JP2003019797A - インクジェットヘッドおよびその形成方法、並びに、被膜およびその形成方法 - Google Patents

インクジェットヘッドおよびその形成方法、並びに、被膜およびその形成方法

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JP2003019797A JP2002122058A JP2002122058A JP2003019797A JP 2003019797 A JP2003019797 A JP 2003019797A JP 2002122058 A JP2002122058 A JP 2002122058A JP 2002122058 A JP2002122058 A JP 2002122058A JP 2003019797 A JP2003019797 A JP 2003019797A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】基体との密着性及び耐久性が極めて優れたパリ
レン膜、及びパリレン膜形成方法、並びにそのパリレン
膜を用いたインクジェットヘッドを提供する。 【解決手段】 基体の表面上に形成されるパリレン膜で
あって、パリレン膜中にシランカップリング剤を含有さ
せた。また、基体の表面上にパリレン膜を形成するパリ
レン膜形成方法は、シランカップリング剤の蒸気雰囲気
下、又は、シランカップリング剤を供給し一部が気化し
た状態で、気相合成法によりパリレン膜を形成した。ま
た、圧電性基体2上に電極5を設けた可動壁と、他の壁
を形成する部材(蓋部材)3とでインクチャネル4を構
成し、電極5に電圧を印加してインクチャネル4からイ
ンクを吐出するインクジェットヘッドであって、少なく
とも電極5を、シランカップリング剤を含有させたパリ
レン膜の保護膜6で被覆した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、インクジェット
ヘッドおよびその形成方法、並びに、被膜およびその形
成方法に関する。特に、ポリパラキシリレンまたはその
誘導体を有する被膜によって電極や接着剤等が保護され
るインクジェットヘッド、および、その形成方法に関す
る。また、ポリパラキシリレンまたはその誘導体を有す
る被膜、および、その形成方法に関する。尚、以下、ポ
リパラキシリレンまたはその誘導体を有する被膜のこと
をパリレン膜と言う。
【0002】
【従来の技術】金属、セラミックス、プラスチック等の
種々の材料を基体とし、或いはそれら種々の材料を表面
に設けた基体を用いた各種半導体素子等の電子部品やイ
ンクジェットヘッド等のデバイスの一部では、その基体
の表面に電気的絶縁、防湿、耐磨耗等を目的として有機
材料の保護膜を形成することが多い。また、接着剤等で
接合した部分から、接着剤中の成分等の溶出を防止する
ことを目的として同様に有機材料の保護膜を形成するこ
ともある。そのような保護膜の中で、気相合成法により
形成されたパリレン膜は、高絶縁性や高防湿性を有する
ので好ましく用いられる。しかし、パリレン膜は基体と
の密着性が低いため、特公昭58-56371号公報に
は、基体にシランカップリング剤による前処理をした後
に、パリレン膜を形成することで、基体との密着性を向
上させることが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公昭
58-56371号公報に記載された方法では、従来よ
りもパリレン膜と基体との密着性は幾分改善されたもの
の、未だ充分な密着性ではなく、製品の製造過程で膜剥
がれを起こしたり、製品の使用環境下によって同様に膜
剥がれを起こしたり、製品の耐久性の点でも問題を生じ
る場合があった。特に、基体に金属等からなる電極を含
む場合にその問題は顕著であり、更に圧電性基板として
PZT基板を用い、PZT基板上に電極を設けた基体を
パリレン膜で被覆するインクジェットヘッドにおいて
は、更に深刻であり、製品の歩留まりにも大きく影響す
るものであった。このようなインクジェットヘッドにお
いては、微細なインクチャネル内部にパリレン膜を形成
することが一つの要因と考えられる。
【0004】この発明は、かかる実情に鑑みてなされた
もので、基体との密着性及び耐久性が極めて優れたパリ
レン膜、及びそのようなパリレン膜が得られるパリレン
膜形成方法、並びにそのパリレン膜又はそのパリレン膜
形成方法によって得られたパリレン膜を用いたインクジ
ェットヘッドを提供することを目的とする。
【0005】更に、絶縁性及び耐熱性にも優れたパリレ
ン膜、及びそのようなパリレン膜が得られるパリレン膜
形成方法、並びにそのパリレン膜又はそのパリレン膜形
成方法によって得られたパリレン膜を用いたインクジェ
ットヘッドを提供することを目的とする。
【0006】また更に、比較的薄膜であってもピンホー
ルの発生もなく製品歩留まりが向上するパリレン膜、及
びそのようなパリレン膜が得られるパリレン膜形成方
法、並びにそのパリレン膜又はそのパリレン膜形成方法
によって得られたパリレン膜を用いたインクジェットヘ
ッドを提供することを目的とする。
【0007】また更に、それらに加えて、簡易且つ低コ
ストで得られるパリレン膜、及びパリレン膜形成方法、
並びにそのパリレン膜又はそのパリレン膜形成方法によ
って得られたパリレン膜を用いて吐出性能や耐久性に優
れるインクジェットヘッドを提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的の少なくとも一
つを達成するために、この発明は以下のように構成し
た。
【0009】請求項1によれば、インクチャネル内に電
極を有するインクジェットヘッドにおいて、前記インク
チャネルを構成する基体に、前記電極を被覆するように
シランカップリング剤を含有するポリパラキシリレンま
たはその誘導体を有する被膜を設けたことを特徴とする
インクジェットヘッドによって達成される。これによ
り、パリレン膜としての膜性能を生かしつつ、電極を含
む基体との密着性に極めて優れ、高耐久性のパリレン膜
を備えた実用的なインクジェットヘッドを簡易且つ低コ
ストで得ることができる。
【0010】また、請求項9によれば、インクチャネル
内に電極を有するインクジェットヘッドの形成方法にお
いて、前記インクチャネルを構成する基体に電極を形成
した後、シランカップリング剤の蒸気雰囲気下で、気相
