JP2003027204A - 炉内ロール用の溶射粉末および炉内ロール - Google Patents

炉内ロール用の溶射粉末および炉内ロール

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JP2003027204A JP2001217460A JP2001217460A JP2003027204A JP 2003027204 A JP2003027204 A JP 2003027204A JP 2001217460 A JP2001217460 A JP 2001217460A JP 2001217460 A JP2001217460 A JP 2001217460A JP 2003027204 A JP2003027204 A JP 2003027204A
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Satoru Midorikawa
悟 緑川
Shoichi Kato
彰一 加藤
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、鋼板の連続焼鈍炉等の還元性雰囲
気熱処理炉において、熱処理材を炉内にて搬送するため
の炉内ロールのロール表面に溶射して被膜を形成するた
めの溶射粉末とその被膜を形成した炉内ロールに関す
る。 【解決手段】 合金粉末は、Alが3〜8mass%、残部
がCoとNiから選ばれた1種以上の金属からなり、溶
射粉末全量に対して40〜80mass%であり、セラミック粉
末は、溶射粉末全量に対して各々10〜30mass%のY2
3 とCr3 2 からなる溶射粉末をロール表面に溶射し
て皮膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼帯の連続焼鈍炉
等の還元性雰囲気熱処理炉において、熱処理材を炉内に
て搬送するための炉内ロールに適用され、耐Mnビルド
アップ性に優れ、かつ、高温耐磨耗性にも優れた溶射被
覆用の溶射粉末とその溶射被覆用の溶射粉末を表面に溶
射した炉内ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、鋼帯を連続焼鈍する場合、700
〜1000℃のH2 −N2 雰囲気等の還元性の雰囲気中に通
板させるが、この鋼帯を支持するために多くの耐熱ロー
ルを炉内に配設して炉内ロールとして使用している。し
かし、長時間の連続使用により、これらの炉内ロールの
表面には、鋼帯において表面濃化して形成された付着酸
化物であるMn、Si、Al等の酸化物またはスケール
等が凝着堆積して、いわゆるビルドアップが形成され
る。
【0003】また、熱処理炉入側の前処理工程での洗浄
が不十分であると、Fe酸化物等が炉内に持ち込まれ、
ビルドアップ発生原因のひとつとなる。このようなビル
ドアップが発生すると、鋼帯表面に押し疵が発生し、鋼
帯表面の品質不良となるため、直ちに操業を中止してダ
ミーの通板材を通板し炉内ロール表面の清浄化をはかる
か、又は、ひどい場合には炉開放して炉内ロール表面の
研削等の手入れまたは炉内ロールの交換を行う必要があ
る。
【0004】このため、炉内ロール表面のビルドアップ
防止のため、ロール表面に溶射皮膜を形成する発明が提
案されており、すでに実用にも供されているものもある
が、完全にビルドアップを防止できるまでには至ってい
ない。図1に示すように、炉内ロール2のロール表面に
は、ビルドアップ3が金属帯1の通過部に沿って円周方
向に並列に形成される。
【0005】このビルドアップは、図2に示すような断
面形状をしている。図2では、ビルドアップ3が炉内ロ
ール2のロール表面、つまりロール基材2b上に形成され
た溶射皮膜2a上に形成される様子を示している。以下
に、すでに開示されている溶射皮膜関連の発明について
列記する。 (1) 特開平2-270955号公報 5〜20wt%Cr2 3 −Al2 3 とCoNiCrAl
Yからなるサーメット溶射材料をロール表面に溶射す
