JP2003029030A - 異方性散乱フィルムおよびそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

異方性散乱フィルムおよびそれを用いた液晶表示装置

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JP2003029030A
JP2003029030A JP2001211808A JP2001211808A JP2003029030A JP 2003029030 A JP2003029030 A JP 2003029030A JP 2001211808 A JP2001211808 A JP 2001211808A JP 2001211808 A JP2001211808 A JP 2001211808A JP 2003029030 A JP2003029030 A JP 2003029030A
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liquid crystal
anisotropic
anisotropic scattering
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JP2001211808A
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Kyoko Yamamoto
恭子 山本
Yasuteru Maeda
泰照 前田
Masato Kuwabara
真人 桑原
Koichi Fujisawa
幸一 藤沢
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い透過性、優れた散乱強度を有する異方性散
乱フィルム、該異方性散乱フィルムを用いた高輝度の液
晶表示装置を提供する。 【解決手段】[I]微細孔を有する微孔性フィルム、お
よび該微細孔中に存在し微孔性フィルムとは異なる屈折
率を有する異方性物質とからなる、偏光成分に対し散乱
異方性を有する異方性散乱フィルムであり、該微孔性フ
ィルムは、フィルム表面に観測される微細孔の形状が実
質的に楕円形状であり、該楕円形の長軸径と短軸径の比
(長軸/短軸)が1より大きく、短軸径が用いる光の波
長より小さく、微細孔の長軸方向の向きが実質的に一方
向に揃っていることを特徴とする異方性散乱フィルム。 [II]少なくとも表面側に偏光板を有する液晶パネ
ル、[I]記載の異方性散乱フィルム、導光板、反射板
又は拡散反射板を、この順に備えてなり、液晶パネルの
透過軸と異方性散乱フィルムの透過軸とを実質的に一致
せしめてなる液晶表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、異方性散乱フィル
ムおよびそれを用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の液晶表示装置は、吸収型偏光板を
用いるために、その明るさはバックライトそのものの明
るさの半分以下になっていた。使用に際しては液晶パネ
ルの表裏に2枚の偏光板を用いるために、光の利用効率
がさらに低下し、バックライトそのものの30%から4
0%の明るさになっていた。そこで、光の利用効率を高
めるために、偏光板に吸収されてしまう偏光を、偏光板
に吸収されない偏光に変換して、これらの欠点を補うと
いう試みがなされている。
【0003】例えば、特表平11−509014号公報
には、等方性材料中に、特定の大きさを有する異方性粒
子を特定の間隔で配してなる偏光素子が開示されてい
る。しかしながら、該偏光素子では、十分な散乱強度が
得られないこと、粒子の分散性を制御することが難し
い、などの問題があった。
【0004】また、特開平9−297204号公報に
は、アスペクト比が1以上である散乱粒子を、該散乱粒
子とは屈折率が異なる支持媒体中にほぼ一方向に分散配
列してなる異方性散乱素子が開示されている。しかしな
がら、該異方性散乱素子においても、十分な散乱強度が
得られないこと、異方性散乱粒子の分散性を制御するこ
とが難しい、などの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
透過性、優れた散乱強度を有する異方性散乱フィルム、
および該異方性散乱フィルムを用いた高輝度の液晶表示
装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
ような問題がない異方性散乱フィルムを見出すべく、鋭
意検討を重ねた結果、フィルム表面に観察される微細孔
の形状が実質的に楕円形状であり、該楕円形の長軸径と
短軸径の比(長軸/短軸)が1より大きく、短軸径が用
いる光の波長より小さく、微細孔の長軸方向の向きが実
質的に一方向に揃っている微孔性フィルム、および該微
細孔中に存在し微孔性フィルムとは異なる屈折率を有す
る異方性物質からなる異方性散乱フィルムが、高い透過
性、優れた散乱強度を有しており、しかも製造も容易で
あり、また該フィルムを用いることにより高輝度の液晶
表示装置を提供できることを見出し、本発明を完成させ
るに至った。
【0007】すなわち、本発明は、[I]微細孔を有す
る微孔性フィルム、および該微細孔中に存在し微孔性フ
ィルムとは異なる屈折率を有する異方性物質からなる、
偏光成分に対し散乱異方性を有する異方性散乱フィルム
であり、該微孔性フィルムは、フィルム表面に観察され
る微細孔の形状が実質的に楕円形状であり、該楕円形の
長軸径と短軸径の比(長軸/短軸)が1より大きく、短
軸径が用いる光の波長より小さく、微細孔の長軸方向の
向きが実質的に一方向に揃っていることを特徴とする異
方性散乱フィルムを提供するものである。また、本発明
は、[II]少なくとも表面側に偏光板を有する液晶パ
ネル、[I]記載の異方性散乱フィルム、導光板、反射
板又は拡散反射板を、この順に備えてなり、液晶パネル
の透過軸と異方性散乱フィルムの透過軸とを実質的に一
致せしめてなる液晶表示装置を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の異方性散乱フィルムとは、偏光成分に対し散乱
異方性を有するフィルムである。本発明で使用する微孔
性フィルムは、多孔性又は海綿状のフィルムである。該
フィルムは、その微細孔がフィルム内部で相互に連結し
ていても、連結していなくてもよい。また、本発明で使
用する微孔性フィルムは、その微細孔が一方の外側表面
又は表面領域から他方へと達することができる曲がりく
ねった経路を介して本質上相互接続している、いわゆる
貫通孔を有するフィルムであってもよい。本発明におけ
る微細孔は、上記した貫通孔を含む。貫通孔を有する微
孔性フィルムの場合、貫通性能を示す指標である透気度
は、5〜5,000sec/100cc・cm2である
ことが好ましい。透気度が5,000sec/100c
c・cm2を超えると、異方性物質の充填が困難になる
傾向があり、5sec/100cc・cm2未満である
と、所望の光学特性が発現しない傾向がある。尚、透気
度は、JIS P−8117に示された方法により測定
する。
【0009】図1に示すように、フィルム表面や内部に
観察される微細孔の形状は、実質的に楕円形状である。
ここで、楕円形状とは、小判形、両凸レンズ形などの広
義の形状を含み、円形とは異なる長軸と短軸が存在し得
る形状であれば特に限定されない。
【0010】長軸径と短軸径との比(アスペクト比:長
軸/短軸)は、1より大きいことが必要であり、好まし
くは1.01〜50、より好ましくは3〜30、さらに
好ましくは4〜30である。また、該貫通孔および微細
孔のフィルム表面における長軸の向きは実質的に一方向
に揃っていることが必要がある。
【0011】楕円の短軸径は、用いる光の波長よりも小
さいことが必要であり、用いる光の波長の50%以下が
好ましい。また、楕円の長軸径は、用いる光の波長と同
じであるか、それ以上であることが好ましく、用いる光
の波長の2倍以上であることがさらに好ましい。用いる
波長とは、本発明の異方性散乱フィルムの使用条件によ
るが、通常、液晶表示装置として用いる場合、可視光領
域(波長400〜800nm)をいう。
【0012】また、微細孔のフィルム表面における長軸
の向きは実質的に一方向に揃っていることが必要であ
る。
【0013】微細孔が微孔性フィルムに占める割合(以
下、空隙率という)は、特に限定されないが、30〜8
5%が好ましく、より好ましくは50〜75%である。
空隙率が30%未満であると、十分な透過率が得られな
い傾向があり、また85%を超えると機械的強度が低下
する傾向がある。
【0014】該微孔性フィルムの材質は、軽量化、成形
性の観点から高分子物質であることが好ましい。該高分
