JP2003029009A - 半透過半反射性フィルム並びにそれを用いた偏光素子及び液晶表示装置 - Google Patents

半透過半反射性フィルム並びにそれを用いた偏光素子及び液晶表示装置

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JP2003029009A
JP2003029009A JP2001213341A JP2001213341A JP2003029009A JP 2003029009 A JP2003029009 A JP 2003029009A JP 2001213341 A JP2001213341 A JP 2001213341A JP 2001213341 A JP2001213341 A JP 2001213341A JP 2003029009 A JP2003029009 A JP 2003029009A
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Taku Honda
卓 本多
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子フィルム/金属薄膜層/感圧接着剤の
順に積層された半透過半反射性フィルム、あるいはその
感圧接着剤の上に偏光フィルムが積層された偏光素子に
おいて、打痕の発生を抑えて良品収率を上げ、またそれ
を液晶表示装置に適用して、不良率を低下させる。 【解決手段】 感圧接着剤20、金属薄膜層25、及び
総厚100〜500μmの少なくとも1層からなる高分
子フィルム層30の順に密着積層してなる半透過半反射
性フィルム10が提供される。この半透過半反射性フィ
ルム10の感圧接着剤20側に偏光フィルム48と感圧
接着剤21を積層して、半透過半反射性偏光変換素子4
0とされ、さらにその感圧接着剤21側に液晶セル60
と前面側偏光フィルム51を積層して、半透過半反射型
液晶表示装置70とされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、暗所においては背
面より表示画面を照明し、明所においては外部環境光を
利用して表示画面を照明する半透過半反射型液晶表示装
置、並びにそれに用いられる半透過半反射性フィルム及
び半透過半反射性偏光素子に関するものである。詳しく
は、光の利用効率を高め、より明るい画面を与えるとと
もに、バッテリーの使用可能時間を長くするための、半
透過半反射性フィルム及び半透過半反射性偏光素子に関
するものであり、さらには、それらを用いた半透過半反
射型液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、小型、軽量であるた
め、様々な分野で使用されている。液晶表示装置におけ
る液晶分子は、ブラウン管(陰極線管)などに使用され
ている発光物質ではなく、単に光の偏光状態を制御する
光バルブとしての機能しかもたないため、何らかの方法
で照明しないと液晶表示部が暗くて見えない。そこで、
外部環境光を液晶表示装置内に取り込み、それにより液
晶表示部を照明する方法を採用したものが反射型液晶表
示装置である。反射型液晶表示装置は、晴天下の戸外で
は視認性が良好であるものの、夜間などの暗所では外部
環境光が弱いため、十分に液晶表示部を照明することが
できず、暗い画面となって、視認性が著しく低下する。
一方、液晶表示装置を完全な反射型仕様とせず、暗所に
おいては補助光源を用いて照明する方式も広く採用され
ている。かかる液晶表示装置は、半透過半反射型液晶表
示装置と称されている。
【0003】ここで図7をもとに、従来の半透過半反射
型液晶表示装置について説明する。液晶表示装置は一般
に、液晶セル内の液晶分子の配向状態を電気的に変化さ
せることで、そこを通過する光の偏光状態を制御するも
のである。図7において、液晶セル60は、対向する一
対の透明電極、すなわち背面側透明電極61及び前面側
透明電極62と、それらの間に挟持された液晶層63と
で構成される。図示は省略するが、液晶セル60はこの
ほか、両最表面に配置されるセル基板、液晶層63を配
向させるための配向膜、カラー表示であればカラーフィ
ルター層なども有している。
【0004】液晶セル60の前面には、その液晶セルを
透過した光の偏光状態を検出する偏光フィルム51が配
置され、その他、位相差素子52などの光学素子も配置
されている。液晶セル60の背面には、特定の偏光光の
みを取り出して液晶セル60に向けて出射するために、
偏光フィルム48と半透過半反射性フィルム18とで構
成される半透過半反射性偏光素子45が配置され、さら
にその背面には光源装置65が配置されている。半透過
半反射性偏光素子45には、必要に応じて光拡散層21
や背面側の位相差素子(図示せず)が配置されることも
ある。光源装置65は、光源66を下方又は側方に配置
した導光板67と、この導光板67の背後に配置された
反射板68とで構成されており、光源66を導光板67
の側方に配置した場合には、光源66からの光は反射鏡
69で反射されて、事実上その全てが導光板67に導か
れ、さらに半透過半反射性偏光素子18側へ出射するよ
うになっている。このようにして、半透過半反射型液晶
表示装置75が構成されている。半透過半反射性フィル
ム18の反射率をほぼ100%、すなわち光線透過率を
ほぼ0とし、光源装置65を設けなければ、全反射型液
晶表示装置となる。
【0005】上記の如き半透過半反射型液晶表示装置に
使用される半透過半反射性フィルムとして、従来から、
透明又は半透明樹脂体と偏光フィルムとの積層フィルム
であって、その樹脂体中に光拡散性物質を分散させたも
のや、透明物質中に真珠顔料を均一に分散させ、真珠顔
料表面での反射を利用したものなどが知られている。ま
た最近では、反射型として使用する場合の視認性を高め
るため、図8の(a)に断面模式図で示すような、高分
子フィルム39上に金属薄膜層25を付設し、さらにそ
の上に感圧接着剤20を配した構成の半透過半反射性フ
ィルム18を用い、同図(b)に断面模式図で示すよう
な、その感圧接着剤20の上に、光拡散フィルム23及
び感圧接着剤20を積層して、光拡散能を有する半透過