合成法によりポリパラキシリレンまたはその誘導体を有
する被膜が、前記基体の電極を被覆するように前記基体
上に設けられることを特徴とするインクジェットヘッド
の形成方法によって達成される。これにより、パリレン
膜としての膜性能を生かしつつ、電極を含む基体との密
着性に極めて優れ、高耐久性のパリレン膜を備えた実用
的なインクジェットヘッドを簡易且つ低コストで形成で
きる。
【0011】また、請求項12によれば、インクチャネ
ル内に電極を有するインクジェットヘッドの形成方法に
おいて、前記インクチャネルを構成する基体に電極を形
成した後、シランカップリング剤の一部が気化した蒸気
雰囲気下で、気相合成法によりポリパラキシリレンまた
はその誘導体を有する被膜が、前記基体の電極を被覆す
るように前記基体上に設けられることを特徴とするイン
クジェットヘッドの形成方法によって達成される。これ
により、パリレン膜としての膜性能を生かしつつ、基体
との密着性に極めて優れ、高耐久性のパリレン膜を簡易
且つ低コストで得ることができる。
【0012】また、請求項18によれば、圧電性基板上
に電極を備えたインクチャネルを有し、前記電極に電圧
を印加して前記圧電性基板を変形させることにより前記
インクチャネルからインクを吐出するインクジェットヘ
ッドにおいて、前記圧電性基板上に前記電極を被覆する
ようにシランカップリング剤を含有するポリパラキシリ
レンまたはその誘導体を有する被膜を設けたことを特徴
とするインクジェットヘッドによって達成される。これ
により、パリレン膜としての膜性能を生かしつつ、電極
を含む基体との密着性に極めて優れ、高耐久性のパリレ
ン膜を備え、インクの吐出性能に優れた実用的なインク
ジェットヘッドを簡易且つ低コストで得ることができ
る。
【0013】また、請求項27によれば、圧電性基板上
に電極を備えたインクチャネルを有し、前記電極に電圧
を印加して前記圧電性基板を変形させることにより前記
インクチャネルからインクを吐出するインクジェットヘ
ッドの形成方法において、前記圧電性基板上に電極を形
成した後、シランカップリング剤の蒸気雰囲気下で、ポ
リパラキシリレンまたはその誘導体を有する被膜が、前
記圧電性基板上の電極を被覆するように前記圧電性基板
上に設けられることを特徴とするインクジェットヘッド
の形成方法によって達成される。これにより、パリレン
膜としての膜性能を生かしつつ、電極を含む基体との密
着性に極めて優れ、高耐久性のパリレン膜を備え、イン
クの吐出性能に優れた実用的なインクジェットヘッドを
簡易且つ低コストで形成できる。
【0014】また、請求項30によれば、圧電性基板上
に電極を備えたインクチャネルを有し、前記電極に電圧
を印加して前記圧電性基板を変形させることにより前記
インクチャネルからインクを吐出するインクジェットヘ
ッドの形成方法において、前記圧電性基板上に電極を形
成した後、シランカップリング剤の一部が気化した蒸気
雰囲気下で、気相合成法によりポリパラキシリレンまた
はその誘導体を有する被膜が、前記圧電性基板上の電極
を被覆するように前記圧電性基板上に設けられることを
特徴とするインクジェットヘッドの形成方法によって達
成される。これにより、パリレン膜としての膜性能を生
かしつつ、基体との密着性に極めて優れ、高耐久性のパ
リレン膜を簡易且つ低コストで得ることができる。
【0015】また、請求項36によれば、基体の表面上
に形成されたポリパラキシリレンまたはその誘導体を有
する被膜において、シランカップリング剤を含有するこ
とを特徴とする被膜によって達成される。これにより、
パリレン膜としての膜性能を生かしつつ、基体との密着
性に極めて優れ、高耐久性のパリレン膜を得ることがで
きる。
【0016】また、請求項44によれば、基体の表面上
にポリパラキシリレンまたはその誘導体を有する被膜の
形成方法において、シランカップリング剤の蒸気雰囲気
下で、前記基体上に気相合成法によりポリパラキシリレ
ンまたはその誘導体を有する被膜を形成することを特徴
とする被膜の形成方法によって達成される。これによ
り、パリレン膜としての膜性能を生かしつつ、基体との
密着性に極めて優れ、高耐久性のパリレン膜を形成でき
る。ここで、パリレン膜中に取り込まれたシランカップ
リング剤は、化学反応を起こしているものと化学反応を
起こしていないものが存在すると思われる。
【0017】また、請求項47によれば、基体の表面上
にポリパラキシリレンまたはその誘導体を有する被膜の
形成方法において、シランカップリング剤の一部が気化
した蒸気雰囲気下で、前記基体上に気相合成法によりポ
リパラキシリレンまたはその誘導体を有する被膜を形成
することを特徴とする被膜の形成方法によって達成され
る。これにより、パリレン膜としての膜性能を生かしつ
つ、基体との密着性に極めて優れ、高耐久性のパリレン
膜を簡易且つ低コストで形成できる。
【0018】さらにまた、基体の表面上に形成されるパ
リレン膜であって、パリレン膜中にシランカップリング
剤が分散含有されていることを特徴とするパリレン膜で
ある。これにより、パリレン膜としての膜性能を生かし
つつ、基体との密着性に極めて優れ、高耐久性のパリレ
ン膜を得ることができる。
【0019】さらにまた、前記シランカップリング剤の
一部は、少なくとも前記基体と接するように分散含有さ
れているパリレン膜であることが好ましい。これによ
り、基体との密着性及び耐久性が向上し、基体との界面
でのパリレン膜の膜剥がれを効果的に防止することがで
きる。
【0020】さらにまた、前記パリレン膜中、前記基体
との界面から0.1μm厚までの範囲に含有される前記
シランカップリング剤のSi濃度が0.1mg/cm3
以上であるパリレン膜であることが好ましい。これによ
り、パリレン膜の基体との密着性を一層向上することが
できる。
【0021】さらにまた、前記パリレン膜中、前記基体
との界面から0.1μm厚までの範囲に含有される前記
シランカップリング剤のSi濃度が5mg/cm3以下
であるパリレン膜であることが好ましい。これにより、
基体との密着性に大きく影響がある基体との界面から
0.1μm厚までのパリレン膜中にシランカップリング
剤が分散含有された状態となり、シランカップリング剤
が必要以上にパリレン膜の界面(基体との界面)近傍に
存在して、パリレン膜の基体との密着性が低下してしま
うといったことを防止することができる。
【0022】さらにまた、前記パリレン膜表面から0.