る。 (2) 特開昭61-124534 号公報 92ZrO2 −8Y2 3 のセラミック粉末をロール表面
に溶射する。 (3) 特開昭63-199857 号公報 51〜95 vol%Al2 3 とMCrAlY(MはFe、N
iまたはCo)からなる溶射粉末材料をロール表面に溶
射する。 (4) 特開平3-226552号公報 5〜50 vol%ホウ化物とMCrAlY(MはFe、Ni
またはCo)のメカニカルアロイ複合粉末。 (5) 特開平8-67960 号公報 5〜90wt%のMgAl2 4 またはY2 3 またはMg
Oの内、2種類までの粉末にMCrAlY(MはFe、
NiまたはCo)を混合した溶射粉末。 (6) 特開平7-11420 号公報 CrB2 、ZrB2 、WB、TiB2 等ホウ化物の少な
くとも1種類以上を1〜60体積%(実質25体積%以上)
含むと共に、Cr3 2 、TaC、WC、ZrC、Ti
C、NbC等炭化物の少なくとも1種類以上を5〜50体
積%(実質15体積%以上)含み、残部が実質的にメタル
(例えば、MCrAlY)からなるサーメット皮膜。
【0006】なお、MCrAlYとは、通常、F、N
i、Coの少なくともいずれか1種類を基として、C
r、Al、Yを適量添加した耐熱合金を指す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これらの(1) 〜(6) の
発明は、鋼帯の中でも通常の一般材処理においては、ビ
ルドアップ軽減効果も少なからず認められ、その処理の
過程に高強度鋼材(ハイテン鋼材ともいう。冷延鋼板で
は通常340MPa以上の、熱延鋼板では通常440MPa以上の引
っ張り強度を有するものを指す。)処理が少量混在して
いても処理量が少なければ問題となることはなかった。
【0008】しかしながら、長時間の使用では、炉内ロ
ール表面の皮膜に微小剥離等が発生し、皮膜の耐久性に
大きな問題があった。特に、近年のハイテン鋼材の増加
に伴い、以上の対策ではビルドアップに対して有効であ
るとは言えなくなってきている。すなわち、ハイテン鋼
材は、鋼中に一般鋼材より多量のMn、Si等を含み、
しかもこれらの元素は熱処理中に鋼材の表面に濃化する
ため、鋼帯表面に形成されるMn酸化物等が多い。この
ため、ハイテン鋼材を多量に熱処理する場合には、炉内
ロールに対し、より強固な耐ビルドアップ性と長時間使
用可能な耐久性が要求される。
【0009】本発明は、上記の課題を解決し、還元性雰
囲気の熱処理炉においても耐ビルドアップ性に優れ、か
つ、長時間にわたって高い耐久性を維持することが可能
な溶射被覆用の溶射粉末と、その溶射粉末を適用した炉
内ロールを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、合金粉末およ
びセラミック粉末を混合してなる、ロール表面に溶射し
て皮膜を形成する炉内ロール用の溶射粉末であって、前
記合金粉末は、合金粉末全量に対してAlが3〜8mass
%、残部がCoとNiから選ばれた1種以上からなる合
金粉末であって、溶射粉末全量に対して40〜80mass%で
あり、前記セラミック粉末は、溶射粉末全量に対して各
々10〜30mass%のY2 3 とCr3 2からなることを
特徴とする溶射粉末によって上記課題を解決したのであ
る。
【0011】また、本発明は、還元性雰囲気熱処理炉用
の炉内ロールであって、上記に記載の溶射粉末をロール
表面に溶射して、30〜150 μm厚さの溶射皮膜を形成し
たことを特徴とする炉内ロールによって上記課題を解決
したのである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは、ハイテン鋼材の熱
処理においても充分な耐ビルドアップ性を長期間安定し
て得るべく検討した結果、溶射粉末中の、まず粉末合金
として、従来一般的に用いられているMCrAlYでは
なく、Alを3〜8mass%とし、残部をNiおよび/ま
たはCoとした粉末合金(Ni−Al、Co−Al、ま