半反射性フィルム19とし、さらにその外側感圧接着剤
20の上に、偏光フィルム48及び感圧接着剤20を積
層した半透過半反射性偏光素子46も多く使われるよう
になってきた。図8(a)に示す半透過半反射性フィル
ム18において、金属薄膜層25を厚くして完全反射型
とすれば、全反射性フィルムとなり、これを液晶セルの
背面に配置すれば、全反射型液晶表示装置となる。
【0006】ところで、図8(a)に一例を示すよう
な、通常25〜75μm 厚である高分子フィルム39上
に付設した金属薄膜層25の上に感圧接着剤20を積層
した半透過半反射性フィルム18や、同図(b)に一例
を示すような、通常25〜75μm 厚である高分子フィ
ルム39上に付設した金属薄膜層25の上に感圧接着剤
20、光拡散フィルム23及び感圧接着剤20を順次積
層した半透過半反射性フィルム19のさらに上に、偏光
フィルム48及び感圧接着剤20をこの順に積層してな
る半透過半反射性偏光素子46は、生産工程又は組み込
み工程において、一般に「打痕」と呼ばれる跡がつきや
すく、不良品を出しやすいという問題があった。打痕と
は、局所的に何かが押し付けられることにより発生する
跡のことであって、例えば、フィルムが作業台の上に重
ね置きされた場合に、作業台上の異物がフィルムに押し
付けられたり、フィルム間に挟まった異物がフィルムに
押し付けられたりすることで発生する窪みなどの痕跡の
ことをいう。他にも、フィルム同士の貼り合わせや、フ
ィルムと液晶セルとのローラーによる貼り合わせにおい
て、ローラーに異物があった場合、その異物がフィルム
に押し付けられて打痕が生ずるし、液晶セルに貼り合わ
されたフィルムを作業台上に置いたとき、作業台に異物
があると、やはり異物がフィルムに押し付けられて打痕
が生ずる。このような打痕が存在すると、局所的に反射
の異常をもたらすため、不良品として扱われることにな
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、高分
子フィルム上に金属薄膜層が付設され、さらにその上に
感圧接着剤が積層された半透過半反射性フィルム、ある
いはその感圧接着剤の上に偏光フィルムが積層され、必
要に応じて偏光フィルムの上又は下側に光拡散部材が積
層された半透過半反射性偏光素子において、打痕の発生
を抑え、良品収率を上げることを目的とするものであ
る。本発明はまた、かかる半透過半反射性フィルム又は
半透過半反射性偏光素子を液晶表示装置に適用して、半
透過半反射型液晶表示装置を生産する際の不良率を低下
させることも目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、高分子フィ
ルム上に金属薄膜層が付設された半透過半反射性フィル
ム、あるいはその金属薄膜層の上に偏光フィルムが積層
され、所望によりさらに光拡散部材が積層された半透過
半反射性偏光素子において、半透過半反射性フィルムの
基材となる高分子フィルムを特定の厚みにすること、あ
るいはさらに、特定の表面処理や内部に充填材を分散さ
せるなどの手段と組み合わせることにより、打痕の発生
を有効に防止できることを見出し、本発明に至った。
【0009】すなわち本発明による半透過半反射性フィ
ルムは、感圧接着剤、金属薄膜層、及び少なくとも1層
からなる高分子フィルム層の順に密着積層してなり、上
記高分子フィルム層の総厚が100〜500μm のもの
である。この半透過半反射性フィルムは、さらに以下の
いずれかの構成と組み合わせるのが好ましい。
【0010】高分子フィルム層が少なくとも2層から
なり、かつ、高分子フィルムの少なくとも内側の1層を
残してそれより外側の層を剥離除去できること、 高分子フィルムの少なくとも1層が規則的な凹凸形状
を有していること、 高分子フィルムの少なくとも1層の少なくとも片面が
粗面化されていること、 高分子フィルムの少なくとも1層の少なくとも片面に
ハードコート層が付設されていること、 高分子フィルムの少なくとも1層の中に充填材が分散
されていること。
【0011】また、これら〜の構成を複数組み合わ
せることもでき、このような複合化により、一層好適な
ものとなる。
【0012】上記の半透過半反射性フィルムには、光拡
散性を付与することができ、この場合、感圧接着剤とし
て光拡散性を有するものを使うこともできるし、感圧接
着剤の金属薄膜層と反対側の面に光拡散フィルムを密着
積層することもできる。後者のように光拡散フィルムを
積層した場合には、さらにその表面に感圧接着剤を配置
することになる。また、上記に示すような粗面化され
た高分子フィルムを用い、そこに金属薄膜層が付設され
ていれば、当該粗面上で光拡散能を発現することもでき
る。
【0013】本発明による半透過半反射性偏光素子は、
上記した半透過半反射性フィルムの最表面に配置される
感圧接着剤を介して偏光フィルムを密着積層し、さらに
その偏光フィルムの外側に感圧接着剤を密着積層したも
のである。ここで、偏光フィルムの外側に積層された感
圧接着剤のさらに外側に、位相差素子及び感圧接着剤を
この順に密着積層することもできる。また、いずれかの
感圧接着剤に光拡散性を有するものを用いたり、光拡散
フィルムをいずれかの層の間に感圧接着剤を用いて密着
積層したりすることで、半透過半反射性偏光素子に光拡
散性を付与することもできる。
【0014】本発明による半透過半反射型液晶表示装置
は、前面側偏光フィルム、液晶セル及び上記の半透過半
反射性偏光素子が、この順に積層されてなるものであ
る。その背面側、すなわち半透過半反射性偏光素子の高
分子フィルム層側には、光源装置を配置することができ
る。また、前面側偏光フィルムと液晶セルの間には、必
要に応じて、位相差素子や光拡散フィルムなどの光学フ
ィルムを挿入することができるし、前面側偏光フィルム
と液晶セルを密着積層する際に使用される感圧接着剤に
光拡散性を付与してもよい。さらに、前面側偏光フィル
ムには、必要に応じて、ハードコート処理、防眩処理、
無反射処理、低反射処理などの表面処理をそれぞれ単独
で、又は複数を組み合わせて施すこともできる。
【0015】上記した半透過半反射性フィルムにおい
て、金属薄膜層を厚くして光線透過率を事実上0とすれ
