JP2003013778A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents
内燃機関の空燃比制御装置Info
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Abstract
るように排ガスの空燃比を制御する場合に、その制御を
安定して高精度で行うことができる内燃機関の空燃比制
御装置を提供する。 【解決手段】内燃機関1の排気系の排ガスセンサ6の出
力が所定の目標値になるように排ガスの空燃比を規定す
る操作量KCMDを決定する空燃比操作量決定部13は、制
御対象の系Eのモデルのパラメータを同定する手段を備
えている。空燃比操作量決定部13は、内燃機関1の運
転状態に応じて、モデルのパラメータの同定値と、所定
値とを選択的に用いて操作量を決定する。
Description
制御装置に関する。
元触媒等の触媒装置により浄化して放出するシステムで
は、触媒装置に進入する排ガスの空燃比を、触媒装置の
排ガス浄化能力を良好に発揮させるように制御すること
が環境保護の観点から望まれている。
来、例えば特開平5−321721号公報に見られるよ
うに、触媒装置を通過した排ガスの酸素濃度を触媒装置
の下流側に配置した排ガスセンサ(酸素濃度センサ)に
より検出して、その検出値が所定の適正値になるように
PID制御を用いて触媒装置の上流側の排ガスの目標空
燃比を決定し、その目標空燃比に従って内燃機関を制御
することで、触媒装置に進入する排ガスの空燃比を、触
媒装置の良好な浄化性能を発揮できる所定のウィンドウ
内に収めるようにしたものが本願出願人により提案され
ている。
て、内燃機関の運転状態や、触媒装置の経時劣化等によ
らずに、触媒装置の浄化能力を可能な限り最大限に発揮
させるためには、触媒装置を通過した排ガス中の酸素濃
度等の特定成分の濃度を高精度で安定して所定の適正値
(一定値)に整定させる必要があることが判明した。そ
して、前述のようにPID制御を用いた従来の制御手法
では、外乱や、触媒装置を含む排気系に存する無駄時間
等の影響で上記のように触媒装置を通過した排ガス中の
酸素濃度等を安定して高精度で所定の適正値(一定値)
に整定させることが困難であることが判明した。
流側から下流側にかけての排気系を連続系(詳しくは連
続時間系)でモデル化し、そのモデルに基づいて触媒装
置を通過した排ガス中の酸素濃度等が所定の適正値にな
るように触媒装置に進入する排ガスの空燃比を制御する
システムを先に考案した(例えば特願平9−67591
号、特願平8−84048号参照)。
を含む排気系に存する無駄時間の影響を補償(排除)し
たり、外乱に対する制御の安定性がPID制御等に比し
て高い制御手法(例えばスライディングモード制御)を
用いた制御システムの構築が可能となり、ひいては、排
気系の空燃比制御の精度や安定性を高めることが可能と
なる。
の運転状態によらずに制御の安定性を高めることが望ま
れる。
鑑み、排ガス中の特定成分の濃度が所定の目標値になる
ように排ガスの空燃比を制御する場合に、その制御を安
定して高精度で行うことができる内燃機関の空燃比制御
装置を提供することを目的とする。
めに、本発明の内燃機関の空燃比制御装置の第1の態様
は、内燃機関の排ガス中の特定成分の濃度を検出すべく
該内燃機関の排気系に設けられた排ガスセンサを備え、
該排ガスセンサの出力が所定の目標値になるように内燃
機関の排ガスの空燃比を制御する内燃機関の空燃比制御
装置において、前記内燃機関の排ガスの空燃比を規定す
る操作量をスライディングモード制御を用いて決定する
空燃比操作量決定手段と、該空燃比操作量決定手段が制
御対象とする系のモデルの設定すべきパラメータを同定
する同定手段とを備え、前記空燃比操作量決定手段は、
前記同定手段が同定した前記パラメータの同定値と所定
値とを内燃機関の運転状態に応じて選択的に用いて前記
操作量を決定するようにしたことを特徴とするものであ
る。
比操作量決定手段は、スライディングモード制御によ
り、前記モデルのパラメータの値を用いて前記操作量を
決定する。この場合、このパラメータの値としては、内
燃機関の運転状態に応じて、前記同定手段による同定値
と、その同定値とは別の所定値とが選択的に用いられ
る。この結果、内燃機関の運転状態によらずに排ガスセ
ンサの出力が所定の目標値になるようにする排ガスの空
燃比の制御を安定して行うことが可能となる。
の第2の態様は、内燃機関の排ガス中の特定成分の濃度
を検出すべく該内燃機関の排気系に設けられた排ガスセ
ンサを備え、該排ガスセンサの出力が所定の目標値にな
るように内燃機関の排ガスの空燃比を制御する内燃機関
の空燃比制御装置において、前記内燃機関の排ガスの空
燃比を規定する操作量を決定する空燃比操作量決定手段
と、該空燃比操作量決定手段が制御対象とする系であっ
て前記排ガスセンサの出力を生成する系が有する無駄時
間後における該排ガスセンサの出力の推定値を示すデー
タを生成する推定手段と、前記制御対象の系のモデルの
設定すべきパラメータを同定する同定手段とを備え、前
記推定手段は、前記同定手段が同定した前記パラメータ
の同定値と所定値とを内燃機関の運転状態に応じて選択
的に用いて前記排ガスセンサの出力の推定値を示すデー
タを生成し、前記空燃比操作量決定手段は、該推定手段
が生成したデータにより示される推定値が前記目標値に
なるように前記操作量を決定することを特徴とする。
推定手段は、前記モデルのパラメータの値を用いて前記
無駄時間後の排ガスセンサの出力の推定値を表すデータ
生成する。この場合、このパラメータの値としては、内
燃機関の運転状態に応じて、前記同定手段による同定値
と、その同定値とは別の所定値とが選択的に用いられ
る。そして、前記空燃比操作量決定手段は、推定手段が
生成したデータにより示される排ガスセンサの出力の推
定値が前記目標値になるように前記操作量を決定する。
この結果、内燃機関の運転状態によらずに排ガスセンサ
の出力が所定の目標値になるようにする排ガスの空燃比
の制御を安定して行うことが可能となる。
前記内燃機関の運転状態は、該内燃機関のスロットル弁
が全開であるか否かの状態、内燃機関の燃料供給の停止
中であるか否かの状態、内燃機関のアイドル運転中であ
るか否かの状態であることが好適である。
至図23を参照して説明する。
ブロック図で表したものであり、同図1において、1は
例えば4気筒のエンジン(内燃機関)である。このエン
ジン1の各気筒毎に生成される排ガスは、エンジン1の
近傍で共通の排気管2に集合され、該排気管2を介して
大気中に放出される。そして、排気管2には、排ガスを
浄化するために、三元触媒を用いた二つの触媒装置3,
4が該排気管2の上流側から順に介装されている。尚、
下流側の触媒装置4はこれを省略してもよい。
気系の空燃比を制御するもので、触媒装置3の上流側
(より詳しくはエンジン1の各気筒毎の排ガスの集合箇
所)で排気管2に設けられた第2排ガスセンサとしての
広域空燃比センサ5と、触媒装置3の下流側(触媒装置
4の上流側)で排気管2に設けられた第1排ガスセンサ
としてのO2センサ(酸素濃度センサ)6と、これらの
センサ5,6の出力等に基づき後述の制御処理を行う制
御ユニット7とにより構成されている。尚、制御ユニッ
ト7には、前記広域空燃比センサ5やO2センサ6の出
力の他に、エンジン1の動作状態を検出するための図示
しない回転数センサや吸気圧センサ、冷却水温センサ
等、各種のセンサの検出信号が与えられるようになって
いる。
て構成されたものであり、触媒装置3に進入するエンジ
ン1の排ガスの空燃比(これは触媒装置3に進入する排
ガスの酸素濃度により示され、エンジン1内で燃焼させ
る混合気の空燃比に相当する)に応じたレベルの出力を
生成する。この場合、広域空燃比センサ5(以下、LA
Fセンサ5と称する)は、該センサ5を構成するO2セ
ンサの出力から図示しないリニアライザ等の検出回路に
よって、触媒装置3に進入する排ガスの空燃比の広範囲
にわたって、それに比例したレベルの出力KACT、すなわ
ち、該排ガスの空燃比の検出値を示す出力KACTを生成す
るものである。このようなLAFセンサ5は本願出願人
が特開平4−369471号公報にて詳細に開示してい
るので、ここではさらなる説明を省略する。
は、触媒装置3を通過した排ガス中の酸素濃度に応じた
レベルの出力VO2/OUT、すなわち、該排ガス中の酸素濃
度の検出値を示す出力VO2/OUTを通常的なO2センサと同
様に生成する。このO2センサ6の出力VO2/OUTは、図2
に示すように、触媒装置3を通過した排ガスの空燃比
(酸素濃度)が理論空燃比近傍の範囲Δに存するような
状態で、該排ガスの酸素濃度にほぼ比例した高感度な変
化を生じるものとなる。
用いて構成されたものであり、その主要な機能的構成と
して、エンジン1への基本燃料噴射量Timを求める基本
燃料噴射量算出部8と、基本燃料噴射量Timを補正する
ための第1補正係数KTOTAL及び第2補正係数KCMDMをそ
れぞれ求める第1補正係数算出部9及び第2補正算出部
10とを具備する。
1の回転数NEと吸気圧PBとから、それらにより規定され
るエンジン1の基準の燃料噴射量をあらかじめ設定され
たマップを用いて求め、その基準の燃料噴射量をエンジ
ン1の図示しないスロットル弁の有効開口面積に応じて
補正することで基本燃料噴射量Timを算出するものであ
る。
補正係数KTOTALは、エンジン1の排気還流率(エンジン
1の吸入空気中に含まれる排気ガスの割合)や、エンジ
ン1の図示しないキャニスタのパージ時にエンジン1に
供給される燃料のパージ量、エンジン1の冷却水温、吸
気温等を考慮して前記基本燃料噴射量Timを補正するた
めのものである。
2補正係数KCMDMは、後述する空燃比操作量決定部13
によって決定される目標空燃比KCMDに対応してエンジン
1へ流入する燃料の冷却効果による吸入空気の充填効率
を考慮して基本燃料噴射量Ti mを補正するためのもの
である。
第2補正係数KCMDMによる基本燃料噴射量Timの補正
は、第1補正係数KTOTAL及び第2補正係数KCMDMを基本
燃料噴射量Timに乗算することで行われ、この補正によ
りエンジン1の要求燃料噴射量Tcylが得られる。
係数KTOTAL、第2補正係数KCMDMのより具体的な算出手
法は、特開平5−79374号公報等に本願出願人が開
示しているので、ここでは詳細な説明を省略する。
他、LAFセンサ5の出力KACTと所定の基準値FLAF/BAS
E(本実施形態ではこの基準値FLAF/BASEは空燃比換算で
約「1」(一定値)とされている)との偏差kact(=KA
CT−FLAF/BASE)を求める減算処理部11と、O2センサ
6の出力VO2/OUTとその目標値VO2/TARGET(本実施形態
ではこの目標値VO2/TARGETは触媒装置3の最適な浄化性
能が得られる所定の一定値とされている)との偏差VO2
(=VO2/OUT−VO2/TARGET)を求める減算処理部12
と、これらの偏差kact,VO2のデータをそれぞれLAF
センサ5の出力及びO2センサ6の出力を示すデータと
して用い(以下、偏差kact,VO2をそれぞれLAFセン
サ5の偏差出力kact及びO2センサ6の偏差出力VO2と称
する)、LAFセンサ5の箇所の排ガスの目標空燃比KC
MDを触媒装置3に進入するエンジン1の排ガスの空燃比
を規定する操作量として決定する空燃比操作量決定部1
3と、この目標空燃比KCMDにLAFセンサ5の出力KACT
(触媒装置3に進入する排ガスの検出空燃比)を一致
(収束)させるようにエンジン1の燃料噴射量(燃料供
給量)をフィードバック制御するフィードバック制御部
14とを備えている。
は後述するが、排気管2のLAFセンサ5の箇所からO
2センサ6の箇所にかけての触媒装置3を含む排気系
(図1で参照符号Eを付した部分)を制御対象とし、そ
の対象排気系E(プラント)に存する無駄時間や該対象
排気系Eの挙動変化等を考慮しつつ、スライディングモ
ード制御(より詳しくは適応スライディングモード制
御)を用いてO2センサ6の出力VO2/OUTをその目標値VO
2/TARGETに整定させるように(O2センサ6の偏差出力V
O2を「0」に収束させるように)、LAFセンサ5の箇
所の目標空燃比KCMDを逐次決定するものである。
施形態では、エンジン1の各気筒への全体的な燃料噴射
量をフィードバック制御する大局的フィードバック制御
部15と、エンジン1の各気筒毎の燃料噴射量をフィー
ドバック制御する局所的フィードバック制御部16とに
より構成されている。
LAFセンサ5の出力KACTが前記目標空燃比KCMDに収束
するように、前記要求燃料噴射量Tcylを補正する(要
求燃料噴射量Tcylに乗算する)フィードバック補正係
数KFBを逐次求めるものであり、LAFセンサ5の出力K
ACTと目標空燃比KCMDとの偏差に応じて周知のPID制
御を用いて前記フィードバック補正係数KFBとしてのフ
ィードバック操作量KLAFを生成するPID制御器17
と、LAFセンサ5の出力KACTと目標空燃比KCMDとから
エンジン1の運転状態の変化や特性変化等を考慮して前
記フィードバック補正係数KFBを規定するフィードバッ
ク操作量KSTRを適応的に求める漸化式形式の制御器であ
る適応制御器18(図ではSTRと称している)とをそ
れぞれ独立的に具備している。
器17が生成するフィードバック操作量KLAFは、LAF
センサ5の出力KACT(検出空燃比)が目標空燃比KCMDに
一致している状態で「1」となり、該操作量KLAFをその
まま前記フィードバック補正係数KFBとして使用できる
ようになっている。一方、適応制御器18が生成するフ
ィードバック操作量KSTRはLAFセンサ5の出力KACTが
目標空燃比KCMDに一致する状態で「目標空燃比KCMD」と
なるもので、該フィードバック操作量KSTRを除算処理部
19で目標空燃比KCMDにより除算してなるフィードバッ
ク操作量kstr(=KSTR/KCMD)が前記フィードバック補
正係数KFBとして使用できるようになっている。
は、PID制御器17により生成されるフィードバック
操作量KLAFと、適応制御器18が生成するフィードバッ
ク操作量KSTRを目標空燃比KCMDにより除算してなるフィ
ードバック操作量kstrとを切換部20で適宜、択一的に
選択して、いずれか一方のフィードバック操作量KLAF又
はkstrを前記フィードバック補正係数KFBとして使用
し、該補正係数KFBを前記要求燃料噴射量Tcylに乗算す
ることにより該要求燃料噴射量Tcylを補正する。尚、
かかる大局的フィードバック制御部15(特に適応制御
器18)については後にさらに詳細に説明する。
6は、LAFセンサ5の出力KACTから各気筒毎の実空燃
比#nA/F(n=1,2,3,4)を推定するオブザーバ21と、この
オブザーバ21により推定された各気筒毎の実空燃比#n
A/Fから各気筒毎の空燃比のばらつきを解消するよう、
PID制御を用いて各気筒毎の燃料噴射量のフィードバ
ック補正係数#nKLAFをそれぞれ求める複数(気筒数個)
のPID制御器22とを具備する。
説明すると、各気筒毎の実空燃比#nA/Fの推定を次のよ
うに行うものである。すなわち、エンジン1からLAF
センサ5の箇所(各気筒毎の排ガスの集合部)にかけて
のシステムを、各気筒毎の実空燃比#nA/FからLAFセ
ンサ5で検出される排ガスの空燃比を生成するシステム
と考え、これを、LAFセンサ5の検出応答遅れ(例え
ば一次遅れ)や、各気筒毎の排ガスの集合部における空
燃比に対する各気筒毎の空燃比の時間的寄与度を考慮し
てモデル化する。そして、そのモデルの基で、LAFセ
ンサ5の出力KACT(検出空燃比)から、逆算的に各気筒
毎の実空燃比#nA/Fを推定する。尚、このようなオブザ
ーバ21は、本願出願人が例えば特開平7−83094
号公報に詳細に開示しているので、ここでは、さらなる
説明を省略する。
各PID制御器22は、LAFセンサ5の出力KACTを、
前回の制御サイクルで各PID制御器22により求めら
れたフィードバック補正係数#nKLAFの全気筒についての
平均値により除算してなる値を各気筒の空燃比の目標値
として、その目標値とオブザーバ21により求められた
各気筒毎の実空燃比#nA/Fとの偏差が解消するように、
今回の制御サイクルにおける、各気筒毎のフィードバッ
ク補正係数#nKLAFを求める。そして、局所的フィードバ
ック制御部16は、前記要求燃料噴射量Tcylに大局的
フィードバック制御部15のフィードバック補正係数KF
Bを乗算してなる値に、各気筒毎のフィードバック補正
係数#nKLAFを乗算することで、各気筒の出力燃料噴射量
#nTout(n=1,2,3,4)を求める。このようにして求められ
る各気筒の出力燃料噴射量#nToutは、制御ユニット7
に備えた各気筒毎の付着補正部23により吸気管の壁面
付着を考慮した補正が各気筒毎になされた後、エンジン
