JP2003013191A - アルミニウムを主成分とする金属製直管及びその製造方法、並びに検査方法 - Google Patents

アルミニウムを主成分とする金属製直管及びその製造方法、並びに検査方法

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JP2003013191A
JP2003013191A JP2001197048A JP2001197048A JP2003013191A JP 2003013191 A JP2003013191 A JP 2003013191A JP 2001197048 A JP2001197048 A JP 2001197048A JP 2001197048 A JP2001197048 A JP 2001197048A JP 2003013191 A JP2003013191 A JP 2003013191A
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pipe
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Takashi Ando
孝志 安藤
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温条件下、又はヒートサイクルが負荷され
る環境下であっても、変形・破損等が発生し難く、長期
耐久性を有するとともに、伸延加工等も可能、かつ、低
製造コストであるアルミニウムを主成分とする金属製直
管を提供する。 【解決手段】 圧着により製管されたアルミニウム製又
はアルミニウム合金製のポートホール直管が完全焼鈍さ
れてなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、高温条件下にお
いて長期間の耐久性を示すアルミニウムを主成分とする
金属製直管、及びその製造方法、並びに、当該アルミニ
ウムを主成分とする金属製直管の検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 従来、アルミニウムやアルミニウム合
金等の材料からなる金属製直管の製造方法としては、マ
ンドレル(芯金)を用いた押出し法であるマンドレル方
式と、分割金型を用いた押出し法であるポートホール方
式とがあり、マンドレル方式によって製造された金属製
直管のことはマンドレル管(継目無し管)又はマンドレ
ル直管、ポートホール方式によって製造された金属製直
管のことはポートホール管(継目管)又はポートホール
直管と称されている。
【0003】 有穴ビレットを用いて作製されたマンド
レル直管は継目部(圧着部位)がないために、金属製直
管全体の材質、即ち金属組織が均一であるとともに、均
一な強度分布を示す。
【0004】 一方、ポートホール直管は高温条件下
(450〜550℃)においてアルミニウムの接合が可
能なことを利用し、熱間押出し、及びこれに続く冷間引
抜きによって、複数の部分を圧着して作製された金属製
直管であり、3〜6箇所の圧着部位を有するものが一般
的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、マン
ドレル直管の製造工程においては、金属材料の押出し時
に芯金が振れ易い。このため、金属製直管の肉厚が不均
一となったり、偏肉が生じたりする場合が多く、薄肉製
品や断面形状が複雑な製品の製造が困難であるといった
問題がある。また、多段階の引出し工程と焼鈍工程が必
要とされ、かつ、歩留りが悪い。従って、ポートホール
直管に比してコスト高な製造方法であるといった問題も
ある。
【0006】 これに対して、ポートホール方式は極め
て低コストな製造方法であり、また、薄肉製品等にも対
応することができる。しかし、ポートホール直管には圧
着部位があり、圧着部位と非圧着部位の物理的性質や金
属組織が異なっている。従って、例えば高温(〜約20
0℃)やヒートサイクルが負荷される環境下において
は、冷間引抜き時に生じた加工歪に起因して圧着部位の
優先的な伸延等が生じ、稀に変形や損傷が起こる場合も
想定される。
【0007】 更に、ポートホール直管は、その圧着部
位近辺の金属組織の不均一性に起因して、スエージング
