JP2003013984A - 組込装置 - Google Patents

組込装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸体の温度上昇による膨張を妨げないと共
に、潤滑油を軸受に供給することができ、更には、軸受
の外輪を組込作業中に正確に位置せしめることを確実に
行なえる組込装置を提供する。 【解決手段】 ワッシャ(11)は、テーパ状をなし、
一方の軸受輪(4)を軸受座(2)へ押すのに十分な軸
線方向の力を伝達することができる第一の安定位置と、
上記軸受輪(4)が軸受座(2)の組込位置に達した後
に、テーパ状のワッシャ(11)が軸線方向の連続する
力の影響のもとに反転したテーパ状に撓めるようになっ
ている不安定領域と、他方の軸受輪の側面から離れて撓
むことによって二つの軸受輪(4,6)の間で流路(1
5)を開口する第二の安定位置とをとるようになってい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に、二つの軸受
輪が軸線方向に互いに相対移動可能な形式の軸受の盲組
立のための組込装置に関するものである。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】このよう
な軸受を盲組立で組み込む場合、即ち、一組の転動体を
伴う内輪が、軸受座の直径と少なくとも同じ直径の隣接
軸体部分を軸体の端部として一体に設けられていること
がしばしばあるという事実に起因して、上記軸受の外輪
が手の届きにくい軸受座内に組み込まれることがあり、
このことは、両軸受輪が軸受座内及び軸体上で確実に正
規の初期位置にもたらすように両軸受輪の組込変位を操
作することが難しいということを意味する。
【0003】このような組込は、例えば、軸体がこのよ
うな隠れた状態で組み込まれ、そして軸体が例えばトロ
イダルころ軸受若しくは軸線方向に変位可能な他の形式
の軸受に支持されるギアボックスで、余儀無くされる。
【0004】したがって、組込装置の目的は、軸受の外
輪が組込作業中に正確に位置することを確実にすること
である。しかし、かかる装置では、軸体の温度上昇によ
る膨張を妨げてしまい、潤滑油を軸受に供給することが
できないという問題点を有する。
【0005】そこで、本発明は、軸体の温度上昇による
膨張を妨げないと共に、潤滑油を軸受に供給することが
でき、更には、軸受の外輪を組込作業中に正確に位置せ
しめることを確実に行なえる組込装置の提供を目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記目
的は、ハウジング内若しくは軸体上の軸受座で、二つの
軸受輪が互いに相対移動可能である形式の軸受けの盲組
立のための組込装置であって、上記軸受座へ一方の軸受
輪を組み込むために、二つの軸受輪のうちのいずれか一
方に嵌合するようになっていてそして二つの軸受輪の間
で軸線方向での組込力を伝達するように他方の軸受輪の
側面に当接する実質上環状のワッシャを有する組込装置
において、ワッシャは、テーパ状をなし、一方の軸受輪
を軸受座へ押すのに十分な軸線方向の力を伝達すること
ができる第一の安定位置と、上記軸受輪が軸受座の組込
位置に達した後に、テーパ状のワッシャが軸線方向の連
続する力の影響のもとに反転したテーパ状に撓めるよう
になっている不安定領域と、他方の軸受輪の側面から離
れて撓むことによって二つの軸受輪の間で流路を開口す
る第二の安定位置とをとるようになっていることによっ
て達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、添付図面
に基づき、実施形態を参照して更に詳細に説明する。
尚、本発明は、このような応用例に限定されないが、軸
体の膨張に対する妨げや軸受への潤滑油の供給不足とい
う、上述と同様の問題点をもつ様々な応用に適用可能で
ある。
【0008】図1〜4は、本発明による組込装置を用い
て、軸受座に隠れた状態で組入れられる軸受を組入れ順
序に従って段階的に示した、軸体を支持するころ軸受の
概要配置構成の部分断面図である。
【0009】図5は、図1〜4による組み込み順序で用
いられる組込装置の断面図である。
【0010】図1には、機械部材の部分1の断面が概略
的に示されており、該部分1は、軸受のためのハウジン
グ、例えばギアボックス或いはこれに類するもののハウ
ジング壁を形成しており、該ハウジングには軸受座及び
肩部3を有する円筒状の凹部2が形成され、この肩部3
に対しては、軸受5の外輪4が組込状態で一方の側面で
当接する。軸受5の内輪6は、ジャーナル部上に配置さ
れ、該ジャーナル部はより径の大きい軸体若しくは円筒
部材8と一体となっており、それによって軸受5の内輪
6に対向する肩部9が形成されている。図示された実施
