倍大きくなって
いる。
【0066】以上において代表的な動作条件での電子軌
道の説明を行ったが、半径方向散乱角φが異なった場
合や透過電子のエネルギーが異なった場合などについて
も同様な効果があり、更に、概ね大気圧の雰囲気中で散
乱された電子も同様な集中効果を受けるので、本発明の
電子集中手段としての電磁石8を設けることによって、
電子透過窓7を透過した電子の光ファイバ100への命
中率が全体として改善され、電子透過窓7における電子
密度を高めることなく光ファイバ100に短時間に多量
の電子を照射することができる光ファイバ製造装置を実
現できる。
【0067】上述のように、電子集中手段の例である電
磁石8の電子集中効果により、電子透過窓7を透過した
電子がRZ平面の方向にも、Rθ平面の方向にも光ファ
イバ100に近づく様に偏向されるので、光ファイバ1
00に照射される電子の数は合計で3倍程度以上増加す
ることが実験によって確かめられている。図1−bに示
したように、光ファイバ100の全周囲から上記と同様
に集中された電子が光ファイバ100に吸収される。光
ファイバ100は前述のように光ファイバ通路10内で
Z軸の方向に高速度で移動するので、光ファイバ100
の被覆材には長手方向にも全周囲方向にも均一に電子線
が照射される。照射される電子の運動エネルギーは80
keV程度と低い為に光ファイバ100の被覆材のみで
吸収され、深部の光ファイバ裸線には到達しない。ま
た、電子透過窓7の表面の法線は光ファイバ通路10の
中心軸Zと平行になっているので、電子透過窓7からの
輻射熱は光ファイバ100に到達し難くなっている。ま
た、電子透過窓7の温度上昇を制限する為に電子透過窓
7に入射する電子の密度を制限した状態で、電子透過窓
7の外周半径を増して入射電子の分布を均一に広げるこ
とによって、光ファイバ被覆材に吸収される電子の線量
を十分に大きくすることができる。つまり、十分に高速
度で被覆材硬化処理ができる光ファイバ被覆材硬化装置
を実現できる。この際、電子透過窓7の表面は光ファイ
バ通路10に直交しているので、光ファイバに沿った方
向に装置が伸びる必要が無く、装置がコンパクトにな
る。
【実施例】次に本発明の光ファイバ被覆材硬化装置の作
用及び効果について実施例を用いて説明する。電子透過
窓7は、厚みが10μm、外径が50mmで内径15m
mのチタニュームの環状箔で構成されており、表面積は
17.8cmであり、電子がこの表面に均一に広がっ
て入射するの場合について述べる。このような窓箔に信
頼性を保って許容される電子入射密度は20W/cm
程度であるので、本実施例で許容される入力は356W
である。入射電子のエネルギーが100keVである場
合には、3.56mAの電流に相当する。入射した電子
のおよそ50%が電子透過窓7で吸収され、残りのおよ
そ50%程度が運動エネルギー80keVをもって透過
する。透過した電子のパワーは142.4Wであり、電
子集中手段としての前記の電磁石8が無い場合に、直径
0.25mmの光ファイバ100に命中する電子線のパ
ワーは2.2Wに相当する。光ファイバ100の被覆材
の断面積が4x10−4cm、光ファイバ100の被
覆材の密度が1.2g/cm、光ファイバ100の被
覆材の硬化処理に必要な線量が20kGyであるとする
と、光ファイバ100の被覆材硬化処理速度は137m
/分となる。
【0068】電子集中手段としての前記の電磁石8を取
付け、図6の点9における磁束密度が0.22Tになる
ように電磁石8の起磁力をおよそ6000AT程度に設
定すると、前述のように光ファイバ100への命中率が
およそ2.7倍改善されるので光ファイバ100の被覆
材硬化処理速度は274m/分に改善される。電子透過
窓7の直径を12cmまで拡大して、入射電子を均一に
広げた場合には上記と同一の電子密度で入射電流を6.