ば、全反射性フィルムとなり、その最表面感圧接着剤を
介して偏光フィルムを積層し、その上に感圧接着剤層を
設ければ、全反射性偏光素子となり、その最表面感圧接
着剤の上に液晶セル、さらにその上に前面側偏光フィル
ムを積層すれば、全反射型液晶表示装置となる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明を明確にするため、以下に
詳細な説明を行う。本発明において第一の見地から特定
される半透過半反射性フィルムは、図1に断面模式図で
示すように、感圧接着剤20、金属薄膜層25、及び高
分子フィルム層30の順に密着積層してなるものであっ
て、かつ、高分子フィルム層30の総厚が100〜50
0μmのものである。高分子フィルム層30の総厚が1
00μm を下回ると、打痕が残りやすくなる。その総厚
が大きくなるほど打痕防止には効果的であるが、ある程
度で打痕防止効果は飽和するとともに、それを厚くする
ことは最終的な用途である液晶表示装置の厚み増加にも
つながることから、高分子フィルム層30の総厚の上限
は500μm とする。
【0017】高分子フィルム層30は、1層でも、2層
以上の積層フィルムでもよく、積層フィルムとする場合
の各層の厚みは特に限定されないが、合計厚みで100
μm以上500μm 以下とする必要はある。積層にあた
っては、各層が密着していることが必要であり、その方
法としては、層自体の材質による自己粘着性ないし接着
性を利用してもよいし、感圧型を含む公知の接着剤によ
り接着してもよい。高分子フィルムの材質は特に限定さ
れず、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレ
フィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレー
トのようなポリエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂の
ような環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系
樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ポリエーテルサルフォン
系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリビニルアルコール
系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリメタクリレート
系樹脂などの合成熱可塑性高分子、エポキシ系樹脂、フ
ェノール系樹脂、ウレタン系樹脂などの合成熱硬化性高
分子、また二酢酸セルロースや三酢酸セルロースのよう
なセルロース系樹脂などの天然高分子が使用できる。
【0018】2層以上の積層フィルムとして使用する場
合には、各層の高分子の材質は同一でもよいし、互いに
異なっていてもよい。高分子が無色透明又は白色であれ
ば、それが組み込まれた半透過半反射型液晶表示装置を
透過型で使用した際に白色が表示されるため、通常の使
用には好ましいが、装飾性を持たせるために有色の高分
子を用いたり、顔料又は染料を添加したりすることもで
きる。また、酸化防止剤や紫外線吸収剤のような公知の
高分子用添加剤が添加されていてもよい。さらに、これ
らの高分子フィルムには、必要に応じて、鹸化処理やコ
ロナ処理、易接着処理や離型処理などの化学的又は物理
的処理が施されてもよい。
【0019】このような高分子フィルム層30の上に
は、金属薄膜層25が形成される。金属薄膜層25の材
質は特に限定されないが、アルミニウムや銀などが好適
に用いられる。金属薄膜層25の膜厚については、所望
とする透過性能と反射性能に応じて、適宜調整される。
すなわち、透過率を高くすることを重視し、もって反射
率を低くすることを目的とすれば、金属薄膜層25を薄
くすることで、透過率を高く維持し、反射率を低くする
ことができる。逆に反射率を高くすることを重視し、も
って透過率を低くすることを目的とすれば、金属薄膜層
25を厚くすることで、透過率を低くし、反射率を高く
することができる。その範囲は通常、10nm以上1μm
以下であり、さらには10nm以上100nm以下の厚みで
好適に使用される。
【0020】透明高分子フィルム層30に金属薄膜層2
5を付設する方法としては、蒸着法やスパッタ法が好適
に用いられるが、金属を薄く圧延したフィルムを、感圧
型を含む接着剤などにより貼合してもよい。金属薄膜層
25を付設するに際しては、密着性向上のために公知の
アンダーコート層を設けてもよいし、金属薄膜の保護の
ために公知のオーバーコート層を設けてもよい。
【0021】金属薄膜層25の上には、感圧接着剤20
が積層される。感圧接着剤20としては、公知のものが
使用できる。例えば、アクリレート系感圧接着剤、ゴム
系感圧接着剤、シリコーン系感圧接着剤、ウレタン系感
圧接着剤などが挙げられる。中でも、アクリレート系感
圧接着剤が好ましく使用される。
【0022】図1の(a)に示す例は、高分子フィルム
層30を1層とし、その上に金属薄膜層25及び感圧接
着剤20の順に積層して、半透過半反射性フィルム10
としたものであり、同(b)に示す例は、高分子フィル
ム層30を第一の高分子フィルム31及び第二の高分子
フィルム32の2層で構成し、第一の高分子フィルム3
1側にさらに金属薄膜層25と感圧接着剤20を積層し
て、半透過半反射性フィルム11としたものである。も
ちろん、高分子フィルム層30を3層以上で構成するこ
ともできる。このように高分子フィルム層30を複数の
層で構成する場合、少なくとも内側の1層31を残し
て、それより外側の層32を剥離除去できるようにして
もよい。ここで、剥離除去する層32と残す層31との
間を、感圧接着剤を用いて接着していた場合には、この
感圧接着剤は、剥離除去する層32側に付着して同時に
除去できるようにしておくのが好ましい。
【0023】剥離除去できる層32を使用する理由は次
のとおりである。先述したように、打痕は半透過半反射
性偏光素子の生産工程及び液晶表示装置への組み込み工
程の両者で発生する。いかなる状況においても偏光素子