形態では、外輪4が内輪上で転動体10によって内輪か
ら間隔をもって離れている場合は、この肩部9の寸法が
軸受の外輪4の位置を超えて該外輪の外側にまで延びる
ようになっている。軸受5の形式に起因して、例えばト
ロイダル軸受では、外輪4と複数の転動体10が互いに
そして内輪6に対して軸線方向に相対移動可能であり、
そしてトロイダル軸受では、それらが互いに角度に関し
ても相対的に可動である。
【0011】それ故、外輪4は軸線方向そして角度の方
向に内輪に対して移動するので、単に複数のころの介在
によってジャーナル部7上での内輪6を移動させるだけ
で外輪4を軸受座2内に押すことは不可能である。ジャ
ーナル部7の移動によって外輪4が肩部9と接触するま
で押し込められるようにするためには、組込装置として
一種のワッシャが必要となる。このワッシャは、ジャー
ナル部7若しくは内輪6と外輪4の側面との間に亘って
いなければならなず、そしてこのような幅広のワッシャ
で、外輪4の側面と軸体部分8の肩部9とが架橋される
が、そのままでは、軸体内部の温度上昇に起因して生じ
てしまう軸体7,8の軸線方向での移動を妨げ、そして
これは組立部品内に過度の応力を引き起こしてしまう。
【0012】更に、外輪と軸体の肩部9の側面との間の
隙間が覆われることによって、軸受の内部へ供給されそ
して外部へ排出されるオイルの自由な流れが阻害されて
しまい、潤滑油不足や軸受の早期損傷をもたらす。
【0013】これらの問題は、碗型のバネ状に形成され
たワッシャ11によって解決される。図面で説明される
実施形態では、このワッシャ11はその内周で軸受の内
輪6に嵌合されるが、それと同様の効果は、ワッシャ1
1がその外周で軸受の外輪4に嵌合されていたとしても
得ることができる。
【0014】本実施形態において、凹部2には内環状溝
12が形成され、一方、外輪4には外環状溝13が形成
されていて、外環状溝13にはロックリング14が配置
される。内環状溝12と外環状溝13は、肩部3から、
そして組み込まれた位置で肩部3に隣接する外輪4の側
面から同じ距離に位置している。
【0015】図1では、外輪4と内輪6はワッシャ11
によって軸線方向に移動されて、外輪4はハウジング1
の凹部2の内方へ押し込められ始める。これによってワ
ッシャ11が、ジャーナル部7に与えられた軸線方向の
押圧力を外輪4に伝達することができる第一の安定位置
にくる。
【0016】図2では、外輪4が軸受座2内で肩部3に
隣接する最後の位置にどのように到達したかが示されて
いる。この位置では、ロックリング14が、軸受座2内
の内環状溝12に嵌入されることによって上記位置で外
輪4を止める。この位置では、軸受輪4,6は依然とし
て軸線方向に互いに相対移動しているが、ワッシャ11
は、その第一の安定位置から離れそしてワッシャ11が
平らになり始める不安定な領域に入っていく。
【0017】図3では、外輪が既に肩部3に係合してい
るので、ジャーナル部7が軸線方向に更に押されること
によって、内輪6だけが移動する。碗型のバネ状に形成
されたワッシャ11は、まだその不安定な領域に在り、
押圧力と軸受輪からの変位に対する抵抗とが釣り合って
完全に平らになり、どちらの方向にも撓むことができる
位置に達する。この位置では、軸受輪4,6がまだワッ
シャ11によって覆われている。
【0018】図4では、最後に軸受の運転位置での各部
位の位置が示されている。ここで、ジャーナル部7が、
図3に示される位置よりも少しだけ軸線方向に押し込ま
れて、内輪6が外輪4と軸線方向で同一位置に在る。そ
れと同時に、ワッシャ11は、その不安定領域を越え
て、組込順序の最初の位置に対して反転された第二の安
定位置へと押される。図示された本実施形態では、ワッ
シャ11の外周縁が外輪4の側面から離れて非係合状態
となるよう撓み、それによって自由なオイルの流れを許
容する流路15が軸受内へ開口する。
【0019】図5では、本発明による組込装置に相当す
る薄い碗型のバネ状に形成されたワッシャ11を全体断
面図で示し、該ワッシャ11は、フリップフロップ反転
機能をもち、一定の力がワッシャ11に適用されるまで
軸受の二つの軸受輪間の軸線方向の押圧力を伝達するこ
とを可能とし、それによって図面及びそれに関する記述
に示されるように反転した形に撓む。ワッシャ11の主
たる必要条件は、二つの離れた安定位置、そして中間の
不安定領域をとりうるように十分薄いことである。バネ
のワッシャ11の厚さは、ワッシャの直径に依存して決
定されるが、望ましい効果を得るためには、外径が4
7.5mm、内径が33.3mmそして中立位置での内
周縁と外周縁との間の距離が2.3mmのワッシャに対
して0.3mmの厚さが適当であることが判明してい
る。その材料はバネ鋼であることが好ましい。
