JP2003014651A - コンクリート構造物検査方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】コンクリート構造物を表面から非接触的に走査
し、深さ情報を伴う形で３次元的に映像化し、亀裂など
の欠陥を検査する方法および装置を提供する。 【解決手段】イメージセンサ４の検出部１２と、電波式
のレーダ３のアンテナ（図示せず）とを、所定の間隔を
開けてコンクリート構造物９の表面１０の同じ経路を辿
って走査させ、走査位置データと前記イメージセンサと
これら両データの走査位置データとから、イメージセン
サ４の検出データとレーダ３の受信データとを３次元映
像１９（図４）に統合し、ディスプレイ８などに表示す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート構造
物検査方法およびその装置に関し、更に詳細にはコンク
リート構造物の表面および内部の亀裂などの欠陥を検査
する方法およびその装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】トンネルや高速道路など、過酷な条件が
課せられるコンクリート構造物などでは、安全を維持す
るために構造物内部の傷みや欠陥などの検査をする必要
がある。そのための計測器による非破壊検査方法として
は、可視光あるいは赤外光撮像機器による方法、電波式
レーダー機器による方法などが従来から開発されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記可視光
による検査は、 コンクリート表面は映像化できるが、 コ
ンクリート内部は映像化できず、赤外光による検査は、
コンクリート表面と表面近傍の内部映像化はできるが、
コンクリート深層部（数１０ｃｍ以上）を映像化するこ
とも、深さ情報を得ることもできない。また、電波式レ
ーダーによる検査は、コンクリート内部を、深さ情報を
伴う形で映像化できるが、コンクリート表面は不要な反
射波が生じるために映像化できない。即ち、コンクリー
トの表面および内部の両方の状態を、深さ情報を伴う形
で映像化できる非接触式検査方法はこれまで発表されて
いない。

【０００４】本発明は、以上の問題に着目してなされた
ものであり、コンクリートの表面を非接触的に走査し、
コンクリートの表面および内部を、深さ情報を伴う形で
映像化することで、コンクリート構造物の亀裂その他欠
陥の有無を検査する方法およびその装置を提供すること
を目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明のコンクリート構造物の検査方法は、イメージ
センサおよび電波式のレーダを、所定の間隔を開けてコ
ンクリート構造物の表面を同じ経路を辿り、移動して前
記コンクリート構造物を走査することにより、前記イメ
ージセンサの出力する前記コンクリート構造物表面状態
の走査データとレーダの受信する前記コンクリート内部
状態の走査データと前記両データの走査位置データとを
コントローラのデータ収録部に収録し、前記走査位置デ
ータから得られる同一走査位置の計測タイミングを合わ
せて、前記表面状態の走査データから得られる表面映像
と、前記内部状態の走査データから得られる内部映像と
を、３次元映像データに統合するようにしたものであ
る。

【０００６】前記走査位置を表す手段には特に限定はな
く、例えば、予め検査対象のコンクリート表面に位置を
表すマーキングを行い、これを読み取ることもできる
が、走査位置データを距離センサによる走査開始位置か
ら計測した移動距離データとすることができる。

【０００７】また上記目的を達成するための本発明のコ
ンクリート構造物の検査装置は、コンクリート構造物表
面を映像化するためのイメージセンサと、前記コンクリ
ート構造物内部を映像化するための電波式のレーダと、
これらイメージセンサおよびレ−ダの移動距離を計測す
る距離センサと、該距離センサに同期して前記イメージ
センサとレーダとの走査位置の計測データを収集するコ
ントローラと、前記計測データから前記コンクリート構
造物の表面映像処理と内部映像処理とを行う信号処理部
と、前記表面映像と内部映像とを３次元映像データに統
合する映像統合処理部とからなるものである。

