JP2003025046A - 鋳造用の棒状中子およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 排気孔等を形成するのに適し、変形が少な
く、発生ガスによる鋳造欠陥が生じにくく、かつ作業性
の良好な鋳造用の棒状中子を提供する。 【解決手段】 鋳造用の棒状中子１であって、発生ガス
が透過するパイプ状芯金２の表面に中子砂層３が形成さ
れたことを特徴とする鋳造用の棒状中子。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、鋳造用の棒状中子
およびその製造方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】自動車用あるいは産業機械用の鋳物部品
である精密な油圧鋳物に排気孔、油溝、水路等を鋳造に
より形成するためには、細長い形状の棒状中子が必要に
なる。

【０００３】従来、排気孔等を形成するための棒状中子
の成型法としては、水平、垂直分割の金型内に円筒形の
キャビティを設け、有機バインダーで被覆した中子砂を
吹き込む方法が知られている。

【０００４】この場合、長さ寸法の短い中子の成型は容
易であるが、排気孔等を形成するための棒状中子のよう
に直径の寸法に比して長さ寸法が長くなると、曲がり変
形が発生し易くなる。また、注湯時に中子砂に含まれる
有機バインダーの燃焼によるガスが発生し、鋳造欠陥が
生じ、その対応が困難であった。さらに従来法で成型し
た棒状中子は、注湯時に変形しやすく、鋳物肉厚の精度
に悪影響を与えていた。

【０００５】棒状中子の変形を防止する方法として、中
子成型用金型に丸棒状の芯金をセットして、鋳型砂を吹
き込み、芯金の表面に中子砂層を形成して、棒状中子を
成型する方法が考えられる。しかし、成型後の吹き込み
跡の除去や、芯金端部の切断除去に工数を要し、生産性
が低下することが避けられない。

【０００６】また、成型する際に鋳型砂の充填が不十分
な箇所があったり、丸棒状の芯金が入っているため中子
重量が重くなり作業性が低下する。さらに注湯時の発生
ガスによる鋳造欠陥への対応が困難であった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来技術の欠点を解消し、排気孔等を形成
するのに適し、変形が少なく、発生ガスによる鋳造欠陥
が生じにくく、かつ作業性の良好な鋳造用の棒状中子お
よびその製造方法を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の第１の発明は、鋳造用の棒状中子であって、発生ガス
が透過するパイプ状芯金の表面に中子砂層が形成された
ことを特徴とする鋳造用の棒状中子に関するものであ
る。

【０００９】上記課題を解決するための第２の発明は、
前記第１の発明であって、前記の発生ガスが透過するパ
イプ状芯金が金属パイプに透過孔を形成したものである
ことを特徴とするものである。

【００１０】上記課題を解決するための第３の発明は、
透過孔を有するパイプ状芯金の中に、充填剤を充填した
後、パイプ状芯金の表面を有機バインダーを用いて中子
砂を被覆後加熱硬化して中子砂層を形成し、パイプ状芯
金内の充填剤を除去することを特徴とする鋳造用の棒状
中子の製造方法に関するものである。

【００１１】上記課題を解決するための第４の発明は、
前記第３の発明であって、前記充填剤が乾燥砂であるこ
とを特徴とするものである。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下に図面を用いて本発明の実施
形態を説明する。 （第１の実施形態）図１（ａ）は本発明の棒状中子を説
明するための断面図であり、図１（ｂ）はその部分拡大
断面図である。

【００１３】本発明の鋳造用の棒状中子１は、パイプ状
芯金２の表面に中子砂層３を形成したものであり、パイ
プ状芯金２には注湯時中子砂層３から発生するガスを透
過するための透過孔４を設けている。注湯時に発生した
ガスは、透過孔４を通りパイプ状芯金２の中央の空間を
通って、パイプ状芯金２の両端部から排出される。従っ
て、注湯時に発生ガスによる鋳造欠陥を生じることが少
ない。

【００１４】また、芯金となるのはパイプ状の円筒であ
るため、重量が軽く作業性が低下することがない。ま
た、パイプ状の円筒は、丸棒と比較しても、曲がり強度
はあまり変わらず、曲がり変形しにくいため、鋳物精度
が向上する。