2倍増加させることが出来、およそ1700m/分の被
覆材硬化処理速度を得ることになる。この光ファイバ被
覆材硬化装置1台の全長はおよそ50cmであるので直
列に装置を接続して使用すると光ファイバ100の被覆
材硬化処理速度はそれだけ増強できる。例えば、3台を
直列に接続すると、装置の全長は1.5mになるが、光
ファイバ100の被覆材硬化処理速度は5100m/分
に増強され、十分な処理速度を得ることができる。更に
処理能力を高める必要があれば、電子透過窓7の片側又
は両側に放射状のフィンを設けるなどして冷却を強くし
て電子透過窓7に入射する電子の密度を増すことによっ
てよりコンパクトな装置で達成することができる。本発
明の光ファイバ被覆材硬化装置では、電子透過窓7に入
射する電子の分布を広げ、電子透過窓7における電子密
度を小さく保った状態で電子透過窓7を透過させ、透過
した電子を前記の電子集中手段で光ファイバに集中させ
ることによって被覆材硬化処理速度を容易に高めること
が出来た。電子の分布を広げることは、例えば電子分散
手段としての集束電極3のバイアス電圧を高めることに
よって容易に実現できる。装置を直列に接続する場合、
各装置に独立した高電圧電源を接続しておくと、安定性
が向上する。
【0069】本実施例では、電磁石8の第2の磁極80
1の先端は電子透過窓7を覆う状態で電子透過窓7と同
心状に取り付けられており、電磁石8の電子集中効果が
大きくて最も好ましい状態になっている。しかしなが
ら、電磁石8の第2の磁極801の先端を電子透過窓7
から25mmの位置まで遠ざけても、電磁石8の起磁力
を適正化することによって類似の効果が得られる。電磁
石8を、第2の磁極801の先端と第1の磁極802の
先端がZ軸方向に同じ位置になるような構造にしても、
第2の磁極801の先端が第1の磁極802の先端より
もZ軸方向に沿って電子透過窓7から遠ざかる位置にな
るような構造にしても、電磁石8の起磁力を適正化する
などによって第1の磁極802の近傍では図6と同様の
磁束密度分布が得られ、上述と類似の効果が得られるこ
とがわかっている。しかしながら、電子透過窓7の位置
で磁束密度B,Bが存在しない場合又は弱すぎる場
合には散乱した電子線の十分な集中効果が得られず、電
子線の光ファイバへの命中率を高めることは困難であ
る。
【0070】上記の実施形態及び実施例では、電子銃は
環状の陰極2を有しており、その中心軸は光ファイバ通
路10の中心軸に一致させて取り付けられているが、直
径が4mm程度の円形の陰極を多数個環状に配列して構
成しても良いことは勿論である。この場合には既存の陰
極を採用できるメリットが生じる。電子銃の集束電極3
も同様に多数個に分割されて配設されても良いことは勿
論である。電子透過窓7も、多数に分割されたセグメン
トで環状に構成されていても良いことは勿論である。
【0071】照射室空間111には図示しない不活性ガ
スの導入口と排出口とがあり、電子透過窓7に不活性ガ
スを吹き付けて強制冷却するようになっている。電子透
過窓7を透過した電子が照射室空間111の壁11に衝
突した場合にX線の発生を少なくする様にアルミニユー
ムの様な原子番号が鉄よりも小さい非磁性の物質で作ら
れており、光ファイバ100に入射するX線を減少させ
ている。また、前記の光ファイバ通路10内における光
ファイバ100の移動速度を検出する手段と、前記の電
子透過窓7で吸収された電流又は前記の電子透過窓7を
通過した電流を検出する手段とを有して装置を構成して
おき、前記の光ファイバ100の移動速度に応じて前記
の陰極2から放出される電子の量を制御するようにして
おくと光ファイバ100の長手方向における吸収線量の
均一度を高めることができる。
【0072】次に、変形された実施形態について図15
を用いて説明する。図15の実施形態の例では、独立し
た2個の電子銃が光ファイバ通路10の中心軸に対して
対称に設けられている。これらの電子銃は円形の小型カ
ソード2−1、2−2と、独立の集束電極3−1、3−
2を有して構成されており、それぞれの電子銃は支持金
具17−1、17−2によって絶縁物で出来た図示しな
い高電圧端子に取り付けられている。それぞれの陰極2
−1,2−2から放出された円形の断面を有する電子ビ
ームは前述と同様にして加速されてそれぞれの軌道をた
どって電子透過窓7に到達する。電子透過窓7は環状構
造ではなく、独立した2個の円形のチタニューム箔で構
