JP2003029005A - 光学素子および光学機器 - Google Patents

光学素子および光学機器

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JP2003029005A
JP2003029005A JP2001220247A JP2001220247A JP2003029005A JP 2003029005 A JP2003029005 A JP 2003029005A JP 2001220247 A JP2001220247 A JP 2001220247A JP 2001220247 A JP2001220247 A JP 2001220247A JP 2003029005 A JP2003029005 A JP 2003029005A
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liquid
optical element
container
sealing means
magnetic fluid
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Ichiro Onuki
一朗 大貫
Goro Noto
悟郎 能登
Eirishi Kawanami
英利子 川浪
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Canon Inc
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    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B26/00Optical devices or arrangements for the control of light using movable or deformable optical elements
    • G02B26/004Optical devices or arrangements for the control of light using movable or deformable optical elements based on a displacement or a deformation of a fluid
    • G02B26/005Optical devices or arrangements for the control of light using movable or deformable optical elements based on a displacement or a deformation of a fluid based on electrowetting

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液体を用いた光学素子において、液体の熱膨
張による液体漏れを防止する。 【解決手段】 容器内の液体収容領域を、容器本体と、
この容器本体に対して可動で剛体からなる封止手段と、
この封止手段に吸着し封止手段と容器本体間を密封する
磁性流体とによって構成し、液体の膨張又は収縮に応じ
て、封止手段が磁性流体による密封状態を維持しながら
容器本体に対して移動することにより液体収容領域の容
積が変化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体を利用した光
学素子に関し、さらに詳しくは光学素子を構成する液体
の熱膨張対策に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レンズを機械的に移動させることなく可
変焦点化にするために種々の提案がなされている。
【0003】例えば、特開平11−133210号公報
では、透明液体を密閉容器に充填し、容器に備え付けら
れている第1電極と導電性弾性板との間に電位差を与え
るようにした光学素子が提案されている。
【0004】この光学素子では、第1電極と導電性弾性
板との間に電位差を与えることにより、クーロン力によ
る吸引力を発生させて両者の間隔を狭め、両者の間隔か
ら排斥された透明液体の体積をもって、透明弾性板の中
央部分を透明液体に背向して凸状に変形させ、この凸状
に変形した透明弾性板と透明板と両者の間を満たしてい
る透明液体とで凸レンズを形成させる。そして、上述し
た電位差を変化させることによって凸レンズのパワーを
変化させることで、可変焦点の光学素子を構成してい
る。
【0005】一方、エレクトロウェッティング効果(電
気毛管現象)を用いた可変焦点レンズが、国際特許99