【００１５】なお、芯金となるパイプはガスが透過する
ものであれば特に限定されないが、ステンレス等の鉄系
金属やアルミニウム等の非鉄金属のパイプに透過孔を開
けたものや、ガスが透過する程度の空隙を有する焼結金
属で構成してもよい。また、芯金となるパイプとして、
ガスが透過可能な空隙を有するセラミックを使用しても
よい。 （第２の実施形態）本発明の棒状中子を成型する場合、
透過孔を穿孔したパイプ状芯金をそのまま中子成型金型
にセットして、中子砂層を形成しようとすると、透過孔
に中子砂が入り込んでしまう。その状態で焼結すると、
透過孔の中で中子砂同士が強固に固着して、透過孔を閉
塞してしまう。そのような中子を用いて、注湯すると、
中子砂層から発生したガスが透過孔を通して充分に排出
されず、鋳造欠陥を生じてしまう。

【００１６】そのため、本発明の中子の製造方法は、透
過孔が穿孔されたパイプ状芯金に予め乾燥砂等の充填剤
を充填し、透過孔に中子砂が入り込まないようにし、そ
の後パイプ状芯金の表面を中子砂で被覆し、加熱硬化し
て中子砂層を形成させるものである。加熱硬化は、２５
０〜２８０℃で行う。

【００１７】中子砂層に用いる中子砂は、公知のもので
よく、例えばノボラックあるいはレゾール系フェノール
樹脂等の有機バインダーでコーティングした砂を挙げる
ことができる。

【００１８】パイプ状芯金の内部に充填剤を封入した後
に、パイプ状芯金の表面に中子砂層を形成させるため、
加熱硬化時にパイプ状芯金が熱変形するのを防止するこ
とができる。

【００１９】パイプ状芯金の表面に中子砂層を形成させ
る手段は特に限定されないが、例えば中子成型金型を用
いて中子砂を吹き込み成型することより、効率的かつ高
精度で作業を行える 以下、図２に、中子成型金型を用いて本発明の棒状中子
を成型する一実施形態を説明する。

【００２０】図２（ａ）、（ｂ）に示したように、シェ
ルモールド成型装置に金型６をセットする。次いで透過
孔４を有するパイプ状芯金２の内部に乾燥砂５を充填し
たものを前記金型６にセットし、分割金型７および押さ
え板８を組立て、金型内部に円筒状のキャビィティ１１
を形成する。なお、金型内でパイプ状芯金２を固定する
ために、金型底部と、押さえ板８に固定用突起９を設け
ることが好ましい。

【００２１】図２（ｃ）に示すように、押さえ板８の上
部から砂吹き込み孔１０を介して、有機バインダーを用
いた中子砂を吹き込み、パイプ状芯金２の表面に中子砂
層３を成形する。中子砂層３を形成後直ちに加熱して、
有機バインダーを硬化させる。

【００２２】加熱硬化後、金型を分割し、パイプ状芯金
２の内部に充填されていた充填剤を除去することにより
棒状中子１を製造することができる（図２（ｄ））。

【００２３】パイプ状芯金に透過孔を設けることによ
り、発生ガスの排出が容易になると同時に、中子砂の一
部が透過孔に入り込むことにより、芯金と中子砂がより
強固に密着し、中子の強度向上に寄与する。

【００２４】

【発明の効果】請求項１または２に記載の発明により、
曲がり強度に強く、発生ガスによる鋳造欠陥の少ないな
い、作業性に優れた棒状中子を得ることができる。

【００２５】請求項３または請求項４に記載の発明によ
り、上記中子を効率的かつ容易に製造することができ
る。充填物を充填した後に、中子砂層を形成させること
により、発生ガスの排出をより効果的に行うことができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は本発明の鋳造用の棒状中子の断面模式
図、（ｂ）はその部分拡大図。

【図２】（ａ）〜（ｄ）は、本発明の棒状中子の製造工
程を説明するための模式断面図。

【符号の説明】

１ 棒状中子 ２ パイプ状芯金 ３ 中子砂層 ４ 透過孔 ５ 乾燥砂 ６、７ 金型 ８ 押さえ板

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鋳造用の棒状中子であって、発生ガスが
   透過するパイプ状芯金の表面に中子砂層が形成されたこ
   とを特徴とする鋳造用の棒状中子。
2. 【請求項２】 前記の発生ガスが透過するパイプ状芯金
   が金属パイプに透過孔を形成したものであることを特徴
   とする請求項１に記載の鋳造用の棒状中子。
3. 【請求項３】 透過孔を有するパイプ状芯金の中に、充
   填剤を充填した後、パイプ状芯金の表面を有機バインダ
   ーを用いた中子砂を被覆後、加熱硬化して中子砂層を形
   成し、パイプ状芯金内の充填剤を除去することを特徴と
   する鋳造用の棒状中子の製造方法。
4. 【請求項４】 前記充填剤が乾燥砂であることを特徴と
   する請求項３に記載の棒状中子の製造方法。