JP2003026921A - ハイブリッド化合物及び抗菌性コーティング剤 - Google Patents

ハイブリッド化合物及び抗菌性コーティング剤

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JP2003026921A
JP2003026921A JP2001211109A JP2001211109A JP2003026921A JP 2003026921 A JP2003026921 A JP 2003026921A JP 2001211109 A JP2001211109 A JP 2001211109A JP 2001211109 A JP2001211109 A JP 2001211109A JP 2003026921 A JP2003026921 A JP 2003026921A
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metal
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JP2001211109A
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English (en)
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Yasuhiro Kimura
泰弘 木村
Masayuki Nogami
正行 野上
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GENGEN KAGAKU KOGYO KK
Original Assignee
GENGEN KAGAKU KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光や熱に安定で,抗菌性を有するハイブリッ
ド化合物とその製造方法を提供すると共に,優れた抗菌
性を長期間維持し,環境汚染のない抗菌性コーティング
剤を提供すること。 【解決手段】 ケイ素(Si),チタン(Ti),又は
アルミニウム(Al)を主成分とする金属酸化物オリゴ
マー/ポリマー1と,ポリフェノール化合物系抗菌性成
分2とが,金属イオン3を介して結合していることを特
徴とするハイブリッド化合物4と該ハイブリッド化合物
4を有効成分とする抗菌性コーティング剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,抗菌性を示す有機物と無機物の
ハイブリッド化合物とその製造方法に関し,また,上記
ハイブリッド化合物を有効成分とする抗菌性コーティン
グ剤に関する。
【0002】
【従来技術】従来より様々な製品に抗菌性を付与する手
段として,金属や有機合成化合物等を含有する抗菌剤が
広く利用されてきた。しかし,抗菌剤として鉛等の金属
を含有する抗菌性製品は,廃棄物から生態系に悪影響を
及ぼすおそれがあった。また,抗菌剤として有機合成化
合物を含有する抗菌性製品は,人体に有害のものがあっ
た。抗菌性製品の需要が生活用品にまで広がる中で,よ
り安全性が高く,環境にも悪影響を及ぼさない抗菌剤が
望まれるようになった。
【0003】最近,ポリフェノール化合物に属するタン
ニン,カテキン等の植物抽出成分が,抗菌性等の機能を
有する天然成分として注目を集めている。例えば,渋柿
より抽出される縮合型タンニンは,優れた抗菌性を有す
るため,抗菌性塗料として古くから利用されていた。そ
して,タンニン等の抗菌性を有する塗料として,特開平
10−298459に,茶カテキン,茶タンニン,茶サ
ポニン等の茶の抗菌性成分を含有する塗料が開示されて
いる。
【0004】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記タンニ
ン,カテキン等のポリフェノール化合物系抗菌性成分
は,光や熱に対して非常に不安定である。そのため,上
記ポリフェノール化合物系抗菌性成分を含有した塗料
は,抗菌性等の性質を長時間持続することができないと
いう問題があった。
【0005】本発明はかかる従来の問題点に鑑み,光や
熱に安定で,抗菌性を有するハイブリッド化合物とその
製造方法を提供すると共に,優れた抗菌性を長期間維持
し,環境汚染のない抗菌性コーティング剤を提供する。
【0006】
【課題の解決手段】第1の発明は,ケイ素(Si),チ
タン(Ti),又はアルミニウム(Al)を主成分とす
る金属酸化物オリゴマー/ポリマーと,ポリフェノール
化合物系抗菌性成分とが,金属イオンを介して結合して
いることを特徴とするハイブリッド化合物である(請求
項1)。
【0007】次に,本発明の作用効果につき説明する。
上記ハイブリッド化合物は,優れた抗菌性を有するポリ
フェノール化合物系抗菌性成分と,熱や光に対して強い
安定性を有する金属酸化物オリゴマー/ポリマーとが,
上記金属イオンを介して結合している。
【0008】そのため,上記ハイブリッド化合物は,ポ
リフェノール化合物系抗菌性成分が有する優れた抗菌性
と,金属酸化物オリゴマー/ポリマーが有する熱や光に
対して強い安定性の両性質を兼ね備えることができる。
また,上記金属酸化物オリゴマー/ポリマーとは,金属
酸化物オリゴマー又は金属酸化物ポリマーを表す。
【0009】したがって,第1の発明によれば,光や熱
に安定で,抗菌性を有するハイブリッド化合物を提供す
ることができる。
【0010】第2の発明は,分子内に少なくとも2つ以