1の図示しない燃料噴射装置に与えられ、その付着補正
がなされた出力燃料噴射量#nToutで、エンジン1の各
気筒への燃料噴射が行われるようになっている。
が例えば特開平8−21273号公報に詳細に開示して
いるので、ここではさらなる説明を省略する。また、図
1において、参照符号24を付したセンサ出力選択処理
部は、前記オブザーバ21による各気筒毎の実空燃比#n
A/Fの推定に適したLAFセンサ5の出力KACTをエンジ
ン1の運転状態に応じて選択するもので、これについて
は、本願出願人が特開平7−259488号公報にて詳
細に開示しているので、ここではさらなる説明を省略す
る。
に説明する。
前記対象排気系Eに存する無駄時間や該排気系Aの挙動
変化等を考慮しつつ、適応スライディングモード制御を
用いてO2 センサ6の出力VO2/OUTをその目標値VO2/TAR
GETに整定させるようにLAFセンサ5の箇所の排ガス
の目標空燃比KCMDを逐次決定するものである。そして、
このような制御処理を行うために、本実施形態では、あ
らかじめ前記対象排気系Eを、前記LAFセンサ5の出
力KACT(触媒装置3に進入する排ガスの空燃比)から無
駄時間要素及び応答遅れ要素を介してO2センサ6の出
力VO2/OUT(触媒装置3を通過した排ガス中の酸素濃
度)を生成するプラントと見なし、それを離散系でモデ
ル化している。
決定部13による処理の簡素化を図るために、LAFセ
ンサ5の出力KACT及びO2センサ6の出力VO2/OUTの代わ
りに、LAFセンサ5の前記偏差出力kact(=KACT−FL
AF/BASE)とO2センサ6の前記偏差出力VO2(=VO2/OUT
−VO2/TARGET)とを用いて、対象排気系Eの離散系モデ
ルを次式(1)により表す。
サ5の偏差出力kactから、無駄時間要素及び応答遅れ要
素を介してO2センサ6の偏差出力VO2を生成するプラン
トであるとみなして、該対象排気系Eを離散系でモデル
化してなるもの(無駄時間を有する自己回帰モデル)で
あり、上式(1)において、「k」は離散時間的な制御
サイクルの番数を示し、「d」は対象排気系Eの無駄時
間を制御サイクル数で表したものである。この場合、本
実施形態では、対象排気系Eの無駄時間は、例えば制御
サイクルの周期を30〜100msとして、d制御サイ
クル分の時間(d=3〜10)とされている。また、上
式(1)の右辺第1項及び第2項はそれぞれ対象排気系
Eの応答遅れ要素に対応するもので、第1項は1次目の
自己回帰項、第2項は2次目の自己回帰項である。そし
て、「a1」、「a2」はそれぞれ1次目の自己回帰項、2
次目の自己回帰項のゲイン係数である。さらに、上式
(1)の右辺第3項は対象排気系Eの無駄時間要素に対
応するもので、「b1」はその無駄時間要素に係わるゲイ
ン係数である。これらのゲイン係数a1,a2,b1は離散系
モデルを規定するパラメータである。
部13は、式(1)により表される離散系モデルに基づ
き、所定(一定)の制御サイクルで前述のような制御処
理を行うもので、その機能的構成は、図3に示すように
大別される。
AFセンサ5の偏差出力kact及びO 2センサ6の偏差出
力VO2のデータから、前記離散系モデルの設定すべきパ
ラメータである前記ゲイン係数a1,a2,b1の値を制御サ
イクル毎に逐次同定する同定器25と、LAFセンサ5
の偏差出力kact及びO2センサ6の偏差出力VO2のデータ
から、前記同定器25により同定された前記ゲイン係数
a1,a2,b1の同定値a1ハット,a2ハット,b1ハット(以
下、同定ゲイン係数a1ハット,a2ハット,b1ハットとい
う)を用いて対象排気系Eの無駄時間d後のO2センサ
6の偏差出力VO2の推定値VO2バー(以下、推定偏差出力
VO2バーという)を制御サイクル毎に逐次求める推定器
26と、該推定器26により求められたO2センサ6の
推定偏差出力VO2バーから、前記同定ゲイン係数a1ハッ
ト,a2ハット,b1ハットを用いて適応スライディングモ
ード制御によりLAFセンサ5の箇所の排ガス(触媒装
置3に進入する排ガス)の目標空燃比KCMDを制御サイク
ル毎に逐次決定するスライディングモード制御器27と
により構成されている。
イディングモード制御器27による演算処理のアルゴリ
ズムは前記離散系モデルに基づいて以下のように構築さ
れている。
モデルのゲイン係数a1,a2,b1に対応する実際の対象排
気系Eのゲイン係数は一般に該対象排気系Eの挙動状態
や経時的な特性変化等によって変化する。従って、前記
離散系モデルの実際の対象排気系Eに対するモデル化誤
差を極力少なくして該離散系モデルの精度を高めるため
には、離散系モデルのゲイン係数a1,a2,b1を実際の対
象排気系Eの挙動状態等に則して適宜、リアルタイムで
同定することが好ましい。
デルのモデル化誤差を極力小さくするために、前記ゲイ
ン係数a1,a2,b1をリアルタイムで逐次同定するもので
あり、その同定処理は次のように行われる。
クル毎に、まず、今現在設定されている離散系モデルの
同定ゲイン係数a1ハット,a2ハット,b1ハット、すなわ
ち前回の制御サイクルで決定した同定ゲイン係数a1ハッ
ト(k-1),a2ハット(k-1),b1ハット(k-1)と、LAFセ
ンサ5の偏差出力kact及びO2センサ6の偏差出力VO2の
過去に得られたデータとを用いて、次式(2)により今
現在設定されている離散系モデル上でのO2センサ6の
今現在の偏差出力VO2の同定値VO2ハット(以下、同定偏
差出力VO2ハットという)を求める。
イクル分、過去側にシフトし、ゲイン係数a1,a2,b1を
同定ゲイン係数a1ハット(k-1),a2ハット(k-1),b1ハッ
ト(k-1)で置き換えたものである。また、式(2)の第
3項で用いる「d」は、対象排気系Eの無駄時間の設定
値(より詳しくは無駄時間の設定値を制御サイクル数で
表したもの)であり、その設定値は対象排気系Eの実際
の無駄時間と等しいか、もしくはそれよりも若干長い時
間になるように設定されている。
ベクトルΘ及びξを導入すると(式(3),(4)中の
添え字「T」は転置を意味する。以下同様。)、
る。
は式(5)により求められるO2センサ6の同定偏差出
力VO2ハットと今現在のO2センサ6の偏差出力VO2との
偏差id/eを離散系モデルの実際の対象排気系Eに対する
モデル化誤差を表すものとして次式(6)により求める
(以下、偏差id/eを同定誤差id/eという)。
を最小にするように新たな同定ゲイン係数a1(k)ハッ
ト,a2(k)ハット,b1(k)ハット、換言すれば、これらの
同定ゲイン係数を要素とする新たな前記ベクトルΘ(k)
(以下、このベクトルを同定ゲイン係数ベクトルΘとい
う)を求めるもので、その算出を、次式(7)により行
う。すなわち、同定器25は、前回の制御サイクルで決
定した同定ゲイン係数a1ハット(k-1),a2ハット(k-1),
b1ハット(k-1)を、同定誤差id/eに比例させた量だけ変
化させることで新たな同定ゲイン係数a1(k)ハット,a2
(k)ハット,b1(k)ハットを求める。
(8)により決定される三次のベクトル(各同定ゲイン
係数a1ハット,a2ハット,b1ハットの同定誤差id/eに応
じた変化度合いを規定するゲイン係数ベクトル)であ
る。
の漸化式により決定される三次の正方行列である。
λ1≦1及び0≦λ2<2の条件を満たすように設定さ
れ、また、「P」の初期値P(0)は、その各対角成分を
正の数とする対角行列である。
の設定の仕方によって、固定ゲイン法、漸減ゲイン法、
重み付き最小二乗法、最小二乗法、固定トレース法等、
各種の具体的なアルゴリズムが構成され、本実施形態で
は、例えば最小二乗法(この場合、λ1=λ2=1)を採
用している。
は前述のようなアルゴリズム(演算処理)によって、前
記同定誤差id/eを最小化するように離散系モデルの前記
同定ゲイン係数a1ハット,a2ハット,b1ハットを制御サ
イクル毎に逐次求めるもので、このような処理によっ
て、実際の対象排気系Eに適合した同定ゲイン係数a1ハ
ット,a2ハット,b1ハットが逐次得られる。
記同定誤差id/eの算出に際して、O 2センサ6の前記同
定偏差出力VO2ハットとO2センサ6の偏差出力VO2とに
フィルタリング処理を施したり、ゲイン係数a1,a2,b1
の同定(同定ゲイン係数a1ハット,a2ハット,b1ハット
の更新)を対象排気系Eの特定の挙動状態において行っ
たりするのであるが、これについては後述する。
するスライディングモード制御器27による目標空燃比
KCMDの決定処理に際しての対象排気系Eの無駄時間dの
影響を補償するために、該無駄時間d後のO2センサ6
の偏差出力VO2の推定値である前記推定偏差出力VO2バー
を制御サイクル毎に逐次求めるものであり、その推定処
理は次のように行われる。
ルにおいて、次式(10)により定義されるベクトルX
を導入すると、
る。
いると、無駄時間d後のX(k+d)は、式(11)中で定
義した行列A及びベクトルBやLAFセンサ5の偏差出
力kactの時系列データkact(k-j)(j=1,2, d)を用い
て、次式(12)により表される。
が無駄時間d後のO2センサ6の偏差出力VO2(k+d)であ
るから、その推定値(推定偏差出力)VO2(k+d)バーは、
式(12)の右辺の第1行成分を演算することで求める
ことができる。
着目し、右辺第1項の行列Adの第1行第1列成分及び
第1行第2列成分をそれぞれα1,α2とおき、右辺第2
項のベクトルAj-1・B(j=1,2, d)の第1行成分を
それぞれβj(j=1,2, d)とおくと、O2センサ6の
推定偏差出力VO2(k+d)バーは、O2センサ6の偏差出力V
O2の時系列データVO2(k)及びVO2(k-1)と、LAFセンサ
5の偏差出力kactの時系列データkact(k-j)(j=1,2,
d)とを用いて次式(13)により求めることができ
る。
βj(j=1,2, d)は、行列A及びベクトルBの成分
(式(11)参照)を構成するゲイン係数a1,a2,b1と
して、前記同定器25により求められた同定ゲイン係数
a1ハット,a2ハット,b1ハットを用い、それらの行列A
及びベクトルBから前記式(12)中の行列Ad及びベ
クトルAj-1・B(j=1,2, d)を求めることで決定す
ることができる。
は、基本的には同定器25により求められる前記同定ゲ
イン係数a1ハット,a2ハット,b2ハット(詳しくは現在
の制御サイクルで求められた同定ゲイン係数a1(k)ハッ
ト,a2(k)ハット,b2(k)ハット)を用いて、式(13)
中の係数値α1,α2及びβj(j=1,2, d)を算出す
る。さらに、その算出した係数値α1,α2及びβjと、
O2センサ6の偏差出力VO2の現在以前の時系列データVO
2(k)及びVO2(k-1)と、LAFセンサ5の偏差出力kactの
過去の時系列データkact(k-j)(j=1,2, d)とから式
(13)の演算を行うことで、O2センサ6の推定偏差
出力VO2(k+d)バーを求める。これが推定器26における
基本的な演算処理(推定アルゴリズム)である。
2センサ6の推定偏差出力VO2(k+d)バーの算出に際し
て、LAFセンサ5の偏差出力kactにフィルタリング処
理を施すのであるがこれについては後述する。
7を詳細に説明する。
ード制御について図4を参照して簡単に説明しておく。
のフィードバック制御手法であり、この制御手法におい
ては、例えば制御対象の制御すべき状態量をx1,x2の
二つとした場合、これらの状態量x1,x2を変数とする
線形関数σ=s1x1+s2x2(s1,s2は係数)を用い
て、σ=0により表される超平面をあらかじめ設計して
おく。この超平面σ=0は位相空間が二次系の場合(状
態量が二つの場合)は、しばしば切換線と呼ばれ、線形
関数σは切換関数と呼ばれている。位相空間の次数がさ
らに大きくなると、切換線から切換面となり、さらには
幾何学的に図示できなくなる超平面になる。尚、超平面
はすべり面と呼ばれることもある。本明細書において
は、これらを代表して線形関数及び超平面と表現した。
は、例えば図4の点Pで示すように、状態量x1,x2が
σ≠0となっている場合に、所謂、到達則に従って、状
態量x 1,x2をハイゲイン制御によって超平面σ=0上
に高速で収束させ(モード1)、さらに所謂、等価制御
入力によって状態量x1,x2を超平面σ=0上に拘束し
つつ超平面σ=0上の平衡点(x1=x2=0の点)に収
束させる(モード2)ものである。
いては、状態量x1,x2を超平面σ=0上に収束させさ
えすれば、等価制御入力によって、外乱等の影響を受け
ることなく、極めて安定に状態量x1,x2を超平面σ=
0上に拘束して、該超平面σ=0の平衡点に収束させる
ことができるという特性をもっている。尚、外乱や制御
対象のモデル化誤差があると、状態量x1,x2は厳密に
は上記平衡点(x1=x2=0の点)には収束せず、該平
衡点の近傍に収束する。
に、上記モード1において状態量x 1,x2をいかにして
安定に超平面σ=0上に収束させるかが重要な課題とな
る。この場合、外乱等の影響があると、一般には、前記
到達則だけでは、状態量x1,x2を超平面σ=0上に安
定に収束させることが困難である。このため、近年で
は、例えばコロナ社により1994年10月20日に発
刊された「スライディングモード制御 −非線形ロバス
ト制御の設計理論−」と題する文献の第134頁〜第1
35頁に見られるように、到達則に加えて、外乱の影響
を排除しつつ状態量を超平面上に収束させるための適応
則を用いた適応スライディングモード制御という手法が
提案されている。
御器27は、このような適応スライディングモード制御
を用いて、O2センサ6の出力VO2/OUTをその目標値VO2/
TARGETに整定させるように(O2センサ6の偏差出力VO2
を「0」に収束させるように)、制御対象である前記対
象排気系Eに与えるべき入力(詳しくは、LAFセンサ
5で検出される排ガスの空燃比と前記基準値FLAF/BASE
との偏差で、これはLAFセンサ5の偏差出力kactに相
当する。以下、この入力をSLD操作入力uslと称す
る)を決定し、その決定したSLD操作入力uslから前
記目標空燃比KCMDを決定するものである。そして、その
処理のためのアルゴリズムは次のように構築されてい
る。
適応スライディングモード制御に必要な超平面の構築に
ついて説明する。
センサ6の偏差出力VO2を「0」に収束させるように制
御を行うものであるので、O2センサ6の偏差出力VO2の
時系列データを「0」に収束させるように対象排気系E
に与えるべき前記SLD操作入力uslを決定すればよ
い。
グモード制御の基本的な考え方としては、制御すべき状
態量として、例えば各制御サイクルで得られたO2セン
サ6の偏差出力VO2(k)と、その1制御サイクル前に得ら
れた偏差出力VO2(k-1)とを用い、スライディングモード
制御用の超平面を規定する線形関数σを次式(14)に
より設定する。
る状態量として、実際には前記推定器26により求めら
れる前記推定偏差出力VO2バーの時系列データを用いる
のであるがこれについては後述する。
スライディングモード制御用の超平面はσ=0により表
され(この場合、状態量は二つであるので超平面は直線
となる。図4参照)、この超平面σ=0を規定する線形
関数σの係数s1,s2(式(14)参照)は、本実施形
態ではあらかじめ次のように設定する。
成分とする式(14)中のベクトルX(以下、単に状態
量Xという)が超平面σ=0上に収束した状態では、線
形関数σの値が「0」であるので、これと式(14)と
から次式(15)が得られる。
入力の無い一次遅れ系であるので、状態量Xが超平面σ
=0の平衡点(VO2(k)=VO2(k-1)=0となる点)に安定
に収束するための条件は、式(15)により表される系
の極(この場合、この極は「−s2/s1」である)が単
位円内に存在することとなる。
数s1,s2は、次式(16)の条件を満たすように設定
する。
s1=1とし(この場合、s2/s1=s2である)、−1
<s2<1の条件を満たすように係数s2の値を設定す
る。
0の平衡点に前記状態量Xを収束させるためにスライデ
ィングモード制御器27が適応スライディングモード制
御により生成すべき前記SLD操作入力usl(LAFセ
ンサ5で検出される排ガスの空燃比と前記基準値FLAF/B
ASE との偏差)は、前記状態量Xを超平面σ=0上に拘
束するための制御則に従って対象排気系Eに与えるべき
等価制御入力ueqと、状態量Xを超平面σ=0に収束さ
せるための到達則に従って対象排気系Eに与えるべき入
力urch(以下、到達則入力urchという)と、外乱等の
影響を補償して状態量Xを超平面σ=0に収束させるた
めの適応則に従って対象排気系Eに与えるべき入力uad
p(以下、適応則入力uadpという)との総和により表さ
れる(次式(17)参照)。
則入力urch及び適応則入力uadpは、本実施形態では、