【０００８】前記イメージセンサは、リニア型イメージ
センサが適している。ところで、コンクリートの亀裂等
の欠陥検知に必要な分解能を得る観点から、数 1０ｃｍ
以上の幅を一度に検査することが要求される場合が多い
が、１個のイメージセンサでかかる領域を一度に撮像す
ることは困難であり、リニアタイプのイメージセンサ素
子を複数個直線的に取り付け、一定の幅で走査できるよ
うにしたアレイ型とすると、全体としてのスキャン時間
を、同じ幅を１個のリニアイメージセンサ素子でスキャ
ンするより走査速度を速くすることができる。

【０００９】前記電波式レーダは、周波数が数ギガＨｚ
の高周波を使用するレーダ装置を用いることができる。
リニア型イメージセンサおよびアレイ型レーダは、長手
方向を走査方向に対して交差する方向に配置し、１回の
走査で二次元的にデータを得ることができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下に添付の図面を参照する一実
施の形態を示し、本発明を具体的に説明する。 図１〜
４に示す本実施の形態のコンクリート構造物の検査装置
１は、車２を取り付けたレーダ３に一体的にイメージセ
ンサ４を取り付けた検出部５、コントローラ６、信号処
理，映像統合処理を実行するソフトウエアを搭載した信
号処理部７およびディスプレイ８からなるものであり、
検出部５を例えばトンネルなどのコンクリート構造物９
の表面１０（図１）に押し付けて矢印方向に移動させな
がら走査させるものである。イメージセンサ素子１２ａ
およびレーダアンテナ素子（図示せず）は、図１におい
て紙面に直角方向に複数個配置されている。

【００１１】イメージ検出部１２をアレイ型に組み付け
た様子を図２によって説明する。図２において、センサ
素子１２ａは、レンズ１２ｂおよびＣＣＤ（電界結合素
子）などのイメージセンサ素子１２ｃとからなり、各セ
ンサ素子１２ａを駆動するドライバー１２ｄは、イメー
ジセンサ部４ａに接続されている。

【００１２】コンクリートの亀裂等の欠陥検知に必要な
分解能を得る観点から、本実施の形態の検査部数５の幅
を、複数個（図２では７個）のセンサ素子１２ａを直線
的に数１０ｃｍの幅となるように配列し、アレイ型とし
た。このアレイ型イメージセンサ１２は、１個のセンサ
素子１２ａの走査時間と同じ時間で走査することができ
る。

【００１３】コンクリート内部を検査するセンサは、電
波式レーダが適しており、イメージセンサに合わせて例
えば数１０ｃｍ幅を同時に撮像するために、複数のアン
テナ素子（図示せず）を面的または線的に配置したアレ
イアンテナを使用し、複数組の送・受信信号経路のレー
ダ信号を同時に収集することが好ましい。

【００１４】距離センサ１３は、車２（図１）にロータ
リーエンコーダ（図示せず）を取り付けたものを使用し
た。但し本発明の距離センサはこれに限定されない。

【００１５】図３において、コントローラ１４にはデー
タ収集部１４ａと同期信号発生部１４ｂとを設けてお
り、同期信号発生部１４ｂは、距離センサ１３から出力
される距離信号に同期し、イメージセンサ部４ａ用の撮
像タイミング信号とレーダ部３ａ用の電波受信タイミン
グ信号とを出力する。

【００１６】データ収集部１４ａは、同期信号発生部１
４ｂの出力タイミングに同期してイメージセンサ部４ａ
とレーダ部３ａとから出力されるアナログ受信信号をデ
ジタル信号に変換（ＡＤ変換）して保存する。これによ
り、同じ検査位置のイメージセンサ部４ａとレーダ部３
ａとの計測データの収集が可能になる。