上の,同一の又は異なるアルコキシル基を有する金属ア
ルコキシドを,触媒により加水分解縮合させて金属酸化
物オリゴマー/ポリマーを形成させる金属酸化物オリゴ
マー/ポリマー形成過程と,上記金属酸化物オリゴマー
/ポリマーと,ポリフェノール化合物系抗菌性成分と
を,金属イオンを介して結合させるハイブリッド形成過
程とを有することを特徴するハイブリッド化合物の製造
方法である(請求項7)。
【0011】次に,本発明における作用効果につき説明
する。上記金属酸化物オリゴマー/ポリマー形成過程に
おいて,上記金属アルコキシドは,分子内に少なくとも
2つ以上のアルコキシル基を有する。そのため,上記金
属アルコキシド分子は,触媒により分子間で相互に加水
分解縮合反応を起こし,オリゴマー又はポリマーを形成
する。
【0012】例えば,上記金属アルコキシドが,分子内
に2つのアルコキシル基を有する場合には,1分子の金
属アルコキシドに対して2分子の金属アルコキシドが直
鎖状に連なった形のオリゴマー又はポリマーを生じる。
また,上記金属アルコキシドが,分子内に3つ以上のア
ルコキシル基を有する場合には,1分子の金属アルコキ
シドに対してそれぞれ3分子以上の金属アルコキシドが
立体的に連なった形のオリゴマー又はポリマーを生じ
る。
【0013】次に,上記ハイブリッド形成過程において
は,上記金属酸化物オリゴマー/ポリマーと,上記ポリ
フェノール化合物系抗菌性成分とが,上記金属酸化物オ
リゴマー/ポリマーに含まれる酸素原子と,上記ポリフ
ェノール化合物系抗菌性成分に含まれるフェノール性水
酸基において,金属イオンを介して結合する。
【0014】ここで生じる上記金属酸化物オリゴマー/
ポリマーと上記ポリフェノール化合物系抗菌性成分のハ
イブリッド化合物は,金属酸化物オリゴマー/ポリマー
が有する熱や光に対する強い安定性とポリフェノール化
合物系抗菌性成分が有する優れた抗菌性の両性質を兼ね
備えることができる。
【0015】したがって,第2の発明によれば,光や熱
に安定で,抗菌性を有するハイブリッド化合物の製造方
法を提供することができる。
【0016】第3の発明は,ケイ素(Si),チタン
(Ti),アルミニウム(Al)を主成分とする金属酸
化物オリゴマー/ポリマーと,ポリフェノール化合物系
抗菌性成分とが,金属イオンを介して結合していること
を特徴とするハイブリッド化合物を有効成分とする抗菌
性コーティング剤である(請求項11)。
【0017】次に,本発明の作用効果につき説明する。
第3の発明は,第1の発明のハイブリッド化合物を有効
成分とする抗菌性コーティング剤である。上記ハイブリ
ッド化合物は,優れた抗菌性と,熱や光に対する強い安
定性を有する。そのため,上記抗菌性コーティング剤の
抗菌性は,熱や光に対しても安定であり,抗菌性を長時
間維持することができる。
【0018】また,上記ハイブリッド化合物は,主とし
て植物中に多く含まれるポリフェノール化合物系抗菌性
成分と,土壌,岩石の主成分であるケイ素,チタン,又
はアルミニウム等の金属酸化物等を主成分とする金属酸
化物オリゴマー/ポリマーから成っている。即ち,上記
抗菌性コーティング剤は,植物,土壌,岩石,地殻,海
水中等に,安定して存在する化合物を主成分としてお
り,環境に悪影響を与えることがない。
【0019】したがって,第3の発明によれば,優れた
抗菌性を長期間維持し,環境汚染のない抗菌性コーティ
ング剤を提供することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】上記第1の発明において,金属酸
化物オリゴマー/ポリマーとしては,ケイ素酸化物オリ
ゴマー/ポリマー,チタン酸化物オリゴマー/ポリマ
ー,アルミニウム酸化物オリゴマー/ポリマー等があ
る。
【0021】また,上記ポリフェノール化合物系抗菌性
成分としては,抗菌性を有するポリフェノール化合物で
あればどのようなものでも利用できる。上記ポリフェノ
ール化合物系抗菌性成分は,有機合成により作製するこ
とも可能であるが,例えば,タンニン,カテキン等とし
て植物中に大量に存在しているため,これら天然のもの
を利用することが好ましい。
【0022】次に,第1の発明における好ましい形態に
つき説明する。上記ポリフェノール化合物系抗菌性成分
は,縮合型タンニンであることが好ましい(請求項
2)。上記縮合型タンニンは,上記ポリフェノール化合
物系抗菌性成分の中でも特に優れた抗菌性を有すること
が知られているため,この場合には,上記ハイブリッド
化合物に優れた抗菌性を付与させることができる。
【0023】次に,上記金属酸化物オリゴマー/ポリマ
ーは,飽和又は不飽和の炭素数1〜12のアルキル基,
又は芳香族置換基を含んでいることが好ましい(請求項
3)。上記のようなアルキル基及び芳香属置換基として
は,メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピ
ル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル
基,tert−ブチル基,n−ペンチル基,イソペンチ
ル基,sec−ペンチル基,ネオペンチル基,n−ヘキ
シル基,イソヘキシル基,sec−ヘキシル基,n−ヘ
プチル基,イソヘプチル基,sec−ヘプチル基,n−
オクチル基,イソオクチル基,sec−オクチル基,ビ
ニル基,アリル基,1−プロペニル基,イソプロペニル
基,1−ブテニル基,2−ブテニル基,3−ブテニル
基,1,3−ブタジエニル基,1−ペンテニル基,2−