成されている。この電子透過窓7を透過した電子は前述
と同様に電子集中手段としての電磁石8の磁束によって
電子の集中作用を受けるので光ファイバ100に効率良
く照射される。この場合には、光ファイバ100の周方
向における電子線分布の均一性が図2に示した実施形態
の場合よりも低下するが、その劣化が問題になる場合に
は周方向の電子銃の数を増すことによって改善される。
それぞれの電子銃、集束電極、陽極、電子透過窓を含む
独立した真空容器に分割しても良い。更に、2個の電子
銃に独立した別個の高電圧電源から電圧を供給すること
により、一方の動作が不安定になった場合でも他方が正
常に作動するので装置の信頼性が向上する。又、どちら
か一方の電子銃を省略しても好ましくはないが概ね類似
の特性を得ることができる。
【0073】本発明を実施形態及び実施例に関連して説
明したが、本発明は、ここに例示した実施形態及び実施
例の構造及び形態に限定されるものではなく、本発明の
精神及び範囲から逸脱することなく、いろいろな実施形
態が可能であり、いろいろな変更及び改変を加えること
ができることを理解されたい。例えば、電子透過窓7の
外側を真空にした状態で光ファイバ100に電子線を照
射できることは勿論である。また、電子集中手段として
の電磁石8は永久磁石に替えても良いことは勿論であ
る。更に、図15の実施形態において、電子銃の方向を
RZ平面に垂直な方向に向けて傾斜させることにより、
電子透過窓7を透過した電子の横方向散乱角φを改善
することができる。図2に示す本実施形態では電子透過
窓7を円形の平板状に構成して作りやすくしているが、
これを円錐面状又は球面状に構成しても良いことは当然
である。また、電子透過窓を光ファイバ通路10に対し
て傾斜した平面に構成しても良い。また、スリットを有
するファンなどの回転体を光ファイバ通路と電子透過窓
の間に設ける事により、電子透過窓冷却用の流体が光フ
ァイバ通路に到達するのを防止しても良い。更に、電子
の透過率が高い箔を光ファイバ通路と電子透過窓の間に
設ける事により、電子透過窓冷却用の流体が光ファイバ
通路に到達するのが防止しても良い。電子集中手段は、
複雑な構造になるが、複数個の磁石を組み合わせて構成
しても、高電界を発生する電極と磁石とを組み合わせて
構成しても実現できる。前記の電子加速手段による加速
エネルギーが190keV以下の範囲で上記実施形態の
例と異なった場合も本発明に含まれる。前記の光ファイ
バ100が絶縁物のみで出来ている場合も導電性の材質
を含む場合も本発明に含まれる。
【発明の効果】以上説明したように本発明を採用する
と、光ファイバに効率良く電子線を照射することがで
き、光ファイバに短時間に十分な線量の電子線を集中し
て照射するこが出来、従来不可能であった処理速度が大
きい光ファイバ被覆材硬化装置を提供することができ
る。電子透過窓を透過した電子の多くを光ファイバに命
中できるので、電子透過窓に入射する電子の数を相対的
に減少させることが出来、電子透過窓の過度の発熱が防
止されて信頼性が大幅に改善される。また、電子透過窓
の面積を、光ファイバ通路と角度を成して交叉する方向
に広げることができるので、装置の長さの増加を抑制し
て被覆材硬化処理速度を必要なだけ高めることができ
る。電子が光ファイバの周囲からから均一に光ファイバ
被覆材に衝突するので周方向における硬化処理の均一性
が向上する。更に、電子透過窓が光ファイバ通路と角度
を有して取り付けられているので、光ファイバの被覆材
の蒸発や飛散などによって電子透過窓が汚染され難く、
信頼性が高い装置となる。全長が短くコンパクトな装置
となるので、狭い設置スペースに於いて複数台をシリー
ズに接続して構成することにより、更に処理能力を高め
た光ファイバ製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である光ファイバ被覆材の
硬化方法を示す概略の縦断面図(a)と概略の横断面図
(b)である。
【図2】本発明の一実施形態である光ファイバ被覆材硬
化装置の縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態の縦断面図である図2のA
A’の矢印方向から見た横断面図である。
【図4】本発明の実施形態の縦断面図である図2のB
B’の矢印方向から見た横断面図である。
【図5】本発明の実施形態の縦断面図である図2のC