【００１７】信号処理部１５は、コンクリート構造物９
内部の３次元映像をディスプレイ（図１）などに出力す
るため、コントローラ１４の制御信号に基づき、データ
収集部１４ａに収集・保存されたデータから、イメージ
データを３次元画像の表面１０の部分として表示する画
像処理と、レーダ信号からクラッター（コンクリート表
面で起こる不要な反射波に基づくノイズ信号）を除去
し、コンクリート構造物９の内部映像を３次元画像とし
て表示する信号処理とを行い、これらの３次元画像信号
を映像統合処理部１６で，図４に示すようにコンクリー
ト表面１０に亀裂露出部映像１７ａのあるコンクリート
表面映像１８ａと、内部亀裂映像１７ｂのあるコンクリ
−ト内部映像１８ｂとを合成し、コンクリート構造物９
の所定部位の３次元映像１９に統合する処理を行う。

【００１８】このようにすると、３次元映像１９を回転
させるなどすることにより、亀裂露出部映像１７ａと内
部亀裂映像１７ｂとが連続した亀裂か、 別の亀裂かなど
の情報を、データ上からはもとより、目でも確かめるこ
とができる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明した本発明のコンクリート構造
物検査方法およびその装置は、コンクリート構造物の表
面の映像データと内部の映像とをそれぞれに適合した方
法で計測し、信号処理により統合して３次元映像として
表示するようにしたので、直接見ることのできないコン
クリート構造物内部の非破壊検査を可視的に行うことが
可能になり、トンネルその他のコンクリート構造物の施
工検査および保守点検作業の能率および安全管理上の信
頼性を大幅に向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態によるコンクリート構造
物検査装置の全体の構成を示す概要説明図である。

【図２】図１のセンサ検出部１２の構成説明図である。

【図３】図１の信号処理系統の概要を示すブロック回路
図である。

【図４】図３の映像合成処理部１６の映像の合成をイメ
ージ的に示す斜視図である。

【符号の説明】

１ コンクリート構造物検査装置 ３ レーダ ３ａ レーダ部 ４ イメージセンサ ４ａ イメージセンサ部 ５ 検出部 ６ コントローラ ８ ディスプレイ ９ コンクリート構造物 １２ イメージ検出部 １３ 距離センサ １４ コントローラ １４ａ データ収集部 １４ｂ 同期信号発生部 １５ 信号処理部 １６ 映像統合処理部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土井 恭二 岡山県玉野市玉３丁目１番１号 三井造船 株式会社玉野事業所内 Ｆターム(参考） 2G051 AA90 AB02 AB03 AB06 AB07 CA03 CA04 CA07 EA12 EA14 FA10 5J070 AE11 AH31 BD08

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 イメージセンサおよび電波式のレーダ
   を、所定の間隔を開けてコンクリート構造物の表面を同
   じ経路を辿り、移動して前記コンクリート構造物を走査
   することにより、前記イメージセンサの出力する前記コ
   ンクリート構造物表面状態の走査データとレーダの受信
   する前記コンクリート内部状態の走査データと前記両デ
   ータの走査位置データとをコントローラのデータ収録部
   に収録し、前記走査位置データから得られる同一走査位
   置の計測タイミングを合わせて、前記表面状態の走査デ
   ータから得られる表面映像と、前記内部状態の走査デー
   タから得られる内部映像とを、３次元映像データに統合
   するようにしたコンクリート構造物検査方法。
2. 【請求項２】 前記走査位置データが、距離センサによ
   る走査開始位置から計測した移動距離データである請求
   項１記載のコンクリート構造物検査方法。
3. 【請求項３】 コンクリート構造物表面を映像化するた
   めのイメージセンサと、前記コンクリート構造物内部を
   映像化するための電波式のレーダと、これらイメージセ
   ンサおよびレ−ダの移動距離を計測する距離センサと、
   該距離センサに同期して前記イメージセンサとレーダと
   の走査位置の計測データを収集するコントローラと、前
   記計測データから前記コンクリート構造物の表面映像処
   理と内部映像処理とを行う信号処理部と、前記表面映像
   と内部映像とを３次元映像データに統合する映像統合処
   理部とからなるコンクリート構造物検査装置。