JP2003012955A - 顔料、顔料の製造方法、絵の具、塗料、着色合成樹脂及び染色液 - Google Patents

顔料、顔料の製造方法、絵の具、塗料、着色合成樹脂及び染色液

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JP2003012955A
JP2003012955A JP2001203072A JP2001203072A JP2003012955A JP 2003012955 A JP2003012955 A JP 2003012955A JP 2001203072 A JP2001203072 A JP 2001203072A JP 2001203072 A JP2001203072 A JP 2001203072A JP 2003012955 A JP2003012955 A JP 2003012955A
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信 橋本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物を原料として高い効率で製造できると共
に、植物を原材料として使用しているということを商品
力として利用できる顔料を提供することを目的とする。 【解決手段】 顔料を植物の有色組織を乾燥した後、こ
れを粉砕して製造する。植物の有色組織は花とすること
ができ、また花はバラとすることができる。乾燥は、凍
結真空乾燥で行うことが発色の点から望ましい。さら
に、本発明では絵の具、塗料、着色合成樹脂、染色材の
着色材として上述した植物の有色組織を乾燥した後粉砕
して製造した顔料を使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料、顔料の製造
方法、絵の具、塗料、及び着色合成樹脂に係り、特に植
物を原料とした顔料、顔料の製造方法、絵の具、塗料、
着色合成樹脂及び染色液に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、顔料として、天然原料、たとえば
鉱物を原料としたものが知られている。このような顔料
は、鉱物を原料としたものとして、藍銅石から作られる
群青、孔雀石から作られる緑青が知られている。
【0003】これらの顔料は、上述した天然原料を粉砕
・分級して、その原料が持つ色を保持しつつ絵の具や、
塗料その他のものの着色に使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】また、植物の花、葉な
どを染料として、布、糸などを染色することは古来より
よく行なわれている。花や葉等から色素を抽出し、繊維
等を染色するものである。また、植物そのものを乾燥し
て、紙に漉き込んだり、合成樹脂中に封じ込めたりする
ことも従来よく知られている。
【0005】しかし、上述したように植物の色素を用い
て染色を行なう場合には、抽出される色素は原料である
花等の量に比べ極めて少ないものとなり、原材料の量に
対して染色できる製品の量が少なく、染色効率が良好で
はなく、これを改善したいと言う要望がある。また、植
物を漉き込み、封じ込める場合にあっても、原材料とな
る植物で作り出せる製品には限りがある。
【0006】また、花で染色した繊維は、花等自体の色
がそのまま再現されるわけではないし、花の組織自体は
失われているから、花を原料としているということによ
って商品力を高めることができない。
【0007】本発明は、かかる実情に鑑みなされたもの
であり、植物を原料として高い効率で彩色された製品を
製造できると共に、植物を原材料として使用していると
いうことを商品力として主張できる顔料、顔料の製造方
法、絵の具、塗料、及び着色合成樹脂を提供することを
目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、花等の植物を
乾燥し、これを粉砕することにより、花等の植物のその
ものの色彩の顔料を得ることができたという、本発明者
の知見に基づきなされたものである。
【0009】発明者は、花等の植物から染料を得ること
ができるが、植物から顔料を直接得ることができないと
いう従来からの「常識」に疑問を抱いて、種々の実験を
行った結果、本発明に到った。
【0010】発明者は、日本画の絵の具を自作し、この
絵の具を用いて日本画の作品を制作している。これらの
絵の具は身近にある鉱物等を最新の粉砕機で粉砕するこ
とにより作成しているが、鉱物などの素材が備えた色彩