ペンテニル基,3−ペンテニル基,4−ペンテニル基,
ヘキシニル基,ヘキサジニル基,ヘプチニル基,ヘプタ
ジニル基,オクチニル基,オクタジニル基,エチニル
基,2−プロピニル基,シクロプロピル基,シクロペン
チル基,シクロヘキシル基,シクロヘプチル基,フェニ
ル基等がある。この場合には,上記ハイブリッド化合物
に,アルキル基又は芳香属置換基に由来する疎水的性質
を付与することができる。
【0024】次に,上記ハイブリッド化合物は,液状体
であることが好ましい(請求項4)。この場合には,上
記ハイブリッド化合物を,例えば抗菌性を有する木材保
護剤等としてそのまま使用することができる。
【0025】次に,上記ハイブリッド化合物は,粉末状
体であることが好ましい(請求項5)。この場合には,
上記ハイブリッド化合物を抗菌剤として,例えば塗料等
に添加して用いることができる。
【0026】次に,上記金属イオンは,チタン(T
i),アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg),
カルシウム(Ca),バリウム(Ba),ストロンチウ
ム(Sr),ジルコニウム(Zr),鉄(Fe),銅
(Cu),銀(Ag),亜鉛(Zn),鉛(Pb),ニ
ッケル(Ni),コバルト(Co),バナジウム
(V),リチウム(Li),ナトリウム(Na),カリ
ウム(K)の各イオンから選ばれる少なくとも一つ以上
であることが好ましい(請求項6)。
【0027】特に好ましくは,チタン(Ti),アルミ
ニウム(Al),マグネシウム(Mg),カルシウム
(Ca),バリウム(Ba),ストロンチウム(S
r),ジルコニウム(Zr),鉄(Fe),銅(Cu)
である。これらは,土壌,岩石,地殻,海水中に安定し
て含まれる成分である。そのため,この場合には,上記
ハイブリッド化合物は環境や生態系に悪影響を及ぼすこ
とがなく,高い安全性を有することができる。
【0028】また,銅(Cu),銀(Ag),亜鉛(Z
n)の各イオンは,それ自体が抗菌性を有する。そのた
め,これらのイオンを上記金属イオンとして用いた場合
には,上記ハイブリッド化合物は,上記金属イオンとポ
リフェノール化合物系抗菌性成分の両方から抗菌性を得
ることができる。
【0029】次に,第2の発明において,上記金属アル
コキシドとしては,ケイ素アルコキシド,チタンアルコ
キシド,アルミニウムアルコキシドがある。上記金属ア
ルコキシドが,ケイ素アルコキシド,チタンアルコキシ
ドの場合には,上記金属アルコキシドは次の一般式
(1)で表される。
【0030】
【化1】
【0031】(式中Mはケイ素又はチタンを表し,R1
及びR2は互いに同一又は異なってもよく,直鎖もしく
は分岐鎖を有してもよい炭素数1〜12のアルコキシル
基を表し,R3及びR4は互いに同一又は異なってもよ
く,直鎖もしくは分岐鎖を有してもよい炭素数1〜12
のアルコキシル基,又は直鎖もしくは分岐鎖を有しても
よい炭素数1〜12のアルキル基,又は芳香族置換基を
表し,また,上記アルコキシル基及びアルキル基は炭素
原子間の二重結合や三重結合を含んでいてもよい。)
【0032】また,上記金属アルコキシドが,アルミニ
ウムアルコキシドの場合には,上記金属アルコキシド
は,次の一般式(2)で表される。
【0033】
【化2】
【0034】(式中R1及びR2は互いに同一又は異な
ってもよく,直鎖もしくは分岐鎖を有してもよい炭素数
1〜12のアルコキシル基を表し,R3は直鎖もしくは
分岐鎖を有してもよい炭素数1〜12のアルコキシル
基,又は直鎖もしくは分岐鎖を有してもよい炭素数1〜
12のアルキル基,又は芳香族置換基を表し,また,上
記アルコキシル基及びアルキル基は炭素原子間の二重結
合や三重結合を含んでいてもよい。)
【0035】このような金属アルコキシドとしては,例
えば,テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,
テトラプロポキシシラン,テトラブトキシシラン,テト
ラペントキシシラン,テトラヘキソキシシラン,テトラ
ヘプトキシシラン,テトラオクトキシシラン,テトラノ
ノキシシラン,テトラデコキシシラン,メチルトリメト
キシシラン,メチルトリエトキシシラン,メチルトリプ
ロポキシシラン,メチルトリブトキシシラン,ジメチル
ジメトキシシラン,ジメチルジエトキシシラン,ジメチ
ルジプロポキシシラン,ジメチルジブトキシシラン,エ
チルトリメトキシシラン,エチルトリエトキシシラン,
エチルトリプロポキシシラン,プロピルトリメトキシシ
ラン,プロピルトリエトキシシラン,ブチルトリメトキ
シシラン,ブチルトリエトキシシラン,イソプロピルト
リメトキシシラン,イソプロピルトリエトキシシラン,
ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラ
ン,フェニルトリメトキシシラン,ジフェニルジメトキ
シシラン,フェニルトリエトキシシラン,ジフェニルジ
エトキシシラン,フェニルトリプロポキシシラン,ジフ
ェニルジプロポキシシラン,フェニルトリブトキシシラ
ン,ジフェニルジブトキシシラン,アルミニウムトリs
ec−メトキシド,アルミニウムトリsec−ブトキシ
ド,テトラエトキシチタン,テトラプロポキシチタン,
テトラブトキシチタン等がある。
【0036】また,上記金属酸化物オリゴマー/ポリマ
ー形成過程においては,上記金属アルコキシドを1種
類,又は2種類以上混合して用いることができる。
【0037】上記金属酸化物オリゴマー/ポリマーと