に打痕が発生しないことが最も好ましいが、実工程では
予期せぬ事情により、例えば、偏光素子の高分子フィル
ム側に引っかき傷が発生し、これが原因物質となって打
痕が発生する可能性がある。したがって、打痕の発生原
因となる引っかき傷が発生しても、偏光変換性能に影響
を及ぼすことなく、最終的にその引っかき傷が発生した
部材を除去できれば、打痕の影響を防止することができ
る。そこで、最表層32に打痕が発生しても、例えば液
晶セルへの貼合直前、あるいは液晶セルへの貼合後にこ
の最表層32を除去できるようにしておけば、液晶表示
装置への打痕の影響をなくすことができる。
【0024】図1の(c)に示す例は、高分子フィルム
層30の少なくとも1層が規則的な凹凸形状33を有す
るようにし、これに金属薄膜層25と感圧接着剤20を
積層して、半透過半反射性フィルム12としたものであ
る。この場合、高分子フィルム層30が1層だけで、そ
の少なくとも一方の面に規則的な凹凸形状33を形成し
てもよいし、高分子フィルム層30を複数のフィルムで
構成し、その少なくとも1層のある面に規則的な凹凸形
状33を形成してもよい。ここでいう規則的な凹凸形状
は、正弦波のような波状でもよいし、三角形や鋸歯形の
ようなプリズム状でもよい。また、形状は等方的なもの
でもよいし、異方的なものでもよい。その周期は、通常
1〜500μm である。凹凸形状33が金属薄膜層25
側に位置する場合は、金属薄膜層25の付設に蒸着法や
スパッタ法を採用すれば、この凹凸形状33に沿って金
属薄膜層が表面凹凸をある程度保った状態で形成され
る。
【0025】図1の(d)に示す例は、高分子フィルム
層30の少なくとも1層の少なくとも片面を粗面34と
し、これに金属薄膜層25と感圧接着剤20を積層し
て、半透過半反射性フィルム13としたものである。
この場合も、高分子フィルム層30が1層だけで、その
少なくとも一方の面を粗面34としてもよいし、高分子
フィルム層30を複数のフィルムで構成し、その少なく
とも1層のある面を粗面34としてもよい。図1の
(c)における形状が規則的な凹凸であるのに対し、同
図(d)の形状は規則性のないものである。このような
不規則な粗面化処理には、エンボスロールによる形状の
転写、金属等により表面を削り取るヘアーライン処理、
微粒子を表面に吹きつけるサンドブラスト法、シリカな
どの微粒子を分散した熱硬化性又は光硬化性の樹脂を表
面に塗布して硬化皮膜を作製する方法など、公知の方法
を用いることができる。この形態においても、粗面34
が金属薄膜層25側に位置する場合は、やはり金属薄膜
層25の付設に蒸着法やスパッタ法を採用すれば、この
粗面34に沿って金属薄膜層が表面凹凸をある程度保っ
た状態で形成される。
【0026】図1の(e)に示す例は、高分子フィルム
層30の少なくとも1層の少なくとも片面にハードコー
ト層35を付設し、これに金属薄膜層25と感圧接着剤
20を積層して、半透過半反射性フィルム14としたも
のである。この場合も、高分子フィルム層30が1層だ
けで、その少なくとも片面にハードコート層35を付設
してもよいし、高分子フィルム層30を複数のフィルム
で構成し、その少なくとも1層のある面にハードコート
層35を付設してもよい。ハードコート層35には、公
知のものを適用することができる。例えば、多官能の光
硬化性樹脂を表面に塗布して硬化皮膜を作製する方法
や、高硬度の金属酸化物膜を蒸着法やスパッタ法により
付設する方法、ゾル−ゲル法により高硬度の無機−有機
膜を形成する方法などが挙げられる。ハードコート層の
厚みは特に制限されないが、十分な硬度を発現しつつ取
扱い時のクラック等の発生を抑制するため、一般には1
00nm以上10μm 以下の厚みで付設される。
【0027】図1の(f)に示す例は、高分子フィルム
層30の少なくとも1層の中に充填材36を分散させ、
これに金属薄膜層25と感圧接着剤20を積層して、半
透過半反射性フィルム15としたものである。この場合
も、高分子フィルム層30が1層だけで、その中に充填
材36を分散させてもよいし、高分子フィルム層30を
複数のフィルムで構成し、その少なくとも1層に充填材
36を分散させてもよい。充填材36の材質は特に限定
されない。また用途に応じて、無色透明でもよいし、有
色でもよい。例えば、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チ
タン、酸化アルミニウム、雲母のような無機物や、ポリ
メチルメタクリレート、ポリスチレン、シリコーンのよ
うな有機物が適宜使用できる。
【0028】好適な形態である図1の(b)〜(f)に
示した高分子フィルム層30は、それぞれ独立に実施す
ることもできるし、二又はそれ以上の形態を組み合わせ
ることもできる。例えば、(d)に示す表面を粗面34
にする形態と(e)に示すハードコート層35を設ける
形態を複合化してもよい。
【0029】また、図1に示したそれぞれの半透過半反
射性フィルム10〜15は、感圧接着剤20が最表層に
あるため、このままでは取扱い性が良好とはいえない。
そこで、感圧接着剤20を保護するために、その表面
に、離型処理が施された高分子フィルム(以下、離型フ
ィルムという)を積層して取り扱うようにしてもよい。
【0030】これらの半透過半反射性フィルム10〜1
5には、光拡散性を付与することもできる。その場合の
例を図2に断面模式図で示す。図2の(a)に示す例
は、先の図1(a)に示した例における感圧接着剤20
を、光拡散性を有する感圧接着剤21に変更し、高分子
フィルム層30/金属薄膜層25/光拡散性感圧接着剤
21の順に積層して、光拡散性を有する半透過半反射性
フィルム16としたものである。図1の(b)〜(f)
に示した例においても同様に、感圧接着剤20を光拡散
性の感圧接着剤21に変更することができる。図2の
(b)に示す例は、別途に光拡散フィルム23を用い、
高分子フィルム層30/金属薄膜層25/感圧接着剤2
0/光拡散フィルム23/感圧接着剤20の順に積層し
て、光拡散性を有する半透過半反射性フィルム17とし
たものである。このように光拡散フィルムを用いる形態
も、図1の(a)〜(f)に示したいずれの例に対して
