JP2003022757A

JP2003022757A - カラー陰極線管

Info

Publication number: JP2003022757A
Application number: JP2001208113A
Authority: JP
Inventors: Hogen Saito; 甫言斉藤
Original assignee: Hitachi Ltd; Hitachi Chiba Electronics Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd; Hitachi Chiba Electronics Ltd
Priority date: 2001-07-09
Filing date: 2001-07-09
Publication date: 2003-01-24

Abstract

(57)【要約】【課題】パネルの内部にシャドウマスク構体を所定の
位置関係で正確に懸架し、シャドウマスク構体の着脱作
業、動作中の温度変化や衝撃によるシャドウマスク構体
の位置ずれを軽減する。【解決手段】座金８１に有する座金穴８２として、パ
ネルのスカート部内壁側が大径の略円形穴８２Ａで、懸
架スプリング側が上記大径の円形穴の直径より管軸方向
に小さい短軸を持つ楕円形状穴８２Ｂを有し、座金穴８
２をスタッドピン９Ｄに嵌合させた状態で、当該スタッ
ドピン９Ｄが楕円形状の座金穴８２Ｂの短軸方向で２点
８２Ｃで接触させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、カラー陰極線管に
係り、特に色選択電極であるシャドウマスクを蛍光面に
対して正確な位置で装架できるシャドウマスク構体の懸
架機構を具備したカラー陰極線管に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、画像等の表示デバイスとしての
陰極線管の容器は、内面に蛍光体を塗布してスクリーン
を形成するパネルと、電子銃を収容するネック、および
パネルからネックにかけて漸次径小となる漏斗状のファ
ンネルとを連接した真空外囲器で構成される。そして、
カラー画像を表示するためのカラー陰極線管では、パネ
ルの内面に複数（通常は３色）の蛍光体を塗布してスク
リーンを構成し、当該スクリーンに近接して色選択電極
であるシャドウマスク構体を懸架すると共に、ネックに
は複数（通常は３本）の電子ビームを出射するインライ
ン型電子銃を収容してある。

【０００３】ネックの端部には、収容した電子銃を支持
すると共に電子銃に所要の電圧あるいは信号を供給する
ステムピンを環状に貫通植立してネックを封止するステ
ムを有し、ファンネルの外面に偏向ヨークを装架して電
子ビームを水平と垂直の２方向に偏向してスクリーン上
に画像を再現する。

【０００４】近年、コンピュータ等の情報処理装置のモ
ニターに用いるカラー陰極線管の解像度の向上が著し
く、ドットピッチが０．２６ｍｍ以下のものも提供され
るようになった。このような高精細のカラー陰極線管、
あるいは所謂フラット型のカラー陰極線管では、パネル
部内面とシャドウマスクの間の距離（間隙）、所謂
「Ｑ」寸法を小さくする必要があり、例えばこのＱ寸法
を所定の値に対して±０．１５ｍｍ以下に維持すること
が要求される。

【０００５】図８は従来のカラー陰極線管におけるシャ
ドウマスク構体の懸架状態の一例を説明するパネル部側
から見た模式平面図で、シャドウマスク構体５を４辺で
パネルスカート部内壁に懸架支持する形式のシャドウマ
スク構体を示す。また、図９は図８のＹ−Ｙ線に沿って
切断した第４の懸架機構部分の模式断面図である。図８
において、シャドウマスク構体５は、シャドウマスク
６、シャドウマスク６の周縁を溶接固定するマスクフレ
ーム７、マスクフレームの外壁に一端を固定してシャド
ウマスク構体５をパネル１のスカート部内壁に植立した
スタッドピン９に他端を係止して懸架する懸架スプリン
グ８（８Ａ、８Ｂ、８Ｃ、８Ｄ）を有する。なお、Ｘ−
Ｘは水平方向、Ｙ−Ｙは垂直方向、Ｚ−Ｚは管軸方向
（カラー陰極線管の管軸（真空外囲器の中心線）方向）
を示す。