は,金属酸化物オリゴマー又は金属酸化物ポリマーであ
る。そして,上記金属酸化物オリゴマー/ポリマー形成
過程で生じる金属酸化物オリゴマー/ポリマーは,金属
酸化物オリゴマー又は金属ポリマーのどちらか一方が生
成する場合もあるが,上記金属オリゴマー及び金属ポリ
マーが混在して生成する場合もある。
【0038】また,上記触媒としては,例えば酸触媒等
を利用することができる。上記酸触媒としては,例えば
塩酸,硫酸,硝酸,酢酸,燐酸,硼酸,ギ酸,クエン酸
等がある。
【0039】また,上記ポリフェノール化合物系抗菌性
成分としては,天然に存在するタンニン,カテキン等を
用いることができるが,有機合成したものを用いること
もできる。
【0040】また,上記ハイブリッド形成過程におい
て,上記ポリフェノール化合物系抗菌性成分は,該ポリ
フェノール化合物系抗菌性成分が有するフェノール系水
酸基において,上記金属イオン介して上記金属酸化物オ
リゴマー/ポリマーと結合する。上記ポリフェノール化
合物は,フェノール性の水酸基を有するので,上記フェ
ノール化合物系抗菌性成分としては,抗菌性を有するポ
リフェノールであれば,どのようなものでも用いること
ができる。そして,このようなポリフェノール化合物と
しては,例えばタンニン,カテキン,フラボノイド等が
ある。
【0041】また,上記金属イオンは,まず金属イオン
供与体である無機又は有機金属塩等として反応溶液中に
加えられる。このような金属供与体としては,例えば四
塩化チタン,チタンアルコキシド,アルミニウムアルコ
キシド等のハロゲン化金属や金属アルコキシド等があ
る。
【0042】次に,上記第2の発明における好ましい形
態につき説明する。上記ポリフェノール化合物系抗菌性
成分は,縮合型タンニンであることが好ましい(請求項
8)。この場合には,上記請求項2と同様の効果を得る
ことができる。
【0043】また,上記金属アルコキシドは,飽和又は
不飽和の炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキル
基,又は芳香族置換基を有することが好ましい(請求項
9)。この場合には,上記請求項3と同様の効果を得る
ことができる。
【0044】また,上記金属イオンは,チタン(T
i),アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg),
カルシウム(Ca),バリウム(Ba),ストロンチウ
ム(Sr),ジルコニウム(Zr),鉄(Fe),銅
(Cu),銀(Ag),亜鉛(Zn),鉛(Pb),ニ
ッケル(Ni),コバルト(Co),バナジウム
(V),リチウム(Li),ナトリウム(Na),カリ
ウム(K)の各イオンから選ばれる少なくとも一つ以上
であることが好ましい(請求項10)。この場合には,
上記請求項6と同様の効果を得ることができる。
【0045】次に,上記第3の発明における好ましい形
態につき説明する。上記ポリフェノール化合物系抗菌性
成分は,縮合型タンニンであることが好ましい(請求項
12)。上記縮合型タンニンは,上記ポリフェノール化
合物系抗菌性成分の中でも特に優れた抗菌性を有するこ
とが知られているため,この場合には,上記抗菌性コー
ティング剤に優れた抗菌性を付与させることができる。
【0046】次に,上記金属酸化物オリゴマー又ポリマ
ー中には飽和又は不飽和の炭素数1〜12のアルキル
基,又は芳香族置換基を含んでいることが好ましい(請
求項13)。この場合には,上記抗菌性コーティング剤
に,上記アルキル基又は芳香属置換基に由来する耐水性
及び撥水性等の疎水的性質を付与することができる。
【0047】次に,上記ハイブリッド化合物は,液状体
であることが好ましい(請求項14)。この場合には,
上記ハイブリッド化合物を上記抗菌性コーティング剤と
してそのまま使用することができる。
【0048】次に,上記ハイブリッド化合物は,粉末状
体であることが好ましい(請求項15)。この場合に
は,上記ハイブリッド化合物を抗菌剤として,上記抗菌
性コーティング剤に添加して用いることができる。
【0049】次に,上記金属イオンは,チタン(T
i),アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg),
カルシウム(Ca),バリウム(Ba),ストロンチウ
ム(Sr),ジルコニウム(Zr),鉄(Fe),銅
(Cu),銀(Ag),亜鉛(Zn),鉛(Pb),ニ
ッケル(Ni),コバルト(Co),バナジウム
(V),リチウム(Li),ナトリウム(Na),カリ
ウム(K)の各イオンから選ばれる少なくとも一つ以上
であることが好ましい(請求項16)。
【0050】
【0051】また,銅(Cu),銀(Ag),亜鉛(Z
n)の各イオンは,それ自体が抗菌性を有する。そのた
め,これらを上記金属イオンとして用いた場合には,上
記抗菌性コーティング剤は,上記金属イオンとポリフェ
ノール化合物系抗菌性成分の両方から抗菌性を得ること
ができる。
【0052】
【実施例】本発明における実施例につき,図1〜図7を
用いて説明する。図1は,上記ハイブリッド化合物の一
例を示す。図1において,上記ハイブリッド化合物は,
金属酸化物オリゴマー/ポリマー1としてのケイ素酸化
物オリゴマー/ポリマーと,ポリフェノール化合物系抗
菌性成分2としての縮合型タンニンとが,金属イオン3
としてのチタニウムイオンを介して結合している。
【0053】(実施例1)本例においては,上記ハイブ
リッド化合物を以下のようにして作製した。まず,分子