/18456号にて開示されている。この可変焦点レン
ズでは、電気エネルギを直接、密閉容器に充填された第
1の透明液体と第2の透明液体との界面が形成するレン
ズの形状変化に用いることができるため、レンズを機械
的に移動させること無く焦点を変化させることができ
る。
【0006】また、特開2000−81503号公報の
可変焦点レンズ装置では、アクチュエータでレンズ容器
を弾性変形させて可変焦点レンズを得ると共に、以下に
説明する温度補償手段を備えている。
【0007】すなわち、レンズ容器の外周部に、容器内
の透明液体が充填されている内部空間に連通するタンク
を備えた温度補償部を設け、この温度補償部によって熱
膨張および熱収縮によって増減する透明液体の体積の変
動分を吸収するようにしている。また、温度補償部のタ
ンク壁面のうち少なくとも一部は変形容易な弾性壁とな
っている。
【0008】これにより、周囲の温度環境の変化や長時
間動作に伴う温度上昇などによって容器中の透明液体が
熱膨張や熱収縮を起こした場合でも、温度補償部によっ
て透明液体の体積のうち温度変動分が吸収または供給さ
れ、温度変化等による光学パワーの変動を抑制してい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特開平2000−81
503号公報に示された課題でもわかるとおり、一般に
液体は熱膨張係数(単位温度変化に対する体積変化率)
が大きいため、液体の周囲温度が変化すると液体が膨張
あるいは収縮し、液体を収容する容器に過大の負荷がか
かることにより液体が漏れるおそれがある。従って液体
を用いた光学素子では、液体の体積変化を吸収する構造
を備える必要がある。
【0010】このような課題に対し、特開平11−13
3210号公報に提案された光学素子及び国際特許99
/18456号に開示された光学素子は、液体の体積変
化を吸収する機構を備えておらず、温度変化が大きな環
境下では使用することができない。
【0011】また、特開2000−81503号公報に
て提案の構成では、レンズ容器の一部に弾性膜を備えた
温度補償部を設けているが、弾性膜の体積変化吸収能力
と液体の封止信頼性は相反する。すなわち、光学素子が
使用される環境の温度範囲が広く、液体の体積変化量が
大きい場合には、弾性膜が大きく変形するために薄型化
する必要がある。しかし、弾性膜の薄型化に伴い、弾性
膜を介して液体の漏れや気体の透過のおそれが増す。ま
た、弾性膜を薄くすると、落下等の衝撃で膜が破れる可
能性も増加する。
【0012】そこで本発明は、液体を利用した光学素子
に関し、液体の封止信頼性を低下させることなく、温度
変化に伴う液体の体積変化を吸収する光学素子を提供す
ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、容器の内部に
収容された液体の形状を変化させることにより光学特性
を変化させる光学素子において、前記容器内の液体収容
領域が、容器本体と、この容器本体に対して可動で剛体
からなる封止手段と、この封止手段に吸着し前記封止手
段と前記容器本体間を密封する磁性流体とによって構成
されており、前記液体の膨張又は収縮に応じて、前記封
止手段が前記磁性流体による密封状態を維持しながら前
記容器本体に対して移動することにより前記液体収容領
域の容積が変化することを特徴とする。
【0014】これにより、光学素子の周囲の温度変化に
より液体が膨張あるいは収縮した場合にも、封止手段と
容器本体間に密封能力に優れた磁性流体を配置するとと
もに、封止手段を液体の体積変化に応じて移動させて液
体収容領域の容積を変えることにより、容器に過大の負
荷がかかるのを防いで液体の漏れを防止することができ
る。また、封止手段が剛体により構成されており、弾性
膜のような薄型の部材を用いていないため、外部からの
衝撃により膜が破れたり気体が透過したりするといった
おそれがなくなる。
【0015】ここで、液体の体積膨張に応じた封止手段
の移動方向と相反する方向に封止手段を付勢する付勢部
材を備え付けても良い。また、封止手段を永久磁石とヨ
ークとで構成することができる。さらに、本発明の光学
素子は、顕微鏡等の光学機器に用いることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1及び図2を
用いて本発明の第1実施形態である光学素子について説
明する。ここで、図1は本実施形態の光学素子の構成を
示す断面図であり、図1を用いて本実施形態の光学素子
の構成と作成方法を説明する。
【0017】101は本実施形態の光学素子全体を示し
ている。102は、中央に凹部を設けた透明アクリル製
の透明基板である。この透明基板102の上面には、酸