子物質は、微孔性フィルムを高温で使用した場合や、液
晶セルと貼合する際に光学的性質や形状の変化が起こら
ないものが好ましい。該高分子物質のガラス転移温度ま
たは軟化温度は、光学特性の変化や形状変化などの観点
から、40〜250℃が好ましく、50〜230℃がよ
り好ましく、さらに好ましくは60〜200℃である。
【0015】該高分子物質としては、ポリオレフィン系
高分子などが挙げられる。ポリオレフィン系高分子とし
ては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテ
ン、ヘキセンなどのα-オレフィン単独重合体、エチレ
ン−プロピレン、エチレン−ブテン、エチレン−ペンテ
ン、エチレン−ヘキセンなどの共重合体、又はこれらの
ブレンド物などが挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。
【0016】これらの高分子には、フィルムにさらに機
械的強度を付与したり、液晶表示セルに貼合する際の接
着性を改良するために、本発明の目的を損なわない範囲
で、各種の添加物を添加してもよい。該添加物として
は、例えば、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、滑剤、
分散剤、紫外線吸収剤、白色顔料、蛍光増白剤などが挙
げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】該微孔性フィルムの膜厚は、特に限定され
ないが、好ましくは1〜500μm、より好ましくは2
0〜200μmである。1μmより薄いと十分な散乱が
得られない傾向があり、500μmより厚いと十分光が
透過しない傾向がある。該微孔性フィルムは、2種類以
上のフィルムを積層した積層フィルムであってもよい。
【0018】本発明で用いる微孔性フィルムは、下記の
方法に準拠して製造することができる。 (1)樹脂に充填剤を添加し、フィルムに成膜後延伸す
る方法(特公昭55−9131号公報等) (2)ポリマー溶融物中で微細粒子を合成し、フィルム
を成膜後延伸する方法(特開平10−287758号公
報) (3)樹脂に充填剤と可塑剤を添加し、フィルムに成膜
後延伸する方法(特公平7−15021号公報) (4)樹脂に表面処理された充填剤を添加し、フィルム
に成膜後延伸する方法(特開昭63−210144号公
報) (5)樹脂に充填剤と結晶核剤を添加し、フィルムに成
膜後延伸する方法(特開昭64−54042号公報) (6)樹脂に非相溶性樹脂を添加し、フィルムに成膜後
延伸する方法(特開平4−142341号公報) (7)樹脂に抽出可能物質を添加し、成膜後抽出し延伸
する方法(特開平1−201342号公報) (8)結晶性樹脂を成膜後、溶媒ストレッチ法により延
伸する方法(特公平2−19141号公報) (9)結晶性樹脂に結晶核剤を添加し、フィルムに成膜
後延伸する方法(特公平7−5780号公報) (10)冷延伸と熱延伸の工程を用いる方法(特公平2
−11620号公報) (11)溶媒キャスト法で得られたフィルムを乾燥して
延伸する方法(特開平5−98065号公報)
【0019】上記のような方法で微孔性フィルムを製造
することができるが、本発明の異方性散乱フィルムに用
いる微孔性フィルムは、少なくともフィルム表面に観測
される微細孔の形状が実質的に楕円形状であり、該楕円
形の長軸径と短軸径の比(長軸/短軸)が1より大き
く、短軸径が用いる光の波長より小さく、長軸の向きが
実質的に一方向に揃っていることが必要である。また、
長軸径は用いる光の波長と同等以上であることが好まし
い。
【0020】短軸径は、微孔性フィルムの製造時にある
程度制御することが可能である。即ち、微孔性フィルム
は、例えば、ポリマー、無機微粉体、可塑剤を混練・加
熱溶融しながらフィルム状に成形した後、一軸方向にの
み延伸または二軸方向に延伸してフィルムを形成後、無
機微粉体及び可塑剤をそれぞれ抽出、除去、乾燥するこ
とにより製造することができるが、短軸径は、製造時に
用いる無機微粉体の粒径を変えることによって制御でき
る。
【0021】また、長軸径と短軸径の比(アスペクト
比:長軸/短軸)は、製造時の延伸倍率を変えることに
よって制御できる。延伸倍率は、面積延伸倍率で1.5
〜30倍であることが好ましく、2〜20倍であること
がより好ましい。延伸方向は、一軸方向でも二軸方向で
もかまわないが、二軸方向である場合には、微細孔のア
スペクト比を大きくするために、直交する二方向におい
て、その延伸倍率が異なることが好ましい。
【0022】上記のようにして得られた微孔性フィルム
は、さらに延伸されていてもよい(以後、二次延伸とい
うことがある)。微孔性フィルムを製造する際の延伸(以
後、一次延伸ということがある)は、引き裂き強度の付
与などの観点から二軸延伸が好ましいが、二次延伸は、
楕円形状のアスペクト比を大きくする、長軸方向をそろ
えるために行うので、一軸延伸を含む延伸であることが
好ましく、実質的に一軸延伸であることがより好まし
い。延伸倍率は、貫通孔及び微細孔の形状制御、生産
性、得られるフィルム幅の観点から、好ましくは1.2
倍〜10倍、より好ましくは1.3倍〜5倍である。二
次延伸により得られた楕円形状のアスペクト比は、好ま
しくは3〜30、より好ましくは4〜30である。
【0023】上記の微孔性フィルムの微細孔中の異方性
物質は、微孔性フィルムと屈折率が異なることが必要で
ある。微孔性フィルムの微細孔には、微孔性フィルムと
屈折率が異なる異方性物質が充填される。該異方性物質
は特に限定されないが、無色であることが好ましい。微
孔性フィルムと異方性物質との屈折率差は、散乱軸方向
において実質的に後方散乱を生ずる領域にあることが好
ましい。ここで、後方散乱とは、入射光に垂直な平面を
底面とし、入射方向と反対の半球空間に入射光が散乱さ
れる現象をいう。ここで、散乱軸とは、後述の、液晶表
示装置における偏光変換の箇所で説明する。
【0024】また、微孔性フィルムの屈折率をn、異方
性物質の屈折率をne、no(ne>no)とした場合、 0.01<|n-ne|<0.6 0≦|n-no|<0.05 の関係を満足することがより好ましい。ここで、液晶物
質中での常光線に対する屈折率をno、異常光線に対す
る屈折率をneとする。
【0025】該異方性物質は、重合性物質であることが
好ましく、該重合性物質としては、透明であれば特に限
定されず、熱可塑性、熱硬化性、光硬化性のいずれのも
のであってもよい。
【0026】該異方性物質としては、液晶が好ましく使
用される。該液晶は、特に限定されるものではないが、
下記一般式(1)、(2)および(3)からなる群から
選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好まし
い。 ・・・(1) 一般式(1)中、A1〜A12は、それぞれ独立に水素原
子、フッ素原子、フッ素で置換されていてもよい炭素数
1〜10のアルキル基又はアルコキシ基を表す。R11
びR12は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、シア
ノ基、SF5、NCS、4−R13−(シクロアルキル)
基、4−R13−(シクロアルケニル基)又はR 14−(O)q
11基を表す。但し、R13は水素原子、直鎖もしくは分枝
のフッ素で置換されていても良い炭素数1〜12のアル
キル基を表し、R14は直鎖もしくは分枝のフッ素原子で
置換されていても良い炭素数1〜12のアルキル基を表
す。q 11は0又は1を表す。
【0027】 ・・・(2) 一般式(2)中、A13〜A24は、それぞれ独立に水素原
子、フッ素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表
す。mは0または1である。R21は水素原子、直鎖もし
くは分枝のフッ素で置換されていても良い炭素数1〜1
2のアルキル基を表す。R22は、 R21、フッ素原子、
シアノ基、4−R23−(シクロアルキル)基、4−R23
(シクロアルケニル基)又はR24−(O)q21基を表す。但
し、R23は水素原子、直鎖もしくは分枝のフッ素で置換
されていても良い炭素数1〜12のアルキル基を表し、
24は直鎖もしくは分枝のフッ素原子で置換されていて
も良い炭素数1〜12のアルキル基を表す。q21は0又
は1を表す。
【0028】 ・・・(3) 一般式(3)中、環A、環B、環C及び環Dは、それぞ
れ独立に、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシ
レン、1,4−シクロヘキセレン、4,1−シクロヘキ
セレン、2,5−シクロヘキセレン、5,2−シクロヘ
キセレン、3,6−シクロヘキセレン、6,3−シクロ
ヘキセレン、2,5−ピリミジンジイル、5,2−ピリ