内に少なくとも2つ以上の,同一の又は異なるアルコキ
シル基を有する金属アルコキシドを,触媒により加水分
解縮合させて金属酸化物オリゴマー/ポリマーを形成さ
せた。次に,上記金属酸化物オリゴマー/ポリマーと,
ポリフェノール化合物系抗菌性成分とを,金属イオンを
介して結合させ,上記ハイブリッド化合物を作製した。
【0054】以下,上記ハイブリッド化合物の製造方法
につき,図2を用いて詳細に説明する。上記ポリフェノ
ール化合物系抗菌性成分2としては,縮合型タンニンを
主成分とする天草産モリシマアカシア樹皮70%アセト
ン抽出物(森林総合研究所より入手)を得た。また,上
記酸化物オリゴマー/ポリマー1の原料として,金属ア
ルコキシド11であるメチルエトキシシランを準備し
た。さらに,上記金属イオン3を供与する金属イオン供
与体35として,テトラ−n−ブトキシチタン(以下適
宜TBTと略す)を準備した。
【0055】まず,エタノール40重量部に金属アルコ
キシド11としてのメチルトリエトキシシラン50重量
部を溶解し,0.55%HClを5重量部加え,室温で
1時間攪拌反応させ,金属酸化物オリゴマー/ポリマー
1としてのケイ素酸化物オリゴマー/ポリマーを作製し
た。次に,この金属酸化物オリゴマー/ポリマー1とし
てのケイ素酸化物オリゴマー/ポリマー95重量部に金
属イオン供与体35としてのTBTを4重量部加え,室
温で30分間攪拌反応させた。さらに,ポリフェノール
化合物系抗菌性成分2としての天草産モリシマアカシア
樹皮70%アセトン抽出物1重量部を加え,ポリフェノ
ール化合物系抗菌性成分を1%含有するハイブリッド化
合物4の合成溶液を作製した。
【0056】また,原料となる金属アルコキシド,ポリ
フェノール化合物系抗菌性成分及び金属イオン供与体
は,どのような順番で溶媒中に添加してもよく,これら
をすべてはじめから混在させていても,最終的に上記ハ
イブリッド化合物を作製することができることを確認し
ている。
【0057】次に,上記ハイブリッド化合物の合成溶液
を乾燥させ,ハイブリッド化合物の乾燥ゲルを作製し
た。上記乾燥ゲルは,上記ハイブリッド化合物の合成溶
液を石英ガラス上にディップコートして室温にて乾燥さ
せた薄膜のものと,上記合成溶液をシャーレ内で静置し
室温で乾燥させたバルク体のものを作製した。
【0058】次に,ハイブリッド化合物の構造解析を上
記ハイブリッド化合物の乾燥ゲルを用いて行った。上記
ハイブリッド化合物の合成溶液及び乾燥ゲルの色は黄〜
橙色透明であった。このハイブリッド化合物の乾燥ゲル
を臭化カリウム(KBr)と共に粉砕,プレス成形し,
赤外吸収スペクトル(FT−IR)を測定した。尚,プ
レス成形は,油圧プレス機を用いて,真空一軸成形して
行い,赤外吸収スペクトルは日本分光株式会社製のFT
−IR460Plusを用いて行った。また,上記ハイ
ブリッド化合物の比較対照用サンプルとして,上記ポリ
フェノール化合物系抗菌性成分としての天草産モリシマ
アカシア樹皮70%アセトン抽出物(森林総合研究所)
を用いて同様の測定した。その結果を図3に示す。
【0059】図3より知られるように,上記ハイブリッ
ド化合物の赤外吸収スペクトルにおいて,1620,1
500,1450,1020,850cm−1付近にポ
リフェノール化合物系抗菌性成分としての天草産モリシ
マアカシア樹皮70%アセトン抽出物と同様のピーク
(図3●)が観察されおり,これはポリフェノール化合
物系抗菌性成分に帰属するピークであると考えられる。
また,上記ハイブリッド化合物の赤外吸収スペクトルに
おいて,920cm 付近にSi−O−Ti結合に帰
属するピーク(図3▲)が観察されている。
【0060】また,上記ハイブリッド化合物の赤外吸収
スペクトルにおいて,3300〜3500cm−1に観
察されるO−H結合のピーク(図3■)は,ポリフェノ
ール化合物系抗菌性成分のピークと比較して,高波数側
にシフトしている。これは上記ハイブリッド化合物にお
いて,O−H基の水素結合が弱くなったことを示してい
る。この原因としては,上記ハイブリッド化合物では,
ポリフェノール化合物系抗菌性成分が該ポリフェノール
化合物系抗菌性成分のO−H基において金属酸化物オリ
ゴマー/ポリマーに固定され,O−H基による水素結合
が形成されにくくなったためであると考えられる。
【0061】即ち,ハイブリッド化合物のスペクトルで
観察されるO−H結合のピークは,ハイブリッド化合物
を構成するポリフェノール化合物系抗菌性成分のO−H
基に帰属するピークであると考えられる。そして,この
O−H基の水素結合が弱くなっていることから,ポリフ
ェノール化合物系抗菌性成分は分子内の水酸基におい
て,金属イオンを介して金属酸化物オリゴマー/ポリマ
ーと結合しており,ハイブリッド化合物が作製されてい
ることが推定される。
【0062】(実施例2)本例においては,上記ハイブ
リッド化合物の耐光性について調べた。まず,実施例1
と同様にして,上記ハイブリッド化合物の合成溶液(試
料E1)と,上記ハイブリッド化合物を乾燥ゲル状にし
た薄膜(試料E2)を作製した。次に,実施例1と同様
の方法であるが,金属イオン供与体としてのTBTを加
えずに,上記ハイブリッド化合物の合成溶液を作製し
た。この合成溶液においては,上記金属酸化物オリゴマ
ー/ポリマーとポリフェノール化合物系抗菌性成分の結
合を仲介する金属イオンが存在しないため,ハイブリッ
ド化合物は形成されていない。即ち,上記ポリフェノー
ル化合物系抗菌性成分と金属酸化物オリゴマー/ポリマ