5μm厚までの範囲に含有される前記シランカップリン
グ剤のSi濃度が0mg/cm3以上0.5mg/cm3
以下であるパリレン膜であることが好ましい。これによ
り、パリレン膜表面の膜性能にシランカップリング剤が
支障をきたすことがなく、パリレン膜の絶縁性、耐防湿
性等を充分に発揮することができる。
【0023】さらにまた、前記パリレン膜中、パリレン
Nの成分が50%以下であるパリレン膜であることが好
ましい。これにより、より耐熱性にすぐれたパリレン膜
を得ることができる。尚、パリレンNの構造式は次の通
りである。
【0024】
【化1】
【0025】さらにまた、前記パリレン膜はパリレンN
の成分とパリレンCの成分を含有し、前記パリレン膜を
基体側の下層と前記基体と反対側の上層とに膜厚で2分
したとき、前記下層は前記パリレンNの成分を70%以
上含有し、前記上層はパリレンCの成分を70%以上含
有するパリレン膜であることが好ましい。これにより、
よりピンホールがなく、かつ耐熱性にすぐれ、充分に耐
久性を有するパリレン膜を得ることができる。尚、パリ
レンCの構造式は次の通りである。
【0026】
【化2】
【0027】さらにまた、前記パリレン膜の膜厚が1μ
m以上10μm以下であることが好ましい。これにより、
パリレン膜の膜性能を生かしつつ基体との密着性に極め
て優れ、実用性に富む保護膜を短時間に簡易且つ低コス
トで得ることができる。
【0028】さらにまた、基体の表面上にパリレン膜を
形成するパリレン膜形成方法において、シランカップリ
ング剤の蒸気雰囲気下に、気相合成法によりパリレン膜
を形成するパリレン膜形成方法であることが好ましい。
これにより、パリレン膜としての膜性能を生かしつつ、
基体との密着性に極めて優れ、高耐久性のパリレン膜を
簡易且つ低コストで得ることができる。
【0029】さらにまた、基体の表面上にパリレン膜を
形成するパリレン膜形成方法において、シランカップリ
ング剤を供給し、一部が気化した状態で気相合成法によ
りパリレン膜を形成するパリレン膜形成方法であること
が好ましい。これにより、パリレン膜としての膜性能を
生かしつつ、基体との密着性に極めて優れ、高耐久性の
パリレン膜を簡易且つ低コストで得ることができる。
【0030】さらにまた、前記気相合成法による前記パ
リレン膜の形成途中に、前記シランカップリング剤をす
べて気化させるパリレン膜形成方法であることが好まし
い。これにより、パリレン膜表面の膜性能にシランカッ
プリング剤が支障をきたすことがなく、パリレン膜の絶
縁性、耐防湿性等が充分に発揮されるパリレン膜を得る
ことができる。
【0031】さらにまた、前記気相合成法による前記パ
リレン膜の膜厚が5μm形成されるまでに、前記シラン
カップリング剤をすべて気化させるパリレン膜形成方法
であることが好ましい。これにより、パリレン膜表面の
膜性能にシランカップリング剤が支障をきたすことがな
く、パリレン膜の絶縁性、耐防湿性等が充分に発揮され
るパリレン膜を得ることができる。
【0032】さらにまた、前記気相合成法による前記パ
リレン膜の膜厚が0.1μm形成されたときには、前記
シランカップリング剤の一部が気化されていない状態で
残存するパリレン膜形成方法であることが好ましい。こ
れにより、パリレンとシランカップリング剤が共存して
いる状態を確実に作り出せるため、パリレン膜中にシラ
ンカップリング剤を含有でき、パリレン膜の基体との密
着性が一層向上されるパリレン膜を得ることができる。
【0033】さらにまた、前記気相合成法による前記パ
リレン膜は、最初にパリレンNを供給し、その後パリレ
ンCを供給するパリレン膜形成方法であることが好まし
い。これにより、よりピンホールがなく、かつ耐熱性に
すぐれ、充分に耐久性を有するパリレン膜を簡易に得る
ことができる。
【0034】さらにまた、前記パリレンCによるパリレ
ン膜の形成途中に、前記シランカップリング剤をすべて
気化させるパリレン膜形成方法であることが好ましい。
これにより、よりピンホールがなく、かつ、より耐熱性
にすぐれ、充分に耐久性を有するパリレン膜を得ること
ができる。
【0035】さらにまた、前記圧電性基板がPZT基板
であるインクジェットヘッドであることが好ましい。こ
れにより、微小インクチャネル内のPZT基板とその基
板上の電極とで構成される基体を被覆するパリレン膜を
備え、耐久性にも優れたインクジェットヘッドを簡易に
得ることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、この発明のパリレン膜及び
パリレン膜形成方法、並びにインクジェットヘッドを図
面に基づいて説明するが、この発明は、この実施の形態
に限定されるものではない。
【0037】図1は本発明の一実施形態であるインクジ
ェットヘッドの外観図である。また、図2はこのインク
ジェットヘッドにおけるインクチャネル1個分の断面模
式図である。
【0038】この実施の形態のインクジェットヘッド1
は、圧電性基板2と、他の壁を形成する部材(代表的に
は、ガラス、セラミック、金属或いはプラスチック製の
平板を接着して形成するインクチャネルの蓋)3とでイ
ンク流路であるインクチャネル4が形成されている。圧
電性基板2の内壁には、電極5が設けられ、この電極5
と他の壁を形成する部材3の内壁は保護膜6で被覆され
ている。尚、図1において、7はノズルプレートであ
り、8はこのノズルプレート7に設けられたインク吐出
孔となるノズル孔である。
【0039】圧電性基板2には、例えば、PZT、Ba
TiO3、PbTiO3、等の基板を使用することができ
る。その中でも、ジルコン酸チタン酸鉛(Pb(Zr,
Ti)O3)を含有し圧電特性を有する圧電性セラミッ
クス基板であるPZT基板が、圧電定数やその高周波応
答性などの圧電特性に優れるので好ましい。
【0040】また、天板となる部材3として、機械的強
度が高く、耐インク性を備えたものであれば、上述した
種々の材質のものを用いることができるが、セラミック
ス基板を用いることが好ましく、更に、変形されるPZ
T基板等の圧電性セラミックス基板と接合された使用を
考慮すると、非圧電性のセラミックス基板を用いること
が好ましく、圧電性セラミックスの側壁の変位を強固に
支えることができ、かつ自身の変形が少ないために、効
率的な駆動ができ、低電圧化が可能となるので好まし
い。
【0041】具体的には、例えば、シリコン、酸化アル
ミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ジルコ
ニウム、窒化アルミニウム、窒化シリコン、シリコンカ
ーバイト、石英の少なくとも1つを主成分とした基板等
を挙げることができ、特に、酸化アルミニウム又は酸化
ジルコニウム等を主成分とするセラミックス基板は、板
厚が薄くても優れた基板特性を有し、駆動時の発熱や環
境温度の変化に伴う基板の膨張によるそりやストレスで
の破壊を低下できるので好ましく、酸化アルミニウムを
主成分とする基板は安価で高絶縁性であるので特に好ま
しい。
【0042】また特に、PZT基板を側壁、又は側壁及
び底壁とし、非圧電性のセラミックス基板を底板及び/
又は天板とすると、高性能のシェアモードのピエゾ型イ
ンクジェットヘッドを安価に製造できるので好ましく、
更に、その非圧電性のセラミックス基板として酸化アル
ミニウム基板を用いると、インクジェットヘッドがより
安価に製造し得るのでより好ましい。
【0043】電極5としては、例えば、蒸着、スパッタ
リング、あるいはメッキ等により、金、銀、アルミニウ
ム、パラジウム、ニッケル、タンタル、あるいはチタン
からなる金属の電極膜(通常、0.5〜5.0μm程
度)を形成することが好ましく、特に、電気的特性、耐
食性及び加工性の点からアルミニウム、タンタル又はチ
タニウムからなる金属の電極膜とすることが好ましい。
【0044】また、電極5の耐食性及び安定性を向上す
るのに陽極酸化処理を施すのが有効である。陽極酸化処
理の具体例を次に示す。電解液として、300mlのエ