【０００６】シャドウマスク構体５の長辺（Ｘ−Ｘ方
向）の下側にある第４の懸架機構部分を図９に示す。比
較的画面サイズが小さいカラー陰極線管では、シャドウ
マスク構体を、その３辺で懸架支持する３辺懸架構造が
採用される。しかし、公称１７インチ以上の通常大画面
サイズと称するカラー陰極線管では、シャドウマスク構
体の重量を支えるために、４辺で懸架支持する４辺懸架
支持構造が多く採用される。この場合、使用状態で下側
になる第４の懸架支持機構の部分の調整で前記したスク
リーンとの間の間隙を所定値に設定し、最終的な位置関
係を得る。

【０００７】懸架スプリングはプレス成形により、通常
２箇所に折り曲げ部を有し、一端をマスクフレーム側に
溶接し、スタッドピンとの係合部である他端を遊端とし
てある。組み立ての際に遊端をマスクフレーム方向に押
圧してスタッドピンの直上で押圧を解除することで、当
該他端に有する係止穴をスタッドピンに挿入する。例え
ば、４辺支持の場合は、両側辺と上辺である第１〜第３
の各辺の懸架スプリング８Ａ〜８Ｃをそれぞれのスタッ
ドピンに係止した後、下辺である第４の辺のスタッドピ
ン９Ｄに座金８１を嵌合し、続いてスプリング８Ｄの遊
端に設けた係止穴を係止し、上記したスクリーンとの間
隔を設定して座金８１を懸架スプリング８Ｄに溶接す
る。懸架スプリング８Ｄは他の辺に設ける懸架スプリン
グ８Ａ〜８Ｃと同様に、全体がバネ材の金属板で構成さ
れ、一端がマスクフレームに溶接され、他端（遊端）に
は係止穴（スプリング係止穴）が形成されている。この
係止穴をパネル１のスカート部分の内壁に植立したスタ
ッドピン９Ｄに係合する。

【０００８】すなわち、シャドウマスク構体５を取付け
る場合、パネル１の内面にシャドウマスク６の表面が対
向するようにシャドウマスク構体５を挿入し、そのマス
クフレーム７の周囲に一端を固定した懸架スプリング８
Ｄの係止穴をパネル部１のスカート部分の内壁に植立し
たスタッドピン９Ｄに係止して固定する。このとき、パ
ネル１の内面（スクリーン）とシャドウマスク６の間の
距離である「Ｑ」寸法を所定の値に設定する。

【０００９】第４の辺のスタッドピン９Ｄと懸架スプリ
ング８Ｄの他端の間には座金（ＢＳプレートとも言う）
８１が介挿されている。座金８１は一般に四角形の平板
の中央部に穴（座金穴）を有し、シャドウマスク構体５
をパネル１の内側に装架する場合には、まずスタッドピ
ン９Ｄに座金８１の座金穴を嵌合し、その後に懸架スプ
リング８Ｄの他端に設けた係止穴を係合する。

【００１０】懸架スプリング８Ｄの係止穴は、通常はス
タッドピン９Ｄの係止部外径より大きい円形で、座金穴
よりも大径としてスタッドピン９Ｄと遊嵌するようにし
ておく。前記したように、シャドウマスク構体５を主と
して管軸方向に移動可能として、主として管軸方向に進
退させて所定の「Ｑ」寸法を設定した後に、この懸架ス
プリング８Ｄを座金８１に溶接して固定するようにして
いる。