ーが,別々に,独立して溶液中に存在する混合溶液であ
る。これを試料C1とした。
【0063】また,実施例1においてポリフェノール化
合物系抗菌性成分として用いた天草産モリシマアカシア
樹皮70%アセトン抽出物をエタノールに溶解し,ポリ
フェノール化合物系抗菌性成分のエタノール溶液を準備
した。これを試料C2とした。
【0064】上記試料E1,試料E2,試料C1,及び
試料C2に,水銀ランプを照射し,可視紫外吸収スペク
トルの変化を経時的に測定した。次に,水銀ランプを照
射する前の可視紫外吸収スペクトルの値をポリフェノー
ル化合物系抗菌性成分残存量100(%)として,水銀
ランプ照射下におけるポリフェノール化合物系抗菌性成
分の残存量の変化を調べた。尚,可視紫外吸収スペクト
ルの測定には,日本分光株式会社製のU−best V
570を用いた。その結果を図4に示す。
【0065】図4より知られるように,試料C1及び試
料C2のポリフェノール化合物系抗菌性成分残存量は,
水銀ランプ照射後1時間以内に50%以下まで減少し
た。一方,試料E1及び試料E2のポリフェノール化合
物系抗菌性成分残存量は,10時間を経過しても50%
以上であり,耐光性が試料C1及び試料C2に比べて1
0倍以上向上していることがわかった。
【0066】本実施例の試料C1においては,上記金属
酸化物オリゴマー/ポリマーとポリフェノール化合物系
抗菌性成分とは,結合しておらずそれぞれが独立して溶
液中に存在している。また,試料C2においては,ポリ
フェノール化合物系抗菌性成分の分子がエタノール溶液
中に存在している。
【0067】これに対し,試料E1及び試料E2におい
ては,上記金属酸化物オリゴマー/ポリマーとポリフェ
ノール化合物系抗菌性成分が金属イオンを介して結合し
てハイブリッド化合物を形成している。そのため,試料
E1及び試料E2の耐候性の向上は,上記ハイブリッド
化合物の形成に基因するものであると考えられる。
【0068】(実施例3)本例においては,上記ハイブ
リッド化合物の耐熱性について調べた。まず,実施例1
と同様にして,上記ハイブリッド化合物の乾燥ゲルを作
製し,これを試料E1とした。また,上記ハイブリッド
化合物の比較対照用サンプルとして,上記ポリフェノー
ル化合物系抗菌性成分としての天草産モリシマアカシア
樹皮70%アセトン抽出物(森林総合研究所)を準備
し,これを試料C1とした。次に,上記ハイブリッド化
合物の乾燥ゲルとポリフェノール化合物系抗菌性成分を
用いて,熱重量測定(TG)及び示差熱分析(DTA)
を行った。その結果を図5に示す。
【0069】図5において,上半分はDTA曲線を示
し,下半分はTG曲線を示している。図5より知られる
ように,試料C1は,220℃を過ぎると熱分解が起こ
り重量の大幅な減少を示している。一方,試料E1にお
いては,約450℃までは重量の大幅な減少は起こって
いない。このことは,ハイブリッド化合物とすることに
より,上記ポリフェノール化合物系抗菌性成分の熱に対
する安定性が向上したことを示す。
【0070】即ち,優れた耐熱性を有する金属酸化物オ
リゴマー/ポリマーに,耐熱性の低いポリフェノール化
合物系抗菌性成分を結合させることにより,該ポリフェ
ノール化合物系抗菌性成分は,熱に対する抵抗性を獲得
し,熱分解されにくくなったということが考えられる。
【0071】(実施例4)本例においては,上記ハイブ
リッド化合物の抗菌力を調べた(抗菌力試験)。尚,抗
菌力試験は,抗菌製品技術協議会が定める抗菌力評価試
験法(フィルム密着法)に従って行った。
【0072】まず,実施例1と同様にして,ポリフェノ
ール化合物系抗菌性成分を1%含有するハイブリッド化
合物の合成溶液を作製した。そして,上記ハイブリッド
化合物の合成溶液をガラス板上に塗布し,これを試料E
1とした。
【0073】次に,実施例1において,加えるポリフェ
ノール化合物系抗菌性成分の量を増やして,ポリフェノ
ール化合物系抗菌性成分を2%含有するハイブリッド化
合物の合成溶液を作製した。そして,上記試料E1と同
様にして,これをガラス板に塗布し,試料E2とした。
また,比較対照用のサンプルとして,何も塗布していな
いガラス板を準備し,これを試料C1とした。
【0074】続いて,上記試料E1,E2及びC1を高
圧蒸気滅菌器にて,121℃で15分間加熱処理し,試
料E1,E2及びC1の滅菌処理を実施した。次に,こ
の試料E1,E2及びC1に大腸菌(Escheric
hia Coli IFO3972)と,黄色ブドウ球
菌(Staphylococcus aureusIF
O 12732)を接種し,35℃で24時間インキュ
ベーター内に放置した。そして,24時間後に上記試料
E1,E2及びC1の生菌数を測定した。また,このと
きの試料C1の生菌数を100(%)としたとき,試料
E1,試料E2の生菌数の割合(生存率)を調べた。こ
の結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】表1より知られるように,試料E1と試料
C1の結果を比較すると,大腸菌では有意な抗菌性を示
していないが,黄色ブドウ球菌では試料C1に比べて1
0%近くまで菌の増殖を抑制しており,抗菌力を有して
いることがわかった。次に,試料E2と試料C1の結果
を比較すると,大腸菌では,試料C1に比べて0.02
%まで菌の増殖を抑制している。また,黄色ブドウ球菌
では,試料C1に比べて0.5%以下にまで菌の増殖を
抑制し低ていた。このことから,試料E2は,大腸菌及