前記式(1)あるいは式(11)により表される離散系
モデルに基づいて、次のように求めることができる。
量Xが超平面σ=0上に留まる条件は、σ(k+1)=σ(k)
=0であり、この条件は、前記式(11)及び式(1
4)を用いて、次式(18)に書き換えられる。
超平面σ=0に拘束するために対象排気系Eに与えるべ
き入力(LAFセンサ5で検出される排ガスの空燃比と
前記基準値FLAF/BASEとの偏差)であるので、上記式
(18)の条件を満たすLAFセンサ5の偏差出力kact
が等価制御入力ueqである。
られ、
d分シフトすることで、次式(20)が得られる。
御サイクル毎に等価制御入力ueqを求めるための基本式
である。
態では、基本的には次式(21)により決定するものと
する。
dの影響を考慮し、無駄時間d後の線形関数σの値σ(k
+d)に比例させるように決定する。
到達則のゲインを規定する)は、次にように設定され
る。
(k)=ueq(k)+urch(k)とし、さらに式(14)、(2
0)、(21)を用いると、次式(22)が得られる。
入力の無い一次遅れ系であるので、線形関数σの値が超
平面σ=0に安定に収束する(状態量Xが超平面σ=0
に安定に収束する)ための条件は、式(22)により表
される系の極(この場合、この極は「1−F」である)
が単位円内に存在することとなる。
hを規定する係数Fは、次式(23)の条件を満たすよ
うに設定する。
線形関数σの値が超平面σ=0に対して振動的な変化
(所謂チャタリング)を生じる虞れがあり、このチャタ
リングを抑制するためには、式(22)により表される
系の極「1−F」が上記の条件に加えて0<1−F<1
なる条件を満たすことが好ましい。
Fは、より好ましくは、次式(24)の条件を満たすよ
うに設定する。
態では、基本的には次式(25)により決定するものと
する(式(25)中のΔTは制御サイクルの周期であ
る)。
dの影響を考慮し、無駄時間d後までの線形関数σの値
の制御サイクル毎の積算値(これは線形関数σの値の積
分値に相当する)に比例させるように決定する。
適応則のゲインを規定する)は、次にように設定され
る。
と目標空燃比KCMDとの間の外乱等の影響による誤差成分
をvとすると、LAFセンサ5の偏差出力kactは、前記
等価制御入力ueq、到達則入力urch及び適応則入力ua
dp、並びに上記誤差成分vを用いて、次式(26)によ
り表現することができる。
に適用し、さらに式(14)、(20)、(21)、
(25)を用いると、次式(27)が得られる。
次式(28)となり、
と、次式(29)が得られる。
及び「V」はそれぞれ線形関数σ及び前記誤差成分vを
Z変換したものである。また、式(29)のM(Z)は
誤差成分vに対する線形関数σのパルス伝達関数で、式
(29)の上段の分数式により表されるものである。
乱)に対して、安定となる条件は、前記パルス伝達関数
M(Z)の極、すなわち、次式(30)により示される
特性方程式の解(この解は二つある)が単位円内に存在
することであり、
をλm1、λm2とすると、次式(31)、(32)により
与えられる。
に対して安定となる条件は、上式(31)、(32)に
より与えられるλm1、λm2が単位円内に存在することで
ある。
ために、前記係数Gは、次式(33)により設定する。
制御器27は、基本的には前記式(20)、(21)、
(25)により決定される等価制御入力ueq、到達則入
力urch及び適応則入力uadpの総和(ueq+urc h+u
adp)を対象排気系Eに与えるべきSLD操作入力usl
として決定するのであるが、前記式(20)、(2
1)、(25)で使用するO2センサ6の偏差出力VO2(k
+d),VO2(k+d-1)や、線形関数σの値σ(k+d) 等は未来
値であるので実際には得られないものである。
モード制御器27は、実際には、前記式(20)により
前記等価制御入力ueqを決定するためのO2センサ6の
偏差出力VO2(k+d),VO2(k+d-1)の代わりに、前記推定器
26で求められる推定偏差出力VO2(k+d)バー,VO2(k+d-
1)バーを用い、次式(34)により制御サイクル毎の等
価制御入力ueqを算出する。
26により前述の如く逐次求められた推定偏差出力VO2
バーの時系列データを制御すべき状態量とし、前記式
(14)により設定された線形関数σに代えて、次式
(35)により線形関数σバーを定義する(この線形関
数σバーは、前記式(14)の偏差出力VO2の時系列デ
ータを推定偏差出力VO2バーの時系列データで置き換え
たものに相当する)。
は、前記式(21)により前記到達則入力urchを決定
するための線形関数σの値の代わりに、前記式(35)
により表される線形関数σバーの値を用いて次式(3
6)により制御サイクル毎の到達則入力urchを算出す
る。
は、前記式(25)により前記適応則入力uadpを決定
するための線形関数σの値の代わりに、前記式(35)
により表される線形関数σバーの値を用いて次式(3
7)により制御サイクル毎の適応則入力uadpを算出す
る。
により等価制御入力ueq、到達則入力urch及び適応則
入力uadpを算出する際に必要となる前記ゲイン係数a
1,a2,b1としては、本実施形態では基本的には前記同
定器25により求められた最新の同定ゲイン係数a1(k)
ハット,a2(k)ハット,b1(k)ハットを用いる。
は、前記式(34)、(36)、(37)によりそれぞ
れ求められる等価制御入力ueq、到達則入力urch及び
適応則入力uadpの総和を対象排気系Eに与えるべき前
記SLD操作入力uslとして求める(前記式(17)を
参照)。尚、この場合において、前記式(34)、(3
6)、(37)中で用いる前記係数s1,s2,F,Gの
設定条件は前述の通りである。
ングモード制御器27により、対象排気系Eに与えるべ
きSLD操作入力uslを制御サイクル毎に決定するため
の基本的なアルゴリズムである。このようにしてSLD
操作入力uslを決定することで、該SLD操作入力usl
は、O2センサ6の推定偏差出力VO2バーを「0」に収束
させるように(結果的にはO2センサ6の出力VO2バーを
目標値VO2/TARGETに収束させるように)決定される。
ングモード制御器27は最終的には前記目標空燃比KCMD
を制御サイクル毎に逐次求めるものあるが、前述のよう
に求められるSLD操作入力uslは、LAFセンサ5で
検出される排ガスの空燃比と前記基準値FLAF/BASEとの
偏差の目標値を意味する。このため、スライディングモ
ード制御器27は、最終的には、次式(38)に示すよ
うに、制御サイクル毎に、前述の如く求めたSLD操作
入力uslに前記基準値FL AF/BASEを加算することで、目
標空燃比KCMDを決定する。
制御器27により目標空燃比KCMDを決定するための基本
的アルゴリズムである。
ド制御器27による適応スライディングモード制御の処
理の安定性を判別して、前記SLD操作入力uslの値を
制限したりするのであるが、これについては後述する。
5、特に前記適応制御器18をさらに説明する。
ク制御部15は、前述のようにLAFセンサ5の出力KA
CT(検出空燃比)を目標空燃比KCMDに収束させるように
フィードバック制御を行うものであるが、このとき、こ
のようなフィードバック制御を周知のPID制御だけで
行うようにすると、エンジン1の運転状態の変化や経年
的特性変化等、動的な挙動変化に対して、安定した制御
性を確保することが困難である。
ジン1の動的な挙動変化を補償したフィードバック制御
を可能とするもので、I.D.ランダウ等により提唱さ
れているパラメータ調整則を用いて、図5に示すよう
に、複数の適応パラメータを設定するパラメータ調整部
28と、設定された適応パラメータを用いて前記フィー
ドバック操作量KSTRを算出する操作量算出部29とによ
り構成されている。
明すると、ランダウ等の調整則では、離散系の制御対象
の伝達関数B(Z-1)/A(Z-1)の分母分子の多項式
を一般的に下記の式(39),(40)のようにおいた
とき、パラメータ調整部28が設定する適応パラメータ
θハット(j)(jは制御サイクルの番数を示す)は、式
(41)のようにベクトル(転置ベクトル)で表され
る。また、パラメータ調整部28への入力ζ(j)は、式
(42)のように表される。この場合、本実施形態で
は、大局的フィードバック制御部15の制御対象である
エンジン1が一次系で3制御サイクル分の無駄時間dp
(エンジン1の燃焼サイクルの3サイクル分の時間)を
持つプラントと考え、式(39)〜式(42)でm=n
=1,dp=3とし、設定する適応パラメータはs0,r
1,r2,r3,b0の5個とした(図5参照)。尚、式
(42)の上段式及び中段式におけるus,ysは、それ
ぞれ、制御対象への入力(操作量)及び制御対象の出力
(制御量)を一般的に表したものであるが、本実施形態
では、上記入力をフィードバック操作量KSTR、制御対象
(エンジン1)の出力を前記LAFセンサ5の出力KACT
(検出空燃比)とし、パラメータ調整部28への入力ζ
(j)を、式(42)の下段式により表す(図5参照)。
ラメータθハットは、適応制御器18のゲインを決定す
るスカラ量要素b0ハット-1(Z-1,j)、操作量を用
いて表現される制御要素BRハット(Z-1,j)、及び
制御量を用いて表現される制御要素S(Z-1,j)から
なり、それぞれ、次式(43)〜(45)により表現さ
れる(図5の操作量算出部29のブロック図を参照)。
量要素や制御要素の各係数を設定して、それを式(2
6)に示す適応パラメータθハットとして操作量算出部
29に与えるもので、現在から過去に渡るフィードバッ
ク操作量KSTRの時系列データとLAFセンサ5の出力KA
CTとを用いて、該出力KACTが前記目標空燃比KCMDに一致
するように、適応パラメータθハットを算出する。
ハットは、次式(46)により算出する。
ラメータθハットの設定速度を決定するゲイン行列(こ
の行列の次数はm+n+dp)、eアスタリスク(j)は、
適応パラメータθハットの推定誤差を示すもので、それ
ぞれ式(47),(48)のような漸化式で表される。
は、収束性を調整するための、漸近安定な多項式であ
り、本実施形態ではD(Z-1)=1としている。
により、漸減ゲインアルゴリズム、可変ゲインアルゴリ
ズム、固定トレースアルゴリズム、固定ゲインアルゴリ
ズム等の種々の具体的なアルゴリズムが得られる。エン
ジン1の燃料噴射あるいは空燃比等の時変プラントで
は、漸減ゲインアルゴリズム、可変ゲインアルゴリズ
ム、固定ゲインアルゴリズム、および固定トレースアル
ゴリズムのいずれもが適している。
設定される適応パラメータθハット(s0,r1,r2,
r3,b0)と、前記空燃比操作量決定部13により決定
される目標空燃比KCMDとを用いて、操作量算出部29
は、次式(49)の漸化式により、フィードバック操作
量KSTRを求める。図5の操作量算出部29は、同式(4
9)の演算をブロック図で表したものである。
ック操作量KSTRは、LAFセンサ5の出力KACTが目標空
燃比KCMDに一致する状態において、「目標空燃比KCMD」
となる。このために、前述の如く、フィードバック操作
量KSTRを除算処理部19によって目標空燃比KCMDで除算
することで、前記フィードバック補正係数KFBとして使
用できるフィードバック操作量kstrを求めるようにして
いる。
前述したことから明らかなように、制御対象であるエン
ジン1の動的な挙動変化を考慮した漸化式形式の制御器
であり、換言すれば、エンジン1の動的な挙動変化を補
償するために、漸化式形式で記述された制御器である。
そして、より詳しくは、漸化式形式の適応パラメータ調
整機構を備えた制御器と定義することができる。
謂、最適レギュレータを用いて構築する場合もあるが、
この場合には、一般にはパラメータ調整機構は備えられ
ておらず、エンジン1の動的な挙動変化を補償する上で
は、前述のように構成された適応制御器18が好適であ
る。
18の詳細である。
ドバック制御部15に具備したPID制御器17は、一
般のPID制御と同様に、LAFセンサ5の出力KACT
(検出空燃比)と、その目標空燃比KCMDとの偏差から、
比例項(P項)、積分項(I項)及び微分項(D項)を
算出し、それらの各項の総和をフィードバック操作量KL
AFとして算出する。この場合、本実施形態では、積分項
(I項)の初期値を“1”とすることで、LAFセンサ
5の出力KACTが目標空燃比KCMDに一致する状態におい
て、フィードバック操作量KLAFが“1”になるように
し、該フィードバック操作量KLAFをそのまま燃料噴射量
を補正するための前記フィードバック補正係数KFBとし
て使用することができるようしている。また、比例項、
積分項及び微分項のゲインは、エンジン1の回転数と吸
気圧とから、あらかじめ定められたマップを用いて決定
される。
前記切換部20は、エンジン1の冷却水温の低温時や、
高速回転運転時、吸気圧の低圧時等、エンジン1の燃焼
が不安定なものとなりやすい場合、あるいは、目標空燃
比KCMDの変化が大きい時や、空燃比のフィードバック制
御の開始直後等、これに応じたLAFセンサ6の出力KA
CTが、そのLAFセンサ5の応答遅れ等によって、信頼
性に欠ける場合、あるいは、エンジン1のアイドル運転
時のようエンジン1の運転状態が極めて安定していて、
適応制御器18による高ゲイン制御を必要としない場合
には、PID制御器17により求められるフィードバッ
ク操作量KLAFを燃料噴射量を補正するためのフィードバ
ック補正量数KFBとして出力する。そして、上記のよう
な場合以外の状態で、適応制御器18により求められる
フィードバック操作量KSTRを目標空燃比KCMDで除算して
なるフィードバック操作量kstrを燃料噴射量を補正する
ためのフィードバック補正係数KFBとして出力する。こ
れは、適応制御器18が、高ゲイン制御で、LAFセン
サ5の出力KACT(検出空燃比)を急速に目標空燃比KCMD
に収束させるように機能するため、上記のようにエンジ
ン1の燃焼が不安定となったり、LAFセンサ5の出力
KACTの信頼性に欠ける等の場合に、適応制御器18のフ
ィードバック操作量KSTRを用いると、かえって空燃比の
制御が不安定なものとなる虞れがあるからである。
開平8−105345号公報に本願出願人が詳細に開示
しているので、ここでは、さらなる説明を省略する。
する。
の制御サイクルについて説明しておく。前記エンジン1
の燃料供給量(燃料噴射量)の制御は、該エンジン1の
回転数に同期させる必要があり、このため、本実施形態
では、前記基本燃料噴射量算出部8、第1補正係数算出
部9、第2補正係数算出部10、及びフィードバック制
御部14の処理は、エンジン1のクランク角周期(所謂
TDC)に同期した制御サイクルで行うようにしてい
る。また、この場合、LAFセンサ5やO2センサ6等
の各種センサの出力データの読込もクランク角周期(所
謂TDC)に同期した制御サイクルで行うようにしてい
る。
触媒装置3の上流側の排ガスの目標空燃比KCMDの決定処
理は、触媒装置3に存する無駄時間や演算負荷等を考慮
すると一定周期の制御サイクルで行うことが好ましい。
このため、本実施形態では、空燃比操作量決定部13に
おける前述したような処理やその処理のために必要な前
記偏差出力kact,VO2を算出する前記減算処理部11,
12の処理は一定周期(例えば30〜100ms)の制
御サイクルで行うようにしている。
装置3の種類や反応速度、容積等に応じて決定すればよ
い。また、本実施形態では、前記空燃比操作量決定部1
3による処理を行っているような運転状態(より具体的
にはエンジン回転数の状態)において、上記一定周期の
時間間隔が前記クランク角周期(TDC)の時間間隔よ
りも大きくなるように設定している。
図7のフローチャートを参照して、エンジン1の燃料供
給量の制御のためのエンジン1の各気筒毎の出力燃料噴
射量#nTout(n=1,2,3,4)の算出処理について説明する。
制御ユニット7は、各気筒毎の出力燃料噴射量#nTout
をエンジン1のクランク角周期と同期した制御サイクル
で次のような処理を行う。
前記LAFセンサ5及びO2センサ6を含む各種センサ
の出力を読み込む(STEPa)。この場合、LAFセ
ンサ5の出力KACT及びO2センサ6の出力VO2/OUTはそれ
ぞれ過去に得られたものを含めて時系列的に図示しない
メモリに記憶保持される。
て、前述の如くエンジン1の回転数NE及び吸気圧PBに対
応する燃料噴射量をスロットル弁の有効開口面積に応じ
て補正してなる基本燃料噴射量Timが求められ(STE
Pb)、さらに、第1補正係数算出部9によって、エン
ジン1の冷却水温やキャニスタのパージ量等に応じた第
1補正係数KTOTALが算出される(STEPc)。
決定部13で生成される目標空燃比KCMDを使用するか否
か(ここでは、空燃比操作量決定部13のON/OFF