【００１１】また、懸架スプリング８Ｄを上記のように
マスクフレーム７の４辺に設けるもの以外に、各短辺と
一方の長辺とに設けた（３個設けた）もの、あるいはシ
ャドウマスク構体の対角位置に懸架スプリングを固定し
たもの、その他に懸架スプリングの向きを図８に示した
ように一方向に向けたものに限らず、対向する辺で同一
向きとしたもの、懸架スプリングを管軸方向と平行に設
置したものなどにも本発明は適用できる。懸架スプリン
グに上記のような円形の係止穴を設けるものに代えて、
スタッドピンの外径より大きい幅寸法の溝の長手方向を
管軸と平行な方向に形成したものも知られている（特開
平６−３６６９８号公報参照）。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】しかし、シャドウマス
ク構体の取り付け作業において、シャドウマスク構体を
管軸方向（Ｚ−Ｚ方向）に平行移動させて管軸方向の間
隔、すなわち上記「Ｑ」寸法を設定しようとする際、座
金が傾いたまま懸架スプリングに溶接されてしまうこと
がある。この原因の一つは、懸架スプリングのプレス成
形時に起こる折り曲げ角度のばらつきにある。スタッド
ピンに嵌合した座金の座金穴が溶接時に懸架スプリング
の他端がパネルの内壁面と非平行状態、あるいはねじれ
た状態などの異常形状となっていると、座金はこの異常
形状に倣って押圧されるからである。

【００１３】図１０は座金に有する座金穴の従来形状と
スタッドピンとの嵌合状態の説明図である。座金８１は
図１０の（ａ）に示したように、略円形穴８５Ａの懸架
スプリング側で内側に突出させた３つの突起８５Ｂを有
する。この突起８５Ｂは当該略円形穴のプレス抜き時に
形成される。したがって、この突起８５Ｂは、若干懸架
スプリング側にはみ出している場合がある。スタッドピ
ン９に座金８１を嵌合したとき、同図（ｂ）に示したよ
うに、スタッドピン９の外周の略５０％が３つの突起８
５Ｂに接して保持されるようになっている。

【００１４】図１１は第４の懸架スプリングがスタッド
ピンに正常に取付けられた状態を示す要部断面図、図１
２は第４の懸架スプリングの形状異常で懸架スプリング
がスタッドピンに異常に取付けられた状態を示す要部断
面図である。両図とも、第４の懸架スプリング８Ｄと第
４のスタッドピン９Ｄの取付け部分を示す。図１１に示
したように、正常な取付けでは、懸架スプリング８Ｄの
スタッドピン９Ｄとの溶接面はＸ−Ｘ方向と平行な線Ｐ
−Ｐ上にある。これに対し、前記したような懸架スプリ
ング８Ｄに形状異常があると、図１２に示したように、
懸架スプリング８Ｄのスタッドピン９Ｄとの溶接面を通
る線Ｑ−ＱがＸ−Ｘ方向と平行な線Ｐ−Ｐに対して角度
θを持つようになってしまう。

【００１５】このような角度をもった取付けが起こる
と、前記したような異常状態となり、座金８１が傾き、
座金穴とスタッドピン９Ｄの嵌合が点接触状態となる。
その結果、スクリーンの塗布工程でのシャドウマスク構
体の着脱作業で「Ｑ」寸法にずれを起こしたり、カラー
陰極線管の動作中の温度変化や衝撃でシャドウマスク構
体が所定の位置からずれてしまい、スクリーンに対する
所定の位置関係を保てなくなってランディングミスが生
じ、表示画像の品質を劣化させてしまうことがある。こ
れを解決することが従来からの課題の一つとなってい
た。

【００１６】本発明は上記従来技術における課題を解決
し、パネルの内部にシャドウマスク構体を所定の位置関
係で正確に懸架し、スクリーンの塗布工程でのシャドウ
マスク構体の着脱作業における「Ｑ」寸法にずれを起こ
したり、動作中の温度変化や衝撃でシャドウマスク構体
が所定の位置からずれることを軽減して信頼性を向上し
たカラー陰極線管を提供することにある。

【００１７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、座金に有する座金穴として、パネルのス
カート内壁側が大径の略円形穴で、懸架スプリング側が
上記大径の円形穴の直径より管軸方向に小さい短軸を持
つ楕円形状を有するものとし、座金穴をスタッドピンに
嵌合させた状態で、当該スタッドピンが楕円形状の座金
穴の短軸方向で２点接触するようにした。本発明の代表
的な構成を記述すれば、次のとおりである。

