JP2003019423A

JP2003019423A - 中空糸膜モジュール積層体

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Publication number: JP2003019423A
Application number: JP2002184035A
Authority: JP
Inventors: Satoyuki Furukawa; 智行古川; Ikuo Kinoshita; 育男木下
Original assignee: Mitsubishi Rayon Co Ltd
Current assignee: Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date: 2002-06-25
Filing date: 2002-06-25
Publication date: 2003-01-21

Abstract

(57)【要約】【課題】必要とする耐圧性を確保しながら、任意に膜
面積を増加しうる高い容積効率を有する中空糸膜モジュ
ール積層体を提供する。【解決手段】中空糸膜を一方向に配列しシート状とし
たシート状中空糸膜の端部を概略直方体形状を有する支
持部材に中空糸膜端の開口状態を維持して固定してなる
中空糸膜モジュールの複数個を、モジュール間に仕切部
材を介することなく、また各モジュールのシート面を互
いに接触させることなく向き合わせて並べてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、河川水、し尿、下
水、廃水等の高汚濁水中に含まれる懸濁物質の濾過に用
いる中空糸膜モジュール積層体に関する。

【０００２】

【従来の技術】中空糸膜モジュールは、無菌水、飲料
水、高純度水の製造や、空気の浄化等のいわゆる精密濾
過の分野で広く使用されているが、下水処理場における
二次処理、三次処理や浄化槽での固液分離、産業廃水中
の浮遊懸濁物質の固液分離、浄水場における河川水の直
接濾過、工業用水の濾過、プール水の濾過等の高汚濁水
処理の分野での使用についても種々検討されている。

【０００３】この高汚濁水処理の分野で用いられる中空
糸膜モジュールは、従来の中空糸膜を集束した円筒形タ
イプの他に、近年中空糸膜を配列しシート状として一端
を支持体に固定したシート状タイプのものが用いられる
ようになってきた。このシート状タイプの中空糸膜モジ
ュールは、濾過する場合、中空糸膜が拘束されない状態
にあるため、断続的若しくは連続的にエアースクラビン
グで膜面洗浄を行うことにより容易に膜機能を回復さ
せ、濾過を行うことができ、円筒形タイプの中空糸膜モ
ジュールにおけるような膜表面に懸濁物質が堆積し、中
空糸膜同士が固着して一体化し有効膜面積が減少、また
濾過流量の低下を起こすというような問題を生じない。

【０００４】一方、シート状タイプの中空糸膜モジュー
ルにおいては、膜面積の増大、膜の寿命を延ばす逆通水
洗浄、圧縮エアーによる逆圧洗浄が求められている。し
かしながら、シート状タイプの中空糸膜モジュールは、
中空糸膜モジュールを積層し、シート状物固定支持部の
中空糸膜開口端に連通する集水部を形成させて用いる
が、膜面積を増やすため積層数が多くなるほど、また洗
浄効率を高めるほど集水部での耐圧性が要求される。

【０００５】耐圧性を向上させる手段には、シート状物
固定支持部の肉厚を厚くしたり、固定支持部材を高弾性
率のものに変更し、集水部の変形を少なくする等の方法
があるが、容積効率、部材コストの点で問題があり、モ
ジュール重量の増加を招く欠点もある。また、モジュー
ル積層体の外側に補強材を取り付ける方法もあるが、吸
引濾過には効果がなく、また、シート状物固定支持部に
補強材を取り付ける方法もなかった。さらに、集水部を
小さくしたり、集水部を形成するシート状物固定支持部
の孔を分割する方法は、膜面積の減少による容積効率の
低下や製造工程が煩雑であることから有効ではない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、必要
とする耐圧性を確保しながら、任意に膜面積を増加しう
る高い容積効率を有する中空糸膜モジュール積層体を提
供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、中空糸膜を一
方向に配列しシート状としたシート状中空糸膜の端部を
概略直方体形状を有する支持部材に中空糸膜端の開口状
態を維持して固定してなる中空糸膜モジュールの複数個
を、モジュール間に仕切部材を介することなく、また各
モジュールのシート面を互いに接触させることなく向き
合わせて並べた中空糸膜モジュール積層体、にある。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明を図面に従い詳細に説明す
る。図１は、本発明の中空糸膜モジュール積層体の一例
の部分斜視図、図２は、図１のＡ・Ａ’線断面図、図３
は、本発明における中空糸膜モジュールの一例の部分斜
視図、図４は、本発明において用いることのできる板状
補強体の一例の斜視図である。図中、１はシート状中空
糸膜、２は固定用樹脂、３は中空糸膜開口部、４は支持
部材、５はスリット、６は板状補強体、７は集水部蓋、
８は押さえロッド、４１、６１はＯリング溝、４２は枠
体用Ｏリング、４３、６３は凹凸部、６４は液流貫通
孔、６５はロッド挿入孔、７１は集水口、８１はロッド
用Ｏリングを表す。