たは、Ni−Co−Alの合金)に限定して適用するこ
とが有効であることを見出した。なお、Niの方がコス
ト的には優れるが、溶射皮膜の密着性の観点からは、C
oもしくはCoを富として適用することが多少有利であ
る。
【0013】従来、Alは表面に保護皮膜(酸化Al皮
膜)を形成させるため、従来のMCrAlYでは、10ma
ss%程度含有させることが耐ビルドアップ性および耐酸
化性向上に有効と考えられていた。しかし、Mnを含有
する鋼を熱処理すると、酸化Al皮膜と鋼帯表面のMn
もしくはMn酸化物とが反応して却ってビルドアップを
進行させる場合があることがわかった。すなわち、ハイ
テン鋼材を熱処理(通板)すると、 MnO+Al2 3 → MnAl2 4 の反応がロール表面で起きやすくなるのである。
【0014】更に、合金粉末中に、Crを含有させる
と、長期間の使用時には、AlについでCrがMn酸化
物と激しく反応してビルドアップを更に進行させ、皮膜
内部まで反応が進行するという知見を得た。すなわち、
ハイテン鋼材を熱処理すると、 MnO+Cr2 3 → MnCr2 4 の反応がロール表面から皮膜内部に進行する形で起こっ
てくるのである。
【0015】一方、 従来耐酸化性の観点からCrを合金
粉末中に添加していたが、 鋼帯の連続焼鈍のように、還
元性雰囲気熱処理炉用の炉内ロール等に用いる場合には
合金粉末中にCrを添加しなくても問題が無いことを新
たに知見した。そこで、本発明においては、溶射粉末中
の粉末合金組成からCrを除外することとした。
【0016】溶射粉末中の合金粉末にAlが8mass%を
超えて含有されていると、表面の酸化Al皮膜が過剰と
なり、Mn酸化物等を主体とするビルドアップの防止に
は逆効果となる。一方、Alが3mass%を下回ると、保
護皮膜が不十分となり、とくに耐酸化性が確保できなく
なる。また、耐熱合金の主要元素であるCoおよび/ま
たはNiとの合金化によって実現される高温強度が十分
に得られなくなり、Coおよび/またはNiの酸化によ
る溶射皮膜の早期剥離の原因となる。
【0017】したがって、合金粉末中のAl含有量を、
3〜8mass%と限定した。また、還元雰囲気中では、極
端なスケールの成長は認められないため、耐酸化性の向
上、 すなわち、スケールを成長させないというYの効果
は、以下に述べるセラミック粉末中に含有させるY2
3 で代用した。こうすることで、高価な金属であるYを
単体で使用せずに済み、安価なY2 3 とすることで溶
射粉末の単価を低減させるという効果も得られる。
【0018】次に、溶射粉末中のセラミック粉末の組成
について説明する。セラミック粉末中のY2 3 は、上
記の効果に加えて、溶射粉末全量に対し10〜30mass%と
して添加することで、耐ビルドアップ性がさらに改善さ
れる。これは、希土類酸化物にAlの外方拡散を抑制
し、保護皮膜へのAl2 3 形成を低減する効果がある
ためと考えられる。10mass%未満ではその効果が薄く、
また、30mass%を超えると皮膜がもろくなり、靭性が低
下することから溶射粉末全量に対し10〜30mass%と限定
した。
【0019】また、セラミック粉末にCr3 2 を溶射
粉末全量に対し10〜30mass%含有させると、高い高温硬
度が得られ、高温での耐磨耗性を大幅に改善することが
できる。10mass%未満ではその効果が薄く、また、30ma
ss%を超えるとCr3 2 の変態による体積膨張に起因
して応力が大きくなり、皮膜剥離の危険性が高くなるた
め、溶射粉末全量に対し10〜30mass%と限定した。
【0020】なお、上記セラミック粉末以外の溶射粉末
の主成分は前記合金粉末であり、 合金粉末は溶射粉末全
量に対して40〜80mass%となる。また、溶射粉末の主成
分は上記の通りであるが、粉末合金、セラミック粉末と
もに少量の不純物が混入しても本願発明の効果に問題は
ない。不純物としては、SiO2 、CaO、MgO等を
挙げることができるが、最大でも溶射粉末全量に対し0.