という)の判別処理を行って、空燃比操作量決定部13
のON/OFFを規定するフラグf/prism/onの値を設定
する(STEPd)。尚、フラグf/prism/onの値は、そ
れが「0」のとき、空燃比操作量決定部13で生成され
る目標空燃比KCMDを使用しないこと(OFF)を意味
し、「1」のとき、空燃比操作量決定部13で生成され
る目標空燃比KCMDを使用すること(ON)を意味する。
O2センサ6及びLAFセンサ5が活性化しているか否
かの判別(STEPd−1,d−2)が行われ、いずれ
かが活性化していない場合には、空燃比操作量決定部1
3の処理に使用するO2センサ6及びLAFセンサ5の
検出データを精度よく得ることができないため、フラグ
f/prism/onの値を「0」にセットする(STEPd−1
0)。
焼運転)であるか否か(STEPd−3)、エンジン1
の始動直後の触媒装置3の早期活性化を図るためにエン
ジン1の点火時期が遅角側に制御されているか否か(S
TEPd−4)、エンジン1のスロットル弁が全開であ
るか否か(STEPd−5)、及びエンジン1への燃料
供給の停止中であるか否か(STEPd−6)の判別が
行われ、これらのいずれかの条件が成立している場合に
は、空燃比操作量決定部13で生成される目標空燃比KC
MDを使用してエンジン1の燃料供給を制御することは好
ましくないので、フラグf/prism/onの値を「0」にセッ
トする(STEPd−10)。
PBがそれぞれ所定範囲内にあるか否かの判別が行われ
(STEPd−7,d−8)、いずれかが所定範囲内に
ない場合には、空燃比操作量決定部13で生成される目
標空燃比KCMDを使用してエンジン1の燃料供給を制御す
ることは好ましくないので、フラグf/prism/onの値を
「0」にセットする(STEPd−10)。
7,d−8の条件が満たされ、且つ、STEPd−3,
d−4,d−5,d−6の条件が成立していない場合
に、空燃比操作量決定部13で生成される目標空燃比KC
MDをエンジン1の燃料供給の制御に使用すべく、フラグ
f/prism/onの値を「1」にセットする(STEPd−
9)。
m/onの値を設定した後、制御ユニット7は、フラグf/pr
ism/onの値を判断し(STEPe)、f/prism/on=1で
ある場合には、空燃比操作量決定部13で生成された最
新の目標空燃比KCMDを読み込む(STEPf)。また、
f/prism/on=0である場合には、目標空燃比KCMDを所定
値に設定する(STEPg)。この場合、目標空燃比KC
MDとして設定する所定値は、例えばエンジン1の回転数
NEや吸気圧PBからあらかじめ定めたマップ等を用いて決
定する。
ィードバック制御部16において、前述の如くオブザー
バ21によりLAFセンサ5の出力KACTから推定した各
気筒毎の実空燃比#nA/Fに基づき、PID制御器22に
より、各気筒毎のばらつきを解消するようにフィードバ
ック補正係数#nKLAFを算出し(STEPh)、さらに、
大局的フィードバック制御部15により、フィードバッ
ク補正係数KFBを算出する(STEPi)。
5は、前述の如く、PID制御器17により求められる
フィードバック操作量KLAFと、適応制御器18により求
められるフィードバック操作量KSTRを目標空燃比KCMDで
除算してなるフィードバック操作量kstrとから、切換部
20によってエンジン1の運転状態等に応じていずれか
一方のフィードバック操作量KLAF又はkstrを選択し(通
常的には適応制御器18側のフィードバック操作量kstr
を選択する)、それを燃料噴射量を補正するためのフィ
ードバック補正量数KFBとして出力する。 尚、フィー
ドバック補正係数KFBを、PID制御器17側のフィー
ドバック操作量KLAFから適応制御器18側のフィードバ
ック操作量kstrに切り換える際には、該補正係数KFBの
急変を回避するために、適応制御器18は、その切換え
の際の制御サイクルに限り、補正係数KFBを前回の補正
係数KFB(=KLAF)に保持するように、フィードバック
操作量KSTRを求める。同様に、補正係数KFBを、適応制
御器18側のフィードバック操作量kstrからPID制御
器17側のフィードバック操作量KLAFに切り換える際に
は、PID制御器17は、自身が前回の制御サイクルで
求めたフィードバック操作量KLAFが、前回の補正係数KF
B(=kstr)であったものとして、今回の補正係数KLAF
を算出する。
KFBが算出された後、さらに、前記STEPfあるいは
STEPgで決定された目標空燃比KCMDに応じた第2補
正係数KCMDMが第2補正係数算出部10により算出され
る(STEPj)。
求められた基本燃料噴射量Timに、第1補正係数K TOTA
L、第2補正係数KCMDM 、フィードバック補正係数KFB、
及び各気筒毎のフィードバック補正係数#nKLAFを乗算す
ることで、各気筒毎の出力燃料噴射量#nToutを求める
(STEPk)。そして、この各気筒毎の出力燃料噴射
量#nToutが、付着補正部23によって、エンジン1の
吸気管の壁面付着を考慮した補正を施された後(STE
Pm)、エンジン1の図示しない燃料噴射装置に出力さ
れる(STEPn)。
の出力燃料噴射量#nToutに従って、各気筒への燃料噴
射が行われる。
Toutの算出及びそれに応じたエンジン1への燃料噴射
がエンジン1のクランク角周期に同期したサイクルタイ
ムで逐次行われ、これによりLAFセンサ5の出力KACT
(触媒装置3に進入する排ガスの検出空燃比)が、目標
空燃比KCMDに収束するように、エンジン1の燃料供給量
(燃料噴射量)が制御される。この場合、特に、フィー
ドバック補正係数KFBとして、適応制御部18側のフィ
ードバック操作量kstrを使用している状態では、エンジ
ン1の運転状態の変化や特性変化等の挙動変化に対し
て、高い安定性を有して、LAFセンサ5の出力KACTが
迅速に目標空燃比KCMDに収束制御される。
と並行して、前記空燃比操作量決定部13は、一定周期
の制御サイクルで図8のフローチャートに示すメインル
ーチン処理を行う。
て、空燃比操作量決定部13は、まず、自身の演算処理
(前記同定器25、推定器26及びスライディングモー
ド制御器27の演算処理)を実行するか否かの判別処理
を行って、その実行の可否を規定するフラグf/prism/ca
lの値を設定する(STEP1)。尚、フラグf/prism/c
alの値は、それが「0」のとき、空燃比操作量決定部1
3における演算処理を行わないことを意味し、「1」の
とき、空燃比操作量決定部13における演算処理を行う
ことを意味する。
に示すように行われる。
同様に、O2センサ6及びLAFセンサ5が活性化して
いるか否かの判別(STEP1−1,1−2)が行わ
れ、いずれかが活性化していない場合には、空燃比操作
量決定部13の演算処理に使用するO2センサ6及びL
AFセンサ5の検出データを精度よく得ることができな
いため、フラグf/prism/calの値を「0」にセットする
(STEP1−6)。さらにこのとき、同定器25の後
述する初期化を行うために、その初期化を行うか否かを
規定するフラグf/id/resetの値を「1」にセットする
(STEP1−7)。ここで、フラグf/id/resetの値
は、それが「1」であるとき、初期化を行うことを意味
し、「0」であるとき、初期化を行わないことを意味す
る。
焼運転)であるか否か(STEP1−3)、及びエンジ
ン1の始動直後の触媒装置3の早期活性化を図るために
エンジン1の点火時期が遅角側に制御されているか否か
(STEP1−4)の判別が行われ、これらのいずれか
の条件が成立している場合には、O2センサ6の出力VO2
/OUTを目標値VO2/TARGETに整定させるような目標空燃比
KCMDを算出しても、それがエンジン1の燃料制御に使用
されることはないので、フラグf/prism/calの値を
「0」にセットし(STEP1−6)、さらに同定器2
5の初期化を行うために、フラグf/id/resetの値を
「1」にセットする(STEP1−7)。
った後、空燃比操作量決定部13は、さらに、同定器2
5による前記ゲイン係数a1,a2,b1の同定(更新)処理を
実行するか否かの判別処理を行って、その実行の可否を
規定するフラグf/id/calの値を設定する(STEP
2)。尚、フラグf/id/calの値は、それが「0」のと
き、同定器25による前記ゲイン係数a1,a2,b1の同定
(更新)処理を行わないことを意味し、「1」のとき、
同定(更新)処理を行うことを意味する。
ローチャートに示すように行われる。
開であるか否か(STEP2−1)、エンジン1への燃
料供給の停止中であるか否か(STEP2−2)、及び
エンジン1のアイドル運転中であるか否か(STEP2
−3)の判別が行われ、これらのいずれかの条件が成立
している場合には、前記ゲイン係数a1,a2,b1を適正に同
定することが困難であるため、フラグf/id/calの値を
「0」にセットする(STEP2−5)。そして、ST
EP2−1〜2−3のいずれの条件も成立していない場
合には、同定器25による前記ゲイン係数a1,a2,b1の同
定(更新)処理を実行すべくフラグf/id/calの値を
「1」にセットする(STEP2−4)。
は、次に、前記減算処理部11,12からそれぞれ最新
の前記偏差出力kact(k)(=KACT−FLAF/BASE)及びVO2
(k)(=VO2/OUT−VO2/TARGET)を取得する(STEP
3)。この場合、減算処理部11,12は、前記図6の
STEPaにおいて取り込まれて図示しないメモリに記
憶されたLAFセンサ5の出力KACT及びO2センサ6の
出力VO2/OUTの時系列データの中から、最新のものを選
択して前記偏差出力kact(k)及びVO2(k)を算出し、それ
を空燃比操作量決定部13に与える。そして、該空燃比
操作量決定部13に与えられた偏差出力kact(k)及びVO2
(k)は、該空燃比操作量決定部13内において、過去に
与えられたものを含めて時系列的に図示しないメモリに
記憶保持される。
STEP1で設定されたフラグf/prism/calの値を判断
し(STEP4)、f/prism/cal=0である場合、すな
わち、空燃比操作量決定部13の演算処理を行わない場
合には、スライディングモード制御器27で求めるべき
前記対象排気系EへのSLD操作入力uslを強制的に所
定値に設定する(STEP12)。この場合、該所定値
は、例えばあらかじめ定めた固定値(例えば「0」)あ
るいは前回の制御サイクルで決定したSLD操作入力u
slの値とする。尚、このようにSLD操作入力uslを所
定値とした場合において、空燃比操作量決定部13は、
その所定値のSLD操作入力uslに前記基準値FLAF/BAS
Eを加算することで、今回の制御サイクルにおける目標
空燃比KCMDを決定し(STEP13)、今回の制御サイ
クルの処理を終了する。
=1である場合、すなわち、空燃比操作量決定部13の
演算処理を行う場合には、空燃比操作量決定部13は、
前記同定器25による演算処理を行う(STEP5)。
フローチャートに示すように行われる。
EP2で設定されたフラグf/id/calの値を判断する(S
TEP5−1)。このときf/id/cal=0であれば、前述
の通り同定器25によるゲイン係数a1,a2,b1の同定処理
を行わないので、直ちに図8のメインルーチンに復帰す
る。
は、さらに該同定器25の初期化に係わる前記フラグf/
id/resetの値(これは、前記STEP1等でその値が設
定される)を判断し(STEP5−2)、f/id/reset=
1である場合には、同定器25の初期化を行う(STE
P5−3)。この初期化では、前記同定ゲイン係数a1ハ
ット,a2ハット,b1ハットの各値があらかじめ定めた初
期値に設定され(式(3)の同定ゲイン係数ベクトルΘ
の初期化)、また、前記式(9)の行列P(対角行列)
の各成分があらかじめ定めた初期値に設定される。さら
に、フラグf/id/resetの値は「0」にリセットされる。
係数a1(k-1)ハット,a2(k-1)ハット,b1(k-1)ハットを
用いて表される対象排気系Eの離散系モデル(前記式
(2)参照)におけるO2センサ6の前記同定偏差出力V
O2(k)ハットを、前記STEP3で制御サイクル毎に取
得される偏差出力VO2及びkactの過去のデータVO2(k-
1),VO2(k-2),kact(k-d-1)と、上記同定ゲイン係数a1
(k-1)ハット,a2(k-1)ハット,b1(k-1) ハットとを用い
て前記式(2)あるいはこれと等価の前記式(5)によ
り算出する(STEP5−4)。
数a1ハット,a2ハット,b1ハットを決定する際に使用す
る前記ベクトルKθ(k)を式(8)により算出した後
(STEP5−5)、以下に説明する同定器25のマネ
ージメント処理を行う(STEP5−6)。
あるいは偏差出力VO2の挙動と、前記対象排気系Eの離
散系モデルのゲイン係数a1,a2,b1の同定器25による同
定との関係について説明しておく。
/OUTあるいは偏差出力VO2は、触媒装置3を通過した排
ガスの空燃比を示すものであり、この排ガスの空燃比
は、一般に、図示のようにリーン側からリッチ側への変
化が比較的急激に行われ(O2センサ6の出力VO2/OUTあ
るいは偏差出力VO2の時間的な変化度合いが比較的大き
い)、リッチ側からリーン側への変化は比較的緩やかに
行われる(O2センサ6の出力VO2/OUTあるいは偏差出力
VO2の時間的な変化度合いが比較的小さい)。そして、
本願発明者等の知見によれば、対象排気系Eの離散系モ
デルのゲイン係数a1,a2,b1をO2センサ6の出力VO2/OUT
あるいは偏差出力VO2を用いて同定する場合、O2センサ
6の出力VO2/OUTあるいは偏差出力VO2の時間的変化度合
いが比較的小さい状態では、ゲイン係数a1,a2,b1の同定
値が小さくなり過ぎる等して、適正な同定ゲイン係数a1
ハット,a2ハット,b1ハットが得られない場合が生じや
すい。
る前記ゲイン係数a1,a2,b1の同定(更新)を、O2セン
サ6の出力VO2/OUTあるいは偏差出力VO2により示される
空燃比が、リーン側からリッチ側に変化する挙動状態に
おいて行うようにしており、前記マネージメント処理
は、上記のような挙動状態を特定するための処理であ
る。
ングモード制御を用いた本実施形態の制御によれば、O
2センサ6の偏差出力VO2の前記状態量X(VO2(k),VO2
(k-1))は、その状態量Xの初期状態が例えば図中の点
Qであるとしたとき、該状態量Xは、前記超平面σ=0
に対して軌跡線Wで示すように変化する。そして、この
場合、同図において、基本的には状態量Xが超平面σ=
0の上側で変化している状態(このとき状態量Xにより
規定される線形関数σの値は正となる)が、触媒装置3
を通過した排ガスの空燃比のリーン側からリッチ側への
変化状態であり、状態量Xが超平面σ=0の下側で変化
している状態(このとき状態量Xにより規定される線形
関数σの値は負となる)が、リッチ側からリーン側への
変化状態である。
燃比がリーン側からリッチ側に変化する挙動状態である
か否かの判断は、基本的には、線形関数σの値が正であ
るか否かによって判断することができる。但し、このよ
うに線形関数σの値が正であるか否かによって排ガスの
空燃比がリーン側からリッチ側に変化する挙動状態であ
るか否かを判断するようにすると、状態量Xが超平面σ
=0上から僅かに変化しただけで、排ガスの空燃比がリ
ーン側からリッチ側に変化する挙動状態であるか否かの
判断結果が変わってしまい、その判断結果に応じて前記
ゲイン係数a1,a2,b1の同定(更新)処理を安定して行う
上では好ましくない。
により偏差出力VO2の時系列データを用いて定義される
マネージメント関数γを導入し、
を、γ=0により表されるマネージメント用超平面(こ
の場合は直線)が、前記図13に示したように、スライ
ディングモード制御用の超平面σ=0から若干上側(σ
>0の領域)に存するように設定した。尚、本実施形態
では、線形関数σの係数s1を「1」に設定しているこ
とに合わせて、マネージメント関数γの係数m1は「1」
に設定している。
ると、γ≧0となる状態では、確実に排ガスの空燃比が
リーン側からリッチ側に変化する挙動状態となり、この
挙動状態であるか否かの判断は、マネージメント関数γ
の値が正(「0」を含む)であるか否かによって安定し
て行うことができる。
は、上記のように定義されたマネージメント関数γを用
いて、O2センサ6の偏差出力VO2により示される排ガス
の空燃比がリーン側からリッチ側に変化する挙動状態、
すなわち、同定器25による前記ゲイン係数a 1,a2,b1
の同定(更新)に好適な挙動状態であるか否かの判断を
行うものであり、その処理は具体的には次のように行わ
れる。
して、同定器25は、前記STEP3(図8参照)で取