加工等の圧縮加工には強いが、バルジ加工等の拡管、伸
延加工に対しては著しく弱いといった問題点がある。こ
のため、金属製直管の使用条件や環境による制約を受け
る場合がある。
【0008】 本発明は、このような従来技術の有する
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、高温条件下、又はヒートサイクルが負荷される
環境下であっても、変形・破損等が発生し難く、長期耐
久性を有するとともに、伸延加工等も可能、かつ、低製
造コストであるアルミニウムを主成分とする金属製直
管、及び、当該アルミニウムを主成分とする金属製直管
の製造方法、並びに、当該アルミニウムを主成分とする
金属製直管の圧着部位の圧着状態を簡便に評価すること
が可能な、アルミニウムを主成分とする金属製直管の検
査方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】 即ち、本発明によれ
ば、圧着により製管されたアルミニウム製又はアルミニ
ウム合金製のポートホール直管が完全焼鈍されてなるこ
とを特徴とするアルミニウムを主成分とする金属製直管
が提供される。
【0010】 本発明においては、ビッカース硬度が4
0MHV以下であるとともに、圧着部位と非圧着部位と
のビッカース硬度の差が5MHV以下であることが好ま
しく、また、アルミニウムを主成分とする金属製直管を
構成する金属組織の平均結晶粒径が160μm以下であ
るとともに、圧着部位と非圧着部位との金属組織の平均
結晶粒径の差が50μm以下であることが好ましい。
【0011】 一方、本発明によれば、圧着により製管
されたアルミニウム製又はアルミニウム合金製のポート
ホール直管を完全焼鈍することを特徴とするアルミニウ
ムを主成分とする金属製直管の製造方法が提供される。
【0012】 本発明においては、ビッカース硬度が4
0MHV以下、かつ、圧着部位と非圧着部位とのビッカ
ース硬度の差が5MHV以下となるまで完全焼鈍するこ
とが好ましく、また、アルミニウムを主成分とする金属
製直管を構成する金属組織の平均結晶粒径が160μm
以下、かつ、圧着部位と非圧着部位との金属組織の平均
結晶粒径の差が50μm以下となるまで完全焼鈍するこ
とが好ましい。
【0013】 また、本発明によれば、アルミニウム製
又はアルミニウム合金製のポートホール直管が完全焼鈍
されてなる試料用金属製直管と、ポートホール方式で製
造されているが、完全焼鈍は実施されていないアルミニ
ウム製又はアルミニウム合金製の対照用金属製直管とを
用意し、該試料用金属製直管、及び該対照用金属製直管
の開口端部をフレア形状に加工し、フレア形状に加工さ
れた該開口端部において、ポートホール方式による製造
過程で形成された圧着部位における金属組織により現さ
れる三角状模様を確認し、確認された該試料用金属製直
管の該三角状模様と、該対照用金属製直管の該三角状模
様を比較することにより、該試料用金属製直管の該圧着
部位の圧着状態を評価することを特徴とするアルミニウ
ムを主成分とする金属製直管の検査方法が提供される。
【0014】 本発明においては、対照用金属製直管の
三角状模様に比して、試料用金属製直管の三角状模様の
濃淡が薄い、及び/又は、面積が小さい場合に、試料用
金属製直管の圧着部位の圧着状態が良好であると評価す
ることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態につ
いて説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定され
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当
業者の通常の知識に基づいて、適宜、設計の変更、改良
等が加えられることが理解されるべきである。
【0016】 本発明の一実施態様は、アルミニウムを
主成分とする金属製直管であり、圧着により製管された
アルミニウム製又はアルミニウム合金製のポートホール
直管が完全焼鈍されてなることを特徴とするものであ
る。以下、その詳細について説明する。
【0017】 本発明のアルミニウムを主成分とする金
属製直管(以下、「Al直管」と記す。)の構成材料で