1 mass%を超えることはない。
【0021】本発明の溶射粉末は、上記の合金粉末とセ
ラミック粉末をミキシング法によって混合して生成する
ことを好適とし、その粉末粒径を10〜100 μmとするこ
とを好適とする。上記の溶射粉末を耐熱鋳鋼等を素材と
したロールに溶射して皮膜を形成することにより、ハイ
テン鋼材を熱処理する場合においても長時間安定して耐
ビルドアップ性に優れ、耐久性も充分である熱処理用ロ
ールを得ることができる。ここで、溶射皮膜が30μmよ
り薄いと、充分な耐久寿命が得られず、他方、150 μm
より厚いと、熱疲労による剥離を生じ易くなるので、溶
射皮膜厚みは30〜150 μmとすることが好ましい。
【0022】ロールへの溶射法は、爆発式溶射法(Expl
osive Spray Process 、装置商品名Detonation Gun、以
下D−GUNと称す)、高速ガス燃焼溶射法(High Vel
ocity Oxygen Fuel Flame Splay Process 、以下HVO
Fと称す、装置商品名JET−KOTE、D−JET、
JP−5000等)やガスプラズマ溶射法などがある
が、いずれの方法でも良い。
【0023】
【実施例】本発明の溶射粉末の検証を実施するため、以
下の実験を実施した。実験に用いたテストピースの形状
を図3に示す。テストピースとしては、まず、縦横25mm
で厚さ10mmのSUS304基材4を用意し、そのSUS
304基材それぞれに各種の溶射粉末を爆発式溶射法
(D−GUN法)で溶射し、100 μm厚さの溶射皮膜5
を形成した。ここで、溶射皮膜5の表面は、研削仕上げ
を行っている。
【0024】そして、図3に示すように2枚のSUS3
04基材4の溶射皮膜5側の面をハイテン(C:0.07ma
ss%、Si:0.04mass%、Mn:2.0 mass%、P:0.01
mass%、S:0.005mass %、Al:0.04mass%)鋼板6
で挟み込んで、一つのテストピースとした。このように
して準備したテストピースを露点−10℃以下、 5%H2
- 95%N2雰囲気の還元性雰囲気の実験炉に900 ℃で最
長240 時間入れて、焼結テストを実施した。途中、60時
間ごとに常温まで冷却し、テストピースを採取し、ハイ
テン鋼板を取り外し、溶射面のEDX(エネルギ分散型
X線分析機)による表面定量測定を実施した。
【0025】また、同時に、縦横50mmで厚さ10mmのSU
S304基材に100 μm厚さの溶射皮膜をD−GUN法
で形成し、表面を研削仕上げした試験片をそれぞれ用意
し、実験炉内で1000℃まで加熱し、30秒間保持後取り出
して、水冷を行う加熱剥離テストを実施した。表1に、
テストピースNo.1〜26について、それぞれの溶射粉末
の組成と、上記実験の結果を示す。また、表2にテスト
ピースNo.27〜36の結果を示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】ここで、表のMnビルドアップはEDXに
よる表面定量によって得られた結果である。また、高温
硬度は、 JIS Z2252により、高温顕微鏡硬度計を用
いてビッカース硬さを測定した結果である。なお、この
時の測定条件は、 使用圧子をビッカースダイヤモンド圧
子とし、雰囲気を高真空(×10-4〜10-5Torr)とし、測
定荷重を50grとした。得られた高温硬度は、 400℃で50
0 HV以上、 800℃で150 HV以上の場合を○とし、 4
00℃で350 HV以上、 800℃で100 HV以上を△、それ
よりも低い場合を×とした。
【0029】剥離回数は、上記の加熱剥離テストの結果
を示しており、加熱・冷却を1回(1サイクル)とし
て、皮膜が剥離するまでの回数をカウントしたものであ
る。判定は、 Mnビルドアップが 240hで6.0 以下であ
り、 高温硬度が○、かつ、剥離回数が30回を超えるもの
を○とし、剥離回数が30回に満たないか、あるいは、240
hで20以上の場合は×として、それ以外を△とした。
【0030】表1から、本発明例がMnビルドアップも
極微小であり、高温硬度が高く、剥離回数も30回を超
え、 十分大きいことが分かり、耐ビルドアップ性、耐久
性に優れた皮膜が形成されていることが確認できた。ま
た、表2に、合金粉末にCoを含む場合についても示し
ている。合金粉末としてCoを含む本発明例であるNo.2
7 、28、29およびCoを含まない本発明例であるNo.30
について剥離回数をさらに詳細に調査したところ、Co
を含むNo.27、28、29は各々剥離回数が31〜40回、41〜5
0回、50回超えとなり、一方、Coを含まないNo.30 は3