得された最新の偏差出力VO2(k)と前回の制御サイクルに
おける偏差出力VO2(k-1)とを用いて、式(50)により
マネージメント関数γの値を算出する(STEP5−6
−1)。
かを判断し(STEP5−6−2)、γ≧0である場合
には、排ガスの空燃比がリーン側からリッチ側に変化す
る挙動状態であるか否かを示すフラグf/id/mngの値を
「1」に設定し(STEP5−6−3)、γ<0である
場合には、フラグf/id/mngの値を「0」に設定する(S
TEP5−6−4)。
らリッチ側に変化する挙動状態であるか否か、すなわ
ち、同定器25による前記ゲイン係数a1,a2,b1の同定
(更新)に好適な挙動状態であるか否かが、f/id/mngの
値により示されることとなる。
述のようにマネージメント処理を行った後、その処理に
おいて設定されるフラグf/id/mngの値を判断し(STE
P5−7)、f/id/mng=1である場合、すなわち、触媒
装置3を通過した排ガスの空燃比がリーン側からリッチ
側に変化する挙動状態(ゲイン係数a1,a2,b1の同定(更
新)に好適な挙動状態)である場合には、前記同定誤差
id/e(離散系モデル上でのO2センサの同定偏差出力VO2
ハットと、実際の偏差出力VO2との偏差。式(6)参
照)を算出し(STEP5−8)、f/id/mng=0である
場合には、前記同定誤差id/eの値を強制的に「0」とす
る(STEP5−9)。
るいはSTEP5−9で得られた同定誤差id/eと、前記
STEP5−5で算出されたKθとを用いて前記式
(7)により新たな同定ゲイン係数ベクトルΘ(k)、す
なわち、新たな同定ゲイン係数a1(k)ハット,a2(k)ハッ
ト,b1(k)ハットを算出する(STEP5−10)。
誤差id/eは、基本的には、前記式(6)に従って算出す
ればよいのであるが、本実施形態では、例えば図15
(a)にブロック図で示すように前記STEP3(図8
参照)で制御サイクル毎に取得する偏差出力VO2と、前
記STEP5−4で制御サイクル毎に算出する同定偏差
出力VO2ハットとにそれぞれ同一特性のフィルタリング
を施した上で、STEP5−8における同定誤差id/eの
算出を行う。
置3を含む対象排気系Eの入力変化(LAFセンサ5の
出力KACTあるいは偏差出力kactの変化)に対する、該対
象排気系Eの出力変化(O2センサ6の出力VO2/OUTある
いは偏差出力VO2の変化)のゲインの周波数特性は、一
般に図に実線で示すように低周波数帯Cの周波数通過特
性を有するローパス特性となる。従って、O2センサ6
の出力VO2/OUT(対象排気系Eの出力)を目標値VO2/TAR
GETに制御すべく前記スライディングモード制御器27
により目標空燃比KCMD(対象排気系Eの入力の目標値)
を決定する上では、上記低周波数帯Cを重視する必要が
ある。
は、基本的には、前述の通り同定器25で前記式(7)
により同定した離散系モデルのゲイン係数a1,a2,b1、す
なわち同定ゲイン係数a1ハット,a2ハット,b1ハットを
用いて目標空燃比KCMDを求めるものであるため、該同定
ゲイン係数a1ハット,a2ハット,b1ハットにより定まる
離散系モデルの周波数特性も、実際の対象排気系Eの周
波数特性と同じような傾向の周波数特性(低周波数帯C
の周波数通過特性を有するローパス特性)となることが
好ましい。
イン係数a1,a2,b1の同定のための演算処理(式(7)〜
(9)を参照)は、対象排気系Eがローパス特性を有す
るため、例えば図16に仮想線で示すように前記低周波
数帯Cよりも高周波側に重みを有する。このため、前記
同定偏差出力VO2ハット及び偏差出力VO2をそのまま用い
て求めた同定誤差id/eに応じて同定ゲイン係数a1ハッ
ト,a2ハット,b1ハットを求めるようにすると、その同
定ゲイン係数a1ハット,a2ハット,b1ハットにより定ま
る離散系モデルの周波数特性が、実際の対象排気系Eの
周波数特性と適合せず、前記低周波数帯C外での対象排
気系Eのゲイン特性を重視した特性となる。特に、該低
周波数帯Cにおける離散系モデルのゲインが実際の対象
排気系Eのゲインよりも小さなものとなりやすい。
線で示すように低周波数帯Cに重みを有する特性(ロー
パス特性)のフィルタリングを、偏差出力VO2と同定偏
差出力VO2ハットとに施した上で、STEP5−8にお
ける同定誤差id/eの算出を行う。
ング処理は、前記STEP3(図8)で取得する偏差出
力VO2と前記STEP5−4で算出する同定偏差出力VO2
ハットとをそれぞれ時系列的に記憶保持しておき、該偏
差出力VO2及び同定偏差出力VO2ハットの時系列データの
それぞれについて、制御サイクル毎に、現在から過去に
逆上った所定数のデータの加算平均あるいは重み付き加
算平均を算出することで行われる。これは、ディジタル
フィルタの一手法で、一般に移動平均処理といわれる手
法である。そして、STEP5−8における同定誤差id
/eの算出は、上記のような移動平均処理で得られた偏差
出力VO2のフィリタリング値から同定偏差出力VO2ハット
のフィルタリング値を減算することで行われる。
によって、該同定誤差id/eから前記式(7)によって求
められる同定ゲイン係数a1ハット,a2ハット,b1ハット
により定まる離散系モデルの周波数特性を、例えば図1
7(a)に示すように、実際の対象排気系Eの周波数特
性と同じような傾向の周波数特性にすることができる。
17(a)に示すように、離散系モデルの各周波数にお
けるゲインが対象排気系Eの各周波数におけるゲインよ
りも全体的に若干大きくなるように前記フィルタリング
の重み特性を設定しておく。このようにすることで、離
散系モデル及び対象排気系Eにおいて、ある出力変化
(具体的にはO2センサ6の出力VO2/OUTを目標値VO2/TA
RGETに一致させるような出力変化)を生ぜしめる入力変
化(LAFセンサ5の出力KACTあるいは偏差出力kactの
変化)は、離散系モデルの方が対象排気系Eよりも小さ
くなる。このため、このような離散系モデルの同定ゲイ
ン係数a1ハット,a2ハット,b1ハットを用いて前記スラ
イディングモード制御器27により対象排気系Eに与え
るべき入力として求められる前記SLD操作入力uslは
各周波数において、小さめの値となり、O2センサ6の
出力VO2/OUTの目標値VO2/TARGETへの収束制御の安定性
を高めることができる。
に、離散系モデルの各周波数におけるゲインが対象排気
系Eの各周波数におけるゲインよりも全体的に若干大き
くなるように前記フィルタリングの重み特性を設定した
が、例えば図17(b)に示すように、前記低周波数帯
Cにおける離散系モデルのゲインの周波数特性が対象排
気系Eのゲインの周波数特性と略同一となり、且つ、低
周波数帯Cよりも高周波側の周波数帯では、図17
(a)の場合と同様に、離散系モデルのゲインが対象排
気系Eのゲインよりも若干大きくなるように前記フィル
タリングの重み特性を設定しておくようにしてもよい。
周波側(対象排気系Eのゲインが比較的小さい周波数
帯)では、図17(a)の場合と同様にO2センサ6の
出力VO2/OUTの目標値VO2/TARGETへの収束制御の安定性
が高まると同時に、その制御上重要な低周波数帯Cで
は、実際の対象排気系Eの特性に適合した前記SLD操
作入力uslをスライディングモード制御器27によって
求めることができ、O2センサ6の出力VO2/OUTの目標値
VO2/TARGETへの収束の迅速な追従性(速応性)を確保す
ることができる。
にブロック図で示したように、偏差出力VO2 と同定偏差
出力VO2 ハットとに前記フィルタリングを施した上で、
同定誤差id/eの算出を行うようにしたが、例えば図15
(b)に示すように、前記STEP5−4で同定偏差出
力VO2ハットを算出する前に、その算出に使用する偏差
出力kact,VO2に同一特性のフィルタリングを施してお
き、それらのフィルタリング値から前記式(5)により
算出した同定偏差出力VO2ハットと、先にフィルタリン
グを施した偏差出力VO2のフィルタリング値とから同定
誤差id/eを算出するようにしてもよい。あるいは、図1
5(c)に示すように偏差出力kact,VO2をそのまま用
いて算出した同定偏差出力VO2ハットと、偏差出力VO2か
ら前記式(6)をそのまま用いて同定誤差id/eを算出し
た後に、該同定誤差id/eにフィルタリングを施すように
してもよい。つまり、同定誤差id/eの算出に際しての前
述したようなフィルタリング処理は、結果的に偏差出力
VO2と同定偏差出力VO2ハットとに同一特性のフィルタリ
ングが施されていればよく、そのフィルタリング処理の
タイミングは、任意に選択することが可能である。
定ゲイン係数a1ハット,a2ハット,b1ハット(同定ゲイ
ン係数ベクトルΘ)を算出した後、その評価処理を行う
(STEP5−11)。この評価処理では、図18のフ
ローチャートに示すように、同定器25は、まず同定ゲ
イン係数a1ハット,a2ハット,b1ハットのうち、同定ゲ
イン係数b1ハットの値が所定範囲内にあるか否かを判断
することで、同定器25の同定処理の安定性を判断し
(STEP5−11−1)、同定ゲイン係数b1ハットの
値が所定範囲内にある場合には、さらに、前記STEP
5−8で算出された同定誤差id/eの大きさが所定値ε0
以下の十分小さなものとなったか否か(id/eがほぼ
「0」に収束して、同定ゲイン係数a1ハット,a2ハッ
ト,b1ハットがほぼ確定した状態になったか否か)を判
断する(STEP5−11−3)。このとき、|id/e|
≦ε0であれば、そのまま図11のフローチャートの処
理に復帰する。
定ゲイン係数b1ハットの値が所定範囲内に無い場合に
は、同定器25によるゲイン係数a1,a2,b1の同定処理が
不安定で、適正な同定ゲイン係数a1ハット,a2ハット,
b1ハットを求めることが困難な状態であると考えられる
ので、前記STEP5−3の場合と同様に同定器25の
初期化を行い(STEP5−11−2)、さらに、後述
のスライディングモード制御の安定性の判断の際に使用
するタイマカウンタtm(カウントダウンタイマ)の値
を所定の初期値TMにセットする(タイマカウンタtmの
起動。STEP5−11−4)。また、STEP5−1
1−3の判断で、|id/e|>ε0である場合、すなわ
ち、同定ゲイン係数a1ハット,a2ハット,b1ハットがま
だ十分に確定していない状態では、STEP5−11−
4の処理を行って、前記タイマカウンタtmの値を初期
値TMにセットする(タイマカウンタtmの起動)。
ット,a2ハット,b1ハットのうち、同定ゲイン係数b1ハ
ットの値が所定範囲内にあるか否かにより同定器25の
同定処理の安定性を判断したが、他の同定ゲイン係数a1
ハット,a2ハットについても同様の評価を行い、それら
の値が不適切なものである場合にも同定器25の同定処
理が不安定であるとして、STEP5−11−2及びS
TEP5−11−4の処理を行うようにしてもよい。
ゲイン係数ベクトルΘの評価処理を行った後、同定器2
5は、前記STEP5−6で設定されるフラグf/id/mng
の値を判断し(STEP5−12)、f/id/mng=1であ
る場合、すなわち、触媒装置3を通過した排ガスの空燃
比がリーン側からリッチ側に変化する挙動状態(ゲイン
係数a1,a2,b1の同定(更新)に好適な挙動状態)である
場合には、次回の制御サイクルの処理のために前記行列
P(k)を前記式(9)により算出し(STEP5−1
3)、図8のメインルーチンの処理に復帰する。また、
f/id/mng=0である場合には、次回の制御サイクルの処
理の際に使用する前記行列P(k)を今現在の行列P(k-1)
に維持し(STEP5−14)、図8のメインルーチ
ンの処理に復帰する。
5の演算処理である。
て、前述の通り同定器25の演算処理が行われた後、空
燃比操作量決定部13はゲイン係数a1,a2,b1を決定する
(STEP6)。この処理では、図19のフローチャー
トに示すように、前記STEP2で設定されたフラグf/
id/calの値が判断され(STEP6−1)、f/id/cal=
1である場合、すなわち、同定器25によるゲイン係数
a1,a2,b1の同定処理を行った場合には、ゲイン係数a1,a
2,b1の値として、それぞれ前記STEP5−10(図1
1参照)で前述の通り同定器25により求められた同定
ゲイン係数a1ハット,a2ハット,b1ハットにそれぞれ所
定のスケーリング係数g1,g2,g3によりスケーリングを施
したものを設定する(STEP6−2)。尚、本実施形
態ではスケーリング係数g1,g2,g3の値は、いずれも
「1」としている。
ち、同定器25によるゲイン係数a1,a2,b1の同定処理を
行わなかった場合には、ゲイン係数a1,a2,b1の値をそれ
ぞれあらかじめ定めた所定値とする(STEP6−
3)。
のメインルーチンにおいて、前記推定器26による演算
処理(推定偏差出力VO2バーの算出処理)を行う(ST
EP7)。
ーチャートに示すように行われる。すなわち、推定器2
6は、前記STEP6で決定されたゲイン係数a1,a2,b1
を用いて、前記式(13)で使用する係数α1,α2,β
j(j=1〜d)を前述したように算出する(式(11)、
(12)参照)(STEP7−1)。さらに、推定器2
6は、式(13)で使用するLAFセンサ5の偏差出力
kact(前記図8のSTEP3で取得されたもの)のフィ
ルタリング処理(ローパス特性のフィルタリング)を行
った後(STEP7−2)、その偏差出力kactのフィル
タリング値の時系列データと、O2センサの偏差出力VO2
の時系列データ(前記図8のSTEP3で取得されたも
の)とSTEP7−1で算出した係数α1,α2,βjと
を用いて前記式(13)により、推定偏差出力VO2(k+d)
バー(今回の制御サイクルの時点から無駄時間d後の偏
差出力VO2の推定値)を算出する(STEP7−3)。
Fセンサ5の偏差出力kactのフィルタリングを行うのは
次の理由による。すなわち、前述したように触媒装置3
を含む対象排気系Eはローパス特性の周波数特性を有す
るため(図16参照)、該対象排気系Eの出力としての
前記O2センサ6の出力VO2/OUTを目標値VO2/TARGETに制
御する上では、前記低周波数帯C(図6参照)を重視す
る必要がある。従って、スライディングモード制御器2
7が前記SLD操作入力uslを決定するために用いる推
定偏差出力VO2バーを前記式(13)により求めるに際
しても、低周波数帯C(図6参照)を重視することが好
ましい。この場合、推定偏差出力VO2バーを求めるため
に式(13)で使用するO2センサ6の偏差出力VO2及び
LAFセンサ5の偏差出力kactのうち、偏差出力VO2
は、対象排気系Eがローパス特性であるために、高周波
成分をほとんど含まないが、偏差出力kactは一般に高周
波成分も含みやすい。このために、本実施形態では、L
AFセンサ5の偏差出力kactのフィルタリング、すなわ
ち、偏差出力kactの高周波成分の除去を行った上で、前
記式(13)により推定偏差出力VO2バーを求めるよう
にしている。
定器25におけるフィルタリングの場合と同様に、移動
平均処理によって行われる。
13は、次に、スライディングモード制御器27によっ
て、前記SLD操作入力uslを算出する(STEP
8)。
のフローチャートに示すように行われる。
7は、まず、前記STEP8で推定器2により求められ
た推定偏差出力VO2バーの時系列データ(詳しくは、今
回の制御サイクルで求められたVO2(k+d)バーと、前回の
制御サイクルで求められたVO2(k+d-1)バー)を用いて、
前記式(35)により定義された線形関数σバーの今回
の制御サイクルから無駄時間d後の値σ(k+d)バー(こ
れは、式(14)で定義された線形関数σの無駄時間d
後の推定値に相当する)を算出する(STEP8−
1)。
は、上記STEP8−1で制御サイクル毎に算出される
σ(k+d)バーを累積的に加算していく(前回の制御サイ
クルで求められた加算結果に今回の制御サイクルで算出
されたσ(k+d)を加算する)ことで、σ(k+d)バーの積算
値(これは式(37)の右端の項に相当する)を算出す
る(STEP8−2)。尚、この場合、本実施形態で
は、σ(k+d)バーの積算値があらかじめ定めた所定範囲
内に収まるようにし、σ(k+d)バーの積算値が所定の上
限値又は下限値を超えた場合には、それぞれσ(k+d)バ
ーの積算値を該上限値又は下限値に制限するようにして
いる。これは、σ(k+d)バーの積算値の大きさが過大に
なると、前記式(37)により求められる適応則入力u
adpが過大となって、制御性が損なわれる虞れがあるか
らである。
は、前記図8のSTEP6で決定されたゲイン係数b1の
リミット処理を次のように行う(STEP8−3)。
して、スライディングモード制御器27はゲイン係数b1
の大きさがあらかじめ定めた所定値ε1よりも小さいか
否かを判断し(STEP3−1)、|b1|≧ε1である
