JP2003027385A - 機械パルプの製造方法 - Google Patents

機械パルプの製造方法

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JP2003027385A
JP2003027385A JP2001215353A JP2001215353A JP2003027385A JP 2003027385 A JP2003027385 A JP 2003027385A JP 2001215353 A JP2001215353 A JP 2001215353A JP 2001215353 A JP2001215353 A JP 2001215353A JP 2003027385 A JP2003027385 A JP 2003027385A
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pulp
wood
chips
refining
chelating agent
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JP2001215353A
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English (en)
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Yasuyuki Kamijo
康幸 上條
Takuya Yamashita
卓也 山下
Isao Onodera
勇雄 小野寺
Mitsuhiro Sugino
光広 杉野
Takanori Miyanishi
孝則 宮西
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Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ルンケル比4.0以上の厚い繊維壁厚を有し、
容積重450kg/m3以上の広葉樹を含む木材から嵩高、高白
色度かつ高比散乱係数をもつ機械パルプを低エネルギー
で製造する。 【解決手段】 容積重450kg/m3以上、ルンケル比4.0以
上の木材チップをまずキレート剤を含む薬液に含浸さ
せ、更にアルカリ過酸化物を含む薬液を多段回含浸させ
る操作を繰り返して充分薬液を木材チップ中に浸透させ
る。次いで一度リファイニングした後でそのまま保持し
残留薬品の反応を進行させ、洗浄、濃縮を行った後に再
度リファイニングを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は広葉樹を含む木材か
ら嵩高で強度、光学特性に優れた機械パルプを低エネル
ギーで製造する方法に関するもので、更に詳しくはルン
ケル比4.0以上の厚い繊維壁を有し、容積重450kg/m3
上の高容積重材から製造したチップにキレート剤を含浸
させ、圧縮し、搾液を除去した後、圧縮した状態で又は
圧縮解放後にキレート剤を含むアルカリ性薬液に浸漬
し、保持した後、一次リファイニング直前に更にキレー
ト剤を含むアルカリ性薬液を添加し、リファイニングを
行う機械パルプ製造法に関する。
【0002】
【発明の背景】機械パルプ製造において課題となってい
るのは、省電力と品質向上である。また、昨今、紙製品
に求められる重要な品質として嵩があげられる。近年の
環境保護気運の高まりに伴い、森林資源から製造される
製紙用パルプを有効に活用する上で紙の厚さは維持しつ
つ紙の軽量化、すなわち低密度化がユーザーから求めら
れている。また嵩高な、即ち密度の低いシートは、一般
的に光散乱能が高い。印刷用紙の場合、印刷時に発生す
るトラブルである“裏抜け”の理由には、“染み透し”
(strike through)と“透き通し” (show through)の二
つが代表的であるが、“透き通し” (show through)の
場合はシートの光散乱能が低いため、比散乱係数を上げ
る対策が施され、この場合二酸化チタンなどの高価な填
料を増配するか、比散乱係数の高いサーモメカニカルパ
ルプ(TMP)や砕木パルプ(GP)を配合することにより解決
がなされている。しかし現行のTMP、GPは針葉樹から製
造されており、高白色度が要求される紙製品を製造する