化インジウムスズ製の透明電極(ITO)103がスパ
ッタリングで形成されている。透明電極103の上面に
は透明アクリル製の絶縁層104が密着して設けられて
いる。絶縁層104は、透明電極103の中央に形成さ
れた凹部にレプリカ樹脂を滴下し、ガラス板で押しつけ
て表面を平滑にした後、UV照射を行ない硬化させるこ
とにより形成される。絶縁層104の中央上面には、直
径D1の範囲内に撥水処理剤が塗布されて撥水幕111
が形成されている。なお、撥水処理剤には、フッ素化合
物等を好適に用いることができる。
【0018】絶縁層104の外周部上面には、遮光性を
有した円筒型の容器105が接着固定されており、この
容器105の上には透明アクリル製のカバー板106が
接着固定されている。カバー板106には、後述する液
体を注入するための注入孔106aが形成されている。
【0019】107は、中央部に所定寸法の開口を有し
た絞り板で、注入孔106aをふさぐ蓋の役目も兼ねて
いる。ここで、絞り板107の中央に形成された開口部
は、被写体光束が通過する部分であり、点線123は光
軸を示している。
【0020】容器105の側面(図1中右側面)には孔
があけられており、この孔には棒状電極125が挿入さ
れて接着剤で封止されている。透明電極103と棒状電
極125には給電回路126が接続され、スイッチ12
7がONになることで両電極(透明電極103及び棒状
電極125)間に所定の電圧が印加されるようになって
いる。
【0021】一方、容器105の側面(図1中左側面)
には、容器105の径方向に延びる円柱状の開口部10
5aが形成されており、この開口部105aには容器1
05内に注入された液体が漏れるのを防止するために以
下に説明する封止部材115が挿入される。
【0022】封止部材115は、永久磁石112、ヨー
ク113および磁性流体114で構成されている。永久
磁石112は円柱状に形成されており、一端側(図1中
左側)がS極、他端側(図1中右側)がN極に着磁され
ている。この永久磁石112の両端には、円盤状に形成
された鉄製のヨーク113が接着されている。また、ヨ
ーク113の外周端面には、磁性流体114が塗布され
ている。
【0023】上述した封止部材115の構成では、ヨー
ク113の外周端面に磁界が発生し、この磁界の影響に
よりヨーク113の外周端面に塗布された磁性流体11
4が、ヨーク113の径方向外側にリング状に広がる。
このときの磁性流体114の最外周直径寸法は、容器1
05の開口部105aの内径寸法より若干大きな構成に
なっている。
【0024】以上の構成により、絶縁層104、容器1
05、カバー板106、封止部材115および磁性流体
114で囲まれた所定体積の空間、すなわち後述する液
体を満たすための液室を有した筐体が形成される。
【0025】封止部材115を容器105の開口部10
5aに挿入すると、磁性流体114が開口部105aの
内壁に密着するので、開口部105aは液体の出入りが
防止された密封構造となる。
【0026】磁性流体114の変形抵抗は非常に小さい
ため、封止部材115は開口部105aの表面上を自由
に移動可能であり、容器105内に注入された液体が熱
膨張や熱収縮しても封止部材115が移動することによ
り液体の体積変化に好適に対応することができる。
【0027】ここで、開口部105aの表面物性におい
て、磁性流体114に対する濡れ性と液体(第1の液体
121)に対する濡れ性はほぼ等しい状態となることが
好ましい。これは、磁性流体114に対する濡れ性のほ
うが悪いと磁性流体114は開口部105aに付着する
ことができず、また、磁性流体114に対する濡れ性の
ほうが良すぎると封止部材115が移動する際に磁性流
体114が開口部105aに付着したまま取り残される
おそれがあるためである。なお、後者の場合には、永久
磁石112の磁力を強めることで磁性流体114が開口
部105aに取り残されるのを防ぐことができる。
【0028】一方、封止部材115が開口部105a内
を自由に移動可能であると、後述する液体の充填過程に
おいて、封止部材115が容器105の径方向外側(図
1中左側)に押し出されて封止の機能を発揮し得ないお
それがある。そこで、封止部材115を容器105の外
周側(図1中左側)から板バネ等の付勢部材116で容
器105の内側方向に付勢することにより、液体に付勢
部材116による付勢力を与えることにより、液体充填
時に封止部材115が容器105の外側に押し出されて
しまうのを防止する。
【0029】ここで、付勢部材116の基端部は、透明
基板102の切り込み部102aに接着固定されてい
る。これにより、液体への圧力付加を簡単な構造で実現