場合には、そのまま図21のフローチャートの処理に復
帰する。
場合)には、ゲイン係数b1の符号が正(b1=0の場合を
含む)であるか否かに応じて、それぞれゲイン係数b1の
値をあらかじめ定めた正の所定値(≧ε1)及び負の所
定値(≦−ε1)に強制的に制限する。このように、ゲ
イン係数b1の大きさを制限して、該ゲイン係数b1が過小
なものとなるのを防止するのは、前記式(34)、(3
6)、(37)を参照して明らかなように、ゲイン係数
b1が、等価制御入力ueq、到達則入力urch及び適応則
入力uadpの算出する際に、分母項として使用するもの
であるため、該ゲイン係数b1の大きさが小さ過ぎると、
過大な等価制御入力ueq、到達則入力urch及び適応則
入力uadpが算出されてしまうからである。
みを制限するようにしたが、他のゲイン係数a1,a2の値
も制限するようにしてもよい。
ン係数b1のリミット処理を行った後、スライディングモ
ード制御器27は前記STEP8で推定器2により求め
られた推定偏差出力VO2バーの時系列データVO2(k+d)バ
ー,VO2(k+d-1)バーと、STEP8−1及び8−2でそ
れぞれ求められた線形関数の値σ(k+d)バー及びその積
算値と、STEP6で決定したゲイン係数a1ハット,a2
ハット及びSTEP8−3で決定したゲイン係数b1ハッ
トとを用いて、前記式(34)、(36)、(37)に
従って、それぞれ等価制御入力ueq、到達則入力urch
及び適応則入力uadpを算出する(STEP8−4)。
は、STEP8−4で求めた等価制御入力ueq、到達則
入力urch及び適応則入力uadpを加算することで、前記
SLD操作入力usl、すなわち、O2センサ6の出力VO2
/OUTを目標値VO2/TARGETに収束させるために必要な対象
排気系Eへの入力(LAFセンサ5で検出される排ガス
の空燃比と基準値FLAF/BASEとの偏差)を算出する(S
TEP8−5)。
力uslを算出した後、空燃比操作量決定部13は、スラ
イディングモード制御器27による適応スライディング
モード制御の安定性の判別処理を行って、該適応スライ
ディングモード制御が安定であるか否かを示すフラグf/
sld/stbの値を設定する(STEP8−6)。
ャートに示すように行われる。
ず、前記STEP8−1で算出される線形関数σバーの
今回値σ(k+d)バーと前回値σ(k+d-1)バーとの偏差Δσ
バー(これは線形関数のσバーの変化速度に相当する)
を算出する(STEP9−1)。
EP9−1で算出した偏差Δσバーと線形関数σバーの
今回値σ(k+d)バーとの積Δσバー・σ(k+d)バー(これ
はσバーに関するリアプノフ関数σバー2/2の時間微
分関数に相当する)があらかじめ定めた所定値ε2(≧
0)以下であるか否かを判断する(STEP9−2)。
なる状態は、σバー2が増加する側で、前記推定偏差出
力VO2(k+d),VO2(k+d-1)が前記超平面σ=0から離間す
る方向へ変移している状態であるので、適応スライディ
ングモード制御が不安定(前記STEP8で算出される
SLD操作入力uslが不適切)であると考えられる。こ
のため、STEP9−2の判断で、Δσバー・σ(k+d)
バー>ε2である場合には、適応スライディングモード
制御が不安定であるとして、同定器25の初期化を行う
べく前記フラグf/id/resetの値を「1」に設定し(ST
EP9−4)、さらに、前記STEP8で算出されるS
LD操作入力uslを用いた目標空燃比KCMDの決定を所定
時間、禁止するためにタイマカウンタtm(カウントダ
ウンタイマ)の値を所定の初期値TMにセットする(タ
イマカウンタtmの起動。STEP9−5)。そして、
前記フラグf/sld/stbの値を「0」(f/sld/stb=0は適
応スライディングモード制御が不安定であることを示
す)に設定する(STEP9−6)。
値ε2は理論上は「0」でよいが、確率的外乱の影響を
考慮すると、「0」よりも若干大きな値とすることが好
ましい。
バー・σ(k+d)バー≦ε2である場合には、空燃比操作量
決定部13は、線形関数σバーの今回値σ(k+d)バーが
あらかじめ定めた所定範囲内にあるか否かを判断する
(STEP9−3)。
d)バーが、所定範囲内に無い状態は、前記推定偏差出力
VO2(k+d),VO2(k+d-1)が前記超平面σ=0から大きく離
間している状態であるので、適応スライディングモード
制御が不安定(前記STEP8で算出されるSLD操作
入力uslが不適切)であると考えられる。このため、S
TEP9−2の判断で、線形関数σバーの今回値σ(k+
d)バーが、所定範囲内に無い場合には、適応スライディ
ングモード制御が不安定であるとして、前述の場合と同
様に、STEP9−5〜9−6の処理を行って、同定器
25の初期化を行うべく前記フラグf/id/resetの値を
「1」に設定すると共に、タイマカウンタtm を起動す
る。
σバーの今回値σ(k+d)バーが、所定範囲内にある場合
には、空燃比操作量決定部13は、前記タイマカウンタ
tmを所定時間Δtm分、カウントダウンし(STEP9
−7)、さらに、該タイマカウンタtmの値が「0」以
下であるか否か、すなわち、タイマカウンタtmを起動
してから前記初期値TM分の所定時間が経過したか否か
を判断する(STEP9−8)。
ち、タイマカウンタtmが計時動作中でまだタイムアッ
プしていない場合は、STEP9−2あるいはSTEP
9−3の判断で適応スライディングモード制御が不安定
であると判断されてから、さほど時間を経過していない
状態で、適応スライディングモード制御が不安定なもの
となりやすいので、前記STEP9−6の処理を行って
前記フラグf/sld/stbの値を「0」に設定する。
である場合、すなわち、タイマカウンタtmがタイムア
ップしている場合には、適応スライディングモード制御
が安定であるとして、フラグf/sld/stbの値を「1」(f
/sld/stb=1は適応スライディングモード制御が安定で
あることを示す)に設定する(STEP9−9)。
器25における同定ゲイン係数a1ハット,a2ハット,b1
ハットの前述の評価処理(前記図18のフローチャート
の処理)において、前記同定誤差id/eが未収束状態で、
同定ゲイン係数a1ハット,a2ハット,b1ハットがまだ十
分に確定していない場合でも起動される。このため、S
TEP9−2あるいはSTEP9−3の条件が満たされ
た場合であっても、STEP9−8の判断でtm>0と
なる場合があり、前記フラグf/sld/stbの値が「0」に
設定される。これは、同定ゲイン係数a1ハット,a2ハッ
ト,b1ハットがまだ十分に確定していない段階では、該
同定ゲイン係数a1ハット,a2ハット,b1ハットを用いた
適応スライディングモード制御が不安定なものとなり易
いからである。
グモード制御器27による適応スライディングモード制
御の安定性が判断され、不安定であると判断した場合に
は、フラグf/sld/stbの値が「0」に設定され、安定で
あると判断した場合には、フラグf/sld/stbの値が
「1」に設定される。
モード制御の安定性の判断は、基本的には、前記STE
P9−2及び9−3の条件判断で行うようにしたが、い
ずれか一方の条件判断で行うようにしてもよく、あるい
は、線形関数σバーの変化速度に相当する前記偏差Δσ
バーの大きさ(絶対値)を所定値と比較することで、適
応スライディングモード制御の安定性の判断を行うよう
にすることも可能である。
グモード制御器27による適応スライディングモード制
御の安定性を示すフラグf/sld/stbの値を設定した後、
空燃比操作量決定部13は、フラグf/sld/stbの値を判
断する(STEP10)。このとき、f/sld/stb=1で
ある場合、すなわち、適応スライディングモード制御が
安定であると判断された場合には、スライディングモー
ド制御器27によって、前記STEP8で算出されたS
LD操作入力uslのリミット処理が行われる(STEP
11)。このリミット処理では、SLD操作入力uslの
値や、その値の変化幅が所定範囲に制限され、STEP
8で算出されたSLD操作入力uslの今回値usl(k)が
所定の上限値又は下限値を超えている場合には、それぞ
れ、SLD操作入力uslの値が強制的に該上限値又は下
限値に設定される。また、STEP8で算出されたSL
D操作入力uslの今回値usl(k)の前回値usl(k-1)から
の変化量が所定量を超えている場合には、SLD操作入
力uslの値が強制的に前回値usl(k-1) に該所定量を加
えた値に設定される。
のようなSLD操作入力uslのリミット処理の後、スラ
イディングモード制御器27によって、前記式(38)
に従って前記目標空燃比KCMDを算出せしめ(STEP1
3)、今回の制御サイクルの処理終了する。
b=0である場合、すなわち、適応スライディングモー
ド制御が不安定であると判断された場合には、空燃比操
作量決定部13は、今回の制御サイクルにおけるSLD
操作入力uslの値を強制的に所定値(固定値あるいはS
LD操作入力uslの前回値)に設定した後(STEP1
2)、スライディングモード制御器27によって、前記
式(38)に従って前記目標空燃比KCMDを算出せしめ
(STEP13)、今回の制御サイクルの処理終了す
る。
標空燃比KCMDは、制御サイクル毎に図示しないメモリに
時系列的に記憶保持される。そして、前記大局的フィー
ドバック制御器17等が、空燃比操作量決定部13で決
定された目標空燃比KCMDを用いるに際しては(図6のS
TEPfを参照)、上記のように時系列的に記憶保持さ
れた目標空燃比KCMDの中から最新のものが選択される。
細な作動である。
には空燃比操作量決定部13によって、触媒装置3の下
流側のO2センサ6の出力VO2/OUT(これはプラントとし
ての対象排気系Eの出力に相当する)を目標値VO2/TARG
ETに収束(整定)させるように、触媒装置3に進入する
排ガスの目標空燃比KCMD(これは、対象排気系Eの目標
入力に相当する)が逐次決定され、この目標空燃比KCMD
に従って、対象排気系Eへの入力(排ガスの空燃比)を
生成するアクチュエータとしてのエンジン1の燃料供給
量が該目標空燃比KCMD及び触媒装置3の上流側のLAF
センサ5の出力KACTに基づきフィードバック制御され
る。そして、上記のように触媒装置3の下流側のO2セ
ンサ6の出力VO2/OUT を目標値VO2/TARGETに整定させる
ことで、触媒装置3の経時劣化等によらずに、触媒装置
3の最適な排ガス浄化性能を確保することができる。
来的に外乱等の影響を受けにくいという特性を有するス
ライディングモード制御を用い、特に外乱等の影響を極
力排除するための適応則を付加した適応スライディング
モード制御を用いて前記目標空燃比KCMD(対象排気系E
の目標入力)を決定するため、O2センサ6の出力VO2/O
UT(対象排気系Eの出力)を目標値VO2/TARGETに整定さ
せる上で的確な目標空燃比KCMDを外乱等の影響を極力抑
えて安定して求めることができ、ひいては、O 2センサ
6の出力VO2/OUTの目標値VO2/TARGETへの制御を安定し
て精度よく行うことができる。
ィングモード制御器27が適応スライディングモード制
御により目標空燃比KCMDを決定するに際しては、推定器
26により求められた推定偏差出力VO2、すなわち対象
排気系Eの無駄時間d後のO2センサ6の偏差出力VO2の
推定値を用い、その推定偏差出力VO2により示される無
駄時間d後のO2センサ6の出力VO2/OUT(対象排気系E
の出力)の推定値を目標値VO2/TARGETに収束させるよう
に目標空燃比KCMD(対象排気系Eの目標入力)が決定さ
れる。このため、対象排気系Eに存する無駄時間dの影
響が補償(排除)され、これによっても、O2センサ6
の出力VO2/OUTの目標値VO2/TARGETへの収束制御の安定
性を高めることができる。
モード制御器27により制御すべき状態量Xとして、O
2センサ6の偏差出力VO2 の現在以前の時系列データVO2
(k),VO2(k-1)(より詳しくは、O2センサ6の推定偏差
出力VO2バーの最新値以前の時系列データVO2(k+d)バ
ー,VO2(k+d-1)バー)を用いることで、スライディング
モード制御器27の演算処理を対象排気系Eの離散系モ
デル上で構築することができ、スライディングモード制
御器27の演算処理を離散時間的なコンピュータ処理に
適した簡素なものとすることができる。
ド制御器27の演算処理のために対象排気系Eの離散系
モデルを用いることで、該離散系モデルの設定すべきパ
ラメータとしての前記ゲイン係数a1,a2,b1を、本実施形
態のような同定器25を用いてリアルタイムで同定し
て、離散系モデルの実際の対象排気系Eに対するモデル
化誤差を実際の対象排気系Eの挙動状態に則して最小限
に留めることができる。そして、該同定器25で同定し
たゲイン係数a1,a2,b1を用いてスライディングモード制
御器27の演算処理を行って目標空燃比KCMD(対象排気
系Eの目標入力)を決定することで、O2センサ6の出
力VO2/OUTを目標値VO 2/TARGETに収束制御する上で、的
確な目標空燃比KCMDを対象排気系Eの実際の挙動状態に
則して決定することができ、ひいては、O2センサ6の
出力VO2/OUTの目標値VO2/TARGETへの収束制御の精度を
高めることができる。特に、スライディングモード制御
器27により制御すべき状態量Xが前記超平面σ=0に
収束していない段階でのモデル化誤差の影響が極力抑え
られるため、O2センサ6の出力VO2/OUTの目標値VO2/TA
RGETへの収束制御の安定性を高めることができる。
気系Eの離散系モデルを用いて演算処理を行うことで、
その演算処理をコンピュータ処理に適した簡素なものと
することができる。そして、前記同定器25によりリア
ルタイムで同定された離散系モデルのゲイン係数a1,a2,
b1を用いて推定器25の演算処理を行うことで、対象排
気系Eの無駄時間d後のO2 センサ6の出力VO2/OUTの
推定値を表す前記推定偏差出力VO2バーの精度を高める
ことができ、このような推定偏差出力VO2バーを用いて
スライディングモード制御器27により目標空燃比KCMD
を決定することで、無駄時間dの影響を確実に排除し
て、O2 センサ6の出力VO2/OUTの目標値VO2/TARGETへ
の収束制御を行うことができる。
離散系モデルのゲイン係数a1,a2,b1の同定処理に際し
て、その処理に用いる前記同定偏差出力VO2ハット(こ
れは対象排気系Eの離散系モデル上での出力に相当す
る)と、前記偏差出力VO2(これは対象排気系Eの実際
の出力に相当する)とに、対象排気系Eの入力変化に対
する出力変化のゲインが比較的大きなものとなる周波数
帯(図16の低周波数帯C)に重みを有するフィリタリ
ングを施すことによって、離散系モデルの周波数特性が
実際の対象排気系Eの周波数特性に適合するように前記
同定ゲイン係数a1ハット、a2ハット、b1ハットを算出す
ることができる。そして、このような同定ゲイン係数a1
ハット、a2ハット、b1ハットを用いてスライディングモ
ード制御器27によって目標空燃比KCMDを決定すると共
に推定器26による推定偏差出力VO2バーの算出処理を
行うことで、O2センサ6の出力VO2/OUTを目標値VO2/TA
RGETに収束制御する上で重要な周波数帯における制御性
を高めることができる。また、上記のフィルタリングの
重み特性を適切に設定することで、O2センサ6の出力V
O2/OUTの目標値VO2/TARGETへの収束制御の安定性や、速
応性を高めることができる。
差出力VO2により把握される対象排気系Eの出力の挙動
状態が、触媒装置3を通過した排ガスの空燃比(これは
O2センサ6の出力VO2/OUTに相当する)がリーン側から
リッチ側に変化する挙動状態、すなわち、ゲイン係数a
1,a2,b1の同定(更新)に好適な特定の挙動状態である
場合において、離散系モデルのゲイン係数a1,a2,b1の同
定処理を行うようにしているため、スライディングモー
ド制御器27による目標空燃比KCMDの決定処理や推定器
26による推定偏差出力VO2バーの算出処理を的確に行
う上で好適な同定ゲイン係数a1ハット、a2ハット、b1ハ
ットを算出することができ、ひいては、O 2センサ6の
出力VO2/OUTの目標値VO2/TARGETへの収束制御を確実に
行うことができる。
同定処理の安定性やスライディングモード制御器27に
よる適応スライディングモード制御の安定性を判断し、
それらが不安定と判断される場合に、同定器25の初期
化を行うため、不適正な同定ゲイン係数a1ハット、a2ハ
ット、b1ハットを用いて、スライディングモード制御器
27により不適正な目標空燃比KCMDが決定されたり、推
定器26により不適正な推定偏差出力VO2バーが算出さ
れたりするような事態を回避することができる。