ことに問題がある。
【0003】嵩高パルプの製造方法としては、パルプに
架橋剤を反応させて嵩高化を図る手法があるが、薬品処
理を施す必要がある。また、界面活性剤の添加によりパ
ルプ表面を疎水化して密度の低いシートを製造する技術
も既に公知となっているが、このためには高価な薬品を
使用する必要があり、いずれも薬品の消費量が増加する
欠点が生じていた。
【0004】
【従来の技術】高白色度かつ、密度の低いシートを形成
する原料として、近年では針葉樹よりもリグニン含有量
が少なく、高白色度なパルプを得ることができる広葉樹
の機械パルプ化が注目されている。しかし、従来機械パ
ルプの原料として広く利用されている針葉樹と広葉樹と
では機械パルプ化の際に全く異なる挙動を示す事が知ら
れている。H. W. Giertzによると(1977 Int. Mech. Con
f. Proc., pp. 37-51)、広葉樹からTMPを製造したが得
られたパルプに含まれるファイン分の性質がパルプ強度
に影響を及ぼしていることや、容積重が高く、繊維壁厚
の厚い樹種から得られたパルプは強度が低いが、低密度
なシートを形成する結果を報告している。
【0005】消費電力の削減やパルプ強度の向上を図る
ためにはリファイニング処理を行う前にある種の化学薬
品による処理が必要であり、苛性ソーダのみを使用する
コールドソーダ法(CCS法)、亜硫酸ソーダ単独或いは苛
性ソーダと亜硫酸ソーダを併用する方法(CTMP法)、苛性
ソーダと過酸化水素を用いる方法(APMP法)が知られてい
る。しかし、CCS法はパルプのアルカリ焼けが発生して
パルプが着色する欠点がある。また、CTMP法に用いられ
ている亜硫酸ソーダは、薬液pHが中性領域の場合にアル
カリ焼けを防止する効果を発揮するが、苛性ソーダを針
葉樹よりも多量に必要とする広葉樹の場合には薬液pHが
アルカリ性であり、亜硫酸ソーダの添加効果は失われる
事がE. C. Xuによって報告されている(Appita, 52(2),
121(1999))。
【0006】苛性ソーダと過酸化水素を用いる方法(APM
P法)は公開特許公報昭57−149581中で紹介されており、
広葉樹、特にヤマナラシ(aspen)を用いてチップの状態
で過酸化水素、苛性ソーダとキレート剤であるジエチレ
ントリアミンペンタ酢酸(DTPA)を含浸させ、酸性物質で
中和後、大気圧下でリファイニング装置に通して高収
率、高強度漂白ケミメカニカルパルプを製造する方法で
ある。但し、この特許公報に述べられている方法はリフ
ァイニング装置に薬液含浸チップを通す前に塩酸、硫酸
などの酸性物質で中和して過酸化水素による漂白反応を
停止させているため、リファイニングの際に発生した熱
によりパルプの着色が起こり、白色度が低下して好まし
くない。
【0007】また、公開特許公報昭57−149581にはリフ
ァイナープレート上に珪酸スケールの発生が懸念される
ため薬液に珪酸ソーダを添加せず、キレート剤のみで金
属イオンの除去を行っている。木材チップ中に含まれる
金属イオンには、鉄イオン、マンガンイオンなどがあ
り、過酸化水素の分解反応に対して触媒作用を示すこと
が知られているが、キレート剤処理による方法では、過
酸化水素分解反応に対して抑制効果を示さないものも存
在するため、過酸化水素の漂白反応効率を向上させるに
は好ましくない。
【0008】《ルンケル比の規定》本文中のルンケル比
は、R. O. H. Runkelが1940年にWachbl. Papierfabr.誌
上で発表したパラメータであり、(ルンケル比)=(繊維
壁厚の2倍)/(繊維内腔径)で算出される。ルンケル比が
大きいほど剛直な繊維であることを示している。なお、
本文中で表記しているルンケル比はFiber Lab.(Kajaani
社)により測定された繊維幅、繊維壁厚より算出された
ものである。
【0009】《圧縮比の規定》本文中の圧縮比は、(圧
縮前のチップ体積):(圧縮後のチップの体積)で表記さ
れ、圧縮後のチップ体積を1としている。例えば、圧縮
比が4:1の場合は、チップが元の体積の4分の1まで圧縮
されたことを示している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法は、ルンケ
ル比4.0以下の薄い繊維壁厚を有する低容積重材の使用