ミジンジイル、2,5−ピリジンジイル、5,2−ピリ
ジンジイル基、2、5−ジオキサンジイル、もしくは
5、2−ジオキサンジイルを表し、環A、環B、環C、
および環D上の水素原子はフッ素原子に置換されていて
もよい。R31、R32は水素原子、フッ素原子、フルオロ
メチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル
基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリ
フルオロメトキシ基、シアノ基、炭素数1〜12のアル
キル基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数3〜1
2のアルキニル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭
素数3〜12のアルケニルオキシ基、炭素数3〜12の
アルキニルオキシ基、炭素数2〜16のアルコキシアル
キル基、もしくは炭素数3〜16のアルコキシアルケニ
ル基を表す。これらのアルキル基、アルケニル基、アル
キニル基中のメチレン基は酸素原子、イオウ原子、ケイ
素原子で置換されてもよく、直鎖または分岐のどちらで
もよい。Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立に、−COO
−、−OCO−、−OCH2−、−CH2O−、炭素数1
〜5のアルキレン基、炭素数2〜5のアルケニレン基、
炭素数2〜5のアルキニレン基もしくは直接結合を表
し、 b、c及びdは、それぞれ独立に0又は1であ
り、かつb+c+d≧1を満たす。
【0029】前記一般式(1)で表される化合物の具体
例を以下に示す。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】式中、R11及びR12の具体例としては、例
えば、水素原子;フッ素原子;メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチ
ル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル
基、ドデシル基等のアルキル基及びこれらがフッ素原子
で置換されたフルオロアルキル基(例えばトリフルオロ
メチル基);メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、
ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オ
クチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウ
ンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基等のアルコキシ基
及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロアルコキ
シ基(例えば1〜3個のフッ素原子で置換されたメトキ
シ基、1〜5個のフッ素原子で置換されたエトキシ
基);メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキ
シメチル基、ブトキシメチル基、ペンチルオキシメチル
基、ヘキシルオキシメチル基、ヘプチルオキシメチル
基、オクチルオキシメチル基、ノニルオキシメチル基、
デシルオキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエ
チル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペン
チルオキシエチル基、ヘキシルオキシエチル基、ヘプチ
ルオキシエチル基、オクチルオキシエチル基、ノニルオ
キシエチル基、デシルオキシエチル基、メトキシプロピ
ル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブ
トキシプロピル基、ペンチルオキシプロピル基、ヘキシ
ルオキシプロピル基、ヘプチルオキシプロピル基、オク
チルオキシプロピル基、ノニルオキシプロピル基、メト
キシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル
基、ブトキシブチル基、ペンチルオキシブチル基、ヘキ
シルオキシブチル基、ヘプチルオキシブチル基、オクチ
ルオキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペン
チル基、プロポキシペンチル基、ブトキシペンチル基、
ペンチルオキシペンチル基、ヘキシルオキシペンチル
基、ヘプチルオキシペンチル基等のアルコキシアルキル
基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロアルコ
キシアルキル基;2−メチルプロピル基、2−メチルブ
チル基、3−メチルブチル基、3−メチルペンチル基等
の分枝アルキル基及びこれらがフッ素原子で置換された
フルオロ分枝アルキル基;2−メチルプロピルオキシ
基、2−メチルブチルオキシ基、3−メチルブチルオキ
シ基、3−メチルペンチルオキシ基等の分枝アルキルオ
キシ基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロ分
枝アルキルオキシ基;4−メチルシクロヘキシル基、4
−エチルシクロヘキシル基、4−プロピルシクロヘキシ
ル基、4−ブチルシクロヘキシル基、4−ペンチルシク
ロヘキシル基、4−ヘキシルシクロヘキシル基、4−ヘ
プチルシクロヘキシル基、4−オクチルシクロヘキシル
基、4−ノニルシクロヘキシル基、4−デシルシクロヘ
キシル基等の4−アルキル−シクロアルキル基およびこ
れらがフッ素原子で置換された4−フルオロアルキル−
シクロアルキル基;4−プロピルシクロヘキセニル基、
4−ペンチルシクロヘキセニル基等の4−アルキル−シ
クロアルケニル基及びこれらがフッ素原子で置換された
4−フルオロアルキル−シクロアルケニル基;シアノ
基;SF5;NCS等が挙げられる。
【0038】前記一般式(2)で表される化合物の具体
例を以下に示す。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】式中、R21及びR22の具体例としては、例
えば、水素原子;フッ素原子;メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチ
ル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル
基、ドデシル基等のアルキル基及びこれらがフッ素原子
で置換されたフルオロアルキル基(例えばトリフルオロ
メチル基);メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、
ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オ
クチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウ
ンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基等のアルコキシ基
及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロアルコキ
シ基(例えば1〜3個のフッ素原子で置換されたメトキ
シ基、1〜5個のフッ素原子で置換されたエトキシ
基);メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキ
シメチル基、ブトキシメチル基、ペンチルオキシメチル
基、ヘキシルオキシメチル基、ヘプチルオキシメチル
基、オクチルオキシメチル基、ノニルオキシメチル基、
デシルオキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエ
チル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペン
チルオキシエチル基、ヘキシルオキシエチル基、ヘプチ
ルオキシエチル基、オクチルオキシエチル基、ノニルオ
キシエチル基、デシルオキシエチル基、メトキシプロピ
ル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブ
トキシプロピル基、ペンチルオキシプロピル基、ヘキシ
ルオキシプロピル基、ヘプチルオキシプロピル基、オク
チルオキシプロピル基、ノニルオキシプロピル基、メト
キシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル
基、ブトキシブチル基、ペンチルオキシブチル基、ヘキ