C’の矢印方向から見た横断面図である。
【図6】本発明の主要構成要素ある電子集中手段として
の電磁石の構造と磁束の分布を表す断面図である。
【図7】本発明の原理を説明する原理図であり、電子透
過窓における電子の散乱を模式的に示している。
【図8】本発明の原理を説明する原理図であり、電子透
過窓における電子の散乱の角度関係を示している。
【図9】本発明の原理を説明する原理図であり、Z軸の
回りで周回運動する電子に磁束密度が及ぼす効果を示し
ている。
【図10】本発明の作用と効果を説明する為の電子の軌
道を計算した結果を中心軸の方向から見た図面である。
【図11】本発明の作用と効果を説明する為の電子の軌
道を計算した結果を中心軸の方向から見て拡大した図面
である。
【図12】本発明の作用と効果を説明する為の電子の軌
道を計算した結果を表す図面であり、磁束密度が0の場
合の例を表している。
【図13】本発明の作用と効果を説明する為の電子の軌
道を計算した結果を表す図面であり、横方向散乱角φ
が−0.6度の場合の例である。
【図14】本発明の作用と効果を説明する為の電子の軌
道を計算した結果を表す図面であり、横方向散乱角φ
が+0.6度の場合の例である。
【図15】本発明の変形した実施形態を表す縦断面図で
ある。
【図16】従来の電子線照射装置の概略横断面図であ
る。
【図17】従来の光ファイバ製造装置を模式的に表した
図である
【符号の説明】
1 真空容器 2 陰極 3 集束電極 4 陽極構体 5 陽極リング 6 電子透過窓構体 7 電子透過窓 8 電磁石 9 円錐形状の電子軌道の延長線と光ファイバ
通路10の中心線との交点 10 光ファイバ通路 11 照射室壁 12 遮蔽体 13 絶縁筒 14 電子銃取付台 15 高電圧リード線 16 排気管 17 取付金具 20 電子ビーム 30 等電位曲線 100 光ファイバ 101 真空空間 111 照射室空間 200 動圧発生管 201 流体導入口 202 低圧力孔 203 高圧力孔 204 高圧力孔 401 電子通過孔 402 陽極構体4の一部である平板部 403 冷却水路 404 冷却水路 405 放射状に設けられた多数の窪み 406 電子通路 407 隔壁 601 多数の窪み 602 環状の溝 603 冷却水路 604 冷却水路 605 隔壁 700 電子軌道 701 電子軌道 702 電子軌道 703 電子軌道 704 電子軌道 705 電子軌道 711 電子軌道 712 電子軌道 713 電子軌道 714 電子軌道 801 環状の第2の磁極 802 環状の第1の磁極 803 コイル 804 磁極 805 等磁位曲線 B01 電子軌道 B02 電子軌道

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空領域内で電子加速手段によって電子
    を加速し、この加速された電子を真空領域の境界を成す
    電子透過窓を透過させ、被覆材を被覆した光ファイバを
    光ファイバ通路内で移動させた状態で、この光ファイバ
    を取り囲む方向から前記の電子を飛来させて前記の被覆
    材に照射することによって前記の被覆材を硬化させる工
    程を含む光ファイバ製造方法において、前記の電子透過
    窓を含む面が前記の光ファイバ通路によって貫通されて
    いることを特徴とする光ファイバ製造方法。
  2. 【請求項2】 前記の電子透過窓の少なくとも一部を含
    む面が、前記の光ファイバ通路と実質的に直交している
    ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記の電子透過窓を透過した電子は、真
    空領域外において電子集中手段によって前記の被覆材に
    向かって強制的に集中させられて前記の被覆材に入射す
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバ
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記の被覆材に命中する電子の数は、真
    空領域外において電子集中手段によって増加させられる
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載
    の光ファイバ製造方法。
  5. 【請求項5】 前記の電子集中手段は、中心軸をもって
    おり、前記の電子透過窓を透過して散乱した電子に前記