1〜40回であった。合金粉末残部がCoであり、また
は、Coを富として含む場合は、 Coが基材側へ拡散し
て密着力が向上するため、 耐剥離性が著しく向上するこ
とが判り、 さらに、Mnビルドアップも少なく、 耐ビル
ドアップ性に優れた皮膜が形成されることが確認でき
た。
【0031】なお、表2のNo.33 〜36に示すように、C
rが粉末合金中に存在する場合、時間の経過とともにM
nビルドアップが急激に増大することも確認した。本実
験では、テストピースへの溶射法としてD−GUN法を
用いたが、これに限るものではなく、HVOFのJP−
5000やD−JET、JET−KOTE等であっても
良い。
【0032】次に、本発明の溶射粉末(5mass%のAl
と95mass%Niからなる、溶射粉末全量に対し70mass%
の合金粉末と、溶射粉末全量に対して各15mass%のCr
3 2 とY2 3 からなるセラミック粉末をミキシング
した溶射粉末)を連続焼鈍ラインの炉内ロール(800 mm
φ、2200mm長)のロール表面にD−GUN法を用いて溶
射し、本発明の炉内ロールを試作して、実機評価を行っ
た。溶射皮膜の厚さは、70μmとした。
【0033】比較のために、従来の溶射被覆用粉末とし
て、MCrAlY(MはFe、NiまたはCo)+Al
2 3 の溶射粉末を本発明例と同様なD−GUN法を用
いて溶射した従来の炉内ロールを用意した。そして、ラ
イン速度:最大500mpm、炉温:最大950 ℃、炉内雰囲
気:3〜12%H2 - 残部N2 雰囲気、露点−10℃以下の
還元性雰囲気の連続焼鈍ラインに本発明の炉内ロール
と、従来の炉内ロールを適用した。本ラインは、ハイテ
ン鋼処理を10万km/月以上行ういわゆるシートCALで
ある。
【0034】その結果、従来の炉内ロールでは、3ヶ月
でMnO起因のビルドアップが発生し、18ヶ月経過では
微小剥離も発生したため、ロール交換を余儀なくされた
が、本発明の炉内ロールでは、30ヶ月経過後もMnO起
因のビルドアップは全く発生せず、皮膜の微小剥離も認
められなかった。
【0035】
【発明の効果】本発明によって、特にハイテン鋼処理に
おいて、耐ビルドアップ性を長時間安定して維持するこ
とが可能となり、高い高温硬度が得られ、耐磨耗性に優
れた連続焼鈍炉用の炉内ロールの提供が可能となった。
また、本発明によって、ハイテン鋼処理ラインでのロー
ル手入れ、ロール替えに伴う操業ロスを解消することが
でき、ラインの停止時間の短縮と、ロール手入れ等に要
する費用の削減を実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビルドアップが発生した炉内ロールの正面図で
ある。
【図2】表面にビルドアップの発生した炉内ロールの部
分断面図である。
【図3】本発明の確認用テストピースの断面図である。
【符号の説明】
1 鋼帯(板) 2 (焼鈍炉)炉内ロール 2a 溶射皮膜 2b ロール基材(芯金) 3 ビルドアップ 4 SUS基材(テストピース) 5 (テストピースの)溶射皮膜 6 ハイテン鋼板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 緑川 悟 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 加藤 彰一 埼玉県北本市下石戸上1944ー3 プラクス エア工学株式会社内 Fターム(参考) 4K031 AA02 AA04 AB02 AB08 CB10 CB11 CB14 CB21 CB26 CB42 CB45 DA01 4K043 AA01 DA05 EA04 GA09

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合金粉末およびセラミック粉末を混合し
    てなる、ロール表面に溶射して皮膜を形成する炉内ロー
    ル用の溶射粉末であって、前記合金粉末は、合金粉末全
    量に対してAlが3〜8mass%、残部がCoとNiから
    選ばれた1種以上からなる合金粉末であって、溶射粉末
    全量に対して40〜80mass%であり、前記セラミック粉末
    は、溶射粉末全量に対して各々10〜30mass%のY2 3
    とCr3 2 からなることを特徴とする溶射粉末。
  2. 【請求項2】 還元性雰囲気熱処理炉用の炉内ロールで
    あって、請求項1に記載の溶射粉末をロール表面に溶射
    して、30〜150 μm厚さの溶射皮膜を形成したことを特
    徴とする炉内ロール。
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