【0020】既述した本発明による組込装置が、軸線方
向に移動可能な軸受の盲組込の問題を簡単で且つ信頼で
きる方法で解決できることは明らかであり、それによっ
て、開口する流路15が二つの軸受輪間に組込作業の終
了時に形成されていることも確かである。更には、ワッ
シャ11は、軸受の保管そして組込前の取扱い時におけ
る該軸受からのころ10の落下の防止に役立つことがで
きて有利である。
【0021】本発明は上述の実施形態に限定されるもの
ではなく、特許請求の範囲の請求項の記載内で様々な変
形が可能である。ロックリングを受けるため環状溝がハ
ウジング内そして軸受輪上に設けられているが、このよ
うな止め配置は必須ではない。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ワッシャは、テーパ状をなし、一方の軸受輪を軸受座へ
押すのに十分な軸線方向の力を伝達することができる第
一の安定位置と、上記軸受輪が軸受座の組込位置に達し
た後に、テーパ状のワッシャが軸線方向の連続する力の
影響のもとに反転したテーパ状に撓めるようになってい
る不安定領域と、他方の軸受輪の側面から離れて撓むこ
とによって二つの軸受輪の間で流路を開口する第二の安
定位置とをとるようになっているので、軸体の温度上昇
による膨張を妨げないと共に、潤滑油を軸受に供給する
ことができ、更には、軸受の外輪を組込作業中に正確に
位置せしめることを確実に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による組込装置を用いて、軸受座に隠れ
た状態で組入れられる軸受の概要配置構成の部分断面図
であって、該軸受の組込初期の状態を示している。
【図2】本発明による組込装置を用いて、軸受座に隠れ
た状態で組入れられる軸受の概要配置構成の部分断面図
であって、該軸受の組込途中の第一の状態を示してい
る。
【図3】本発明による組込装置を用いて、軸受座に隠れ
た状態で組入れられる軸受の概要配置構成の部分断面図
であって、該軸受の組込途中の第二の状態を示してい
る。
【図4】本発明による組込装置を用いて、軸受座に隠れ
た状態で組入れられる軸受の概要配置構成の部分断面図
であって、該軸受の組込完了の状態を示している。
【図5】図1乃至図4による組み込み順序で用いられる
組込装置としてのワッシャの断面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング 2 軸受座 3 肩部 4 外輪 5 軸受 6 内輪 7 ジャーナル部 8 軸体部分 9 肩部 11 ワッシャ 12 内環状溝 13 外環状溝 14 ロックリング 15 流路
フロントページの続き (72)発明者 スベン イエートベルグ スウェーデン国、421 59 ベストラ フ レルンダ、バッケスケルスガータン 24 Fターム(参考) 3J017 HA02 3J101 AA13 AA42 AA52 AA62 BA77 FA32 FA46 GA11

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジング(1)内若しくは軸体上の軸
    受座(2)で、二つの軸受輪(4,6)が互いに相対移
    動可能である形式の軸受けの盲組立のための組込装置で
    あって、上記軸受座(2)へ一方の軸受輪を組み込むた
    めに、二つの軸受輪のうちのいずれか一方に嵌合するよ
    うになっていてそして二つの軸受輪(4,6)の間で軸
    線方向での組込力を伝達するように他方の軸受輪の側面
    に当接する実質上環状のワッシャ(11)を有する組込
    装置において、ワッシャ(11)は、テーパ状をなし、
    一方の軸受輪(4)を軸受座(2)へ押すのに十分な軸
    線方向の力を伝達することができる第一の安定位置と、
    上記軸受輪(4)が軸受座(2)の組込位置に達した後
    に、テーパ状のワッシャ(11)が軸線方向の連続する
    力の影響のもとに反転したテーパ状に撓めるようになっ
    ている不安定領域と、他方の軸受輪の側面から離れて撓
    むことによって二つの軸受輪(4,6)の間で流路(1
    5)を開口する第二の安定位置とをとるようになってい
    ることを特徴とする組込装置。
  2. 【請求項2】 テーパ状のワッシャ(11)は、碗型の
    バネ状に形成され、内周縁及び外周縁をもち、該両方の
    周縁のうち一方が一方の軸受輪(6)に嵌合され他方が
    組み込みの間そして軸受がその運転位置となるまで他方
    の軸受輪(4)の側面に緩く係合するようになっている
    こととする請求項1に記載の組込装置。
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