【０００９】図１において、シート状中空糸膜１は、そ
の中空糸膜の配向と同一方向の一端が支持部材４に設け
たスリット５を貫通して支持部材４の内部に挿入され、
スリット部でシート状中空糸膜が固定用樹脂２で封着さ
れて構成された複数の中空糸膜モジュールが、その支持
部材４の部分で、仕切部材を介することなく、重ねて並
べられ、積層したモジュールの支持部材間には適宜板状
補強体６が配され、積層体の両側に集水口７１を備えた
集水部蓋７を設け、押さえロッド８により積層体全体が
固定されている。

【００１０】また、図２において、複数積層された中空
糸膜モジュールの各支持部材４の内部にはシート状中空
糸膜の中空糸膜端開口部３を有し、中空糸膜モジュール
の積層により中空糸膜開口部３を有する支持部材４の重
ねた部分で各支持部材内に連通する集水部が形成され
る。

【００１１】中空糸膜モジュールは、図３に示すよう
に、シート状中空糸膜１と、支持部材４からなり、支持
部材に設けた長手方向に延びるスリット５を貫通して中
空糸膜の配向と同一方向のシート状中空糸膜の端部が支
持部材４内部に挿入され、支持部材４の内部で中空糸膜
端が開口部３を形成し、スリット５の部分でシート状中
空糸膜１が固定用樹脂２で封着されて構成される。支持
部材４の側面には、集水部を形成するため、また積層後
のズレが生じないように、凹凸部４３が設けられ、また
側面にはＯリング溝４１が設けられている。

【００１２】また、中空糸膜モジュールは、２個の支持
部材を用い、中空糸膜の配向と同一方向のシート状中空
糸膜の両端をそれぞれの支持部材に設けたスリットを貫
通させて内部に挿入し、支持部材の内部でシート状中空
糸膜の中空糸膜端に開口部を形成し、スリット部分でシ
ート状中空糸膜を固定用樹脂で封着して構成してもよ
く、また、中空糸膜の配向と同一方向のシート状中空糸
膜を折り返し同一のシート状中空糸膜の両端を、１個の
支持部材に設けたスリットを貫通させて内部に挿入し、
支持部材の内部でシート状中空糸膜の中空糸膜端に開口
部を形成し、スリット部分でシート状中空糸膜を固定用
樹脂で封着して構成してもよい。

【００１３】積層された中空糸膜モジュール間に適宜配
される板状補強体は、図４に示すように、液流の貫通孔
６４を有し、支持部材４と同形の外観形状を有してお
り、板状補強体６の側面には、集水部を形成するため、
または積層後のズレが生じないように、凹凸部６３が設
けられ、また側面にはＯリング溝６１が設けられてい
る。また、板状補強体６には、押さえロッドの挿入孔６
５を有する。液流の貫通孔６４は、板状補強体６の補強
効果を損なわないような大きさ或いは数とする。

【００１４】中空糸膜モジュールの積層は、図３に示し
たように、支持部材４同士が重なるようにして行い、所
定の膜面積に必要なモジュール数を積層固定する。ま
た、板状補強体６の積層された中空糸膜モジュール間へ
の装着は、図４に示したように、任意の所定の位置に配
する。

【００１５】板状補強体が間に配された中空糸膜モジュ
ールの積層体の両側には、図１に示すように、集水口７
１を備えた集水部蓋７が配設され、押さえロッド８によ
り集積体全体が緊密に固定されている。集水部蓋７と積
層体とは、中空糸膜モジュールの支持部材同士、或いは
支持部材と板状補強体との積層面と同様に、ズレないよ
うに固定することが好ましい。

【００１６】中空糸膜モジュールの支持部材４、板状補
強体６及び集水部蓋７との積層固定は、積層部からの漏
れがないようにすることが好ましく、前記以外の方法と
して、積層固定を接着剤、或いは接着剤とＯリングの組
み合わせ等にて行ってもよい。

【００１７】また、中空糸膜モジュールの支持部材４、
板状補強体６及び集水部蓋７との積層固定部を、さらに
押さえロッド８にてその積層体全体を、必要に応じ金属
板等のあて板を用い、締め付け緊密に固定することもで
きる。押さえロッド８は、積層体の各板状枠内及び板状
補強体のロッド挿入孔を貫通させ、両端の集水部蓋でロ
ッド端部に設けたネジ部で締め付けるが、集水部からの
漏れがないよう集水部蓋７のロッド挿入孔に当接するロ
ッド部分にＯリング８１を設けてシールすることが好ま
しい。また、押さえロッド８の数は、積層体の構成に応
じて決定されるが、モジュールの積層数が少なく、支持
部材及び板状補強体との固定が十分な場合は、押さえロ
ッドを用いなくともよい。