【００１８】内面に蛍光体層を塗布してスクリーンを構
成するパネルと、電子銃を収容したネック、およびパネ
ルとネックを連接するファンネルとで真空外囲器を構成
し、前記パネルの前記蛍光体層に対して管軸方向に所定
の間隔で設置したシャドウマスク構体を具備するカラー
陰極線管であって、前記シャドウマスク構体は、前記電
子銃から出射する電子ビームを通過させる多数の開孔を
有するシャドウマスクと、前記シャドウマスクを固定し
て保持するマスクフレームと、前記マスクフレームの外
壁に一端を固定し、他端を前記パネル部のスカート部内
壁に植立したスタッドピンに遊嵌する係止穴を備えた懸
架スプリングと、前記係止穴と略同軸の座金穴を有して
前記懸架スプリングの前記他端の前記スタッドピン側に
固定した座金とから構成され、前記座金に有する座金穴
は、前記スカート部内壁側が大径の略円形穴で、前記懸
架スプリング側が前記大径の円形穴の直径より前記管軸
方向に小さい短軸を持つ略楕円形状を有し、前記座金穴
を前記スタッドピンに遊嵌させた状態で、前記スタッド
ピンを前記座金穴の前記略楕円形状の短軸方向で２点接
触させたことを特徴とする。

【００１９】また、本発明では、前記スタッドピンを、
前記スカート部内壁側で断面積が大きい基部を有する大
略切頭円錐形とするのが望ましい。前記座金穴として
は、その長軸が前記大径の略円形穴の直径と略同じとし
た形状にするか、あるいは前記座金穴の長軸を前記大径
の略円形穴の直径より小さい形状にする。

【００２０】そして、前記懸架スプリングの係止穴を前
記座金穴より大とし、前記座金穴の前記管軸と直角な方
向の穴寸法を前記スタッドピンと係合する部分の当該ス
タッドピンの外径と略同一とするのが好適である。さら
に、前記座金穴の前記管軸と直角な方向の穴寸法を前記
スタッドピンと係合する部分の当該スタッドピンの外径
よりも大とするのが望ましい。

【００２１】上記の構成により、パネルの内部にシャド
ウマスク構体が所定の位置関係で正確に懸架され、スク
リーンの塗布工程でのシャドウマスク構体の着脱作業に
おける「Ｑ」寸法にずれを起こしたり、動作中の温度変
化や衝撃でシャドウマスク構体が所定の位置からのずれ
が軽減されて信頼性が向上する。

【００２２】なお、本発明は上記の構成および後述する
実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の技術
思想を逸脱することなく、種々の変更が可能であること
は言うまでもない。

【００２３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、実施例の図面を参照して詳細に説明する。図１は本
発明によるカラー陰極線管の１実施例を説明する第４の
懸架スプリングに溶接する座金とスタッドピンの嵌合状
態図であり、同図（ａ）はパネルのスカート側から見た
座金穴とスタッドピンの嵌合状態図、同図（ｂ）は同
（ａ）のＡ−Ａ線断面図を示す。

【００２４】図１において、座金８１に有する座金穴８
２は、パネルのスカート部内壁側が大径の略円形穴８２
Ａで、懸架スプリング側が前記大径の略円形穴８２Ａの
直径より管軸方向Ｚ−Ｚに小さい短軸を持つ略楕円形状
穴８２Ｂを有している。スタッドピン９Ｄはパネルのス
カート部内壁に植立する基部から座金８１との嵌合部方
向に漸次断面が減少する切頭円錐形である。そして、座
金穴８２をスタッドピン９Ｄに遊嵌させた状態で、スタ
ッドピン９Ｄが座金穴８２の略楕円形状穴８２Ｂの短軸
方向で２点接触している。図中、参照符号８２Ｃは接触
点を示す。