も適用できる。
【0031】光拡散性は所望とする範囲に設定される
が、通常はヘイズ率が20〜90%の範囲である。図2
の(a)に示すような光拡散性を有する感圧接着剤21
には、公知のものが使用でき、例えば、特開平 7-21632
8 号公報や特表平 11-508622号公報に記載のものなどが
挙げられる。一方、図2の(b)に示すような光拡散フ
ィルム23にも、公知のものが使用でき、例えば、特許
第 2583519号公報や特許第 2691543号公報、特開 2000-
47011 号公報に記載のものなどが挙げられる。
【0032】本発明において第二の見地から特定される
半透過半反射性偏光素子は、以上説明した半透過半反射
性フィルムの最外層感圧接着剤側に、偏光フィルム及び
感圧接着剤をこの順で積層したものである。この際、先
に述べた半透過半反射性フィルムと同様、光拡散性の層
を設けることができる。そこで、かかる半透過半反射性
偏光素子について、光拡散性の層を設けたいくつかの例
を図3に断面模式図で示す。
【0033】図3の(a)に示す例は、図1の(a)と
同様に高分子フィルム層30/金属薄膜層25/感圧接
着剤20の順で積層された半透過半反射性フィルム10
の感圧接着剤20の上に、偏光フィルム48及び光拡散
性感圧接着剤21をこの順で積層して、半透過半反射性
偏光素子40としたものである。図3の(b)に示す例
は、やはり図1の(a)と同様に高分子フィルム層30
/金属薄膜層25/感圧接着剤20の順で積層された半
透過半反射性フィルム10の感圧接着剤20の上に、偏
光フィルム48、感圧接着剤20、光拡散フィルム23
及び感圧接着剤20をこの順で積層して、半透過半反射
性偏光素子41としたものである。図3の(a)及び
(b)において、半透過半反射性フィルム10を、図1
の(b)〜(f)に示した他の半透過半反射性フィルム
11〜15で置き換えることも、もちろん可能である。
【0034】図3の(c)に示す例は、図2の(a)と
同様に高分子フィルム層30/金属薄膜層25/光拡散
性感圧接着剤21の順で積層された半透過半反射性フィ
ルム16の感圧接着剤21の上に、偏光フィルム48及
び感圧接着剤20をこの順で積層して、半透過半反射性
偏光素子42としたものである。また図3の(d)に示
す例は、図2の(b)と同様に高分子フィルム層30/
金属薄膜層25/感圧接着剤20/光拡散フィルム23
/感圧接着剤20の順で積層された半透過半反射性フィ
ルム17の最外層感圧接着剤20の上に、偏光フィルム
48及び感圧接着剤20をこの順で積層して、半透過半
反射性偏光素子43としたものである。
【0035】以上のような半透過半反射性偏光素子40
〜43も、感圧接着剤が最表層になるため、その上に離
型フィルムを積層することで、容易に取り扱えるように
することができる。半透過半反射性偏光素子に光拡散性
を付与するにあたっては、図3の(a)及び(b)に示
すように、実質的に光拡散性が付与されていない半透過
半反射性フィルム10を用い、偏光フィルム48ととも
に積層する感圧接着剤21に光拡散性を付与しておく
か、あるいはそれらとは別に光拡散フィルム23を積層
すればよい。また、図3の(c)及び(d)に示すよう
に、半透過半反射性フィルム16又は17自体に光拡散
性を付与しておくこともできる。換言すれば、図3の
(a)及び(c)に示すように、感圧接着剤21に光拡
散性を付与してもよいし、同(b)及び(d)に示すよ
うに、別途、光拡散フィルム23を積層してもよい。光
拡散性を有する感圧接着剤21や光拡散フィルム23に
は、先に半透過半反射性フィルム16,17について説
明したのと同様のものが使用できる。
【0036】このような半透過半反射性偏光素子40〜
43に用いられる偏光フィルム48は、特定振動方向の
直線偏光を透過し、それと直交する方向の直線偏光を遮
蔽するものであればよく、公知のものが使用できる。例
えば、市販のヨウ素系偏光フィルム、染料系偏光フィル
ムや、液晶化合物を塗布した偏光フィルムなどが使用で
きる。ここで、半透過半反射性偏光素子を反射型として
使用した場合には、偏光フィルム48の黄色味が問題に
なることがある。そこで、偏光フィルム48の平行色相
(透過率が最大になるように偏光フィルム48を2枚積
層したときの透過色相)について、国際照明委員会の C
IE 1976(L*,a*,b*)表色系におけるa*及びb*
0に近いものが好ましく、特にb* が5以下、とりわけ
3以下のものを使用するのが好ましい。偏光フィルム4
8の厚みは特に制限されないが、通常10〜200μm
程度の範囲である。
【0037】また、半透過半反射性偏光素子40〜43
には、位相差素子などの光学フィルムをさらに積層する
こともできる。位相差素子としては、ポリカーボネート
系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルフォン系樹
脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ノルボルネン系樹脂
をはじめとする環状ポリオレフィン系樹脂、三酢酸セル
ロースをはじめとする天然高分子などを、テンターなど
の延伸装置により一軸又は二軸に延伸してなるフィルム
や、液晶化合物を塗布したフィルム、例えば、富士写真
フィルム株式会社製の“WVフィルム”(商品名)、日
本石油化学株式会社製の“LCフィルム”(商品名)、
住友化学工業株式会社製の“VACフィルム”(商品
名)などを、必要に応じて使用することができる。
【0038】本発明において第三の見地から特定される
半透過半反射型液晶表示装置は、これまで説明してきた
半透過半反射性偏光素子40〜43の最外層感圧接着剤
20側に、液晶セル及び前面側偏光フィルムをこの順に
配置したものである。液晶セルと前面側偏光フィルムの
間には、必要に応じて、先述の如き位相差素子を介在さ
せてもよい。この液晶表示装置において、半透過半反射
性偏光素子の背面には光源装置を設置することができ
る。このような光源装置が設置された半透過半反射型液
晶表示装置の例を、図4及び図5に断面模式図で示す。
【0039】これらの図に示す例では、図3(a)と同