    の中心軸に向かう力を与えることを特徴とする請求項3
    又は4に記載の光ファイバ製造方法。
  6. 【請求項6】 前記の電子集中手段は、前記の電子透過
    窓を透過した電子の進行方向と前記の光ファイバ通路と
    の成す角度を大きくする様に作用することを特徴とする
    請求項3乃至5のいずれか1項に記載の光ファイバ製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記の電子集中手段は、前記の電子透過
    窓に対向した状態で前記の光ファイバ通路と同軸的に設
    けられた環状の磁石を用いて構成されていることを特徴
    とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の光ファイ
    バ製造方法。
  8. 【請求項8】 前記の電子集中手段は、前記の光ファイ
    バ通路に沿った方向に傾斜して分布する磁束を生じるこ
    とを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1項に記載の
    光ファイバ製造方法。
  9. 【請求項9】 前記の電子集中手段は、前記の光ファイ
    バ通路と同軸的に設けられた第1の環状の磁極と、この
    第1の環状の磁極と同軸的に設けられた、より大きな径
    を有する第2の環状の磁極とを含んでおり、この第2の
    環状の磁極と前記の第1の環状の磁極との開口は、前記
    の電子透過窓と対向していることを特徴とする請求項3
    乃至8のいずれか1項に記載の光ファイバ製造方法。
  10. 【請求項10】 前記の電子集中手段は、前記の第2の
    磁極の先端が前記の電子透過窓を覆う様に位置して構成
    されていることを特徴とする請求項9に記載の光ファイ
    バ製造方法。
  11. 【請求項11】 前記の電子透過窓に入射する電子の軌
    道は、前記の光ファイバ通路を中心とする円錐状に形成
    されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれ
    か1項に記載の光ファイバ製造方法。
  12. 【請求項12】 前記の電子加速手段によって加速され
    た電子は、実質的に電界が存在しない空間を走行した後
    に前記の電子透過窓に入射することを特徴とする請求項
    1乃至11のいずれか1項に記載の光ファイバ製造方
    法。
  13. 【請求項13】 前記の電子透過窓は、前記の光ファイ
    バ通路内に在る光ファイバからその進行方向に見えない
    ように構成されたことを特徴とする請求項1乃至12の
    いずれか1項に記載の光ファイバ製造方法。
  14. 【請求項14】 被覆材を被覆した光ファイバを通過さ
    せる為の光ファイバ通路と、この光ファイバ通路を取り
    囲んで設けられており真空領域を構成する真空容器と、
    この真空容器の内部で前記の光ファイバ通路を取り囲ん
    で設けられており電子を放出する陰極と、前記の真空容
    器の内部で前記の光ファイバ通路を取り囲んで設けられ
    ており前記の陰極から放出された電子を加速する電子加
    速手段と、前記の光ファイバ通路を取り囲んで設けられ
    ており前記の電子加速手段によって加速された電子を真
    空容器の外部に透過させる電子透過窓とを含んで構成さ
    れており、前記の電子透過窓を含む面が前記の光ファイ
    バ通路によって貫通されていることを特徴とする光ファ
    イバ製造装置。
  15. 【請求項15】 真空領域を構成する真空容器と、この
    真空容器の外部に在り、被覆材を被覆した光ファイバを
    通過させる為の光ファイバ通路と、前記の真空容器の内
    部で電子を放出する陰極と、この陰極から放出された電
    子を加速する電子加速手段と、この電子加速手段によっ
    て加速された電子を真空容器の外部に透過させる電子透
    過窓とを含んで構成されており、この電子透過窓を含む
    面が前記の光ファイバ通路によって貫通されていること
    を特徴とする光ファイバ製造装置。
  16. 【請求項16】 前記の電子透過窓の少なくとも一部を
    含む面が、前記の光ファイバ通路と実質的に直交してい