シルオキシブチル基、ヘプチルオキシブチル基、オクチ
ルオキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペン
チル基、プロポキシペンチル基、ブトキシペンチル基、
ペンチルオキシペンチル基、ヘキシルオキシペンチル
基、ヘプチルオキシペンチル基等のアルコキシアルキル
基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロアルコ
キシアルキル基;2−メチルプロピル基、2−メチルブ
チル基、3−メチルブチル基、3−メチルペンチル基等
の分枝アルキル基及びこれらがフッ素原子で置換された
フルオロ分枝アルキル基;2−メチルプロピルオキシ
基、2−メチルブチルオキシ基、3−メチルブチルオキ
シ基、3−メチルペンチルオキシ基等の分枝アルキルオ
キシ基及びこれらがフッ素原子で置換されたフルオロ分
枝アルキルオキシ基;4−メチルシクロヘキシル基、4
−エチルシクロヘキシル基、4−プロピルシクロヘキシ
ル基、4−ブチルシクロヘキシル基、4−ペンチルシク
ロヘキシル基、4−ヘキシルシクロヘキシル基、4−ヘ
プチルシクロヘキシル基、4−オクチルシクロヘキシル
基、4−ノニルシクロヘキシル基、4−デシルシクロヘ
キシル基等の4−アルキル−シクロアルキル基およびこ
れらがフッ素原子で置換された4−フルオロアルキル−
シクロアルキル基;4−プロピルシクロヘキセニル基、
4−ペンチルシクロヘキセニル基等の4−アルキル−シ
クロアルケニル基及びこれらがフッ素原子で置換された
4−フルオロアルキル−シクロアルケニル基;シアノ
基;SF5;NCS等が挙げられる。
【0055】前記一般式(3)で表される化合物の具体
例を以下に示す。
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】式中、R31の具体例としては、水素原子、
フッ素置換されていてもよい、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチ
ル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、エテニ
ル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、
ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデ
セニル、ドデセニル、メトキシ、エトキシ、プロポキ
シ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプ
チルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオ
キシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、ビニルオキ
シ、プロペニルオキシ、ブテニルオキシ、ペンテニルオ
キシ、ヘキシニルオキシ、ヘプテニルオキシ、オクテニ
ルオキシ、ノネニルオキシ、デセニルオキシ、プロピニ
ルオキシ、ブチニルオキシ、ペンチニルオキシ、ヘキシ
ニルオキシ、ヘプチニルオキシ、オクチニルオキシ、ノ
ニニルオキシ、デシニルオキシ、ウンデシニルオキシ、
ドデシニルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、
プロポキシメチル、ブトキシメチル、ペンチルオキシメ
チル、ヘキシルオキシメチル、ヘプチルオキシメチル、
オクチルオキシメチル、ノニルオキシメチル、デシルオ
キシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、プロポ
キシエチル、ブトキシエチル、ペンチルオキシエチル、
ヘキシルオキシエチル、ヘプチルオキシエチル、オクチ
ルオキシエチル、ノニルオキシエチル、デシルオキシエ
チル、メトキシプロピル、エトキシプロピル、プロポキ
シプロピル、ブトキシプロピル、ペンチルオキシプロピ
ル、ヘキシルオキシプロピル、ヘプチルオキシプロピ
ル、オクチルオキシプロピル、ノニルオキシプロピル、
デシルオキシプロピル、メトキシブチル、エトキシブチ
ル、プロポキシブチル、ブトキシブチル、ペンチルオキ
シブチル、ヘキシルオキシブチル、ヘプチルオキシブチ
ル、オクチルオキシブチル、ノニルオキシブチル、デシ
ルオキシブチル、メトキシペンチル、エトキシペンチ
ル、プロポキシペンチル、ブトキシペンチル、ペンチル
オキシペンチル、ヘキシルオキシペンチル、ヘプチルオ
キシペンチル、オクチルオキシペンチル、ノニルオキシ
ペンチル、デシルオキシペンチル等が挙げられる。
【0085】R32の具体例としては、水素原子、フッ素
原子、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフ
ルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメト
キシ基、トリフルオロメトキシ基、シアノ基、フッ素置
換されていてもよい、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニ
ル、デシル、ウンデシル、ドデシル、エテニル、プロペ
ニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニ
ル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、
ドデセニル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキ
シ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキ
シ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウ
ンデシルオキシ、ドデシルオキシ、ビニルオキシ、プロ
ペニルオキシ、ブテニルオキシ、ペンテニルオキシ、ヘ
キシニルオキシ、ヘプテニルオキシ、オクテニルオキ
シ、ノネニルオキシ、デセニルオキシ、プロピニルオキ
シ、ブチニルオキシ、ペンチニルオキシ、ヘキシニルオ
キシ、ヘプチニルオキシ、オクチニルオキシ、ノニニル
オキシ、デシニルオキシ、ウンデシニルオキシ、ドデシ
ニルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポ
キシメチル、ブトキシメチル、ペンチルオキシメチル、
ヘキシルオキシメチル、ヘプチルオキシメチル、オクチ
ルオキシメチル、ノニルオキシメチル、デシルオキシメ
チル、メトキシエチル、エトキシエチル、プロポキシエ
チル、ブトキシエチル、ペンチルオキシエチル、ヘキシ
ルオキシエチル、ヘプチルオキシエチル、オクチルオキ
シエチル、ノニルオキシエチル、デシルオキシエチル、
メトキシプロピル、エトキシプロピル、プロポキシプロ
ピル、ブトキシプロピル、ペンチルオキシプロピル、ヘ
キシルオキシプロピル、ヘプチルオキシプロピル、オク
チルオキシプロピル、ノニルオキシプロピル、デシルオ
キシプロピル、メトキシブチル、エトキシブチル、プロ
ポキシブチル、ブトキシブチル、ペンチルオキシブチ
ル、ヘキシルオキシブチル、ヘプチルオキシブチル、オ
クチルオキシブチル、ノニルオキシブチル、デシルオキ
シブチル、メトキシペンチル、エトキシペンチル、プロ
ポキシペンチル、ブトキシペンチル、ペンチルオキシペ
ンチル、ヘキシルオキシペンチル、ヘプチルオキシペン
チル、オクチルオキシペンチル、ノニルオキシペンチ
ル、デシルオキシペンチル等が挙げられる。さらに、W
は水素原子またはフッ素原子を表し、Xは0〜3の整数
である。
【0086】式中、 は、1,4−シクロヘキシレンを表す。式中、 はフッ素置換されていてもよい、1,4−フェニレン、
1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセレ
ン、4,1−シクロヘキセレン、2,5−シクロヘキセ
レン、5,2−シクロヘキセレン、3,6−シクロヘキ
セレン、6,3−シクロヘキセレン、2,5−ピリミジ
ンジイル、5,2−ピリミジンジイル、2,5−ピリジ
ンジイル、5,2−ピリジンジイル、2,5−ジオキサ
ンジイルまたは5,2−ジオキサンジイルを表す。更に
好ましくは、上記環Gが1,4−シクロヘキシレン、
1,4−シクロヘキセレン、4,1−シクロヘキセレ
ン、2,5−シクロヘキセレン、5,2−シクロヘキセ
レン、3,6−シクロヘキセレン及び6,3−シクロヘ
キセレンであるものである。
【0087】上記の液晶と重合性物質を混合してもよ
い。用いる重合性物質としては、特に限定されることは
なく、熱可塑性でも熱硬化性でも、光硬化性のものでも
よい。光硬化性のものとしては、例えば、アクリルモノ