あるアルミニウム又はアルミニウム合金とは、例えばJ
ISA1100、A1050、2S材等の一般工業用純
アルミニウムや、JISA3003(3S材)等のアル
ミニウム合金である。ここで、本発明にいう「アルミニ
ウムを主成分とする」とは、構成成分であるアルミニウ
ムの物理的・化学的特性が顕著に現れるように含有して
いる状態であることを意味する。従って、このような特
性が損なわれない材料であれば、本発明のAl直管の構
成材料は前述のアルミニウム又はアルミニウム合金の例
に限定されるものではない。
【0018】 本発明のAl直管は、ポートホール方式
により製造されたアルミニウム製又はアルミニウム合金
製のポートホール直管(以下、「Alポートホール直
管」と記す。)が完全焼鈍(O材化)されてなるもので
ある。ここで、完全焼鈍とは、ポートホール方式による
製造過程において形成された圧着部位における金属組織
の結晶粒を均一化するために実施されるものであり、例
えば410〜520℃、3〜5時間程度加熱した後、空
冷又は炉冷することにより実施される。
【0019】 即ち、本発明のAl直管は完全焼鈍され
ているために、ポートホール方式による製造過程におい
て形成された圧着部位と、非圧着部位との材質が均一化
されている。従って、ポートホール方式による製造過程
における冷間引抜き時に生じた加工歪が除去されてい
る。このため、本発明のAl直管は圧着部位の優先的な
伸延等が生じ難く、変形や損傷等の不具合が起こり難
い。
【0020】 更に、本発明のAl直管はポートホール
方式にて製造された直管を材料として採用しているため
に、その工程数が少なく、歩留りも良好である。また、
Alポートホール直管製造用の型の耐用も長く、マンド
レル方式に比べて製造コストが安い。
【0021】 更に、本発明のAl直管は、ビッカース
硬度が40MHV以下であるとともに、圧着部位と非圧
着部位とのビッカース硬度の差が5MHV以下であるこ
とが好ましい。即ち、完全焼鈍後のビッカース硬度が当
該数値に規定されていることにより、圧着部位と非圧着
部位との材質が、より均一化されている。従って、高温
条件下、又はヒートサイクルが負荷される環境下であっ
ても、変形や損傷等の不具合が更に起こり難いといった
効果を奏する。
【0022】 なお、より一層の前記効果を発揮するた
めには、本発明のAl直管はビッカース硬度が35MH
V以下であるとともに、圧着部位と非圧着部位とのビッ
カース硬度の差が4MHV以下であることが更に好まし
く、ビッカース硬度が30MHV以下であるとともに、
圧着部位と非圧着部位とのビッカース硬度の差が3MH
V以下であることが特に好ましい。
【0023】 本発明のAl直管は、高温条件下、又は
ヒートサイクルが負荷される環境下であっても、優れた
長期耐久性を有するため、これらの特性が生かされる部
材、例えば、ナトリウム−硫黄電池(以下、「NAS電
池」と記す。)用陽極容器等として好適に採用される。
【0024】 また、本発明においては前記ビッカース
硬度の下限値については特に限定されるものではない
が、各種部材、例えば、NAS電池用陽極容器等として
用いることを想定した場合の実質的な強度確保といった
観点からは、27MHV以上であればよい。
【0025】 本発明においては、Al直管を構成する
金属組織の平均結晶粒径が160μm以下であるととも
に、圧着部位と非圧着部位との金属組織の平均結晶粒径
の差が50μm以下であることが好ましい。即ち、完全
焼鈍後の金属組織の平均結晶粒径が当該数値に規定され
ていることにより、圧着部位と非圧着部位との材質が、
より均一化されており、変形や損傷等の不具合が更に起
こり難いといった効果を奏する。なお、より一層の効果
を発揮するためには、本発明のAl直管は金属組織の平
均結晶粒径が140μm以下であるとともに、圧着部位
と非圧着部位との平均結晶粒径の差が40μm以下であ
ることが更に好ましく、金属組織の平均結晶粒径が12
0μm以下であるとともに、圧着部位と非圧着部位との
平均結晶粒径の差が30μm以下であることが特に好ま
しい。
【0026】 また、本発明においては前記金属組織の
平均結晶粒径の下限値については特に限定されるもので
はないが、各種部材、例えば、NAS電池用陽極容器等