することができる。
【0030】図2は、上述した封止部材116の構造を
わかり易く示すための斜視図である。同図では、容器1
05に対して封止部材115及び付勢部材116が拡大
して描かれている。また、カバー板106と絞り板10
7が省略され、後述する2液の界面を124にて示して
いる。
【0031】なお、本実施形態では、封止部材115が
円柱状に形成されているが、この形状は適宜定めること
ができ、例えば、封止部材を直方体形状の永久磁石と矩
形形状のヨークで構成するようにしてもよい。この場合
には、開口部105aの形状を封止部材が挿入可能な形
状とする。
【0032】次に、上述した液室への液体充填方法を図
1を用いて説明する。
【0033】まずカバー板106の注入孔106aを通
して、絶縁層104上の撥水膜111の上に、第2の液
体122を所定量だけ滴下する。第2の液体122に
は、無色透明で、比重1.06、室温での屈折率1.4
9のシリコンオイルを用いる。そして、液室内の残りの
空間には、第1の液体121を充填する。
【0034】この第1の液体121は、水とエチルアル
コールを所定比率で混合し、この混合液に所定量の食塩
を加えた、比重1.06、室温での屈折率1.38の電
解液である。すなわち、第1の液体121及び第2の液
体122には、比重が等しく、かつ互いに不溶の液体を
選定する。
【0035】第1の液体121を充填する際には、第1
の液体121が容器105の液室空間を満たした後、圧
力を印加して更に所定量余分に注入する。すると、磁性
流体114を有する封止部材115は、付勢部材116
の付勢力に抗して容器105の径方向外側(図1中左
側)に変位する。そして、この変位量が所定量に達した
ところで第1の液体121の注入を停止し、カバー板1
06の上に絞り板107を接着することにより本実施形
態の光学素子の組み立てが完了する。
【0036】この光学素子の組み立てが完了した状態で
は、第1の液体121及び第2の液体122により界面
124が形成され、両液体が混じりあわずに各々が独立
して存在する。そして、両液体には、光学素子101が
置かれた雰囲気の圧力、一般には大気圧と、付勢部材1
15により付与された付勢力による圧力とを合計した圧
力が加わることになる。
【0037】ここで、光学素子101の周囲温度が上昇
すると、第1の液体121及び第2の液体122が熱膨
張するが、この場合には封止部材115が液体(第1の
液体121及び第2の液体122)に押し込まれること
により容器105の径方向外側(図1中左方向)に変位
する。また、光学素子101の周囲温度が下降すると、
第1の液体121及び第2の液体122が熱収縮する
が、この場合には封止部材115が光学素子101の外
部圧力及び付勢部材116の付勢力を受けることにより
容器105の径方向内側(図1中右方向)に変位する。
【0038】そして、温度上昇及び温度下降のいずれの
場合にも、液体(第1の液体121及び第2の液体12
2)には大気圧と、付勢部材116の付勢力に相当する
圧力との合計値である圧力が付与されるため、液体に溶
解した気体が泡となって析出するのを防止できる。
【0039】次に、光学素子101内の液体界面の形状
について説明する。
【0040】まず、第1の液体121に電圧が印加され
ていない場合、界面124の形状は、両液体間の界面張
力、第1の液体121と絶縁層104との界面張力、第
2の液体122と絶縁層104上の撥水膜111との界
面張力、及び第2の液体122の体積で決まる。このと
き、界面124は、実線124aに示す形状となってい
る。
【0041】本実施形態においては、第2の液体122
の材料であるシリコンオイルと撥水膜111との界面張
力が相対的に小さくなるように材料選定されている。す
なわち両材料間の濡れ性が高いため、レンズ状液滴に形
成された第2の液体122は広がる特性を有し、この第
2の液体122の外縁が撥水膜111の塗布領域に一致
したところで安定する。このため、第2の液体122で
形成されたレンズ状液滴の底面の直径は、撥水膜111
の直径D1に等しくなる。
【0042】また、第1の液体121及び第2の液体1
22の比重は前述の如く等しいため、重力は作用しな
い。従って、界面124aは球面状になり、この曲率半
径及び高さh1は第2の液体122の体積により決ま
る。
【0043】一方、スイッチ127がONになり第1の
液体121に電圧が印加されると、電気毛管現象によっ
て第1の液体121と絶縁層104との界面張力が減少
し、第1の液体121が撥水膜111の外縁を乗り越え
て撥水膜111内に侵入する。その結果、第2の液体1
22により形成されるレンズ状液滴の底面の直径はD1