に限定されており、嵩高効果、不透明度向上効果に限界
があった。また、従来技術で高容積重材から嵩高なパル
プを得るためには多量の薬品を使用する必要があり、
嵩、強度、光学特性の全ての物性を満足するような優れ
たパルプを低エネルギーで製造するには限界があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、容積重450k
g/m3以上、ルンケル比4.0以上の木材チップをまずキレ
ート剤を含む薬液に含浸させ、更にアルカリ過酸化物を
含む薬液を多段回含浸させる操作を繰り返して充分薬液
を木材チップ中に浸透させる。次いで一度リファイニン
グした後でそのまま保持し残留薬品の反応を進行させ、
洗浄、濃縮を行った後に再度リファイニングを行うこと
により、広葉樹を含む木材から嵩高で強度、光学特性に
優れた機械パルプを低エネルギーで製造する方法を見出
した。本発明で原料とする木材は、広葉樹又は広葉樹と
針葉樹との混合物である。この混合物の場合、ルンケル
比4.0以上を有するような割合で配合できる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい形態では、まず
木材チップを圧縮し、圧縮した状態、或いは圧縮した後
にキレート剤を含む水溶液に浸漬させ、圧を解放しチッ
プを膨張させながらキレート剤を含浸させる。この圧縮
及び含浸に用いる装置には、特に制限はないが、アンド
リッツ社(Andritz社)のインプレッサファイナー(impres
safiner)やバルメット社(Valmet社)のプレックススクリ
ュー(Prex screw)を用いて行うのが便利である。更に
チップの含浸は圧縮前に木材チップを水蒸気で前処理す
ることにより容易にすることができる。また、キレート
剤又はアルカリ過酸化物を木材チップ中に含浸させる場
合、薬液中に圧縮された木材チップを浸漬し、木材チッ
プの圧縮比を連続的に変化させれば効率良く薬液の浸透
を実施することができ、設備設置のコストを低減でき
る。
【0013】この段階では、キレート剤を木材チップ中
に含浸させることが重要である。後の工程で行われるア
ルカリ過酸化物の添加によりチップは漂白されるが、過
酸化物の反応効率を高めるためには工程中に存在する金
属イオンの除去が必要である。細谷が著した過酸化水素
漂白に関する総説(S. Hosoya, Japan Tappi J., 52(5),
595(1998).)によると、金属イオンは木材中に含まれて
おり、Fe2+、Cu2+、Co 2+、Mn2+などがあることが知られ
ている。漂白はアルカリ過酸化物が木材中のリグニンを
酸化分解することにより達成されるが、金属イオンが共
存する場合には、その触媒作用によりアルカリ過酸化物
が分解され漂白効率が低下する。この対処法としては、
特願昭57-20636に示されているようにジエチレントリア
ミンペンタ酢酸、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン
トリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレント
リアミンペンタ(メチレンホスホン)酢酸、或いはそれ
らのアルカリ金属塩を過酸化水素添加前に予め添加し、
系内に存在する金属イオンと錯体形成させてアルカリ過
酸化物の分解を防止することができる。
【0014】上記キレート剤含浸チップは、キレート剤
とチップ中の金属イオンとの反応及びチップ柔軟化のた
め十分時間保持される。これは木材チップの種類、大き
さに応じて、温度10℃〜80℃、5分以上行うことができ
る。
【0015】次いで前記キレート剤含浸チップを再び圧
縮し、アルカリ過酸化物水溶液を含浸させる。この工程
では前記キレート剤含浸チップを圧縮することにより金
属イオンや抽出物を搾り出して系外に除去し、後に添加
する漂白薬品であるアルカリ過酸化物の漂白効率を向上
させる。圧縮比は、本発明の(a)工程及び(c)工程
のいずれの場合も、好ましくは2:1以上、より好まし
くは4:1以上にすることが重要であり、圧縮比が低い
場合にはチップ中に残留する物質の影響を受けるため、
製造されたパルプの白色度は低下する。
【0016】前記アルカリ過酸化物含浸チップは、更に
チップ漂白及び柔軟化のため10℃〜80℃、約10分間〜1