マーとして、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルアクリレート、ネオペンチルグリコール
ジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ジ
エチレングリコールジアクリレート、トリプロピレング
リコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジア
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどが、ア
クリルオリゴマーとしては、ポリエステルアクリレー
ト、エポキシアクリレート、ポリウレタンアクリレート
などが挙げられる。
【0088】上記の液晶と重合性物質には、重合を促進
するために、さらに各種の重合開始剤を添加してもよ
い。光重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−
2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク
社製「ダロキュア1173」)、1−ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミ
カルズ社製「イルガキュア184」)、1−(4−イソ
プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロ
パン−1−オン(メルク社製「ダロキュア111
6」)、ベンジルジメチルケタール(チバ・スペシャリ
ティ・ケミカルズ社製「イルガキュア651」)、2−
メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モ
ルホリノプロパノン−1(チバ・スペシャリティ・ケミ
カルズ社製「イルガキュア907」)、アシルホスフィ
ンオキシド(BASF社製LUCIRINTPO)など
が挙げられる。熱重合開始剤としては、例えば、ジベン
ゾイルパーオキサイド(BPO)、t−ブチルパーオキ
サイドなどの過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル
(AIBN)などのラジカル発生剤、エチルアミン、n
−ブチルアミン、ベンジルアミン、ジエチレントリアミ
ン、テトラメチレンペンタミン、メンセンジアミン、ジ
アミノジフェニルメタンなどのアミン化合物などが挙げ
られる。
【0089】本発明の異方性散乱フィルムの製造方法に
ついて説明する。本発明の異方性散乱フィルムは、例え
ば、上記の微孔性フィルムに異方性物質を充填すること
により製造することができる。充填方法は特に限定され
ないが、充填する物質は、室温(約20℃)で液体ある
いは液晶状態であることが好ましい。室温で液体あるい
は液晶状態でない場合には、必要に応じて加熱して、液
体あるいは液晶状態にして充填するか、又は溶媒に溶解
して充填後、その溶媒を除去することにより充填しても
よい。充填する異方性物質が、重合性物質である場合に
は、重合性物質を充填した微孔性フィルムをフィルム又
はガラス基板などに挟んだ後、重合してもよいが、特に
限定されるものではない。
【0090】このようにして得られる異方性散乱フィル
ムは、偏光成分に対し透過・散乱偏光依存性、すなわち
散乱異方性を有する。また、本発明の異方性散乱フィル
ムにおいては、異方性物質がフィルム表面の該楕円形の
領域において、実質的に一方向に配向していることが好
ましい。さらに、異方性物質がフィルム表面の該楕円形
の領域において、該楕円形状の長軸方向に実質的に配向
していることが好ましい。
【0091】本発明の異方性散乱フィルムを用いた液晶
表示装置について説明する。本発明の液晶表示装置は、
少なくとも表面側に偏光板を有する液晶パネル、上記の
異方性散乱フィルム、導光板、反射板又は拡散反射板
を、この順に備えてなり、液晶パネルの透過軸と上記異
方性散乱フィルムの透過軸とを実質的に一致させてな
る。また、導光板と反射板又は拡散反射板との間に位相
差板を、特に1/4波長板を備えてなる液晶表示装置
が、光の有効利用という面で好ましい。導光板は、通
常、バックライト装置と一体であり、該バックライト装
置としては、例えば、光源から導光板を通じて照明を行
うサイド型バックライト装置、又は直下型のバックライ
ト装置などが挙げられる。
【0092】液晶表示装置における偏光変換について説
明する。図5に示すように、バックライトから発せられ
る光は、振動面が紙面に平行な偏光と、これに直交する
振動面が紙面に垂直な光からなる。本発明の異方性散乱
フィルムは、屈折率の異なる微孔性フィルムと異方性物
質からなるが、該異方性物質で実質的に満たされている
微孔性フィルムの貫通孔および微細孔のフィルム表面に
おける形状が実質的に楕円形状のフィルムである。本発
明の異方性散乱フィルムにおいては、例えば、振動面が
紙面に垂直な偏光が透過し、振動面が紙面に平行な偏光
は後方散乱される(ここで、透過する偏光の振動方向と
平行な方向を透過軸、散乱する偏光の振動方向と垂直な
方向を散乱軸とする)。異方性散乱フィルムによって後
方散乱された偏光は、バックライト裏側の反射板または
拡散反射板によって、反射または拡散反射し、再度異方
性散乱フィルムを通過する。このようにして、従来偏光
板で吸収されていた光を、後方散乱し、リサイクルする
ことにより、高輝度な液晶表示装置を得ることができ
る。
【0093】
【実施例】次に本発明を実施例により説明するが、本発
明が実施例により限定されるものではないことは言うま
でもない。物性評価は、以下に示す方法によって測定し
た。 透気度:JIS P8117に準拠したガーレー式デン
ソメーター(安田精機製作所製No.323型)を用い
て測定した。 直進光透過率:異方性散乱フィルムにほぼ平行光である
直線偏光を入射し、サンプルをフィルム面内で回転させ
た時の透過率を測定し、透過光量の極大値を透過状態の
直進光透過率、極小値を散乱状態の直進光透過率とし
た。光源にはハロゲンランプ(SPH−100N 中央
精機製)を使用し、その透過光はオプティカルパワーメ
ーター(ML9001A アンリツ社製 波長400n
m〜800nm)により検出した。 全光線透過率:偏光光源としての光源(GOLD LI
GHT HL100EHOYA−SCOTT社製)と偏
光板を組み合わせ、光を偏光した平行光とした後、積分
球(Labsphere社製RT−060−SF型)に
入射し、輝度計(BM−8 TOPCON社製)で光量
を測定すること(JIS K7105に準拠)により、
サンプルの透過軸と散乱軸に対しそれぞれ平行な偏光が
入射したときの透過状態及び散乱状態の全光線透過率を
測定した。なお、異方性散乱フィルムの透過軸に対し
て、振動方向が平行である偏光を入射する時の透過率を
透過状態の透過率、異方性散乱フィルムの透過軸に対し
て、振動方向が垂直である偏光を入射する時の透過率を
散乱状態の透過率とした。
【0094】比較例1 屈折率1.50、厚み25μmのポリプロピレン製微孔
性フィルムで、電子顕微鏡観察からフィルム表面に観測
される微細孔の形状が実質的に楕円形状であり、該楕円
形状の平均アスペクト比が16.7であり、微細孔の平
均短軸径が0.12μm、平均長軸径が2.0μmであ
り、その長軸方向の向きが実質的に揃っているフィルム
で、透気度が700sec/100cc・cm2である
微孔性フィルムに、トルエン(屈折率1.50)を充填
した。これをコーニング社製ガラス基板(#7059)
で挟んだ。コーニング社製ガラス基板(#7059)の
透過率を100%とした場合、上記フィルムの透過状態
の直進光透過率は89.7%、散乱状態の直進光透過率
は88.5%と、その差が1.2%と小さく、用いる微
孔性フィルムと同じ屈折率を有する物質を、微細孔に充
填した場合、ほとんど偏光依存性(散乱異方性)がみら
れなかった。同様に、全光線透過率を測定した結果、上
記フィルムの透過状態の全光線透過率は89.9%、散
乱状態の全光線透過率が89.5%と、その差が0.4
%と小さく、用いる微孔性フィルムと同じ屈折率を有す
る物質を、微細孔に充填した場合、ほとんど偏光依存性
(散乱異方性)がみられなかった。
【0095】実施例1 屈折率1.50、厚み30μmのポリプロピレン製微孔
性フィルムで、電子顕微鏡観察からフィルム表面に観測
される微細孔の形状が実質的に楕円形状であり、該楕円
形状の平均アスペクト比が10であり、微細孔の平均短
軸径が0.3μm、平均長軸径が3.0μmであり、そ
の長軸方向の向きが実質的に揃っているフィルムで、透
気度が3990sec/100cc・cm2である微孔
性フィルムに、異方性物質である液晶組成物E9(メル
ク社製液晶組成物 屈折率no=1.52,ne=1.