をそのまま十分に絵の具として使えるということを知見
した。
【0011】そこで、新たな試みとして、着色された様
々なものを材料として、顔料を作成できないかというこ
とを試してみたのである。この一連の流れのなかで、植
物の着色組織を乾燥し、近年提供されている粉砕装置を
使用して、微細な粉体とすることにより、この粉砕され
た粉体は、顔料として使用できるということを見出した
のである。
【0012】すなわち、本発明では顔料を植物の有色組
織を乾燥した後、これを粉砕して製造する。
【0013】また、本発明では、植物の有色組織は花と
することができ、また花はバラとすることができる。
【0014】本発明の顔料の製造方法は、植物の有色組
織を乾燥し、粉砕するものである。また、上記有色組織
の乾燥を真空凍結乾燥で行なうことが望ましい。さら
に、弱酸、アルカリや加熱により色彩調整を行うことが
できる。
【0015】さらに、本発明では絵の具、塗料、着色合
成樹脂、染色液に上述した植物の有色組織を乾燥した後
粉砕して製造した顔料を着色材として使用できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。顔料の製造工程は以下のとおりである。本例では
バラの花を原料として用いる場合を説明する。
【0017】まず、バラの花びらを収集する。花びらは
生花として使用できず廃棄対象となるものであっても良
く、品種は特に問わない。また、色は、赤、黄色、ピン
ク等任意である。
【0018】次に採集した花びらを乾燥する。乾燥は、
以下の方法で行いうる。 i 加熱乾燥(100°C以下が望ましい) ii 熱風乾燥(100°C以下が望ましい) iii乾燥剤(シリカゲル)による乾燥 iv 電子レンジによる乾燥 v 凍結真空乾燥(いわゆるフリーズドライ)
【0019】上記の乾燥方法の中では凍結真空乾燥によ
る乾燥は、花びらの退色が少なく好ましい。凍結真空乾
燥は、−40℃のコールドトラップを備えた真空凍結乾
燥器を用いて行った。重量は乾燥前の10%程度となっ
た。また、そこに含まれる灰分は5〜10%以下であ
る。
【0020】次に乾燥した花びらを粉砕する。粉砕はど
のような粉砕装置を用いてもよいが、所定の粒度(肉眼
で粒形が判別できない程度、約100μm以下、約30
μm程度)まで粉砕する。本例では、衝撃粉砕機(大阪
ケミカル株式会社製ワンダーブレンダーWB−1型)を
用い、30秒程度粉砕した。
【0021】粉砕した粉体を32μmメッシュの音波ふ
るい(筒井理化学製)で分級し30μm程度とした。こ
れにより分級した顔料は、バラの花びらの色彩を保って
いた。本例では、生花10グラムから顔料1グラムを得
【0022】この顔料を、アクリルラッカー40gに分
散させ、白色紙に塗布した。赤紫色のバラから得た顔料
の場合60cm×90cmの赤紫色の色紙とすることが
できた。その色彩を測定したところマンセル値9.6R
P7.4/3.6であった。
【0023】また、塗布後、弱酸で処理した場合より鮮
明な赤紫マンセル値6.5RP7.4/6.6となっ
た。尚、マンセル値はミノルタ製CR200色彩計によ
って測定した。
【0024】また、他の粉砕機として、伊藤製作所LA
−P01型遊星ボールミルを用い、溶媒とともに微粉砕
することができた。
【0025】本例では、バラの花びらを原料にして顔料
を作成したが、ハイビスカス、ブルーマルロー、りんど
う、つつじ、芥子等の花、植物の葉、樹皮、紅茶などで
も顔料を作成することが可能である。
【0026】以上説明したように、植物の花等を単に乾
燥するだけでも植物の色彩を保持できることが分かっ
た。乾燥を真空凍結乾燥とすると、さらに植物の色を良
好に保つことができる。これは黄色において顕著であ
る。
【0027】他の実施の形態例として、乾燥・粉砕によ
って作られた濃赤のバラの顔料にアラビアゴムをバイン
ダーとして白紙に塗布した。この場合マンセル値で3.
5RP8.5/2.1となった。これにPH2程度の弱
酸を添加した場合色彩は4.6RP8.6/2.9とな
った。またPH10程度のアルカリを添付した場合色彩
は0.7RP8.9/3.7となった。
【0028】この処理は、顔料粉体に弱酸またはアルカ
リを添加し100℃以下で乾燥させ再度粉砕することで
使用することが可能であり、バインダーによっては、塗
布等事後の処理も可能である。また、弱酸、アルカリの
強度により色彩は変化することが分かる。
【0029】また、加熱前2.9RP5.1/6.0の
濃赤のばらを、恒温炉で90℃に加熱したところ、2.