時間保持される。保持温度が80℃より高温の場合或いは
保持時間が1時間以上の場合は、アルカリ過酸化物が消
費され尽くされアルカリ焼けが発生した結果、製造され
たパルプの白色度が低下する。チップの柔軟化により、
その後のリファイニング工程ではチップからパルプ繊維
の解繊がスムーズに進行し、消費エネルギーの低減や高
強度のパルプの製造が達成される。
【0017】漂白及び柔軟化がなされた前記漂白チップ
には、1次リファイニング直前にキレート剤を含むアル
カリ過酸化物が添加され、加圧もしくは大気圧リファイ
ニング装置にてパルプ繊維に解繊される。リファイニン
グは一般の解繊装置で充分であり、好ましくはシングル
ディスクリファイナー、コニカルディスクリファイナ
ー、ダブルディスクリファイナー、ツインディスクリフ
ァイナー等で解繊される。また、リファイニング工程中
の漂白チップの濃度は約20〜60%で実施するのが好まし
い。
【0018】解繊されたパルプは温度50℃以上で5分間
以上保持される。この操作により、薬液含浸工程及びリ
ファイニング工程で未反応であったアルカリ過酸化物の
漂白反応が進行し、製造されるパルプの白色度が更に向
上する。保持時間が5分間未満、或いは保持温度が50℃
未満の場合は、漂白反応が充分に進行しないため白色度
向上効果が認められない。
【0019】前記保持パルプは、次に濃度5%以下に希釈
され、洗浄を行った後、再度濃度15%以上に濃縮され
る。この工程ではパルプ中に残存している薬品及び抽出
物由来のアニオン性夾雑物(anionic trash)を除去す
る。場合によっては硫酸、塩酸、酢酸、燐酸、二酸化硫
黄などの酸性物質或いはこれらの組み合わせを用いて、
パルプのpHを約6〜約8の中性領域まで中和することも可
能である。濃縮する工程は、シックナー(ウルフ型、カ
ミヤ型、バルブレス型、ディスク型等)や、プレス(デ
ィスク型、スクリュー型、シリンダー型等)の一般的な
パルプ濃縮装置を用いて実施することができる。
【0020】前記洗浄パルプは、更に1つ以上の公知の
リファイニング工程で精砕し、所望のパルプ濾水度まで
低下させる。この工程は常圧下で行い、リファイニング
装置は一般の常圧型解繊装置を用いるのが好ましく、濃
度は約4〜60%で実施することができる。
【0021】より高い白色度が望ましい場合、1つ以上
の公知の漂白工程によりパルプを更に漂白することがで
きる。この場合には、過酸化水素、オゾン、過酢酸等の
酸化剤或いはハイドロサルファイト(亜二チオン酸ナト
リウム)、硫酸水素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウ
ム、ホルムアミジンスルフィン酸(FAS)等の還元剤を
用いることができる。
【0022】上記製造工程を経て製造されたルンケル比
4.0以上で容積重450kg/m3以上の高容積重材から製造し
たメカニカルパルプは嵩高であり、白色度も高くかつ強
度も強いことから、各種印刷用紙に配合することができ
る。その場合の印刷用紙は公知の抄紙機にて抄造される
が、その抄造条件は特に規定されるものではない。ま
た、タルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸
カルシウム等の填料の他に、一般に使用されている各種
のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性
の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サ
イズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用すること
ができる。更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡
剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等
も必要に応じて添加しても何ら問題はない。
【0023】
【実施例】以下に実施例を示すが、この実施例は本発明
の範囲を限定するものではない。
【0024】[実施例1]まず本発明に適した原料につ
いて実験室レベルで評価を行った。表1中に示した薬液