【００２５】図２は本発明によるカラー陰極線管の１実
施例をさらに詳細に説明する第４の懸架スプリングに溶
接する座金とスタッドピンの嵌合状態図であり、同図
（ａ）はパネルのスカート側から見た座金穴８２の平面
図、同図（ｂ）は座金穴８２にスタッドピン９Ｄを嵌合
したときの両者の接点８２Ｃを示す。スタッドピン９Ｄ
の外周は略円形で、座金穴８２の小径部である楕円形状
穴８２ＢとがＺ−Ｚ方向の２箇所の接点８２Ｃで接触し
て嵌合している。

【００２６】本実施例により、パネルの内部にシャドウ
マスク構体が所定の位置関係で正確に懸架され、スクリ
ーンの塗布工程でのシャドウマスク構体の着脱作業にお
ける「Ｑ」寸法にずれを起こしたり、動作中の温度変化
や衝撃でシャドウマスク構体が所定の位置からのずれが
解消されて信頼性が向上する。

【００２７】図３は本発明によるカラー陰極線管の他の
実施例をさらに詳細に説明する第４の懸架スプリングに
溶接する座金とスタッドピンの嵌合状態をパネルのスカ
ート側から見た平面図である。同図（ａ）では座金穴８
２の大径の円形穴８２Ａの直径より管軸方向Ｚ−Ｚに小
さい短軸を持つ略楕円形状穴８２Ｂの長軸が当該大径の
略円形穴８２Ａの直径（Ｚ−Ｚ軸と直交する方向の内
径）と同じになっている。スタッドピン９Ｄに嵌合した
とき、大径の略円形穴８２Ａの内壁（＝楕円形状穴８２
Ｂの内壁）とスタッドピン９Ｄの間に間隔Ｄを有してい
る。なお、同図（ｂ）に示したように、略楕円形状穴８
２Ｂの長軸方向を切りとった突起状としてもよい。

【００２８】座金８１に設ける座金穴８２は、スタッド
ピン９Ｄに接している部分の口径より図示しない懸架ス
プリング側に遠くなるに従って小径となる。これによ
り、横方向への移動は抑制される。横方向への移動は座
金がスタッドピンから抜け出る時に起こる可能性はある
が、懸架スプリングの弾性作用で抜け出ることはない。
仮に、外から振動が印加されて横方向移動があるとして
も、これは数十ミクロン程度の移動が瞬時に起こるだけ
で、外力が解除されるともとの設定された位置に戻るの
で、問題はない。しかし、このような横方向への移動を
さらに抑制した場合は、図３の（ｃ）に示したように、
略楕円形状穴８２Ｂの長軸を小さくし、大径穴８２Ａの
内壁との間の間隙Ｇ’を小さくすればよい。

【００２９】図４は本発明によるカラー陰極線管の前記
実施例の座金を正常に固定した懸架スプリングの全体構
成の説明図であり、同図（ａ）は座金側からみた平面
図、同（ｂ）は側面図である。また図５は本発明による
懸架スプリングの動作説明図である。図４において、前
記各実施例の図面の参照符号と同一参照符号は同一機能
部分を示す。同図（ａ）、（ｂ）に示したように、第４
の懸架スプリング８Ｄは遊端にスタッドピンと係合する
係止穴８０を有し、この係止穴と同軸に前記実施例で説
明したスタッドピンと嵌合する嵌合穴８２を有する座金
８１を溶接してある。この溶接は懸架スプリング８Ｄを
パネルに装架し、所定の位置を設定した状態でレーザ溶
接等で行われる。

【００３０】懸架スプリング８Ｄは、上記遊端から第１
の折り曲げ部８３Ａで折り曲げて延びるスプリング部８
３と、このスプリング部８３の第２の折り曲げ部８３Ｂ
で折り曲げた溶接部８４を有する。溶接部８４はシャド
ウマスク構体をパネルに装架する前に溶接される。スプ
リング部８３は、同図（ｂ）に示したように座金との溶
接部分の平面Ｒ−Ｒは弾性によりパネルのスカート部内
壁に対して傾斜している。そして、図５に示したよう
に、シャドウマスク構体をロボット等でパネルに着脱す
るときに、平面Ｒ−Ｒはパネルのスカート部内壁に平行
な線Ｒ’−Ｒ’との間で変移する。