78)を充填した。異方性散乱フィルムのない場合を1
00%とした場合、上記フィルムの透過状態の直進光透
過率は30.0%、散乱状態の直進光透過率は2.5%
と、その差が27.5%で比較例1に比べて、大きな透
過−散乱偏光依存性が見られ、高い偏光依存性(散乱異
方性)が得られた。同様に、全光線透過率を測定した結
果、上記フィルムの透過状態の全光線透過率は85.3
%、散乱状態の全光線透過率が47.2%と、その差が
38.1%で比較例1に比べて高い偏光依存性(散乱異
方性)が得られた。また、上記のフィルムを図3または
図4に示す構成にすれば、輝度が向上した液晶表示装置
が得られる。
【0096】実施例2 屈折率1.50、厚み25μmのポリプロピレン−ポリ
エチレン−ポリプロピレン(3層構造である)製微孔性
フィルムで、電子顕微鏡観察からフィルム表面に観測さ
れる微細孔の形状が実質的に楕円形状であり、該楕円形
状の平均アスペクト比が22.2であり、微細孔の平均
短軸径が0.09μm、平均長軸径が2.0μmであ
り、その長軸方向の向きが実質的に揃っているフィルム
で、透気度が628sec/100cc・cm2である
微孔性フィルムに、異方性物質である液晶組成物E7
(メルク社製液晶組成物 屈折率no=1.52,ne
=1.75)80wt%、モノマーであるKAYARA
D HX−620(日本化薬(株)製 )19.6wt
%、Irgacure651(チバ・スペシャリティ・
ケミカルズ(株)製)を0.4wt%を混合したものを
充填した。上記のフィルムを25℃で水銀ランプを光源
とする紫外線照射器を用いて29mW/cm2の紫外線
を120秒間照射して重合し、ポリプロピレン−ポリエ
チレン−ポリプロピレン(3層構造である)製微孔性フ
ィルムに充填した液晶と重合性物質を混合した異方性重
合性物質を重合したフィルムが得られた。異方性散乱フ
ィルムのない状態の透過率を100%とした場合、上記
フィルムの透過状態の直進光透過率は86.4%、散乱
状態の直進光透過率は43.6%と、その差が42.8
%で比較例1に比べて高い偏光依存性(散乱異方性)が
得られた。同様に、全光線透過率を測定した結果、上記
フィルムの透過状態の全光線透過率は91.1%、散乱
状態の全光線透過率が76.0%と、その差が15.1
%で比較例1に比べて高い偏光依存性(散乱異方性)が
得られた。また、上記のフィルムを図3または図4に示
す構成にすれば、輝度が向上した液晶表示装置が得られ
る。
【0097】実施例3 屈折率1.50、厚み25μmのポリプロピレン製微孔
性フィルムで、電子顕微鏡観察からフィルム表面に観測
される微細孔の形状が実質的に楕円形状であり、該楕円
形状の平均アスペクト比が16.7であり、微細孔の平
均短軸径が0.12μm、平均長軸径が2.0μmであ
り、その長軸方向の向きが実質的に揃っているフィルム
で、透気度が700sec/100cc・cm2である
微孔性フィルムに、異方性物質である液晶組成物E9
(メルク社製液晶組成物 屈折率no=1.52,ne
=1.78)を充填した。異方性散乱フィルムのない場
合を100%とした場合、上記フィルムの透過状態の直
進光透過率は77.9%、散乱状態の直進光透過率は3
7.0%と、その差が40.9%で比較例1に比べて、
大きな透過−散乱偏光依存性が見られ、高い偏光依存性
(散乱異方性)が得られた。同様に、全光線透過率を測
定した結果、上記フィルムの透過状態の全光線透過率は
88.0%、散乱状態の全光線透過率が64.7%と、
その差が23.3%で比較例1に比べて高い偏光依存性
(散乱異方性)が得られた。また、上記のフィルムを図
3または図4に示す構成にすれば、輝度が向上した液晶
表示装置が得られる。
【0098】実施例4 屈折率1.50、厚み25μmのポリプロピレン製微孔
性フィルムで、電子顕微鏡観察からフィルム表面に観測
される微細孔の形状が実質的に楕円形状であり、該楕円
形状の平均アスペクト比が28.6であり、微細孔の平
均短軸径が0.21μm、平均長軸径が6.0μmであ
り、その長軸方向の向きが実質的に揃っているフィルム
で、透気度が173sec/100cc・cm2である
微孔性フィルムに、異方性物質である液晶組成物E9
(メルク社製液晶組成物 屈折率no=1.52,ne
=1.78)を充填した。異方性散乱フィルムのない場
合を100%とした場合、上記フィルムの透過状態の直
進光透過率は49.8%、散乱状態の直進光透過率は
5.8%と、その差が44.0%で比較例1に比べて、
大きな透過−散乱偏光依存性が見られ、高い偏光依存性
(散乱異方性)が得られた。同様に、全光線透過率を測
定した結果、上記フィルムの透過状態の全光線透過率は
89.1%、散乱状態の全光線透過率が61.6%と、
その差が27.5%で比較例1に比べて高い偏光依存性
(散乱異方性)が得られた。また、上記のフィルムを図
3または図4に示す構成にすれば、輝度が向上した液晶
表示装置が得られる。
【0099】実施例5 屈折率1.50、厚み25μmのポリプロピレン−ポリ
エチレン−ポリプロピレン(3層構造である)製微孔性
フィルムで、電子顕微鏡観察からフィルム表面に観測さ
れる微細孔の形状が実質的に楕円形状であり、該楕円形
状の平均アスペクト比が22.2であり、微細孔の平均
短軸径が0.09μm、平均長軸径が2.0μmであ
り、その長軸方向の向きが実質的に揃っているフィルム
で、透気度が628sec/100cc・cm2である
微孔性フィルムに、異方性物質である液晶(Aldri
ch社製、4'−Pentyl−4−biphenyl
carbonitrile 屈折率no=1.51,n
e=1.68)を充填した。異方性散乱フィルムのない
場合を100%とした場合、上記フィルムの透過状態の
直進光透過率は92.8%、散乱状態の直進光透過率は
39.8%と、その差が53.0%で比較例1に比べ
て、大きな透過−散乱偏光依存性が見られ、高い偏光依
存性(散乱異方性)が得られた。同様に、全光線透過率
を測定した結果、上記フィルムの透過状態の全光線透過
率は88.1%、散乱状態の全光線透過率が82.7%
と、その差が5.4%で比較例1に比べて高い偏光依存
性(散乱異方性)が得られた。また、上記のフィルムを
図3または図4に示す構成にすれば、輝度が向上した液
晶表示装置が得られる。
【0100】実施例6 屈折率1.50、厚み42μmのポリプロピレン製微孔
性フィルムで、電子顕微鏡観察からフィルム表面に観測
される微細孔の形状が実質的に楕円形状であり、該楕円
形状の平均アスペクト比が15であり、微細孔の平均短
軸径が0.2μm、平均長軸径が3.0μmであり、そ
の長軸方向の向きが実質的に揃っているフィルムで、透
気度が1232sec/100cc・cm2である微孔
性フィルムに、異方性物質である液晶組成物E9(メル
ク社製液晶組成物 屈折率no=1.52,ne=1.
78)を充填した。異方性散乱フィルムのない場合を1
00%とした場合、上記フィルムの透過状態の直進光透
過率は58.1%、散乱状態の直進光透過率は4.8%
と、その差が53.3%で比較例1に比べて、大きな透
過−散乱偏光依存性が見られ、高い偏光依存性(散乱異
方性)が得られた。同様に、全光線透過率を測定した結
果、上記フィルムの透過状態の全光線透過率は84.0
%、散乱状態の全光線透過率が48.7%と、その差が
35.3%で比較例1に比べて高い偏光依存性(散乱異
方性)が得られた。また、上記のフィルムを図3または
図4に示す構成にすれば、輝度が向上した液晶表示装置
が得られる。
【0101】実施例7 屈折率1.50、厚み25μmのポリプロピレン−ポリ
エチレン−ポリプロピレン(3層構造である)製微孔性
フィルムで、電子顕微鏡観察からフィルム表面に観測さ
れる微細孔の形状が実質的に楕円形状であり、該楕円形
状の平均アスペクト比が22.2であり、微細孔の平均
短軸径が0.09μm、平均長軸径が2.0μmであ
り、その長軸方向の向きが実質的に揃っているフィルム
で、透気度が628sec/100cc・cm2である
微孔性フィルムに、異方性物質である液晶組成物E9
(メルク社製液晶組成物 屈折率no=1.52,ne
=1.78)を充填した。異方性散乱フィルムのない場
合を100%とした場合、上記フィルムの透過状態の直
進光透過率は84.1%、散乱状態の直進光透過率は2
6.7%と、その差が57.4%で比較例1に比べて、
大きな透過−散乱偏光依存性が見られ、高い偏光依存性
(散乱異方性)が得られた。同様に、全光線透過率を測
定した結果、上記フィルムの透過状態の全光線透過率は
90.1%、散乱状態の全光線透過率が67.3%と、
その差が22.8%で比較例1に比べて高い偏光依存性
(散乱異方性)が得られた。また、上記のフィルムを図
3または図4に示す構成にすれば、輝度が向上した液晶
表示装置が得られる。
【0102】実施例8 屈折率1.50、厚み25μmのポリエチレン−ポリエ
チレン−ポリエチレン(3層構造である)製微孔性フィ
ルムで、電子顕微鏡観察からフィルム表面に観測される
微細孔の形状が実質的に楕円形状であり、該楕円形状の
平均アスペクト比が5.6であり、微細孔の平均短軸径
が0.18μm、平均長軸径が1.0μmであり、その
長軸方向の向きが実質的に揃っているフィルムで、透気
度が551sec/100cc・cm2である微孔性フ
ィルムに、異方性物質である液晶組成物E9(メルク社
製液晶組成物 屈折率no=1.52,ne=1.7
8)を充填した。異方性散乱フィルムのない場合を10
0%とした場合、上記フィルムの透過状態の直進光透過
率は77.8%、散乱状態の直進光透過率は19.7%
と、その差が58.1%で比較例1に比べて、大きな透
過−散乱偏光依存性が見られ、高い偏光依存性(散乱異
方性)が得られた。同様に、全光線透過率を測定した結
果、上記フィルムの透過状態の全光線透過率は89.8
%、散乱状態の全光線透過率が68.2%と、その差が
21.6%で比較例1に比べて高い偏光依存性(散乱異
方性)が得られた。また、上記のフィルムを図3または
図4に示す構成にすれば、輝度が向上した液晶表示装置
が得られる。
【0103】実施例9 屈折率1.50、厚み25μmのポリプロピレン製微孔
性フィルムで、電子顕微鏡観察からフィルム表面に観測
される微細孔の形状が実質的に楕円形状であり、該楕円
形状の平均アスペクト比が16.7であり、微細孔の平
均短軸径が0.12μm、平均長軸径が2.0μmであ
り、その長軸方向の向きが実質的に揃っているフィルム
で、透気度が700sec/100cc・cm2である
微孔性フィルムに、異方性物質である液晶組成物A(屈
折率no=1.51,ne=1.91)を充填した。液
晶組成物Aは、一般式(2)で表される化合物3−1、
3−2、3−3及び3−4を表1に記載の比率で混合
し、調製した。
【0104】
【表1】
【0105】異方性散乱フィルムのない場合を100%
とした場合、上記フィルムの透過状態の直進光透過率は
68.2%、散乱状態の直進光透過率は9.7%と、そ
の差が58.5%で比較例1に比べて、大きな透過−散
乱偏光依存性が見られ、高い偏光依存性(散乱異方性)
が得られた。同様に、全光線透過率を測定した結果、上
記フィルムの透過状態の全光線透過率は88.2%、散
乱状態の全光線透過率が58.9%と、その差が29.