チレングリコール及び30mlの3%酒石酸からなるp
H7.0±0.5(アンモニア水で調整)の液を用い、
厚さ2.0μmのアルミニウム電極膜を形成した圧電性
基体を浸漬し、電極膜をプラスにして電流密度1mA/
cm2で電極が100Vに達するまでは定電流で、電圧
100Vに達した後は100Vの定電圧で陽極酸化を行
い、電流密度が0.1A/cm2以下となったとき処理
を終了させる。
【0045】ノズルプレート7としては、例えば、ポリ
アルキレン、エチレンテレフタレート、ポリイミド、ポ
リエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテル
スルホン、ポリカーボネイト、酢酸セルロース等のプラ
スチックが好適である。
【0046】図3は、図2のインクチャネル1個分にお
ける圧電性基板2の一部を示すもので、厚さ1mmの圧
電性基板2の一面に微少な溝部(L:30mm、H:3
60μm、B:70μm)が加工されている。この圧電
性基板2の加工面に蓋部材3を接合することにより、イ
ンク流路となるインクチャネル4(L:30mm、H:
360μm、B:70μm)が溝部に構成される。イン
クチャネル4の一端は、インク供給部(インクマニフォ
ールド)に連結され、他端は、図1に示すようにノズル
孔8を備えたノズルプレート7により構成されたインク
吐出部と連結される。尚、インク供給部及びインク吐出
部との連結は、後述の保護膜形成工程の後に行うとイン
クジェットヘッドの製造がし易くなり好ましい。
【0047】電極5の形成後または電極5の陽極酸化処
理後、保護膜形成工程前に、他の壁を形成する部材3を
圧電性基板2に接着する。この接着工程では、接着剤を
塗布する前に、圧電性基板2の溝部が設けられた加工面
及び前記溝部を覆う蓋部材3の接着面は、その状態に応
じて洗浄や研磨等の前処理を行うことが好ましい。接着
面の前処理により良好な接着を行うことができる。
【0048】圧電性基板2の接着面と蓋部材3の接着面
とを、例えばエポキシ系接着剤で接着して、圧電性基板
2と蓋部材3は一体に組み立てられる。組立後、例え
ば、接着面は加圧状態で、約120℃まで加熱され、さ
らにこの加圧・加熱状態が約2時間保持されて、接着剤
が硬化される。この接着行程により厚さ1.0〜2.0
μmの接着剤層が接着面に形成され、また一体化された
圧電性基板2と蓋部材3間にインク流路となるインクチ
ャネル4が構成される。
【0049】接着終了後一体化された圧電性基板2と蓋
部材3に対し、保護膜6を形成する。本発明において保
護膜6はパリレン膜を用いる。パリレン膜は、ポリパラ
キシリレン樹脂及び/又はその誘導体樹脂からなる被膜
であり、固体のジパラキシリレンダイマー又はその誘導
体を蒸着源とする気相合成法(Chemical Va
per Deposition:CVD法)により形成
する。即ち、ジパラキシリレンダイマーが気化、熱分解
して発生したジラジカルパラキシリレンモノマーが、基
体上に吸着して重合反応し、被膜を形成するものであ
る。
【0050】また特に、パラキシレンの2量体であるジ
パラキシリレンダイマーを用いて膜形成したものをパリ
レンNと称し、パラキシレンのモノクロロ置換体の2量
体であるジパラキシリレンダイマー(従ってダイマー中
には二つの塩素原子をもつ)を用いて膜形成したポリク
ロロパラキシリレンをパリレンCと称する。その他、種
々の置換したジパラキシリレンダイマー又はその誘導体
を用いた種々のパリレン膜があり、必要な性能等に応じ
て、各種のパリレン膜やそれら種々のパリレン膜を複数
積層したような多層構成のパリレン膜等を所望のパリレ
ン膜として適用することができる。
【0051】最初にパリレンNを供給し、その後パリレ
ンCを供給することにより形成したパリレン膜であるこ
とが好ましく、特にインクジェットヘッドの電極を保護
するパリレン膜としては、これにより、よりピンホール
がなく、かつ耐熱性にすぐれ、充分に耐久性を有する保
護膜を簡易に得ることができる点で好ましい。
【0052】また、パリレン膜中、パリレンNの成分を
50モル%以下とすることが好ましく、これにより、よ
り耐熱性にすぐれたパリレン膜を得ることができる。ま
た更に、パリレン膜を基体側の下層と前記基体と反対側
の上層とに膜厚で2分したとき、下層はパリレンNの成
分を70モル%以上含有し、上層はパリレンCの成分を
70モル%以上含有するようにすることが好ましく、こ
れにより、よりピンホールがなく、かつ耐熱性にすぐ
れ、充分に耐久性を有するパリレン膜を得ることができ
る。
【0053】パリレン膜の膜厚としては、1μm以上1
0μm以下であることが好ましく、これにより、パリレ
ン膜の膜性能を生かしつつ基体との密着性に極めて優
れ、実用性に富むパリレン膜を短時間に簡易且つ低コス
トで得ることができる。特に、インクジェットヘッドに
おいては、パリレン膜の膜厚を1μm以上10μm以下と
することでインク吐出性能にも優れたインクジェットヘ
ッドを得ることができる。
【0054】本発明においては、このパリレン膜を基体
上に形成する際に、シランカップリング剤の蒸気雰囲気
下に、気相合成法によりパリレン膜を形成する。これに
より、パリレン膜中にシランカップリング剤が分散含有
されたパリレン膜を得る。
【0055】このシランカップリング剤としては、例え
ば、ビニルトリエトキシラン、ビニル-トリス(β-メト
キシエトキシ)シラン、γ-メタクリルオキシプロピル
トリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキ
シル)-エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドオキシ
プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシ
ラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-
アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエ
チル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシランが挙がら
れ、その他種々の有機珪素化合物を用いることができ
る。
【0056】図4は、上記のようなシランカップリング
剤を分散含有させたパリレン膜である保護膜6を形成す
るための製膜装置の一例を示した模式図である。この実
施の形態の製膜装置10は、製膜室11に、昇華室1
2,13と熱分解室14,15の2系統を連結して構成
される。そして、この製膜室11の内部に、基体とシラ
ンカップリング剤を置き、開閉弁を介して製膜室11に
別途連結された真空ポンプ(図示せず)を作動させ、製
膜室11内を排気する。シランカップリング剤は一般に
常温でも容易に気化され、シランカップリング剤の蒸気
中で、熱分解室14または15よりジラジカルパラキシ
リレンダイマーが製膜室11に導入され、それによりシ
ランカップリング剤を分散含有するパリレン膜が基体上
に製膜される。
【0057】図4に示した製膜装置10では、昇華室及
び熱分解室をそれぞれ2つずつ設けて、種類の異なるパ
リレン層を形成可能に構成したが、勿論、例えば、それ
らを1系統として1種類のみからなるパリレン膜を製膜
してもよい。また、上述の製膜装置では、開閉弁を介し
て真空ポンプを製膜室11に連結する構成とし、シラン
カップリング剤を製膜室11内部に配置して製膜を行う
ようにしたが、別途製膜室11に、開閉弁(好ましくは
ニードルバルブ)を介して蒸気発生室を連結する構成と
し、この蒸気発生室でシランカップリング剤の蒸気を発
生させ、適宜バルブを開閉することにより製膜室11内
にシランカップリング剤の蒸気を導入し、製膜室11内
部にシランカップリング剤の蒸気が存在する状態下で、
同様にパリレン膜の製膜を行う実施の形態とすることも
できる。尚、製膜装置は、これらに限定されるものでは