【００３１】従来の３点接触による懸架では、各点での
接触抵抗がアンバランスになり易く、シャドウマスク構
体の着脱の繰り返しで、接触部位が変化し、結果として
スクリーンに対するシャドウマスクの位置家計にずれを
もたらして電子ビームのミスランディングを招きがちで
あった。これに対し、本実施例の２点接触によれば、両
接触点の接触抵抗はバランスするため、上記従来技術の
ような問題を抑制でき、信頼性の高いカラー陰極線管を
得ることができる。

【００３２】図６は本発明のカラー陰極線管の実施例に
かかるシャドウマスク構体の全体構成を説明する斜視図
である。このシャドウマスク構体５はそのマスクフレー
ム７の４辺に懸架スプリング８Ａ〜８Ｄ（８Ａと８Ｂは
図示せず）を有し、第４の懸架スプリング８Ｄに座金８
１を用いている。前記実施例と同じ参照符号は同一機能
部分に対応する。

【００３３】図７は本発明のカラー陰極線管の全体構成
を模式的に説明する断面図である。参照符号１はパネ
ル、２はネック、２Ａはステムピン、３はファンネル、
４は蛍光体（スクリーン）、５はシャドウマスク構体、
６はシャドウマスク、７はマスクフレーム、９Ｂ，９Ｄ
は懸架スプリング、１０は磁気シールド、１１は電子
銃、１２はピュチテイ調整用等の外部磁気装置、１３は
偏向ヨーク、１４は防爆バンドである。

【００３４】この種のカラー陰極線管は、パネル１とネ
ック２、およびパネル１とネック２とを連接するファン
ネル部３とから真空外囲器すなわち真空容器が形成され
る。パネル１の内面には３色の蛍光体４を塗布してスク
リーンとした画面を有し、ネック２の内部に３本の電子
ビームをインライン状に出射する電子銃１１が収納され
る。また、パネル１の蛍光体４に近接して多数の開孔も
しくはすだれ状のエッチング形状を有するシャドウマス
ク６が配置されている。そして、ファンネル３とネック
２の遷移領域には偏向ヨーク１３が外装されている。

【００３５】図示しない駆動回路からの画像信号やフォ
ーカス信号はステムピン２Ａに図示しないソケットを介
して供給される。電子銃１１から画像信号で変調されて
発射された３本の電子ビームＢ（Ｂｃ，Ｂｓ×２）は偏
向ヨーク１３で発生される水平および垂直偏向磁界によ
り水平と垂直の２方向に偏向され、シャドウマスク６の
開孔で色選択を受けてそれぞれの蛍光体に射突してカラ
ー画像を形成する。

【００３６】本発明は、図７に示した構成のカラー陰極
線管に限るものではなく、パネル部の外面形状が球状あ
るいは一方方向にのみ平坦、もくしくは略平坦あるいは
一方に方向にのみ略平坦としたものにも、そのシャドウ
マスク構体の懸架機構として同様に適用できることは言
うまでもない。

【００３７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の代表的な
実施例によれば、パネル部にシャドウマスク構体を装架
する際の懸架スプリングのずれを座金に設ける嵌合穴の
形状で規制することにより、パネルの内部にシャドウマ
スク構体を所定の位置関係で正確に懸架し、スクリーン
の塗布工程でのシャドウマスク構体の着脱作業における
「Ｑ」寸法にずれを起こしたり、動作中の温度変化や衝
撃でシャドウマスク構体が所定の位置からずれることを
軽減して信頼性を向上したカラー陰極線管を提供するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるカラー陰極線管の１実施例を説明
する第４の懸架スプリングに溶接する座金とスタッドピ
ンの嵌合状態図である。

【図２】本発明によるカラー陰極線管の１実施例をさら
に詳細に説明する第４の懸架スプリングに溶接する座金
とスタッドピンの嵌合状態図である。

【図３】本発明によるカラー陰極線管の他の実施例をさ
らに詳細に説明する第４の懸架スプリングに溶接する座
金とスタッドピンの嵌合状態をパネルのスカート側から
見た平面図である。