3%で比較例1に比べて高い偏光依存性(散乱異方性)
が得られた。また、上記のフィルムを図3または図4に
示す構成にすれば、輝度が向上した液晶表示装置が得ら
れる。
【0106】実施例10 屈折率1.50、厚み25μmのポリプロピレン−ポリ
エチレン−ポリプロピレン(3層構造である)製微孔性
フィルムで、電子顕微鏡観察からフィルム表面に観測さ
れる微細孔の形状が実質的に楕円形状であり、該楕円形
状の平均アスペクト比が22.2であり、微細孔の平均
短軸径が0.09μm、平均長軸径が2.0μmであ
り、その長軸方向の向きが実質的に揃っているフィルム
で、透気度が628sec/100cc・cm2である
微孔性フィルムに、異方性物質である液晶組成物A(屈
折率no=1.51,ne=1.91)を充填した。液
晶組成物Aは、一般式(2)で表される化合物3−1、
3−2、3−3及び3−4を表1に記載の比率で混合
し、調製した。
【0107】
【表2】
【0108】異方性散乱フィルムのない場合を100%
とした場合、上記フィルムの透過状態の直進光透過率は
73.4%、散乱状態の直進光透過率は7.3%と、そ
の差が66.1%で比較例1に比べて、大きな透過−散
乱偏光依存性が見られ、高い偏光依存性(散乱異方性)
が得られた。同様に、全光線透過率を測定した結果、上
記フィルムの透過状態の全光線透過率は90.6%、散
乱状態の全光線透過率が61.6%と、その差が29.
0%で比較例1に比べて高い偏光依存性(散乱異方性)
が得られた。また、上記のフィルムを図3または図4に
示す構成にすれば、輝度が向上した液晶表示装置が得ら
れる。
【0109】実施例11 微孔性フィルムとしてリチウム二次電池用のセパレータ
ーフィルム(旭化成製、品番H6022厚み27μm、
屈折率約1.50)を用いた。電子顕微鏡観察からフィ
ルム表面に観察される微細孔の形状が実質的に楕円形状
であり、該楕円形状の平均アスペクト比が2であり、微
細孔の平均短軸径が0.2μm、平均長軸径が0.5μ
mであり、その長軸方向の向きが実質的に揃っているフ
ィルムで、透気度が82sec/100cc・cm2
ある微孔性フィルムに、異方性物質である液晶組成物E
9(メルク社製液晶組成物 屈折率no=1.52,n
e=1.78)を充填した。異方性散乱フィルムのない
場合を100%とした場合、上記フィルムの透過状態の
直進光透過率は0.6%、散乱状態の直進光透過率は
0.5%と、その差が0.1%であったが、全光線透過
率を測定した結果、上記フィルムの透過状態の全光線透
過率は56.0%、散乱状態の全光線透過率が50.5
%と、その差が5.5%で比較例1に比べて高い偏光依
存性(散乱異方性)が得られた。また、上記のフィルム
を図3または図4に示す構成にすれば、輝度が向上した
液晶表示装置が得られる。
【0110】実施例12 実施例11に示した微孔性フィルムを120℃で2.0
倍に一軸延伸した。電子顕微鏡観察から得られたフィル
ム表面に観察される微細孔の形状が実質的に楕円形状で
あり、該楕円形状の平均アスペクト比が4であり、微細
孔の平均短軸径が0.2μm、平均長軸径が1.0μm
であり、その長軸方向の向きが実質的に揃っており、透
気度が694sec/100cc・cm2であった。得
られた微孔性フィルムに、異方性物質である液晶組成物
E9(メルク社製液晶組成物 屈折率no=1.52,
ne=1.78)を充填した。異方性散乱フィルムのな
い場合を100%とした場合、上記フィルムの透過状態
の直進光透過率は61.6%、散乱状態の直進光透過率
は6.4%と、その差が55.2%で比較例1に比べて
高い偏光依存性(散乱異方性)が得られた。全光線透過
率を測定した結果、上記フィルムの透過状態の全光線透
過率は91.1%、散乱状態の全光線透過率が53.6
%と、その差が37.5%で比較例1に比べて高い偏光
依存性(散乱異方性)が得られた。また微孔性フィルム
をさらに延伸し、得られたフィルムに液晶組成物を含浸
することで、延伸前の微孔性フィルムを用いた場合より
も高い偏光依存性(散乱異方性)が得られた。また、上
記のフィルムを図3または図4に示す構成にすれば、輝
度が向上した液晶表示装置が得られる。
【0111】実施例13 微孔性フィルムとしてリチウム二次電池用のセパレータ
ーフィルム(東燃化学SETELA、膜厚26μm、屈
折率約1.50、透気度725sec/100cc・c
m2)を、100℃で1.9倍に一軸延伸した。電子顕
微鏡観察から得られたフィルム表面に観察される微細孔
の形状はアスペクト比が2であり、短軸方向の孔径が平
均0.1μmと光の波長よりも小さく、長軸方向の孔径
が平均0.4μmと光の波長より長く、長軸方向の向き
が実質的に揃っている。この微孔性フィルムに、異方性
物質である液晶組成物E9(メルク社製液晶組成物 屈
折率no=1.52,ne=1.78)を充填した。異
方性散乱フィルムのない場合を100%とした場合、上
記フィルムの透過状態の直進光透過率は59.5%、散
乱状態の直進光透過率は24.5%と、その差が35.