なく、種々の形態とすることができる。
【0058】製膜室11内部にシランカップリング剤を
配置して製膜を行うようにする場合には、図4に示した
ように、通常の、気相合成法によるパリレン膜の製膜装
置をそのまま利用できる点で好ましい。また、シランカ
ップリング剤の蒸気を発生する蒸気発生室を別途設け、
バルブを介してその蒸気発生室を製膜室11に連結し、
そのバルブを適宜開閉して製膜を行うようにする場合に
は、製膜室11に導入するシランカップリング剤の蒸気
の量を容易に制御でき、蒸気の導入停止も容易にできる
ため、パリレン膜中へのシランカップリング剤の分散を
所望の状態とすることが容易にできる点で好ましい。
【0059】このように、シランカップリング剤の蒸気
雰囲気下に気相合成法によりパリレン膜を形成すること
で、パリレン膜中にシランカップリング剤を分散含有さ
せることができ、これにより、パリレン膜としての膜性
能を生かしつつ、基体との密着性に極めて優れ、高耐久
性のパリレン膜を得ることができる。また、通常のパリ
レン膜形成とほぼ同様な製造設備で、簡単に気相合成法
により密着性の向上したパリレン膜が形成されること、
及びそのパリレン膜は高性能にして製品の歩留まりも向
上するため、製造時間の短縮化及び製品の低コスト化も
できる。
【0060】また、シランカップリング剤の蒸気雰囲気
下で、気相合成法によるパリレン膜の形成を開始するこ
とで、シランカップリング剤の一部が少なくとも基体の
表面と接するように分散させることができ、基体との密
着性及び耐久性が向上し、基体との界面でのパリレン膜
の膜剥がれを効果的に防止することができる。
【0061】パリレン膜中、基体との界面から0.1μ
m厚までの範囲に含有されるシランカップリング剤のS
i濃度は0.1mg/cm3以上であることが好まし
く、これにより、パリレン膜の基体との密着性を一層向
上することができる。
【0062】また、パリレン膜中、基体との界面から
0.1μm厚までの範囲に含有されるシランカップリン
グ剤のSi濃度を5mg/cm3以下とすることによ
り、基体との密着性に大きく影響がある基体との界面か
ら0.1μm厚までのパリレン膜中にシランカップリン
グ剤が分散含有された状態となり、シランカップリング
剤が必要以上に基体との界面近傍に存在し、例えば、シ
ランカップリング剤が基体の表面全体と接することよ
り、パリレン膜の基体との密着性が低下してしまうとい
ったことを防止することができる。
【0063】また、パリレン膜表面から0.5μm厚ま
での範囲に含有されるシランカップリング剤のSi濃度
を0mg/cm3以上0.5mg/cm3以下とすること
が好ましく、これにより、パリレン膜表面の膜性能にシ
ランカップリング剤が支障をきたすことがなく、パリレ
ン膜の絶縁性、耐防湿性等を充分に発揮することができ
る。
【0064】(実施例1)インクジェットヘッドを次の
工程により作製した。 (1)ドライフィルムを上面に貼り付けた厚さ1mmの
PZT基板に、深さ360μm、幅70μm、長さ30m
mの溝を140μmのピッチでダイシングソーにより形
成した。 (2)アルミの真空蒸着により、PZT基板の上面及び
溝の内壁にアルミの金属膜を形成した。 (3)アセトンでドライフィルムを剥離することによ
り、PZT基板の上面に蒸着されたアルミの金属膜を除
去し、溝の内壁にアルミ電極を形成した。 (4)アルミナ基板を蓋部材として、2液硬化型エポキ
シ接着剤(エポキシテクノロジー社製 Epo-Tec 353ND)
により溝を覆うようにして接合してインクチャネルを形
成し、これを基体とした。 (5)次に、製膜室の内部に基体を配置し、γ-メタク
リルオキシプロピルトリメトキシシラン5mlを多孔質
のスポンジに含浸させて製膜室の底面に置き、真空ポン
プで製膜室内を排気した。この場合、多孔質のスポンジ
によりγ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラ
ンの蒸発が制限されるため、排気開始から1時間程度は
30mTorrの蒸気圧が保たれる。本実施例では、排
気開始から30分後に、γ-メタクリルオキシプロピル
トリメトキシシランの蒸気雰囲気下で、始めにパリレン
Nを昇華・分解して製膜を開始し、1μm製膜されたと
ころでパリレンCの昇華・分解を開始すると共に、パリ
レンNの昇華を徐々に停止させ、最終的にはパリレンC
のみで製膜を行って、7μmのパリレン膜を形成した。
尚、始めにパリレンNを昇華・分解して製膜を開始した
ときのγ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラ
ンの蒸気雰囲気下は、γ-メタクリルオキシプロピルト
リメトキシシランが一部気化した状態であり、また、本
実施例では、パリレンCの製膜途中でありパリレン膜の
膜厚としては約4μmが形成されたところで、γ-メタク
リルオキシプロピルトリメトキシシラン5mlはすべて
気化された。 (6)全インクチャネルの一方の開口を覆うように、ポ
リイミドからなるノズルプレートを2液硬化型エポキシ
接着剤(エポキシテクノロジー社製 Epo-Tec 353ND)に
より接合した。 (7)全インクチャネルの他方の開口部には、インク導
入孔を有するインク供給プレートを介してインクマニフ
ォールドを取り付けてインクジェットヘッドを作製し
た。
【0065】尚、パリレン膜の保護膜を設けない部分に
は、予めマスキングしておくと良い。 (実施例2)実施例1の上記(1)〜(7)の工程にお
いて、(5)の工程を次のように行った以外、他の工程
は同様にしてインクジェットヘッドを作製した。実施例
2では、製膜室にニードルバルブを介して蒸気発生室を
連結した製膜装置を用い、蒸気発生室でγ-メタクリル
オキシプロピルトリメトキシシランの蒸気を発生させ、
バルブを開閉することによりγ-メタクリルオキシプロ
ピルトリメトキシシランの蒸気を製膜室に導入するよう
にした。
【0066】本実施例においては、製膜室の内部に基体
を配置し、バルブを開いて製膜室内に蒸気を30分間導
入して、製膜室内部がγ-メタクリルオキシプロピルト
リメトキシシランの蒸気雰囲気となった後に、始めにパ
リレンNを昇華・分解して製膜を開始し、0.1μm製
膜されたところでバルブを閉じてγ-メタクリルオキシ
プロピルトリメトキシシランの蒸気の導入を停止した。
その後、パリレンCの昇華・分解を開始すると共に、パ
リレンNの昇華を徐々に停止させ、最終的にはパリレン
Cのみで製膜を行って、7μmのパリレン膜を形成し
た。以上のようにして(5)の工程を行った。
【0067】(その他の実施例)実施例1又は2と同様
なインクジェットヘッドの製作において、(5)の工程
における製膜条件(シランカップリング剤の供給量、パ
リレンN及びパリレンCの供給量や導入タイミング、製
膜室内の圧力や温度等)を種々変えてインクジェットヘ
ッドを作製した。勿論、何れもパリレン膜の製膜の当初
からシランカップリング剤であるγ-メタクリルオキシ
プロピルトリメトキシシランがパリレン膜に分散含有さ
れるように、その蒸気雰囲気化にパリレン膜の製膜を開
始した。この結果を実施例3〜7として下記の表1に示
す。
【0068】(比較例)実施例1の上記(1)〜(7)
の工程において、(5)の工程を次のように行った以
外、他の工程は同様にしてインクジェットヘッドを作製
した。この比較例では、製膜室11の内部に基体を配置
し、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン
5mlを入れた金属秤量円板を製膜室11の底面に置
き、真空ポンプで製膜室11を6×10-6Torrまで
減圧してγ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシ
ランを基体に被覆させる。即ち、シランカップリング剤
が全て気化して排気された後に、パリレンCによる製膜
を開始する。その後に、パリレンCの昇華・分解を開始