じ高分子フィルム層30/金属薄膜層25/感圧接着剤
20/偏光フィルム48/光拡散性感圧接着剤21の順
に積層された半透過半反射性偏光素子40の光拡散性感
圧接着剤21側に、液晶セル60を配置し、さらにその
前面側に、前面側位相差素子52を挟んで前面側偏光フ
ィルム51が配置されている。そして、半透過半反射性
偏光素子40の背面側には、光源装置65又は66が配
置されて、半透過半反射型液晶表示装置70又は71が
構成されている。
【0040】なお、半透過半反射性フィルムが、図1の
(b)に示したような、少なくとも2層からなる高分子
フィルム層30に金属薄膜層25及び感圧接着剤20を
積層したものであって、高分子フィルム層の少なくとも
内側の1層31を残してそれより外側の層32が剥離除
去できるようにしたものである場合には、その感圧接着
剤20側にさらに偏光フィルム48及び感圧接着剤20
又は21を積層した偏光素子を液晶セルに貼合する直
前、又は貼合後に、剥離可能な層32を剥離除去するこ
とになる。したがってこの場合には、剥離可能な層32
を除去して液晶表示装置となった状態では、高分子フィ
ルム層30の厚みが、100μm を下回っていても、も
ちろん差し支えないし、液晶表示装置全体の厚みを薄く
するうえでは、むしろ好ましい態様である。
【0041】図4に示した例における光源装置65は、
一般にサイドライト式と呼ばれるもので、光源66、導
光板67及び、導光板67の背面に配置された反射板5
3を備えており、導光板67の側面に配置された光源6
6からの光は、光源66の導光板67に面しない側を覆
う反射鏡69で反射されて、まず導光板67内に取り込
まれ、その中を進むとともに、反射板68での反射と相
俟って、導光板67の前面側から均一に放出されるよう
になっている。このような光源装置65が、半透過半反
射性偏光素子40の高分子フィルム層30(背面)側に
配置され、一方で半透過半反射性偏光素子40の最外層
感圧接着剤21(前面)側には、液晶セル60及び前面
側偏光フィルム51が配置されて、半透過半反射型液晶
表示装置70が構成されている。
【0042】図5に示した例における光源装置65は、
一般に直下式と呼ばれるもので、光源66とその背面に
配置された反射板68で構成され、光源66からの直接
出射光と反射板68による反射光の両方を使って照明す
るようになっている。このような光源装置65が、半透
過半反射性偏光素子40の高分子フィルム層30(背
面)側に配置され、一方で半透過半反射性偏光素子40
の最外層感圧接着剤21(前面)側には、液晶セル60
及び前面側偏光フィルム51が配置されて、半透過半反
射型液晶表示装置71が構成されている。
【0043】このように、光源装置がいわゆるサイドラ
イト式及び直下式のいずれであっても、本発明の半透過
半反射性偏光素子を適用することができる。また、光源
装置65と半透過半反射性偏光素子40の間には、必要
に応じて、公知の光拡散シートやレンズシート、輝度向
上フィルムなどを配置してもよい。
【0044】図4及び図5に示したような液晶表示装置
に用いられる液晶セル60は、液晶をセル内に注入した
ものであり、電圧印加により液晶の配向状態を変化させ
ることで、セル内を透過する光の偏光状態を変化させる
ものである。具体的には、2枚のセル基板(図示せず)
の内側に背面側透明電極61及び前面側透明電極62が
配置され、それらの間に液晶層63が挟持されている。
図示は省略するが、液晶セル60にはこの他、液晶層6
3を配向させるための配向膜、カラー表示であればカラ
ーフィルター層なども配置されている。このような液晶
セル60には、TN(ねじれネマチック)液晶セル、S
TN(超ねじれネマチック)液晶セル、OCB(光学補
償ベンド)液晶セルなど、公知の各種のものが使用でき
る。
【0045】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明の実施の形態
をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に
よって限定されるものではない。例中、打痕の評価は以
下のようにして行った
【0046】図6に構成概略図を示すように、感圧接着
剤20/金属薄膜層25/高分子フィルム層30の順で
積層された半透過半反射性フィルム10の感圧接着剤2
0側に、偏光フィルム48及び光拡散性感圧接着剤21
を順に積層した半透過半反射性偏光素子40のさらに感
圧接着剤21側に、離型フィルム82を貼付し、これを
サンプルとした。このサンプルに、鉛筆硬度試験機で押
し跡をつけることにより、擬似的に打痕の付き方と痕跡
の残る程度を評価した。鉛筆試験機として、株式会社安
田精機製作所製の型番“553-M”を使用し、硬度Hの鉛
筆を用い、加重は300g、500g及び700gで試
験を行った。サンプルは、離型フィルム82が鉛筆硬度
試験機のステージ81に接するように置き、半透過半反
射性偏光素子40の高分子フィルム層30側に鉛筆83
を置いた。試験後76時間放置したうえで、半透過半反
射性偏光素子40の感圧接着剤21側から見た打痕の程
度を、目視により以下の4段階で評価した。
【0047】A:判別不可、 B:僅かに打痕が認められる、 C:打痕が認められる、 D:強い打痕が認められる。
【0048】また、例中で使用した各部材は次のとおり
である。
【0049】(1)金属薄膜層 金属薄膜層として、尾池産業株式会社製の銀蒸着フィル
ムである“HRフィルム−5S”(商品名)を使用し
た。このフィルムは、50μm 厚のポリエチレンテレフ
タレートフィルム上に、アンダーコート層、銀薄膜層及
びオーバーコート層の順に設けられたもので、透過率5
%(規格中心値)の半透過半反射性フィルムである。こ
のフィルムの基材であるポリエチレンテレフタレートフ
ィルムは、本発明における高分子フィルムの1層とな
る。
【0050】(2)感圧接着剤 金属薄膜層25と偏光フィルム48の間の感圧接着剤2
0には、リンテック株式会社製の商品コード“LS1037”
を使用した。偏光フィルム48の反対側の面の感圧接着
剤21には、光拡散性を有する感圧接着剤#Vを使用し
た。この感圧接着剤は通常、光学フィルムに塗工された