0%で比較例1に比べて高い偏光依存性(散乱異方性)
が得られた。全光線透過率を測定した結果、上記フィル
ムの透過状態の全光線透過率は91.0%、散乱状態の
全光線透過率が75.0%と、その差が16.0で比較
例1に比べて高い偏光依存性(散乱異方性)が得られ
た。また上記のフィルムを図3または図4に示す構成に
すれば、輝度が向上した液晶表示装置が得られる。
【0112】
【発明の効果】本発明によれば、製法が容易で、高い散
乱異方性を有する異方性散乱フィルムを得ることがで
き、また該異方性散乱フィルムを用いることによって、
輝度の向上した液晶表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】微孔性フィルムの表面を示す図
【図2】微細孔の形状と長軸、短軸方向を示す図
【図3】液晶表示装置構成図
【図4】液晶表示装置構成図
【図5】液晶表示装置動作原理図
【符号の説明】
1:異方性散乱フィルム 2:フィルム面内における微細孔 3:微細孔のフィルム面内における短軸径 4:微細孔のフィルム面内における長軸径 5:長軸方向の向き 6:偏光板 7:液晶セル 8:バックライト 9:反射板又は拡散反射板 10:位相差板 11:振動面が紙面に垂直な偏光 12:振動面が紙面に平行な偏光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桑原 真人 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内 (72)発明者 藤沢 幸一 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内 Fターム(参考) 2H042 BA02 BA14 BA15 BA20 2H049 BA02 BA42 BA44 BB54 BC03 BC09 BC22 2H091 FA32Z FB02 FB12 FC07 FD09 FD10 FD22 KA10 LA16

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微細孔を有する微孔性フィルム、および該
    微細孔中に存在し微孔性フィルムとは異なる屈折率を有
    する異方性物質からなる、偏光成分に対し散乱異方性を
    有する異方性散乱フィルムであり、該微孔性フィルム
    は、フィルム表面に観察される微細孔の形状が実質的に
    楕円形状であり、該楕円形の長軸径と短軸径の比(長軸
    /短軸)が1より大きく、短軸径が用いる光の波長より
    小さく、微細孔の長軸方向の向きが実質的に一方向に揃
    っていることを特徴とする異方性散乱フィルム。
  2. 【請求項2】微細孔に、微孔性フィルムと屈折率が異な
    る異方性物質を充填してなる請求項1記載の異方性散乱
    フィルム。
  3. 【請求項3】微孔性フィルムが高分子物質からなる請求
    項1または2のいずれかに記載の異方性散乱フィルム。
  4. 【請求項4】微孔性フィルムの透気度が5〜5,000
    sec/100cc・cm2である請求項1〜3のいず
    れかに記載の異方性散乱フィルム。
  5. 【請求項5】微孔性フィルムが、フィルム表面における
    微細孔の楕円形状の長軸径と短軸径の比(長軸/短軸)
    が3〜30の微孔性フィルムである請求項1〜4のいず
    れかに記載の異方性散乱フィルム。
  6. 【請求項6】異方性物質が実質的に一方向に配向してい
    る請求項1〜5のいずれかに記載の異方性散乱フィル
    ム。
  7. 【請求項7】微孔性フィルムの屈折率をn、微細孔中の
    異方性物質の屈折率をne、no(ne>no)としたと
    き、 0.01<|n-ne|<0.6 0≦|n-no|<0.05 を満足する請求項1〜6のいずれかに記載の異方性散乱
    フィルム。
  8. 【請求項8】微孔性フィルムの微細孔に重合性の異方性
    物質を充填し、重合してなる請求項1〜7のいずれかに
    記載の異方性散乱フィルム。
  9. 【請求項9】異方性物質が液晶である請求項1〜8のい
    ずれかに記載の異方性散乱フィルム。
  10. 【請求項10】液晶が、下記一般式(1) ・・・(1) (式中、A1〜A12は、それぞれ独立に水素原子、フッ素
    原子、フッ素で置換されていてもよい炭素数1〜10の
    アルキル基又はアルコキシ基を表す。R11及びR 12は、
    それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、シアノ基、SF
    5、NCS、4−R13−(シクロアルキル)基、4−R13
    −(シクロアルケニル基)又はR14−(O)q 11基を示す
    (但し、R13は水素原子、直鎖もしくは分枝のフッ素で
    置換されていても良い炭素数1〜12のアルキル基を表
    し、R14は直鎖もしくは分枝のフッ素原子で置換されて
    いても良い炭素数1〜12のアルキル基を表す。q11
    0又は1を表す。))で表される化合物、下記一般式
    (2) ・・・(2) (式中、A13〜A24は、それぞれ独立に水素原子、フッ
    素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。mは0
    または1である。R21は水素原子、直鎖もしくは分枝の
    フッ素で置換されていても良い炭素数1〜12のアルキ
    ル基を表す。R22は、 R21、フッ素原子、シアノ基、
    4−R23−(シクロアルキル)基、4−R23−(シクロア
    ルケニル基)又はR24−(O)q21基を表す(但し、R23
    水素原子、直鎖もしくは分枝のフッ素で置換されていて
    も良い炭素数1〜12のアルキル基を表し、R24は直鎖
    もしくは分枝のフッ素原子で置換されていても良い炭素
    数1〜12のアルキル基を表す。q21は0又は1を表
    す。))で表される化合物、及び下記一般式(3) ・・・(3) (式(3)中、環A、環B、環C及び環Dは、それぞれ独
    立に、1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレ
    ン、1,4−シクロヘキセレン、4,1−シクロヘキセ
    レン、2,5−シクロヘキセレン、5,2−シクロヘキ
    セレン、3,6−シクロヘキセレン、6,3−シクロヘ
    キセレン、2,5−ピリミジンジイル、5,2−ピリミ
    ジンジイル、2,5−ピリジンジイル、5,2−ピリジ
    ンジイル基、2、5−ジオキサンジイル、または5、2
    −ジオキサンジイルを表し、環A、環B、環C、および
    環D上の水素原子はフッ素原子に置換されていてもよ
    い。R31、R32は水素原子、フッ素原子、フルオロメチ
    ル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フ
    ルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオ
    ロメトキシ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキル
    基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数3〜12の
    アルキニル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数
    3〜12のアルケニルオキシ基、炭素数3〜12のアル
    キニルオキシ基、炭素数2〜16のアルコキシアルキル
    基、もしくは炭素数3〜16のアルコキシアルケニル基
    を表す。これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニ
    ル基中のメチレン基は酸素原子、イオウ原子、ケイ素原
    子で置換されてもよく、直鎖または分岐のどちらでもよ
    い。Z1、Z2及びZ3はそれぞれ独立に、−COO−、
    −OCO−、−OCH2−、−CH2O−、炭素数1〜5
    のアルキレン基、炭素数2〜5のアルケニレン基、炭素
    数2〜5のアルキニレン基もしくは直接結合を表し、
    b、c及びdは、それぞれ独立に0又は1であり、かつ
    b+c+d≧1を満たす。)で表される化合物からなる
    群から選ばれる少なくとも1種類の化合物を含む請求項
    9記載の異方性散乱フィルム。
  11. 【請求項11】少なくとも表面側に偏光板を有する液晶
    パネル、請求項1〜10のいずれかに記載の異方性散乱
    フィルム、導光板、反射板又は拡散反射板を、この順に
    備えてなり、液晶パネルの透過軸と異方性散乱フィルム
    の透過軸とを実質的に一致せしめてなる液晶表示装置。
  12. 【請求項12】液晶パネルが、表面側および裏面側にそ
    れぞれ偏光板を有する液晶パネルである請求項11記載
    の液晶表示装置。
  13. 【請求項13】液晶パネルの裏面側の偏光板の透過軸
    と、異方性散乱フィルムの透過軸とを実質的に一致せし
    めてなる請求項12に記載の液晶表示装置。
  14. 【請求項14】導光板と、反射板ないしは拡散反射板と
    の間に位相差板を備えてなる請求項11〜13のいずれ
    かに記載の液晶表示装置。
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