として用いることを想定した場合の実質的な強度確保と
いった観点、及び実質的な製造条件等を考慮すれば、8
0μm以上であればよい。
【0027】 本発明の別の実施態様は、Al直管の製
造方法であり、圧着により製管されたAlポートホール
直管を完全焼鈍することを特徴とする。以下、製造方法
の一例を挙げ、更なる詳細について説明する。
【0028】 まず、材料となるAlポートホール直管
を用意する。用いるAlポートホール直管の構成材料で
あるアルミニウム又はアルミニウム合金とは、例えばJ
ISA1100、A1050、2S材等の一般工業用純
アルミニウムや、JISA3003(3S材)等のアル
ミニウム合金である。
【0029】 用意したAlポートホール直管を完全焼
鈍する。完全焼鈍の実施条件は、Alポートホール直管
の構成材料、サイズ等にも左右されるため一概に決定さ
れるものではないが、例えば、得られるAl直管につい
て高温条件下での使用が想定される場合には、その使用
温度以上で実施されることが好ましい。更に具体的に
は、410〜520℃、3〜5時間実施すればよい。
【0030】 Alポートホール直管を完全焼鈍するこ
とにより、ポートホール方式による製造過程において形
成された圧着部位と、非圧着部位との材質が均一化され
る。従って、ポートホール方式による製造過程における
冷間引抜き時に生じた加工歪を除去することができ、圧
着部位の優先的な伸延等が生じ難く、変形や損傷等の不
具合が起こり難いAl直管を製造することができる。
【0031】 更に、本発明においてはビッカース硬度
が40MHV以下、かつ、圧着部位と非圧着部位とのビ
ッカース硬度の差が5MHV以下となるまで完全焼鈍す
ることが好ましい。このことにより、圧着部位と非圧着
部位との材質を、より均一化することができる。従っ
て、高温条件下、又はヒートサイクルが負荷される環境
下であっても、変形や損傷等の不具合が更に起こり難い
Al直管を提供することができる。
【0032】 なお、前記不具合がより一層起こり難い
Al直管を提供するといった観点からは、ビッカース硬
度が35MHV以下であるとともに、圧着部位と非圧着
部位とのビッカース硬度の差が4MHV以下となるまで
完全焼鈍することが更に好ましく、ビッカース硬度が3
0MHV以下であるとともに、圧着部位と非圧着部位と
のビッカース硬度の差が3MHV以下となるまで完全焼
鈍することが特に好ましい。
【0033】 また、本発明においては前記ビッカース
硬度の下限値については特に限定されるものではない
が、各種部材、例えば、NAS電池用陽極容器等として
用いることを想定した場合の実質的な強度確保といった
観点からは、27MHV以上であればよい。
【0034】 本発明においては、Al直管を構成する
金属組織の平均結晶粒径が160μm以下、かつ、圧着
部位と非圧着部位との金属組織の平均結晶粒径の差が5
0μm以下となるまで完全焼鈍することが好ましい。即
ち、完全焼鈍後の金属組織の平均結晶粒径を当該数値と
することにより、圧着部位と非圧着部位との材質が、よ
り均一化されるために、変形や損傷等の不具合が更に起
こり難いAl直管を製造することができる。なお、不具
合の回避をより一層図るためには、金属組織の平均結晶
粒径を140μm以下、かつ、圧着部位と非圧着部位と
の平均結晶粒径の差を40μm以下となるまで完全焼鈍
することが更に好ましく、金属組織の平均結晶粒径を1
20μm以下、かつ、圧着部位と非圧着部位との平均結
晶粒径の差を30μm以下となるまで完全焼鈍すること
が更に好ましい。
【0035】 また、本発明においては前記金属組織の
平均結晶粒径の下限値については特に限定されるもので
はないが、各種部材、例えば、NAS電池用陽極容器等
として用いることを想定した場合の実質的な強度確保と
いった観点、及び実質的な製造条件等を考慮すれば、8
0μm以上であればよい。
【0036】 次に、本発明の更に別の実施態様につい
て説明する。本発明の更に別の実施態様は、Al直管の
検査方法である。まず、アルミニウム又はアルミニウム
合金製のポートホール直管が完全焼鈍されてなる試料用
金属製直管と、ポートホール方式で製造されているが、
完全焼鈍は実施されていないアルミニウム製又はアルミ
ニウム合金製の対照用金属製直管とを用意する。次に、