して、パリレンCからなる7μmのパリレン膜を形成し
た。
【0069】各実施例及び比較例の結果を表1に示す。
表1において、各評価項目は、次の通りである。ここ
で、パリレン膜中のSi濃度(ケイ素濃度)の分析は次
の通りである。各試料を灰化後、炭酸ナトリウムにてア
ルカリ溶解し、セイコー電子社製SPS4000を用い
て測定波長251.6nmでICP-AES測定にてケ
イ素の定量を行った。一方、パリレン膜を斜めにカット
して斜め断面を作製し、これをアルバックファイ社製T
RIFT IIを用いて加速電圧15kVでTof-SIM
S測定してSi濃度分布(相対値)を求め、ICP-A
ES測定によるケイ素の定量データと合わせてSiの濃
度分布(絶対値)を求めた。また、パリレンNとパリレ
ンCの含有量の分析は、各試料を灰化後、炭酸ナトリウ
ムにてアルカリ溶解し、ICP-AES測定にて塩素の
定量を行いパリレンCの割合を求めることに基づいて行
った。
【0070】〔付着力〕ノズル面が2mm×40mmの大
きさであるインクジェットヘッドを用いて付着力を測定
した。幅2mm、長さ50mm、厚さ50μmのポリイ
ミドシートを、2液硬化型エポキシ接着剤(Epo-Tec 35
3ND)でノズル面に接着した。ノズル面からはみ出たポ
リイミドシートの10mmの部分をつかみ、それをノズ
ル面と垂直方向に引っ張り、ノズル面の基体からパリレ
ン膜が引き剥がされた時の引き剥がし荷重を求めた。こ
れにより、基体へのパリレン膜の付着力を評価した。
【0071】〔ピンホール〕各実施例及び比較例に記載
のようにして作製したインクジェットヘッドに対し、ピ
ンホールの発生の有無について評価をした。1箇所でも
ピンホールがあると、電圧を印可して駆動する圧電性基
板を用いたインクジェットヘッドにとっては、電極が断
線し、インクジェットヘッドとして機能しなくなるた
め、歩留まりを落とす大きな要困となる。測定には、2
56のインクチャネル(つまり、電極も256個)を備
えたインクジェットヘッドを用いた。インクジェットヘ
ッドのチャネル部分をインク中に浸し、インクジェット
ヘッドに設けられた全ての電極をまとめてパルス電源
(±40V、周期10kHz)の一方の端子に繋いだ。
もう一方の端子は、インクジェットヘッドが浸されてい
るインク中に浸された対向電極に繋いだ。30分間のパ
ルス印加を行った後、各電極に+40Vの電圧を印加し
て、10nA以上の電流が流れた場合にピンホールが存
在すると判断した。そして、10nA以上の電流が流れ
た電極の数を数えて、それをピンホールの個数とした。
【0072】〔耐熱性〕各実施例及び比較例に記載のよ
うにして作製したインクジェットヘッドに対し、耐熱性
の評価をした。耐熱性は、インクジェットヘッドを12
0℃で2時間加熱し、その後、ピンホールの個数をカウ
ントすることにより評価した。
【0073】〔耐久性〕各実施例及び比較例に記載のよ
うにして作製したインクジェットヘッドをそれぞれ20
個用意し、水系インクを用い駆動電圧20Vでインクを
出射して、1×1010ショット繰り返した際に、インク
が出射されたか否かで不良品の個数をカウントすること
で耐久性の評価をした。インクジェットヘッドとしては
256のインクチャネルを備えるものを用いた。ピンホ
ールが発生すると、そこから電極が腐食して断線するた
め、インクが射出されなくなる。1チャネルでもインク
が射出不能になれば、インクジェットヘッドとして十分
な機能を果たせなくなるので、不良品と見なされる。
【0074】これらの結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】〔パリレン層におけるSi濃度の相違に関し
て〕基体から0.1μm厚までのパリレン膜中のシラン
カップリング剤の量を異ならせ、その領域でのSi濃度が
異なるいくつかのサンプルを形成し、各サンプルの密着
力(付着力)と耐熱性と耐久性とを調べた。尚、これら
のサンプルは何れも、パリレン層中の全パリレンの35
モル%がパリレンNであること、また、パリレン層にお
ける下半分の層の70モル%がパリレンNであること、
さらに、パリレン層における上半分の層の100モル%
がパリレンCであること等を共通点として有する。この
結果を表2に示す。
【0077】
【表2】
【0078】〔パリレン層におけるSi濃度の相違に関し
て〕次に、表面から0.5μm厚までのパリレン膜中の
シランカップリング剤の量を異ならせ、その領域でのSi
濃度が異なるいくつかのサンプルを形成し、各サンプル
の密着力(付着力)と耐熱性と耐久性とを調べた。尚、
これらのサンプルは何れも、パリレン層中の全パリレン
の35モル%がパリレンNであること、また、パリレン
層における下半分の層の70モル%がパリレンNである
こと、さらに、パリレン層における上半分の層の100
モル%がパリレンCであること、そのうえ、基体界面か
ら0.1μm厚までのSi濃度が0.2mg/cm3である
こと等を共通点として有する。この結果を表3に示す。
【0079】
【表3】
【0080】〔パリレンNの含有量の相違に関して〕パ
リレン膜の下層と上層の膜厚を変化させることにより、
パリレン膜中に含まれるパリレンNの含有量の異なるい
くつかのサンプルを形成し、各サンプルの密着力(付着
力)と耐熱性と耐久性とを調べた。尚、これらのサンプ
ルは何れも、パリレン層における下層にパリレンNが1
00モル%含まれること、パリレン層における上層にパ
リレンCが100モル%含まれること、基体界面から
0.1μm厚までに含まれるSi濃度が0.2mg/cm3
であること、パリレン層厚が5μmであること等を共通
点としている。この結果を表4に示す。
【0081】
【表4】
【0082】以上の実施例において、パリレン膜は電極
の保護のみならず、基体間を接合する接着剤もインクか
ら保護することができていた。また、以上においては、
インクジェットヘッドの実施形態に基づき説明したが、
本発明は、インクジェットヘッド以外の他の製品や技術
分野にも適用できるものであり、基体上に保護膜として
パリレン膜を形成する種々の形態に用いることができ
る。従って、基体は、種々の基体を用いることができ、
その材料もプラスチック、金属、セラミックス等、種々
の材料のものに適用可能である。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、基体との密着性及び耐
久性が極めて優れたパリレン膜、及びそのようなパリレ
ン膜が得られるパリレン膜形成方法、並びにそのパリレ
ン膜又はそのパリレン膜形成方法によって得られたパリ
レン膜を用いたインクジェットヘッドを提供することで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるインクジェットヘッ
ドの外観図である。
【図2】インクジェットヘッドにおけるインクチャネル
1個分の断面模式図である。
【図3】図2のインクチャネル1個分における圧電性基
板の一部を示す図である。
【図4】製膜装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 2 圧電性基板 3 他の壁を形成する部材(蓋部材) 4 インクチャネル 5 電極 6 保護膜(パリレン膜) 7 ノズルプレート 8 ノズル孔 10 製膜装置 11 製膜室 12,13 昇華室 14,15 熱分解室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B05D 7/24 303 B41J 3/04 103A B41J 2/055 103H 2/16 Fターム(参考) 2C057 AF66 AF70 AF93 AG44 AG45 AG99 AP01 AP53 AQ02 AQ03 AQ10 BA03 BA14 4D075 BB85Y CA13 CA23 CA40 CA44 CA47 DA06 DC27 EA60 EB11 EC45 EC54 4F033 AA14 BA03 CA01 DA01 EA01 NA01