【００１８】集水部蓋７に備える集水口７１は、各中空
糸膜モジュールの中空糸膜で濾過された集水部の液体を
適宜の吸引系で導き排出するためのもので、積層体の両
端の集水部蓋７に積層体の中空糸膜モジュール構成、処
理すべき廃水等に応じて必要数を備える。

【００１９】本発明の中空糸膜モジュールの積層体にお
いては、積層体の集水部には、吸引濾過の際の吸引圧
と、逆通水洗浄や圧縮空気による逆圧洗浄の際の加圧が
かかり、中空糸膜を支持する枠の変形が生じ、特に枠が
長方形である場合は、長い枠片の中央部分に最大たわみ
が発生する。枠同士が完全に密に積層したと仮定し、枠
の厚さをＷ、枠内の横幅をＤ、積層数をＮとし、Ｄ＞
（Ｗ×Ｎ）の場合、枠片の厚みｔがたわみ変形量ωに比
較して十分に小さいとき、微少たわみ理論によれば、最大たわみω＝α_２×（ｐ×（Ｗ×Ｎ）^４）／Ｅ×ｔ^３（式中、ｐ：圧力、α_２：係数、Ｅ：弾性係数）とな
る。

【００２０】ここで、押さえロッドの貫通孔が十分に小
さい場合、板状補強体の圧力による変形は無視できるの
で、たわみ変形量は板状補強体では０とすることができ
る。従って、積層体の中間部に板状補強体が配された場
合は、（Ｗ×Ｎ）の値は１／２となり、たわみ面の縦横
比で決まる係数α_２の値を同程度とすれば、最大たわみ
ωは１／１６となる。最大たわみの式から明らかなよう
に、たわみ量を減少させるための最も効果的な方法は、
枠片の厚みｔを増やしたり、材質を高弾性率のものに変
更することよりも、（Ｗ×Ｎ）の値を小さくすることで
ある。本発明においては、板状補強体を積層体間に配す
ることにより、全体積層数を増やし集水部の耐圧性を向
上させたものである。

【００２１】本発明において中空糸膜モジュールに用い
られる中空糸膜としては、例えばセルロース系、ポリオ
レフィン系、ポリビニルアルコール系、ポリメチルメタ
クリレート系、ポリスルフォン系等の素材からなるもの
が挙げられ、ポリエチレン、ポリプロピレン等の強伸度
の高い中空糸膜が好ましく用いられる。また、中空糸膜
は、濾過膜として使用可能なものであれば、その孔径、
空孔率、膜厚、外径等に特に制限はなく、濾過の対象と
なる懸濁物質によって適宜選択され、さらに有機物やウ
イルスの除去を目的とする場合は、分画分子量数万〜数
十万の限外濾過膜であってもよい。

【００２２】また、用いられる中空糸膜は、その表面が
エチレン／ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアル
コール等で親水化された中空糸膜等の親水化中空糸膜で
あることが好ましく、親水化中空糸膜であるときは、親
油性物質の吸着を抑え濾過性能を長期間維持する。

【００２３】本発明においては、中空糸膜モジュールの
中空糸膜は、中空糸膜を一方向に配したシート状物の形
態で用いられるが、かかるシート状中空糸膜の製造方法
については、特に限定はなく、また中空糸膜モジュール
の形成にあたって用いられるシート状中空糸膜は、一枚
でもよいが、膜面積を多くするうえで複数枚を重ねて用
いることが好ましい。

【００２４】中空糸膜モジュールは、中空糸膜の配向と
同一方向のシート状中空糸膜の端部を支持部材内部に挿
入させ、支持部材内部で中空糸膜端を開口状態としてシ
ート状中空糸膜が固定用樹脂で封着固定されている。か
かるモジュールは、例えば、特願平６−３０１３２号で
出願人が提示したように、支持部材のスリット部分の下
方にポッティング型枠を設けて固定用樹脂をスリット部
分まで満たし、編織物の一端をスリットに差し込み樹脂
を硬化させ接着固定した後、ポッティング型枠を除去し
て固化部分を切断する方法により得ることができる。

【００２５】固定用樹脂としては、例えばエポキシ樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が用
いられ、用いる際の樹脂粘度は１０００〜２５００セン
チポイズ程度であることが好ましい。前記型枠法を用い
る場合は、ポッティング型枠の内面に固定用樹脂が接着
しないよう内面に離型剤を塗布したり、型枠自体を離型
性の高い材料で構成することが好ましい。