からD2に減少し、球状の界面124は、実線124a
に示す位置から点線124bに示す位置まで盛り上が
り、レンズ状液滴の高さがh1からh2に増加する。
【0044】このように第1の液体121への電圧印加
によって、2種類の液体の界面124が絶縁層104と
交わる点において、界面張力の釣り合いが変化して両液
体間の界面124の形状が変わる。よって、給電回路1
26の電圧制御によって界面124の形状を自在に変え
られる光学素子101が実現できる。
【0045】また、第1の液体121及び第2の液体1
22が異なる屈折率を有することにより光学素子101
に光学レンズとしての機能が付与され、光学素子101
は界面124の形状を変化させることで可変焦点レンズ
としての役割を果たす。
【0046】本実施形態では、第2の液体122の体積
よりも第1の液体121の体積の方が大きいため、温度
変化に伴う体積変化量の大半は、第1の液体121の量
に支配される。そこで、体積変化を吸収する封止部材1
15は、第1の液体121に接する位置に設けられてい
る。この結果、2種類の液体の体積変化が生じても、こ
の体積変化に応じて封止部材115が移動することによ
り、界面124の形状変化を少なくすることができると
ともに、光学素子101の焦点距離変動を少なくするこ
とができる。
【0047】なお、本実施形態における光学素子は、円
筒状に形成されているが、これに限らず箱状に形成され
ているものであってもよい。
【0048】(第2実施形態)第1実施形態では、容器
105の側面に円柱状の開口部105aを設け、この開
口部105aに磁性流体を有した封止部材115を挿入
しているが、以下に説明する本発明の第2実施形態で
は、容器の側面全体にリング状の封止部材を配した構成
となっている。以下、図3を用いて第2実施形態の光学
素子の構成と作成方法を説明する。
【0049】201は本実施形態の光学素子全体を示し
ている。202は、中央に凹部を設けた透明アクリル製
の透明基板である。第1実施形態と同様に、この透明基
板202の上面には、酸化インジウムスズ製の透明電極
(ITO)203が形成され、この透明電極203の上
面には透明アクリル製の絶縁層204が密着して設けら
れている。そして、絶縁層204の中央上面には、直径
D1の範囲内に撥水処理剤が塗布されて撥水膜211が
形成されている。
【0050】絶縁層204の外周部上面には、遮光性を
有した円筒型の容器205が接着固定されており、この
容器205の上には透明アクリル製のカバー板206が
接着固定されている。カバー板206には、第1実施形
態と同様に注入孔206aが形成されている。
【0051】207は、中央部に所定寸法の開口を有し
た絞り板で、注入孔206aをふさぐ蓋の役目も兼ねて
いる。ここで、絞り板207の中央に形成された開口部
は、被写体光束が通過する部分であり、点線223は光
軸を示している。225は棒状電極で、カバー板206
と絞り板207を貫通した状態で接着剤で固着されてい
る。
【0052】透明電極203と棒状電極225には給電
回路226が接続され、スイッチ227がONになるこ
とで両電極(透明電極203及び棒状電極225)間に
所定の電圧が印加されるようになっている。
【0053】容器205の断面はL字状に形成されてお
り、このL字状の部分には以下に説明する封止部材21
5が配置されている。また、容器205の側面(図3中
左側面)には空気流通用の開口部205aが形成されて
いる。
【0054】封止部材215は、永久磁石212、ヨー
ク213および磁性流体214で構成されている。永久
磁石212はリング状に形成されており、外周側がS
極、内周側がN極に着磁されている。この永久磁石21
2の外周側には鉄製リングのヨーク213aが基端部に
おいて接着され、内周側には鉄製リングのヨーク213
bが基端部において接着されている。また、ヨーク21
3a、213bのそれぞれの先端には、磁性流体214
が塗布されている。
【0055】上述した封止部材215の構成では、ヨー
ク213a、213bの外周端面に磁界が発生し、この
磁界の影響により磁性流体214が、ヨーク213a、
213bの外周面に沿ってリング状に広がる。
【0056】封止部材215を容器205の底部とカバ
ー板206に挟まれた空間に配置すると、磁性流体21
4が容器205の底部内壁とカバー板206の下面に密
着する。
【0057】以上の構成により、絶縁層204、容器2
05、カバー板206及び封止部材215で囲まれた所
定体積の空間、すなわち後述する液体を満たすための液
室を有した筐体が形成される。
【0058】ここで、容器205及びカバー板206の
表面物性において、液室に充填する液体(後述する第1