9RP5.2/5.1になり、150℃に加熱したとこ
ろ3.1R5.1/3.1となった。
【0030】同様に加熱前2.1Y8.3/3.7の黄
色のばらを、恒温炉で90℃に加熱したところ、0.2
Y8.0/3.9になり、150℃に加熱したところ
8.3Y6.8/3.8となった。
【0031】以上のことから、加熱により微妙な色彩の
調整が可能であることが分かる。
【0032】さらに、本例の粉体顔料を水性の溶媒に混
ぜると、植物染料が容易に溶け出し、これをろ過圧搾す
ることにより容易に、常温において高い効率で染色液を
得ることができた。従来植物染色液を得る方法として
は、植物材料をそのまま使い煎じる方法、一旦発酵させ
る方法があったが無駄が多かった。本例は、それらに比
べ高い効率で染色液を得ることができた。
【0033】なお、顔料は経時変化により、いずれ自然
な退色がおこるであろうが、その程度は、他の一般的な
有機合成顔料、天然染料と同様と考えられる。発明者の
実験では、濃赤、ピンクをアクリルラッカーに分散して
塗布した木製品,紙,および濃赤、黄、葉をオイルに分
散させたものについては、一年経過後顕著な退色は認め
られない。
【0034】
【実施例】本発明の多岐にわたる用途について、様々な
バインダー、溶媒、分散媒に本発明に係る顔料を混合し
て、原材料のイメージを保持した発色になるかを判定し
た。
【0035】顔料は、ピンク、濃い赤ならびに黄色のバ
ラの花びら、バラの葉、および紅茶を凍結真空乾燥し粉
砕したものを用いた。
【0036】なお、他の草木、花などの染色でも同様で
あるが、バインダー、溶媒分散媒が中性か酸性かアルカ
リ性かにより異なった発色をする。
【0037】ここで、顔料による発色が原材料のイメー
ジを有するか否かは、発明者と、美術専攻の大学生が目
視により判定した。実施例1〜10を表1に、実施例1
1〜20を表2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】表1、表2から、様々なバインダ、溶媒、
分散媒に顔料を混入することにより、一部不良のものも
あるがほとんどの場合良好な発色を得ることができた。
これにより、本発明に係る顔料を様々な用途に使用でき
ることが分かる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、植
物を原料として高い効率で製造できると共に、植物を原
材料として使用しているとして商品力を高めることがで
きるという優れた効果を奏し得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/06 C09D 5/06 7/12 7/12 201/00 201/00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物の有色組織を乾燥し、粉砕して製造
    した顔料。
  2. 【請求項2】 植物の有色組織は花である請求項1に記
    載の顔料。
  3. 【請求項3】 花はバラである請求項2に記載の顔料。
  4. 【請求項4】 植物の有色組織を乾燥し、その後に粉砕
    する顔料の製造方法。
  5. 【請求項5】 有色組織の乾燥を真空凍結乾燥で行なう
    請求項4に記載の顔料の製造方法。
  6. 【請求項6】 弱酸、アルカリにより色彩調整を行う請
    求項4および請求項5に記載の顔料の製造方法。
  7. 【請求項7】 加熱による色彩調整を行う請求項4およ
    び請求項5に記載の顔料の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1、請求項2、又は請求項3に記
    載の顔料を着色材として媒体に拡散した絵の具。
  9. 【請求項9】 請求項1、請求項2、又は請求項3に記
    載の顔料を着色材として塗装媒体に拡散した塗料。
  10. 【請求項10】 請求項1、請求項2、又は請求項3記
    載の顔料を着色材として合成樹脂媒体に拡散した着色合
    成樹脂。
  11. 【請求項11】 請求項1、請求項2、又は請求項3に
    記載の顔料を水性溶媒に溶かした染色液。
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