Claims (52)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インクチャネル内に電極を有するインクジ
    ェットヘッドにおいて、前記インクチャネルを構成する
    基体に、前記電極を被覆するようにシランカップリング
    剤を含有するポリパラキシリレンまたはその誘導体を有
    する被膜を設けたことを特徴とするインクジェットヘッ
    ド。
  2. 【請求項2】前記被膜は、前記基体との界面から0.1μ
    m厚までの範囲に含有される前記シランカップリング剤
    のSi濃度が0.1mg/cm3以上であることを特徴とする請求
    項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】前記被膜は、前記基体との界面から0.1μm
    厚までの範囲に含有される前記シランカップリング剤の
    Si濃度が5mg/cm3以下であることを特徴とする請求
    項1または2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】前記被膜は、表面から0.5μm厚までの範囲
    に含有される前記シランカップリング剤のSi濃度が0mg
    /cm3以上0.5mg/cm3以下であることを特徴とする請求
    項1乃至3の何れかに記載のインクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】前記被膜はポリパラキシリレン(パリレン
    N)の成分が50モル%以下であることを特徴とする請
    求項1乃至4の何れかに記載のインクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】前記被膜はポリパラキシリレン(パリレン
    N)の成分とポリクロロパラキシリレン(パリレンC)
    の成分とを含有することを特徴とする請求項1乃至5の
    何れかに記載のインクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】前記被膜を前記基体側の下層と表面側の上
    層とに膜厚で二分した場合、前記下層は前記ポリパラキ
    シリレン(パリレンN)の成分を70モル%以上含有
    し、前記上層は前記ポリクロロパラキシリレン(パリレ
    ンC)の成分を70モル%以上含有することを特徴とす
    る請求項6に記載のインクジェットヘッド。
  8. 【請求項8】前記被膜の膜厚が1μm以上10μm以下
    であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載
    のインクジェットヘッド。
  9. 【請求項9】インクチャネル内に電極を有するインクジ
    ェットヘッドの形成方法において、前記インクチャネル
    を構成する基体に電極を形成した後、シランカップリン
    グ剤の蒸気雰囲気下で、気相合成法によりポリパラキシ
    リレンまたはその誘導体を有する被膜が、前記基体の電
    極を被覆するように前記基体上に設けられることを特徴
    とするインクジェットヘッドの形成方法。
  10. 【請求項10】前記被膜は、ポリパラキシリレン(パリ
    レンN)を供給した後、ポリクロロパラキシリレン(パ
    リレンC)を供給することにより形成することを特徴と
    する請求項9に記載のインクジェットヘッドの形成方
    法。
  11. 【請求項11】前記ポリクロロパラキシリレン(パリレ
    ンC)を供給中に、前記シランカップリング剤の全てを
    気化させることを特徴とする請求項10に記載のインク
    ジェットヘッドの形成方法。
  12. 【請求項12】インクチャネル内に電極を有するインク
    ジェットヘッドの形成方法において、前記インクチャネ
    ルを構成する基体に電極を形成した後、シランカップリ
    ング剤の一部が気化した蒸気雰囲気下で、気相合成法に
    よりポリパラキシリレンまたはその誘導体を有する被膜
    が、前記基体の電極を被覆するように前記基体上に設け
    られることを特徴とするインクジェットヘッドの形成方
    法。
  13. 【請求項13】前記気相合成法による前記被膜の形成途
    中に、前記シランカップリング剤の全てを気化させるこ
    とを特徴とする請求項12に記載のインクジェットヘッ
    ドの形成方法。
  14. 【請求項14】前記気相合成法により前記被膜の膜厚が
    5μm形成されるまでに、前記シランカップリング剤の
    全てを気化させることを特徴とする請求項12または1
    3に記載のインクジェットヘッドの形成方法。
  15. 【請求項15】前記気相合成法により前記被膜の膜厚が
    0.1μm形成されたときに、前記シランカップリング
    剤の一部が気化されていない状態で残存することを特徴
    とする請求項12乃至14の何れかに記載のインクジェ
    ットヘッドの形成方法。
  16. 【請求項16】前記被膜の形成は、ポリパラキシリレン
    (パリレンN)を供給した後、ポリクロロパラキシリレ
    ン(パリレンC)を供給することを特徴とする請求項1
    2乃至15の何れかに記載のインクジェットヘッドの形
    成方法。
  17. 【請求項17】前記ポリクロロパラキシリレン(パリレ
    ンC)を供給中に前記シランカップリング剤の全てを気
    化させることを特徴とする請求項16に記載のインクジ
    ェットヘッドの形成方法。
  18. 【請求項18】圧電性基板上に電極を備えたインクチャ
    ネルを有し、前記電極に電圧を印加して前記圧電性基板
    を変形させることにより前記インクチャネルからインク
    を吐出するインクジェットヘッドにおいて、 前記圧電性基板上に前記電極を被覆するようにシランカ
    ップリング剤を含有するポリパラキシリレンまたはその
    誘導体を有する被膜を設けたことを特徴とするインクジ
    ェットヘッド。
  19. 【請求項19】前記圧電性基板がPZT基板であることを
    特徴とする請求項18に記載のインクジェットヘッド。
  20. 【請求項20】前記被膜は、前記圧電性基板との界面か
    ら0.1μm厚までの範囲に含有される前記シランカップ
    リング剤のSi濃度が0.1mg/cm3以上であることを特徴と
    する請求項18または19に記載のインクジェットヘッ
    ド。
  21. 【請求項21】前記被膜は、前記圧電性基板との界面か
    ら0.1μm厚までの範囲に含有される前記シランカップリ
    ング剤のSi濃度が5mg/cm3以下であることを特徴と
    する請求項18乃至20の何れかに記載のインクジェッ
    トヘッド。
  22. 【請求項22】前記被膜は、表面から0.5μm厚までの範
    囲に含有される前記シランカップリング剤のSi濃度が0
    mg/cm3以上0.5mg/cm3以下であることを特徴とする請
    求項18乃至21の何れかに記載のインクジェットヘッ
    ド。
  23. 【請求項23】前記被膜はポリパラキシリレン(パリレ
    ンN)の成分が50モル%以下であることを特徴とする
    請求項18乃至22の何れかに記載のインクジェットヘ
    ッド。
  24. 【請求項24】前記被膜はポリパラキシリレン(パリレ
    ンN)の成分とポリクロロパラキシリレン(パリレン
    C)の成分とを含有することを特徴とする請求項18乃
    至23の何れかに記載のインクジェットヘッド。
  25. 【請求項25】前記被膜を前記圧電性基板側の下層と表
    面側の上層とに膜厚で二分した場合、前記下層は前記ポ
    リパラキシリレン(パリレンN)の成分を70モル%以
    上含有し、前記上層は前記ポリクロロパラキシリレン