ード制御器27による適応スライディングモード制御が
不安定であると判断された場合や、その判断後、前記タ
イマカウンタtmの初期値TM分の所定時間が経過するま
では、前記SLD操作入力uslを所定値として目標空燃
比KCMDを決定するため、O2センサ6の出力VO2/OUTが異
常な状態に制御されるような事態を確実に排除すること
ができる。
至図26を参照して説明する。尚、本実施形態は、前述
の第1の実施形態において前記同定器25による前記S
TEP5−11の処理、すなわち同定ゲイン係数ベクト
ルΘの評価処理(図11及び図18参照)の内容のみ
が、第1の実施形態のものと相違するものである。従っ
て、本実施形態の説明では、第1の実施形態と同一構成
部分については第1の実施形態と同一の参照符号を用い
て説明を省略する。
パラメータであるゲイン係数a1,a2,b1の値、すなわ
ち、前記同定ゲイン係数a1ハット、a2ハット、b1ハット
(同定ゲイン係数ベクトルΘの要素)を所定の条件を満
たすように制限し、その制限した同定ゲイン係数a1ハッ
ト、a2ハット、b1ハットの値を用いて、前記第1の実施
形態で説明した如く推定器26及びスライディングモー
ド制御器27による演算処理を行うものである。
ット、b1ハットの値を制限するための前記所定の条件
は、前記式(1)で表した離散系モデルの応答遅れ要素
(より詳しくは1次目の自己回帰項及び2次目の自己回
帰項)に係わる同定ゲイン係数a1ハット、a2ハットの値
の組み合わせを所定の組み合わせに制限するための条件
(以下、第1制限条件という)と、上記離散系モデルの
無駄時間要素に係わる同定ゲイン係数b1ハットの値を制
限するための条件(以下、第2制限条件という)とがあ
る。
説明する前に、同定ゲイン係数a1ハット、a2ハット、b1
ハットの値を制限する理由を説明しておく。
同定ゲイン係数a1ハット、a2ハット、b1ハットを求める
に際して、それらの値に特別な制限を加えず、同定器2
5が不安定であると判断した場合に同定器25の初期化
を行うようにしている。ところが、本願発明者等の知見
によれば、O2センサ6の出力VO2/OUT(触媒装置3を通
過した排ガスの酸素濃度)がその目標値VO2/TARGETに安
定して制御されている状態で、スライディングモード制
御器27により前述の如く求められる目標空燃比KCMD
(空燃比の操作量)が平滑的な時間変化を呈する状況
と、高周波振動的な時間変化を呈する状況とが生じるこ
とが判明した。この場合、いずれの状況においても、O
2センサ6の出力VO2/OUTをその目標値VO2/TARGETに制御
する上では支障がないものの、目標空燃比KCMDが高周波
振動的な時間変化を呈する状況は、該目標空燃比KCMDに
基づいて制御されるエンジン1の円滑な運転を行う上で
は、あまり好ましくない。
が検討したところ、スライディングモード制御器27が
求める目標空燃比KCMDが平滑的なものとなるか高周波振
動的なものとなるかは、同定器25により同定するゲイ
ン係数a1,a2の値の組み合わせや、ゲイン係数b1の値の
影響を受けることが判明した。
と第2制限条件とを適切に設定し、これらの条件によ
り、同定ゲイン係数a1ハット、a2ハットの値の組み合わ
せや、同定ゲイン係数b1ハットの値を適切に制限するこ
とで、O2センサ6の出力VO2/OUTの目標値VO2/TARGETへ
の安定した制御性を確保しつつ、目標空燃比KCMDが高周
波振動的なものとなるような状況を排除するものであ
る。
記第1制限条件及び第2制限条件は次のように設定す
る。
の値の組み合わせを制限するための第1制限条件に関
し、本願発明者等の検討によれば、目標空燃比KCMDが平
滑的なものとなるか高周波振動的なものとなるかは、ゲ
イン係数a1,a2の値により定まる前記式(13)の係数
値α1,α2、すなわち、前記推定器26が前記推定偏差
出力VO2(k+d)バーを前記式(13)に従って求めるため
に使用する前記係数値α1,α2(これらの係数値α1,
α2は前記式(11)で定義した行列Aの巾乗Adの第1
行第1列成分及び第1行第2列成分である)の組み合わ
せが密接に関連している。
1,α2をそれぞれ成分とする座標平面を設定したとき、
係数値α1,α2の組により定まる該座標平面上の点が図
24の斜線を付した領域(三角形Q1Q2Q3で囲まれた
領域(境界を含む)。以下この領域を推定係数安定領域
という)に存するとき、目標空燃比KCMDの時間的変化が
平滑的なものとなりやすい。逆に、係数値α1,α2の組
により定まる点が上記の推定係数安定領域を逸脱してい
るような場合には、目標空燃比KCMDの時間的変化が高周
波振動的なものとなったり、あるいは、O2センサ6の
出力VO2/OUTの目標値VO2/TARGETへの制御性が悪化しや
すい。
係数a1,a2の値、すなわち同定ゲイン係数a1ハット、
a2ハットの値の組み合わせは、これらの値により定まる
係数値α1,α2の組に対応する図24の座標平面上の点
が上記推定係数安定領域内に存するように制限すること
が好ましい。
域を含んで座標平面上に表した三角形領域Q1Q4Q
3は、次式(51)により定義される系、すなわち、前
記式(13)の右辺のVO2(k)及びVO2(k-1)をそれぞれVO
2(k)バー及びVO2(k-1)バー(これらのVO2(k)バー及びVO
2(k-1)バーは、それぞれ、推定器26により無駄時間d
前に求められる推定偏差出力及びその1制御サイクル前
に求められる推定偏差出力を意味する)により置き換え
てなる式により定義される系が、理論上、安定となるよ
うな係数値α1,α2の組み合わせを規定する領域であ
る。
安定となる条件は、その系の極(これは、次式(52)
により与えられる)が複素平面上の単位円内に存在する
ことである。
3は、上記の条件を満たす係数値α1,α2の組み合わせ
を規定する領域である。従って、前記推定係数安定領域
は、前記式(51)により表される系が安定となるよう
な係数値α1,α2の組み合わせのうち、α1≧0となる
組み合わせを表す領域である。
1,a2の値の組み合わせにより定まるので、逆算的に、
係数値α1,α2の組み合わせからゲイン係数a1,a2の
値の組み合わせも定まる。従って、係数値α1,α2の好
ましい組み合わせを規定する図24の推定係数安定領域
は、ゲイン係数a1,a2を座標成分とする図25の座標平
面上に変換することができ、この変換を行うと、該推定
係数安定領域は、図25の座標平面上では、例えば図2
5の仮想線で囲まれた領域(下部に凹凸を有する大略三
角形状の領域。以下、同定係数安定領域という)に変換
される。すなわち、ゲイン係数a1,a2の値の組により定
まる図25の座標平面上の点が、同図の仮想線で囲まれ
た同定係数安定領域に存するとき、それらのゲイン係数
a1,a2の値により定まる係数値α1,α2の組に対応する
図24の座標平面上の点が前記推定係数安定領域内に存
することとなる。
ン係数a1ハット、a2ハットの値を制限するための前記第
1制限条件は、基本的には、それらの値により定まる図
25の座標平面上の点が前記同定係数安定領域に存する
こととして設定することが好ましい。
定領域の境界の一部(図の下部)は凹凸を有する複雑な
形状を呈しているため、実用上、同定ゲイン係数a1ハッ
ト、a2ハットの値により定まる図25の座標平面上の点
を同定係数安定領域内に制限するための処理が煩雑なも
のとなりやすい。
域を、例えば図25の実線で囲まれた四角形Q5Q6Q7
Q8の領域(境界を直線状に形成した領域。以下、同定
係数制限領域という)により大略近似する。この場合、
この同定係数制限領域は、図示の如く、|a1|+a2=1
なる関数式により表される折れ線(線分Q5Q6及び線分
Q5Q8を含む線)と、a1=A1L(A1L:定数)なる定値関
数式により表される直線(線分Q6Q7を含む直線)と、
a2=A2L(A2L:定数)なる定値関数式により表される直
線(線分Q7Q8を含む直線)とにより囲まれた領域であ
る。そして、同定ゲイン係数a1ハット、a2ハットの値を
制限するための前記第1制限条件を、それらの値により
定まる図25の座標平面上の点が上記同定係数制限領域
に存することとして設定し、同定ゲイン係数a1ハット、
a2ハットの値により定まる点が同定係数制限領域に存す
るようにそれらの値を制限する。この場合、同定係数制
限領域の下辺部の一部は、前記同定係数安定領域を逸脱
しているものの、現実には同定器25が求める同定ゲイ
ン係数a1ハット、a2ハットの値により定まる点は上記の
逸脱領域には入らないことを実験的に確認している。従
って、上記の逸脱領域があっても、実用上は支障がな
い。
仕方は例示的なもので、該同定係数制限領域は、基本的
には、前記同定係数安定領域に等しいか、もしくは該同
定係数安定領域を大略近似し、あるいは、同定係数制限
領域の大部分もしくは全部が同定係数安定領域に属する
ように設定すれば、どのような形状のものに設定しても
よい。つまり、同定係数制限領域は、同定ゲイン係数a1
ハット、a2ハットの値の制限処理の容易さ、実際上の制
御性等を考慮して種々の設定が可能である。例えば本実
施形態では、同定係数制限領域の上半部の境界を|a1|
+a2=1なる関数式により規定しているが、この関数式
を満たすゲイン係数a1,a2の値の組み合わせは、前記式
(52)により与えられる系の極が複素平面上の単位円
周上に存するような理論上の安定限界の組み合わせであ
る。従って、同定係数制限領域の上半部の境界を例えば
|a1|+a2=r(但し、rは上記の安定限界に対応する
「1」よりも若干小さい値で、例えば0.99)なる関
数式により規定し、制御の安定性をより高めるようにし
てもよい。
図25の同定係数安定領域も例示的なものであり、図2
4の推定係数安定領域に対応する同定係数安定領域は、
係数値α1,α2の定義から明らかなように(式(1
2)、(13)を参照)、無駄時間d(より正確にはそ
の設定値)の影響も受け、該無駄時間dの値によって、
同定係数安定領域の形状が変化する。この場合、同定係
数安定領域がどのような形状のものであっても、前記同
定係数制限領域は、同定係数安定領域の形状に合わせて
前述の如く設定すればよい。
数b1の値、すなわち同定ゲイン係数b1ハットの値を制
限するための前記第2制限条件は本実施形態では次のよ
うに設定する。
前記目標空燃比KCMDの時間的変化が高周波振動的なもの
となる状況は、同定ゲイン係数b1ハットの値が過大も
しくは過小となるような場合にも生じ易い。そこで、本
実施形態では、同定ゲイン係数b1ハットの値の上限値B
1H及び下限値B1L(B1H>B1L>0)をあらかじめ実験や
シミュレーションを通じて定めておく。そして、前記第
2制限条件を、同定ゲイン係数b1ハットの値が上限値B
1H以下で且つ下限値B1L以上の値になること(B1L≦b1
ハット≦B1Hの不等式を満たすこと)として設定する。
び第2制限条件により同定ゲイン係数a1ハット、a2ハッ
ト、b1ハットの値を制限するための処理は、本実施形態
では、前記STEP5−11における同定ゲイン係数ベ
クトルΘの評価処理において、次のように行われる。
して、同定器25は、前記図11のSTEP5−10で
前述の如く求めた同定ゲイン係数a1(k)ハット、a2(k)ハ
ット、b1(k)ハットについて、まず、同定ゲイン係数a1
(k)ハット、a2(k)ハットの値の組み合わせを前記第1制
限条件により制限するための処理をSTEP5−11−
5〜5−11−1で行う。
P5−10で求めた同定ゲイン係数a2(k)ハットの値
が、前記同定係数制限領域におけるゲイン係数a2の下限
値A2L(図25参照)以上の値であるか否かを判断する
(STEP5−11−5)。
定ゲイン係数a1(k)ハット、a2(k)ハットの値の組により
定まる図25の座標平面上の点(以下、この点を(a1
(k)ハット,a2(k)ハット)で表す)が同定係数制限領域
から逸脱しているので、a2(k)ハットの値を強制的に上
記下限値A2Lに変更する(STEP5−11−6)。こ
の処理により、図25の座標平面上の点(a1(k)ハッ
ト,a2(k)ハット)は、少なくともa2=A2Lにより表され
る直線(線分Q7Q8を含む直線)の上側(該直線上を含
む)の点に制限される。
で求めた同定ゲイン係数a1(k)ハットの値が、前記同定
係数制限領域におけるゲイン係数a1の下限値A1L(図2
5参照)以上の値であるか否か、並びに、同定係数制限
領域におけるゲイン係数a1の上限値A1H(図25参照)
以下の値であるか否かを順次判断する(STEP5−1
1−7、5−11−9)。尚、同定係数制限領域におけ
るゲイン係数a1の上限値A1Hは、図25から明らかなよ
うに折れ線|a1|+a2=1(但しa1>0)と、直線a2=
A2Lとの交点Q8のa1座標成分であるので、A1H=1−A2L
である。
あるいは、a1(k)ハット>A1Hである場合には、図25の
座標平面上の点(a1(k)ハット,a2(k)ハット)が同定係
数制限領域から逸脱しているので、a1(k)ハットの値を
それぞれの場合に応じて、強制的に上記下限値A1Lある
いは上限値A1Hに変更する(STEP5−11−8、5
−11−10)。
(a1(k)ハット,a2(k)ハット)は、a1=A1Lにより表さ
れる直線(線分Q6Q7を含む直線)と、a1=A1Hにより
表される直線(点Q8を通ってa1軸に直行する直線)と
の間の領域(両直線上を含む)に制限される。
8の処理と、STEP5−11−9及び5−11−10
の処理とは順番を入れ換えてもよい。また、前記STE
P5−11−5及び5−11−6の処理は、STEP5
−11−7〜5−11−10の処理の後に行うようにし
てもよい。
11−5〜5−11−10を経た今現在のa1(k)ハッ
ト,a2(k)ハットの値が|a1|+a2≦1なる不等式を満
たすか否か、すなわち、点(a1(k)ハット,a2(k)ハッ
ト)が|a1|+a2=1なる関数式により表される折れ線
(線分Q5Q6及び線分Q5Q8を含む線)の下側(折れ線
上を含む)にあるか上側にあるかを判断する(STEP
5−11−11)。
立しておれば、前記STEP5−11−5〜5−11−
10を経たa1(k)ハット,a2(k)ハットの値により定まる
点(a1(k)ハット,a2(k)ハット)は、同定係数制限領域
(その境界を含む)に存している。
(a1(k)ハット,a2(k)ハット)が、同定係数制限領域か
らその上方側に逸脱している場合であり、この場合に
は、a2(k)ハットの値を強制的に、a1(k)ハットの値に応
じた値(1−|a1(k)ハット|)に変更する(STEP
5−11−12)。換言すれば、a1(k)ハットの値を現
状に保持したまま、点(a1(k)ハット,a2(k)ハット)を
|a1|+a2=1なる関数式により表される折れ線上(同
定係数制限領域の境界である線分Q5Q6上、もしくは線
分Q5Q8上)に移動させる。
11−12の処理によって、同定ゲイン係数a1(k)ハッ
ト,a2(k)ハットの値は、それらの値により定まる点(a
1(k)ハット,a2(k)ハット)が同定係数制限領域内に存
するように制限される。尚、前記STEP5−10で求
められた同定ゲイン係数a1(k)ハット,a2(k)ハットの値
に対応する点(a1(k)ハット,a2(k)ハット)が同定係数
制限領域内に存する場合は、それらの値は保持される。
系モデルの1次目の自己回帰項に係わる同定ゲイン係数
a1(k)ハットに関しては、その値が、同定係数制限領域
における下限値A1L及び上限値A1Hの間の値となっている
限り、その値が強制的に変更されることはない。また、
a1(k)ハット<A1Lである場合、あるいは、a1(k)ハット
>A1Hである場合には、それぞれ、同定ゲイン係数a1(k)
ハットの値は、同定係数制限領域においてゲイン係数a1
が採りうる最小値である下限値A1Lと、同定係数制限領
域においてゲイン係数a1が採りうる最大値である下限値
A1Hとに強制的に変更されるので、これらの場合におけ
る同定ゲイン係数a1(k)ハットの値の変更量は最小なも
のとなる。つまり、STEP5−10で求められた同定
ゲイン係数a1(k)ハット,a2(k)ハットの値に対応する点
(a1(k)ハット,a2(k)ハット)が同定係数制限領域から
逸脱している場合には、同定ゲイン係数a1(k)ハットの
値の強制的な変更は最小限に留められる。
ット,a2(k)ハットの値を制限したのち、同定器25
は、同定ゲイン係数b1(k)ハットの値を前記第2制限条
件に従って制限する処理をSTEP5−11−13〜5
−11−16で行う。
−10で求めた同定ゲイン係数b1(k)ハットの値が、前
記下限値B1L以上であるか否かを判断し(STEP5−
11−13)、B1L>b1(k)ハットである場合には、b1
(k)ハットの値を強制的に上記下限値B1Lに変更する(S
TEP5−11−14)。
(k)ハットの値が、前記上限値B1H以上であるか否かを判