の液体221)に対する濡れ性よりも磁性流体214に
対する濡れ性のほうが高くなっていることが望ましい。
これにより、磁性流体214は、容器205およびカバ
ー板206にしっかりと密着する。
【0059】光学素子201の周囲の温度が変化するこ
とにより液体(第1の液体221及び第2の液体22
2)の体積が変化すると、磁性流体214が容器205
およびカバー板206に密着した状態で伸縮することに
より、封止部材215が図3中上下方向に変位する。こ
のように磁性流体214が容器205およびカバー板2
06に密着した状態で伸縮することにより、液室内に充
填された液体が漏れることはない。
【0060】しかし、封止部材215の上下方向の変位
に対する抵抗が小さいため、後述する液体の充填過程に
おいて、封止部材215が図3中下方向に変位しすぎて
封止の機能を発揮し得ないおそれがある。そこで、封止
部材215を図3中下方向から皿バネ等の付勢部材21
6で上方向に付勢することにより、液体が充填される空
間の体積を所定値に維持する役目をなしている。
【0061】皿バネとは、中央に穴のある円盤を円錐状
に形成したものであり、中心軸方向の単位変形量に対す
る負荷変動量が小さい、いわゆるバネ定数の小さなバネ
である。ここで、封止部材215はリング状に構成され
ており、液体の体積変化が大きくても封止部材215の
上下方向への移動量は小さなものとなるため、付勢部材
216にはバネ定数の小さな皿バネ等を用いることがで
きる。
【0062】次に、上述した液室への液体充填方法を図
3を用いて説明する。
【0063】まずカバー板206の注入孔206aを通
して、絶縁層204上の撥水膜211の上に、第2の液
体222を所定量だけ滴下する。第2の液体222に
は、第1実施形態と同様のシリコンオイルを用いる。そ
して、液室内の残りの空間には、第1の液体221を充
填する。
【0064】この第1の液体221も第1実施形態と同
様の、水とエチルアルコールを所定比率で混合して所定
の量の食塩を加えた電解液である。
【0065】第1の液体221を充填する際には、第1の
液体221が容器205の液室空間を満たした後、圧力
を印加して更に所定量余分に注入する。すると、磁性流
体214を有する封止部材215は、付勢部材216の
付勢力に抗して容器205の下方向(図3中下方向)に
変位する。そして、この変位量が所定量に達したところ
で第1の液体221の注入を停止し、カバー板206の
上に絞り板207を接着することにより本実施形態の光
学素子の組み立てが完了する。
【0066】この光学素子の組み立てが完了した状態で
は、第1の液体221及び第2の液体222により界面
224が形成され、両液体が混じりあわずに各々が独立
して存在する。そして、両液体には、光学素子201が
置かれた雰囲気の圧力、一般には大気圧と、付勢部材2
16により付与された付勢力による圧力とを合計した圧
力が加わることになる。
【0067】ここで、光学素子201の周囲温度が上昇
すると、第1の液体221及び第2の液体222が熱膨
張するが、この場合には封止部材215が液体(第1の
液体221及び第2の液体222)に押し込まれること
により容器205の下方向に変位する。また、光学素子
201の周囲温度が下降すると、第1の液体221及び
第2の液体222は熱収縮するが、この場合には封止部
材215が光学素子201の外部圧力及び付勢部材21
6の付勢力を受けることにより容器205の上方向に変
位する。
【0068】そして、温度上昇及び温度下降のいずれの
場合にも、液体(第1の液体221及び第2の液体22
2)には大気圧と、付勢部材216の付勢力に相当する
圧力との合計値である圧力が付与されるため、液体に溶
解した気体が泡となって析出するのを防止できる。
【0069】容器205の側面には空気孔205aが形
成されており、付勢部材215の上下方向の変位に伴っ
て、付勢部材215と容器205に挟まれた空間内に存
在する空気が自由に出入り可能になっている。このよう
に空気が自由に出入りすることにより、付勢部材215
の上下方向の変位を妨げることがなくなる。
【0070】また、光学素子201内の2液体の界面2
24は、第1実施形態と同様に給電回路226の電圧制
御によって界面224の形状を自在に変えることがで
き、この界面224の形状を自在に変化させることで焦
点を変化させることができる。
【0071】さらに、本実施形態においても第1実施形
態と同様に、第2の液体222の体積よりも第1の液体
221の体積が大きいため、温度変化に伴う体積変化量
の大半は、第1の液体221の量に支配される。そこ
で、体積変化を吸収する封止部材215は、第1の液体