    ることを特徴とする請求項14又は15に記載の光ファ
    イバ製造装置。
  17. 【請求項17】 前記の電子透過窓を透過した電子の数
    に対する前記の光ファイバの被覆材に衝突する電子の数
    の割合を増加する電子集中手段を含んでいることを特徴
    とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の光フ
    ァイバ製造装置。
  18. 【請求項18】 前記の電子集中手段は、中心軸をもっ
    ており、前記の電子透過窓を透過して散乱した電子に前
    記の中心軸に向かう力を与えることを特徴とする請求項
    17に記載の光ファイバ製造装置。
  19. 【請求項19】 前記の電子集中手段は、前記の電子透
    過窓を透過した電子の進行方向と前記の光ファイバ通路
    との成す角度を大きくする様に作用することを特徴とす
    る請求項17又は18に記載の光ファイバ製造装置。
  20. 【請求項20】 前記の電子集中手段は、前記の電子透
    過窓に対向した状態で前記の光ファイバ通路と同軸的に
    設けられた環状の磁石を用いて構成されていることを特
    徴とする請求項17乃至19のいずれか1項に記載の光
    ファイバ製造装置。
  21. 【請求項21】 前記の電子集中手段は、前記の光ファ
    イバ通路に沿った方向に傾斜して分布する磁束を生じる
    ことを特徴とする請求項17乃至20のいずれか1項に
    記載の光ファイバ製造装置。
  22. 【請求項22】 前記の電子集中手段は、前記の光ファ
    イバ通路と同軸的に設けられた第1の環状の磁極と、こ
    の第1の環状の磁極と同軸的に設けられた、より大きな
    径を有する第2の環状の磁極とを含んでおり、この第2
    の環状の磁極と前記の第1の環状の磁極との開口は、前
    記の電子透過窓と対向していることを特徴とする請求項
    17乃至21のいずれか1項に記載の光ファイバ製造装
    置。
  23. 【請求項23】 前記の電子集中手段は、前記の第2の
    磁極の先端が前記の電子透過窓を覆う様に位置して構成
    されていることを特徴とする請求項22に記載の光ファ
    イバ製造装置。
  24. 【請求項24】 前記の電子透過窓に入射する電子の軌
    道は、前記の光ファイバ通路を中心とする円錐状に形成
    されていることを特徴とする請求項14乃至23のいず
    れか1項に記載の光ファイバ製造装置。
  25. 【請求項25】 前記の電子加速手段によって加速され
    た電子は、実質的に電界が存在しない空間を走行した後
    に前記の電子透過窓に入射することを特徴とする請求項
    14乃至24のいずれか1項に記載の光ファイバ製造装
    置。
  26. 【請求項26】 前記の電子透過窓は、前記の光ファイ
    バ通路内に在る光ファイバからその進行方向に見えない
    ように構成されたことを特徴とする請求項14乃至25
    のいずれか1項に記載の光ファイバ製造装置。
  27. 【請求項27】 前記の光ファイバ通路は、前記の真空
    容器を貫通して設けられており、前記の陰極はこの光フ
    ァイバ通路の周囲から光ファイバ通路に向かって電子を
    放出する環状の電子放出面を有することを特徴とする請
    求項14乃至26のいずれか1項に記載の光ファイバ製
    造装置。
  28. 【請求項28】 前記の陰極と、前記の電子加速手段
    と、前記の電子透過窓と、前記の電子集中手段と、前記
    の光ファイバ通路とが同軸状に取り付けられていること
    を特徴とする請求項14乃至27のいずれか1項に記載
    の光ファイバ製造装置。
  29. 【請求項29】 前記の光ファイバ通路内における光フ
    ァイバの移動速度を検出する手段と、前記の電子透過窓
    で吸収された電子の量又は前記の電子透過窓を通過した
    電子の量を検出する手段とを有して構成されており、前
    記の光ファイバの移動速度に応じて前記の陰極から放出
    される電子の量を制御するようになっていることを特徴
    とする請求項14乃至28のいずれか1項に記載の光フ
    ァイバ製造装置。
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