【図４】本発明によるカラー陰極線管の前記実施例の座
金を正常に固定した懸架スプリングの全体構成の説明図
である。

【図５】本発明のカラー陰極線管における懸架スプリン
グの動作説明図である。

【図６】本発明のカラー陰極線管の実施例にかかるシャ
ドウマスク構体の全体構成を説明する斜視図である。

【図７】本発明のカラー陰極線管の全体構成を模式的に
説明する断面図である。

【図８】従来のカラー陰極線管におけるシャドウマスク
構体の懸架状態の一例を説明するパネル部側から見た模
式平面図である。

【図９】図８のＹ−Ｙ線に沿って切断した第４の懸架機
構部分の模式断面図である。

【図１０】座金に有する座金穴の従来形状とスタッドピ
ンとの嵌合状態の説明図である。

【図１１】第４の懸架スプリングがスタッドピンに正常
に取付けられた状態を示す要部断面図である。

【図１２】第４の懸架スプリングの形状異常で懸架スプ
リングがスタッドピンに異常に取付けられた状態を示す
要部断面図である。

【符号の説明】

５・・・・シャドウマスク構体、６・・・・シャドウマ
スク、７・・・・マスクフレーム、８・・・・懸架スプ
リング、８Ｄ・・・・第４の懸架スプリング、８１・・
・・座金、８２・・・・座金穴、９・・・・スタッドピ
ン、９Ｄ・・・・第４のスタッドピン。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】内面に蛍光体を塗布してスクリーンを構成
するパネルと、電子銃を収容したネック、およびパネル
とネックを連接するファンネルとで真空外囲器を構成
し、前記パネルの前記蛍光体に対して管軸方向に所定の
間隔で懸架したシャドウマスク構体を具備するカラー陰
極線管であって、前記シャドウマスク構体は、前記電子銃から出射する電
子ビームを通過させる多数の開孔を有するシャドウマス
クと、前記シャドウマスクを固定して保持するマスクフ
レームと、前記マスクフレームの外壁に一端を固定し、
他端を前記パネルのスカート部内壁に植立したスタッド
ピンに嵌合する係止穴を備えた懸架スプリングと、前記
係止穴と略同軸の座金穴を有して前記懸架スプリングの
前記他端の前記スタッドピン側に固定した座金とから構
成され、前記座金に有する座金穴は、前記スカート部内壁側が大
径の略円形穴で、前記懸架スプリング側が前記大径の略
円形穴の径より前記管軸方向に小さい短軸を持つ略楕円
形状を有し、前記座金穴を前記スタッドピンに嵌合させた状態で、前
記スタッドピンが前記座金穴の前記楕円形状の短軸方向
で２点接触していることを特徴とするカラー陰極線管。
【請求項２】前記スタッドピンは、前記スカート部内壁
側で断面積が大きい基部を有する大略切頭円錐形である
ことを特徴とする請求項１に記載のカラー陰極線管。
【請求項３】前記座金穴の長軸が前記大径の円形穴の直
径と略同じであることを特徴とする請求項１または２に
記載のカラー陰極線管。
【請求項４】前記座金穴の長軸が前記大径の略円形穴の
直径より小さいことを特徴とする請求項１または２に記
載のカラー陰極線管。
【請求項５】前記懸架スプリングの係止穴が前記座金穴
より大であることを特徴とする請求項１〜４の何れかに
記載のカラー陰極線管。
【請求項６】前記座金穴の前記管軸と直角な方向の穴寸
法が前記スタッドピンと係合する部分の当該スタッドピ
ンの外径と同一であることを特徴とする請求項１〜５の
何れかに記載のカラー陰極線管。
【請求項７】前記座金穴の前記管軸と直角な方向の穴寸
法が前記スタッドピンと係合する部分の当該スタッドピ
ンの外径よりも大であることを特徴とする請求項１〜５
の何れかに記載のカラー陰極線管。