221に接する位置に設けられている。この結果、2種
類の液体の体積変化が生じても、この体積変化に応じて
封止部材215が移動することにより、界面224の形
状変化を少なくすることができるとともに、光学素子の
焦点距離変動を少なくすることができる。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、光学素子の周囲の温度
変化により液体が膨張あるいは収縮した場合にも、封止
手段と容器本体間に密封能力に優れた磁性流体を配置す
るとともに、封止手段を液体の体積変化に応じて移動さ
せて液体収容領域の容積を変えることにより、容器に過
大の負荷がかかるのを防いで液体の漏れを防止すること
ができる。
【0073】また、封止手段が剛体により構成されてお
り、弾性膜のような薄型の部材を用いていないため、外
部からの衝撃により膜が破れたり気体が透過したりする
といったおそれがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である光学素子の断面
図。
【図2】第1実施形態である光学素子の要部の分解斜視
図。
【図3】本発明の第2実施形態である光学素子の断面
図。
【符号の説明】
101、201 光学素子 102、202 透明基板 103、203 透明電極 104、204 絶縁層 105、205 容器 105a、205a 開口部 106、206 カバー板 112、212 永久磁石 113、213a、213b ヨーク 114、214 磁性流体 115、215 封止部材 116、216 付勢部材 121、221 第1の液体 122、222 第2の液体 123、223 光軸 124、224 界面 125、225 棒状電極 126、226 給電回路
フロントページの続き (72)発明者 川浪 英利子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器の内部に収容された液体の形状を変
    化させることにより光学特性を変化させる光学素子にお
    いて、 前記容器内の液体収容領域が、容器本体と、この容器本
    体に対して可動で剛体からなる封止手段と、この封止手
    段に吸着し前記封止手段と前記容器本体間を密封する磁
    性流体とによって構成されており、 前記液体の膨張又は収縮に応じて、前記封止手段が前記
    磁性流体による密封状態を維持しながら前記容器本体に
    対して移動することにより前記液体収容領域の容積が変
    化することを特徴とする光学素子。
  2. 【請求項2】 前記液体の膨張に応じた前記封止手段の
    移動方向と相反する方向に前記封止手段を付勢する付勢
    部材を有することを特徴とする請求項1に記載の光学素
    子。
  3. 【請求項3】 前記封止手段が光軸方向に延びる面を有
    しており、前記磁性流体の前記容器本体に対する摺動に
    より光軸直交方向に移動することを特徴とする請求項1
    又は2に記載の光学素子。
  4. 【請求項4】 前記容器本体の前記磁性流体に対する濡
    れ性と前記容器本体の前記液体に対する濡れ性が略等し
    いことを特徴とする請求項3に記載の光学素子。
  5. 【請求項5】 前記封止手段が光軸直交方向に延びる面
    を有しており、前記磁性流体の変形により光軸方向に移
    動することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素
    子。
  6. 【請求項6】 前記封止手段が、永久磁石と、この永久
    磁石に吸着し前記液体収容領域を仕切るヨークとから構
    成され、前記ヨークの端面に磁性流体が吸着しているこ
    とを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の光学
    素子。
  7. 【請求項7】 前記付勢部材がバネであることを特徴と
    する請求項2に記載の光学素子。
  8. 【請求項8】 前記液体が、導電性又は極性を有する第
    1の液体と、この第1の液体と混合することのない第2
    の液体とで構成されていることを特徴とする請求項1か
    ら7のいずれかに記載の光学素子。
  9. 【請求項9】 前記封止部材が、前記第1の液体及び前
    記第2の液体のうち体積の大きい液体に接していること
    を特徴とする請求項8に記載の光学素子。
  10. 【請求項10】 請求項1から9のいずれかに記載の光
    学素子を有することを特徴とする光学機器。
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