を調製後、減圧条件下で6種類の木材チップへ含浸させ
た。なお表中の薬品添加率は、チップ絶乾重量基準であ
る。50℃で30分間チップを保持した後に、濃度40%でラ
ボ用加圧リファイナー(熊谷理器工業BRP45-300SS)を用
いて1次リファイニングを行い、次いでパルプ濃度20%
でラボ用常圧リファイナー(熊谷理器工業BR-300CB)を用
い2次リファイニングを行った。2次リファイニングによ
りパルプ濾水度をカナダ標準フリーネスで100mLに調整
した。調製したパルプから手抄きシートを作成して評価
を行った。なお、性能評価は全てTappi標準規格試験法
に従って行った。
【0025】
【表1】
【0026】使用する原料がシート密度に与える影響に
ついて図1に示した。現行の技術で得られた針葉樹のラ
ジアータパインCTMPは、繊維の剛直性の指標であるルン
ケル比が2.43であり、得られたシート密度は0.40 g/m2
であった。図1から明らかなように、ルンケル比が増加
するにつれてシート密度は低下し、嵩高なシートが形成
される。ラジアータパインCTMPよりも嵩高な、すなわち
低密度なシートを得るためには、ルンケル比が4.0以上
のパルプを用いれば良いことが図1より明らかとなっ
た。
【0027】また、図2にルンケル比と原料の容積重と
の関係を示した。ルンケル比4.0以上のパルプが得られ
るのは、容積重が450 kg/m3以上の樹種から製造した場
合であることが判明した。
【0028】[比較例]本発明と従来法との比較を行っ
た。絶乾重量150kgの木材チップに、インプレッサファ
イナーGS560(アンドリッツ・アールストローム社)を用
いて、表2に示した薬液を含浸させた。なお、ここで
は、圧縮比4:1の装置を用いた。従来法であるCTMP法
の場合、薬液は亜硫酸ソーダのみを用いて1段浸透を行
い、予熱を行った後に加圧型シングルディスクリファイ
ナー(アンドリッツ・アールストローム社、モデル36-1C
P)を用いて1次リファイニングを行い、2次リファイニン
グは常圧型ダブルディスクリファイナー(アンドリッツ
・アールストローム社、モデルNo.401)を用いた。な
お、リファイニング濃度は1次、2次共約20%であった。
本発明の場合、まず1段目で木材チップにDTPAを含浸さ
せた。苛性ソーダ、珪酸ソーダ、硫酸マグネシウム、DT
PA及び過酸化水素を含む薬液を調製し、2段目の薬液含
浸時と1次リファイニング直前に木材チップに分割して
浸透させた。前記薬液含浸チップを温度約60℃で30分間
保持した後、チップ濃度20%で常圧型ダブルディスクリ
ファイナー(アンドリッツ・アールストローム社、モデ
ルNo.401)を用いて1次リファイニングを行った。得られ
たパルプはそのまま約60℃で30分間保持し、残存薬品の
漂白反応を進行させた後、パルプ濃度を約4%まで希釈
してpHを約4〜8に調整し、洗浄を行った。洗浄したパル
プは再度濃度約20%まで濃縮し、常圧型ダブルディスク
リファイナー(アンドリッツ・アールストローム社、モ
デルNo.401)を用いて2次リファイニングを行った。それ
ぞれの製造法によりカナダ標準フリーネス(CSF)100mLの
パルプを調製し、これらのパルプから手抄きシートを作
成して比較を行った。なお、性能評価は全てTappi標準
規格試験法に従って行った。
【0029】表2に実験結果を示した。従来法である亜
硫酸ソーダを用いる方法(比較例1)と本発明である実
施例1を比較すると、比較例1では本発明よりもエネルギ
ー原単位が高く、パルプ製造時に多くのエネルギーを消
費した。キレート剤処理を行った比較例2でもエネルギ
ー原単位の減少は200kWh/tと小さく、本発明よりも2000
kWh/t高い結果であった。
【0030】従来法で本発明と同等のエネルギーでパル
プを製造するには、比較例3の様に亜硫酸ソーダと苛性
ソーダを併用すれば良いことが判ったが、従来法で製造
されたパルプ品質は本発明で得られたものよりも白色度
が30ポイント以上低く、強度も比較例1と2は低い結果が
得られた。比較例3は強度面では本発明と同等である
が、白色度及び嵩が低下した。また、従来法では比散乱
係数が本発明よりも低いことが明らかとなった。
【0031】次に薬品添加率を一定として工程に関する
検討を行った。実施例1〜3、比較例4はアルカリ性過酸