    (パリレンC)の成分を70モル%以上含有することを
    特徴とする請求項24に記載のインクジェットヘッド。
  26. 【請求項26】前記被膜の膜厚が1μm以上10μm以
    下であることを特徴とする請求項18乃至25の何れか
    に記載のインクジェットヘッド。
  27. 【請求項27】圧電性基板上に電極を備えたインクチャ
    ネルを有し、前記電極に電圧を印加して前記圧電性基板
    を変形させることにより前記インクチャネルからインク
    を吐出するインクジェットヘッドの形成方法において、 前記圧電性基板上に電極を形成した後、シランカップリ
    ング剤の蒸気雰囲気下で、ポリパラキシリレンまたはそ
    の誘導体を有する被膜が、前記圧電性基板上の電極を被
    覆するように前記圧電性基板上に設けられることを特徴
    とするインクジェットヘッドの形成方法。
  28. 【請求項28】前記被膜の形成は、ポリパラキシリレン
    (パリレンN)を供給した後、ポリクロロパラキシリレ
    ン(パリレンC)を供給することを特徴とする請求項2
    7に記載のインクジェットヘッドの形成方法。
  29. 【請求項29】前記ポリクロロパラキシリレン(パリレ
    ンC)を供給中に前記シランカップリング剤の全てを気
    化させることを特徴とする請求項28に記載のインクジ
    ェットヘッドの形成方法。
  30. 【請求項30】圧電性基板上に電極を備えたインクチャ
    ネルを有し、前記電極に電圧を印加して前記圧電性基板
    を変形させることにより前記インクチャネルからインク
    を吐出するインクジェットヘッドの形成方法において、 前記圧電性基板上に電極を形成した後、シランカップリ
    ング剤の一部が気化した蒸気雰囲気下で、気相合成法に
    よりポリパラキシリレンまたはその誘導体を有する被膜
    が、前記圧電性基板上の電極を被覆するように前記圧電
    性基板上に設けられることを特徴とするインクジェット
    ヘッドの形成方法。
  31. 【請求項31】前記気相合成法による前記被膜の形成途
    中に、前記シランカップリング剤の全てを気化させるこ
    とを特徴とする請求項30に記載のインクジェットヘッ
    ドの形成方法。
  32. 【請求項32】前記気相合成法により前記被膜の膜厚が
    5μm形成されるまでに、前記シランカップリング剤の
    全てを気化させることを特徴とする請求項30または3
    1に記載のインクジェットヘッドの形成方法。
  33. 【請求項33】前記気相合成法により前記被膜の膜厚が
    0.1μm形成されたときに、前記シランカップリング
    剤の一部が気化されていない状態で残存させることを特
    徴とする請求項30乃至32の何れかに記載のインクジ
    ェットヘッドの形成方法。
  34. 【請求項34】前記被膜の形成は、ポリパラキシリレン
    (パリレンN)を供給した後、ポリクロロパラキシリレ
    ン(パリレンC)を供給することを特徴とする請求項3
    0乃至33の何れかに記載のインクジェットヘッドの形
    成方法。
  35. 【請求項35】前記ポリクロロパラキシリレン(パリレ
    ンC)を供給中に、前記シランカップリング剤の全てを
    気化させることを特徴とする請求項34のインクジェッ
    トヘッドの形成方法。
  36. 【請求項36】基体の表面上に形成されたポリパラキシ
    リレンまたはその誘導体を有する被膜において、シラン
    カップリング剤を含有することを特徴とする被膜。
  37. 【請求項37】前記基体との界面から0.1μm厚までの
    範囲に含有される前記シランカップリング剤のSi濃度が
    0.1mg/cm3以上であることを特徴とする請求項36に記
    載の被膜。
  38. 【請求項38】前記基体との界面から0.1μm厚までの範
    囲に含有される前記シランカップリング剤のSi濃度が5
    mg/cm3以下であることを特徴とする請求項36また
    は37に記載の被膜。
  39. 【請求項39】表面から0.5μm厚までの範囲に含有され
    る前記シランカップリング剤のSi濃度が0mg/cm3以上
    0.5mg/cm3以下であることを特徴とする請求項36乃至
    38の何れかに記載の被膜。
  40. 【請求項40】ポリパラキシリレン(パリレンN)の成
    分が50モル%以下であることを特徴とする請求項36
    乃至39の何れかに記載の被膜。
  41. 【請求項41】ポリパラキシリレン(パリレンN)の成
    分とポリクロロパラキシリレン(パリレンC)の成分と
    を含有することを特徴とする請求項36乃至40の何れ
    かに記載の被膜。
  42. 【請求項42】前記基体側の下層と表面側の上層とに膜
    厚で二分した場合、前記下層は前記ポリパラキシリレン
    (パリレンN)の成分を70モル%以上含有し、前記上
    層は前記ポリクロロパラキシリレン(パリレンC)の成
    分を70モル%以上含有することを特徴とする請求項4
    1に記載の被膜。
  43. 【請求項43】前記被膜の膜厚が1μm以上10μm以
    下であることを特徴とする請求項36乃至42の何れか
    に記載の被膜。
  44. 【請求項44】基体の表面上にポリパラキシリレンまた
    はその誘導体を有する被膜の形成方法において、 シランカップリング剤の蒸気雰囲気下で、前記基体上に
    気相合成法によりポリパラキシリレンまたはその誘導体
    を有する被膜を形成することを特徴とする被膜の形成方
    法。
  45. 【請求項45】前記被膜の形成方法において、ポリパラ
    キシリレン(パリレンN)を供給した後、ポリクロロパ
    ラキシリレン(パリレンC)を供給することを特徴とす
    る請求項44に記載の被膜の形成方法。
  46. 【請求項46】前記ポリクロロパラキシリレン(パリレ
    ンC)を供給中に前記シランカップリング剤の全てを気
    化させることを特徴とする請求項45に記載の被膜の形
    成方法。
  47. 【請求項47】基体の表面上にポリパラキシリレンまた
    はその誘導体を有する被膜の形成方法において、 シランカップリング剤の一部が気化した蒸気雰囲気下
    で、前記基体上に気相合成法によりポリパラキシリレン
    またはその誘導体を有する被膜を形成することを特徴と
    する被膜の形成方法。
  48. 【請求項48】前記気相合成法による前記被膜の形成途
    中に、前記シランカップリング剤の全てを気化させるこ
    とを特徴とする請求項47に記載の被膜の形成方法。
  49. 【請求項49】前記気相合成法により前記被膜の膜厚が
    5μm形成されるまでに、前記シランカップリング剤の
    全てを気化させることを特徴とする請求項47または4
    8に記載の被膜の形成方法。
  50. 【請求項50】前記気相合成法により前記被膜の膜厚が
    0.1μm形成されたときに、前記シランカップリング
    剤の一部が気化されていない状態で残存させることを特
    徴とする請求項47乃至49の何れかに記載の被膜の形
    成方法。
  51. 【請求項51】前記被膜の形成方法において、ポリパラ
    キシリレン(パリレンN)を供給した後、ポリクロロパ
    ラキシリレン(パリレンC)を供給することを特徴とす
    る請求項47乃至50の何れかに記載の被膜の形成方
    法。
  52. 【請求項52】前記ポリクロロパラキシリレン(パリレ
    ンC)を供給中に前記シランカップリング剤の全てを気
    化させることを特徴とする請求項51に記載の被膜の形
    成方法。
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