形態で販売されており、例えば、住友化学工業株式会社
から販売されている粘着剤付きヨウ素系偏光フィルムの
商品名である“スミカラン SR1862APV”の末尾「V」
が、粘着剤(感圧接着剤)の品番を表す。それ以外の層
間の接着には、光拡散性のない感圧接着剤であるリンテ
ック株式会社製の糊番#1を使用した。これらの感圧接
着剤は、いずれも25μm 厚である。
【0051】(3)偏光フィルム 住友化学工業株式会社製のヨウ素系偏光フィルム“スミ
カラン SJ1260B”(商品名)を使用した。このフィルム
は120μm 厚であり、平行色相は CIE 1976(L*,a
*,b*)表色系で、a*=−1.2、b*=0.3であっ
た。
【0052】(4)高分子フィルム 高分子フィルムを形成する各層には、次の各フィルムを
使用した。東洋紡株式会社製“コスモシャイン A4100”
(商品名)の50μm 厚と100μm 厚品:材質はポリ
エチレンテレフタレートであり、フィルムの片面は易接
着処理が施され、他面は未処理である。大日本印刷株式
会社製“エクセルマイティー HG-1”(商品名)の50
μm 厚品:材質はポリエチレンテレフタレートであり、
フィルムの片面が易接着処理、他面がハードコート処理
されている。住友化学工業株式会社製の偏光板“スミカ
ラン”(商品名)に使用されている“AG8-TAC”の80
μm 厚品:材質は三酢酸セルロースであり、フィルムの
片面が鹸化処理、他面がシリカを分散した光硬化性樹脂
の硬化皮膜により粗面化処理されている。リンテック株
式会社製“プロテクトフィルム”(商品名)の38μm
厚と75μm 厚品:材質はポリエチレンテレフタレート
であり、フィルムの片面に剥離可能な感圧接着剤が塗布
され、他面は未処理である。
【0053】参考例 38μm 厚の離型フィルム、光拡散性を有する感圧接着
剤#V、偏光フィルム“スミカラン SJ1260B”及び感圧
接着剤“LS1037”をこの順に密着積層し、さらに銀薄膜
層が“LS1037”と接着するように“HRフィルム−5
S”を密着積層することで、半透過半反射性偏光素子を
作製した。“HRフィルム−5S”には、50μm 厚の
ポリエチレンテレフタレートフィルムが使用されている
ので、この半透過半反射性偏光素子における高分子フィ
ルムの総厚は50μm である。この打痕評価結果を表1
に示す。高分子フィルム層が50μm 厚しかないこの半
透過半反射性偏光素子は、打痕がつきやすい。
【0054】実施例1 参考例で作製した半透過半反射性偏光素子のポリエチレ
ンテレフタレートフィルム側に感圧接着剤#1を介し
て、50μm 厚のポリエチレンテレフタレートフィルム
である“コスモシャイン A4100”の易接着処理面を密着
積層し、半透過半反射性偏光素子を作製した。このとき
の高分子フィルム層の総厚は、接着に用いた感圧接着剤
を除いて100μm となる。この打痕評価結果を表1に
示す。参考例に比べて、打痕の発生程度は低減してい
る。
【0055】実施例2 参考例で作製した半透過半反射性偏光素子のポリエチレ
ンテレフタレートフィルム側に感圧接着剤#1を介し
て、100μm 厚のポリエチレンテレフタレートフィル
ムである“コスモシャイン A4100”の易接着処理面を密
着積層し、半透過半反射性偏光素子を作製した。このと
きの高分子フィルム層の総厚は、接着に用いた感圧接着
剤を除いて150μm となる。この打痕評価結果を表1
に示す。実施例1に比べて、打痕の発生程度はさらに低
減している。
【0056】実施例3 参考例で作製した半透過半反射性偏光素子のポリエチレ
ンテレフタレートフィルム側に、75μm 厚の“プロテ
クトフィルム”を、その感圧接着剤層を介して密着積層
し、半透過半反射性偏光素子を作製した。このときの高
分子フィルム層の総厚は、接着に用いた感圧接着剤を除
いて125μm となる。この打痕評価結果を表1に示
す。参考例に比べて、打痕の発生程度は低減している。
【0057】実施例4 実施例1で作製した半透過半反射性偏光素子のポリエチ
レンテレフタレートフィルム側に、さらに75μm 厚の
“プロテクトフィルム”を、その感圧接着剤層を介して
密着積層し、半透過半反射性偏光素子を作製した。この
ときの高分子フィルム層の総厚は、接着に用いた感圧接
着剤を除いて175μm となる。この打痕評価結果を表
1に示す。実施例1に比べて、打痕の発生程度はさらに
低減している。
【0058】実施例5 参考例で作製した半透過半反射性偏光素子のポリエチレ
ンテレフタレートフィルム側に、ハードコート処理付き
で50μm 厚のポリエチレンテレフタレートフィルムで
ある“エクセルマイティー HG-1”の易接着処理面を、
感圧接着剤#1を介して密着積層し、半透過半反射性偏
光素子を作製した。このときの高分子フィルム層の総厚
は、接着に用いた感圧接着剤を除いて100μm とな
る。この打痕評価結果を表1に示す。参考例に比べて、
打痕の発生程度は低減している。
【0059】実施例6 参考例で作製した半透過半反射性偏光素子のポリエチレ
ンテレフタレートフィルム側に、片面粗面化処理された
80μm 厚の三酢酸セルロースフィルムである“AG8-TA
C”の平滑面を、感圧接着剤#1を介して密着積層し、
半透過半反射性偏光素子を作製した。このときの高分子
フィルム層の総厚は、接着に用いた感圧接着剤を除いて
130μm となる。この打痕評価結果を表1に示す。参
考例に比べて、打痕の発生程度は低減している。
【0060】比較例 参考例で作製した半透過半反射性偏光素子のポリエチレ
ンテレフタレートフィルム側に、38μm 厚の“プロテ
クトフィルム”を、その感圧接着剤層を介して密着積層
し、半透過半反射性偏光素子を作製した。このときの高
分子フィルム層の総厚は、接着に用いた感圧接着剤を除
いて88μm となる。この打痕評価結果を表1に示す。
参考例に比べて、打痕の発生程度は僅かに低減している
ものの、まだその発生程度が強く、改良効果は低い。
【0061】
【表1】 A:打痕判別不可、 B:僅かに打痕が認められる、 C:打痕が認められる、 D:強い打痕が認められる。
【0062】
【発明の効果】本発明の半透過半反射性フィルム、及び
それを用いた半透過半反射性偏光素子は、工程に起因す