び黄色ブドウ球菌に対して優れた抗菌力を有しているこ
とがわかった。
【0077】したがって,本例における上記ハイブリッ
ド化合物は優れた抗菌性を有するということが示され
た。
【0078】(実施例5)本例においては,上記ハイブ
リッド化合物をコーティング剤として用いる場合を考慮
し,上記ハイブリッド化合物の合成溶液を木材に塗布
し,上記木材の耐水・撥水性(吸水・放湿性)を検討し
た。
【0079】まず,比較対照用のサンプルとして,縦2
0mm×横20mm×厚み10mmの大きさのヒノキ材
を準備した。これを試料C1とした。次に,実施例1と
同様にして上記ハイブリッド化合物の合成溶液を作製し
た。そして,上記試料C1と同じ大きさのヒノキ材を準
備し,上記ハイブリッド化合物の合成溶液に浸し,充分
に乾燥させた。これを試料E1とした。
【0080】上記試料E1と試料C1を水中に浸し,試
料E1と試料C1の重量の変化を10日間にわたって測
定した。さらにその後,上記試料E1及びC1を水中か
ら取り出し,室温,湿度40〜50%の環境下で放置
し,重量の変化を経時的に測定した。その結果を図6に
示す。
【0081】図6より知られるように,試料E1の吸水
量を試料C1のものと比較すると,試料E1は,試料C
1に比べて約3分の1程度しか水分を吸収しておらず,
優れた耐水性を有していることがわかった。
【0082】この耐水性の原因としては,試料E1に含
浸させたハイブリッド化合物の原料として用いた金属ア
ルコキシドが,メチル基を有していたことが考えられ
る。そのため,上記ハイブリッド化合物中の金属オリゴ
マー/ポリマーの末端には,疎水性の性質を持つメチル
基が残存している。従って,このメチル基に由来する疎
水的性質が上記試料E1に反映し,試料E1は上記のよ
うな耐水性を獲得したと推定される。
【0083】また,図6より知られるように,上記試料
E1は,表面に耐水性を有する層を形成しているにもか
かわらず,試料C1とほとんど同程度の早さで,内部に
吸収した水分を放出している。この原因としては,上記
試料E1における塗膜が木材繊維の表面に形成されてお
り,木材の多孔質構造は維持されているためであると考
えられる。
【0084】(実施例6)本例においては,実施例5と
同様に,上記ハイブリッド化合物をコーティング剤とし
て用いる場合を考慮し,上記ハイブリッド化合物の合成
溶液を濾紙に塗布した場合における上記濾紙の通気性
(透湿性)を観察した。
【0085】まず,実施例1と同様にしてハイブリッド
化合物の合成溶液を作製した。次に濾紙を準備し,この
濾紙を上記ハイブリッド化合物の合成溶液に浸した。そ
して,このハイブリッド化合物を含浸させた濾紙を充分
に乾燥させ,これを試料E1とした。
【0086】また,何も含浸させていない濾紙を準備
し,これを試料C1とした。さらに,上記ハイブリッド
化合物の代わりに,ウレタン系塗料を含浸させた濾紙を
準備し,これを試料C2とした。
【0087】次に,上記試料E1,C1,及びC2を,
水を入れた容器のフタとして容器の開口部を塞ぎ,この
ままの状態で10日間放置した。このとき,容器内の水
の減少量を経時的に測定することにより,容器内の水が
濾紙を通過する蒸発量(g)とした。その結果を図7に
示す。
【0088】図7より知られるように,試料E1の蒸発
量は,試料C1のものとほとんど同じであった。このこ
とは,試料E1は,試料C1とほとんど同程度の通気性
を有していることを示す。これに対し,試料C2の蒸発
量は,試料C1に比べて,1/3以下であった。
【0089】図7において,試料C1の通気性を100
%とすると,試料E1は,試料C1に比べて約90%の
通気性を有していた。これに対し,試料C1の通気性
は,30%以下であった。このことから,上記試料E1
は,優れた通気性を有していることが明らかになった。
【0090】したがって,実施例6及び7の結果より,
上記ハイブリッド化合物をコーティング剤として木材等
に用いた場合には,優れた耐水・撥水性及び高い通気性
を有するコーティング剤を提供することができる。
【0091】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1にかかる,ハイブリッド化合物を示す
説明図。
【図2】実施例1にかかる,ハイブリッド化合物の製造
方法を示す説明図。
【図3】実施例1にかかる,ハイブリッド化合物及びタ
ンニン粉末の赤外吸収スペクトルを示す説明図。
【図4】実施例2にかかる,ハイブリッド化合物の耐光
性を示す説明図。
【図5】実施例3にかかる,ハイブリッド化合物の耐熱
性を示す説明図。
【図6】実施例5にかかる,ハイブリッド化合物をコー
ティング剤として用いた場合の耐水性・撥水性を示す説
明図。
【図7】実施例6にかかる,ハイブリッド化合物をコー
ティング剤として用いた場合の通気性を示す説明図。
【符号の説明】
1...金属酸化物オリゴマー/ポリマー, 15...金属アルコキシド, 2...ポリフェノール化合物系抗菌性成分, 3...金属イオン, 35...金属イオン供与体 4...ハイブリッド化合物

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケイ素(Si),チタン(Ti),又は
    アルミニウム(Al)を主成分とする金属酸化物オリゴ
    マー/ポリマーと,ポリフェノール化合物系抗菌性成分
    とが,金属イオンを介して結合していることを特徴とす