【００２６】本発明における中空糸膜モジュールにおい
ては、中空糸膜を一方向に配したシート状物として用い
ることにより、中空糸膜の配列密度を任意に変更しうる
ものであり、また固定用樹脂による充填の偏りがなく固
定しうるものである。

【００２７】

【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。ポリエチレン多孔質中空糸膜（三菱レイヨン（株）
製、ＥＨＦ２７０Ｔ、内径２７０μｍ、外径３８０μ
ｍ）を１６本合糸し、エチレン／ビニルアルコール共重
合体で処理して親水化した中空糸膜を一方向に配列して
幅７００ｍｍ、長さ３２０ｍｍのシートとした。

【００２８】支持部材として、長さ４８０ｍｍ、高さ５
０ｍｍ、厚さ２４ｍｍのＡＢＳ製板を直方体形状体と
し、支持部材に長さ３３０ｍｍ、幅５ｍｍのスリットを
２本穿設した。シリコンゴム製のポッティング型枠を作
製し、スリットの直下に設置した。スリットからポリウ
レタン樹脂を型枠内に注入し、先に作製したシートをそ
の中空糸膜配列方向を揃え２枚重ね、中空糸膜配列方向
のシートの端部を各スリットから型枠に当たるまで挿入
した後、樹脂を硬化させた。その後、型枠を取り外し、
カッターでスリット下部の固化部分を切断した。この作
業を編地の他方の端でも行い、シートの両端が枠状体内
にて中空糸膜の開口部を持つ、有効膜面積が約４ｍ^２の
中空糸膜モジュールを作製した。

【００２９】この中空糸膜モジュールを板状枠部分でＯ
リングにて７個積層し、長さ４８０ｍｍ、高さ５０ｍ
ｍ、厚さ１２ｍｍのＡＢＳ製板を補強板として積層し、
さらに中空糸膜モジュールを７個積層し、積層体の両端
に集水口を備えた集水部蓋をそれれぞれ装着した。得ら
れた中空糸膜モジュール積層体は、膜面積が約５５ｍ^２
であり、また、シート状中空糸膜がほぼ１２ｍｍの間隔
で並び、非常に容積効率の高いものであった。この中空
糸膜モジュール積層体は、集水部の内圧による変形が補
強板を配しないで積層したものに比べ約１／１０以下と
なり、耐圧性が格段に向上したものであった。

【００３０】

【発明の効果】本発明による中空糸膜モジュール積層体
は、仕切部材を介することなく、またその積層体間に板
状補強体を配したことにより、向上した耐圧性を有する
ものであり、所望の膜面積の中空糸膜モジュール積層体
とし得、また、高容積効率を有することから、河川水、
し尿、下水、廃水等の高汚濁水中に含まれる懸濁物質の
濾過に有用なるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の中空糸膜モジュール積層体の一例の部
分斜視図である。

【図２】図１のＡ・Ａ’線断面図である。

【図３】本発明における中空糸膜モジュールの一例の部
分斜視図である。

【図４】本発明における板状補強体の一例の斜視図であ
る。

【符号の説明】

１シート状中空糸膜２固定用樹脂３中空糸膜開口部４支持部材４１Ｏリング溝４２Ｏリング４３凹凸部６板状補強体６１Ｏリング溝６２Ｏリング６３凹凸部６４液流貫通孔６５押さえロッド挿入孔７集水部蓋７１集水口８押さえロッド８１ロッド用Ｏリング

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続きＦターム(参考） 4D006 GA02 GA06 HA12 HA17 JA22A JB04 MA01 MB09 MC11 MC22 MC23 MC33 MC62 PB08 PB24

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】中空糸膜を一方向に配列しシート状とし
たシート状中空糸膜の端部を概略直方体形状を有する支
持部材に中空糸膜端の開口状態を維持して固定してなる
中空糸膜モジュールの複数個を、モジュール間に仕切部
材を介することなく、また各モジュールのシート面を互
いに接触させることなく向き合わせて並べた中空糸膜モ
ジュール積層体。
【請求項２】中空糸膜モジュールが、２枚のシート状
中空糸膜を支持部材に固定してなる中空糸膜モジュール
である請求項１記載の中空糸膜モジュール積層体。
【請求項３】各中空糸膜モジュールの支持部材同士が
重なるように並べた請求項１又は２記載の中空糸膜モジ
ュール積層体。
【請求項４】中空糸膜モジュールの支持部材同士が重
なる支持部材面に凹凸を設けた請求項１〜３のいずれか
一項に記載の中空糸膜モジュール積層体。
【請求項５】中空糸膜モジュールを、シート状中空糸
膜の中空糸膜が鉛直方向に向くように配した請求項１〜
４のいずれか一項に記載の中空糸膜モジュール積層体。