る打痕の発生を防ぐことができ、取扱いが簡便になる。
したがって、それらを用いた半透過半反射型液晶表示装
置も不良率を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る半透過半反射性フィルムについ
て、いくつかの構成例を示す断面模式図である。
【図2】本発明に係る半透過半反射性フィルムに光拡散
性を付与する場合の構成例を示す断面模式図である。
【図3】本発明に係る半透過半反射性偏光素子につい
て、いくつかの構成例を示す断面模式図である。
【図4】本発明に係る半透過半反射型液晶表示装置の構
成例を示す断面模式図である。
【図5】本発明に係る半透過半反射型液晶表示装置の他
の構成例を示す断面模式図である。
【図6】実施例における打痕の評価方法を説明するため
の模式図である。
【図7】従来の半透過半反射型液晶表示装置の構成例を
示す断面模式図である。
【図8】従来の半透過半反射性フィルムとそれを用いた
半透過半反射性偏光素子の構成例を示す断面模式図であ
る。
【符号の説明】
10〜17……半透過半反射性フィルム、 20……感圧接着剤、 21……光拡散性感圧接着剤、 23……光拡散フィルム、 25……金属薄膜層、 30〜32……高分子フィルム、 33……高分子フィルムの規則的な凹凸形状、 34……高分子フィルムの粗面、 35……ハードコート層、 36……充填材、 40〜43……半透過半反射性偏光素子、 48……偏光フィルム、 51……前面側偏光フィルム、 52……前面側位相差素子、 60……液晶セル、 61,62……透明電極、 63……液晶層、 65……光源装置、 66……光源、 67……導光板、 68……反射板、 69……反射鏡、 70,71……半透過半反射型液晶表示装置、 81……鉛筆硬度試験機のステージ、 82……離型フィルム、 83……鉛筆(硬度H)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 5/02 G02B 5/30 G02F 1/1335 520 5/30 G02B 1/10 A G02F 1/1335 520 Z Fターム(参考) 2H042 BA02 BA03 BA04 BA15 BA20 DA02 DA04 DA11 DA20 DA21 DB01 DC02 DC07 DE00 2H049 BA02 BB51 BB63 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA14Z FA41Z FD06 FD15 FD16 LA30 2K009 AA12 AA15 BB24 CC03 CC09 DD01 DD03 DD15 4F100 AB01B AB24 AK01C AK01D AK01E AK41 AR00A AR00E BA03 BA04 BA05 BA07 BA10A BA10C BA10D BA10E CA23C CA23D CB05A CC00E DD01C DD01D DD07C DD07D EH66 GB41 JK12E JL14D JM02B JN01 JN02 JN10E JN30A JN30E YY00C

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】感圧接着剤、金属薄膜層、及び総厚100
    〜500μm の少なくとも1層からなる高分子フィルム
    層の順に密着積層してなることを特徴とする半透過半反
    射性フィルム。
  2. 【請求項2】高分子フィルム層が少なくとも2層からな
    り、かつ、少なくとも内側の1層を残してそれより外側
    の層が剥離除去可能である請求項1に記載の半透過半反
    射性フィルム。
  3. 【請求項3】高分子フィルム層の少なくとも1層が、規
    則的な凹凸表面形状を有している請求項1に記載の半透
    過半反射性フィルム。
  4. 【請求項4】高分子フィルム層の少なくとも1層の少な
    くとも片面が粗面化されている請求項1に記載の半透過
    半反射性フィルム。
  5. 【請求項5】高分子フィルム層の少なくとも1層の少な
    くとも片面にハードコート層が付設されている請求項1
    に記載の半透過半反射性フィルム。
  6. 【請求項6】高分子フィルム層の少なくとも1層の中に
    充填材が分散されている請求項1に記載の半透過半反射
    性フィルム。
  7. 【請求項7】感圧接着剤が光拡散性を有する請求項1か
    ら6のいずれかに記載の半透過半反射性フィルム。
  8. 【請求項8】感圧接着剤の金属薄膜層と反対側の面に光
    拡散フィルムが密着積層され、さらにその上に感圧接着
    剤が積層されている請求項1から7のいずれかに記載の
    半透過半反射性フィルム。
  9. 【請求項9】請求項1から8のいずれかに記載の半透過
    半反射性フィルムを形成する感圧接着剤の外側に、さら
    に、偏光フィルム及び感圧接着剤がこの順で密着積層さ
    れていることを特徴とする半透過半反射性偏光素子。
  10. 【請求項10】偏光フィルムの外側に積層された感圧接
    着剤のさらに外側に、位相差素子及び感圧接着剤が密着
    積層されている請求項9に記載の半透過半反射性偏光素
    子。
  11. 【請求項11】少なくとも1層の感圧接着剤が光拡散性
    を有する請求項9又は10に記載の半透過半反射性偏光
    素子。
  12. 【請求項12】いずれかの層の間に、光拡散フィルムが
    感圧接着剤を介して密着積層されている請求項9から1
    1のいずれかに記載の半透過半反射性偏光素子。
  13. 【請求項13】前面側偏光フィルム、液晶セル及び請求
    項9から12のいずれかに記載の半透過半反射性偏光素
    子がこの順に積層されていることを特徴とする半透過半
    反射型液晶表示装置。
  14. 【請求項14】半透過半反射性偏光素子の背面側に光源
    装置を備える請求項13に記載の半透過半反射型液晶表
    示装置。
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