    るハイブリッド化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記ポリフェノール
    化合物系抗菌性成分は,縮合型タンニンであることを特
    徴とするハイブリッド化合物。
  3. 【請求項3】 請求項1において,上記金属酸化物オリ
    ゴマー/ポリマーは,飽和又は不飽和の炭素数1〜12
    のアルキル基,又は芳香族置換基を含んでいることを特
    徴とするハイブリッド化合物。
  4. 【請求項4】 請求項1において,上記ハイブリッド化
    合物は,液状体であることを特徴とするハイブリッド化
    合物。
  5. 【請求項5】 請求項1において,上記ハイブリッド化
    合物は,粉末状体であることを特徴とするハイブリッド
    化合物。
  6. 【請求項6】 請求項1において,上記金属イオンは,
    チタン(Ti),アルミニウム(Al),マグネシウム
    (Mg),カルシウム(Ca),バリウム(Ba),ス
    トロンチウム(Sr),ジルコニウム(Zr),鉄(F
    e),銅(Cu),銀(Ag),亜鉛(Zn),鉛(P
    b),ニッケル(Ni),コバルト(Co),バナジウ
    ム(V),リチウム(Li),ナトリウム(Na),カ
    リウム(K)の各イオンから選ばれる少なくとも一つ以
    上であることを特徴とするハイブリッド化合物。
  7. 【請求項7】 分子内に少なくとも2つ以上の,同一の
    又は異なるアルコキシル基を有する金属アルコキシド
    を,触媒により加水分解縮合させて金属酸化物オリゴマ
    ー/ポリマーを形成させる金属酸化物オリゴマー/ポリ
    マー形成過程と,上記金属酸化物オリゴマー/ポリマー
    と,ポリフェノール化合物系抗菌性成分とを,金属イオ
    ンを介して結合させるハイブリッド形成過程とを有する
    ことを特徴するハイブリッド化合物の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7において,上記ポリフェノール
    化合物系抗菌性成分は,縮合型タンニンであることを特
    徴とするハイブリッド化合物の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7において,上記金属アルコキシ
    ドは,飽和又は不飽和の炭素数1〜12の直鎖又は分岐
    鎖のアルキル基,又は芳香族置換基を有することを特徴
    とするハイブリッド化合物の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8において,上記金属イオン
    は,チタン(Ti),アルミニウム(Al),マグネシ
    ウム(Mg),カルシウム(Ca),バリウム(B
    a),ストロンチウム(Sr),ジルコニウム(Z
    r),鉄(Fe),銅(Cu),銀(Ag),亜鉛(Z
    n),鉛(Pb),ニッケル(Ni),コバルト(C
    o),バナジウム(V),リチウム(Li),ナトリウ
    ム(Na),カリウム(K)の各イオンから選ばれる少
    なくとも一つ以上であることを特徴とするハイブリッド
    化合物の製造方法。
  11. 【請求項11】 ケイ素(Si),チタン(Ti),ア
    ルミニウム(Al)を主成分とする金属酸化物オリゴマ
    ー/ポリマーと,ポリフェノール化合物系抗菌性成分と
    が,金属イオンを介して結合していることを特徴とする
    ハイブリッド化合物を有効成分とする抗菌性コーティン
    グ剤。
  12. 【請求項12】 請求項11において,上記ポリフェノ
    ール化合物系抗菌性成分は,縮合型タンニンであること
    を特徴とする抗菌性コーティング剤。
  13. 【請求項13】 請求項11において,上記金属酸化物
    オリゴマー又ポリマー中には飽和又は不飽和の炭素数1
    〜12のアルキル基,又は芳香族置換基を含んでいるこ
    とを特徴とする抗菌性コーティング剤。
  14. 【請求項14】 請求項11において,上記ハイブリッ
    ド化合物は,液状体であることを特徴とする抗菌性コー
    ティング剤。
  15. 【請求項15】 請求項11において,上記ハイブリッ
    ド化合物は,粉末状体であることを特徴とする抗菌性コ
    ーティング剤。
  16. 【請求項16】 請求項11において,上記金属イオン
    は,チタン(Ti),アルミニウム(Al),マグネシ
    ウム(Mg),カルシウム(Ca),バリウム(B
    a),ストロンチウム(Sr),ジルコニウム(Z
    r),鉄(Fe),銅(Cu),銀(Ag),亜鉛(Z
    n),鉛(Pb),ニッケル(Ni),コバルト(C
    o),バナジウム(V),リチウム(Li),ナトリウ
    ム(Na),カリウム(K)の各イオンから選ばれる少
    なくとも一つ以上であることを特徴とする抗菌性コーテ
    ィング剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008259967A (ja) * 2007-04-12 2008-10-30 Japan Organo Co Ltd 分離膜の改質方法および装置、その方法により改質された分離膜、並びに分離膜の運転方法および装置

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