試料用金属製直管と対照用金属製直管の各々の開口端部
をフレア形状に加工し、フレア形状に加工された開口端
部において、ポートホール方式による製造過程で形成さ
れた圧着部位における金属組織により現される三角状模
様を確認する。続いて、確認された試料用金属製直管の
三角状模様と、対照用金属製直管の三角状模様とを比較
することにより、試料用金属製直管の圧着部位の圧着状
態を評価することを特徴とする。以下、その詳細につい
て説明する。
【0037】 図2は本発明のAl直管の検査方法を模
式的に説明する断面図である。適当な把持具10に固定
された試料用金属製直管11の開口端部12に、適当な
形状・サイズの押し治具13を嵌合し、反対側の開口端
部(図示せず)方向へと押し込むことによって、開口端
部12をフレア形状に加工する。同様の操作を、試料用
金属製直管と実質的に同サイズの対照用金属製直管につ
いて実施することにより、図3に示すような開口端部1
2がフレア形状に加工された試料用金属製直管11(図
3(a))と対照用金属製直管14(図3(b))を得
ることができる。
【0038】 得られた対照用金属製直管14の開口端
部12において、圧着部位は三角状模様15となって容
易に確認される。この三角状模様15は、金属組織によ
り形成される模様であって、材料組成やポートホール方
式の製造条件等に若干左右されるが、一般的には灰色〜
銀白色、又はこれに類する色彩である。一方、試料用金
属製直管11の開口端部12においては、Alポートホ
ール直管が完全焼鈍されることにより、圧着部位の金属
組織の均一化が図られている。従って、その開口端部1
2において三角状模様15が確認困難であるか、対照用
金属製直管14の三角状模様に比して濃淡が薄い、又
は、面積が小さいものとして確認される。
【0039】 本発明においては、開口端部をフレア形
状に加工しているために、三角状模様を目印として、肉
眼で容易に圧着部位を確認することができる。更に、図
3(c)に示すように、対照用金属製直管14において
確認される三角状模様15は、対照用金属製直管14の
外周面側に凹部16を形成する場合が多く、このことも
肉眼による圧着部位の確認を容易なものとしている。ま
た、本発明においては、三角状模様の濃淡、及び/又は
面積を元にして、圧着部位の圧着状態を評価することが
できる。なお、圧着状態を評価することによって、完全
焼鈍の実施条件の妥当性をも評価することが可能であ
り、評価結果を元にして完全焼鈍の温度、時間等の条件
改善を図ることができる。
【0040】 本発明においては、対照用金属製直管の
三角状模様に比して、試料用金属製直管の三角状模様の
濃淡が薄い、及び/又は、面積が小さい場合に、試料用
金属製直管の圧着部位の圧着状態が良好であると評価す
ることが好ましい。即ち、ポートホール方式による製造
過程で形成された圧着部位の金属組織の均一化がなされ
ている場合には、三角状模様を確認することが困難であ
るか、又は確認可能であっても、対照用金属製直管に比
して薄い、若しくは面積が小さいため、これを指標とし
てAl直管の圧着部位の圧着状態を評価することが可能
である。
【0041】 本発明においては、容易に確認可能な三
角状模様を圧着部位の圧着状態の評価基準としているた
めに、特に試料片を切り出す必要性がなく、また、圧着
部位確認のため光学顕微鏡等を用いる必要性もない。更
に、三角状模様の濃淡、面積の大小を評価基準とするた
め、特に硬度試験等を実施する必要性がないために、極
めて簡易にAl直管の圧着部位の圧着状態を評価するこ
とができる。
【0042】
【実施例】 以下、本発明の具体的な実施結果を説明す
る。 (実施例1) ポートホール方式で製造されたAlポートホール直管
(材質:JISA3003合金)を、410℃、3時間
加熱することによる完全焼鈍を実施して、厚さ1.8m
m、全長550mm、外径72mmφのAl直管(実施
例1)を製造した。
【0043】(比較例1)ポートホール方式で製造され
た、実施例1と同一形状・寸法のAlポートホール直管
(比較例1)を用意した。
【0044】(長期加熱試験)実施例1、比較例1の内
面に、定法に従ってCrメッキ層(厚さ:15μm)を
設け(図1)、300〜400℃、7年間の長期加熱試