化物の薬液含浸の回数を評価したものである。薬液含浸
段を増やすに従いエネルギー原単位が低下して、パルプ
製造に要するエネルギーの低減が可能になる反面、薬液
含浸が6回以上になると繊維の損傷による裂断長の低下
が起こった。従って、木材チップへのアルカリ性過酸化
物の含浸は、1〜4回で実施することが望ましい。
【0032】実施例2と比較例5は、アルカリ過酸化物の
添加量は同一であるが、添加前に木材チップにキレート
剤処理を施した効果を調査、比較したものである。比較
例5はキレート剤処理を行っておらず、得られたパルプ
の白色度が低下する結果が得られ、薬液含浸工程の前に
キレート剤処理を行うことが必要である。
【0033】
【表2】
【0034】[実施例2]更に本発明の操業条件に関し
て詳細に検討を行った。表3は表2中実施例2と操作は同
じであるが、キレート剤処理及び薬液含浸時における圧
縮比の影響を調べたものである。実施例1〜3の様に圧縮
比が4:1以上の場合は製造されたパルプの白色度が78%
以上であったが、比較例1〜2の様に圧縮比を下げた場合
には白色度が低下した。この結果から、薬液吸収前の圧
縮比が4:1未満の場合には、アルカリ性過酸化物の漂白
反応に対する阻害物質の除去が不十分であり、本製造法
では木材チップの圧縮比が重要である。
【0035】
【表3】
【0036】[実施例3]表4はキレート剤処理後の木
材チップ保持条件に関して検討を行ったものである。な
お、キレート剤処理後の滞留時間以外は、全て表2中実
施例2と同じ条件でパルプ製造を実施した。表4に示した
ように、キレート剤含浸木材チップを温度10〜80℃、5
〜60分間保持することにより、高白色度のパルプが製造
できることが明らかとなった。比較例1〜3の様に高温短
時間で保持しても白色度が低下した。
【0037】
【表4】
【0038】[実施例4]表5はアルカリ過酸化物含浸
後の木材チップ保持条件について検討を行ったものであ
る。なお、アルカリ過酸化物含浸後の滞留時間以外は、
全て表2中実施例2と同じ条件でパルプ製造を実施した。
表5に示したように、本発明ではアルカリ過酸化物含浸
後の木材チップを温度10〜80℃、10〜60分間保持するこ
とにより、高白色度のパルプが製造できる。例3の場合
と同様に、比較例1、3〜5の様に高温短時間で保持して
も白色度が低下し、比較例2の様に低温で長時間保持し
ても白色度の向上は認められなかった。
【0039】
【表5】 [実施例5]表6は1次リファイニング後に得られる解
繊パルプの保持条件に関して評価を行った結果である。
本発明では、保持温度50℃以上、5分間以上保持するこ
とで高白色度を有するパルプを製造することが可能であ
る。比較例1の様に低温で保持した場合や、比較例2の様
に高温短時間で保持しても、原料中に残留する漂白薬品
の効果が低下し、白色度の向上効果が低下した。
【0040】
【表6】
【0041】
【発明の効果】本発明により従来法と比較して、容積重
450kg/m3以上の高容積重を有する広葉樹を含む木材から
嵩高、高白色度かつ高比散乱係数をもつ機械パルプを低
エネルギーで製造する事が可能となった。本製造法は消
費エネルギーのみならず従来法よりも薬品使用量が少量
であり、排水負荷も低下することから環境問題にも大き
く寄与する。また、本製造法から製造されたパルプは多
様な品質を有する紙製品が開発可能であり、化学パルプ
の代替として高収率な機械パルプの使用促進にも寄与す
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ルンケル比がシート密度に与える影響を示し
たグラフである。
【図2】 ルンケル比と容積重との関係を示すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野寺 勇雄 東京都北区王子5丁目21番1号 日本製紙 株式会社技術研究所内 (72)発明者 杉野 光広 東京都北区王子5丁目21番1号 日本製紙 株式会社技術研究所内 (72)発明者 宮西 孝則 東京都北区王子5丁目21番1号 日本製紙 株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4L055 AA03 AB01 AB04 AB12 AB17 AC01 BA10 EA18 EA20 EA25 EA32 FA16