断し(STEP5−11−15)、B1H<b1(k)ハットで
ある場合には、b1(k)ハットの値を強制的に上記上限値B
1Hに変更する(STEP5−11−16)。
11−16の処理によって、同定ゲイン係数b1(k)ハッ
トの値は、下限値B1L及び上限値B1Hの間の範囲の値に制
限される。
ット,a2(k)ハットの値の組み合わせと同定ゲイン係数b
1(k)ハットの値とを制限した後には、同定器25は、前
記図18のSTEP5−11−3及び5−11−4と同
じ処理を行う。すなわち、前記STEP5−8(図11
参照)で算出された同定誤差id/eの大きさが所定値ε0
以下の十分小さなものとなったか否か(id/eがほぼ
「0」に収束して、同定ゲイン係数a1ハット,a2ハッ
ト,b1ハットがほぼ確定した状態になったか否か)を判
断する(STEP5−11−17)。このとき、|id/e
|≦ε0であれば、そのまま図11のフローチャートの
処理に復帰する。
|id/e|>ε0である場合には、前述の第1の実施形態
で説明した如くスライディングモード制御の安定性の判
断の際に使用するタイマカウンタtm(カウントダウン
タイマ)の値を所定の初期値TMにセットした後(タイ
マカウンタtmの起動。STEP5−11−18)、図
11のフローチャートの処理に復帰する。
1の実施形態と全く同一である。この場合において、図
11のSTEP5−10で同定ゲイン係数a1(k)ハッ
ト,a2(k)ハット,b1(k)ハットを求めるために使用する
同定ゲイン係数の前回値a1(k-1)ハット,a2(k-1)ハッ
ト,b1(k-1)ハットは、前回の制御サイクルにおけるS
TEP5−11の処理で前述の如く第1及び第2制限条
件により制限を行った同定ゲイン係数の値である。この
ため、各制御サイクルにおいて前記STEP5−10で
求められる同定ゲイン係数a1(k)ハット,a2(k)ハット,
b1(k)ハットの値は前記第1及び第2の制限条件を満た
す値に収まりやすくなる。
値は前記STEP5−11−13〜5−11−16の処
理により、その上限及び下限が正の値に制限されるの
で、前記図21のSTEP8−3の処理を省略してもよ
い。
実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんであ
るが、同定器25により求める同定ゲイン係数a1ハッ
ト,a2ハット,b1ハットの値を前述の如く設定した第1
及び第2制限条件に従って制限することで、特に、スイ
ディングモード制御器27が求める目標空燃比KCMDが高
周波振動的な変化を生じるのを確実に排除することがで
き、エンジン1の円滑な運転を行いつつ、触媒装置3の
下流側のO2センサ6の出力VO2/OUT を目標値VO2/TARGE
Tに高精度で制御することができる。すなわち、エンジ
ン1の円滑な運転を行いつつ、触媒装置3の最適な浄化
性能を確保することができる。
ルの応答遅れ要素に係わる同定ゲイン係数a1ハット,a2
ハットについては、それらの値を個別に制限するのでは
なく、それらの値を、両者の値の相関性をもった組み合
わせにより制限することで、O2センサ6の出力VO2/OUT
を目標値VO2/TARGETに制御し、また、目標空燃比KCMDが
高周波振動的な変化を生じるのを確実に排除する上で最
適な同定ゲイン係数a1ハット,a2ハットの値を得ること
ができる。
の値の組み合わせの制限に際しては、式(1)の右辺の
自己回帰項のうちの低次側の自己回帰項(1次目の自己
回帰項)に係わる同定ゲイン係数a1ハット、別の言い方
をすれば式(1)により表現した離散系モデルにおい
て、O2センサ6のより新しい出力VO2/OUTもしくは偏差
出力VO2 に係わる同定ゲイン係数a1ハットの値の変更量
が最小となるようにa1ハット,a2ハットの値の組み合わ
せの制限を行うことで、より信頼性の高い目標空燃比KC
MDを算出することができ、安定した制御を行うことがで
きる。
トの値の組み合わせを制限するための前記同定係数制限
領域(図25参照)は、その境界を直線状に設定したた
め、a1ハット,a2ハットの値を制限するための処理を容
易に行うことができる。
系の空燃比制御装置は、前述した第1及び第2の実施形
態に限定されるものではなく、例えば次のような変形態
様も可能である。
は、第2排ガスセンサとして、LAFセンサ(広域空燃
比センサ)5を用いたが、第2排気ガスセンサは排ガス
の空燃比を検出できるものであれば、通常のO2センサ
等、他の形式のセンサを用いてもよい。
第1排ガスセンサとしてO2センサ6を用いたが、第1
排ガスセンサは、制御すべき触媒装置下流の排ガスの特
定成分の濃度を検出できるセンサであれば、他のセンサ
を用いてもよい。すなわち、例えば触媒装置下流の排ガ
ス中の一酸化炭素(CO)を制御する場合はCOセン
サ、窒素酸化物(NOX)を制御する場合にはNOXセン
サ、炭化水素(HC)を制御する場合にはHCセンサを
用いる。三元触媒装置を使用した場合には、上記のいず
れのガス成分の濃度を検出するようにしても、触媒装置
の浄化性能を最大限に発揮させるように制御することが
できる。また、還元触媒装置や酸化触媒装置を用いた場
合には、浄化したいガス成分を直接検出することで、浄
化性能の向上を図ることができる。
排気系Eの離散系モデルや、同定器25、推定器26、
スライディングモード制御器27の演算処理において、
LAFセンサ5の偏差出力kactやO2センサ6の偏差出
力VO2を用いたが、LAFセンサ5の出力KACTやO2セン
サ6の出力VO2/OUTをそのまま用いて、対象排気系Eの
離散系モデルを構築したり、同定器25、推定器26、
スライディングモード制御器27の演算処理を行うよう
にしてもよい。但し、離散系モデルの簡素化や同定器2
5、推定器26、スライディングモード制御器27の演
算処理の簡素化を図る上では、本実施形態のように偏差
出力kact,VO2を用いることが好ましい。また、この場
合において、偏差出力kact(=KACT−FLAF/BASE)に係
わる前記基準値FLAF/BASEは必ずしも一定値とする必要
はなく、該基準値FLAF/BASEをエンジン1の回転数NEや
吸気圧PB等に応じて設定するようにしてもよい。
比操作量決定部13により決定する操作量を触媒装置3
に進入する排ガスの目標空燃比KCMD(対象排気系Eの目
標入力)とし、その目標空燃比KCMDに従ってエンジン1
の燃料供給量をフィードバック制御するようにしたが、
例えばエンジン1の燃料供給量の補正量を空燃比操作量
決定部13により決定するようにすることも可能であ
り、また、目標空燃比KCMDからフィードフォワード的に
エンジン1の燃料供給量を制御するようにすることも可
能である。
イディングモード制御器27は、外乱の影響を考慮した
適応則を有する適応スライディングモード制御を用いた
が、該適応則を省略した一般のスライディングモード制
御を用いるようにしてもよい。
イディングモード制御器27は、制御すべき状態量を二
つの偏差出力VO2(k),VO2(k-1)としたが、さらに多くの
偏差出力(例えばVO2(k),VO2(k-1),VO2(k-2)等)を制
御すべき状態量として用いるようにしてもよい。
スライディングモード制御が不安定であると判断した場
合に、前記SLD操作入力uslを強制的に所定値とし、
従って、目標空燃比KCMDも所定値となるようにしたが、
適応スライディングモード制御が不安定であると判断し
た場合に、例えばPID制御器等、空燃比操作量決定部
13とは別に備えた制御器を用いて、暫定的にO2セン
サ6の出力VO2/OUTが目標値VO2/TARGETに収束するよう
に目標空燃比KCMDを決定するようにしてもよい。
器26による演算処理とスライディングモード制御器2
7の演算処理とを、前記式(1)により表される対象排
気系Eの同一の離散系モデルに基づいて行うようにした
が、推定器26とスライディングモード制御器27とで
各別の離散系モデルに基づいて演算処理を行うようにし
てもよい。さらにこの場合、推定器26用の離散系モデ
ルのパラメータは、あらかじめ定めた所定値に保持した
り、エンジン1の運転状態や触媒装置3の劣化状態に応
じてマップ等を用いて適宜設定するようにしてもよく、
さらには、推定器26による演算処理は、対象排気系E
の連続系モデルに基づいて行うようにしてもよい。
ような場合にあっては、推定器26を省略するようにし
てもよく、この場合には、例えば前記第1の実施形態に
おいて、無駄時間d=0として、推定器26の処理を省
略すればよい。この場合、スライディングモード制御器
は、前記式(20)、(21)、(25)において、d
=0とした式によって、目標空燃比KCMDを決定するため
の等価制御入力ueq、到達則入力urch及び適応則入力
uadpを求めるようにすればよい。また、この場合にお
いて、第2の実施形態のように同定器25により同定す
るパラメータの値を制限する場合には、その制限条件
は、推定器26の処理と無関係に、制御の安定性等を考
慮し、各種実験やシミュレーションを通じて設定すれば
よい。
イディングモード制御器27により同定器25で同定さ
れた離散系モデルのゲイン係数a1,a2,b1を用いて目標空
燃比KCMDを決定するようにしたが、適応制御器等の他の
漸化式形式の制御器により同定されたゲイン係数a1,a2,
b1を用いて目標空燃比KCMDを決定するようにしてもよ
く、さらには、同定されたゲイン係数a1,a2,b1を用いて
目標空燃比KCMDを決定し得るものであれば、ファジー制
御器やニューラルネットワーク型の制御器を用いてよ
い。
排気系Eの無駄時間dをあらかじめ定めた値に設定した
が、ゲイン係数a1,a2,b1と共に該無駄時間dを同定する
ようにすることも可能である。そして、この場合におい
て、同定する無駄時間dの値を前記第2の実施形態と同
様に適当な条件によって制限するようにしてもよい。
器25によるゲイン係数a1,a2,b1の同定を触媒装置3を
通過した排ガスの空燃比がリーン側からリッチ側に変化
する挙動状態において行うようにしたが、該空燃比がリ
ッチ側からリーン側に変化する挙動状態において同定を
行うようにしてもよく、さらには、該挙動状態を区別す
ることなく任意の挙動状態において、逐次ゲイン係数a
1,a2,b1の同定を行ったり、あるいは排ガスの空燃比が
リーン側からリッチ側に変化する挙動状態と排ガスの空
燃比がリッチ側からリーン側に変化する挙動状態とで各
別にゲイン係数a1,a2,b1の同定を行うようにしてもよ
い。このような場合には、推定器26とスライディング
モード制御器27とで用いるゲイン係数a1,a2,b1は、同
定器25で実際に今回の制御サイクルで同定したゲイン
係数を用いることとなる。
施形態の全体的システム構成図。
図。
示すブロック図。
を説明するための説明図。
ック図。
を説明するためのフローチャート。
理を説明するためのフローチャート。
を説明するためのフローチャート。
明するためのフローチャート。
説明するためのフローチャート。
説明するためのフローチャート。
を説明するための説明図。
を説明するための説明図。
を説明するためのフローチャート。
を説明するための説明図。
を説明するための説明図。
を説明するための説明図。
を説明するためのフローチャート。
説明するためのフローチャート。
説明するためのフローチャート。
説明するためのフローチャート。
を説明するためのフローチャート。
説明するためのフローチャート。
実施形態を説明するための説明図。
実施形態を説明するための説明図。
実施形態の作動を説明するためのフローチャート。
の系)、6…O2センサ(排ガスセンサ)、13…空燃
比操作量決定部、25…同定器、26…推定器、27…
スライディングモード制御器。
Claims (5)
- 【請求項1】内燃機関の排ガス中の特定成分の濃度を検
出すべく該内燃機関の排気系に設けられた排ガスセンサ
を備え、該排ガスセンサの出力が所定の目標値になるよ
うに内燃機関の排ガスの空燃比を制御する内燃機関の空
燃比制御装置において、 前記内燃機関の排ガスの空燃比を規定する操作量をスラ
イディングモード制御を用いて決定する空燃比操作量決
定手段と、該空燃比操作量決定手段が制御対象とする系
のモデルの設定すべきパラメータを同定する同定手段と
を備え、前記空燃比操作量決定手段は、前記同定手段が
同定した前記パラメータの同定値と所定値とを内燃機関
の運転状態に応じて選択的に用いて前記操作量を決定す
るようにしたことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装
置。 - 【請求項2】内燃機関の排ガス中の特定成分の濃度を検
出すべく該内燃機関の排気系に設けられた排ガスセンサ
を備え、該排ガスセンサの出力が所定の目標値になるよ
うに内燃機関の排ガスの空燃比を制御する内燃機関の空
燃比制御装置において、 前記内燃機関の排ガスの空燃比を規定する操作量を決定
する空燃比操作量決定手段と、該空燃比操作量決定手段
が制御対象とする系であって前記排ガスセンサの出力を
生成する系が有する無駄時間後における該排ガスセンサ
の出力の推定値を示すデータを生成する推定手段と、前
記制御対象の系のモデルの設定すべきパラメータを同定
する同定手段とを備え、 前記推定手段は、前記同定手段が同定した前記パラメー
タの同定値と所定値とを内燃機関の運転状態に応じて選
択的に用いて前記排ガスセンサの出力の推定値を示すデ
ータを生成し、前記空燃比操作量決定手段は、該推定手
段が生成したデータにより示される推定値が前記目標値
になるように前記操作量を決定することを特徴とする内
燃機関の空燃比制御装置。 - 【請求項3】前記内燃機関の運転状態は、該内燃機関の
スロットル弁が全開であるか否かの状態であることを特
徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の空燃比制御装
置。 - 【請求項4】前記内燃機関の運転状態は、該内燃機関の
燃料供給の停止中であるか否かの状態であることを特徴
とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関の
空燃比制御装置。 - 【請求項5】前記内燃機関の運転状態は、該内燃機関の
アイドル運転中であるか否かの状態であることを特徴と
する請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関の空
燃比制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002125424A JP3748418B2 (ja) | 1997-09-16 | 2002-04-26 | 内燃機関の空燃比制御装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP25114197 | 1997-09-16 | ||
JP9-251141 | 1997-09-16 | ||
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP3748418B2 JP3748418B2 (ja) | 2006-02-22 |
Family
ID=26540070
Family Applications (1)
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JP2002125424A Expired - Lifetime JP3748418B2 (ja) | 1997-09-16 | 2002-04-26 | 内燃機関の空燃比制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3748418B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008144744A (ja) * | 2006-12-13 | 2008-06-26 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の制御装置 |
-
2002
- 2002-04-26 JP JP2002125424A patent/JP3748418B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008144744A (ja) * | 2006-12-13 | 2008-06-26 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の制御装置 |
JP4674583B2 (ja) * | 2006-12-13 | 2011-04-20 | トヨタ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
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