験を実施した。なお、その間のヒートサイクルは21回
であった。
【0045】(圧着部位付近の金属組織の観察)実施例
1、比較例1の製造工程、及びヒートサイクル試験の途
中において、経時的に金属組織の観察を行った。図4
は、実施例1の圧着部位付近の金属組織(結晶粒)の状
態変化を経時的に示す拡大模式図である。図4中、
(a)は熱間押出し後、(b)は冷間引抜き後、(c)
は完全焼鈍後、(d)は長期加熱試験7年経過後の状態
を示すものである。一方、図5は、比較例1の圧着部位
付近の金属組織(結晶粒)の状態変化を経時的に示す拡
大模式図である。図5中、(a)は熱間押出し後、
(b)は冷間引抜き後、(c)は長期加熱試験2年経過
後、(d)は長期加熱試験3年経過後の状態を示すもの
である。
【0046】 ポートホール方式による製造過程の一工
程である冷間引抜きの際に、圧着部位20においては加
工硬化に起因する加工歪23が観察された。この状態で
長期加熱試験を実施したところ、図5に示す比較例1の
場合、いわゆる回復現象により若干の歪み解消が確認さ
れた後(図5(c))、金属組織の結晶粒22の成長
(粗大化)が起こり、軟化して変形や損傷(メッキ層2
の剥離)等が発生した(図5(d))。
【0047】 これに対し、図4に示す実施例1の場
合、完全焼鈍することによって金属組織の状態が均一化
されており(図4(c))、その後長期間に渡る加熱試
験を実施しても結晶粒22の成長は起こらず、変形や損
傷等は発生しなかった(図4(d))。
【0048】(ビッカース硬度及び金属組織の平均結晶
粒径の測定)実施例1のAl直管については、完全焼鈍
直後、及び長期加熱試験7年経過後、比較例1の各Al
直管については、長期加熱試験3年経過後に、圧着部位
と非圧着部位のビッカース硬度、及び金属組織の平均結
晶粒径を測定した。また、圧着部位の変形の有無を調査
した。結果を表1に示す。ここで、ビッカース硬度は荷
重値300gで測定した値であり、平均結晶粒径は光学
顕微鏡写真(倍率:×100)を用いて、線分析法によ
り測定した値である。なお、いずれの場合も圧着部位の
測定値は5箇所の圧着部位の平均値にて示した。また、
圧着部位の変形の調査はCrメッキ層を観察することに
より行い、メッキ層に剥離等が生じた場合を「あり」、
生じなかった場合を「なし」と評価した。
【0049】
【表1】
【0050】(考察)表1に示す結果から明らかなよう
に、実施例1においては、ビッカース硬度及び金属組織
の平均結晶粒径、並びにこれらの圧着部位における値と
非圧着部位における値との差が所定の数値以下であり、
ヒートサイクル試験経過後でも、ほとんど変化すること
がなく、圧着部位の変形も確認することができなかっ
た。これに対して比較例1においては、ヒートサイクル
経過後に、ビッカース硬度及び金属組織の平均結晶粒
径、並びにこれらの圧着部位における値と非圧着部位に
おける値との差が所定値以上となり、圧着部位に変形を
生じた。これら結果から、本発明の優位性を確認するこ
とができた。
【0051】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明のアルミ
ニウムを主成分とする金属製直管は、圧着により製管さ
れたAlポートホール直管が完全焼鈍されてなるもので
あるため、高温条件下、又はヒートサイクルが負荷され
る環境下であっても、変形・破損等が発生し難く、長期
耐久性を有する。また、本発明のアルミニウムを主成分
とする金属製直管の製造方法によれば、圧着により製管
されたAlポートホール直管を完全焼鈍するため、前述
の特性を示すアルミニウムを主成分とする金属製直管を
低コストで製造することができる。更に、本発明のアル
ミニウムを主成分とする金属製直管の検査方法によれ
ば、Al直管の開口端部をフレア形状に加工するため、
圧着部位を確認し易く、簡便にAl直管の圧着部位の圧
着状態を評価することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 内周面にメッキ層が設けられたAl直管(A
lポートホール直管)を示す断面図である。
【図2】 本発明のAl直管の検査方法を模式的に説明
する断面図である。
【図3】 開口端部がフレア形状に加工された金属製直