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 広葉樹を含む木材から嵩高かつ強度、光
    学特性に優れた機械パルプを低エネルギーで製造する方
    法において、(a)広葉樹を含む木材チップを圧縮し、
    圧縮した状態で又は圧解放後にキレート剤を含浸させる
    工程:(b)前記キレート剤を含浸させた広葉樹を含む
    木材チップを5分以上、温度10℃〜80℃で保持する工
    程:(c)前記保持させた広葉樹を含む木材チップを更
    に圧縮し、圧縮した状態で又は圧解放後にアルカリ性薬
    液を含浸させる工程:(d)前記含浸後のチップを約10
    分〜1時間、温度10℃〜80℃で保持する工程:(e)前
    記の保持させたチップに更にアルカリ過酸化物を含浸さ
    せて、加圧もしくは大気圧リファイニング装置に通して
    チップを解繊し、木材パルプを製造する工程:及び
    (f)前記の製造された木材パルプを温度50℃以上で5
    分間以上保持する工程:を含むことを特徴とする、前記
    機械パルプの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記(f)工程の後に、さらに、(g)
    前記の保持された木材パルプを濃度5%以下に希釈し、
    洗浄してから、再度15%以上に濃縮する工程:及び
    (h)前記濃縮後の木材パルプを加圧もしくは大気圧で
    リファイニングを行い、所望の濾水度を有するパルプを
    得る工程:を有する請求項1記載の機械パルプの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記広葉樹を含むチップがルンケル比4.
    0以上の細胞壁厚を有し、容積重450 kg/m3以上の高容積
    重材である請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 請求項1の(a)工程において、約0.05
    〜0.4%のキレート剤を使用する請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 請求項1の(c)工程において、アルカ
    リ性薬剤は、絶乾チップ重量に対して約0.2〜2.0%の水
    酸化ナトリウム、約0.2〜2.0%の珪酸ナトリウム、約0.0
    1〜0.2%の硫酸マグネシウム、約0.05〜0.4%のキレート
    剤及び約0.2〜5%の過酸化水素を含有する水溶液である
    請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 請求項1の、(d)工程と(e)工程の
    間に、(c)工程、(d)工程を繰り返し1回〜4回行
    う請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 請求項1の、(e)工程及び(g)工程
    において、濃度、10〜50%でリファイニングを行う請求
    項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 請求項1の、(e)工程及び(g)工程
    において、リファイニング装置としてディスクリファイ
    ナーを使用する請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 得られたパルプが、酸化剤或いは還元剤
    を用いた一つ以上の漂白工程に付される、請求項1記載
    の方法。
  10. 【請求項10】 前記(a)工程における木材チップを
    圧縮は、圧縮比少なくとも2:1で行う請求項1記載の
    方法。
  11. 【請求項11】 前記(c)工程における木材チップを
    圧縮は、圧縮比少なくとも2:1で行う請求項1記載の
    方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11の製造方法で製造され
    たパルプを使用して製造した紙製品。
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