管を示す模式図であり、(a)が試料用金属製直管、
(b)が対照用金属製直管、(c)がA部拡大図であ
る。
【図4】 実施例1の圧着部位付近の金属組織(結晶
粒)の状態変化を経時的に示す拡大模式図である。
【図5】 比較例1の圧着部位付近の金属組織(結晶
粒)の状態変化を経時的に示す拡大模式図である。
【符号の説明】
1…Al直管(Alポートホール直管)、2…メッキ
層、3…圧着部位、10…把持具、11…試料用金属製
直管、12…開口端部、13…押し治具、14…対照用
金属製直管、15…三角状模様、16…凹部、20…圧
着部位、22…結晶粒、23…加工歪、24…内周面、
25…外周面、26…成長した結晶粒。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 21/00 C22C 21/00 N 21/12 21/12 C22F 1/057 C22F 1/057 // C22F 1/00 604 1/00 604 626 626 650 650D 686 686A 691 691B 691C

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧着により製管されたアルミニウム製又
    はアルミニウム合金製のポートホール直管が完全焼鈍さ
    れてなることを特徴とするアルミニウムを主成分とする
    金属製直管。
  2. 【請求項2】 ビッカース硬度が40MHV以下である
    とともに、 圧着部位と非圧着部位とのビッカース硬度の差が5MH
    V以下である請求項1に記載のアルミニウムを主成分と
    する金属製直管。
  3. 【請求項3】 アルミニウムを主成分とする金属製直管
    を構成する金属組織の平均結晶粒径が160μm以下で
    あるとともに、 圧着部位と非圧着部位との金属組織の平均結晶粒径の差
    が50μm以下である請求項1又は2に記載のアルミニ
    ウムを主成分とする金属製直管。
  4. 【請求項4】 アルミニウム製又はアルミニウム合金製
    のポートホール直管を完全焼鈍することを特徴とするア
    ルミニウムを主成分とする金属製直管の製造方法。
  5. 【請求項5】 ビッカース硬度が40MHV以下、か
    つ、 圧着部位と非圧着部位とのビッカース硬度の差が5MH
    V以下となるまで完全焼鈍する請求項4に記載のアルミ
    ニウムを主成分とする金属製直管の製造方法。
  6. 【請求項6】 アルミニウムを主成分とする金属製直管
    を構成する金属組織の平均結晶粒径が160μm以下、
    かつ、 圧着部位と非圧着部位との金属組織の平均結晶粒径の差
    が50μm以下となるまで完全焼鈍する請求項4又は5
    に記載のアルミニウムを主成分とする金属製直管の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 アルミニウム製又はアルミニウム合金製
    のポートホール直管が完全焼鈍されてなる試料用金属製
    直管と、 ポートホール方式で製造されているが、完全焼鈍は実施
    されていないアルミニウム製又はアルミニウム合金製の
    対照用金属製直管とを用意し、 該試料用金属製直管、及び該対照用金属製直管の開口端
    部をフレア形状に加工し、 フレア形状に加工された該開口端部において、ポートホ
    ール方式による製造過程で形成された圧着部位における
    金属組織により現される三角状模様を確認し、 確認された該試料用金属製直管の該三角状模様と、該対
    照用金属製直管の該三角状模様を比較することにより、 該試料用金属製直管の該圧着部位の圧着状態を評価する
    ことを特徴とするアルミニウムを主成分とする金属製直
    管の検査方法。
  8. 【請求項8】 対照用金属製直管の三角状模様に比し
    て、試料用金属製直管の三角状模様の濃淡が薄い、及び
    /又は、面積が小さい場合に、 該試料用金属製直管の該圧着部位の圧着状態が良好であ
    ると評価する請求項7に記載のアルミニウムを主成分と
    する金属製直管の検査方法。
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